どうしても原発を拡大したい政府
下は、経産省の意向が報道されていたのをクリップしておいた記事です。
原発の価格保証。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
今回は原子力委員会(正力松太郎氏が初代委員長だったアレ)でこんなことになるそうです。
東京新聞:「電力会社賠償に上限」 原子力委、法改正を検討:経済(TOKYO Web)(2015年1月28日 朝刊)
国の原子力委員会は二十七日、原発事故時の被害者への賠償について定めた「原子力損害賠償法(原賠法)」の改正に向け、有識者による作業部会をつくり検討を始めることを決めた。政府は事故時の電力会社の責任範囲や賠償額に上限を設け、電力会社が将来にわたり原発事業を継続できる環境を整備する考え。この記事でちょっとよく分からないのが、
しかし電力会社の免責範囲を拡大して国の関与を強めれば国民負担の拡大につながるだけに、議論は難航が予想される。
これまでは副大臣会議で議論してきたが、関係省庁をまたぐ総合的な観点が必要として原子力委に協力を要請していた。
阿部信泰委員長代理は会合で「最終的に国が手当てすることになれば、国民、納税者負担になる。一般国民の目線が反映されるべきだ」と強調、慎重に検討を進める考えを示した。
作業部会は賠償や保険の専門家や学識経験者から人選し、近く設置する。市民団体の参加も検討する。現在千二百億円となっている保険金の支払い上限の引き上げも課題となる。
現行制度は「異常に巨大な天災地変や社会的動乱」を除き、電力会社が過失の有無にかかわらず、無制限に賠償責任を負うよう定めている。福島第一原発事故で東京電力は免責規定が適用されず、自力で賠償責任を果たせなくなり、事実上国有化された。東電の賠償額はこれまでに五兆円を超えている。
これまでは副大臣会議で議論してきたが、関係省庁をまたぐ総合的な観点が必要として原子力委に協力を要請していた。というところ。
副大臣会議で、「どんな人たち(例えばどこの省の副大臣かなど)が」、「どういう趣旨で」本件を議論していて、というところが分からないのと、「関係省庁をまたぐ総合的な観点が必要」ということの意味合い…趣旨…がよく分からない。
ともあれ、
「電力会社の責任範囲や賠償額に上限を設け」
「将来にわたり原発事業を継続できる環境を整備」
とのことで、国が原発の維持拡大にやる気満々なのがよく分かります。
ところで、一般には、
原発事故が引き起こした被害全体の大きさ > 賠償額の全体
になるわけです。人の暮らしそのものや精神的価値などの賠償できない被害もあるし、「これは対象外」と無慈悲に線引きされるものもありますから。
で、今回の案だと、
賠償額の全体 > 電力会社の負担
としようということなので、その差額は、記事にあるとおり国民負担になりますよね。
国民負担 = 賠償額の全体 - 電力会社の負担
で、この賠償は、原発事故の被害者、要するに国民自身(の一部)が対象であるわけですから、
国民が受け取る賠償額 = 国民負担 + 電力会社の負担
ということになって、結局、被害者たる国民が自分で被害を賠償するようなことになっているわけですね。
一般庶民が自動車事故を起こしたら、まあその責任の割合で被害額を支払いますよね。今回の場合、被害者が自分で自分に賠償するみたいな話になってます。
電力会社も、事故規模を抑える誘因がないですね。負担上限を超えてしまえば後は何をしても同じなわけですから。で、過酷事故ならどうせ上限を超えるに決まっています。いったんドカンとやっちまえば、後は知らん、と。現場は(真の意味で)必死でしょうけど、経営陣は事故の収拾より自己保身に意識が集中するでしょうね。
そりゃ、賠償を受け取る「国民」と負担する「国民」は別々だという話はありますけど、
1.「国民負担」は税等で拠出される以上、その税負担や、支出に伴う他の財政支出項目の削減等で、被害者たちも一定の負担を強いられること
2.結局この案は、被害を受けていない国民(原発事故に無責任の主体)から被害を受けた国民への財産の移し替えにしかなっていないこと
があるので、まあ国民内部での金銭的な移動を「賠償」と呼ぼうという話には変わりはないわけです。
行政や電力会社の「責任」って何なんでしょうね…。まあ行政は我々国民自身のサーバントにすぎないという話があるので、そうすると、自民党など原発推進勢力を与党に据えて好き放題させている我々の責任だということになるんですれども。
あっ、そうか、つまり、コストがかかる金食い虫で、過酷事故が起きると国土に破局をもたらす原発を選んだの国民なのだから、そのコストや苦しみは国民自身が負担すべきだということで、国は原発のリスクとコストを社会化しようとしているのかな。こうやって原発費用を内部化すれば国民の意思決定に原発リスクも反映されるだろうという、ピグー税の応用ですね、何という深謀遠慮。……とか。
ちなみに、
東電の4─12月期経常利益は20%増益、高効率火力が寄与 | ビジネスニュース | Reuters(2015年 01月 30日 18:51)
だそうですよ。
ただちょっと間違いやすいですが、経常利益が黒字であって、最終損益がどうかはこの記事には載っていません。原発がなければ黒字体質なんだ、東電。
[東京 30日 ロイター] - 東京電力が30日発表した2014年4─12月期の連結経常利益は前年同期比20%増の2270億円だった。最新鋭の天然ガス火力の稼働増による燃料費の削減が寄与した。なんだ、「5兆円を超える」賠償額のうち、90%以上が国の援助なんじゃないか。もう既にやってました、国の負担。最大の費用項目である燃料費は4─12月期に前年同期から944億円削減。千葉県と茨城県のガス火力発電所で、「コンバインドサイクル」と呼ばれる高効率の発電設備が今年度から稼働開始する一方、割高な石油の燃料消費が大幅に減少したことが奏功した。
主燃料のLNG(液化天然ガス)の調達価格は、原油価格の変動が数カ月遅れで反映される。昨年秋以降の急激な原油安に伴う燃料費の低下は来年度以降に実現すると見込んでいる。
通期見通しは、経常利益が前年比2.2倍の2270億円、当期利益は同18.8%増の5210億円と、昨年12月に示した予想から変更はない。
東電は、福島第1原発事故の被害者に対する賠償金の支払いについて国から援助を受けており、原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて東電に支払われる賠償支援額を特別利益に、被害者に支払う損害賠償費を特別損失にそれぞれ計上し、両項目を相殺して当期損益に反映される。
今月22日時点で原賠支援機構から出た支援金の累計額は4兆6120億円に上る。
(浜田健太郎)
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