2019/01/21

「捜査関係事項照会」の取扱いについて、とりあえずリンク

捜査機関から「照会」があったとき(日本図書館協会)

こらむ図書館の自由2013-
Vol.108,No.5(2014.5)「図書館の法律顧問-「調査嘱託」の事例から」(山家篤夫)

・個人情報保護法では、利用目的外の第三者に開示する場合は本人の承諾が必要
・「法令に基づく場合」(第8条第1項)は除外
・総務省「本項により利用・提供が義務付けられるものではない」


警察の解釈

捜査関係事項照会書の取扱いについて 平成12年1月21日 愛媛県警
・捜査関係事項照会は、公務所又は公私の団体に報告義務を負わせるもの
・当該公務所等は…回答を拒否できない
・しかし、強制力はない
・帳簿、謄本、書類等の提出は求めないが、自発的に提出した場合は受け取る

「拒否できないが強制力はない」とのこと。


・操作関係事項照会について、各自治体の個人情報保護条例の解説では、個別具体に判断するとしているものもある、とのこと。
・同照会に対応するのは、地公法第34条に規定する守秘義務よりも重大な公益上の必要が認められるときに限られると解釈

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Tカードは会員情報を自由奔放に警察に提供しているという話

Tカード情報令状なく捜査に提供 規約明記せず、当局は保秘 - 共同通信 | This Kiji(2019/1/20 19:381/20 20:03updated)

コンビニやレンタルショップなど、さまざまな店で買い物をするとポイントがたまるポイントカード最大手の一つ「Tカード」を展開する会社が、氏名や電話番号といった会員情報のほか、購入履歴やレンタルビデオのタイトルなどを、裁判所の令状なしに捜査当局へ提供していることが20日、内部資料や捜査関係者への取材で分かった。「T会員規約」に当局への情報提供を明記せず、当局も情報を得たことを本人に知られないよう、保秘を徹底していた。

 Tカードの会員数は日本の人口の半数を超える約6700万人で、提携先は多業種に広がる。

以下の報道の続きのようだ。

2019/01/14 すでに日本も中国並みの監視社会になっているという話: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
・顧客情報、令状なく取得 検察、方法記すリスト共有:一面:中日新聞(CHUNICHI Web)(2019年1月4日 朝刊)
・スマホゲームで位置把握か 捜査にGPS利用可能性 - 共同通信 | This Kiji(2019/1/13 19:23)

この記事で、私は「もちろん企業側は断ってもいいのだけれど、いろいろな理由で、応じる企業もあるだろう」と書いたのだけれど、やっぱりそうだったよね、という感じ。
そして、Tカードがそれをやったというのは違和感がない。Tカードなら抵抗なくやるだろうという印象。
というのは、大分前からこういう話があったからだ。過去の記事を再掲しておく。

・2014/05/22 Tポイントカードだけじゃなくてヤフーの利用も危ないことに。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
 ヤフーとCCC、Tカード購買履歴とWeb閲覧履歴を相互提供へ

・2014/07/30 私がTポイントカードを作らない理由: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
 Tポイント提携企業から何らかの形でT会員番号を含む売買履歴がいったん漏れると、名簿屋のほうでT会員番号での個人に関する情報が識別化できてしまい、T会員番号つきの個人に関する情報のリストが出回ることに

・2015/01/07 Tポイントと個人情報の記事: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
 ツタヤTカード、勝手に個人情報を第三者へ提供?

・2015/01/30 個人情報とビッグデータ:原論文を見ないとよく分からないが原論文に当たる余裕もない。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
 クレジットカードの利用情報わずか4件から、カード利用者の大半の身元を特定できる

それにTカードをやっているCCCという会社自体、ツタヤ図書館や樋渡氏が云々…というあたりから、企業倫理や社会性を信用できない印象が出来た。

そして、Tカードの発行枚数は日本の人口を超えている。既に2012年の段階で、1億3,255万枚、ほぼ2011年1年の利用者数(名寄せ済み)が3,865万人、20代保有率は64%だった。
Suicaの利用記録を勝手に流用されたくない場合の手続き: 思いついたことをなんでも書いていくブログ

まあ、要するに、Tカードは警察が自由に使える個人情報窓口であり、Tカードを通じて、警察は日本人の大多数の個人情報を集められる、ということである。そして、いつ、どこで、どのように、自分が監視されているかは、全く知らされないし、尋ねても教えてくれない、ということである。

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追記(19/01/21(月)18:52:35)

お知らせ|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

Tカードの情報に関する一部報道について
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
2019年01月21日

 このたびは、Tカードの情報に関する一部報道により、みなさまに多大なるご心配をおかけし申し訳ございません。

 弊社グループは、1983年からTSUTAYA事業、2003年からTカード事業を行っておりますが、顧客価値向上に向け、従来よりお客さまから個人情報をお預かりするとともに、データベースの適切な管理を実施してまいりました。
 その個人情報の取り扱いに関し弊社は、捜査令状があった場合にのみ、必要最小限の個人情報を提供するという協力姿勢をとってまいりました。

 一方、弊社の保有する個人情報は年々拡大し、社会的情報インフラとしての価値も高まってきたことから、捜査機関からの要請に基づき、2012年から、「捜査関係事項照会書」があった場合にも、新たに施行された個人情報保護法に則り、一層の社会への貢献を目指し捜査機関に協力してまいりました。

 今後につきましては、T会員のみなさまに個人情報の取り扱いについて、よりご理解いただけるよう、個人情報保護方針およびT会員規約に明記するようにいたします。個人情報保護方針およびT会員規約への明記につきましては、すでに具体的な手続きに着手しております。

 みなさまの個人情報の取り扱いにつきましては、今後さらに細心の注意を払ってまいります。

1.2012年までは、捜査令状があったときのみ、個人情報を提供していた。
2.2012年以降、捜査関係事項照会には応じていた。
3.今後、この方針を会員規約に明記する。
ということらしい。

捜査関係事項照会に応じることにした理由が振るっている。
「保有する個人情報は年々拡大し、社会的情報インフラとしての価値も高まってきた」からなのだそうだ。
要するに、客の個人情報にどういう価値があるか、どう扱うかは、自分たちが勝手に決めてよい、客に相談する必要はないという趣旨だろう。まさにCCCらしい。

このコメントについて記事が出ている。

Tカード情報を令状なしで捜査当局に提供 CCC「社会貢献のため」 - ねとらぼ(2019年01月21日 16時01分 公開)

CCCのコメントは以下の通りらしい。

広報に問い合わせたところ、「弊社としては犯罪者が捕まることでよりよい社会に貢献できるのではないかという思いがあり、捜査に協力してきた」とコメント。また、情報提供要請の頻度に関しては「捜査に関わるので回答できない」としています。

「犯罪者が捕まることでよりよい社会に貢献できるのではないかという思いがあり」

とのこと。この無邪気さが正にCCCらしい。そしてこんな「お子様」たちが日本人の大多数の個人情報を蓄積・管理していることに慄然とする。

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2019/01/20

日本学生支援機構の奨学金の保証人になっている人→機構から返済を求められたらまず「分別の利益」を主張しろという話。

学生支援機構、奨学金の不当回収認める 保証人に返金へ:朝日新聞デジタル(諸永裕司、大津智義 2019年1月19日09時17分)

 奨学金の返還をめぐり、日本学生支援機構が保証人に半額の支払い義務しかないことを伝えずに全額を求めてきた問題で、機構は取材に対し、その後に取った対応の中で、過大請求によって一部の保証人から不当な回収をしていたと明らかにした。機構は「法解釈を誤った」と認め、保証人に謝罪したうえで、取りすぎた分を返金するという。

 朝日新聞は昨年11月、機構が過去8年間に延べ825人の保証人に、全額の支払いを求めたと報じた。これを受けて機構は、半額しか支払い義務がないとする「分別の利益」を保証人が主張した場合、返還を終えた人や裁判で返還計画が確定した人は減額しない一方で、機構と協議して返還中の人らには応じる方針を示した。ただ、減額するのは主張時の「残金の半分」とした。

 この点について、朝日新聞は、一昨年の民法改正に携わった法制審議会(民法部会)で委員や幹事を務めた法学者18人に意見を求めた。取材に応じた10人のうち9人が「法的に誤りで過大請求になる」と答えた。

 松岡久和・立命館大教授は「借りた本人が返せない場合、機構は残りの全額を払うよう保証人に求めることはできる。だが、保証人の支払い義務はその半額を超えず、分別の利益をいつ主張するかによって変わるものではない」。野村豊弘・学習院大名誉教授は「機構にとって都合のよい解釈ではないか」と述べた。

