視聴メモ:カルチャーラジオ「近代日本へのまなざし」、NHKスペシャル「病の起源第3集 うつ病 ~防衛本能がもたらす宿命~」
NHK第一のカルチャーラジオはどれもかなり面白いのだけど、時間を取って聞くことが難しい。
今回聞いて、特にラフカディオハーンについて「へぇ~」と思ったのでメモ。
ところでカルチャーラジオにはテキストが出てるんだけど、このお話のテキストは出ていないみたい。お話を聞くより読む方が早いし後で読み返すこともできるから、出して欲しいんだけどな。
さて、番組途中から聞いたことを思い出せる範囲で。
クラーク博士
日本にいたのはわずかだったが、人生の中で最良の1年であったのではないか。
北海道知事の黒田との関係もよく教え子との交流も深かった。
マサチューセッツでは借金もあり、農学校であったにもかかわらずリベラルアーツを重視したような教育を推進して予算を浪費したりするなどで校長としても批判を受けたりして十分に評価されていなかった一方で、日本では給金も2倍ぐらい会ったのではないかと思うほどに高く、自分の教育ができ、さらに教え子の多くをキリスト教徒にすることに成功するなどして、充実していた。西南戦争の戦費負担が大きく、開拓使が?クラークとの契約更新を望まなかったことで再来日はかなわなかった。
ラフカディオハーン
文学界のコロンブスを目指したハーン。未知の世界を素材として文学作品を創作することを望んでいた。しばしば日本理解者・親日家としてのイメージを持たれるハーン。来日直後は熱烈な喜びを語っていたが、徐々に日本への嫌悪感を募らせていく。松江滞在末期にはアメリカに帰るかせめて西インド諸島へ行きたいと手紙に書いていたが、かなわず熊本へ移り、そこで熊本への嫌悪感を募らせた後、突然熊本五中の職を辞して熊本を離れる。彼を日本に引き留めたのは妻と幼子への配慮であった。日本を嫌ってはいたが家族への愛は深かった。
彼ははじめから日本にエキゾチックなものを求めていた。西洋と異なる存在として日本と日本人を捉えており、西洋と日本とは決して本質的な理解に至ることはないと考えていた。これはクラークや大森貝塚の発見で有名なモースが、本質的には西洋人も日本人も同じであるという立場に立ち、日本人との交流に成功したのとは対照的である。
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NHKスペシャルの「病の起源第3集」の鬱病の話。
こっちは比較的単純に。
魚時代:危険な天敵から逃げるため、脳に扁桃体が発達。
魚に天敵と一緒に長く過ごさせると鬱病になったという実験が印象的。
我々も、長い間プレッシャーをかけ続けると、鬱病になっちゃうのか!と思いました。
チンパンジー:孤独=危険→孤独が続くと強いストレスが続いて鬱病に。
共同体を作って生活する人間とかは社会関係からストレスを受けるようになったということ。
人間:さらに記憶の発達が鬱病の原因にも。
過去の恐怖や不快な記憶を繰り返し思い出すことがストレスに。
ブローカ野の発生:他の人の話から得た怖いこと→扁桃体を暴走させる
なんにしろ、長くストレスにさらし続けると鬱病になるんだ!と思いました。
平等な社会だと鬱病がないという話。人間は不平等を知覚すると扁桃体が活動して不安な状態になるみたい。自分が得をして他人が損をしている状態でもそうなるらしい。へぇ~。
まあ確かに実験経済学でも、一般に裏切りや個人の利得追求への抵抗感があることは知られているし、ネット上の「炎上騒ぎ」などを見ると攻撃の多くが公平や平等を口実にしているから、この話は何となく納得できる。おそらく、人間という種族は、平等や公平、互恵互酬への敏感さを進化的に獲得してきたんだろうと思う。で、それが過剰な制裁や冷酷さにつながったりもしてるわけだけど。
閑話休題。で、農耕が始まって不平等社会になって鬱病が再び発生するようになった。
以前これもNHKスペシャルだったと思うけど、貨幣を持たず完全な平等分配社会では、富の蓄積も利益の追求も競争も起きないから社会が停滞してしまう…というような話があった。
鬱病の最新治療
脳手術というなかなかすごいのもあったけど、お手軽っぽくて参考になったのがこれ。
→生活改善療法
夜は早く寝て昼にしっかり日の光を浴びる(規則正しい生活)
社会につながる、人と関わる、仲のよい仲間との交友
定期的な運動→運動刺激は萎縮した脳の神経細胞を復活させる
何だか当たり前みたいなことだけど、平穏で落ち着いた健康的な生活が精神状態を回復させるんだね。昔から療養ってそういう感じだったけど根拠があったんだなあ。
しかし、適度な運動が脳を修復するってのはちょっとびっくりした。友達と運動するのって、脳を活性化する上でもすごい意味があるんだなあ。
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