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2009/02/12

[メモ]“ピープルアウト”

Business Media 誠:郷好文の“うふふ”マーケティング:ムサい男たちの現場に女子が来た日……マスキングテープはアート化した (1/2)

このところ、ほとんどブックマークと化しているなあ…。

マスキングテープを作っているカモ井加工紙が、アート用?のマスキングテープを売り出してヒットした…というような話。

もともとマスキングテープに惚れて、創作活動をしていた人たちのリクエストがきっかけになって、その人たちの活動と一緒に輪が広がって…というところが肝なんだと思う。

いわゆるユーザーイノベーションとか、プロシューマとのコラボという話と重なっている。このへんの話に関心がある私としては興味深い事例の一つだった。

一つの問題は、このモデルを意図的に仕掛けられるのか?というところ。生産工程の素人とメーカがコラボして全然従来製品と違う使われ方を構想するというのは、本来の設計意図を知っている側から発想することは難しいから、供給側からすれば予想外のコミュニティから出てこないといけないと思うが、そういうチャネルをメーカが常に開いているということができるのかどうか。

もう一つは、市場規模の面で余り大きなものを期待しにくいだろうということ。「ニッチ」というべき分野になるのだろうと思うから、それを守れるのかというところと(他の似たような業者が現れてただでさえ少ない数量をかすめ取られるとたまらない)、経営全体とのバランスとの問題が気になる。まあやってみてから考えるということができれば、この事例で現れているような社内の変化を呼ぶ刺激として評価することも出来るかもしれない。

それと、消費財…しかもアート系・ファッション系という分野…になると、この市場の持続性も気になる。一つ新しい用途を切り開きつつあって、このこと自体は積極的な意味を持っているのだけど、マスキングテープのこうした使われ方というのは、一つの分野として今後定着するのだろうか。この成り行きも興味深いのだけれど、もう一つはこの出来事で出来た、従来とは全く異なる業界や人との関係を、このカモ井加工紙という会社がどんなふうに生かしていくのかということも気になる。なんとなく、文房具の会社が片面では伝統的で堅い「業務用」といった趣の商品を十年一日のごとく作り続け、その反面で、ファッション雑貨のような、そして多くの場合短命な商品を次々と開発し続ける、そんなふうなスタイルに重なっていくような気がする。

味も素っ気もない(というと失礼かな)純粋業務用の量産品を主体として技術と市場を守ってきた会社が、その資産を基盤にしながらも、アートの人たちの面白いところと繋がりながら、最終消費者の気まぐれにつきあっていくようなジャンルで商売を広げていくというストーリーは、傍から見ていてほほえましいし、またものづくりの中小企業に思いがある人間にとっては夢のある話でもある。願わくば、カモ井加工紙さんの仕事がもっともっと広がっていき、もっともっと面白い会社になっていってくれんことを。


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