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2014年8月の9件の記事

2014/08/23

天皇教の困ったところ。

天皇こそ役に立たないんだから心置きなく静養に行けばいいと思うんだが。 - 誰かの妄想・はてな版

こちらのコメント欄に天皇教信者の方々から意見が寄せられていますが、それを拝見して思ったこと。

1.天皇が絡むと感情が先に立って判断力が落ちる。

まあ信者だから仕方ないのでしょうが、「天皇や皇室が批判されている」と短絡してしまうと読解力が落ちてしまうし、その修正も難しい。
上記の記事は別に天皇を批判しているわけじゃないんですけど、どうもそう読めない人がカッとなって反論コメントを書き込んでしまうようです。

2.現人神が最高権威なので、天皇その人への批判が原理的にできない。

キリスト教などでは権威は神という非実在にありますから、教皇を批判することは原理的には可能です。
もちろん、ローマンカトリックの組織的にその最高指導者を批判することは簡単ではないでしょうが、教皇は神の権威の現世における代行者であったり表現者であったりするだけなので、彼を否定しても神を否定していることには直接的にはつながりません。むしろ、神の名の下に、正当性を確保しつつ、教皇を批判するという形式を取ることになるでしょう。

ところが、天皇教の場合は、天皇を超越する「神」となる権威が存在しません。だから、天皇の言動を批評することが原理的にできません。原則的に褒め称えあがめることしかできないのです。したがって、天皇の言動について何かを言おうとする場合、天皇のすばらしさを肯定する文脈であることが分かるようにする必要があります。

実際、天皇が静養を取りやめても災害支援の実際には何の役にも立たないわけで、
「別にそこまでしなくてもいいのでは?」
という感想が出てくるのはもっともなことですが、しかし、それをそのまま表現するのはタブー、すなわち天皇教信者の怒りを買ってしまうわけです。

*******
ところで、一般的に、宗教が発展するためにはその神学的解釈の批判的検討を深めることが不可欠だと思いますが、天皇教の場合、神と指導者が同一なのでそれが難しい。天皇本人の言動や思想が変化すれば、それに神学的正統性が振り回されてしまいます。解釈を安定化するためには、天皇存在の聖性のみを残して本人という個人性と切り離すという方法があり、実際、象徴天皇制というのはその例であるわけですし、しばしば「空虚な中心」のような言われ方をされたりするわけですが、ただ、現実には完全な切断になっているわけではありません。天皇の聖性への尊崇の念を政治利用するためには、しばしば天皇の言動や人柄が表面化する必要があるからです。それゆえ、皇室の伝統という価値を重視しつつも個人崇拝の域を超えられない天皇教は、しばしば天皇の言動を巡って動揺することになります。例えば女系への皇位継承を巡る論争はその一つでしょう。
天皇は無謬であり絶対善ですから疑問を差し挟むことはできないのですが、それと同時に、個人としての誤りや限界を持つ人間存在でもあることも認めざるを得ないという矛盾。論者によっては、この矛盾をうまく利用して、自説に都合がいいときには天皇の言動を褒め称え、そうでないときには、天皇の権威は存在自体にあるのだから天皇個人の言動は無視しても良いなどと言うようです。あるいは、お諫めしなければ…とか。つまり、国民の感情を操るための偶像(アイドル)として天皇を利用しているわけですね。

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原発の価格保証。

いろいろ興味深いのでメモ。

原発の電気「価格保証」に経産省意欲、利用者転嫁強い批判も | Reuters(2014年 08月 21日 23:47 JST)

簡単にまとめると、

従来、電気は公定価格で固定してきたけれど、それを市場競争に委ねることにする。
すると、価格競争が始まって価格が低下する。
すると、原発のコストがまかなえなくなる。
だから、原発の赤字分を、電気代か税金として徴集する。

という話。火力や水力じゃなくて原発の、ってところがミソ。

いろいろ興味深い。
1.せっかく市場化するのに、公定の価格保証を導入するのは市場化の趣旨に反するんじゃ?
2.基準価格の正当性はどうやって担保するの?
   原発コストの算定は独占者たる電力会社しかできないし、政府も当てにできない→言い値でぼろ儲け可能では?

