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2014/11/28

日本が奴隷労働に基づく古代ギリシャ的な国であることの一例

金杉圭司さんはTwitterを使っています: "この数ヶ月で外国人実習生が何人逃亡してるか。。。。あまりにも酷い現状。一昨年の研修生資料、非人間的な規程。 http://t.co/P6UMpczMxh"
こちらで紹介され、2000回以上リツイートされ1000回以上お気に入りにされている写真。
ちょっと内容がひどすぎるので書き起こしました。

これは、富山県南砺市にある外国人技能実習生のおそらく監理団体である「協同組合 五光」が定めた規定の一部。

8.仕事は選んではいけない。
9.研修生の期間は、残業をしてはいけない。
10.内職またはアルバイトをしてはいけない。
11.会社の電話を勝手に使ってはいけない。
12.会社と労働条件で交渉してはいけない。
13.会社を早退や欠勤をする場合は、必ず病院に行くこと。(病院で診察を受けない場合は、認めません。)
14.挨拶を必ずすること。(朝 おはようございます。夜 お休みなさい。)
15.仕事の指示に対して、返事をすること。(分かりました。分かりません。)
16.日本語を早く覚えること。(2年目に試験があります)

生活:
1.寮の門限は、午後10時です。
2.午後10時以降、寮以外での電話は禁止です。
3.個人所有の携帯電話は禁止です。
4.パソコンの使用は、禁止です。
5.日本人との恋愛を、禁止します。
6.中国人同士の恋愛を、禁止します。
7.1人での外出を、禁止します。
8.中国人男女2人での外出を、禁止します。
9.女子寮に男子を、入室させてはいけない。また、男子寮に女子を、入室させてはいけない。
10.日本に住んでいる中国人との交流を、禁止します。(日本に在住の親戚・兄弟・知人)
11.日本(人?)との交流を、禁止します。(仕事以外)
12.会社の社員の家の訪問を、禁止します。
13.日本にいる中国人の家に、訪問を禁止します。((日本に在住の親戚・兄弟・知人)
14.協同組合 五光以外の研修生・実習生との交流は、禁止です。
15.外泊は全て禁止です。
16.会社・●●が許可した車以外に、乗車してはいけない。
17.決められた地域以外に外出するときは、外出願いを提出しなければならない。(会社・社長)
18.各行事・催し物には、会社・●●の許可のない物には、参加してはいけない。
19.日本の法律を守ること。
20.万引きをしてはいけない。(窃盗)
21.電車・バスで、無賃乗車をしてはいけない。
22.スーパーなどで、傘を盗んではいけない。
23.寮で中国人同士、ケンカをしてはいけない。
24.中国の睡眠薬・幻覚剤を服用してはいけない。
25.ギャンブルを、してはいけない。(パチンコ、競馬、競輪・その他賭け事)
26.農作物を、盗んではいけない。(畑・水田・果実)

※日本で病気(精神病・癌・重度の病気)にかかった場合は、日本の法律には、慰謝料を支払う義務はありませんので、一切慰謝料の支払いは拒否します。
※上記の違反で、帰国する場合は、渡航費は自己負担になる
※上記の違反で帰国した場合は、組合・会社が損害を受けるので、給料又は、中国の家族(保証人) 損害賠償を請求し、帰国時に精算します。
※上記の事を契約します。


この規定が明るみに出たのは、「北日本電子ほか(外国人研修生)事件」が起きたのが発端。

ちなみに、協同組合五光のサイトや構成メンバーなどが分かる資料はネット上には見つからないのですが、ここから実習生を利用していた北日本電子は紹介サイトがあります。

石川県バーチャル工業団地 - 株式会社 北日本電子 - (公財)石川県産業創出支援機構(ISICO)

