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2013/08/10

音楽ドキュメント「涙の書」~作曲家・譚盾(タン・ドゥン)の世界~

世界的作曲家の譚盾さんがぶら下げていたカメラはCanonのG11だった。テレビ見るまで全く知らない人だったけど一瞬で旧知の友人になった気分。

閑話休題。
NHKネットクラブ 番組詳細 音楽ドキュメント「涙の書」

映像と音楽が融合したステージで世界的な人気を集める作曲家タン・ドゥン。今年5月NHK交響楽団のコンサートで最新作を披露した。テーマは中国に伝わる謎の文字「女書」。女性だけが使ってきた不思議な形の文字だ。その文字が紡いでいた涙の物語とは?希望とは?タン・ドゥンは現地で女書の世界を撮影しては13楽章からなる交響曲を作り上げた。メインの楽器に選ばれたのはハープ。リハーサルや本番の演奏までを伝える。
たまたま録画に引っかかってはじめを見て驚愕した。女書という特殊な文字の伝承、1970年代には湖南省で40以上の村に伝わっていたが、現在伝承者は6人だけだという。いつ頃作られたものかはわかっていない。かつて女は学校に行かせてもらえず、読み書きを学ぶことも許されなかったのか。ひょっとしたら読み書き自体を禁じられていたのかもしれない。女書は筆の代わりに木の枝で、炭の代わりに鍋底の焦げ付きが使われたとも言う。「女は手羽先を食べさせてもらえなかった。手羽先を食べると飛べようになると言われていて、女が飛ぶことは許されなかったから」という土地の昔語りを聞きながら、纏足の歴史と「結婚の日は悲しくて仕方なかった」という老婦人たちの声が紹介される。*1
湖南省の古い農村の風景と、普段私たちがなかなか触れる機会がない中国の民衆史。語り部は自分たちの父母、祖父母の世代の人たちで、現代の人に間違いないのだが、古い伝統を受け継ぐ農村の生活を背景にして登場するので、まるで100年前の人が歴史を語っているかのような重厚感だ。

さて、番組は現代作曲家の譚盾(いい人なんだけど、すごいお金持ちみたいで乗っている車、着ている服がやたら上等で、それがまた農村生活とのすごいギャップになっていてそれも見所)が、この女書とそこにまつわる女たちの歴史・物語に魅せられて作曲が…というふうに展開するのだけれど、残念ながら録画は途切れてみられなかった。
ただ、番組のはじめではN響の音楽家たちとの練習風景があって、N響はもちろん世界のスーパートップ楽団に比べれば見劣りがするけれども、間違いなく超人の域にいる演奏家の集団。その超人(というか、神?)たちが普段着を着て楽器を操っている様が見られるのも、また身震いするほどの興奮。いやー音楽って本当にすごいですね。

あと、番組内で、譚盾が触れていたピアノがすごかった。鍵盤が一つずつ塗り分けられていて、骨組みだけ。まるで機織りの機(はた)みたいに見えるんだけど、ピアノだという。譚盾は、その鍵盤に触れながら作曲のモチーフを紡ぎ出していく。
たぶん古いピアノを改造?したものだと思うけど、あれは欲しいなあ。ピアノってあんな風にめちゃくちゃにしてしまってもいいんだ。なんだか、もっと自由になれよ、と言われている気がした。
*************

*1. ただ、成城大学の劉氏が書かれた「『女書(ニュウ・シュウ)』とは?世界で唯一の女性だけの文字と歌」カレイドスコープ|NHK交響楽団によると、女書の実像は少し違うようだ。すなわち、

女性が漢字を学ぶチャンスの少なかった時代には、女文字が書ける人も多くはありませんでした。したがって、女文字が書ける女性は「君子女(ジゥン・ズー・ニュウ)」と自称していたそうで、たいへん誇らしい存在でした。
とのこと。また、女書がある湖南省江永県は比較的豊かな農村で、女性は農作業をせず針仕事に従事し、また女性だけが集まる行事が様々あるということで、貧困と差別の苦境を耐える抵抗の文学のような意味づけは一面的な見方になるようだ。
*************
NHKクラシック トピックス:NHK
音楽ドキュメント「涙の書」
~作曲家・譚盾(タン・ドゥン)の世界~(仮)
BSプレミアム 3月27日(水)午後3:00~4:00

中国湖南省の村々に"女たちの間でのみ書かれ読み継がれる文字"がある。
世界的に活躍するアカデミー賞・グラミー賞作曲家の譚盾(タン・ドゥン)氏は、かねてより故郷に伝わるこの文字に深い関心を寄せている。

そして、この不思議な文字"女書"で伝えられる物語をテーマに、今年の5月22日、NHK交響楽団による世界初演に向けた創作に取り組んできた。

これは同時に、タン氏にとって、ドキュメンタリーと音楽の融合という新たな可能性を探る試みの場ともなった。
番組では、タン氏とともに湖南の村々に女書を取材、音楽作品が誕生するまでを描く。

譚盾(タン・ドゥン)

現代中国を代表する作曲家。1957年、中国湖南省生まれ。文化大革命期、政府の命令で農業に従事しながらも、農民楽団を結成。村に残るシャーマニズムの影響を受けた独自のスタイルは、この頃に培われた。
その後、北京音楽院に学び1985年渡米、コロンビア大学博士課程で現代音楽を学ぶ。

中国返還式典のため「交響曲1997天地人」以降、2008年北京オリンピック、上海万博への作品提供など、様々なシーンで活躍を繰り広げている。映画「グリーン・ディスティニー」でグラミー賞、アカデミー賞を授賞。NHK交響楽団とも縁が深く、委嘱作品「門」、オペラ「TEA」などを作曲・指揮。2011年中国ベストアーティスト賞受賞。

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