もっと本質的なのは、記事でも指摘があるけどこっちでしょう。
3.原発って最も安価だから推進するって話だったよね?
   価格低下で採算割れという懸念は、むしろ火力や水力の価格保証って話になるんじゃないの?

4.原発=安価な発電というスローガンを自分たち(政府と電力会社)からぶちこわしにする矛盾にはどう落とし前を付けるの?

5.福島の廃炉作業や除染作業、補償問題、何一つ計画や予想が実現しないという事態のなかで、電力会社の責任範囲を相当に限定してもなお、採算が取れないという原子力発電のひどい非効率さをようやく認めかけているというのに、それでもなお、価格保証をしてまで原発維持にこだわるのはどうしてなの?

などなど。
……もう原発は本当に止めた方がいいと思うんですよね。

1.すべての原発を停止して、核燃サイクルなど一切の追加コストも中止する。追加費用発生の最小化。
2.原発に基づくエネルギー政策の誤りを政府・電力会社が認めて謝罪する。
3.すでに超天文学的な金額に上っている(将来も含めた)廃炉、最終処分の費用負担をどうするかという議論をする。電力会社ではまかないきれないはずなので、国民負担しかあり得ないだろうけど。

こういう道筋しかないんじゃないかなあ。
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原発の電気「価格保証」に経産省意欲、利用者転嫁強い批判も | Reuters(2014年 08月 21日 23:47 JST)

[東京 21日 ロイター] - 経済産業省は、21日開いた総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の原子力小委員会(委員長:安井至・独立行政法人製品評価技術基盤機構理事長)で、市場価格が原発による電気のコストを下回る場合は差額を利用者に負担させる、という英国で採用予定の新制度を紹介し、導入に意欲を示した。

この日の会合では、電力自由化による競争環境下における原子力事業のあり方を議論、経産省は英国で導入予定の「差額決済契約」と呼ばれる仕組みを紹介した資料を提出した。

この制度は、廃炉費用や使用済み燃料の処分費用も含めた原子力のコストを回収するための「規準価格」を設定、市場価格がそれを下回る場合は差額を需要家から回収する、という内容。逆に、市場価格が基準価格を上回る場合は、原子力事業者が差額を支払う仕組みだ。

電力自由化については、事業に必要なコストを料金に転嫁する「総括原価方式」と地域独占が廃止されるため、原発への投資回収性が予見できなくなると電力業界が政策的な支援を求めている。経産省は同会合に、英エネルギー・気候変動省の担当者を招待し制度の仕組みを説明させており、電力業界の要請を受けて、同制度導入に前向きな姿勢をうかがわせた。

会合後、経産省の担当者は記者団に対し、市場価格と基準価格の差額のコスト回収の手段として「電気料金でも税金でも可能」と説明した。今後は専門家による作業部会を立ち上げ、議論を委ねるという。

<原発の電気は安いのか高いのか>

ただ、推進側が「安い」と主張してきた原発の電気は実際は高く、維持存続のために利用者にコストを転嫁する制度には強い批判が予想され、日本が英の取り組みにならうかどうかは不透明だ。

総合資源エネルギー調査会での議論をもとに、政府が4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では、原子力発電について「運転コストが低廉」とメリットを説いている。

しかし、経産省が今回、市場競争下では原発のコストを回収できなくなる懸念を示したことは、「原発は低廉」との主張は、対象コストを狭く捉えないと成立しないことを露呈したといえそうだ。

原子力小委のメンバーの吉岡斉・九州大学教授は、英の差額決済方式について委員会へ意見書(会合は欠席)を提出した。吉岡教授は、同方式を日本が採用することについて、再生可能エネルギーと同等の優遇策を原発への従来の優遇策に加えるものだとして、「まったく正当性を持たない」と批判している。
(浜田健太郎 編集:北松克朗)

