2018/10/05

「ネット右翼」に関する大規模調査

ネット右翼検証、新たな存在も 東北大准教授ら、8万人アンケート:朝日新聞デジタル(2018年10月5日05時00分)

 「ネット右翼」とはどのような人たちで、どのくらいいるのか。その実像に迫ろうと、8万人規模の大規模調査が行われた。これまで語られてきたネット右翼像とは異なる新しい排外主義者の存在が浮上したほか、所得や雇用形態が影響するという従来の見立てを覆す傾向も浮かび上がった。

 東北大の永吉希久子准教授(社会意ログイン前の続き識論)らのグループが、昨年12月にネット調査会社を通じて20~79歳の東京都市圏に住む約7万7千人にアンケートをした。中韓への否定的態度や保守的政治志向の度合い、ネットの利用状況、伝統的家族観などを質問。確たるネット右翼像がなかったことから、永吉さんは実証的な検証を試みた。

 調査によると、ネット上で排外的な言動を行う人のうち「政治家の靖国神社参拝に賛成」「憲法9条改正に賛成」など政治的な保守思想を持つ人が全体の1・7%を占めた一方、保守思想を全く持たない層が3・0%いた。永吉さんは、前者をネット右翼、後者を「オンライン排外主義者」と分類した。

 両者には、伝統的な家族観が強く、ネット上で政治的議論をする共通点はあるが、ネット右翼には自分たちの声が政治に届いている実感がある一方、オンライン排外主義者には「国民」の声が届いていないとの不信感が強かった。両者ともネットで情報を集めるが、ネット右翼が活字媒体を活用するのに対し、オンライン排外主義者は口コミを重視する傾向も出た。

 「ネット右翼のように安全保障や憲法、歴史認識についてまとまった思想を持つにはある程度の勉強が必要だが、嫌中嫌韓などの排外思想だけならば気軽に流布できる一面があるため、オンライン排外主義者は今後広がりを見せるのではないか」と永吉さんはみる。

 また、ネット右翼やオンライン排外主義者には、経営者や自営業者が多い傾向が見られ、必ずしも低所得層や雇用不安定層には限らないことも浮かび上がった。婚姻状態や相談相手の有無による影響もなかった。

 (河村能宏)

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2018/09/24

福岡県福智町で起きたこと

正社員を辞めて公募図書館長になったのに突然雇い止め、注目図書館「ふくちのち」で起きたこと - 弁護士ドットコム

はてなブックマーク - 正社員を辞めて公募図書館長になったのに突然雇い止め、注目図書館「ふくちのち」で起きたこと - 弁護士ドットコム

雇い止めの後を継いだのは井上憲治氏。市場小前校長。

福智町立図書館・歴史資料館   ふくちのち(八王子市議会議員 おぎた米蔵氏(公明党)のブログ記事)

3町の合併で合理化される赤池支所を図書館・歴史資料館にリノベーション。

このようなまちづくりのデザインが出来たが、次の2つの戦いがあった。

1.職員の意識を変える。設計者を全国から公募することに対して職員からは町内の設計者を選んでほしい。図書館の館長を全国から公募することに対しては、職員や学校の先生のOBから選んでほしいという強い意見。

2.2番目は議会との闘いだった。
図書館でまちづくりが本当に出来るのか。あらゆる面で厳しい状況の町に図書館が必要なのか、他にやることがあるんじゃないか。

どこに建てるのかという場所の問題。支所を改築するのでも多額の予算が必要。議会に承認してもらわなければ建設できない。

議会では、熊本県立図書館を視察するなどして必要性を感じる議員も出てきた。また、町長が各議員を説得していった。

住民説明会をしてもこのようなまちに図書館が必要なのか、という意見が多かった。

次第に、町長がそんなに言うなら仕方ない、しょうがないなぁという空気が出てきた。

全国公募で採用した図書館長は、役場内で図書館についての意見交換会を各課ごとに開いた。賛否両論あり。本来、図書館の仕事は何だ。あなたが考えていることは図書館の仕事ではないのではないか。また、聞くに堪えない言葉も聞いた。

福智町関連。なかなかえげつない。
町が売却禁止の土地を元町議に129万円で売り、この元町議は移転補償金を4600万円せしめて他の土地に自宅を新築。
嶋野勝町長は、元町議から売却を再三要求された。
この元町議は原田正氏?→ 嶋野勝町長は原田正氏後援会の事務局長補佐。


地方自治法違反:元町議に町営住宅売却 福岡・福智町 - 毎日新聞

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅を、居住者の元町議(88)に売却していたことが17日、関係者への取材で分かった。町営住宅の土地の一部は売却前から県の護岸工事の用地となることが決まっており、元町議は購入後に転居して県から移転補償費約4600万円を受け取っていた。嶋野勝町長は元町議から売却を再三要求された事実を認めており、町営住宅を巡る不透明な土地取引が浮き彫りになった。

 関係者によると売却したのは同町伊方にあった町営住宅「尾崎団地」の土地約640平方メートル。団地は2世帯が入居する木造平屋住宅約60平方メートルで、元町議は1部屋の一部を増築して入居していたが、老朽化のため町が2013年3月に払い下げを決定。14年12月に建物を無償譲渡し、土地は129万円で売却した。

 町営住宅は、自治体が所有する財産のうち「行政財産」に区分され、地方自治法は原則として売却や譲渡を認めておらず、違反すれば取引は無効と定めている。用途廃止をして「普通財産」に変えるか、国土交通相の許可を得れば売却できるが、町はいずれの手続きも取っていなかった。

 さらに、この土地の一部は売却前から、近くの長浦川の護岸工事用地として使われるため、移転補償の対象になることが決まっていた。14年7月の豪雨で護岸が損壊し、嶋野町長が県に工事を求める要望書を提出。これを受けて県は護岸工事を決め、同年12月16日、住人の元町議に町営住宅の土地の一部が移転補償の対象になることを伝えた。

 元町議は同年8月に町長らに早期売却を強く求めるなどして、同年12月24日に町営住宅の土地を購入。移転補償対象だった一部の土地以外も工事車両置き場に使うことになり、15年9月、県が元町議に移転補償費約4600万円を支払うことで合意。元町議は町内に新築した自宅に転居した。

 元町議は1999~2011年に町議を3期歴任。土地購入時は部落解放同盟福智連絡協議会委員長だった。嶋野町長は「元町議に依頼されて早期売却を指示した。行政財産の売却が違法とは知らなかった」と釈明。元町議は「売却を働きかけたことは一切ない。移転補償の対象になるとは予想していなかった」と話している。【志村一也】

ことば「行政財産」
 自治体が所有する「公有財産」のうち、庁舎や学校、図書館、公園、公営住宅、公民館の他、地上権や特許権なども含めた公用や公共用に使われる財産。原則として売却や譲与はできず、違反すると取引は無効となる。それ以外の公有財産は普通財産で、自治体の権限で売却や譲渡ができる。

福智町「行政財産」売却:幹部、違法性を認識 - 毎日新聞(2017年8月20日 08時00分(最終更新 8月21日 09時04分))

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅を住人の元町議(88)に売却していた問題で、取引に関与した複数の町幹部が違法性を認識していたことが19日分かった。毎日新聞の取材に対し複数の町幹部が「売却に必要な手続きを怠った」などと認める証言をした。嶋野勝町長は「違法とは知らなかった」と釈明している。

関係者によると、町営住宅は2世帯が入居できる木造平屋1棟で元町議と別の世帯が住んでいた。町は老朽化のため2013年3月以降の協議で15年3月までに元町議へ払い下げることを決定。行政財産である町営住宅を売却するには、用途廃止をして「普通財産」に変えるか、国土交通相から売却許可を得る必要があるため、町が手続きを進めていた。

 しかし、用途廃止をして普通財産に変えるには、町の実務上の取り決めで建物部分を取り壊す必要があり、元町議が所有する増築部分を損傷する恐れがあるため不可能と判断。国交相の売却許可を得ると、元町議と別世帯の居住者が共同購入する必要があり、別世帯の入居者の資力が乏しいため手続きを進められなかったという。

 こうした状況に対して元町議は町に再三にわたって町営住宅の早期売却を要求。嶋野町長は職員に元町議の意向通り早期に売却するよう指示し、最終的には14年12月、必要な手続きをとることなく行政財産のまま元町議に町営住宅の建物を無償譲渡、土地を129万円で売却した。

 売却に関与した町幹部は「必要な手続きを怠り、行政財産のまま売却した」。別の町幹部も「普通財産にするのが面倒だった」と不適切な手続きを認めた。嶋野町長は「手続きについては分からない。職員を信じるしかない」としている。【志村一也】

「普通財産に変更し売却」 町長がHPに反論
 一方、町は18日、町営住宅を違法売却したとする毎日新聞の報道を否定する嶋野勝町長名のコメントを町のホームページ上に掲載した。「払い下げについては、地方自治法どおり『行政財産』から用途廃止を行い『普通財産』に変えて売却した」と説明。しかし関係者によると、用途廃止後に町の取り決めで必要な建物の解体や必要書類の提出をしておらず、普通財産には変更されていなかったという。

 嶋野町長は当初、違法売却の事実を認めて「勉強が足りず反省している」と話していた。毎日新聞はコメントについて町に取材を申し入れたが、町は19日までに応じていない。

地方自治法違反:町長「私は被害者。早く縁切りたかった」 - 毎日新聞(2017年8月18日 10時00分(最終更新 8月18日 10時15分))

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅の土地を元町議(88)に違法に売却した問題。元町議が土地購入後に県から多額の移転補償費を受け取ったことも判明するなど取引の不透明さが際立つ。嶋野勝町長は元町議の求めに応じて早期売却を決めたことを認めたものの、違法性の認識はなかったことを強調する。専門家から取引を無効にすべきだとの声も上がる中、嶋野町長に取引の経緯などについて話を聞いた。【志村一也】