 一方、「分別の利益については定説がない。当初、機構が考えたように解釈できる可能性もある」とする学者も1人いた。

 朝日新聞が法学者の見解を機構に伝え、説明を求めたところ、機構は誤りだったと認めた。

 機構によると、奨学金を借りた本人の未返還額の半額を超えて返している保証人が、主張後に支払った分を返金する。過大請求や不当回収をした保証人の数や金額は精査中で、利息をつけるかも検討している。ただし、半額を超えていても、主張前の分は「弁済は有効で債務は消滅している」として返金しない。

 機構の大谷圭介理事は「弁護士と相談して対応を決めたが、法解釈が不適切で不当な回収だった。今後、分別の利益の主張があれば、本人の未返還額の半額しか求めないよう改める」と話した。一方で、「分別の利益は保証人から主張すべきだ」とする見解は変えず、機構から積極的に伝える考えはないという。

 山野目章夫・早大法科大学院教授(民法)は「保証人に分別の利益を知らせずに全額払いを求めていたことが判明した後に、誤った法解釈で『不当利得』を得ていた事実は重い。奨学金事業への信頼を損ないかねない」と話す。(諸永裕司、大津智義)

     ◇

 〈分別の利益〉 民法では、連帯保証人も含めた複数の保証人がいる場合、各保証人は等しい割合で義務を負う。国の奨学金の人的保証(父か母が連帯保証人、4親等以内の親族1人が保証人)では、保証人の義務は半分になり、残りは本人や連帯保証人が負う。現在の奨学金の返還者は約426万人で、3カ月以上の延滞者は約16万人。

素人には理屈がわかりにくいので、この記事は丁寧に読む方がいい。
記事の付図:「分別の利益と不当回収」が分かりやすいので、内容をまとめる。
→100万円貸与され、本人が20万円を返済したとする。すると残金は80万円。
ここで連帯保証人が全く返済しなかったとする。すると、機構は残金の全額80万円を保証人(自分)に請求する。
この請求に応じて自分(保証人)が60万円を支払い、その時点で「分別の利益」を機構に主張すると、機構は残りの20万円のうち、半額の10万円だけを負けてくれる、という話。

つまり、「分別の利益」を主張すれば、保証人はその時点以降の残債については半額にできる、ということ。
機構は、「分別の利益」の主張前に支払った分は丸取りして返金しないと主張しているらしい。

この理屈に従えば、日本学生支援機構から保証人に「支払え」と連絡が来たら、即座に「分別の利益」を主張するのが一番良いということになる。(それでも半額は背負うことになるけれど……)。

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2019/01/14

すでに日本も中国並みの監視社会になっているという話

クレジットカード、ポイントカード、Suicaなどの交通系カードから、警察や検察などが情報提供を受けられるらしい。

顧客情報、令状なく取得 検察、方法記すリスト共有:一面:中日新聞(CHUNICHI Web)(2019年1月4日 朝刊)

 検察当局が、顧客情報を入手できる企業など計約二百九十団体について、情報の種類や保有先、取得方法を記したリストを作り、内部で共有していることが分かった。共同通信がリストを入手した。情報の大半は裁判所など外部のチェックが入らない「捜査関係事項照会」で取得できると明記。提供された複数の情報を組み合わせれば、私生活を網羅的かつ容易に把握できるため、プライバシーが「丸裸」にされる恐れがある。

 リストは、捜査当局が裁判所の令状なしで、個人情報を広く取得していることを示す。令状主義を定めた憲法に反するとの指摘もあり、手続きの不透明さが問題視されそうだ。

 入手したリスト「捜査上有効なデータ等へのアクセス方法等一覧表」によると、顧客情報は公共交通機関や商品購入の履歴、位置情報といった個人の生活に関わるもので計約三百六十種類。

 検察関係者によると、リストは最高検が捜査への活用を目的に、警察の協力を得て作成し、検察内部のサーバーに保管、随時更新している。

 最高検は情報公開請求に対し、リストの存在を認めた上で「企業側の利益を害し、捜査手法が明らかになる恐れがある」として開示を拒否した。

 捜査関係事項照会は、捜査当局が独自に企業側に出す要請にすぎず、捜査に必要かどうか外部のチェックは働かない。取得後の使用方法なども不明で漏えいリスクもある。当局への提供は顧客本人に通知されない。

 対象に挙げられた企業は、主要な航空、鉄道、バスなど交通各社やクレジットカード会社、消費者金融、コンビニ、スーパー、家電量販店などさまざま。買い物の際に付与され、加盟店で使用できるポイントカードの発行会社や、携帯電話会社も含まれている。

 入手可能とされた情報は、ICカードなどの名義人や使用履歴に加え、カード作成時に提出された運転免許証などの写し、顔写真も含まれる。リストにあるドラッグストアやレンタルビデオ店、書店の購入情報を加えれば、対象者の健康状態や思想信条、趣味嗜好(しこう)を把握することも可能だ。

 リストの約三百六十種類のうち、捜索差し押さえ許可状などの令状が必要と明示しているのは二十二種類だけ。残りの大半は捜査関係事項照会などで取得できるとしている。

 企業側の多くは、利用規約や個人情報保護指針に「法令に基づく外部提供の可能性がある」と記載しており、任意提供の根拠としている。

要するに、警察や検察が照会すれば、交通系ICカード、クレジットカード、各種ポイントカードなどの大抵の会社は、データを提供する(しても問題ない)ということ。
もちろん企業側は断ってもいいのだけれど、いろいろな理由で、応じる企業もあるだろう。そして、自分の個人情報が提供されていても、企業からそのことが知らされることはない。なかなか怖い。

スマホゲームで位置把握か 捜査にGPS利用可能性 - 共同通信 | This Kiji(2019/1/13 19:23)

 捜査当局がスマホゲームの運営会社を通じ、GPS機能を使って事件関係者の位置情報を取得している可能性が高いことが13日、分かった。検察の内部文書に取得方法を示した記載があり、当局が捜査上必要な場合に企業などに令状を示さず報告を求める手続き「捜査関係事項照会」で取得できるとされていた。

 大手携帯電話会社から当局が位置情報の提供を受ける際は、令状が必要とされているため、ゲーム会社を通じる手法が抜け道になり得る。GPSでは、17年の最高裁判決が令状なく端末を取り付ける捜査手法を違法と認定。当局が実際にゲーム会社から取得していれば、問題性の高い取り扱いと言える。

こちらは、要するに、アプリ(ゲーム以外でも何でも)から位置情報が警察などに流されているかもしれないということ。

近頃は中国の監視社会ぶりを報じて情報社会への問題提起をする報道が増えてきているが、何のことはない、自分たちの国でも事態は着々と進んでいたんだという話。
これらの話は共同通信の配信記事だが、取り上げた報道機関はそれほど多くないようだ。
一つ、琉球新報の社説が見つかったので採集しておく。
<社説>検察の個人情報リスト 過剰な収集は憲法違反だ - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース(2019年1月7日 06:01)

 強大な権力を持つ捜査機関によるプライバシーの侵害に当たるのではないか。

 検察当局が企業などから膨大な個人情報を集め、本人の許可を得ず、捜査に活用していることが分かった。顧客情報を入手できる約290の企業や団体名に加え、その入手方法などを記したリストを作り、検察内部で共有している。
 検察が取得している顧客情報は、公共交通機関や商品購入の履歴、位置情報、ICカード作成時に提出された運転免許証の写しなど、約360種類にも及ぶ。
 対象企業も、クレジットカード会社、コンビニ、スーパー、量販店、交通各社、ポイントカード発行会社、携帯電話会社と、実に幅広い。
 問題は、こうした複数の情報を組み合わせると、私生活が丸裸にされてしまう点だ。何を買ったか、いつどこにいたか―などが網羅的に把握できる。思想信条や趣味嗜好(しこう)、健康状態まで容易に分かってしまう恐れがある。
 その入手に使われたのが、裁判所の令状を必要としない「捜査関係事項照会」だ。刑事訴訟法で定められており、捜査当局が官公庁や企業などに捜査上必要な事項の報告を求めることができる。
 通常、捜査当局が対象者を強制捜査する際には、裁判所の令状が必要だ。憲法35条は、令状に基づかない住居や書類、所持品への侵入、捜索、押収を禁じている。さらに個々の捜索・押収ごとに令状が必要だと記している。
 公権力による人権侵害を防ぐために、裁判所がチェックをする仕組みだ。個人のプライバシーや財産権は最大限に守られなければならない。
 事件解決が目的なら、幅広い個人情報の収集は必要であろう。ただ、犯罪とは関係なく、捜査当局が目を付けた人物の個人情報を得ようとする危険性もある。捜査関係事項照会を必要以上に乱用すると、令状主義を定めた憲法に抵触する。
 最高裁は2017年、捜査対象者の車に衛星利用測位システム(GPS)端末を取り付ける警察の捜査は違法だという判決を下した。情報の過剰把握と認めたのである。公権力による私的領域への侵入は抑制的であるべきだ。
 しかし、現時点で捜査当局が個人情報をどう管理し、どう使っているかは全くうかがい知ることができない。
 捜査関係事項照会で得た情報の扱い方について、第三者的機関がしっかりチェックできる仕組みが不可欠だ。法的規制も必要になろう。
 一方で、企業側にも課題が残る。情報のデジタル化が進み、膨大な個人情報を結び付けることが容易になった。こういう時代だからこそ、企業は今まで以上にプライバシーを重視すべきだ。
 顧客情報を本人の承諾も得ないまま安易に提供してしまうのは企業倫理にもとる。捜査機関に対しても毅然(きぜん)と対応することを求めたい。

