Tポイントと個人情報の記事
まあ「ビジネスジャーナル」=サイゾーの記事なので、眉につばを付けて楽しむぐらいなものではあるんですけど…。
Tポイント、会員情報を広告会社提供の“気味悪さ” あらゆる買い物履歴、年収、住所… | ビジネスジャーナル
12月3日、カルチュア・コンビニエンス・クラブの100%子会社で、Tポイント会員データを取り扱うCCCマーケティングと、広告配信サービス会社のマイクロアドは業務提携を発表しました。これによりマイクロアドは、ネット広告のターゲティング(掲出先指定)において、Tポイント会員の購入履歴データを利用することが可能になります。
従来のネット広告の多くの業者は、ユーザーのサイト訪問履歴をもとに、年齢や性別、趣味、嗜好などのおおまかなターゲティング機能を広告主に提供していました。Tポイントで記録されるリアルでの行動とネット上での行動とが合わせて個人が追跡されるという話ではないようにも思うのだけれど、
しかし、Tポイント会員登録の際に提供する属性情報の「年齢、性別、世帯年収、住所、同居子どもの年代、職業」とマイクロアドが持つユーザーのサイト訪問履歴に、Tポイント利用者の購買データを掛け合わせることで、より繊細で正確な広告のターゲティングが可能になるのです。
・「旅行ガイド・旅行関連グッズの購入履歴から「旅行予定者」を割り出し、広告を流すこともできる」
・「「東京都目黒区の中古マンションを探している、自動車を所有する3人世帯で年収800万円以上」などの指定も可能に」
などの記述を見ると、Tポイントデータから旅行予定者を見つけて、その人の見ている端末に旅行関係の広告を流すというようなことをするようにも見える。つまり、例えばコンビニであんパンを買ったらあんパンの広告が出てくるという感じでリアルの行動がネットでの表示に反映されるということみたいなのだけど、実際、そのレベルでネット上の行動を追跡できるのかな?携帯電話会社やプロバイダと連携したら実現できそうだけれど…。
ここまで書くと、自分の情報がすべてダダ漏れになっているような気味の悪さを感じます。しかし、広告主は、広告を見ているユーザーが誰かを知ることはできません。個人を特定する情報は、広告主には提供されないからです。つまり自分が誰かは知られていないが、それ以外の情報はほとんど知られている、という不思議な状況がここにあります。実際、徐々に「不思議な状況」が実現する方向に進んでいくのだろうけれど、それって大阪城の外堀を埋められているような話で、あとは城攻めをするかしないかだけ、ほぼチェックメイト状態ということなのだろう。何かの拍子で、その詳細な情報が「私のもの」だと見えてしまえば、一気に「私」の私生活や趣味嗜好、思想などまで丸裸になってしまう。そんな時代がもうすぐ来るのかもしれない。
ツタヤTカード、勝手に個人情報を第三者へ提供?規約改定炎上騒動の真相 CCCに聞く | ビジネスジャーナル
とはいえ、「第三者への個人情報提供」がデフォルト設定となっており、会員はそれを拒否する場合には個人ページにログインしてオプトアウトの手続きをしなければならないという仕組みについては、問題視する指摘も多い。なおかつ、会員ページ上の「提供先への個人情報提供の停止」というページには、「提供先への個人情報提供の停止をご希望の方は、以下提供先のチェックを外してください」という表記の下に、約80社に上る提供先企業リストとチェックボックスがずらりと並んでおり、それらをすべてひとつずつ手作業でチェックを外し、煩わしさを抱いたユーザーも多いだろう。ちなみに、リストの一番下に「すべてのチェックをはずす」というボタンが設けられている。少なくとも、個人情報の提供を許可する会員のみ許諾の手続きを取るという仕組みにすべきだ、という指摘も多い。
「CCCにとってTカード利用者全員、同社発表では約5000万人から『第三者への提供に関する同意』を取り付けるのは、あまりにも煩雑です。そのため『個人情報の第三者提供に反対する人はいつでも提供を停止するという制度を設けたから、必要があったら知らせてね』という方法を採用したわけです。これは個人情報保護法の観点からは合法です。法をよく理解した上での“よくできた”対応だといえます」
「CCCは本気で個人情報を保護しようと思っているのかもしれません。しかし実際の運用は結局のところブラックボックスであり、一般消費者がチェックすることはできません。そこに究極的な『不快感』を感じる人は必ず存在します。結局、個人情報を握っている側のモラルに期待するしかないという状況そのものが、危険性を感じさせるんだよね。営利企業が利益のタネを握っていて、それを使うか使わないかが企業のモラルに頼るしかないという状態は、事故が起きやすい状態を放置して交通マナーを呼びかけているのと同じようなこと。しかも交通事故よりタチが悪いのは、個人情報が実際に使われていてもそのことを被害者が直ちに知ることは難しく、漏れていることが分かったとしてもそれがどこから漏れたのか、故意なのか過失なのかを確かめるのも、その企業側に頼らなければならず、しかも漏れてしまうと原状回復がほとんど無理だということ。結局、CCCがどれほど「ちゃんとやります、やっています」と言っても、それは結局安倍総理が「秘密保護法の濫用は私が許しません」と言っているのと同じくらいの意味しか感じられないわけで。
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