 --町営住宅を行政財産のまま売却したことは地方自治法に違反するのではないか。

 ◆法律違反とは知らなかった。町長失格と言われたらそうだろう。勉強が足りなかったと反省している。

 --元町議から売却の陳情を受けたのか。

 ◆元町議に「払い下げを早くしてくれ」と頼まれ、職員に「早くしろ」と指示した。町としてはもともと町営住宅を住人に払い下げる計画を立てていた。圧力を受けたという印象はない。売却を急いだのは何かと町に要望してくる元町議と早く縁を切りたかったという理由もある。

 --県から元町議に多額の移転補償費が出たことが住民の不信を招いているのでは。

 ◆移転補償費が支払われることは知らなかった。あの土地は交通の便も悪くて二束三文なのに、県はなぜ4600万円もの補償費を出したのか。県がやったことのとばっちりを受けて町が注目されることになったという認識だ。私は被害者だ。

 --町長名で県に出した要望書がきっかけで、町営住宅が工事の用地となっているが。

 ◆工事内容は県が決めることだ。要望書については記憶がない。

全国的にも極めて珍しいケース
 板垣勝彦・横浜国立大大学院准教授(行政法)の話 行政財産を売るなど聞いたことがなく、全国的にも極めて珍しいケースだ。自治体の独断で公共性の高い財産を売却して住民が不利益を被ることがないよう、地方自治法は行政財産の取り扱いを厳しく制約している。町に知らなかったという言い訳は許されず、今回の違法な売却は「無効」とすべきだ。本来なら県から町に支払われたはずの移転補償費も受け取れておらず、町に損害を与えている。住民が町長らに損害賠償を請求してもおかしくない。

町長が福岡県を悪者にして自分は被害者だと強弁している。

部落解放同盟福智連絡協議会昨年度、約1100万円助成金が支給: 地域人権・同和問題の真の解決 新井直樹

福智町元課長を収賄容疑で再逮捕へ 同和団体に便宜か
http://www.asahi.com/articles/ASJ5L3QMMJ5LTIPE00H.html
2016年5月18日12時19分
 同和団体への助成金に対し便宜を図る見返りに現金を受け取ったとして、福岡県警は18日にも、同県福智町の元人権・同和対策課長、鈴木秀一容疑者(61)=詐欺罪で起訴=を収賄容疑で再逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。
 また鈴木容疑者に現金を渡したとして、元福智町議で部落解放同盟福智連絡協議会委員長の原田正容疑者(86)=同=についても贈賄容疑で再逮捕する。
 捜査関係者によると、鈴木容疑者は同協議会への町の助成金を減額しない見返りに、原田容疑者から現金約10万円を受け取った疑いがあるという。町の説明では、鈴木容疑者は助成金の交付の決裁に関わり、同協議会には昨年度、約1100万円が支給されていた。

福岡の同和団体幹部を逮捕  - 産経ニュース(2016.4.7 07:03)

 福岡県警は6日、同県福智町から助成金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで同和団体「部落解放同盟福智連絡協議会」委員長、原田正容疑者(86)を逮捕した。町ではカラ出張で町から旅費をだまし取ったとして人権・同和対策課長、鈴木秀一容疑者(60)が逮捕された。鈴木容疑者は原田容疑者の申請書決裁に関わっていた。

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2018/08/16

新元号事前公表に反対:天皇教信徒団体が政府に圧力。

新元号で保守派攻勢=事前公表めぐり、政府は苦慮:時事ドットコム

 皇太子さまの新天皇即位が来年5月1日に迫る中、「平成」の次の元号の具体的な公表時期がなかなか決まらない。政府は国民生活に混乱を生じさせないよう皇位継承1カ月前の公表を念頭に準備を進めているが、保守派が5月1日に公表すべきだと強く主張しているためだ。保守層を支持基盤とする安倍晋三首相は自民党総裁選への影響を避けるため、結論を当面先送りする方針だ。
 元号は政令で定め、皇位継承があった場合に限り改めることが元号法に記されており、内閣が政令を閣議決定し、天皇が公布する。政府は皇位継承前の新元号決定に法的な問題はないとの認識だ。昨年、退位特例法が成立した際の付帯決議は「改元に伴って国民生活に支障が生ずることがないようにする」と政府に求めている。
 政府は付帯決議を根拠に地方自治体や企業の意見も聴いた上で今年5月、皇位継承1カ月前の公表を想定し、各省庁のシステム改修などの準備を進める方針を決めた。内閣官房関係者は「崩御を前提とした過去の代替わりと違い、国民は事前公表を織り込んでいる」と説明する。
 一方、神社本庁の機関紙「神社新報」は6月25日付の論説で「本来『天皇の元号』たるべきことに鑑み、新天皇が御聴許の上、政令として公布され、公表される手続きを大事にすべきだ」との主張を展開した。
 超党派議員でつくる「日本会議国会議員懇談会」が7月に開いた会合でも、出席者から「元号の意味や権威、伝統がどう検討されたか見えない」「皇太子殿下の関与がなくなる」などの意見が相次いだ。会長の古屋圭司衆院議院運営委員長は8月6日、菅義偉官房長官に「新元号は新天皇による公布をしてほしい」と申し入れた。
 対応に苦慮する政府内では、折衷案として、新元号を仮決定・公表し、即位日に公布する二段階論が一時浮上した。しかし、「本決まりでないものを発表していいのか」との理由で白紙になったという。政府関係者は「総裁選が終わるまで元号の件は動かないだろう」とみている。(2018/08/13-18:33)

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2018/08/06

全国学力テストの問題点を指摘する中日新聞の連載記事(2017年2~3月)

全国学力テスト10年(1)不可解な問題 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月5日 朝刊

全国学力テスト10年(1)不可解な問題 (大津支局・浅井弘美)

◆自分の将来像に模範解答
 【あなたは、二〇二〇年の日本は、どのような社会になっていると予想しますか。また、その社会にどのように関わっていきたいと思いますか】

 こんな質問をされたら、どう答えますか? 自由作文や大学入試の小論文ならともかく、これは一五年に行われた「全国学力テスト」(学テ)の中学三年生に対する中学校国語Bの設問。「東京五輪・パラリンピック組織委員会のホームページ」「日本の人口推移のグラフ」「生活を支援するロボットの開発」について資料が示され「八十字以上、百二十字以内」の解答が求められた。

◆十人十色を認めず
 答えは十人十色になるのが一般的な感覚だろう。だが、これには“正解”がある。文部科学省が示す正答例はこうだ。

 「オリンピック・パラリンピックの影響で様々なスポーツに注目が集まるだろう。今後増えていく高齢者もスポーツに関心をもつと思われる。そのような社会に、私は、スポーツ関連のボランティアをすることで積極的に関わっていきたい。」

 「おそらくオリンピックの開催に向けて技術開発が進み、様々なロボットが開発されています。私は、そのような社会に関わっていくために、大学で科学技術に関する研究をしたいと考えています。」

 他に「若者の代表として努力し、オリンピックでメダルを取る」「今よりも安全で性能が高いロボットを開発する仕事に就きたい」など、計六例の模範解答がある。

 「正答例は、要するにテストを作った大人が思い描く『良い子』の事例じゃないですか」

 滋賀県内の中学校で教える五十代の男性教諭が納得できないのは、採点方法が「○」か「×」しかないことだ。

 「子どもたちの将来像はまだ漠然としているんですよ。だから漠然とした答えしかない。なのに、生徒自身の考えが答えに合わないと、それがすべて不正解になってしまうんです」

 将来を具体的に描くことは大切だろう。でも、五年後の自分の人生を描いた作文が内容によって「×」だなんて、おかしくないか。私自身を振り返っても、十五の春にそこまで具体的に将来を決めていなかった。ましてや、五輪にどう関わるか、考えている中学生がどれだけいるのだろうか。

 学テは国語、数学(算数)とも基礎知識を問うA問題と、応用力や読解力をみるB問題の二部構成で、文科省はB問題の狙いを「知識や技能などを実生活で活用する力を求める」などと説明する。だが、結局は優等生的な解答を誘導し、「大人の言葉」が分かる成績上位者しかまともに記述できない問題だ。

 批判が渦巻く理由には、学テが現場の多忙感をますます高めていることもある。

 全国のほとんどの小中学校では答案を文科省側に返送する前に、教育委員会の指示で教師らがコピーし“自校採点”する。文科省が、学テの狙いを「学習成果を検証し、指導の改善に役立てること」と打ち出しているため、一日も早く自校の出来を知る必要があるからだ。

◆学生バイトが採点
 滋賀県では、採点結果を県教委の集計システムに入力しなければならず、ある中学校では、学テの日から連日、職員室の明かりは深夜までついたままだった。「特に、B問題で正解不正解を判断するのに、すごく時間がかかる」(五十代教諭)からだ。ベテラン教師でも悩む問題を、文科省側では誰が採点しているのだろうか。

 「学生バイトだそうですよ」

 教師たちから聞いたその答えを、にわかに信じ難かったが、調べると本当だった。

 問題を作成する国立教育政策研究所などによると、四月のテスト終了から二カ月間、文科省から委託を受けた業者が大学生や大学院生らを雇い、解答パターンに沿って採点している、というのだ。ベネッセコーポレーション、教育測定研究所などの業者にはテストの配送なども合わせ、一六年度は計四十七億八千万円が支払われた。

 教育者でもない学生が採点した結果に基づいて、現場の教師たちが「指導の改善」を迫られる-。おかしな話ではないか。

 「そもそも普段の授業や教科書とは関係のない別教科のようなもの。このようなテストを全員に受けさせる意味があるのですか」

 四十代のある女性教諭は疑問を投げかけ、疲れた顔でこう言った。

 「一体何のために、誰のために続けているのか、分からない」

 なのに、順位を上げるための対策が全国で過熱する。

      ◇

 十年を迎えた全国学力テスト。日本の教育現場にひずみを広げつつある問題の根源を、五回にわたって考えたい。

全国学力テスト10年(2)過熱する対策 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月12日 朝刊

 ある教育関係者からその話を耳にしたのは、昨年八月末のことだった。

 「あの中日の記事はガセネタだって、○○(全国メディア)の記者が吹いて回ってますよ」

 一面で「学テ 一部生徒の答案除外」と報じた私の記事だ。取材の経緯をオープンにすることは普段あまりしないが、ここでは明らかにしておきたい。

 最初は「沖縄県内で過剰な学力テスト対策が行われ、行事を簡素化する学校も出ている」という人づての話が端緒だった。内情を探るため、友人を通じて那覇市の中学校教諭に電話したのは、六月上旬の午後十時すぎのこと。教諭から驚くべき言葉が飛び出した。

 教諭 あいつらは、普段学校に出てこないのにこんなときに限って出てくる。

 私 受験したんですよね?

