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2013/03/24

ああやっぱり

朝日新聞デジタル:「郷土愛・愛国心育むため」 安倍内閣が識者会議設置へ - 政治

 郷土愛や愛国心を育もうと、安倍内閣が「ふるさと」をテーマにした有識者会議を来月中に立ち上げる。伝統や文化、自然を重視する内閣の姿勢をアピールする狙い。夏をめどに提言をまとめ、2014年度予算案への反映をめざす。

 「ふるさとづくり推進会議」(仮称)として、木村太郎首相補佐官(ふるさと担当)の下に設置する。メンバーは地域振興に取り組む民間人や自治体関係者。空き家を使った企業誘致で人口減少に歯止めをかけた徳島県神山町のNPO法人「グリーンバレー」の大南信也理事長も加わる。

 会議では、神山町などの事例をもとに話し合うほか、「ふるさとを理解することが、郷土愛や愛国心を醸成する」(政府関係者)として、小学校で地域の歴史や文化を学ぶ機会を増やすなど、教育も議論のテーマに取り上げる。

 安倍晋三首相は、「美しい国」を掲げた第1次内閣で、日本画家の平山郁夫氏を座長に「美しい国づくり」企画会議を設けた。また、「我が国と郷土を愛する態度を養う」とする改正教育基本法を成立させた。環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加を表明した際には「息をのむほど美しい田園風景を断固として守る」と強調している。

以前から感じていることだが、「地域興し」はこうした右翼・保守系の「愛国心」やオカルト・トンデモと結びつきやすい。つまり、これらに親和的な側面がある。もっとも、その一方で地域興しには草の根民主主義や反権力、自治という理路から左翼・革新系の心性ともつながっているのだが。
これに関連して、「長期実践型インターンシップ」に関する事業が日本財団といろいろ関わっているらしいことも気になっている。この関連では、2011年の東北震災当時、これを迷える日本社会・日本人への神の啓示であるかのような、あるいは日本社会・日本人の精神性を高める契機としなければならないというような、理念的・情緒的な主張を聞いたことがあり、慄然とした覚えがある。
インターンシップは、ことに日本においては学生の「成長」を第一の目標に掲げられていて、特に長期・プロジェクト型のインターンシッププログラムになるほどその要素は強くなる。こうした一種のスパルタ教育的な、意図的に厳しい環境や壁に直面させてそれを乗り越えるという経験をさせることで達成感と自信を得させ、精神的に成長させるというプログラムには、確かに保守系・右翼系の人たちとの共感を呼び起こす要素があると思える。プロジェクトやプログラムでは、公共性・社会性という価値を標榜しつつ滅私奉公的な努力と行動を要請するものが多いのも、それに合致している。
こうしたインターンシップは現在、地域興し的な要素を持つものが多く見られていて(というかそういうプログラムが選択的に長期実践型インターンシップに好まれているのかもしれない)、それは、地域を守ろう的な価値を吹き込まれてきた子供や青少年には親和的な(あるいはこうした価値を強化する宣伝の一つとしての)ものとなっているように思える。「地域興し」にはこの種の愛国心・愛郷心を無条件に肯定するような方向があることを危惧している。
一言断っておくと、私は愛国心・愛郷心を一概に否定するものではない。それはむしろ人の心の動きとして自然・普遍的なものだろう。私が懸念しているのは、こうした無邪気な「愛国・愛郷」の心の動きを、国家や自治体などの行政・政治的方向からコントロールすることや、地域社会・共同体における有力者からの帰属への踏み絵のように利用されることだ。そして残念ながらこの懸念は十分に現実的であって、こうした強制や規制、そしてそれに違和感を持つものの排除・迫害もまた、実際に人の社会に普遍的に見られることであり、また同時に、国家や地域に同化しない人を異分子として認識しこれを滅ぼそうとする動きにもつながっている。要するに、愛国心・愛郷心は政治的に利用されやすくまた人の差別感情と容易に結びついて過激化しやすいので、取扱注意の劇物なのだ。
安倍政権下で地域振興関連事業を維持拡充するには、安倍政権の右翼的心性に取り入るという「工夫」も必要かもしれないし、国家主義的な精神性に基づく地域社会の編成というのも全体主義的時代においては十分に実践されたことでもあるから、経済的活性化という側面からは確かに有効かもしれない。もっと言うと過疎地があるような地域では国家主義的な保守性は結構根強いし。けれども、ここからは共同体同調圧力や異分子排斥圧力の軽減という理路は生まれにくいし、さらに既存の体制容認的な方向に流れやすいのではないかと懸念している。人権、民主、ジェンダー、多民族、価値多様性という側面は、過疎地や農村でも(いや、だからこそ)重要な課題だが、こうした理路は安倍政権の「美しい国」的価値観とはかなり食い違うと思うからだ。

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