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2018/10/05

「ネット右翼」に関する大規模調査

ネット右翼検証、新たな存在も 東北大准教授ら、8万人アンケート:朝日新聞デジタル(2018年10月5日05時00分)

 「ネット右翼」とはどのような人たちで、どのくらいいるのか。その実像に迫ろうと、8万人規模の大規模調査が行われた。これまで語られてきたネット右翼像とは異なる新しい排外主義者の存在が浮上したほか、所得や雇用形態が影響するという従来の見立てを覆す傾向も浮かび上がった。

 東北大の永吉希久子准教授(社会意ログイン前の続き識論)らのグループが、昨年12月にネット調査会社を通じて20~79歳の東京都市圏に住む約7万7千人にアンケートをした。中韓への否定的態度や保守的政治志向の度合い、ネットの利用状況、伝統的家族観などを質問。確たるネット右翼像がなかったことから、永吉さんは実証的な検証を試みた。

 調査によると、ネット上で排外的な言動を行う人のうち「政治家の靖国神社参拝に賛成」「憲法9条改正に賛成」など政治的な保守思想を持つ人が全体の1・7%を占めた一方、保守思想を全く持たない層が3・0%いた。永吉さんは、前者をネット右翼、後者を「オンライン排外主義者」と分類した。

 両者には、伝統的な家族観が強く、ネット上で政治的議論をする共通点はあるが、ネット右翼には自分たちの声が政治に届いている実感がある一方、オンライン排外主義者には「国民」の声が届いていないとの不信感が強かった。両者ともネットで情報を集めるが、ネット右翼が活字媒体を活用するのに対し、オンライン排外主義者は口コミを重視する傾向も出た。

 「ネット右翼のように安全保障や憲法、歴史認識についてまとまった思想を持つにはある程度の勉強が必要だが、嫌中嫌韓などの排外思想だけならば気軽に流布できる一面があるため、オンライン排外主義者は今後広がりを見せるのではないか」と永吉さんはみる。

 また、ネット右翼やオンライン排外主義者には、経営者や自営業者が多い傾向が見られ、必ずしも低所得層や雇用不安定層には限らないことも浮かび上がった。婚姻状態や相談相手の有無による影響もなかった。

 (河村能宏)

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2018/09/24

福岡県福智町で起きたこと

正社員を辞めて公募図書館長になったのに突然雇い止め、注目図書館「ふくちのち」で起きたこと - 弁護士ドットコム

はてなブックマーク - 正社員を辞めて公募図書館長になったのに突然雇い止め、注目図書館「ふくちのち」で起きたこと - 弁護士ドットコム

雇い止めの後を継いだのは井上憲治氏。市場小前校長。

福智町立図書館・歴史資料館   ふくちのち(八王子市議会議員 おぎた米蔵氏(公明党)のブログ記事)

3町の合併で合理化される赤池支所を図書館・歴史資料館にリノベーション。

このようなまちづくりのデザインが出来たが、次の2つの戦いがあった。

1.職員の意識を変える。設計者を全国から公募することに対して職員からは町内の設計者を選んでほしい。図書館の館長を全国から公募することに対しては、職員や学校の先生のOBから選んでほしいという強い意見。

2.2番目は議会との闘いだった。
図書館でまちづくりが本当に出来るのか。あらゆる面で厳しい状況の町に図書館が必要なのか、他にやることがあるんじゃないか。

どこに建てるのかという場所の問題。支所を改築するのでも多額の予算が必要。議会に承認してもらわなければ建設できない。

議会では、熊本県立図書館を視察するなどして必要性を感じる議員も出てきた。また、町長が各議員を説得していった。

住民説明会をしてもこのようなまちに図書館が必要なのか、という意見が多かった。

次第に、町長がそんなに言うなら仕方ない、しょうがないなぁという空気が出てきた。

全国公募で採用した図書館長は、役場内で図書館についての意見交換会を各課ごとに開いた。賛否両論あり。本来、図書館の仕事は何だ。あなたが考えていることは図書館の仕事ではないのではないか。また、聞くに堪えない言葉も聞いた。

福智町関連。なかなかえげつない。
町が売却禁止の土地を元町議に129万円で売り、この元町議は移転補償金を4600万円せしめて他の土地に自宅を新築。
嶋野勝町長は、元町議から売却を再三要求された。
この元町議は原田正氏?→ 嶋野勝町長は原田正氏後援会の事務局長補佐。


地方自治法違反:元町議に町営住宅売却 福岡・福智町 - 毎日新聞

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅を、居住者の元町議(88)に売却していたことが17日、関係者への取材で分かった。町営住宅の土地の一部は売却前から県の護岸工事の用地となることが決まっており、元町議は購入後に転居して県から移転補償費約4600万円を受け取っていた。嶋野勝町長は元町議から売却を再三要求された事実を認めており、町営住宅を巡る不透明な土地取引が浮き彫りになった。

 関係者によると売却したのは同町伊方にあった町営住宅「尾崎団地」の土地約640平方メートル。団地は2世帯が入居する木造平屋住宅約60平方メートルで、元町議は1部屋の一部を増築して入居していたが、老朽化のため町が2013年3月に払い下げを決定。14年12月に建物を無償譲渡し、土地は129万円で売却した。

 町営住宅は、自治体が所有する財産のうち「行政財産」に区分され、地方自治法は原則として売却や譲渡を認めておらず、違反すれば取引は無効と定めている。用途廃止をして「普通財産」に変えるか、国土交通相の許可を得れば売却できるが、町はいずれの手続きも取っていなかった。

 さらに、この土地の一部は売却前から、近くの長浦川の護岸工事用地として使われるため、移転補償の対象になることが決まっていた。14年7月の豪雨で護岸が損壊し、嶋野町長が県に工事を求める要望書を提出。これを受けて県は護岸工事を決め、同年12月16日、住人の元町議に町営住宅の土地の一部が移転補償の対象になることを伝えた。

 元町議は同年8月に町長らに早期売却を強く求めるなどして、同年12月24日に町営住宅の土地を購入。移転補償対象だった一部の土地以外も工事車両置き場に使うことになり、15年9月、県が元町議に移転補償費約4600万円を支払うことで合意。元町議は町内に新築した自宅に転居した。

 元町議は1999~2011年に町議を3期歴任。土地購入時は部落解放同盟福智連絡協議会委員長だった。嶋野町長は「元町議に依頼されて早期売却を指示した。行政財産の売却が違法とは知らなかった」と釈明。元町議は「売却を働きかけたことは一切ない。移転補償の対象になるとは予想していなかった」と話している。【志村一也】

ことば「行政財産」
 自治体が所有する「公有財産」のうち、庁舎や学校、図書館、公園、公営住宅、公民館の他、地上権や特許権なども含めた公用や公共用に使われる財産。原則として売却や譲与はできず、違反すると取引は無効となる。それ以外の公有財産は普通財産で、自治体の権限で売却や譲渡ができる。

福智町「行政財産」売却:幹部、違法性を認識 - 毎日新聞(2017年8月20日 08時00分(最終更新 8月21日 09時04分))

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅を住人の元町議(88)に売却していた問題で、取引に関与した複数の町幹部が違法性を認識していたことが19日分かった。毎日新聞の取材に対し複数の町幹部が「売却に必要な手続きを怠った」などと認める証言をした。嶋野勝町長は「違法とは知らなかった」と釈明している。