 教諭 受けたけど、解答用紙は省きましたよ。送らなかった。

 不登校や授業を欠席がちな五人程度の解答用紙を除外して、文部科学省が委託する業者へ送ったというのだ。当日、生徒らは受験したが、学テ終了後の担任らの会議で「普段から指導していないので指導の改善はできない」「平均点を下げる」などの声が上がり、欠席扱いにしたという。だが、これは初めてのことではないらしい。

 私 解答用紙は全部送らなくていいんですか?

 教諭 欠席扱いにしたらばれないんですよ。前に勤務した学校でも当たり前にやっていましたから。

 教諭はそう言って、那覇市近隣の二つの自治体名を挙げた。さらに裏取りを重ね、書いた。それが八月下旬の記事だ。

 デマを流され、黙ってはいられなかった。私は徹底的に調査することにした。これまでの取材で得たさまざまなツテを通じて、四十七都道府県すべての関係者に当たった。すると、複数の県で、不適切な事例があったことが分かった。また聞きではなく当事者に聞いた話だ。

 群馬県の小学校では、情緒学級に通う児童の解答を「全体データに反映させなかった」と女性教諭から証言を得た。テスト前日の話し合いで学年主任が「(児童の解答を含めると)学校平均点に入っちゃうんだよね」と漏らしたひと言で決まった。解答用紙は、女性教諭が保管しており、卒業後、処分するという。

◆答え教える対応も
 鹿児島県の小学校では、普通学級の低学力の児童二人を別室で受験させ、教諭が付き添って問題文をかみ砕いたり、答えを教えたりした。大分県の小学校では昨年度まで、低学力や欠席がちな児童を保健室などで受験させ、統計に反映させなかったという。

 教育現場で飛び交う生々しい言葉も耳にした。

 大阪府内のある中学校では、生徒の一人が「先生、平均点上げたいんやったら、あいつを外せばいいやん」と低学力の生徒を指して言ったという。学テの平均点にきゅうきゅうとする大人たちを子どもたちはよく見ているのだ。

 だからといって、私は現場の教師たちを責める気にはなれない。現場の不正は国の施策によって追い詰められた結果、とみるべきだからだ。

 学テは「指導に生かす」という当初の目的から大きくはずれ、地域や学校間の競争を招き、順位を上げるための対策は過熱する一方になっている。点数を上げるために過去問題を使った対策も、ほとんどの自治体で行われるようになった。

 小学校の国語Aと算数A・Bで二〇一六年度に初めて一位を獲得した石川県では、四月の始業式後、テストまで授業中に過去問に取り組む学校が小中学校で九割以上に上り、うち十回以上繰り返し解かせている学校が一割ある。ある教員は「四月に入っても、教科書が開けないんですよ」と嘆いた。

 滋賀県の五十代中学校教諭は「十年で教育現場がこんなに変わるとは思わなかった。一部のエリートをつくるために続けているようなテストに、どうしてこんなに振り回されるのか」とため息をついた。

 この過熱ぶりは、結果を公表しているからにほかならない。昨年四月、馳浩文科相(当時)が、過去問対策を行う学校に対し「とんでもない」と批判したが、もはやブレーキが利かない状態になっている自治体間の順位争いをよそに、きれいごとを言っているだけにしか、私には聞こえなかった。

◆学力向上置き去り
 学テで測れるのは学力の一部にすぎず、数字だけ追ったテスト対策に力を注いで学力が身についたと言えるだろうか。問題なのは、不毛な競争の渦中で、学力向上が本当に必要な子どもたちが切り捨てられかねないことだ。

 国が目指す「学力向上」とは、いったい何なのか。(中日ウェブ・プラスに掲載、次回は19日)

図:「文部科学省が各教委あてに出した、自治体間の点数競争や過去問対策を戒めた通知文」
全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)
→文部科学省による発表文に同じ→資料5-2 全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知):文部科学省

28文科初第197号
平成28年4月28日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長 殿

文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎

(印影印刷)

全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)

全国学力・学習状況調査は,教育基本法(平成18年法律第120号)第16条第2項に定める全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る観点から,全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握し,分析を行い,教育施策及び教育指導の成果と課題の検証や,その改善に役立てることを目的として実施しています。
このような趣旨に照らして,数値データによる単純な比較が行われ,それを上昇させることが主たる関心事とならないよう,国としては,調査実施後に,解説資料や調査結果の分析データ,授業アイディア例などの多角的な観点から作成した資料を各教育委員会や学校に対し提供することにより,教育委員会や学校において,授業時間や家庭学習を使った教育指導の改善・充実に活用いただいているところです。
しかしながら,一方で,4月前後になると,例えば,調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させ,本来実施すべき学習が十分に実施できないなどといった声が一部から寄せられるといった状況が生じています。仮に数値データの上昇のみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取扱いがあれば,それは本調査の趣旨・目的を損なうものであると考えております。

本調査は今年度で10年目を迎えましたが,関係者間において,今一度原点に立ち戻って,本調査の趣旨・目的に沿った実施がなされるよう,各教育委員会におかれては,次のような取組を行っていただきますよう,お願いします。
○学校内,学校間及び教育委員会と学校との間において,本調査の趣旨・目的について共通理解を得るための機会を設け,その認識を学校現場に深く浸透させること
○日常の指導訪問等を通じて,改めて本調査への適切な向き合い方や適切な指導改善の方策等について学校との間で理解を深め合うこと

文部科学省としても,次のような事項を含め,改善策を進めていくこととしていますので,御協力くださるよう,お願いします。
○教育委員会による上記の取組について把握するとともに,教育委員会の取組について指導,助言を行うこと
○教育委員会と情報共有,意見交換を行うなどの場を設け,互いに本調査の趣旨・目的に沿った改善を図るよう努力していくこと

都道府県教育委員会におかれては域内の市町村教育委員会(指定都市教育委員会を除く。)及び関係する所管の学校に対して,指定都市教育委員会におかれては関係する所管の学校に対して,本通知の内容について速やかに御周知いただくとともに,必要な指導・支援をお願いします。

【担当】
文部科学省初等中等教育局参事官付
学力調査室学力調査企画係
電話03(5253)4111 内線3726

全国学力テスト10年(3)政治の介入 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月19日 朝刊

 学力テストの正式名称は「全国学力・学習状況調査」。調査なのか、テストなのか。文部科学省に尋ねると「あくまで調査。競争するためのものではありませんから」と即座に返ってきた。ではなぜ、学校は競争に追い込まれているのだろう。もとをたどると、首長や議員らの言動に行き着く。

 たとえば、二〇一二年二月の滋賀県議会の議事録(抜粋)を見ると、こんな具合だ。

 議員 全国規模のテストがあって、順位を教えないというのは、本当にせっかくの機会が台無しな気がいたします。

 議員 点数主義を生むんだという危惧は、それはあくまでも教師や学校側の心配ですから。

 学テの市町別・学校別の結果公表を巡り、県議が県教委をただしていた。公表に慎重な県側に対し、一三年九月の定例会議でも議員が激しく突っ込んでいる。

 議員 全国平均とのポイント差が広がり、悪くなっているという状況にもかかわらず、知事からはあまり危機感が伝わってきません。

 議員 すべての教科で全国最下位に近い成績結果と聞きますと、保護者をはじめとする県民の皆さまが、本県の教育水準について懸念されることも当然だと考えます。

◆議員が教委に圧力
 知事や教育長は「大変強い危機感を持っている」と答弁せざるをえなかった。議員が追及する場面は、大津市や東近江市など県内の市町議会でも同じだった。「情報開示」「説明責任」といった言葉が飛び交い、責め立てられた教委が追い込まれ、テスト結果を重視した対策を学校現場に課していく。この構図は、恐らく全国共通だろう。

 授業中に過去問を解かせ、本番を控えた春休みの家庭学習で、学テを意識したドリル学習をさせる学校が増え、学テに酷似した問題のテストも行われた。県内のある小学校教諭は、点数アップを狙う対策に疑問を持ちつつ「あれだけ議員から追及されたら、対策しますと言わざるを得ないでしょう」とあきらめ顔で語る。

 私は、学力を高めることに反対しているわけではない。それが「学テ対策」にすり替わっていることが、おかしいと思うだけだ。本来は「調査」だったはずの学テが、自治体間の競争の道具に成りかわっているのは、なぜか。きっかけは、ルール破りの自治体が出てきたことだ。

 文科省は当初、結果公表は都道府県別にとどめ、市町村別、学校別の公表は禁じた。ところが、一部の自治体の首長らがルールを無視して公表を始めたのだ。

 成績上位の秋田県は〇八年、寺田典城知事(当時)が市町村の平均正答率を公表。大阪府の橋下徹知事(当時)も、結果公表に消極的な市町村教委を指して「くそ教育委員会」と批判。放言は撤回したが、結局、府教委は押し切られ、公表にかじを切った。鳥取県では、県情報公開条例改正案を県議会で可決し、市町村別・学校別成績を開示した。こうして非公表のルールがうやむやになり、本来は政治が介入すべきではない教育が、政治家の示威行動の舞台になってしまったのだ。