高卒者の募集をしていたようです。
大聖寺実高(石川) 就職ライブラリー
これによると、会社の「特長」として、以下のようにあります。

平成12年に新社屋に移転しました。従業員が気持ちよく働くことができる快適な職場です。
午後には有線が掛かり、楽しく仕事がはかどるようにしています。
また、こちらの「先輩からのアドバイス」によれば、以下のようにあります。
 コンピューター制御による先端技術と、アナログ的なノウハウを駆使した非常にシビアな仕事ですが、社員一同フォローしあい、信頼関係がいっぱい詰まったあったかく若い会社です。

当時の報道が2chに残っています。
【石川】「社外の中国人と遊んだら強制的に帰国させられそうになった」中国人実習生が提訴[6/21]

技能実習生として加賀市内の工場で働いていた中国人女性が、「強制的に帰国させられそうになった」として、会社と、仕事を斡旋した協同組合に対し、損害賠償などを求める訴訟を起こした。
訴訟を起こしたのは、中国籍の宋銘銘さん(23)。宋さんは、富山県南砺市にある協同組合「五光」の紹介で加賀市の電子部品メーカー・北日本電子で2010年1月から働いていた。しかし、訴えによると、宋さんは今年4月になって、会社以外の中国人と遊んだことなどが協同組合が定めた「規則に違反する」として、強制的に帰国させられそうになったという。宋さん側は「組合の規則は人権を侵害するもの」として、協同組合と会社に対し、慰謝料を求めている。また、宋さんは解雇が無効であることの確認や未払いの賃金など合わせて500万円近くの支払いを要求している。これに対し、仕事を斡旋した協同組合では「規則は、中国人労働者の生活上のトラブルが多かった12年前に目安として定めたもので、拘束力があるものではない」としている。また、会社では「辞めないでほしかったが、本人が説得に応じなかった。話し合いもなく、いきなりの提訴で驚いている」と話している。
ソース:日テレNEWS24 6/21 19:39 テレビ金沢(リンク先に動画あり)http://news24.jp/nnn/news8714760.html

こちらの判決が2014年3月に出まして、その関連がこちら。

日本で不当解雇されたと中国人研修生が提訴、メーカーなどに賠償命令―金沢地裁|中国情報の日本語メディア―FOCUS-ASIA.COM2014年03月11日

日本の中国語メディア、日本新華僑報網はこのほど、労働力不足を背景に外国人技能実習生が日本企業と仲介組織に廉価な労働力として扱われ、被害を受けていると指摘し、ある中国人研修生が勇気をもって日本企業などを提訴したと紹介した。中国新聞網が10日伝えた。

金沢地裁小松支部は10日、研修中に労働者として働かされ、不当な理由で解雇されたとして、中国人の宋銘銘さんが就労先の電子機器メーカー、北日本電子(石川県)と、中国人技能実習生を仲介する協同組合五光(富山県)に対して計約500万円の損害賠償などを求めた訴訟で、解雇を無効とすること、また北日本電子、五光に計約310万円の賠償金を支払うことを命じた。

判決などによると、宋さんは五光が設けた「従業員以外との接触を禁じる」との規則に違反したとして、雇用期間満了前に帰国を命じられた。
(編集翻訳 恩田有紀)

事件概要は、こちらが詳しいです。
北日本電子ほか(外国人研修生)事件判例から 金沢地裁小松支部平26.3.7判決 (労働判例No.1094)小松社会保険労務士事務所


  • 研修計画を無視してタイムカードで時間管理して働かせ実質的に残業代を払っていたのに、未払い賃金の賠償から逃れることを目的として労働者性を否定するために、タイムカードを改ざんし、「残業代でなく小遣いだ」と社長自ら強弁。
  • パスポートや預金通帳の取り上げ、また様々な行動の自由の禁止
  • 以前会社に勤務していた中国人と会ったというだけの理由で解雇

どうやら、協同組合五光がとんでもなかっただけでなく、「従業員が気持ちよく働くことができる」「あったかい」会社である北日本電子も、とんでもなかったようです。


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