【メモ】NHKスペシャル「阪神・淡路大震災 秘められた決断」
神戸市職員のエスノグラフィー調査、30年非公開を条件で話したことなのに、それを今公開させていいのかなあ。
テレビを見ながらメモしたそのままなので、要点がまとまっているとは限らない。また聞き間違いや漢字の間違いもある可能性がある。
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災害エスノグラフィー調査
秘められた決断
調査:国などの予算:震災の翌年から。富士常葉大学
当事者以外に知り得ないことをつぶさに聞き取り調査。
33のテーマについて調査。
災害対策本部:25人、共通の課題や知恵を抽出。
重川きしえさん 未体験の人と共有することで次の災害体験をよりよく乗り越えていくこと。
注目:消防士の経験。重い課題が浮かび上がったので。
火災と生き埋めが同時に発生。消火が先か目の前の救助が先か決断を迫られていた。
火災現場に救助を求める人を殺到。今は何とも出来ないのでということで断った。非常につらい思い。
判断する立場は孤独。自分との戦いみたいな。これでよかったのかな。それとの戦い。
鍵本敦さん 長田消防署の部隊中隊長。
震災の時の活動の激しさが服に染み付いている。
消火か救助か優先順位を付けざるを得ない現実に直面。
自信当日当直、すぐに火災を発見。
監視中の人間がふるえている。普通の梶のパターンで出動、炎上ということだった。出火場所の裏の家に老夫婦が取り残されていると人がくる。鍵本さんは一人でペンライト一つで助け出す。まだ防御が出来るという思いでやっていた。消火に当たりながらも救助を求める人がいれば助け出す。これが時間とともに出来なくなっていく。
日が昇ると信じがたい光景。経験したことのない同時多発火災。寄せられた情報を地図に落とすと、長田区の火災は大きなものだけで10カ所以上。倒壊家屋の生き埋め情報は120件。消火の作戦を考えるうちにも火は燃え広がっていく。炎が迫る中、がれきに埋まった家族を捜す人たち。消火と救助の両方が求められていた。
火災と同時に救助を求める声がある。消火も救出もしなければ。救出中は注水を辞める。すると火が攻めてくる。
消防署員は97人。埋まった人を救うのか火を防いで多くの人を救うのか、署としての明確な方針はなかった。最前線の隊員は揺れていた。
田中進さん。家の中に家族がと叫ぶ人たちの声が聞こえていた。現場に駆けつけたが少人数では救助は困難。田中さんは消火に戻るしかなかった。
逃げる気か!待てと罵声を浴びせられた。現場で怒鳴られることはよくあるが、どんな現場でも逃げるということはなかったので、逃げるなといわれたのはそのときだけ。
救助した方が確実と考える隊員もいた。
消火を100%できるという保証もないし水不足。失敗すれば救出できていない人も死んでしまう。
鍵本さんの苦渋の決断
御蔵菅原地区。アーケードの中の人を救助。8時半頃、アーケード内に60人以上が取り残されていた。消火が手薄、火の勢いが増し、救助は困難に。鍵本さんは救助活動の中止を決断。消火に全力を注がないと犠牲は増える一方だという判断。
あれだけの規模だと個々の救助はむつかしい。延焼を防がないと助かる命も助からない。延焼を泊めるのが最大の救助。
確かに冷たい。あのとき遭遇したのは何百何千の命を守る方を選ばなければならないという事態。
消火優先を決める。燃え広がった火は手が付けられなくなっていく。水不足。収束に向かったのは翌日午後。250名以上の焼死体が見つかる。消防の敗北と語った。
組織的に動けていなかった。場当たり的に一生懸命だが効果が出ない。力を分配しながら組織的に動かないと次も同じことになる。
5年後、鍵本さんは神戸市の震災消防計画を作った。最重要項目:自信では火災対応を最優先とする。もう一つの柱を自主防災力を活用。救助究明に市民の力を借りようと考えた。組織として優先順位を決めておくことが地域を救う。神戸の消防がたどり着いた考えだ。
災害エスノグラフィーで得た供給を広げようという試み
防災セミナー。全国の自治体。神戸の証言をもとにしたカードゲームが教材。食料の配布、ボランティアの受け入れなど実際に起きたことをもとにした二者択一の質問。
消防士の迫られた選択も。
指令に従って消火箇所に移動中、住民が近くの火事を消してほしいと頼んできた。応じるか?