◆「応援費」まで登場
 成績下位だった岡山県では、伊原木隆太知事が小中学生ともに「全国十位以内」の達成を掲げ、成績アップなど成果を上げた公立学校に「応援費」百万円を交付している。静岡県では、川勝平太知事が成績の悪かった小学校の校長名を公表する意向を示したが、県教委などと激しく対立し、成績上位校の校長名を公表することにした。

 結果に過剰に反応する教委も現れた。大阪府のある市では、答えが分からなくても「解答欄を埋める」ことになっている。成績が振るわなかった小学校の教諭が明かす。「校長から聞いたのですが、教育長から『空欄が多いのは何でや。意欲が低いからと違うんか』と怒鳴られた、と言うんです」。ため息をつき「分かっても分からんでも解答欄を埋めろなんて、おかしくないですか」と私に訴えかけた。

 教師らの勤務評価にも連動し始めた。鹿児島県のある小学校では、教諭らに学テの数値目標を掲げさせ、企業の成果主義さながらに、その評価が昇給に影響するという。同校の四十代の教諭が嘆いた。

 「平均点を三点アップさせるなど目標を立てなければなりません。現場には、さまざまな生活背景の子どもたちがいる。ゆっくりじっくり、一緒に考える授業はできなくなりました」

 教育現場が閉鎖的になったり、独善的になってもいいとは、私も思わない。だが、専門知識を持ち合わせていない政治家までもが、ずかずかと教育現場に踏み込み、本来画すべき一線が、あまりにもないがしろにされてないか。

全国学力テスト10年(4)教育ビジネスの影 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月26日 朝刊

 中学三年生を受け持つ教諭たちに、衝撃が走った。

 昨年三月、滋賀県内の中学校。県立高校の入試当日、学力テストのB問題をほうふつとさせる問題が出題されたことを知ったからだ。数学では、得点しやすい単純な計算問題が消え、一定レベル以上の読解力まで求める問題に様変わりしていた。

 「問題を見て『何やこれは』とがくぜんとして。自分たちが今まで教えてきたことは何だったの?って」

 四十代の女性教諭は、怒りに震えながら話した。不穏な兆しがなかったわけではない。県内の学習塾で解かせる問題が、学テに類似した問題に変わってきていた。高校入試が迫った生徒の学習を見るため、補習につきあった五十代の男性教諭が明かす。

 「塾でやっている問題を生徒が持ってきてびっくりしたんですよ。学テと同じような問題が出ていたんです。生徒は『全然分からん』と嘆いていましたからね」

 入試からの帰り道、肩を落とす生徒らを慰めたという教諭は「入試まで学テとリンクさせて。この子たちは切り捨てられた」と悔しさをにじませた。別の学校長は「入試に学テの問題を入れたら、対策をせざるを得なくなる」と憤慨した。

◆対策先行の学習塾
 そんな声を聞いているうちに、ふと、不思議に思った。教師たちさえ知らされていない入試の傾向を、なぜ学習塾は察知できたのか。その塾で使われていた問題集には、なぜ、傾向と対策がしっかり盛られていたのか。思い出したのは、業界の内情に詳しい関係者の話だ。

 「学力テストのおかげで、いまは商品が売れるのでありがたい」

 教育ビジネスの業界は、教育委員会や学校での情報をいち早くキャッチし商機にする。驚いたのは、そのすさまじい営業活動だ。

 議会の一般質問で教育に関する内容を事前に入手すると、傍聴席に出向いたり、中継映像や議事録で教育長らが議員らに突き上げられている様子を確認。議会の後、何食わぬ顔で「何かお困りのことはありますか」と尋ねると、教委の担当者が「学テの成績で議員から追及されてね」などとこぼす。そのタイミングですかさず、問題集の売り込みを図る、という。

 少子化の影響で、教育業界の市場が落ち込んできている昨今、学テは重要な稼ぎ頭になっている。最近の主力商品は、ウェブテストや各県ごとの学力テストだそうだ。

 関係者は「会社としては売り上げアップになるので、『学テ、学テ』と言ってくれている間はありがたい」と話す。ただ、教育に携わっているという思いからだろうか、こんな本音ものぞかせた。

 「今のやり方は、子ども一人一人に返っていない。一人一人が分かったと理解する、勉強が楽しいな、と思わせることができていない。学力はついていないと思う。その時々の結果が良ければいい、という感じ。いじめがなくなっていますか。学力格差はなくなっていますか。親の経済格差が広がり、お金をかけてもらえない子どもたちもいる。そんな子どもたちと向き合う時間が本当は必要なのに、と思う」

 営利活動とはいえ、それが子どもの成長につながってこそ仕事の喜びにつながるのだろう。

◆視察途中に観光も
 学テとビジネスが絡むのは教材にとどまらない。

 早い時期から学テ対策を進め、いつも成績が上位の秋田県では、他県の自治体の教委、教師、議員らが視察に訪れる、いわゆる「秋田詣で」が続く。

 県教委などによると、二〇一五年度は北海道や沖縄県を中心に三千四百四十人が来県。視察を兼ねて観光する団体もあるといい、B級グルメで知られる秋田県横手市では、航空会社とタイアップして学校見学のルート途中での観光の受け入れを図っている。

 同県の小学校教諭が嘆く。

 「毎年毎年、視察に来る人が増えてます。お客さんを迎えるなら、校内をきれいに掃除しておかなきゃいけないでしょ。疲れますよね。何より、学校や子どもたちが観光商品化されているみたいで…」

 商機を求めて企業努力をすることを悪く言うつもりはない。それが学力の二極化が進んでいるとされる教室で、基礎学力の身についてない児童、生徒に自信をつけさせ、学習意欲を高めているのなら、意味もあると思う。

 だが、現状はどうなのか。学校が、授業に関係ない学テ対策の教材を買わされ、自治体間の不毛な競争の余波で関係者の視察旅行が相次ぎ、平均点にしか目が向かない空気の中で、成績が下位の子どもたちの指導がないがしろにされ始めているのであれば、本末転倒と言うしかない。

全国学力テスト10年(5)国際調査の影響 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年3月5日

 自治体の間で激しさを増す不毛な競争。文部科学省は事態をどう考えるのか。学力調査室の高木秀人室長(44)に聞いてみた。

 -沖縄の中学校で成績が下位の子どもを省くなどの事例があった。他県でも起きている。現場の先生たちから聞いています。

 「県教委に電話で問い合わせたが『ありません』という返答で『本当か』と聞いて、それを何往復かしたけど、出てこない。ないんじゃないかと思っている」

 -過去問を集中的にやるなど、平均点を上げる対策がエスカレートしています。

 「そんな対策はおかしい、と昨年四月に大臣も発言し、通知も出し、そんなことやっているなら耳に入れて、と記者会見で言っているけど、裏が取れるような情報は入っていないんですよ」

 -調べないのですか?

 「調べますよ。突然行くと、不審者になるので『何日に行きますんで』と事前に連絡してからですけどね」

◆「競争のため」否定
 -現場の先生たちは競争に追い込まれて大変です。

 「競争するためのものでもなんでもない。競争しなくていい」

 -原因は、文科省が公表する都道府県別の平均正答率の一覧。なぜ公表するのですか。

 「国としての説明責任です。毎年、約六十億円弱使うので。都道府県ごとの傾向はこんな感じです、と」

 地域を比較するデータを無造作に出しながら、不毛な競争を防ぐ手立ては何も講じない。むしろ、無責任な印象を受けた。批判を意に介さないのは、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)の結果に意を強くしているからだ。

 「昨年末に二〇一五年の結果が出たが、科学、数学で、わが国はトップレベル。十年続けてきて、学力テストは非常に効果があったと思う」

 OECD加盟国を中心に七十二カ国・地域の十五歳が参加するPISAは三年ごとに、読解力、数学的応用力、科学的応用力の三分野を調べる。どんなテストか、分かりやすい例がある。日本の正答率が8%にとどまった科学の設問は「養殖用の三つの水槽にシタビラメ、えさのゴカイ、貝、海草をどう配置するか」という内容だった。

 正答率が低かったのは、理科の教科書にない見慣れない設問だったからか、コンピューターでのドラッグ&ドロップに不慣れだったのか。そもそもこの問題が解けないことが、それほど深刻なことなのか。そんな議論は置き去りだ。文科省は、学テでは「平均点を上げる対策には意味がない」と繰り返しながら、その実、文科省こそがPISAの「数値」に一喜一憂し、学テの内容をますますPISA対策化させている。

 実は、そのPISAに対しても、国際的な反発が高まっている。一四年には、英紙ガーディアンに欧米の大学教授ら九十人が中止を求めるメッセージが掲載された。

◆教育ゆがめる恐れ
 「われわれはPISAのランキングの悪影響を、率直に心配している」とあり「(順位が落ちた国で)PISAショックが宣言され、ランキングを上げるために教育制度を変え、(独自の)教育慣行に深く影響を与えている」と警鐘を鳴らす。

 数学、科学、読解力に限定された調査に「数値化しやすい分野を強調し、測定しにくい道徳や芸術などに目を向けにくくさせている」と批判。さらに、経済分野の国際機関であるOECDには「教育改善の任務はない」と断じ、「就職の準備をさせることが、公教育の唯一の目的ではない」と訴え、こう喝破する。

 「OECDは各国でPISA対策のサービスを提供する多国籍企業と提携した。事業の赤字を穴埋めし、利益を上げるためだ」

 学テを巡って各地の自治体が不毛な競争を繰り広げ、教育現場を混乱させているこの国の実態が世界中で起きているかのようにも読める。

 池田賢市中央大教授(教育学)はPISAについて「そもそもOECDの目的は、経済に役立つ人材の開発。どの国民が使える人材かを見ている」と文科省が“学力”と直結させることに懐疑的だ。

