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2005/04/25

生業のかおり

05/04/25(月), 19:18:51

しばらく前のことですが、東大阪の工場街を歩いていて「シカル加工」という看板を見つけました。

シカル加工。初めて見る加工法の名前でした。工場をのぞいてみましたが、シャッターが閉まっていて見えない。中で音はしてるんですが。

帰ってからグーグル様にお伺いを立てたところ、プレーナー加工と同種のものだとご託宣がありました。ありがたいことです。要するに、かんな削りと同じですね。
で、「シカル」って妙な響きだなあと思って調べると、ドイツ語でした。プレーナーは「プレーンにするもの」ってことで、かんなっぽいのがわかりますが、「シカル」じゃあわからない。なんとなくレトロっぽい感じがします。

で、プレーナー加工って、金属加工業者でも割と少ない方なんですよね。どれくらい一般的なんだろうって思って、やはりグーグル様にお尋ねしたところ、面白いことがわかりました。

ちゃんと検証してないんですが、「シカル加工」って呼び方は、どうも大阪に集中しているようなんですよ。「シカル加工」でヒットしたサイトを見ていくと、大阪であることが多いんです。で、プレーナー加工だとこれは全国にまたがっている。

で、仮説なんですけど、これは大阪の金属加工の「古さ」を物語っているんじゃないかと。
戦後の技術や設備の導入はもちろんアメリカが中心だったし、英語文献を中心に高校や大学も教育研究が進んだわけで、技術用語に英語が使われるのは理の当然なわけですね。
「ハイス(hi-speed:高速度鋼)」とか「ハイテン(high-tension: 高張力鋼)」とかって言葉は、そうした英語が「メリケン粉」みたいに日本語化した例ですけれど、その響きからは何となく、油まみれで日々働いた職人たちの姿が思われて、わりと好きなんです。

話を戻すと、幕末から明治、大正、そして戦前までは、英米ももちろんですが、ドイツの影響は今より遙かに強かったわけで、「シカル加工」って言葉は、他の地域では新しい英語の言葉に取って代わられたんですけれども、大阪ではずっと根強く残ったんじゃないかなあと思うのです。言い換えると、大阪には、まだずっと昔の日本の「町工場」の空気が生きているんじゃないかな、と。

追記:機械や金属加工のドイツ語語源の現場言葉ってまだ他にもあったと思います。一度、もうちょっとちゃんと調べてみたいなあと思ってます。


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