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2013/10/18

台湾で思ったこと

先日台湾の本屋で立ち読みしていたら、日本統治時代の近代化に触れていた本があって、やっぱり暗黒時代だったという書きぶりでした。植民地時代の近代化施策の中には後の役に立ったものも多少はあったという評価をしつつ、「しかしそれは全く日本自身の利益のためになされたものでしかなかった」という認識です。この本の主題は蒋介石がやって来た後の統治を強く批判することにあるので、蒋介石時代との相対性において日本統治時代をこのように評価しているようでした。台湾における歴史認識の多重性というか複雑さというかについて考えさせられました。

日本では、よく「台湾は親日国だ」という言い方がなされます。台湾で会った日本人企業家も同じことを口にして、大陸中国での事業リスクと比較しながら、台湾でのビジネスの安全性について力説していました。曰く、
「中国では反日教育が徹底しているから、中国人は本質的に日本人を嫌っている。ビジネス上はにこやかに握手をしていても、腹の中では何を考えているか分からない。政治が経済政策に直結していることもあり、彼らとの取引は危険だ」
というのです。反日教育についても、国内の不満をそらすために日本をスケープゴートにしているという認識でしかありませんでした。
こうした発言は経営者の人と話すとしばしば聞きますが、その都度、ああ今も日本人は戦前の植民地主義の頃と全く発想が変わらないんだなあ、企業とは本質的に帝国主義的なんだなあとしみじみと思います。

話が脱線しました。こうした大陸中国(と中国人)への反感や猜疑心と裏腹に、「台湾は親日国」という素朴な信仰が語られるわけですが、しかし、台湾の立場では実は決してそんなお花畑的な幸せなイメージがあるわけではなく、日本支配時代の総括がなされないままに国民党支配と向き合わなければならなかったことが、日本統治時代への相対的な積極評価につながっているということが推測されるわけです。どっちも地獄だったけど、今の地獄とのたたかいの材料として、かつての地獄の「良さ」を引き合いに出すみたいな。そうだとすると、日本人がその「親日」的な姿勢に無邪気に乗っかるのは、あまりに無邪気に過ぎるというものでしょう。上述の企業家の発言などからそういう危うさを改めて感じた次第です。

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