関係者によると、町営住宅は2世帯が入居できる木造平屋1棟で元町議と別の世帯が住んでいた。町は老朽化のため2013年3月以降の協議で15年3月までに元町議へ払い下げることを決定。行政財産である町営住宅を売却するには、用途廃止をして「普通財産」に変えるか、国土交通相から売却許可を得る必要があるため、町が手続きを進めていた。

 しかし、用途廃止をして普通財産に変えるには、町の実務上の取り決めで建物部分を取り壊す必要があり、元町議が所有する増築部分を損傷する恐れがあるため不可能と判断。国交相の売却許可を得ると、元町議と別世帯の居住者が共同購入する必要があり、別世帯の入居者の資力が乏しいため手続きを進められなかったという。

 こうした状況に対して元町議は町に再三にわたって町営住宅の早期売却を要求。嶋野町長は職員に元町議の意向通り早期に売却するよう指示し、最終的には14年12月、必要な手続きをとることなく行政財産のまま元町議に町営住宅の建物を無償譲渡、土地を129万円で売却した。

 売却に関与した町幹部は「必要な手続きを怠り、行政財産のまま売却した」。別の町幹部も「普通財産にするのが面倒だった」と不適切な手続きを認めた。嶋野町長は「手続きについては分からない。職員を信じるしかない」としている。【志村一也】

「普通財産に変更し売却」 町長がHPに反論
 一方、町は18日、町営住宅を違法売却したとする毎日新聞の報道を否定する嶋野勝町長名のコメントを町のホームページ上に掲載した。「払い下げについては、地方自治法どおり『行政財産』から用途廃止を行い『普通財産』に変えて売却した」と説明。しかし関係者によると、用途廃止後に町の取り決めで必要な建物の解体や必要書類の提出をしておらず、普通財産には変更されていなかったという。

 嶋野町長は当初、違法売却の事実を認めて「勉強が足りず反省している」と話していた。毎日新聞はコメントについて町に取材を申し入れたが、町は19日までに応じていない。

地方自治法違反:町長「私は被害者。早く縁切りたかった」 - 毎日新聞(2017年8月18日 10時00分(最終更新 8月18日 10時15分))

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅の土地を元町議(88)に違法に売却した問題。元町議が土地購入後に県から多額の移転補償費を受け取ったことも判明するなど取引の不透明さが際立つ。嶋野勝町長は元町議の求めに応じて早期売却を決めたことを認めたものの、違法性の認識はなかったことを強調する。専門家から取引を無効にすべきだとの声も上がる中、嶋野町長に取引の経緯などについて話を聞いた。【志村一也】

 --町営住宅を行政財産のまま売却したことは地方自治法に違反するのではないか。

 ◆法律違反とは知らなかった。町長失格と言われたらそうだろう。勉強が足りなかったと反省している。

 --元町議から売却の陳情を受けたのか。

 ◆元町議に「払い下げを早くしてくれ」と頼まれ、職員に「早くしろ」と指示した。町としてはもともと町営住宅を住人に払い下げる計画を立てていた。圧力を受けたという印象はない。売却を急いだのは何かと町に要望してくる元町議と早く縁を切りたかったという理由もある。

 --県から元町議に多額の移転補償費が出たことが住民の不信を招いているのでは。

 ◆移転補償費が支払われることは知らなかった。あの土地は交通の便も悪くて二束三文なのに、県はなぜ4600万円もの補償費を出したのか。県がやったことのとばっちりを受けて町が注目されることになったという認識だ。私は被害者だ。

 --町長名で県に出した要望書がきっかけで、町営住宅が工事の用地となっているが。

 ◆工事内容は県が決めることだ。要望書については記憶がない。

全国的にも極めて珍しいケース
 板垣勝彦・横浜国立大大学院准教授(行政法)の話 行政財産を売るなど聞いたことがなく、全国的にも極めて珍しいケースだ。自治体の独断で公共性の高い財産を売却して住民が不利益を被ることがないよう、地方自治法は行政財産の取り扱いを厳しく制約している。町に知らなかったという言い訳は許されず、今回の違法な売却は「無効」とすべきだ。本来なら県から町に支払われたはずの移転補償費も受け取れておらず、町に損害を与えている。住民が町長らに損害賠償を請求してもおかしくない。

町長が福岡県を悪者にして自分は被害者だと強弁している。

部落解放同盟福智連絡協議会昨年度、約1100万円助成金が支給: 地域人権・同和問題の真の解決 新井直樹

福智町元課長を収賄容疑で再逮捕へ 同和団体に便宜か
http://www.asahi.com/articles/ASJ5L3QMMJ5LTIPE00H.html
2016年5月18日12時19分
 同和団体への助成金に対し便宜を図る見返りに現金を受け取ったとして、福岡県警は18日にも、同県福智町の元人権・同和対策課長、鈴木秀一容疑者(61)=詐欺罪で起訴=を収賄容疑で再逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。
 また鈴木容疑者に現金を渡したとして、元福智町議で部落解放同盟福智連絡協議会委員長の原田正容疑者(86)=同=についても贈賄容疑で再逮捕する。
 捜査関係者によると、鈴木容疑者は同協議会への町の助成金を減額しない見返りに、原田容疑者から現金約10万円を受け取った疑いがあるという。町の説明では、鈴木容疑者は助成金の交付の決裁に関わり、同協議会には昨年度、約1100万円が支給されていた。

福岡の同和団体幹部を逮捕  - 産経ニュース(2016.4.7 07:03)

 福岡県警は6日、同県福智町から助成金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで同和団体「部落解放同盟福智連絡協議会」委員長、原田正容疑者(86)を逮捕した。町ではカラ出張で町から旅費をだまし取ったとして人権・同和対策課長、鈴木秀一容疑者(60)が逮捕された。鈴木容疑者は原田容疑者の申請書決裁に関わっていた。

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2018/08/16

新元号事前公表に反対:天皇教信徒団体が政府に圧力。

新元号で保守派攻勢=事前公表めぐり、政府は苦慮:時事ドットコム

 皇太子さまの新天皇即位が来年5月1日に迫る中、「平成」の次の元号の具体的な公表時期がなかなか決まらない。政府は国民生活に混乱を生じさせないよう皇位継承1カ月前の公表を念頭に準備を進めているが、保守派が5月1日に公表すべきだと強く主張しているためだ。保守層を支持基盤とする安倍晋三首相は自民党総裁選への影響を避けるため、結論を当面先送りする方針だ。
 元号は政令で定め、皇位継承があった場合に限り改めることが元号法に記されており、内閣が政令を閣議決定し、天皇が公布する。政府は皇位継承前の新元号決定に法的な問題はないとの認識だ。昨年、退位特例法が成立した際の付帯決議は「改元に伴って国民生活に支障が生ずることがないようにする」と政府に求めている。
 政府は付帯決議を根拠に地方自治体や企業の意見も聴いた上で今年5月、皇位継承1カ月前の公表を想定し、各省庁のシステム改修などの準備を進める方針を決めた。内閣官房関係者は「崩御を前提とした過去の代替わりと違い、国民は事前公表を織り込んでいる」と説明する。
 一方、神社本庁の機関紙「神社新報」は6月25日付の論説で「本来『天皇の元号』たるべきことに鑑み、新天皇が御聴許の上、政令として公布され、公表される手続きを大事にすべきだ」との主張を展開した。
 超党派議員でつくる「日本会議国会議員懇談会」が7月に開いた会合でも、出席者から「元号の意味や権威、伝統がどう検討されたか見えない」「皇太子殿下の関与がなくなる」などの意見が相次いだ。会長の古屋圭司衆院議院運営委員長は8月6日、菅義偉官房長官に「新元号は新天皇による公布をしてほしい」と申し入れた。
 対応に苦慮する政府内では、折衷案として、新元号を仮決定・公表し、即位日に公布する二段階論が一時浮上した。しかし、「本決まりでないものを発表していいのか」との理由で白紙になったという。政府関係者は「総裁選が終わるまで元号の件は動かないだろう」とみている。(2018/08/13-18:33)

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2018/08/06

全国学力テストの問題点を指摘する中日新聞の連載記事(2017年2~3月)

全国学力テスト10年(1)不可解な問題 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月5日 朝刊

全国学力テスト10年(1)不可解な問題 (大津支局・浅井弘美)