 PISAをお手本にする学テを、このまま推し進めてよいのだろうか。

 「競争するためのものじゃないんです」。文科省が丁寧な言葉で語るほど、建前で言っているだけに聞こえて仕方がない。

 (中日ウェブ・プラスに掲載、12日に番外編)

掲載図:「2015年のPISAで日本の正答率が悪かった科学の問題の回答例(国立教育政策研究所のホームページから)※設問文は簡略化」(略)


全国学力テスト10年(番外編)「美しい国へ」? (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年3月12日

 誰が言い出したのか、今となっては知るよしもない。先生たちは「田植え」とひそひそ話で言い合ったそうだ。少し前かがみで席を回り、生徒の答案を指で押さえる姿が、そう見えたからだという。

 「わたしらの先生はテストの時にぐるぐる回ってきて、間違っていたら、黙って指で押さえて教えてくれた」

 およそ半世紀前の一九六一~六四年、文部省(当時)主導で行われた「全国学力テスト」。全国一位を競った香川県と愛媛県で起きた問題を、大学教授らが調べた報告書「『学テ教育体制』の実態と問題」には、当時の出来事が克明に記録されている。

◆モラルなき“田植え”
 愛媛県の事例では-。

 答えを書いた紙片を見えるようにヒラヒラさせて教室を歩き回る先生。「今度は(平均点を)八十六点ぐらいにしましょうか」と聞く教師に「それでは高すぎて困る。七十八点ぐらいにしておいてくれ」と応じる校長。東京の週刊誌記者に「不正ではないか」と“田植え”について問われ、「善意の行為は不正とは考えない」と答える教育長に、「先生も子どもも懸命なのだから“善意の勇み足”でしょう」と言い添える自民党の県連幹事長-。

 狸(たぬき)校長や赤シャツ教頭が出てくる漱石の「坊っちゃん」の舞台だからでもないだろうが、想像を超える人物像で笑わせてくれる。

 一方の香川県では、毎日の授業時間帯の前後一時間ずつ、学テ対策のプリントを解かせる対策漬けに。同県の教師らが書いた「学テ日本一物語」では、学テが近づくと、一日八~九時間のテスト準備の授業に加えて土日も登校、宿題も山のように課された実態が、生徒の声とともにつづられている。

 「学テあって教育なし」と言われた当時を知る香川県内の元教師大林浅吉さん(94)は「汗の香川、涙の愛媛と例えられた。二度も同じ過ちを犯したらあかん」と平成の学テの行方を心配する。

 半世紀前の失敗を省みず、なぜ再び学テが登場してきたのか。もとをたどると、安倍晋三首相が二〇〇六年に著した「美しい国へ」の一節に行き当たる。そこで首相は「喫緊の課題は学力の向上である」と訴え、こう続ける。

 「全国的な学力調査を実施、その結果を公表するようにするべきではないか」

 さらに、「結果が悪い学校には支援措置を講じ、それでも改善が見られない場合は、教員の入れ替えなどを強制的におこなえるようにすべきだろう」。そこには、点数だけで教師たちを評価し、強権で締め付けようとする意図が赤裸々だ。「この学力テストには、私学も参加させる。そうすれば、保護者に学校選択の指標を提供できる」という言葉からは、まるで教育の基準が点数にしかないようにさえ読み取れる。

 そして、首相がもくろんだ通り、教員も学校も教育委員会も学テの結果に戦々恐々とし、平均点を上げるために必死になっている。

 「美しい国へ」には、その先がある。

 「郷土愛をはぐくむことが必要だ。国にたいする帰属意識は、その延長線上で醸成されるのではないだろうか」

◆「森友学園」生む流れ
 著書発刊の五カ月後に教育基本法が改正され、愛国心条項が盛り込まれ、一八年度以降に小中学校で道徳が教科化されることも決まった。今、国会で焦点になっている大阪市の学校法人「森友学園」の問題も、この流れと無縁とは思えない。過去の失敗に学ぼうともしない一政治家の、短絡的な点数主義と、特定の思想教育へのこだわりが教育現場に深刻な混乱をもたらしているとすれば、空恐ろしい、としか言いようがない。

 報告書に描かれた半世紀前の愛媛県には、こんなシーンがあった。

 「母親大会で、ある母親が『うちの子供は文部省テストの日、先生が休みなさいと言った。いくら成績の悪い子でもひどいではないか』と発言した。すると担任の女教師が立ち、私たちもそんなことはしたくありませんけれども、文部省テストが近づくと校長室へ担任が呼ばれ、『平均点を必ず上げてもらいたい。そのためには多少の犠牲もやむを得ない』と厳しい口調でいわれ、その日から各クラスで猛烈な準備が始まり、何とかして平均点を上げたいと、つい子どものことは頭からはなれて、成績の悪い子は、いなくなってくれればよいという気持ちになるのです、と発言した」

 教育は国家百年の計と言われる。一朝一夕に学力が伸びるはずはないし、そもそも学力とは何なのか。点数による序列化でも、思想教育がその中心でもないはずだ。教室で先生たちが、一人一人の生徒と、その能力に応じた向き合い方ができる、そんな教育現場に戻してほしい。

 =終わり

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2018/07/30

エミューでまちおこし。(佐賀県基山町)

耕作放棄された荒れ地を改良できるとのことでちょっとびっくり。
ヤギに続きちょっと欲しい動物になった。

エミュー 耕作放棄地の再生に光 =わがまち未来形 移動編集局 基山町編=|まちの話題|佐賀新聞ニュース|佐賀新聞LiVE
2017/9/23

 基山町のシンボルである基山(きざん)の麓に広がる里山の風景。豊かで清らかな水にはぐくまれた棚田は実りの秋を迎え、黄金色の稲穂がこうべを垂れている。より山手へ向かって進むと、草が生い茂ったままの場所が増えてきた。かと思うと一転、草がほとんどない一角が突然現れる。目に飛び込んで来たのは棚田の高低差をものともせず、軽やかに駆け回る大型の鳥。オーストラリア原産のエミューだ。

 基山町にも高齢化や後継者不足から耕作放棄地増加の波が押し寄せている。2015年の農水省「農林業センサス」によると、町内の農地のうち、約43ヘクタールが耕作放棄地だ。

 そこに差し込んだ一筋の光がエミューだった。町内で初めてエミューの飼育を始めた農家の吉田猛さん(64)は「生い茂った草をはみ、土を踏み固めてくれる。半年もせずに耕作ができるようになった。それに人なつっこくてかわいい」と魅力を語る。

 エミューの産業化を進めている日本エコシステム(筑紫野市)から吉田さんが14年に飼育を請け負ったのをきっかけに、15年には県のチャレンジ交付金を活用して飼育数を増やした。同年には吉田さんらが農業法人「きやまファーム」を立ち上げ、運営を組織化。16年に初めての産卵があり、数羽をかえすことに成功した。日本エコシステムのものと合わせ、現在は町内に300羽を超すエミューが飼育されている。

 同社の〓〓浩司さん(54)は「平均して約8割のふ化に成功している。きやまファームでも今年は80羽程度のふ化ができるのでは。産卵、ふ化、飼育、加工のサイクルができつつある」とエミューの産業化が次のステップに入ったと語る。

 町もエミューの活用に積極的だ。今や町の代名詞と言っても過言ではなく、昨年福岡都市圏向けに制作したPR動画やポスターにも起用された。基山町内の飲食店もエミューを使った料理の開発、提供に取り組んでおり、現在は6店舗で味わうことができる。

 「捨てる部分がない」と言われるエミューをフル活用しようと、商品開発も進んでいる。保湿性などに優れた脂は利用価値が高く、7月末に町内で開かれたシンポジウムでは、美容家の佐伯チズさんが監修する化粧品が近く発売されることが報告された。深い緑色が特徴の卵の殻を装飾したエッグアートや、羽根を使った縁結びのストラップも来場者の目を引いていた。

 エミューの放牧によって耕作可能となった棚田には、今年からキクイモやジネンジョを植えた。キクイモは現在黄色い花を咲かせており、11月には収穫期を迎える。1000平方メートルで、約2トンがとれる見込みだ。町の健康プロジェクトと組み、血糖値を抑える効能などを科学的に検証するという。

 本年度中には町がエミューとイノシシを解体処理する施設を整備予定で、流通体制構築のための環境が整いつつある。きやまファームの鳥飼善治社長(59)は「何事も軌道に乗せるのには時間がかかる。最低でも10年は頑張って、地域を代表する産業の一つに成長させられれば」。地方創生の旗手として、全国に名をとどろかせるつもりだ。

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2018/07/29

原発を批判した知事、冤罪で失脚させられたと。

元福島知事「検察に抹殺」 京都で共謀罪の危険性語る : 京都新聞

 国の原子力政策に批判的だった元福島県知事の佐藤栄佐久氏が28日、京都市南区の龍谷大アバンティ響都ホールで講演した。自らが逮捕された経緯をまとめた映画「『知事抹殺』の真実」の上映や、三宅弘関東弁護士会連合会理事長との対談などで、国家権力による捜査の恐ろしさや共謀罪の危険性について話し合った。

 自由と平和のための京大有志の会などが主催した。佐藤氏は自民党参院議員を経て、1988年に知事に就任。東京電力の原発検査記録改ざん問題などを受け、プルサーマル計画を拒否するなど原発政策に否定的なスタンスを取っていた2006年、官製談合事件で辞任、逮捕された。12年、有罪が確定したが、冤罪(えんざい)を主張している。