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2014/08/20

そもそも美談でもないのだけれど。

「映像' 14 なぜ私は語り続けるのか」を見て気になったこと - Apes! Not Monkeys! はてな別館

沖縄守備兵であった近藤一さんの発言
「沖縄の住民から食料を強奪したり、住民を壕から追い出したりしたことはない」

このエントリのコメント欄で、阪神氏が述べているコメント

全ての兵士が沖縄県民の食糧を強奪したり壕から追い出したりしたわけではありません。
所属部隊の場所、日時、配属先により様々です。
…中略…
そうそう、住民証言でも牛島長官に感謝している方もいます。
それは牛島長官のおかげで疎開船の切符が手に出来た為、親子3人死なずにすんだという話です。
慰霊の日には毎年、黎明の塔に参拝しているそうです。

確かにこういう、「高潔な皇軍」を一見象徴するかのようなエピソードが大好きな人たちっていますね。
こういう「美談」を知って喜んだり、強調したりする人たちには、
「悪いとされてきた日本軍・日本人たちにも尊敬すべき・美しいものがあった」
「これまで侵略・虐殺の犯罪者として貶められてきた私たちの祖先の美点を掘り起こし、自信と誇りを取り戻そう」
という思いがあるのだと思います。

日本の戦争責任を問う声に対する反感の一つに、
「なぜ日本の良い行いや美談を無視するのか」
「悪い面だけを取り上げ強調するのは片手落ちではないか。不公正ではないか」
「現実には悪いこともあれば良いこともあった。それらが複雑に入り交じっているのが実際であり、悪い面だけを取り上げるのは一面的な見方であり、偏見の反映だ」
というものがあります。

「何かを評価するには、良い面と悪い面、長所と短所を総合的に見るべきである。」

これはもっともな考え方ですが、しかしこれがいつでも説得的であるとは限りません。

まず、日本の戦争責任を追及する人たちは、別に、日本(国家?国民?英霊?何を指しているのか漠然としていますが)に恥をかかせようとか貶めようとか、その存在そのものを憎もうとか、そういうつもりじゃないのです。
ただ、率直に過去の過ちを知り、そこから教訓と反省とを導き出したいわけです。
その立場からは、悪いことを悪いと言って(批判して)何が悪いのか、という見方が出てきます。過ちを繰り返さないためには、その過ちが起きた過程を良く知り、何が間違っていたのかを考えなければなりませんから。
その考えを深めるにあたっては、「美談」よりも過ちの方を重視することになります。改善したいわけですから。
工場や店で起きている問題を改善するようなものです。だから、別に、日本の良いところを無視したり認めなかったりというわけではありません。ただ単にそこが議論の焦点ではないだけのことです。
つまり、別に、「日本は善か悪か」を総合評価しようという話ではなく、「日本の悪いところをどう改善するか」を議論しているので、そもそも話の筋が違うわけですから、「なぜ美点を無視するのだ」という批判はずれているわけです。

むしろ、そんなふうな批判に対しては、例えばこんな風な違和感を受けるわけです。
会社でも部活でも何でもいいけど、
「うちの○○はここが問題だ、ここを改善しなくちゃ」と話し合っていると、脇の人が
「お前たち、うちの○○が嫌いなんだな、バカにしてるんだな」
と突然怒り出した…みたいな。

なんか指摘されたら即人格否定と受け取っちゃう人? とか、
そこまで不快に感じちゃうってことは、何かよほど「ニッポン大好き」な愛国趣味に染まっちゃってるんじゃ…?
とか、思ってしまう。

日本の戦争犯罪や日本軍の残虐行為を論じて日本軍の美談を論じない姿勢に、不公平さを感じる人は、
中国のチベット・ウイグル問題を論じて中国軍の美談を論じない姿勢には、まあたいてい不公平さは感じないわけです。

