我々はエロ親父だと言わんばかりの日経記事
女子高生の部屋を訪れる仮想ゲーム 開発の真意は :日本経済新聞2014/10/9 7:00(魚拓)
バンダイナムコゲームスの3次元CG。「東京ゲームショウ」で公開しようとしたら厳しい批判が起きて公開中止になったとのこと。
で、この日経記事とその開発者のコメントが徹底的にゲスい。
「女子高生」への性欲を露骨にすることを恥ずかしいとすら思っていないらしい。
ゲームの内容はこんな感じ。
HMDを装着すると、目の前に広がっていたのは6畳の部屋。あたりを見渡す。ペンやノートで散らかった勉強机と本棚、そしてベッド。床に転がったサメのぬいぐるみ。部屋の主は女の子だと気づく。この描写の時点でアウト、アダルト指定。しかも児童ポルノ。「先生!」。後ろから呼びかけられ振り向くと、半袖の制服を着た女子高生がいた。プレーヤーは家庭教師で、彼女は生徒。部屋に入ってきて、目の前のイスに腰掛ける。黒髪のポニーテールで、ソフトボール部に所属する。名前はわからない。「きょうもちゃんと教えて下さいね」。目の前には「Yes」と「No」の選択肢。深くうなずくと「Yes」、横に首を振ると「No」を選べる。
こんな問いかけの繰り返しで女子高生とのコミュニケーションが進むのがサマーレッスンだ。
記事に掲載されたサンプル動画を見ると、もっとひどい。
セックスシンボルとして記号化された容姿を持つ「女子高生」と、密室で二人だけで触れあうばかりの近さで隣り合う。
ゲーム内のキャラクターとのコミュニケーションもVRならではの体験だ。女子高生がノートを広げ、つたない発音で英語を読み始める。ノートの中身をのぞき込もうと顔を近づけると、女子高生が体を傾ける。「誰しも居心地の良い距離感があるという『パーソナルスペース』の考え方を表現した」(原田氏)。よそ見をすると、目のやり場によっては「どこ見ているの!」と怒られる。この「女子高生」は自室でなぜ制服を着ているのか。なぜネクタイを緩ませ胸元がはだけているのか。制服は当然のようにミニスカート、この「女子高生」が寄り添ってきて上目遣いで見つめるのはなぜなのか。これらの表現は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使った新たなゲーム体験をアピールする上で必要な要素だというのだろうか。
「理解できない」「いかがわしい」「非常識」――。9月1日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のグループ会社が開いた記者発表で初披露されると、メディアが過敏に反応。とりわけ、海外で厳しい批判を浴びた。実際のゲーム画面とは別に制作したプロモーションビデオで女子高生の胸元やスカートを強調してしまったことから、原田氏は「内容が少し誤解されて広まっている」と苦笑いする。批判は当然で、海外メディアが敏感に反応したのもあまりにも当然。
だが記事執筆者の日経企業報道部、新田祐司記者は、それを「過敏」と表現、開発責任者原田勝弘氏も、「誤解されて」と苦笑い。「ネガティブなものも含めて予想を超えた大反響に原田氏は確かな手応えを感じている」のだそうだ。問い合わせが増えてプロモーションとして成功したということらしい。見事な炎上商法。だが確実にSCEの社会性は毀損しただろう。こんな感覚でグローバルに商品を売ろうというのがむしろ痛々しい。
ところで、原田氏らはなぜ制服を着崩した女子高生との密着をコンテンツにしたのか。
1.「違和感のない女性を描ければ、男性にも動物にも応用できる」と考え、キャラクターを女性に決めた。
2.臨場感を追及するために日常空間と生活感の表現に挑戦した。
記事にあるコンテンツ選択の根拠はこれだけで、定型化された「女子高生」という記号を見事に踏襲したことの意味には無自覚であるように思える。
記事はHMDの新境地を切り開いたという趣旨に終始しているが、未成年女子を「女子高生」というセックス商品として描き、それを世界的な販促に使おうとすることがいかに醜いことか理解できないようで、先進的すぎて理解してもらえないとか、的外れな批判とか、どうやらそんなふうに考えているようだ。
話がちょっと広がるが、この未成年女子をセックス商品とみなす感覚は広く日本社会に様々な濃度で浸透していると思う。芸能界のアイドル、アニメと漫画、広告などでも見られる。そして「女子高生」やもっと幼い小中学生などをも性欲の対象とする視線と価値観は、当の女性にも内面化されている。
昨日たまたま見かけた次の指摘とそれに対する拒否反応も、いかに我々の社会が未熟な女性のセックス商品化に慣れきっているかをよく示している。
高橋裕行@herobridge 2014-09-29 20:22:28
艦これで戦争を学んだから、艦隊戦での敵艦の無力化を、艦娘の服を脱がせる程度に考えてしまうのだろう。
高橋裕行@herobridge 2014-09-30 22:56:45
幼い顔をした少女を武装して戦わせ、攻撃を受けると服が破けるゲームが戦争を知るきっかけとなると、かなり歪んだ先入観が刷り込まれると思います。RT @Child_Chariot:なぜ艦これが史実を知るきっかけとして不適切だと思われるのでしょうか。
高橋裕行@herobridge 2014-10-02 17:09:57私は「では服が破れる必要はないですね。なんで半裸になるんですか?」が艦これのみならず、上の女子高生ゲーム、そして我々がすっかり内面化している「女子高生」を性的商品と見なす価値観にとどめを刺すと思う。
では服が破れる必要はないですね。なんで半裸になるんですか?RT @TEL0ka: 艦これに登場する女の子 の服が破けることを楽しんだことはないという発言に対して無理があると仰っておられるようですが、恐らく艦これプレイヤーで服が破けることを楽しんでいる人は殆どいませんよ
我々は自らの性的嗜好に縛られるし、それを倫理や論理で矯正することは容易ではない。また性的嗜好を簡単に裁くべきでもない。個人の性的嗜好は内心の自由に属するし、個人の個性や尊厳の一要素でもあって、その多様性は尊重されねばならない。しかし、表現として広く社会的に共有することが困難なものもある。せめて
高橋裕行 @herobridge 2014-10-02 00:31:50という自制が働くほどに、自己の嗜好を相対化し点検する姿勢は必要だろう。この歯止めが利かなくなれば、次は国家権力による規制強化が一層説得力を持つことになる。
君らの趣味を否定するつもりはない。ただ、男の嗜みとして、そういうのは密やかにやろう。
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