 佐藤氏は、取り調べの過程で検事が「なぜ原発に反対するのか。知事は日本によろしくない。いずれ抹殺する」などと発言したことや、有罪となったものの控訴審で収賄額が0円と認定されたことなどを説明。「検察やマスコミにより、あっというまに逮捕される状況がつくられ、裁判ではどうにもならなかった」と事件を振り返った。

 三宅弁護士は「知事が辞任しなければ、福島の原発も津波対策がされたはず」と東日本大震災の原発事故を防げたとの認識を示し、「佐藤氏には自分にやましいところはないと各地で訴え、日本の在り方に警鐘を鳴らしてほしい」と述べた。

【 2018年07月28日 21時46分 】

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2018/07/27

東京五輪のボランティア関係

2018年3月頃の記事。

観客誘導、楽器演奏… 中高生も東京五輪ボランティアに  :日本経済新聞
2018/3/28 12:39

 2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は28日の理事会で、中高生向けのボランティアの募集枠を設ける方針を決めた。サッカーやテニスのボール拾い、入場待ちの観客向けの楽器演奏、競技会場外での道案内などが想定されている。組織委は東京都と協議し、具体的な募集方法を決定する。

 組織委は中高生の参加について、「教育的価値が高く、スポーツボランティアの裾野を広げる観点から有意義な取り組みだ」と意義を強調。安全性への配慮から、学校などの協力を得て実施する予定という。

 理事会では、8万人の大会ボランティアの募集要項案も報告された。募集期間は18年9月中旬~12月上旬。インターネットから個人単位で応募してもらう。20年4月1日時点で18歳以上、大会前後を含め計10日以上活動できることなどが条件。

 活動内容は観客や大会関係者の案内、競技運営のサポートなど9つに分類され、最大3つまで希望を出すことができる。時間は1日8時間程度の見込みで、ユニホームや食事などが提供される。ただ交通費や宿泊費は自己負担という。

 東京都も28日、観光案内などを行う3万人の「都市ボランティア」の募集要項案を発表した。計5日以上、1日5時間程度働けることなどが求められ、4人までのグループの参加も受け付ける。

東京五輪・パラ:ボランティア11万人 9月から募集 - 毎日新聞
2018年3月28日 12時18分

中高生枠、新設も検討

 東京都と2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は28日、ボランティアの募集要項案を発表した。9月中旬から12月上旬にかけて募集を行い、面接による選考や研修を経て、本番では過去最大規模となる約11万人が大会運営を支える。ボランティアは18歳以上(20年4月1日時点)が原則だが、組織委は中高生向けの新たな枠を設けて、大会参加を促していく方針。

 組織委が募集する大会ボランティア(8万人)、東京都の都市ボランティア(3万人)に大別される。大会ボランティアは案内、競技、移動サポート、メディア、式典など9分野に分かれ、応募者は希望する分野を三つまで選ぶことができる。五輪またはパラリンピックで10日以上活動できることが条件で、組織委は競技知識やボランティア経験、英語など語学の技能を持つ人材を求めている。

 都市ボランティアは気軽に参加できるように1日の作業時間を5時間程度としたほか、五輪とパラリンピック合わせて5日以上の参加で応募可能とした。いずれも都内までの交通費や宿泊費は自己負担だが、ユニホームや飲食などは提供される。医師や薬剤師など特別に資格を要する要員は別途、採用する。

 また、組織委は中高生を対象にした新たな枠はテニスなどのボールパーソン、バスケットボールなどでコートを素早く清掃するモップ掛けや入場待ちの観客向けの楽器演奏などで検討を進めている。【田原和宏】

募集するボランテイアの役割と人数の目安

大会ボランティア(8万人)

活動分野主な役割人数(目安)
案内競技会場などの観客や関係者の案内1万6000~2万5000人
競技競技会場や練習会場での競技運営の支援1万5000~1万7000人
移動サポート関係者の会場移動のための車両を運転1万~1万4000人
アテンド海外要人の接遇、海外選手団の語学支援8000~1万2000人
運営サポートユニホーム支給、ID発行8000~1万人
ヘルススケア急病人らの発見、ドーピング検査補助など4000~6000人
テクノロジー競技結果の入力や表示など2000~4000人
メディア国内外の記者らのサポート2000~4000人
式典表彰式での関係者案内1000~2000人

都市ボランティア(3万人)

活動場所役割人数(目安)
羽田空港、都内主要鉄道駅観光案内や交通案内5000人
観光地(浅草など)観光案内や東京のPR
最寄リ駅から競技会場まで観客誘導、大会情報の提供2万人
都内ライブサイト来場者案内など5000人

4月の記事。
東京五輪のボランティアに大学も怒り「あまりに応募条件がひどい」 - ライブドアニュース
2018年4月19日 17時30分 週プレNEWS

2020年東京五輪の「大会ボランティア」募集要項案が先日、組織委員会から公表され、9月中旬から応募受付が始まる。会場案内、競技運営の補助、海外要人のおもてなしなど、その業務は9ジャンルに及び、募集人員は8万人にもなる。

五輪の舞台で活躍できるだけに、さぞかし多くの人々がこのボランティアを歓迎していると思いきや、ネット上をはじめ「やりがい搾取!」「ブラック企業か!?」といった批判が相次いでいるのだ。

運営側でも賛否両論という今回の募集要項をめぐる、さまざまな「思惑」を探った。

「ボランティアは就活に有利だよ」

「これはボランティアじゃない。現代の学徒動員ですよ」

こう声を荒らげるのは都内の私大・学生課課長だ。

この私大はスポーツが盛んなことで有名。スポーツ関連の講座も多いことから、組織委関係者から「おたくの大学の学生をたくさん、大会ボランティアに勧誘してほしい」との打診があったという。

だが、この学生課課長は「あまりに応募条件がひどい」と、首を横に振る。

実際、大会ボランティアの参加日数は10日間以上で、活動時間も一日8時間と厳しい。しかも事前研修へのオール出席に加えて、東京までの交通費、宿泊費もすべて自腹という条件もついている。

「五輪期間は夏の真っ盛り。そんな時期にこれだけ長時間、学生をタダ働きさせようなんて虫がよすぎます。聞くところによると、組織委は全国約800の大学・短大にボランティア提携を持ちかけ、夏季試験も大会期間と重ならないようにズラせと求めているそうです。こうなると、大学自治権の侵害どころか、戦中の学徒動員と一緒。学生に勧められるわけがありません」(学生課課長)

別の私大に勤務する助教も、組織委関係者の動きを「上から目線すぎる」と批判する。

「『ボランティアは就活に有利だよ』とか『大会ボランティアを単位付きのカリキュラムに組み入れたら』とか、お願いするというよりは上から目線の言動が目立ちました。そんな振る舞いにある大学職員が『ボランティア本来の定義と違うんじゃないですか!?』と怒っても、悪びれる様子すらなかったそうです」

組織委とは別に、独自に3万人の「都市ボランティア」を募集する東京都。都庁の職員も冷ややかだ。

「組織委がまたやらかしてしまったという印象ですね。だって、あの募集要項、誰が見たって『ブラック勧誘』そのものじゃないですか」

都が募るのは大会ボランティアよりもお手軽で、大会期間中の活動は延べ5日以上、一日5時間というもの。

「都は毎年、東京マラソンで1万人規模のボランティアを募ってきた実績があるので、組織委のような厳しい条件は出しません。ただ、困ったことに組織委の募集要項を見て、『都市ボランティアの“延べ5日間以上で一日5時間”という条件は嘘でしょう!?』といった問い合わせが増えています。ホント、いい迷惑です」

★ハードな要項に海外からも疑問の声! このままでは「定員割れ」も? 記事の全文は『週刊プレイボーイ』18号(4月16日発売)にてお読みいただけます!

大会ボランティア応募条件案(概要)

①2002年4月1日以前に生まれた人
②組織委員会が指定する全ての研修に参加可能な人
③活動期間中、日本国籍を有し、または日本に滞在する在留資格を有する人
④大会期間中及び大会期間前後を通じてじて合計10日以上活働できる人
⑤東京2020大会の成功に向けて、情熱を持って最後まで役割を全うできる人
⑥お互いを思いやる心を持ちチームとして活動したい人

活動期間・時間など
オリンピック・パラリンピック大会期間中及び大会前準備期間のうち、1日8時間程度、活動期間のうち10日間以上が活動日(連続でなくても可)
オリンピック・パラリンピック両方での活動を希望する場合は20日以上
ユニフォーム、活動中の飲食、ボランティア活動向けの保険の提供あり
東京までの交通費及び宿泊は自己負担、自己手配

7月の記事
東京五輪・パラ:「授業避けて」国通知、ボランティア促す - 毎日新聞
2018年7月27日 06時30分(最終更新 7月27日 06時30分)

 スポーツ庁と文部科学省は26日、2020年東京五輪・パラリンピックの期間中にボランティアに参加しやすいように全国の大学と高等専門学校に授業や試験期間を繰り上げるなど柔軟な対応を求める通知を出した。

 多くの大学は7~8月が試験期間となる。通知では学生がボランティアをすることへの意義を説き、大会期間中は授業や試験を避けることを促した。授業開始時期の繰り上げや祝日の授業実施は学則などに基づき、学校の判断で特例措置を講じることができる。

 首都大学東京は昨夏、期末試験を大会前に終了させるなどして大会期間中に原則、授業や試験を行わないことを決めている。国士舘大も26日、同様の方針を発表した。【田原和宏】

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2018/07/26

宗教国家では教義に反対することは許されない。

東京新聞:君が代判決 強制の発想の冷たさ:社説・コラム(TOKYO Web)
2018年7月25日

 卒業式で君が代を歌わなかったから定年後に再雇用されない。その不当を訴えた元教諭の裁判は一、二審は勝訴でも、最高裁で負けた。良心か職かを迫る。そんな強制の発想に冷たさを覚える。

