« 帰ってきました。 | トップページ | かりゆし手帳 »

2009/12/08

鼻を利かせること

COP15なんて気がつかないほど世情に疎くなっている昨今ですが、タイムリーな記事を書いた方がおられたようで。

はてなブックマーク - 科学史上最悪のスキャンダル?! "Climategate" - 化学者のつぶやき - Chem-Station

既に海外のメディアでは大きく取り上げられており、日本でも数々のサイトで取り上げられていることなのでご存知の方も多いかと思いますが、去る11月に起きた、「Climategate事件」についてのつぶやきです。
…中略…
長いので先に簡単にまとめると、

・地球温暖化に関する大御所研究者のこれまでのデータとemail等が流出
・そのデータから、研究の不正・印象操作が発覚(地球温暖化はCO2が主要因ではない&そもそも温暖化してない?!)

とのこと。なんてこった。。

これまでのエコ運動はなんだったのでしょう??
京都議定書はなんの意味があったのでしょう?!

一体誰が得をし、誰が損をしてきた(いる)のか。


とのこと。

この時点で直感的に「怪しい」と思いました。
「大御所」のデータ流出とか不正とかは十分あり得ることで、そうなのかもしれませんが、それが「地球温暖化はCO2が主要因ではない&そもそも温暖化してない?!」に直結させているあたりが、怪しいにおいの元でしょうか。さらにたたみかけるように、
「これまでのエコ運動はなんだったのでしょう」とか「一体誰が得をし、誰が損をしてきた(いる)のか」などと陰謀の存在をほのめかす書き方もにおいを出しているようです。
このサイト、「化学者のつぶやき」ということで、職業的科学者の方が書いておられるのではないかと想像しますが、ここまでの論理は、いくらツカミの部分とは言え、あんまり科学者っぽくないですね。別に、地球温暖化説が陰謀ででっち上げられているという結論が出てもいいですが、ここまで世界規模で多くの専門家が支持している説である以上、それをひっくり返すにはそれ相当の慎重かつ丁寧な論証が必要でしょう。それが学者的態度というものだし、研究者とはそういう訓練をまず最初に体にたたき込まれる人種であると思っています。ところが、上記の文章からはそういうもっとも基礎的なスキルが感じられないわけです。まあ、あえてそういう書き方をしているのかもしれませんが、そうすると、この「つぶやき」には上に引用したこと以外、種明かしもオチもないので、デマゴギーの一種になってしまいますね。

私は全くの門外漢だし、気候学などかじったこともないので、温暖化説の白黒を自分で判定することはできません。ただ、二酸化炭素などの温暖化ガス濃度を人間の活動が有意な水準で高めており、それが気温上昇に有意な影響を与えているという話は、すでに世界中の専門家がそれこそ膨大な労力と費用を投じて何十年も研究しているわけで、その中で相当に鍛えられてきた知見だろうと思うわけです。当たり前だけれど、査読誌だって学会だってたくさんあるわけで、いくつかの大きな学術誌や学会が陰謀集団に乗っ取られたところで、ほかにも発表や議論、検証の場はいくらでもあるわけです。そして、この論争は密室で行われているのではなくて、論文を追っかければ世界中の人がいつでも自由に検証できるわけです。そう考えると、仮にたかだか40人だか100人だかの専門家が談合して研究をねつ造していたとしても、それだけで温暖化説が虚偽だったと結論づけるのはあまりに性急だと言えます。同じような真実隠しでも、たとえば内閣と外務省が「核密約はない」と言っていたのが嘘だったというのとは、全然性質が違うのです。

というわけで、眉唾だなあ…と思っていましたら、こんなエントリを発見。
懐疑論エントリへの反論リンク - リビングルームで旅に出る
はてなブックマークってこういうときに便利ですね。

で、こちら経由で、こんな記事が。
過去1000年の気温変動の虚実(09/11/27) | NIKKEI NET 日経Ecolomy:連載コラム - 温暖化科学の虚実 研究の現場から「斬る」!(江守正多)

「化学者のつぶやき」さんと上の江守正多さんと、どちらの記述を信用しますかと言われれば、書き方の判断ですけど、江守さんの方がしっくりしますね。やっぱり。

« 帰ってきました。 | トップページ | かりゆし手帳 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/83801/46966631

この記事へのトラックバック一覧です: 鼻を利かせること:

« 帰ってきました。 | トップページ | かりゆし手帳 »