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2009/10/20

思い出は全てをよみがえらせる

仕事のBGMに「ベスト吹奏楽100」の6枚組CDを流しているのだが、採録されている曲が、まあ何というか、古い、古い。
私が中学校や高校でやっていた…そしてそのときにはすでに十分古かったような曲がわんさか…というか、そればっかり入っている。「ベスト100」というよりも、これはもう「懐メロ全集」である。吹奏楽CDというと、現役の中高生の部活向きになっていたりして、音楽的な水準はともかく、部活でやりたい!という感じのものが多いと思っていたのだが、あに図らんや、これはもう完全に中高年OB向けのCDである、と断ぜざるを得ない。

CDを借りるときにはそれほど中身を吟味しなかったのだが、実際聞いてみると、まあ懐かしい懐かしい。極めつけは「イシターの凱旋」が入っていたことだった。
この「イシターの凱旋」は、私が中1で初めて吹いた本格的な吹奏楽曲で、大きな曲をやらせてもらえるという喜びが強かったせいか、練習の様子を今も鮮明に覚えている。
今も、作業をしていたのだが、スピーカーから冒頭のトランペットとトロンボーンのファンファーレが突然流れ出した途端、いきなり身の回りが中学校の音楽室に変わってしまった。びっくりした。音楽室のにおい、木の椅子と机、回りに並んで合奏している友人と先輩たち。前では先生がタクトを振っている。あのときの感覚と中学生の頃の感情が突如よみがえってきて困惑した。

普段はもう全く忘れていて、とっくに脳から失われていると思っていたものが、ふとした瞬間に恐ろしいほどリアルによみがえる。記憶は忘れているようで忘れていないんだなと思わされる。当時は苦しくてたまらなかったはずなのに、思い出はとても甘美で、その中に潜り込んで閉じこもりたくなる。でもそれはもう決して戻れない永久に過ぎ去った過去。

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娘が今ちょうどブラバンなので、数回演奏会やコンクールを見に行った。20年以上も隔たっているというのに会場の空気は本当に変わっていなかった。今の光景を見ながら、しかし過去に引き込まれそうになる瞬間がたびたびあった。何かちょっとしたきっかけで中学生に戻ってしまいそうな…。


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