 もともと一九九九年の国旗国歌法の成立時には、当時の小渕恵三首相が「新たに義務を課すものではない」と述べた。野中広務官房長官も「むしろ静かに理解されていく環境が大切だ」と。さまざまな思いへの理解と寛容があったのではないだろうか。

 だが、実際には異なった。東京では教育長が二〇〇三年に「校長の職務命令に従わない場合は服務上の責任を問われる」と通達を出した。強制の始まりである。

 入学式や卒業式は儀式であり、式典としての秩序や雰囲気が求められるのは十分に理解する。一方で国旗国歌に対し、「戦時中の軍国主義のシンボルだ」と考える人々がいることも事実である。教室には在日朝鮮人や中国人もいて、教師として歌えない人もいる。数多くの教員が処分された。

 憲法が保障する思想・良心の自由との対立である。強制の職務命令は違憲でないのか。しかし、この問題は一一年に最高裁で「合憲」だと決着している。間接的に思想・良心の自由を制約するが、法令上の国歌の位置付けと公務員の職務を比較衡量すれば正当である。そんな理由だった。

 仮にその判断を前提にしても、重すぎる処分には断固として反対する。最高裁も一二年に「減給以上の処分には慎重な考慮が必要だ」と指摘した。思想信条での不利益だから当然である。

 今回の原告二十二人は〇七~〇九年に定年で再雇用を求めたが拒否された。現在の希望者全員が再雇用される制度の前だった。

 その点から最高裁は「希望者を原則として採用する定めがない。任命権者の裁量に委ねられる」とあっさり訴えを退けた。

 失望する。一、二審判決では「勤務成績など多種多様な要素を全く考慮せず、都教委は裁量権の逸脱、乱用をした」とした。その方が納得がいく。

 再雇用は生活に重くかかわる。君が代がすべてなのか。良心と職とをてんびんにかける冷酷な選別である。日の丸・君が代は自発的に敬愛の対象となるのが望ましいと思う。

 自然さが不可欠なのだ。高圧的な姿勢で押しつければ、君が代はややもすると「裏声」で歌われてしまう。

愛国者様たちから「サヨク」と罵られる東京新聞の社説である。著者は日の丸君が代に違和感を持っているような印象も受けるが、それを表に出してはいない。日の丸君が代を敬うことを支持しつつも、強制は信心には逆効果だと他の信者達を諭している。「サヨク」の東京新聞であっても、天皇教の信者を慮り、彼らに届く言葉と論理を選ぶほかなかったのだろう。あるいは、著者または社自体が信者であるのか。

「もともと一九九九年の国旗国歌法の成立時には、……さまざまな思いへの理解と寛容があったのではないだろうか。」

さらっとこんなご都合主義の歴史修正が入ってくるのは著者が天皇教信者である可能性を示唆する。国旗国歌法の制定は今で言う「小さく産んで大きく育てる」戦術だった。当時から、強制の糸口にされることが懸念されていた。賛成側は「国旗や国歌の制定法がないのは国家としておかしいので法制化するだけだ」と小さく見せかけてはいたが、日の丸掲揚君が代斉唱を国民に励行させ、国家主義を国民に浸透させようとする運動の到達点であったのは明確だった。「強制の根拠にはならない・しない」という答弁は、この見せかけ・建前を強調して本音を隠したものであって、思想・良心の自由の侵害を懸念していた反対派がこの答弁を引き出したのは確かに成果ではあったが、しかしその場しのぎの口約束でしかないのもまた明白だった。だから、当時の政府自民党が「さまざまな思いへの理解と寛容があったのではないだろうか」というのはとんでもない美化、歴史修正なのである。

これぐらいのことは社説の著者も分かっていて、あえてああ書いたのかもしれない。そうやって信者達を懐柔して心を開かせその先を読ませようとしたのかもしれない。しかし、その路線の先は信者への迎合でしかなかった。

「日の丸・君が代は自発的に敬愛の対象となるのが望ましい」
「自然さが不可欠なのだ。高圧的な姿勢で押しつければ、君が代はややもすると「裏声」で歌われてしまう。」

これらは要するに異教徒を帰依させるための戦術論である。

「神は自発的に敬愛の対象となるのが望ましい」
「自然さが不可欠なのだ。高圧的な姿勢で押しつければ、賛美歌はややもすると「裏声」で歌われてしまう。」

天皇は尊崇の対象であり、日本国(その実体が何かは説明されない)を愛するのは日本人の自然である。このテーゼから出発して、業務命令で強制するのは異教徒たちを取り込む上で下策だと言っているのである。

「賛美歌を無理矢理歌わせるな。歌いたくなるようにさせろ。」
「アッラーへの礼拝を強制するな。自ら礼拝するように仕向けろ。」

これは柔らかい強制である。東京新聞を取り囲む信者達に聞かせるにはそう言うしかなかったのかもしれない。しかし、彼らが当然だと思う業務命令との違いは、踏み絵を踏ませ踏まなければ火刑に処すという方法をとるか、「異教徒の存在を許します」と微笑みながら真綿で首を絞めるという方法をとるかの違いでしかない。

要するに、この日本においては、天皇教の教義に正面から異を唱えることは「サヨク」と罵られるメディアであっても、できない。あるいは、しない。それはタブーである。大多数の国民にとっての非常識であり、心の奥底を逆なでし逆鱗に触れる行為である。つまり、大多数の国民にとって、天皇を崇拝し「日本」を愛することは深層心理に刻み込まれ無意識化されている。すなわち、信仰なのである。そして、政府も自治体もこの宗教の慣行を業務命令化することに抵抗がない。さらには、日本国の司法は、この信仰の強制には、たとえそれが形式的には他の宗教教義の強制と同じであっても、異を唱えない。つまり、日本国は天皇教に基づく宗教国家なのである。

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2018/07/25

入管、局から庁へ。外国人単純労働者の大量受け入れを本格化か。

入管人員の大幅増も。

本格的な移民政策、日本社会への定着支援が必須。
言語、文化ともに対応力ある人が大量に必要になる。

それにしても財界の要求には本当に忠実だなあ、安倍政権。

入管局「庁」に昇格へ 政府 外国人受け入れ拡大で  :日本経済新聞
2018/7/25 1:30

 政府は2019年4月に始める外国人労働者の受け入れ拡大に備え、法務省の入国管理局を外局となる庁へ格上げする方針だ。定員を大幅に増やし、外国人労働者の受け入れを一元的に担う司令塔に位置付ける。秋の臨時国会に関連法案を提出し、来年の発足を目指す。

 入国管理局は主に外国人の在留管理を扱う法務省の部局で、技能実習制度による実習生といった労働状況の監督にもあたっている。政府は19年4月から単純労働も含めて50万人超の新たな労働者に門戸を開く計画。現在の組織では対応は難しいと判断した。

 法務省は8月末にある19年度予算案の概算要求で、定員増に必要な経費の計上を求める。新たな組織は在留管理を徹底し、外国人労働者の拡大に伴う治安悪化など受け入れ側の懸念や不安の解消につなげるのが目的だ。

 業種や職種、在留資格ごとの就労状況を把握する仕組みをつくる。受け入れ企業が在留資格の手続きをインターネットで簡単に申請できるようにする。

 急増する外国人観光客が円滑に入国できるような環境も整える。空港などの待ち時間を短縮し、観光客の増加も促す。


首相、外国人労働者受け入れへ政策総動員  :日本経済新聞
2018/7/25 0:00

 安倍晋三首相は24日の関係閣僚会議の初会合で、外国人労働者の受け入れ拡大を指示した。秋の臨時国会に入国管理法改正案を提出し、年内に日本語教育や生活支援の総合対策をつくる。法務省入国管理局を外局となる庁へ格上げし、体制を整える。2019年4月の本格受け入れを目指し政策を総動員する。外国人労働者の受け入れ政策は大きな転換点を迎えた。

 「即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築することが…

政府:「入国管理庁」検討 外国人労働者の受け入れ拡大へ - 毎日新聞
2018年7月24日 22時39分

 外国人労働者の受け入れ拡大に向けて在留資格の新設を準備している政府が、法務省入国管理局の組織再編を検討していることが明らかになった。上川陽子法相は24日の閣議後記者会見で「『入国管理庁』のような外局を設けることも含め、組織体制・人員確保について速やかに検討を進める」と述べ、来年4月を予定する新在留資格の導入に合わせた改編を目指す意向を示した。

 政府は6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に外国人労働者の受け入れ拡大方針を盛り込んだ。新在留資格は、最長5年間の「技能実習」を終えた外国人▽一定の技能を身につけた外国人--を対象に、最長5年間の国内での就労を認めるもので、深刻な人手不足に悩む建設、農業、介護、造船、観光(宿泊)などでの受け入れを想定。秋の臨時国会に入管法改正案を提出する方針だ。

 24日は首相官邸で「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」の初会合も開かれ、安倍晋三首相は受け入れ業種の速やかな選定を指示。さらに「法務省が受け入れ環境整備の総合調整を担う」と述べ、同省に組織体制の抜本的見直しも求めた。これを受け、上川法相は入管局を今より独立性の高い外局に「格上げ」することも含めて検討していく方針を明らかにした。

 閣僚会議では今後、受け入れ拡大に向けた外国人支援策として、インターネットを使った日本語教材提供▽生活・就労の一元的相談窓口の設置▽医療機関の体制整備--などについて検討する。また、在留資格手続きのオンライン申請開始や、不法滞在者への対策強化といった在留管理体制の厳格化に向けた議論も進め、年内に最終的な対応策を決定する方針。【和田武士】

外国人労働者受け入れ、外食・サービスや製造業も対象に 菅義偉官房長官が言及 - 産経ニュース
2018.7.23 23:13

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は23日のBSフジ番組で、政府が経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込んだ外国人労働者の受け入れ拡大に向けた新たな在留資格の創設に関し、対象業種に外食・サービスや製造業などを加える考えを示した。「都市だけでなく、地方も外国人に頼っているのが現状だ。必要な分野は対応させていこうと思う」と述べた。