◆自分の将来像に模範解答
 【あなたは、二〇二〇年の日本は、どのような社会になっていると予想しますか。また、その社会にどのように関わっていきたいと思いますか】

 こんな質問をされたら、どう答えますか? 自由作文や大学入試の小論文ならともかく、これは一五年に行われた「全国学力テスト」(学テ)の中学三年生に対する中学校国語Bの設問。「東京五輪・パラリンピック組織委員会のホームページ」「日本の人口推移のグラフ」「生活を支援するロボットの開発」について資料が示され「八十字以上、百二十字以内」の解答が求められた。

◆十人十色を認めず
 答えは十人十色になるのが一般的な感覚だろう。だが、これには“正解”がある。文部科学省が示す正答例はこうだ。

 「オリンピック・パラリンピックの影響で様々なスポーツに注目が集まるだろう。今後増えていく高齢者もスポーツに関心をもつと思われる。そのような社会に、私は、スポーツ関連のボランティアをすることで積極的に関わっていきたい。」

 「おそらくオリンピックの開催に向けて技術開発が進み、様々なロボットが開発されています。私は、そのような社会に関わっていくために、大学で科学技術に関する研究をしたいと考えています。」

 他に「若者の代表として努力し、オリンピックでメダルを取る」「今よりも安全で性能が高いロボットを開発する仕事に就きたい」など、計六例の模範解答がある。

 「正答例は、要するにテストを作った大人が思い描く『良い子』の事例じゃないですか」

 滋賀県内の中学校で教える五十代の男性教諭が納得できないのは、採点方法が「○」か「×」しかないことだ。

 「子どもたちの将来像はまだ漠然としているんですよ。だから漠然とした答えしかない。なのに、生徒自身の考えが答えに合わないと、それがすべて不正解になってしまうんです」

 将来を具体的に描くことは大切だろう。でも、五年後の自分の人生を描いた作文が内容によって「×」だなんて、おかしくないか。私自身を振り返っても、十五の春にそこまで具体的に将来を決めていなかった。ましてや、五輪にどう関わるか、考えている中学生がどれだけいるのだろうか。

 学テは国語、数学(算数)とも基礎知識を問うA問題と、応用力や読解力をみるB問題の二部構成で、文科省はB問題の狙いを「知識や技能などを実生活で活用する力を求める」などと説明する。だが、結局は優等生的な解答を誘導し、「大人の言葉」が分かる成績上位者しかまともに記述できない問題だ。

 批判が渦巻く理由には、学テが現場の多忙感をますます高めていることもある。

 全国のほとんどの小中学校では答案を文科省側に返送する前に、教育委員会の指示で教師らがコピーし“自校採点”する。文科省が、学テの狙いを「学習成果を検証し、指導の改善に役立てること」と打ち出しているため、一日も早く自校の出来を知る必要があるからだ。

◆学生バイトが採点
 滋賀県では、採点結果を県教委の集計システムに入力しなければならず、ある中学校では、学テの日から連日、職員室の明かりは深夜までついたままだった。「特に、B問題で正解不正解を判断するのに、すごく時間がかかる」(五十代教諭)からだ。ベテラン教師でも悩む問題を、文科省側では誰が採点しているのだろうか。

 「学生バイトだそうですよ」

 教師たちから聞いたその答えを、にわかに信じ難かったが、調べると本当だった。

 問題を作成する国立教育政策研究所などによると、四月のテスト終了から二カ月間、文科省から委託を受けた業者が大学生や大学院生らを雇い、解答パターンに沿って採点している、というのだ。ベネッセコーポレーション、教育測定研究所などの業者にはテストの配送なども合わせ、一六年度は計四十七億八千万円が支払われた。

 教育者でもない学生が採点した結果に基づいて、現場の教師たちが「指導の改善」を迫られる-。おかしな話ではないか。

 「そもそも普段の授業や教科書とは関係のない別教科のようなもの。このようなテストを全員に受けさせる意味があるのですか」

 四十代のある女性教諭は疑問を投げかけ、疲れた顔でこう言った。

 「一体何のために、誰のために続けているのか、分からない」

 なのに、順位を上げるための対策が全国で過熱する。

      ◇

 十年を迎えた全国学力テスト。日本の教育現場にひずみを広げつつある問題の根源を、五回にわたって考えたい。

全国学力テスト10年(2)過熱する対策 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月12日 朝刊

 ある教育関係者からその話を耳にしたのは、昨年八月末のことだった。

 「あの中日の記事はガセネタだって、○○(全国メディア)の記者が吹いて回ってますよ」

 一面で「学テ 一部生徒の答案除外」と報じた私の記事だ。取材の経緯をオープンにすることは普段あまりしないが、ここでは明らかにしておきたい。

 最初は「沖縄県内で過剰な学力テスト対策が行われ、行事を簡素化する学校も出ている」という人づての話が端緒だった。内情を探るため、友人を通じて那覇市の中学校教諭に電話したのは、六月上旬の午後十時すぎのこと。教諭から驚くべき言葉が飛び出した。

 教諭 あいつらは、普段学校に出てこないのにこんなときに限って出てくる。

 私 受験したんですよね?

 教諭 受けたけど、解答用紙は省きましたよ。送らなかった。

 不登校や授業を欠席がちな五人程度の解答用紙を除外して、文部科学省が委託する業者へ送ったというのだ。当日、生徒らは受験したが、学テ終了後の担任らの会議で「普段から指導していないので指導の改善はできない」「平均点を下げる」などの声が上がり、欠席扱いにしたという。だが、これは初めてのことではないらしい。

 私 解答用紙は全部送らなくていいんですか?

 教諭 欠席扱いにしたらばれないんですよ。前に勤務した学校でも当たり前にやっていましたから。

 教諭はそう言って、那覇市近隣の二つの自治体名を挙げた。さらに裏取りを重ね、書いた。それが八月下旬の記事だ。

 デマを流され、黙ってはいられなかった。私は徹底的に調査することにした。これまでの取材で得たさまざまなツテを通じて、四十七都道府県すべての関係者に当たった。すると、複数の県で、不適切な事例があったことが分かった。また聞きではなく当事者に聞いた話だ。

 群馬県の小学校では、情緒学級に通う児童の解答を「全体データに反映させなかった」と女性教諭から証言を得た。テスト前日の話し合いで学年主任が「(児童の解答を含めると)学校平均点に入っちゃうんだよね」と漏らしたひと言で決まった。解答用紙は、女性教諭が保管しており、卒業後、処分するという。

◆答え教える対応も
 鹿児島県の小学校では、普通学級の低学力の児童二人を別室で受験させ、教諭が付き添って問題文をかみ砕いたり、答えを教えたりした。大分県の小学校では昨年度まで、低学力や欠席がちな児童を保健室などで受験させ、統計に反映させなかったという。

 教育現場で飛び交う生々しい言葉も耳にした。

 大阪府内のある中学校では、生徒の一人が「先生、平均点上げたいんやったら、あいつを外せばいいやん」と低学力の生徒を指して言ったという。学テの平均点にきゅうきゅうとする大人たちを子どもたちはよく見ているのだ。

 だからといって、私は現場の教師たちを責める気にはなれない。現場の不正は国の施策によって追い詰められた結果、とみるべきだからだ。

 学テは「指導に生かす」という当初の目的から大きくはずれ、地域や学校間の競争を招き、順位を上げるための対策は過熱する一方になっている。点数を上げるために過去問題を使った対策も、ほとんどの自治体で行われるようになった。

 小学校の国語Aと算数A・Bで二〇一六年度に初めて一位を獲得した石川県では、四月の始業式後、テストまで授業中に過去問に取り組む学校が小中学校で九割以上に上り、うち十回以上繰り返し解かせている学校が一割ある。ある教員は「四月に入っても、教科書が開けないんですよ」と嘆いた。

 滋賀県の五十代中学校教諭は「十年で教育現場がこんなに変わるとは思わなかった。一部のエリートをつくるために続けているようなテストに、どうしてこんなに振り回されるのか」とため息をついた。

 この過熱ぶりは、結果を公表しているからにほかならない。昨年四月、馳浩文科相(当時)が、過去問対策を行う学校に対し「とんでもない」と批判したが、もはやブレーキが利かない状態になっている自治体間の順位争いをよそに、きれいごとを言っているだけにしか、私には聞こえなかった。

◆学力向上置き去り
 学テで測れるのは学力の一部にすぎず、数字だけ追ったテスト対策に力を注いで学力が身についたと言えるだろうか。問題なのは、不毛な競争の渦中で、学力向上が本当に必要な子どもたちが切り捨てられかねないことだ。