やっぱり、善悪総合評価すべき、という論点は表面的なことで、本質はやっぱりニッポンラブなんじゃないか、と思ってしまうわけです。つまり、「自称中立」というやつですね。

いや、別にニッポンラブでもいいんですけど、ニッポンラブの場合、多かれ少なかれ他国への嫌悪感や憎しみが裏側にくっついているんですよね。典型的には中国や韓国への。
「日本が好き」「日本に生まれてきて良かった」「日本人で良かった」という感情は、その裏返しとして、
「日本以外の国は嫌い」「日本以外の国には生まれたくない」「他国の人間にはなりたくない・住みたくない」
という排外感情がくっついているということを、もっと深刻に考えるべきだと思うんですよね。

まあ「日本人は残虐なことをした」と言われて不愉快に思う心情には、単に「良い点を取り上げないこと」への不公平感にとどまらない根深い問題が隠れていますけど、さしあたってはこんなところで。

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2014/08/19

とりあえずメモ:日本史教科書選定と日の丸君が代

東京新聞:実教教科書 広がる自主規制 「校長指示で選定覆る」:社会(TOKYO Web)(2014年8月19日 夕刊)

・実教出版の日本史教科書:国旗掲揚や国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との記述がある。

この教科書の採択を規制する動きがある都道府県(関東のみを調べたものか?)
・神奈川県:県教委が「不採択の可能性」を通知、校長が教諭の決定を覆した。
・東京都:都教委が「使用は適切でない」と通達。全校で採用見送り。
・埼玉県:高校の選定結果に県議が異議を表明。→県教育委員長が辞任。今年は採用ゼロ。
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・大阪府:実教版採用校は、府教委作成の教材を使用しかつ指導を受けることが条件。

実にえぐいですな。
すでに皇民化教育は制度化されつつあり。

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季節がら太平洋戦争のテレビ番組が多く、それを見て思ったことですが、
日本はやっぱり天皇教という宗教国家だったんだなあ…と。

そしてそれは今も続いているんだな、と改めて思います。
宗教だから、それを否定する動きには倫理感的な反発が生じ、しかもそういう反応は長期的に持続する。

NHKの5年ごとの調査 第9回「日本人の意識」調査(2013) 結果の概要
によれば、天皇に「尊敬の念を持っている」人は34%、「好感を持っている」人は35%で合計69%、対して「反感を持っている」人は1%に過ぎません。

ちなみに、「日本人は、他の国民に比べて、きわめてすぐれた素質をもっている」と思っている人は68%もいるそうです。この数字は10年前の51%から17%も増えています。天皇に「尊敬の念を持っている」という回答の動きとよく相関しているように見えて興味深い。

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東京新聞:実教教科書 広がる自主規制 「校長指示で選定覆る」:社会(TOKYO Web)(2014年8月19日 夕刊)

