先生を増やすこともできないほど我々の国は貧しいのだろうか。
臨時採用教員 6人に1人の自治体も NHKニュース(10月19日 19時49分)
・小中学校の臨時採用教員が増えている。
・十分な研修を受けないまま担任に就いているケースもあり、教育の質を確保できないことが課題になっている。
・文科省は、臨採教員も研修を受けさせることで問題を解決したいとしている。
なぜ増えているのか=なぜ臨採ばかりで正規採用しないのか
・定年教員の大量退職
・少子化傾向→今正規採用すると、子供が減った時に教員が多くなりすぎる。
・少子化傾向→今増やしても将来は採用を絞る→将来の教員の年齢構成が中高年に偏る
ということだそうです。
要するに、教員数を増やしたくないということだと思いますが、あまりいい方法だと思えません。さらに研修強化という方向も、教員の事情を無視した無慈悲な方法だと思います。
1.学級内の生徒数を減らして少人数教育へ、あるいは副担任を手厚く配置するという方向へ進むべき。
現在でも初等教育段階でつまずいている生徒は少なくありません。さらに学習困難な児童・生徒への対応も一層求められていくでしょう。どうしても教員一人で対応できる人数には限界があります。また、教育問題の改善には地域社会や保護者との連携強化も必要ですが、そのためにも先生方の負荷を減らすべきです。
2.近年の傾向では、教員の労働強化が進んでいて教務や研究に割ける時間が減少しているばかりか、教員の疲弊も進んでいる。(参考:教員の残業 月20時間増える NHKニュース)
心身の障害を訴えて休職する教員や不祥事を起こす教員も増えています。現場教員の落ち着いて子供に向き合えないという声も強いです。先生たちによい環境を持ってもらうことが教育の改善につながるはずです。
3.地域振興、過疎対策、定住促進の文脈では教育環境の充実が大きな課題になっている。
地方在住の若い親の悩みの一つが教育問題です。地方への定住を希望する20代や30代の人に聞くと、子供の教育環境への不安がよく出てきます。また、離島など高校がない地域では15歳以上の若者の流出が顕著で、まさに地域の再生を担う世代が消えてしまうわけです。
4.臨時採用という雇用形態は、現状では人材の使い捨てであり、被雇用者にとって負荷が大きい。
将来の教員数削減を前提とした臨時採用では、教員としてのキャリアを想定できず、将来の転職を前提としたジョブパスを描くしかありません。新卒での民間就職というメリットを捨てて教員になることは、将来は非正規労働者(しかも高年齢の)になるという覚悟を要求されます。他分野への転職活動をしながら、正規教員並にフルタイム+残業をこなして職責を果たせというのは過酷な要求だと思います。
5.臨時採用者に正規教員と同様に研修を受けさせるのは本人に過負荷になるかもしれない。
上述と同様の理路ですが、臨時採用者は翌年度の採用試験準備をし続けています。研修に動員されることで、本人にとって極めて重要なその対策時間を奪われることになるかもしれません。
というわけで、教員採用は正規雇用を基本とし、教員の人件費は削らない、いやむしろ増やすべきです。人口が減少すれば徐々に予算に占める比率が高まるでしょうが、それは少子化対策という観点からも、本来そうするべきものです。それでもなお、どうしても将来は教員数を減らさざるを得ないというなら、若い人材を不安定雇用の中に放り込むのではなくて、現職の定年延長や再雇用で対応するべきです。
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全国の公立の小中学校で臨時採用の教員が年々増え、今年度は6万3000人余りに上り、自治体によっては6人に1人を占めていることが文部科学省のまとめで分かりました。*******追記(2013年10月20日15時56分)
正規採用の教員の不足を補う形で十分な研修を受けないまま担任に就いているケースもあり、教育の質を確保できないことが課題になっています。教員には正規採用のほか、原則1年未満の雇用を前提に担任も受け持つ「臨時採用」と音楽など一部の教科だけを教える短時間勤務の非常勤講師がいて、文部科学省は平成17年度から全国の公立の小中学校の状況を調べています。
このうち「臨時採用」の人数は、ことし5月1日時点で6万3695人と8年前の1.3倍に増えていることが分かりました。
定員に占める割合が最も多いのは、沖縄県で16%と6人に1人に上り、次いで埼玉県と奈良県、それに福岡県でいずれも12%となっています。
「臨時採用」は本来、出産や病気で休職する教員に代わって退職者などを即戦力として雇用することを想定していますが、文部科学省は正規教員の不足を臨時採用で補うケースが増えているとみています。
文部科学省は「採用試験に合格できなかった若者が十分な研修を受けないまま担任に就いているケースもあり、教育の質が保てない」として、臨時採用の教員を対象にした研修を進めるとともに、自治体に対して正規採用を促すことにしています。なぜ増えているのか
臨時採用の教員の増加には定年を迎えた教員の大量退職のほか、少子化も影響しています。
定員に占める臨時採用の割合が12%と全国で2番目に多い埼玉県では公立の小中学校の1割のクラスで臨時採用の教員が担任をしています。
埼玉県では子どもの数が90万人余りとピークだった昭和50年代に採用された教員が、今、一斉に定年退職の時期を迎えています。
その分、新しく教員を採用したいところですが、この30年で公立の小中学校に通う子どもの数は38万人、率にして40%減少。
今後も少子化は進む見込みで、今の子どもの数にあわせて正規採用すると、将来、教員が多くなりすぎてしまううえ、新たに採用できず年齢構成が中高年に偏ってしまうおそれがあるとして臨時採用の教員で調整しているということです。
この対応は、今後も続けざるをえないとして、臨時採用の教員を対象にした研修を充実させる自治体もあります。
さいたま市では、初めて教職に就いた臨時採用の教員に校内で7回、教育委員会で5回、研修を行っています。
18日に行われた研修には50人余りが参加し、子どものほめ方や叱り方など生徒指導の基本を学んでいました。
さいたま市教育委員会は「子どもにとっては正規も非正規も関係ない。
教育の質に差が出ないよう当面は研修などを充実させるしかない」と話しています。
教員の残業 月20時間増える NHKニュース(10月20日 4時29分)
公立の小中学校や高校の教員の1か月の残業時間は10年前に比べて平均で20時間増えていることが教職員で作る組合の調査で分かり、長時間労働の解消を求めていくことにしています。
この調査は全日本教職員組合が10年ごとに行っていて、去年10月、39の都道府県の公立学校に勤める教員、およそ6900人が回答しました。
それによりますと1か月の残業時間は小学校では68時間36分、中学校では91時間43分、高校では79時間19分で、10年前より平均で20時間増えていることが分かりました。
また、土曜日と日曜日の勤務時間は1か月に合わせて16時間余りとなっていて、「授業の準備をする時間が足りない」という教員が76%に上っていました。
組合は「土曜授業を行う学校が多くなっているのに加え、情報管理が厳しくなり自宅に持ち帰って仕事をすることができないため休日出勤する教員が増えたのではないか。子どもたちとしっかり向き合うためにも長時間労働は解消しなければならない」として文部科学省に対し教員の数を増やすよう求めていくことにしています。
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