 国が目指す「学力向上」とは、いったい何なのか。(中日ウェブ・プラスに掲載、次回は19日)

図:「文部科学省が各教委あてに出した、自治体間の点数競争や過去問対策を戒めた通知文」
全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)
→文部科学省による発表文に同じ→資料5-2 全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知):文部科学省

28文科初第197号
平成28年4月28日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長 殿

文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎

(印影印刷)

全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)

全国学力・学習状況調査は,教育基本法(平成18年法律第120号)第16条第2項に定める全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る観点から,全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握し,分析を行い,教育施策及び教育指導の成果と課題の検証や,その改善に役立てることを目的として実施しています。
このような趣旨に照らして,数値データによる単純な比較が行われ,それを上昇させることが主たる関心事とならないよう,国としては,調査実施後に,解説資料や調査結果の分析データ,授業アイディア例などの多角的な観点から作成した資料を各教育委員会や学校に対し提供することにより,教育委員会や学校において,授業時間や家庭学習を使った教育指導の改善・充実に活用いただいているところです。
しかしながら,一方で,4月前後になると,例えば,調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させ,本来実施すべき学習が十分に実施できないなどといった声が一部から寄せられるといった状況が生じています。仮に数値データの上昇のみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取扱いがあれば,それは本調査の趣旨・目的を損なうものであると考えております。

本調査は今年度で10年目を迎えましたが,関係者間において,今一度原点に立ち戻って,本調査の趣旨・目的に沿った実施がなされるよう,各教育委員会におかれては,次のような取組を行っていただきますよう,お願いします。
○学校内,学校間及び教育委員会と学校との間において,本調査の趣旨・目的について共通理解を得るための機会を設け,その認識を学校現場に深く浸透させること
○日常の指導訪問等を通じて,改めて本調査への適切な向き合い方や適切な指導改善の方策等について学校との間で理解を深め合うこと

文部科学省としても,次のような事項を含め,改善策を進めていくこととしていますので,御協力くださるよう,お願いします。
○教育委員会による上記の取組について把握するとともに,教育委員会の取組について指導,助言を行うこと
○教育委員会と情報共有,意見交換を行うなどの場を設け,互いに本調査の趣旨・目的に沿った改善を図るよう努力していくこと

都道府県教育委員会におかれては域内の市町村教育委員会(指定都市教育委員会を除く。)及び関係する所管の学校に対して,指定都市教育委員会におかれては関係する所管の学校に対して,本通知の内容について速やかに御周知いただくとともに,必要な指導・支援をお願いします。

【担当】
文部科学省初等中等教育局参事官付
学力調査室学力調査企画係
電話03(5253)4111 内線3726

全国学力テスト10年(3)政治の介入 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月19日 朝刊

 学力テストの正式名称は「全国学力・学習状況調査」。調査なのか、テストなのか。文部科学省に尋ねると「あくまで調査。競争するためのものではありませんから」と即座に返ってきた。ではなぜ、学校は競争に追い込まれているのだろう。もとをたどると、首長や議員らの言動に行き着く。

 たとえば、二〇一二年二月の滋賀県議会の議事録(抜粋)を見ると、こんな具合だ。

 議員 全国規模のテストがあって、順位を教えないというのは、本当にせっかくの機会が台無しな気がいたします。

 議員 点数主義を生むんだという危惧は、それはあくまでも教師や学校側の心配ですから。

 学テの市町別・学校別の結果公表を巡り、県議が県教委をただしていた。公表に慎重な県側に対し、一三年九月の定例会議でも議員が激しく突っ込んでいる。

 議員 全国平均とのポイント差が広がり、悪くなっているという状況にもかかわらず、知事からはあまり危機感が伝わってきません。

 議員 すべての教科で全国最下位に近い成績結果と聞きますと、保護者をはじめとする県民の皆さまが、本県の教育水準について懸念されることも当然だと考えます。

◆議員が教委に圧力
 知事や教育長は「大変強い危機感を持っている」と答弁せざるをえなかった。議員が追及する場面は、大津市や東近江市など県内の市町議会でも同じだった。「情報開示」「説明責任」といった言葉が飛び交い、責め立てられた教委が追い込まれ、テスト結果を重視した対策を学校現場に課していく。この構図は、恐らく全国共通だろう。

 授業中に過去問を解かせ、本番を控えた春休みの家庭学習で、学テを意識したドリル学習をさせる学校が増え、学テに酷似した問題のテストも行われた。県内のある小学校教諭は、点数アップを狙う対策に疑問を持ちつつ「あれだけ議員から追及されたら、対策しますと言わざるを得ないでしょう」とあきらめ顔で語る。

 私は、学力を高めることに反対しているわけではない。それが「学テ対策」にすり替わっていることが、おかしいと思うだけだ。本来は「調査」だったはずの学テが、自治体間の競争の道具に成りかわっているのは、なぜか。きっかけは、ルール破りの自治体が出てきたことだ。

 文科省は当初、結果公表は都道府県別にとどめ、市町村別、学校別の公表は禁じた。ところが、一部の自治体の首長らがルールを無視して公表を始めたのだ。

 成績上位の秋田県は〇八年、寺田典城知事(当時)が市町村の平均正答率を公表。大阪府の橋下徹知事(当時)も、結果公表に消極的な市町村教委を指して「くそ教育委員会」と批判。放言は撤回したが、結局、府教委は押し切られ、公表にかじを切った。鳥取県では、県情報公開条例改正案を県議会で可決し、市町村別・学校別成績を開示した。こうして非公表のルールがうやむやになり、本来は政治が介入すべきではない教育が、政治家の示威行動の舞台になってしまったのだ。

◆「応援費」まで登場
 成績下位だった岡山県では、伊原木隆太知事が小中学生ともに「全国十位以内」の達成を掲げ、成績アップなど成果を上げた公立学校に「応援費」百万円を交付している。静岡県では、川勝平太知事が成績の悪かった小学校の校長名を公表する意向を示したが、県教委などと激しく対立し、成績上位校の校長名を公表することにした。

 結果に過剰に反応する教委も現れた。大阪府のある市では、答えが分からなくても「解答欄を埋める」ことになっている。成績が振るわなかった小学校の教諭が明かす。「校長から聞いたのですが、教育長から『空欄が多いのは何でや。意欲が低いからと違うんか』と怒鳴られた、と言うんです」。ため息をつき「分かっても分からんでも解答欄を埋めろなんて、おかしくないですか」と私に訴えかけた。

 教師らの勤務評価にも連動し始めた。鹿児島県のある小学校では、教諭らに学テの数値目標を掲げさせ、企業の成果主義さながらに、その評価が昇給に影響するという。同校の四十代の教諭が嘆いた。

 「平均点を三点アップさせるなど目標を立てなければなりません。現場には、さまざまな生活背景の子どもたちがいる。ゆっくりじっくり、一緒に考える授業はできなくなりました」

 教育現場が閉鎖的になったり、独善的になってもいいとは、私も思わない。だが、専門知識を持ち合わせていない政治家までもが、ずかずかと教育現場に踏み込み、本来画すべき一線が、あまりにもないがしろにされてないか。

全国学力テスト10年(4)教育ビジネスの影 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月26日 朝刊

 中学三年生を受け持つ教諭たちに、衝撃が走った。

 昨年三月、滋賀県内の中学校。県立高校の入試当日、学力テストのB問題をほうふつとさせる問題が出題されたことを知ったからだ。数学では、得点しやすい単純な計算問題が消え、一定レベル以上の読解力まで求める問題に様変わりしていた。

 「問題を見て『何やこれは』とがくぜんとして。自分たちが今まで教えてきたことは何だったの?って」

 四十代の女性教諭は、怒りに震えながら話した。不穏な兆しがなかったわけではない。県内の学習塾で解かせる問題が、学テに類似した問題に変わってきていた。高校入試が迫った生徒の学習を見るため、補習につきあった五十代の男性教諭が明かす。

 「塾でやっている問題を生徒が持ってきてびっくりしたんですよ。学テと同じような問題が出ていたんです。生徒は『全然分からん』と嘆いていましたからね」

 入試からの帰り道、肩を落とす生徒らを慰めたという教諭は「入試まで学テとリンクさせて。この子たちは切り捨てられた」と悔しさをにじませた。別の学校長は「入試に学テの問題を入れたら、対策をせざるを得なくなる」と憤慨した。

◆対策先行の学習塾
 そんな声を聞いているうちに、ふと、不思議に思った。教師たちさえ知らされていない入試の傾向を、なぜ学習塾は察知できたのか。その塾で使われていた問題集には、なぜ、傾向と対策がしっかり盛られていたのか。思い出したのは、業界の内情に詳しい関係者の話だ。