 政府が検討する受け入れ策では、これまで農業、建設、宿泊、介護、造船の5分野が対象とみられていた。菅氏は製造業について「中小企業から強い要請がきている」と述べた。一方で、在留期間を区切ることなどを挙げ「移民ではない」と説明した。

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東京オリンピック、大東亜戦争となる。

東京五輪まであすで2年 都が暑さ対策で効果を検証(テレ朝News)
2018/07/23 11:59

東京オリンピック開幕まで24日で2年。暑さ対策が大きな課題となっていますが、東京都は23日から暑さ対策の展示を行って効果を検証しています。 フラクタル図形と呼ばれる穴の開いた屋根を持つ日よけは、木陰と同じ原理で風通しを良くするなどして暑さ解消につなげています。東京・日比谷で始まった暑さ対策の展示では、メーカーがミストや日よけなどを出展し、都が冷却効果を検証します。また、都はビッグサイトなどにミストを設置して冷却効果を検証していますが、1度程度の低下だったということです。 小池百合子都知事:「木陰を作る様々な工夫、打ち水、これが意外と効果があるねと、一言でいえば総力戦ということになろうかと思う」 日本の夏を知らずに訪れる外国人観光客に対し、小池知事は暑さ対策の必要性などを「色んな言語で発信していきたい」と話しています。
小池百合子都知事が曰く「一言でいえば総力戦ということになろうかと思う」とのこと。

森喜朗会長が語る、この猛暑が東京五輪成功のカギに - スポーツ : 日刊スポーツ
2018年7月24日9時5分

 2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(81)が23日、都内で単独インタビューに応じた。開幕まで今日24日でちょうど2年となるのを前に、この日、東京では観測史上最高となる気温40・8度を記録。前代未聞の暑さが目の前にある厳しい現状を、チャンスに変えるべきとの考えを示した。これまでも暑さ対策は講じてきたが「想像上ではなく今、現実にある。実際に試すため、生かさない手はない」と机上論ではなく今夏、実証実験を徹底する。

 丸2年後、東京オリンピック(五輪)が開幕しているその日に東京で40度を超え、森会長は自問自答した。「この暑さが来たら本当に、まっとうにやっていけるのか」。

 全国的に熱中症で救急搬送されるケースが多発し、今夏の酷暑は社会問題となっている。しかし、開催時期は国際オリンピック委員会(IOC)が提示し、東京側も織り込み済みで招致した経緯もあり、日程はずらせない。

 現実から目をそらせない状況で「この暑さでやれるという確信を得ないといけない。ある意味、五輪関係者にとってはチャンスで、本当に大丈夫か、どう暑さに打ち勝つか、何の問題もなくやれたかを試すには、こんな機会はない」と語った。

 暑さ対策としてはこれまで、道路の遮熱性舗装、街頭ミスト、会場の大型冷却器、かち割り氷の配布などが検討されている。昔ながらの「打ち水」なども効果があるとし、東京五輪関連イベントではよく紹介されているが、実際に役に立つか、今夏、実証実験に最大限、利用すべきとの考えだ。

 森氏は選手同等にボランティア、競技役員、観衆に心配の目を向けた。「意識、覚悟している」選手とは違い、暑さへの知識が不足している一般客への周知や対策が必要となる。正直に「全て組織委で対策するのは難しい」と語り、「各自治体、各地域もともに考えて連携していかないと」と呼びかけた。

 “ピンチはチャンス”という発想で、暑さ対策で日本のイノベーションを世界に発信する機会とも捉えた。直接的な冷却装置以外にも、観客がスムーズに会場入りできるよう、会場ごとに顔認証システムの導入を目指している。それにより荷物検査時間を減らし、待ち時間を「最長20分」との目標を掲げている。

 今月18日、IOC理事会で承認された競技日程でも、暑さを考慮し男女マラソンが午前7時、50キロ競歩が同6時スタートと決まった。しかし、森氏は「朝5時という案もあった。極論、東京都心は夜も明るいため、夜のレースという意見もあった」と振り返る。斬新なアイデアは実現はしなかった。五輪の開催計画は各競技連盟や団体の思惑が複雑に交錯する。しかし、この酷暑を目の前に、残り2年、思い切った取り組みも必要かもしれない。

 猛暑の危険性ももちろん承知し、人一倍、気を使っている。22日、マスコットの名前発表イベントに参加。会場に到着すると、多くの子どもたちが目に入った。気温は午前11時で約35度。前室で待機中、東京都の小池百合子知事に「今日は暑いから、あいさつは短い方がいい」と話し、実際に本番で簡潔に切り上げた。

 IOCも注視している暑さ対策。「部屋の中で暖房をたいて実験をするわけではない。これが自然で起きていて、逆らうわけにはいかない。この暑さでそっくり2年後、東京で(五輪を)やるということを考えなければならない」と、気を引き締めるように言った。【荻島弘一、三須一紀】

 ◆森喜朗(もり・よしろう)1937年(昭12)7月14日、石川県生まれ。高校までラグビー選手。早大卒。産経新聞社、議員秘書を経て69年の衆院選で初当選。死去した小渕元首相の後継として、00~01年に首相。衆院議員を14期務め、12年に国会議員から引退。13年9月の東京五輪・パラリンピック開催決定を受け、14年に大会組織委員会会長に就任した。

<現状の主な猛暑対策>

 ◆クールスポット 路上競技の観戦客が涼める場所として大型商業施設などを「クールスポット」に指定。今夏、試験的に協力先を募集。

 ◆入場列は直線 会場の入場待ちの列にテントや大型冷風機を設置。列も、熱がこもってしまう従来の「蛇腹」でなく1列に並べ風が当たりやすくする。

 ◆特別舗装 東京都は路面の温度上昇を8~10度抑える舗装をマラソン競技コースを含め136キロで整備する計画で、既に8割超が完了。

 ◆競技日程 暑さを考慮し招致段階の計画を変更。スタート時間を前倒しして男女マラソンは午前7時半を7時に、競歩男子50キロは7時半を6時に、トライアスロンは10時が8時に、ゴルフは9時から7時に。スポーツクライミングは突起物が熱くなってつかめない事態を防ぐために午後4時半~10時に行われる。

猛暑のピークの時期に実施するから対策が大変なわけで、もっと良い時期にすれば元々不要な対策。つまり、経済的にも非効率で膨大なカネを無駄にしているわけである。しかし、
「開催時期は国際オリンピック委員会(IOC)が提示し、東京側も織り込み済みで招致した」
とかいう理由で、日程は動かせないと言う。まあ「インパール侵攻は既定方針で動かせない」とか「日米開戦は不可避」だとかいう話と同じ理屈だなと。

そして、それを「現実から目をそらせない状況」と称して、
「この暑さでやれるという確信を得ないといけない。ある意味、五輪関係者にとってはチャンスで、本当に大丈夫か、どう暑さに打ち勝つか、何の問題もなくやれたかを試すには、こんな機会はない」
と逆転させる。

山崎雅弘氏によれば、日中戦争が始まったとき「中央公論」は巻頭言にこう書いたそうだ。

戦争は軍隊のみならず、国家と国民とが、その全員を、全員の全能力を総動員する、ほとんど唯一の機会である。人間がその能力を極度に使用せねばならぬということは、それを必要ならしめた事態は喜ぶべきでないにしても、国民の性能の試練としては、またとない機会である。
国民は、この機会において、自己の精神力、体力、知力、機械(操作)力、その他の力量の総馬力のいかなるかを知ることを得るのであろう。否、知らしめられるであろう。力量の乏しいものにとっては、誠に好ましからざる機会であるが、力量の豊かであり、確実であるものにとっては、これほど愉快な、又痛快な機会はない。
1937年9月号
というわけで、大会組織委員会の会長は、途方もない災厄を生んだあの戦争に突き進んだときと同じ論理で、組織委員会ばかりでなく、全国の「各自治体、各地域」にも号令を掛けているわけである。

以前に決めた路線、方針に無理があると分かれば、その路線、大方針を修正して、悲惨な結末を避けるというのが合理的だし、そうした大きな決断をするのがトップ、指導者の役割であるわけだが、一旦既定路線だとなれば、どれほど無理だと分かっていても、その無理の中に組織全体を突っ込ませ、関係者を悲惨な末路に追いやる。そして、その悲劇を「困難の中で奮闘する人々のドラマ」として美談とし、責任者は土壇場で逃げ出して失敗の責任は現場に押しつけ、関与を示す証拠は廃棄して、事後には口をつぐんで天寿を全うする。これが、先の大戦で明らかになった日本政府、日本軍指導者らの体質であったわけだが、それと酷似した現象がここに現れていると言えよう。まあ、小池氏にせよ森氏にせよ、日本の戦争犯罪に正面から向き合わない「美しい日本」とかが大好きな人たちなので、彼らが理想とする戦前の軍国主義日本と同じ愚行を犯すのも宜なるかな、なのである。

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で、まあ、予言しておくと、2020年の夏は冷夏になるんじゃないかな……と。
そして、東京オリンピック招致委員会が、この日程をPRする際に「理想的な日程」だと掲げた

この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候
になって、「それ見ろ」となるんじゃないかな、と。

東京五輪“酷暑”問題の元凶は招致委員会の嘘だった!「温暖で理想的な気候」とプレゼン、今だに「打ち水で対策」と妄言|LITERA/リテラ

まあ東京五輪招致には買収疑惑もあるし、コンパクトな五輪と言いつつ予算は見積を遙かにオーバーするし種目数は過去最大?に膨れるし、元々ある施設を使うと言いつつ取り壊して新設するし、環境に優しいと言いつつ森を切ったりしているし、本来から嘘を嘘で塗り固めたみたいなイベントではあるんだよね。

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