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2015/01/10

数研出版が教科書から「従軍慰安婦」と「強制連行」を削除した関係の記事

本件について数研出版は今回の変更を「誤記」として申請したそうです。下記記事によれば、教科書の記述変更にかかる申請区分の「誤記」には、「事実関係の変化だけではなく、記述を分かりやすくするために変更する場合なども含まれる」のだそうです。ふーん……。
時流におもねって無難に生きようとした結果、社会を愚行に導くことになる選択がまたここにも一つ現れました。2015年初めのことです。

教科書の「慰安婦」「強制連行」削除…数研出版 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)(2015年01月09日 09時12分)

 教科書会社「数研出版」(東京都)が、現行の高校公民科の教科書3点から「従軍慰安婦」と「強制連行」が含まれる記述を削除する訂正申請を文部科学省に行い、認められたことが分かった。

 新年度から使われる教科書で反映される。同社は訂正の理由を「客観的事情の変更等」としている。

 記述が削除されたのは、「現代社会」2点と「政治・経済」1点の計3点の計4か所。いずれも文科省は昨年11月20日に訂正申請を受け付け、12月11日に承認した。

 文科省によると、訂正により、3点の教科書とも、「従軍慰安婦」、「強制連行」の言葉がなくなったという。3点の学校現場でのシェア(占有率)は、今年度で1・8~8・7%。

 教科書の歴史や領土に関する記述を巡っては、文科省が昨年1月、小中学校の社会科、高校の地理歴史、公民科の検定基準を改正。近現代史で通説的な見解がない場合、その旨を示すことや、政府の統一的見解や確定した判例があれば取り上げることなどを明記した。

 適用は現在検定を行っている中学校教科書からだが、教科書会社は、誤りや事実関係の変化があった場合などに現行教科書の訂正を申請できる。

 昨年8月には、朝日新聞がいわゆる従軍慰安婦問題に関する記事を取り消している。数研出版の担当者は8日、「訂正申請の経緯については、お答えできる立場の者がいない」と話した。

 同社は高校歴史の教科書は発行していない。

訂正が認められた数研出版・高校教科書の主な記述
 現行訂正後
現代社会1990年代に提起された第二次世界大戦中の「従軍慰安婦」問題、韓国・朝鮮籍の元軍人・軍属への補償問題、強制連行・強制労働への補償問題など、日本には第二次世界大戦の未解決の問題がある1990年代には、第二次世界大戦中に日本から被害を受けた個人が、個人への補償は未解決だとして、謝罪を要求したり補償を求める裁判を起こしたりした
政治・経済戦時中の日本への強制連行「従軍慰安婦」などに対するつぐないなど、個人に対するさまざまな戦後補償問題も議論されている韓国については、戦時中に日本から被害を受けた個人が、謝罪を要求したり補償を求める裁判を起こしたりしている(戦後補償問題)

高校教科書:数研出版「従軍慰安婦」「強制連行」を削除 - 毎日新聞2015年01月09日 11時26分(最終更新 01月09日 20時16分)
 ◇公民科の「現代社会」2点と「政治・経済」1点

 教科書会社「数研出版」(東京都)が、今春から高校で使われる公民教科書から「従軍慰安婦」と「強制連行」の記述の削除を文部科学省に申請し、認められたことが9日、分かった。同省によると、現時点で他の教科書会社から同様の申請はなく、限定的な対応とみられる。

 文科省によると、訂正された教科書は公民科の「現代社会」2点と「政治・経済」1点で、戦後補償に関する記述。「従軍慰安婦」と「強制連行」の記述が削除された。数研出版は理由について「今の時点ではお話しできない」としている。

 政治・経済の教科書では「戦時中の日本への強制連行や『従軍慰安婦』などに対するつぐないなど、個人に対するさまざまな戦後補償問題も議論されている」という記述が「韓国については、戦時中に日本から被害を受けた個人が、謝罪を要求したり補償を求める裁判を起こしたりしている(戦後補償問題)」と訂正された。

 「従軍慰安婦」を巡っては、朝日新聞が昨年、過去の記事を取り消したことを受け、「新しい歴史教科書をつくる会」が昨年9月に教科書の関連記述の削除や訂正を教科書会社に勧告するよう文科省に要請。同省は「訂正を求める考えはない」と応じない方針だが、下村博文文科相は9日の閣議後の記者会見で「今後も訂正申請が出てきた場合、適切に対応する」と述べた。

 別の教科書会社は「朝日新聞の件などを受け執筆者と相談したが訂正はしない」という。

 文科省は昨年1月、近現代史を扱う際に政府見解を尊重するよう求める内容に教科書検定基準を改定した。適用されるのは現在検定中の中学教科書からで、今回の訂正は通常の手続き。【三木陽介】

数研出版の高校教科書の主な記述の訂正
 現行訂正後
現代社会1980年代に起こった教科書検定へのアジア諸国からの批判、1990年代に提起された第二次世界大戦中の「従軍慰安婦」問題、韓国・朝鮮籍の元軍人・軍属への補償問題、強制連行・強制労働への補償問題など、日本には第二次世界大戦の未解決の問題がある1980年代には、教科書検定に関しアジア諸国から批判が起こった。1990年代には、第二次世界大戦中に日本から被害を受けた個人が、個人への補償は未解決だとして、謝罪を要求したり補償を求める裁判を起こしたりした
政治・経済戦時中の日本への強制連行や「従軍慰安婦」などに対するつぐないなど、個人に対するさまざまな戦後補償問題も議論されている韓国については、戦時中に日本から被害を受けた個人が、謝罪を要求したり補償を求める裁判を起こしたりしている(戦後補償問題)

高校教科書:数研出版、公民の「従軍慰安婦」削除 今春から使用 - 毎日新聞(2015年01月09日 東京夕刊)
上記朝刊記事の補足。文科省に取材した情報が追加されています。
 教科書会社「数研出版」(東京都)が昨年11月、高校の公民教科書から「従軍慰安婦」と「強制連行」の記述を削除する訂正申請を文部科学省に行い、同12月に認められたことが分かった。訂正が反映された教科書は今春から使われる。同社は訂正理由について「今の時点ではお話しできない」としている。

 文科省によると、訂正された教科書は公民科の「現代社会」2点と「政治・経済」1点で、いずれも戦後補償に関する記述。「従軍慰安婦」と「強制連行」の記述が削除された。申請書では「誤記」としている。同省によると、「誤記」の場合、事実関係の変化だけではなく、記述を分かりやすくするために変更する場合なども含まれる。下村博文文科相は9日の閣議後の会見で「今後も発行者から訂正申請が出てきた場合適切に対応する」と述べた。

 文科省は昨年1月、近現代史を扱う際に政府見解を尊重するよう求める内容に教科書検定基準を改定したが、適用されるのは現在検定中の中学校教科書からで、今回は検定済み教科書を対象にした通常の訂正申請に基づく手続きとなる。【三木陽介】


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