慰安婦問題は私たち自身の問題。
朝日新聞デジタル:慰安婦問題 野田―李政権で幻の政治決着 昨秋交渉 - 国際
この交渉自体はとりあえず評価できると思います。
しかし、こうした問題について、「最終的な解決」などというものがそもそも存在するのでしょうか。
私たち加害者ができることは、過去を忘れず、あのような惨劇を二度と引き起こさないという姿勢を示し続けることでしかないと思うのです。きれいさっぱり水に流そうなどということはできないでしょう。少なくとも加害者側からは。
悲劇を引き起こさないための日常的な取り組みを持続させることこそが本当に求められていることであって、お金や言葉が「解決」や「決着」ではないはずです。
もう一つ、仮に政府間で「決着」しても、おそらく社会的にはこの問題は決して終わらないということです。
私たちの国には、日本政府が謝罪や補償を行うことに強く反発する人たちが非常にたくさんいます。そしてその中から、中国や韓国・朝鮮に対する差別意識を強め、排外主義をむき出しにする人たちが現れています。おそらく、今回も、こうしたヘイトスピーチや迫害、民主党や野田氏を国賊扱いする言動が現れるでしょう。そしてまた、数多くの政治家が排外的で無反省な「日本は悪くなかった」「韓国は愚かで悪辣だ」という趣旨の蒸し返しを行うでしょう。そうして、日本政府が目指した「最終決着」は水泡に帰し、慰安婦問題が再び外交問題化するわけです。これまでそうやって何度も被害者の感情を逆撫でして、日本政府の外交努力をぶちこわしてきたように。
結局、私たちがすべきことは、先に述べたように、外交問題を政府間で「決着」させることではなくて、「私たち自身の問題」として過去の歴史に向き合い、過ちを繰り返さないために何が必要なのか、人権や差別をどう考えるべきなのかを深く考えることなのだと思います。そうして、排外的な言動が広がるのを食い止める、せめて、第一線の政治家が愚かな発言をすれば、それが彼・彼女の政治生命に直結するような状況を作り出すことこそが、「決着」に近づく本当の道なのだと思います。
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朝日新聞デジタル:慰安婦問題 野田―李政権で幻の政治決着 昨秋交渉 - 国際
2013年10月8日3時4分
【箱田哲也】日本と韓国間の懸案となっている従軍慰安婦問題で、両国政府が昨年秋、被害者へのおわびや人道支援などで最終的に解決させることで合意しかけていたことが双方の関係者の話で明らかになった。野田佳彦首相が元慰安婦に送る手紙の文言で最終的な詰めに入っていたが、衆院の解散で動きは止まったという。日本政府関係者によると安倍政権発足後は慰安婦問題は協議されていない。慰安婦問題をめぐっては韓国の憲法裁判所が一昨年8月、韓国政府が日本と交渉しないことを違憲と判断。同年12月に京都であった日韓首脳会談はこの問題で決裂した。日本政府は野田首相や斎藤勁(つよし)・官房副長官が外務省幹部と検討を重ね、昨年3月、佐々江賢一郎・外務次官を訪韓させた。
当時の複数の日韓政府高官によると、次官は(1)政府代表としての駐韓日本大使による元慰安婦へのおわび(2)野田首相が李明博(イミョンバク)大統領と会談し、人道的措置を説明(3)償い金などの人道的措置への100%政府資金による支出――の3点を提案した。
日本政府は慰安婦問題について、日韓請求権協定により解決済みとの立場。これを守りつつ人道支援を探るぎりぎりの内容だった。
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