 「学力テストのおかげで、いまは商品が売れるのでありがたい」

 教育ビジネスの業界は、教育委員会や学校での情報をいち早くキャッチし商機にする。驚いたのは、そのすさまじい営業活動だ。

 議会の一般質問で教育に関する内容を事前に入手すると、傍聴席に出向いたり、中継映像や議事録で教育長らが議員らに突き上げられている様子を確認。議会の後、何食わぬ顔で「何かお困りのことはありますか」と尋ねると、教委の担当者が「学テの成績で議員から追及されてね」などとこぼす。そのタイミングですかさず、問題集の売り込みを図る、という。

 少子化の影響で、教育業界の市場が落ち込んできている昨今、学テは重要な稼ぎ頭になっている。最近の主力商品は、ウェブテストや各県ごとの学力テストだそうだ。

 関係者は「会社としては売り上げアップになるので、『学テ、学テ』と言ってくれている間はありがたい」と話す。ただ、教育に携わっているという思いからだろうか、こんな本音ものぞかせた。

 「今のやり方は、子ども一人一人に返っていない。一人一人が分かったと理解する、勉強が楽しいな、と思わせることができていない。学力はついていないと思う。その時々の結果が良ければいい、という感じ。いじめがなくなっていますか。学力格差はなくなっていますか。親の経済格差が広がり、お金をかけてもらえない子どもたちもいる。そんな子どもたちと向き合う時間が本当は必要なのに、と思う」

 営利活動とはいえ、それが子どもの成長につながってこそ仕事の喜びにつながるのだろう。

◆視察途中に観光も
 学テとビジネスが絡むのは教材にとどまらない。

 早い時期から学テ対策を進め、いつも成績が上位の秋田県では、他県の自治体の教委、教師、議員らが視察に訪れる、いわゆる「秋田詣で」が続く。

 県教委などによると、二〇一五年度は北海道や沖縄県を中心に三千四百四十人が来県。視察を兼ねて観光する団体もあるといい、B級グルメで知られる秋田県横手市では、航空会社とタイアップして学校見学のルート途中での観光の受け入れを図っている。

 同県の小学校教諭が嘆く。

 「毎年毎年、視察に来る人が増えてます。お客さんを迎えるなら、校内をきれいに掃除しておかなきゃいけないでしょ。疲れますよね。何より、学校や子どもたちが観光商品化されているみたいで…」

 商機を求めて企業努力をすることを悪く言うつもりはない。それが学力の二極化が進んでいるとされる教室で、基礎学力の身についてない児童、生徒に自信をつけさせ、学習意欲を高めているのなら、意味もあると思う。

 だが、現状はどうなのか。学校が、授業に関係ない学テ対策の教材を買わされ、自治体間の不毛な競争の余波で関係者の視察旅行が相次ぎ、平均点にしか目が向かない空気の中で、成績が下位の子どもたちの指導がないがしろにされ始めているのであれば、本末転倒と言うしかない。

全国学力テスト10年(5)国際調査の影響 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年3月5日

 自治体の間で激しさを増す不毛な競争。文部科学省は事態をどう考えるのか。学力調査室の高木秀人室長(44)に聞いてみた。

 -沖縄の中学校で成績が下位の子どもを省くなどの事例があった。他県でも起きている。現場の先生たちから聞いています。

 「県教委に電話で問い合わせたが『ありません』という返答で『本当か』と聞いて、それを何往復かしたけど、出てこない。ないんじゃないかと思っている」

 -過去問を集中的にやるなど、平均点を上げる対策がエスカレートしています。

 「そんな対策はおかしい、と昨年四月に大臣も発言し、通知も出し、そんなことやっているなら耳に入れて、と記者会見で言っているけど、裏が取れるような情報は入っていないんですよ」

 -調べないのですか?

 「調べますよ。突然行くと、不審者になるので『何日に行きますんで』と事前に連絡してからですけどね」

◆「競争のため」否定
 -現場の先生たちは競争に追い込まれて大変です。

 「競争するためのものでもなんでもない。競争しなくていい」

 -原因は、文科省が公表する都道府県別の平均正答率の一覧。なぜ公表するのですか。

 「国としての説明責任です。毎年、約六十億円弱使うので。都道府県ごとの傾向はこんな感じです、と」

 地域を比較するデータを無造作に出しながら、不毛な競争を防ぐ手立ては何も講じない。むしろ、無責任な印象を受けた。批判を意に介さないのは、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)の結果に意を強くしているからだ。

 「昨年末に二〇一五年の結果が出たが、科学、数学で、わが国はトップレベル。十年続けてきて、学力テストは非常に効果があったと思う」

 OECD加盟国を中心に七十二カ国・地域の十五歳が参加するPISAは三年ごとに、読解力、数学的応用力、科学的応用力の三分野を調べる。どんなテストか、分かりやすい例がある。日本の正答率が8%にとどまった科学の設問は「養殖用の三つの水槽にシタビラメ、えさのゴカイ、貝、海草をどう配置するか」という内容だった。

 正答率が低かったのは、理科の教科書にない見慣れない設問だったからか、コンピューターでのドラッグ&ドロップに不慣れだったのか。そもそもこの問題が解けないことが、それほど深刻なことなのか。そんな議論は置き去りだ。文科省は、学テでは「平均点を上げる対策には意味がない」と繰り返しながら、その実、文科省こそがPISAの「数値」に一喜一憂し、学テの内容をますますPISA対策化させている。

 実は、そのPISAに対しても、国際的な反発が高まっている。一四年には、英紙ガーディアンに欧米の大学教授ら九十人が中止を求めるメッセージが掲載された。

◆教育ゆがめる恐れ
 「われわれはPISAのランキングの悪影響を、率直に心配している」とあり「(順位が落ちた国で)PISAショックが宣言され、ランキングを上げるために教育制度を変え、(独自の)教育慣行に深く影響を与えている」と警鐘を鳴らす。

 数学、科学、読解力に限定された調査に「数値化しやすい分野を強調し、測定しにくい道徳や芸術などに目を向けにくくさせている」と批判。さらに、経済分野の国際機関であるOECDには「教育改善の任務はない」と断じ、「就職の準備をさせることが、公教育の唯一の目的ではない」と訴え、こう喝破する。

 「OECDは各国でPISA対策のサービスを提供する多国籍企業と提携した。事業の赤字を穴埋めし、利益を上げるためだ」

 学テを巡って各地の自治体が不毛な競争を繰り広げ、教育現場を混乱させているこの国の実態が世界中で起きているかのようにも読める。

 池田賢市中央大教授(教育学)はPISAについて「そもそもOECDの目的は、経済に役立つ人材の開発。どの国民が使える人材かを見ている」と文科省が“学力”と直結させることに懐疑的だ。

 PISAをお手本にする学テを、このまま推し進めてよいのだろうか。

 「競争するためのものじゃないんです」。文科省が丁寧な言葉で語るほど、建前で言っているだけに聞こえて仕方がない。

 (中日ウェブ・プラスに掲載、12日に番外編)

掲載図:「2015年のPISAで日本の正答率が悪かった科学の問題の回答例(国立教育政策研究所のホームページから)※設問文は簡略化」(略)


全国学力テスト10年(番外編)「美しい国へ」? (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年3月12日

 誰が言い出したのか、今となっては知るよしもない。先生たちは「田植え」とひそひそ話で言い合ったそうだ。少し前かがみで席を回り、生徒の答案を指で押さえる姿が、そう見えたからだという。

 「わたしらの先生はテストの時にぐるぐる回ってきて、間違っていたら、黙って指で押さえて教えてくれた」

 およそ半世紀前の一九六一~六四年、文部省(当時)主導で行われた「全国学力テスト」。全国一位を競った香川県と愛媛県で起きた問題を、大学教授らが調べた報告書「『学テ教育体制』の実態と問題」には、当時の出来事が克明に記録されている。

◆モラルなき“田植え”
 愛媛県の事例では-。

 答えを書いた紙片を見えるようにヒラヒラさせて教室を歩き回る先生。「今度は(平均点を)八十六点ぐらいにしましょうか」と聞く教師に「それでは高すぎて困る。七十八点ぐらいにしておいてくれ」と応じる校長。東京の週刊誌記者に「不正ではないか」と“田植え”について問われ、「善意の行為は不正とは考えない」と答える教育長に、「先生も子どもも懸命なのだから“善意の勇み足”でしょう」と言い添える自民党の県連幹事長-。

