ビール(性飲料)と焼酎の将来(覚え書き)
昨夜20歳そこそこの人たちと飲んできましたが、彼らが全くビールも焼酎も飲まないので、理由を尋ねてみたところ、「まずい」「くさい」「飲もうと思わない」などという答えが返ってきました。別にアルコールを飲まないのではなく、カクテルやチューハイはたくさん飲むわけです。普段飲む酒を聞いても、日常的な飲酒の習慣がある人はほとんどいなくて、一人だけ、家に酒を置いている人もチューハイの缶だということでした。
若者のビール離れ、焼酎離れとか、そもそもお酒を飲む人が減っているとかいう話はちょくちょく耳にするのですけど、よりによって焼酎のメッカたる鹿児島において飲酒文化(?)が若い人に継承されていないのであれば、今後の焼酎産業はどうなってしまうのだろうか、と思ったのでした。
で、厚労省の「飲酒習慣者の年次推移(性・年齢階級別)」をしばらく眺めていたわけですが、「若者の飲酒離れ」という話をするためには若干の問題をクリアしないといけないなと思いました。以下に簡単にメモを。
若者の飲酒離れ=若い世代はそれ以前の世代よりも酒を飲まない
・飲酒する人の割合を年齢別に見ると、若い年代で年々その割合が減少している
ということでしょう。どうもそんな気もしますが、上の表を見ると、平成元年から14年では減っているような気もするけれど年によっては増えていたりしていて、あんまりその傾向が読み取れないように思います。男性では微減?のような気もしますが女性では微増しているような気もします。
・若い間は飲まないけれど、中年になったら飲むようになる?
いつの年でも中年世代の飲酒割合が高いです。もともと若いうちはあまり飲まないのが、仕事のつきあいなどで飲む機会が増えたり、酒の味が分かったり、好みが変わったりするのかもしれません。昨夜、「くさい」と言って焼酎を遠ざけた人たちも、10年か20年後には若者相手に「鹿児島の者が焼酎を飲まないとはどういうことか!」と説教しているかもしれませんね。
ところでこの場合、加齢による飲酒習慣の変化パターンについて、世代間の差があるかということを考える必要が出てきます。平成元年に20歳の人は平成11年に30歳になりますから、上の表で平成元年と平成11年を比べるというふうに10年飛ばしで飲酒割合を眺めてみると、若干習慣変化のプロフィールが違う(若い世代の方が増え方が少ない)ように見えますけど、でもほとんど差がないみたいにも見えます。このへんは人口コーホートごとにプロフィールを推定して有意差があるかを見るという作業になると思いますが、年齢別の階級が10歳ごとになっているのに有効な調査年数が14年しかないということで、これでうまく行くのかどうかよくわかりません。
・男女別に見ると傾向がかなり違うみたいにも見える
男性があまり変化がないか微減のようなのに対して女性は微増しているみたいに見えます。合わせると相殺されるような気もします。数字を見る限り、飲酒はまだ男性主体の習慣と言えそうですから、「飲酒離れ」という場合は性別にも留意しないといけないということも言えそうです。
・実数で考える場合は、世代ごとの人数の影響も出てくる
いわゆる「少子高齢化」が進行すれば若い年齢層のアルコール消費量が減るのは当然ですから、消費量の実数をもって「飲酒離れ」を論じるのはちょっと筋違いという気がします。「飲酒離れ」という言葉には「飲酒習慣を持つ人の割合が減っている」という意味があるように思うので。ただ、焼酎産業の未来を考えるというような時には消費量の動向が問題になることは言うまでもありませんが。
もっとも、産業上の話をする場合には、高齢者の割合が増えることの方が問題になるような気がします。飲酒量が多い中年層が少なくなる訳なので。
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というわけで、アルコール消費の将来を推測するには、
1.世代間で飲酒推移プロフィールが異なるか→若い世代の飲酒プロフィールの傾向を推測する
2.各世代の飲酒推移プロフィールを人口推移と掛け合わせて年ごとのアルコール消費量を推測する
という手順が必要になりそうです。さらに、ビール業界とか焼酎産業とか清酒産業というカテゴリごとに考えるのは、時系列のトレンドを考えるだけじゃなくて、流行や飲酒スタイル、新市場の形成というような社会経済的な動向も重要になるでしょうし、業界の供給事情も絡んでくると思うので、もっと大変になりそうです。
全く専門外ですが、いつか考えてみたいですねえ…。
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