 神奈川県教育委員会は十九日、二〇一五年度の県立高校教科書を採択し、国歌斉唱に「強制の動きがある」などと記載した実教出版(東京)の日本史教科書を選定した高校がなかったと公表した。複数の学校の教諭が「実教出版を選定したが、校長の指示で覆された」と証言しており、特定の教科書を自主規制する動きが進んでいる。 (皆川剛)
 問題の教科書は、実教出版の「高校日本史A」と「高校日本史B」。昨年、国旗掲揚や国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との記載を県教育委員が問題視。県教委が、一四年度の使用を希望した二十八校に「教委の方針と相いれないため不採択の可能性がある」と再考を促し、全校が他の教科書に変更した。
 県教委は今年四~五月、全校の校長や教頭らが集まる会議でこの経緯に触れ、「考え方は変わらない」と口頭で伝えた。県教委高校教育指導課は「特定の出版社の教科書を避けるよう指示はしておらず、あくまで留意事項を説明した」としている。
 一方、複数の高校教諭によると、社会科の教諭が実教出版を選定した県立高で七月、校長が「先生方が選んだ教科書を使うわけにはいかない」と職務命令で変更させた。別の県立高では、教頭が「実教出版はダメ」と書いた会議のメモを教科担当者に渡したという。
 ある男性教諭は「実教出版の教科書は新しい研究成果を取り入れ、本文は端的で注が豊富。生徒の興味に応じた勉強ができる」と評価。「校長ら管理職は現場の実態に合った教育を守ってほしいが、実際は教委と一体となり規制を進めている」と批判する。
 実教出版の日本史教科書をめぐっては、東京都教委も昨年、国旗国歌の記述を理由に「使用は適切でない」との見解を都立高に文書で通達し、全校が選定を見送った。一五年度に使用する教科書の採択は今月中に行われるが、都教委は既に「考え方は変わらない」と各校に伝えている。
 埼玉県教委は昨年、八校で実教出版の日本史教科書を採択したが一部県議が異議を表明。今年は希望校がゼロになった。千葉県教委は昨年、五校で実教出版の日本史教科書を採択した。
◆「国旗・国歌強制の動き」記述
 <実教出版の教科書採択問題> 同社ホームページによると、教員経験者や歴史研究家らが「国際社会で通用する歴史認識を育てるため、東アジア、とりわけ朝鮮・中国との関わりを重視」して執筆。国旗掲揚や国歌斉唱について「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」との記述がある。文部科学省の教科書検定を通っており、同省担当者はこの記述について「誤りとは言えない」とした上で、どの教科書を使うかは「県教委の判断」としている。昨年の教科書採択で、実教版を採択した埼玉県では県教育委員長が辞任。大阪府では、実教版希望校が、教委の資料集を活用することや指導を受けることを条件に採択した。

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2014/08/09

他人に厳しく、自分に甘い。無責任無反省な日本の「保守」の愚劣

歪曲、ねつ造、誤報で有名な産経新聞。

朝日新聞の訂正記事にかみついたら、

「そういうあなた、もっとひどいよ?」

と、淡々と訂正要求を受けてしまいました。

wamblog - アクティブミュージアム 女たちの戦争と平和資料館 - 産経新聞こそ訂正して謝罪せよ

・間違った写真を使っている。
・元慰安婦が言論操作しているというシーン、全くウソだった
・当時存在していない団体が集会に参加したと記述
・インド在住のタイ人がいたというが、本当はいなかった
・いなかったその人が集会で異論を唱え非難されたというシーン、全くウソだった

これ、たった一つの記事だけで、この数のねつ造・誤報ですからね。

で、この記事の見出しがこれだそうです。

「歴史戦第2部 慰安婦問題の原点」~「日本だけが悪」周到な演出…平成4年「アジア連帯会議」

異論があるなら、この会議の主張そのものの問題を指摘すればいいのに、なぜ、ここまでめちゃくちゃなねつ造をやってまでイメージ操作するのでしょうね。

朝日新聞を批判するなら、まず隗より始めよを見せてもらいたいものです。
誇り高い日本人、なんでしょ?(笑)

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生物進化論も教科書から削除すべきということ

このニュース。
看板の「強制的に」の文字覆う - NHK 首都圏 NEWS WEB(2014年08月08日 22時56分)

・松代大本営の案内板で、朝鮮人労働者が建設に動員された経緯を説明した記述の中の「強制的に」という文字を、長野市がテープをはって見えなくしていた。
・数年前から、「強制ではないのではないか」という指摘が、電話などで寄せられていた。
・市は、「見解がわかれている以上、全員が強制であったかのように説明するのはよくない」として去年8月、「強制的に」という文字をテープで覆い見えなくした。
・パンフレットも「強制的に」の文字を削除した新しいものを配布している。

