映画「謝罪の王様」に興味を持たされてしまった話。
生きているのに死んだことにされていたので、「やめさせて」と裁判所にお願いしたら「お前が悪い」と言われた件。
東京高裁によると、
「原告は神社の宗教的行為で感情を害されたことを問題にしているが、他者の信教の自由には寛容であることが求められる」
のだそうです。個人の尊厳はどうなるんだろう。
以前は靖国神社も合祀から外したこともあったそうですが、戦後も70年になんなんとするというのに、柔軟化するどころかますます先鋭化する有様。日本の国家宗教の問題は明治以降、まさに今に至るまで思い影を落としていますね。
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氾濫する“土下座” - NHK クローズアップ現代
一方こちらは、日本人の心性に根ざす問題が先鋭化しているというような問題。
ドラマ「半沢直樹」、最終回だけ見ました。確かに面白かった。
でも、同時に気になったのは、これって仇討ちや制裁の快楽、カタルシスを強調するドラマだよねってこと。
これが猛烈にブームになるってことは、どれほど多くの人がどれほど深い恨みや怒りを溜め込んでいるんだろうと思うと、ちょっと恐ろしく、また切なくなりました。
スーダラ節を歌って恨みや怒りを脇に逃して溜め込まないという軽やかさも、上を向いて涙をこらえ憎しみも屈辱も昇華させるという我慢の美学も、そして苦しみの元に目を向けて社会に働きかけようという大衆行動へのエネルギーも、今はもうすっかりなくなってしまったかのようです。
映画監督の森達也さん曰く
特に、日本人の意識が変わった、それは間違いないです。森さんって、以前、紀伊國屋書店の書評誌「スクリプタ」に「虚実亭日乗」という面白い連載を書いていて、そこでも、日本社会にある異質さへの過敏さとそこから生じる差別や排斥の問題を取り上げていました。私たちが日常生活の中でいかに何気なく排斥を生み出してしまうかを、経験を元に語られていて印象的でした。
ことばにしちゃうと、僕は集団化だと思います。
つまり盛んに今、右傾化、保守化ということばを口にする人多いけど、僕はそうじゃないと思うんです。
疑似右傾化、疑似保守化、実質は集団化、不安と恐怖が強くなったからこそ、みんなでまとまりたい、1つになりたい、そういった過程の中で、異物を探したい、異端を探したい、それをみんなで排斥したい、そういった気持ちがとても強くなってきてる。
それが今ね、こうした現象になって表れてるんじゃないかなという気がします。
(例えば、何の集団から、ちょっとはみ出たような人に対しては、みんなで攻撃をすると?)
容赦なく攻撃を加える、排斥したくなる。
さらに言えば、はみ出る人がいなければ、はみ出る人を作ってしまう。
だから、学校のいじめと一緒なんですよ。
つまり、それを排斥する過程の中で、自分たちは多数派としての実感を持てるわけです、安心できるわけです。
同時に、異物に回りたくないと。
だから、みんなと同じ行動をしたい、つまり同調圧力ですよね。
それがどんどん強くなってしまう、そういった社会に、今が、どんどん加速してるんじゃないかなという気はします。
森さんは日本人の意識が変わったと言われていますが、「もともとあった本性が現れてきたのでは」という見解もあります。
[3755] 対外政策の視点から見た、今の世相は? 投稿者:Teru 投稿日:2013/10/24(Thu) 22:29あまり「日本人の心性」とか「日本人の本性」とか「日本人の意識」とかには深入りしたくないですが、社会的風潮は現象としてあると思うので、その継続性や深層をどう捉えるかという点においては、なかなか興味深いです。
(中略)
これが、今のTV番組で扱える範囲内で読み解こうとする余り、
「日本人の意識が変わった」とか
「江戸時代の歴史の視点」とかになってしまう。大日本帝国における「ウチ」と「他所」の扱いからすれば、
「集団化」含め、本性が再び表に出てくるようになったのではないかと。
で、クドカンさんの話。
「謝罪会見で、頭を何秒下げましたかまで記事になったりすると、そもそも、なんでこの人謝っているんだっけな、みたいな。私なんか頭が固いので、土下座会見とか見ると、単純に「気持ち悪い」って思うだけなんですけど、クドカンさんは「面白い」って思うんですね。で、さらに「謝罪師」なんてものを考え出しちゃう。そこがすごい。何という柔軟さと鋭さと発想力。面白そうだと思わざるを得ない。
謝ることがスタイルになって、心が伴わない謝罪になっていく。
それがすごい矛盾していて、面白いなと思ったんですよね。」主人公は架空の職業、謝罪師。
「相手の不満を引き出して、その欲求を満たしてあげれば、怒りは半減します。」
謝罪のテクニックを駆使する姿を、パロディーとして描いています。
あっ、こういうのをステマっていうのか。NHKめ…。
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