記憶遺産:特攻隊員の遺書は落選。
知覧の特攻隊資料が世界記憶遺産に申請という件: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
以前こちらで言及した件。
世界記憶遺産:候補に「東寺百合文書」「抑留者引き揚げ」 - 毎日新聞(2014年06月12日 20時42分(最終更新 06月12日 23時11分))
今回は4点の申請があり、それを2点に絞らねばならなかったわけですが、そのうち1点は東寺百合文書に内定していたので、残り1枠をシベリア抑留の記録、特攻隊員の遺書、全国水平社設立宣言が争っていたわけです。
シベリア抑留の記録は、
・「舞鶴への生還」(同・京都府舞鶴市)は抑留者がシラカバの皮につづった「白樺日誌」など570点。
で、それが選ばれた理由としては、
・市文化財に指定され、世界的な重要性などが高評価を受けた。
とのこと。
他の落選理由は、
・「特攻隊員の手紙」は「日本からの視点のみの説明。世界的な重要性の説明が望まれる」と指摘。「全国水平社創立宣言」は保存性や公開性の説明が必要とされた。
ということだそうです。
やっぱり、特攻作戦が人類史上も重要な普遍的な問題を提起しているという観点からアピールしないと難しいということだったのかなあ、と思ったりします。
他方、記憶を受け継ごうとする営み全体が評価対象になるのだろうと思っていましたが、この記事を見ると、どうも資料そのものの価値、保存性、公開性が審査対象になっているようです。
以前も述べましたが、特攻の記憶は美談的な扱いにせず、原水爆と同様「過ちは二度と繰り返しませぬから」の精神で平和研究の礎としてほしいし、知覧は特攻研究のメッカになる資格があると思います。鹿児島には神風の他に震洋の基地もあったし、ずーっと沖合ですが大和の沈没地点もあるし、特攻作戦とは縁が深い土地ですから。
他にも、鹿児島には戊辰戦争以来の戦没者追悼碑も各地に点在しているので、明治維新以降近代日本が抱えた負の歴史をたどり、国家と民衆との関わりについて考える旅もできると思います。
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