・市の言い分:「全員が強制動員されたように説明するのはよくないと判断した」
・市長の説明:「強制的な動員があったのかなかったのかという議論にはしたくない。」

自治体の立場としては「見解が分かれているものは表示しない」ということです。まあ、もっともですよね。

ということは、
・生物進化論も、神による創造説の支持者から根強い批判を受けていますから、公共の博物館などで表示してはいけません。ましてや学校教育で教えるなどとんでもない。

・日の丸君が代の学校での表示・斉唱も、反対意見や抗議が繰り返し表明されていますし、裁判にもなっているぐらいですから、やはり見解が分かれていると言えます。庁舎前などの日の丸も表示しないようにすべきです。

・辺野古への基地移転も、抗議が続いています。「数年前から電話で」などとは比べものにならないぐらい強い意思表示ですよね。だからこれも、公共の立場からはしてはいけませんね。

・「在日特権」とか「生活保護」とかの公共サービスへの抗議も執拗だし、「朝鮮人を日本から追い出せ」という意見はどんどん強くなっていますから、これらもやはり「意見が分かれているもの」ですよね。だからこれらへの公共サービスは停止したらどうですかね。

・原発再稼働も批判が強いから止めた方がいいし、温室効果ガスが地球温暖化を招いているという主張も批判を受けているから行政は表示しない方がいいし、予防接種も批判があるから中止すべきだし、がん検診もがん抑制に効果がないという批判があるから止めた方がいいですよね。

これらの主張がばかばかしいのは、単に「意見が分かれている」から「……しない」という理屈が、ばかげているからです。意見が分かれてるのは当たり前であって、そういう状態の中で判断をして決定しなければならないわけです。つまり、長野市は、「強制的な」という文言の削除をするのであれば、「強制的だと言えない」という論拠を明示しなければならないはずです。「辺野古への基地移転は正しいことだ」と国が主張しているように。

抗議が執拗だから、住民の意見が強いから、だけで判断停止をすると、行政は自律性も失うし、何もできなくなってしまいます。産廃処分場なんかどうやって決めるんですかね。何度も抗議の電話を入れていれば、「やりません」ってことになるんでしょうか。なるわけがないですよね。

結局、「見解が分かれているから」というのは、本音を隠すいいわけに過ぎない。

ゼンショーのすき家問題で、「全員が強制されたように説明するのはよくない」から「アルバイトが強制的な長時間労働に従事した」を「アルバイトが長時間労働に従事した」と修正するというのは、すき家問題の本質を隠蔽することだと批判されても仕方ないでしょう。

ではなぜ今回のような行政の判断が起きるのか。それは、群馬県の例と同様に、日本の戦争責任を直視したくない意識、韓国朝鮮人や在日外国人への根強い差別・排外意識、あるいは、戦前の皇国日本の栄光を汚したくない意識が下地にあって、こうした隠蔽主義や歴史修正主義に迎合しやすい気分が、行政上層部には蔓延しているということです。

行政や政治の世界がこうした「保守性」(記述が面倒なのであえてこう書きますが)を帯びているのは昔からです。こうした「保守性」に抗して様々な人が一つずつ積み上げてきたのがこうした史跡とその記述なのですが、最近は中央政府がいっそう「保守性」をあからさまにしていることもあって、群馬県やこの長野市のような逆行が起きやすくなっています。

長年地道に積み上げてきた実績も、壊すのは簡単で、一瞬で財産が失われてしまいます。
過去から目を背け、他国の人々をないがしろにする立場は、日本国家の外交的損失を招くばかりか、再び悲劇を起こさないために先人が残した貴重な教訓までも失うことになるのですが、こうした後退はどこまで行くのでしょうか。

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看板の「強制的に」の文字覆う - NHK 首都圏 NEWS WEB(2014年08月08日 22時56分)

