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2014/10/12

毎日新聞の暗黒面

慰安婦問題、米国は吉田証言や朝日の記事に影響受けず - Japan Real Time - WSJ(2014/10/07 7:42 pm ET)

こちらの記事の下記について、毎日新聞の対応について少し整理しようと思ったのだけど、あまりに醜悪なのでやる気を失ってしまった。
産経や読売、他の週刊誌メディアはどうせはじめから検討外なのだが、毎日新聞もこれらと同様の低劣さを示している。まあ、以前から毎日新聞にも韓国等をずいぶんと敵視する記事やコラムが載ったりして、毎日新聞にも気持ち悪い人がいるなあと呆れたことはしばしばあったのだけれども。

上のWSJ記事で指摘されている記事は下記の通り。
朝日「慰安婦報道・点検」をめぐって:吉田清治証言 国際社会に誤解広める 国連報告などが引用、朝日は影響に触れず - 毎日新聞(2014年09月11日 東京朝刊)
※ログインしないと読めないかも。

WSJ記事では、毎日新聞が取材に来たけれど、答えたことが無視されたと報じられている。
つまり、米国下院決議に際して吉田証言が資料の一つに挙げられていたことについて、毎日新聞が当時の関係者に取材をしたのである。その取材で「吉田証言は影響してない」と説明したことは省かれ、ただ吉田証言が資料とされたことだけを記事にされたということである。

毎日新聞記事ではこの下りは以下の通り。

 2006年9月、第1次安倍政権が発足した。安倍首相は河野談話の見直しを持論にしてきたが、翌07年1月、米下院外交委員会に慰安婦問題について日本政府に謝罪を求める決議案が提出され、7月30日に本会議で可決された。この後、オランダ、カナダ、欧州連合(EU)議会でも日本に謝罪を求める決議が相次いだ。

 米下院決議は、慰安婦制度を「強制軍事売春」とした上で、「その残酷さと規模において前例を見ないものであるが、集団強姦(ごうかん)、強制中絶、屈従、やがて身体切除、死や結果的自殺に至る性暴力を含む、20世紀でも最大の人身取引事件の一つ」と激しい表現で日本を批判した。この決議案の議員説明用の資料にも途中段階で吉田氏の著書が出てくる。

このあとすぐに慰安婦記念碑に言及が続く。
一方、米国内では韓国系団体などの働きかけによる慰安婦碑の設置が相次いでいる。その碑文は「日本帝国の軍により拉致された20万人以上の女性と少女のために」(ニュージャージー州パリセイズパーク市)「20万人以上のアジア人とオランダ人の女性たちが、大日本帝国軍によって強制的に性奴隷にされた」(カリフォルニア州グレンデール市)などと韓国側の主張をベースにしている。「強制連行」認識はなお生き続けている。
いかにも「強制連行」自体がなかったと言わんばかりの書き方にうんざりさせられる。

まあこういう調子で、この記事自体が、吉田証言と朝日新聞が世界に「強制連行」の誤解を広げ、日本の国益に大損害を与えているという、トンデモな思い込みだけで突っ走っているひどい代物なのだが、最低だと思うのは、「事実と謙虚に向き合う」と見出しをつけた毎日新聞自体のコメントだ。

 毎日新聞は常に事実に謙虚であることを肝に銘じ報道にあたってきました。朝日新聞の一連の報道で、「吉田証言」のような軍の組織的強制連行があったとの誤解が世界に拡散したとされるように、報道は社会に大きな影響を与え、外交にも不幸な事態を招きかねません。誤った報道は速やかに訂正し、納得のできる説明をするという報道機関の責務を痛感します。

 今回、毎日新聞は慰安婦問題をめぐる朝日報道の内容とその影響について特集しました。毎日新聞の報道についても報告しています。

 一方で、この問題をめぐる混乱が、日韓両国の未来構築をも阻む一因になると懸念します。女性の人権を守るため議論を重ねている国際世論の理解を得られなくなることも心配です。毎日新聞は事実に謙虚に、そして未来につなぐ報道を続ける決意です。【編集編成局長・小川一】


このコメントの醜悪ぶり。
1.「吉田証言」のような軍の組織的強制連行があったとの誤解が世界に拡散した
2.外交にも不幸な事態を招きかねません
3.女性の人権を守るため議論を重ねている国際世論の理解を得られなくなることも心配

1.はトンデモ認識で、根拠無し。2.はジャーナリズムの存在意義を自己否定して翼賛報道に堕すと自己宣言している。3.が一番醜悪で、慰安婦問題の何が核心かを知りつつ、その真摯な反省を我が身に引き受けようとしない卑怯さが透けている。

そもそも「強制連行」否定にこだわる発想自体が、売春婦になら何をしても構わない、売春婦なら何をされても文句は言えないという腐った人間観に基づくものだが、それをジャーナリズム風に、言質を取られないような文章に仕立てるとこうなるという一例であろう。

毎日新聞は、この1ヶ月後になって、ようやく、上記記事で無視されていた関係者のコメントを報道した。

従軍慰安婦問題:米国内はどう受け止めたか 「吉田証言のウソ」歴史修正主義者が利用 東アジア専門家、ラリー・ニクシュ氏 - 毎日新聞(2014年10月11日 東京朝刊)

