人間を使い捨てにして恥じない日本の「産業界」
アングル:政府が外国人労働者の拡大検討、単純労働者受け入れも | Reuters(魚拓)
技能実習制度の実習期間3年を延長すべき、との方向だそうです。
記事本文にあるとおり、
「外国人技能実習制度とは、日本の技術を途上国に移転し、人材育成を支援するため」の制度。
別の角度からすれば、
「もともと日本企業が海外進出する際に、現地で採用する労働力の確保を主眼とした制度」でもあったわけですが、いずれにせよ本来は、外国の発展を助けるための国際協力を眼目としたものです。
しかし制度創設当時から、裏の本音、即ち、安価かつ柔軟に単純労働者を使い倒したいという狙いが透けていて批判が強かったし、実際、自殺や殺人事件まで起きるような無茶苦茶な奴隷的労働の源泉として、これまでこの制度は便利に使われてきたわけです。
でも、本音の部分は、とりあえず建前で隠蔽しようという姿勢はありました。
しかし。
人手不足対策として同制度を使って外国人労働力を確保したいとの産業界の声が高まっている。のだそうです。
理由
1.農林水産業の作業者が慢性的に不足している
2.復興需要、オリンピック景気で、建設系単純労働者が不足する
3.政府目標である2%の経済成長率を達成するのには労働力が足りない
もうね、本音むき出しです。現実がもう隠す必要すらないほどあからさまだからでしょうか。
1.については、元々人権抑圧の源泉になっている実習制度を止めて、単純労働者のビザをきちんと出すべきです。本音むき出しにするのだったら、実習制度とかいうお為ごかしはもう必要ないでしょう。正当な労働者として扱いましょう。
2.については、一時的な労働需要の調整弁に使いたい意志がすけすけで、もう恥ずかしいとしかいいようがない。普通の市場では、供給制約があれば価格上昇が調整役になるのに、それを量的に調整しようという、要するに、建設作業員の賃金・労働環境を改善するつもりがないわけです。しかも、外国人実習生なら在留期限で追い出せると踏んでいる。度し難い。
しかし、短い人生の…しかも現場労働者だからキャリア形成上重要になる若い時期の…5年とかをかけて建設系の(しかも日本という特定環境の)現場作業で経験を積んだ人が、そうあっさりと国を変えて別の労働市場に移ろうとするでしょうか。しかも世界有数の高所得国である日本を捨てて?
企業は雇い止めにして社会に放り出し、国は不法滞在者扱いして日の当たる場所で生きる術を奪ってしまえば、彼らがどうなるか、どうしようとするか、そしてそういう人びとを、マジョリティである「日本人」がどのような目で見ることになるかは明らかでしょう。それは80年代から顕著になった外国人労働者問題で既に見られたことです。
3.については、もう無茶苦茶です。そもそも生産要素の供給制約すら見極めていない経済計画ってどういうことなのか、という話です。こんなのエコノミストがする仕事じゃありません。経済財政諮問会議って、経済学のプロはいないのでしょうかね、伊藤元重先生?
もしそうじゃないなら、逆に産業競争力会議が名誉毀損しているわけですからきちんと反駁すべきです。現状の労働力でちゃんと2%成長できますって。恥ずかしくないのかというほどの情けない議論ですよ、実際。
というわけで、景気の調整弁にして使い捨てる気満々の、しかも、雇い止めにした後の尻ぬぐいは全部社会に、要するに、公共のお金と責任に丸投げする意欲丸出しの、今回の単純労働者受け入れ緩和の議論には反対します。
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