太平洋戦争末期、軍の中枢機能の移転先として長野市に建設が進められ、現在、一般に公開されている地下ごう「松代大本営」の案内板で、朝鮮人労働者が建設に動員された経緯を説明した記述の中の「強制的に」という文字を、長野市がテープをはって見えなくしていたことがわかりました。
市では、「全員が強制動員されたように説明するのはよくないと判断した」としています。
長野市松代町にある「松代大本営」は、太平洋戦争末期、軍の中枢機能などを移すため建設が進められた地下ごうで、現在は、戦争遺跡として市が管理し、一般に公開しています。
市によりますと現地に設置された案内板のうち、「朝鮮人の人々が労働者として強制的に動員された」という記述について、数年前から、「強制ではないのではないか」という指摘が、電話などで寄せられていたということです。
このため市は、「見解がわかれている以上、全員が強制であったかのように説明するのはよくない」として去年8月、「強制的に」という文字をテープで覆い見えなくしたということです。
同じ表現があったパンフレットも「強制的に」の文字を削除した新しいものを配布しているということです。
これについて長野市の加藤久雄市長は、「強制的な動員があったのかなかったのかという議論にはしたくない。私の見解を述べることは避けたい」と話しています。

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2014/08/05

何事かと思ったら吉田清治氏の話で気が抜けたという話

「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断:朝日新聞デジタル(2014年8月5日05時00分)

慰安婦問題で、虚偽証言が新しく判明したのか、スクープ!

と思ったら、吉田清治氏の問題で、「なんじゃこれ、今更…」でした。

当たり前のことですが、吉田氏の証言が虚偽であることは、慰安婦問題が虚偽であることを意味しません。
というか、何年も前から慰安婦問題に取り組む人たちはとっくに承知済みのことで、彼の証言は慰安婦問題の核心に本質的重要性を持っていないわけです。

例えばこちら。
『サイゾー』9月号がひどい - Apes! Not Monkeys! はてな別館
こちらのApeman氏は強制連行肯定派(変な言い方ですけど)で、慰安婦問題を含めて精力的に研究・発信されている人ですが、2007年段階で、この人が月間サイゾーの記事を批判した一節。

あげくに、「朝日新聞を中心とした、強制連行肯定派の重要な根拠になっているのが、先の戦争に参加した吉田清治氏の証言である」とカビの生えたような記述が続く。90年代半ばで時間の流れが止まってしまったらしい。

そもそも上記の朝日新聞記事でも、1993年にはすでに

吉見氏は「証言としては使えないと確認するしかなかった」と指摘している
とあり、このことは
吉見義明・川田文子編「『従軍慰安婦』をめぐる30のウソと真実」(大月書店)
に書かれているのですが、これは1997年のことだとあります。

ちなみに吉見氏は強制連行肯定派(というか、慰安婦問題を一貫して追及してきた研究者)です、言うまでもないけど。

というわけで、むしろ、なぜ今頃になって朝日新聞がこんな記事を掲載したのか、のほうがちょっと気になる……。
それと、今見たら、この件のツイッターが「1.05万」、Facebookおすすめが「6934件」、「慰安婦問題なんかなかったんだ!」みたいな反応ばかりじゃないかと思うと気が重い……。
捕鯨問題でヒステリックになっているのは、日本人が奇妙な人たちだというぐらいのことで済みますが、この問題は被害者の人権問題、差別問題と直結しているので、このような誤解と差別が蔓延する状況は非常につらいです。

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2014/08/03

70年前の個人的手記ですら隠蔽した防衛省

「大江回想録」の北坦村虐殺事件に関する記述 - 誰かの妄想・はてな版
こちら経由で知って。

「公表をはばかる内容なので公表できません」 - 八路軍研究メモ

村を攻撃したときに地下道に避難した住民800人以上を毒ガスで殺した事件に関する記述があるそうなのですが。

防衛研究所史料閲覧室によると、
「以前は閲覧できましたが、遺族の希望により、平成17年から閲覧不可になりました」
「そこには公表をはばかる内容が書かれているので公表できません」
と言われたとのこと。
ある資料については、わざわざ「袋とじ」にして見せないようにしているとか。成人男性向けの恥ずかしい本みたい…。

日本の戦争犯罪について、よく
・証拠がない、発見できない → やってない
とかいう弁解が出るわけですが、ホント、信用ならないですね。

70年以上前の一軍人の手記にすぎないのに、この処理。どれだけ自分たちの過去を気にしているのか。
一応、自衛隊は、建前上は旧軍とは連続性はないことになっているんじゃなかったっけ?