 狸(たぬき)校長や赤シャツ教頭が出てくる漱石の「坊っちゃん」の舞台だからでもないだろうが、想像を超える人物像で笑わせてくれる。

 一方の香川県では、毎日の授業時間帯の前後一時間ずつ、学テ対策のプリントを解かせる対策漬けに。同県の教師らが書いた「学テ日本一物語」では、学テが近づくと、一日八~九時間のテスト準備の授業に加えて土日も登校、宿題も山のように課された実態が、生徒の声とともにつづられている。

 「学テあって教育なし」と言われた当時を知る香川県内の元教師大林浅吉さん(94)は「汗の香川、涙の愛媛と例えられた。二度も同じ過ちを犯したらあかん」と平成の学テの行方を心配する。

 半世紀前の失敗を省みず、なぜ再び学テが登場してきたのか。もとをたどると、安倍晋三首相が二〇〇六年に著した「美しい国へ」の一節に行き当たる。そこで首相は「喫緊の課題は学力の向上である」と訴え、こう続ける。

 「全国的な学力調査を実施、その結果を公表するようにするべきではないか」

 さらに、「結果が悪い学校には支援措置を講じ、それでも改善が見られない場合は、教員の入れ替えなどを強制的におこなえるようにすべきだろう」。そこには、点数だけで教師たちを評価し、強権で締め付けようとする意図が赤裸々だ。「この学力テストには、私学も参加させる。そうすれば、保護者に学校選択の指標を提供できる」という言葉からは、まるで教育の基準が点数にしかないようにさえ読み取れる。

 そして、首相がもくろんだ通り、教員も学校も教育委員会も学テの結果に戦々恐々とし、平均点を上げるために必死になっている。

 「美しい国へ」には、その先がある。

 「郷土愛をはぐくむことが必要だ。国にたいする帰属意識は、その延長線上で醸成されるのではないだろうか」

◆「森友学園」生む流れ
 著書発刊の五カ月後に教育基本法が改正され、愛国心条項が盛り込まれ、一八年度以降に小中学校で道徳が教科化されることも決まった。今、国会で焦点になっている大阪市の学校法人「森友学園」の問題も、この流れと無縁とは思えない。過去の失敗に学ぼうともしない一政治家の、短絡的な点数主義と、特定の思想教育へのこだわりが教育現場に深刻な混乱をもたらしているとすれば、空恐ろしい、としか言いようがない。

 報告書に描かれた半世紀前の愛媛県には、こんなシーンがあった。

 「母親大会で、ある母親が『うちの子供は文部省テストの日、先生が休みなさいと言った。いくら成績の悪い子でもひどいではないか』と発言した。すると担任の女教師が立ち、私たちもそんなことはしたくありませんけれども、文部省テストが近づくと校長室へ担任が呼ばれ、『平均点を必ず上げてもらいたい。そのためには多少の犠牲もやむを得ない』と厳しい口調でいわれ、その日から各クラスで猛烈な準備が始まり、何とかして平均点を上げたいと、つい子どものことは頭からはなれて、成績の悪い子は、いなくなってくれればよいという気持ちになるのです、と発言した」

 教育は国家百年の計と言われる。一朝一夕に学力が伸びるはずはないし、そもそも学力とは何なのか。点数による序列化でも、思想教育がその中心でもないはずだ。教室で先生たちが、一人一人の生徒と、その能力に応じた向き合い方ができる、そんな教育現場に戻してほしい。

 =終わり

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2018/07/30

エミューでまちおこし。(佐賀県基山町)

耕作放棄された荒れ地を改良できるとのことでちょっとびっくり。
ヤギに続きちょっと欲しい動物になった。

エミュー 耕作放棄地の再生に光 =わがまち未来形 移動編集局 基山町編=|まちの話題|佐賀新聞ニュース|佐賀新聞LiVE
2017/9/23

 基山町のシンボルである基山(きざん)の麓に広がる里山の風景。豊かで清らかな水にはぐくまれた棚田は実りの秋を迎え、黄金色の稲穂がこうべを垂れている。より山手へ向かって進むと、草が生い茂ったままの場所が増えてきた。かと思うと一転、草がほとんどない一角が突然現れる。目に飛び込んで来たのは棚田の高低差をものともせず、軽やかに駆け回る大型の鳥。オーストラリア原産のエミューだ。

 基山町にも高齢化や後継者不足から耕作放棄地増加の波が押し寄せている。2015年の農水省「農林業センサス」によると、町内の農地のうち、約43ヘクタールが耕作放棄地だ。

 そこに差し込んだ一筋の光がエミューだった。町内で初めてエミューの飼育を始めた農家の吉田猛さん(64)は「生い茂った草をはみ、土を踏み固めてくれる。半年もせずに耕作ができるようになった。それに人なつっこくてかわいい」と魅力を語る。

 エミューの産業化を進めている日本エコシステム(筑紫野市)から吉田さんが14年に飼育を請け負ったのをきっかけに、15年には県のチャレンジ交付金を活用して飼育数を増やした。同年には吉田さんらが農業法人「きやまファーム」を立ち上げ、運営を組織化。16年に初めての産卵があり、数羽をかえすことに成功した。日本エコシステムのものと合わせ、現在は町内に300羽を超すエミューが飼育されている。

 同社の〓〓浩司さん(54)は「平均して約8割のふ化に成功している。きやまファームでも今年は80羽程度のふ化ができるのでは。産卵、ふ化、飼育、加工のサイクルができつつある」とエミューの産業化が次のステップに入ったと語る。

 町もエミューの活用に積極的だ。今や町の代名詞と言っても過言ではなく、昨年福岡都市圏向けに制作したPR動画やポスターにも起用された。基山町内の飲食店もエミューを使った料理の開発、提供に取り組んでおり、現在は6店舗で味わうことができる。

 「捨てる部分がない」と言われるエミューをフル活用しようと、商品開発も進んでいる。保湿性などに優れた脂は利用価値が高く、7月末に町内で開かれたシンポジウムでは、美容家の佐伯チズさんが監修する化粧品が近く発売されることが報告された。深い緑色が特徴の卵の殻を装飾したエッグアートや、羽根を使った縁結びのストラップも来場者の目を引いていた。

 エミューの放牧によって耕作可能となった棚田には、今年からキクイモやジネンジョを植えた。キクイモは現在黄色い花を咲かせており、11月には収穫期を迎える。1000平方メートルで、約2トンがとれる見込みだ。町の健康プロジェクトと組み、血糖値を抑える効能などを科学的に検証するという。

 本年度中には町がエミューとイノシシを解体処理する施設を整備予定で、流通体制構築のための環境が整いつつある。きやまファームの鳥飼善治社長(59)は「何事も軌道に乗せるのには時間がかかる。最低でも10年は頑張って、地域を代表する産業の一つに成長させられれば」。地方創生の旗手として、全国に名をとどろかせるつもりだ。

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2018/07/29

原発を批判した知事、冤罪で失脚させられたと。

元福島知事「検察に抹殺」 京都で共謀罪の危険性語る : 京都新聞

 国の原子力政策に批判的だった元福島県知事の佐藤栄佐久氏が28日、京都市南区の龍谷大アバンティ響都ホールで講演した。自らが逮捕された経緯をまとめた映画「『知事抹殺』の真実」の上映や、三宅弘関東弁護士会連合会理事長との対談などで、国家権力による捜査の恐ろしさや共謀罪の危険性について話し合った。

 自由と平和のための京大有志の会などが主催した。佐藤氏は自民党参院議員を経て、1988年に知事に就任。東京電力の原発検査記録改ざん問題などを受け、プルサーマル計画を拒否するなど原発政策に否定的なスタンスを取っていた2006年、官製談合事件で辞任、逮捕された。12年、有罪が確定したが、冤罪(えんざい)を主張している。

 佐藤氏は、取り調べの過程で検事が「なぜ原発に反対するのか。知事は日本によろしくない。いずれ抹殺する」などと発言したことや、有罪となったものの控訴審で収賄額が0円と認定されたことなどを説明。「検察やマスコミにより、あっというまに逮捕される状況がつくられ、裁判ではどうにもならなかった」と事件を振り返った。

 三宅弁護士は「知事が辞任しなければ、福島の原発も津波対策がされたはず」と東日本大震災の原発事故を防げたとの認識を示し、「佐藤氏には自分にやましいところはないと各地で訴え、日本の在り方に警鐘を鳴らしてほしい」と述べた。

【 2018年07月28日 21時46分 】

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