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2014/07/17

「マスコミ」の問題ではないような:我が身に迫る耳の痛い話

取材された難病少年も静かな怒り、日本の海外ロケの無茶 - Global Press - 朝日新聞社(WEBRONZA)

日本のテレビ取材がひどいという話ですが、身につまされる。マスメディアだけの話でないと思います。

日本の制作陣は、ロケ地に入る前に日本で入手できる情報を基に、制作会社と局(時にはスポンサーも交え)で徹夜の会議を重ね、シナリオをガチガチに固め、それにピッタリはまる映像とコメントを撮りに来る。限られた予算と日程の中で手っ取り早く撮ろうとするので「ドキュメンタリー」とは名ばかりだ。
この指摘は非常に耳が痛い。まさにその通り、何かを会社で通そうとしたら、事前の承認を得るために、「シナリオをガチガチに固め」た絵を描かなければいけない。
・いつ、誰が、どこで、何を、どうするのか、そして、それは何のためか、
という5W1Hが完璧に説明されないと、そして計画に対する詳細な質問に合理的な説明ができないと予算が下りないわけです。
勢い、計画実行後に得られる成果を、あたかも既に完成したもの、100%確実にその通りにできあがるものであるかように描きたくなります。そして、事後の検認と評価のことを考えると、その計画から一歩たりとも踏み外したくなくなる。
予定外のことがあるたびに計画との摺り合わせ、つじつま合わせに苦しみますし、誰かが計画にないことを希望したりすれば、怒鳴りつけたくなるようないらだちを感じます。それが計画実行中は延々と続きます。海外でホテルの宿泊費が予算時とほんの少しずれていたりするだけでも、しわ寄せできる部分を探して頭を悩ませたり、たまたま誰かとのアポが予定通りできなかっただけでも、それがいかに不可抗力で、万全の準備と全力の努力にもかかわらず不調に終わらざるを得なかったやむを得ない出来事であったかを証明するための言い訳を考えたり、こんなことばかりやってるわけです。
てなことを言うと、「不確実性も含めて上司を納得させておかなかったのが間違い」と言われるわけですが、「不確実な企画に出せる予算はない」と言われて終わるわけです、うちの場合。AプランがダメなときはBプラン、それもダメならCプラン……と列挙して、その上で最低限これだけは絶対に確保できます、という話にしないと納得が下りない。そんな話だと確実な成果などほとんど取るに足りないものになるので、そもそもやる意義がないとなる。何かやろうと思ったら、どこかで風呂敷を広げないと上の関心を引けないわけです。すると多少無理筋でも、シナリオを実現せざるを得なくなる。
諸外国のテレビ取材もみんな同じようなものなのだろうか――EUやベルギーの公的機関のプレス担当に尋ねてみた。日本の取材陣と他国の大きな違いは、流暢ではなくとも意思疎通に充分な英語ぐらいはできること。「あなた達のような通訳からパシリまで何でも丸投げできるコーディネータなんて存在しないから、自力でなんとかしてますよ」と苦笑された。
これも耳が痛い。日本で事前に練り上げた厳密な日程どおりに動いているので、基本的に出張メンバーや駐在には調整権限も能力もないわけです。裁量の幅がすごく狭い。そして日本的常識というか、日本的海外観で現地を見ているし、派遣スタッフも必ずしも弾力的に動ける人材を選んでいるわけではなくて、日本での社内人事的な判断でクルーを決めたりしているので、英語はおろか現地にほとんど理解がない人を入れなければならなかったりする。要するに、自力で意志決定して調整できる余地のないお上りさん団体的なチームが、絶対に変更できない計画を持ってやってくるので、現場との不整合をなんとか調整するための人材が必要になるわけです。
事前に現地での下調べや打ち合わせが何度かできればいいのでしょうけど、ウチみたいな中小だと下調べすらなしのぶっつけ海外本番みたいなこともあるので、現地では子供じみたお上りさん集団のような恥ずかしいことになりやすいです。現地で何度か恥ずかしい思いもしていろいろ懲りたので、最近は会社の身の丈に合わないことはやめた方がいいという内向き指向になってます、私自身。

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