災害時の様々な事態を想像して優先順位を考える。神戸の経験が各地の防災に生かされている。
エスノグラフィーには切実な問題であってもまだ十分議論されていない問題も。
多数の遺体への対応。
棺に入れる段取りがつかない、どうしてくれるとつかみかかる住民がいた。非常に緊張感。
必要なものは何かと電話をかけまくってたらい回しになって、遺族にはただただ何日間か誤り続けた。
谷屋誠二さん:福祉事務所。遺体安置所のスポーツセンター担当だった。
すでに300以上の痛いが運ばれていた。初めて足を踏み入れたとき。
これだけ多くの遺体を目にすると何とも言葉に出来ない状況だった。
当時の防災計画。遺体は10日以内に火葬するよう決められていたが具体的手順は決められていない。安置にはドライアイスが必要だが調達方法がわからない。市内の火葬場も2週間先まで予約で埋まっていた。
そのまま放置は心苦しく、ドライアイスはないのかと住民が罵倒する。そのときは怖かった。
そして痛み始める遺体。遺族の一人から懇願される。
このまま朽ちていくのを見ていられない。屋外でも焼いてほしい。そこまで追いつめられているのかと。さすがにそんな形で火葬には出来ないと。
悩んだ末対策本部に判断を求めた。
野焼きを巡って行政内部で緊迫したやりとりがあった。
当時神戸市衛生局長の宮本さん。判断を求める声が相次いで寄せられた。
何を言っているんだ、なぜ苦しんだ人が多くの目にさらされながら焼かれるのかと。
東京の厚生省から電話。メモ:野火しかない。厚生省は野焼きを検討するよう求めてきた。
宮本さんに電話をかけた生活衛生局長、小林ひですけさん。すでに具体的な検討をしていた。念頭には伊勢湾台風。5000人以上犠牲になった現場を覚えていた。遺族がやむを得ず野焼きしていた。
腐敗してくる。やむを得ない。全ての人が耐えなければならないものでもない。多数の犠牲者が出たと聞いたときから考えていた。
小林さんは:十分な火葬が出来ていなければいつまでも悔いが残る。
遺族の思いをどう受け止めるか。結果的に回避した。冬だったことが理由。
腐敗はあまり進まないだろう。死者が数万人、夏場なら検討しなければならない。
代わりに、県外の火葬場に運ぶことだった。全てを運ぶには3週間かかった。
谷屋さん:対応は後手に回った。遺族の力になりたかったがなすすべがなかった。谷屋さんはせめて野花を集めて棺に供えていった。
何かしなければならない。何も出来ない。一つでも力になれないか。その中でも花を供えたり、そういう状況ではなかったかと思います。
14年前に明らかになっていた遺体対応の課題。その経験は詳しく伝えられていなかった。
3年前の論文で「禁断の課題となっており、早急に改善が図られるべきだ」と指摘。
市民の行動指針となる証言も多い。
避難所:限られた物資を巡る争いが渦巻いていた。住民同士のけんか、暴力事案もしょっちゅう。非常につらかった。
行政は公平性を念頭に置いているが、あのときの住民エゴがどこまで許されるのかせめぎ合いには非常に悩んだ。エゴとの戦いだった。
清水誠一さん(長田区役所)蓮池小学校担当。
職員室に行くのも通路がこれくらいしかなかった。
初日は食料が届かず。避難所は1800人。米屋に分けてもらった。かならず精算しますからと。
炊き出ししたが全員には足りない。おにぎりを分け始めたとたん、トラブルが。
須浦勉サン。若者がおにぎりを横取り。皆がおる前を追っかけ回した。
翌日の乾パンもトラブルに。十分あったので列に並んでもらえばと思っていたが、一部の人が何度も並び直したので足りなくなって苦情が殺到。
まだ不安があった。明日のパンがないと並び直した。それを読み切れなかった。失敗。
翌日、大きな決断。住民と運営する。自治会ごとにリーダーを選んでリーダー会を。避難者も役割ともってもらおうと。
リーダー会に参加した人。メンバーは20人ほど。避難場所ごとに選ばれた代表。
初めての会合では不満が噴出、話がまとまらない。発言したのが須浦さん、若い人をしかりとばした人。輪を作らなければどうしようもないのだから、何とか話をしようと。一緒に明日の朝掃除をしようと呼びかけた。
翌朝変化が起きた。清水さんの一人でやっていた掃除に150人が参加した。住民が自ら動き出した瞬間。リーダー会は毎晩のように開かれ物資の分配も話し合った。争いを防ぐルール作りに住民が率先して乗り出していった。
くじびきを用意していた
足りないものは老人優先
など
行政が決めてしまうと理由は根拠はとなるので、それは皆さん方で決めてもらうと。そうすると解決策が出てくると思う。
住民による自治が避難所運営の鍵だったのが伺える。
どこもそうだが、被災者の中でキーマンを作らなければ物事が進まない。自分たちでやれることはやろうと自主的にやった。そこにボランティアがうまくかかわった。避難所開設がうまくいったのは本当に中央区の奇跡だったなと今でも強く感じている。
今:災害エスノグラフィーの証言を伝えていく取り組みが広がっている。
カードゲームでセミナー:一般市民。行政の限界を知り、自分たちに何が出来るかを考える。
実際に経験していないので判断に迷うこともあったが勉強になった。
今日、神戸は震災から14年を迎えた。あのときの教訓をどう生かしていくのか。震災と退治した人たちが秘めてきた苦悩と決断を語った災害エスノグラフィー。災害への備えを忘れてはならない私たちに多くのことを語りかけてくる。
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- 【メモ】NHKスペシャル「阪神・淡路大震災 秘められた決断」(2009.01.17)
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