この記事で記者が問う質問は「日本は悪くない、韓国が騒いでいるだけ」と言いたいような雰囲気を感じさせて情けないが、このニクシュ氏は原則的な立場を崩していないことが分かる。

今頃になって記事にしたのは、WSJに指摘されたので、弁解のつもりであろうか。定かではない。
しかし、朝日新聞バッシングのブームに乗り、その後でそれへの批判が出始めると、後出しのようにしてこういう情報を堕してくるあたりは非常に卑怯だと思う。
国策と空気におもねり、考えることを止めたメディアの末路とそれがもたらす災禍を今後我々は見つめていかなければならないだろう。

 戦時中の慰安婦問題をめぐり、米議会の下院は2007年7月に日本政府に謝罪を求める決議を採択した。慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言記事を、朝日新聞が今年8月に取り消したことで、日本では河野洋平官房長官談話(1993年)の見直し論も出ているが、米国はどう受け止めているのか。米議会調査局のスタッフとして下院決議に関わった東アジア専門家のラリー・ニクシュ氏(74)に聞いた。【聞き手・ワシントン及川正也】

 −−現在の日本の議論をどう思いますか。

 ◆朝日新聞の誤報は非難されてしかるべきだ。取り消しが遅すぎた。ただし、吉田証言が慰安婦問題の国際世論に影響を与えた決定的な要素だったという主張は、ほとんど正当化されない。歴史修正主義者は、河野談話を攻撃し、慰安婦の強制的な募集がなかったと主張するために、吉田証言のウソを利用している。国際世論には、吉田証言をはるかにしのぐ複合的な証拠が影響している。

 −−下院外交委員会は06年9月にも同様の決議案を可決したものの、本会議に上程されず廃案になりました。委員会可決前の06年4月にあなたが作成した議員用メモは吉田氏に言及しています。その時点で虚偽との認識はなかったのですか。

 ◆あのメモは93年2月の雑誌に掲載されたジョージ・ヒックス氏(豪ジャーナリスト)の記事から引用した。当時、経験豊富な研究者が吉田証言に疑問を持っていることを私は知らなかった。メモは約1カ月と短い期間で作成したが、それでも疑問が示されていることを見つけ出すべきだった。知っていたら引用しなかった。

 −−証言への問い合わせはありましたか。

 ◆議会調査局に議員の事務所から照会は1件もなかった。07年4月に出した改訂版のメモでは吉田氏の本の記述を削除した。吉田証言に疑問を持ったか、より信頼できる証拠を発見したからだ。06年メモでは1ページにも満たなかった慰安婦の証拠に関する章が、07年メモでは6ページになった。

 −−慰安婦問題の論点は何ですか。

 ◆私は強制的募集の問題に焦点を絞ることにした。それが日本での議論の核心だったからだ。米国の公文書では、多くの慰安婦が業者にだまされて参加したことを示している。もし看護師とか工場労働者とかの仕事と言われ、慰安所に到着して性的奉仕するためだったと気付いたら、その時に詐欺が強制的な誘拐に変わると私は考えている。

 −−ビルマ(現ミャンマー)の慰安所で、外出の自由や、兵士と結婚した例を記載した米公文書もあります。

 ◆その記述は他の慰安所での虐待行為に関する慰安婦の証言とかなり対照的だ。慰安所の状況がさまざまだったことは疑いないが、総体的な状況はむごいものだった。

 −−慰安婦問題の克服は依然として日韓関係の課題です。

 ◆私は07年メモで、河野談話とアジア女性基金について肯定的な見解を示し、アジア女性基金を拒否した韓国政府の対応を批判した。一方で、強制がどこにもないという主張は不正確であり、存在する証拠文書とも一致しない。もし、安倍晋三首相、朴槿恵(パククネ)韓国大統領、オバマ米大統領が「河野談話は歴史的に正しい」と言い合えれば、歴史問題の解決に向かって大きな前進が図れると思う。

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 ◇米下院慰安婦決議

 2007年7月に採択。日本政府に「明白で明確な方法で公式に認め、謝罪」することを求めた。決議作成に関わったアジア・ポリシー・ポイントのミンディ・コトラー所長は毎日新聞に「吉田証言は全く参考にしていない」と語り、当時下院外交委員会上級スタッフだったデニス・ハルピン氏は「吉田証言や朝日報道が審議に影響したことは全くない」としている。


追記(2014年10月15日)
私より遥かに優れてかつ包括的な批判が、既に出ていたのであった。
事実と謙虚に向き合えない毎日新聞の耐えられない酷さ① - 兎ノ森とツクラレシ花 Usagino-Mori’s Diary
事実と謙虚に向き合えない毎日新聞の耐えられない酷さ② - 兎ノ森とツクラレシ花 Usagino-Mori’s Diary
事実と謙虚に向き合えない毎日新聞の耐えられない軽さ③ - 兎ノ森とツクラレシ花 Usagino-Mori’s Diary
丸数字(○に数字)は使わない方がいいとは思うけれども。

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