今もなお、戦争で被害を受けた人たちが抗議や謝罪・賠償請求をしていることについて、
・何で今更?本当ならもっと以前から訴えていたはずだろう?
・昔のことをいつまで言い続けるのだ
という類の批判をする人たちがいますけど、そういう言葉は防衛省に向けた方がいいんじゃないでしょうか。

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2014/08/01

日本会議の改憲運動の記事

興味深いのでメモ

地方から改憲の声、演出 日本会議が案文、議員ら呼応:朝日新聞デジタル(2014年8月1日05時00分)

日本会議国会議員懇談会
2014年4月1日現在の役員名簿から政権、党幹部らを抜粋。
会長 平沼赳夫
特別顧問 安倍晋三、麻生太郎
顧問 谷垣禎一
相談役 石破茂
副会長 古屋圭司、下村博文、菅義偉、高市早苗、新藤義孝
幹事長 衛藤晟一
副幹事長 加藤勝信
政策審議副会長 萩生田光一、稲田朋美、礒崎陽輔

******
2013年11月13日の日本会議の全国代表者大会で改憲運動を進めると強調されたそうです。
2014年2月、石川県議会で改憲を求める意見書を採択
その後、自民党がこの動きに乗る。
高市早苗政調会長が党の担当者に依頼、党本部は3月13日付で要請書を都道府県連に配布。
4月から全国各地で自民党憲法改正草案を党員らに説明する会合を頻繁に開催。
船田元・憲法改正推進本部長らは、2016年夏の参院選前までに国会発議を行いたいと強調。

日本会議の運動
・意見書運動(今秋には全国の3分の2以上の都道府県議会で意見書可決を目指す)
・来春の統一地方選を見据えた改憲への大規模集会を各地で開く予定
・意見書や請願の書き方、運動への質問に答える「Q&A」などの資料も作成、DVDやポケットティッシュも。
……カネあるなあ……。
●「戦後、ずっと改憲を叫び続け、ようやく最大、最高のチャンスに巡り合った。こんな時代に巡り合ったのは幸せなんです」。6月16日、宮城県議会における自民党会派の勉強会。講師役の百地章日大教授はこう呼びかけた。

■「真正保守」掲げる 安倍首相と重なる思想

 日本会議は、「真正保守の政治を実現する」(同会HP)ことをめざす国民運動組織。元号法制化を推進した作曲家黛敏郎氏(故人)らの活動を源流に、1997年、歴史・伝統の尊重や新憲法制定を掲げた「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が統合して設立。「右派」「保守系」とされる団体では国内最大級の組織だ。

 会長は三好達・元最高裁長官。役員名簿には神社本庁や宗教団体の幹部、大学の名誉教授らが名を連ねる。事務局によると、個人会員は約3万5千人。全国47の都道府県本部のほか、地域に約230支部がある。「誇りある国づくり」を合言葉に、皇室敬慕の奉祝運動、愛国心の育成、靖国神社の公式参拝などの運動を展開。なかでも新憲法制定に向けた憲法改正は「日本会議の悲願」(幹部)とする中心的政策だ。

 また、日本会議を支えるため設立された超党派の「国会議員懇談会」には289人が参加。安倍首相と思想的に近く、集団的自衛権の行使を認める閣議決定の際にも、支持する見解を出した。役員名簿(4月現在)によると、安倍政権の閣僚では計8人が役員。民主党、日本維新の会、次世代の党などの国会議員も参加している。地方議員連盟には約1700人が参加し、ネットワークを広げている。

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