そう言えばNHKのニュースもすっかり見なくなった。「団地ともお」ぐらいしか見るものがない。
Listening:<記者の目>NHK・籾井会長の1年=望月麻紀(東京学芸部) - 毎日新聞2015年02月04日
◇現場に広がる「そんたく」NHKの籾井勝人会長(71)が先月25日、就任1年を迎えた。就任会見で特定秘密保護法について「政府が必要だという説明だから、様子を見るしかない」など公共放送トップの資質を問われる発言を連発したが、その後、取り消し、「私の考え方は変わっていないが、個人的な見解を放送に反映させることはない」と述べた。国会答弁や記者会見では、放送の公平公正、不偏不党を誓い、「放送法の順守」をまじないのように繰り返して乗り切り、3年の任期全うに意欲を見せている。
だが、NHK内では、政権におもねる籾井会長の言動をそんたくする風潮が強まっていると聞く。それでも心ある放送人たちが、格差や貧困、原発など社会問題を浮き彫りにする番組を作り続けていることに勇気づけられるが、その役割を果たし続けることができるのか危機感も覚える。
衆議院解散直前の昨年11月20日、自民党の萩生田光一・筆頭副幹事長らはNHKを含む在京のテレビ6局に「公平中立、かつ公正」な選挙報道を求める要請文を渡した。要請文には、出演者の発言回数及び時間から街頭インタビューや資料映像の使い方まで詳細な指示が書かれている。
NHKは、要請文を受け取ったことも明らかにしようとしない。籾井会長は、自らも街頭インタビューについて「アンケートでも何でもない」「誤解を与える」と発言しており、要請文の内容も正しいと考えているようだ。「公平さ」とは批判を招かないことと同義ではないこと、「公正さ」とは放送局側が自ら判断して多角的な意見を紹介することであるというメディアの一翼を担うものとして当然のことを理解していない。
◇トップ意識欠如、予算承認で露呈
実際、公共放送のトップとしての意識の欠如は、与党議員でさえもあきれさせる。籾井会長は昨秋、与党幹部の前で「NHK予算は与党が賛成してくれればいい」と発言、逆にたしなめられた。
そのわずか半年前の国会で、NHKの2014年度予算案は与党とみんなの党(当時)による賛成多数で承認された。全会一致にならなかったのは、職員の不祥事が相次いだ直後の06年度予算案以来8年ぶりだった。NHK経営委員の上村達男早稲田大教授は「NHK予算は、正反対の意見の人々も立場を超えて賛成する。そこに、広く国民的立場に立つNHKのあり方が反映されてきた」と指摘。会長の個人的見解が批判を受けて全会一致が崩れたことに「反省を」と苦言を呈していた。にもかかわらず、与党幹部への発言が出たのだ。
一方で籾井会長は、組織の掌握に熱心に取り組んできた。管理職の異動を不定期化させ、執行部の理事の任期を現行の2年から1年に短縮したいと経営委員会に提案した。またムチだけでなく、アメも用意した。14年末の職員賞与を加算。その額は、一般職員の場合は2万〜3万円だが、管理職に至っては20万〜50万円の大盤振る舞いだった。
◇「政治的な内容」自主規制の風潮
その結果、籾井会長が直接的に番組内容に介入しなくても、放送の現場が自律的に政治的な内容、とりわけ与党の方針に異を唱える内容を自主規制する、いわゆる「そんたく」する風土が強まっているという。複数の職員がそう証言する。
たとえば、昨年の衆院選の選挙期間中には、俳優の宝田明氏が番組で戦争体験を語り、「戦争は人間の大罪」と断じた上で、投票の重要性を説こうとしたところ、男性アナウンサーがインタビューを終わらせようとした。
問題が表面化するのはごく一部に過ぎない。番組を統括する立場にある職員は「人事異動の不定期化の実例を目の当たりにして、自分や上司に汚点が付かないよう、番組作りを自主規制している風潮がある」。別の職員は「そんたくの横行に無自覚な人が多い」と危機感を募らせる。
1月31日、経営委員会が視聴者の意見を聞く会を水戸市で開いた。「見た番組の分だけ支払う制度に変更できないのか」など、放送サービスは受信料支払いへの対価との認識を持つ人が多かった。「財政面で政治や商業主義からの自主性を維持する」という公共放送を支える受信料制度の理念が浸透しているとはいえない。
籾井会長とNHK職員はこの現実を直視すべきではないのか。政治家や上司の顔色をうかがうのではなく、視聴者に必要な情報、視聴者の期待に応える番組を放送する。その姿勢なくしては、受信料収入から3000億円超をあてる放送センターの建て替え計画も、インターネットでの番組視聴を有料化する受信料制度の見直しも理解されないだろう。
NHK会長:慰安婦問題番組「政府スタンスで放送考える」 - 毎日新聞2015年02月05日 22時53分(最終更新 02月05日 23時00分)
NHKの籾井勝人会長は5日の定例記者会見で、戦後70年にあたり従軍慰安婦問題について番組で取り上げるかを問われ「政府の正式なスタンスがまだ見えないので、放送するのが妥当かどうかは慎重に考えないといけない」と述べ、政府が8月にも発表する「戦後70年談話」の行方を見て判断する意向を示した。自律的な放送を放棄するかのような発言は批判を呼びそうだ。また従軍慰安婦に関する政府見解は見直す余地があるかを聞かれ、「その手の質問には答えを控える」と述べた。さらに、答えない理由について問われると「しゃべったら、大騒動になる」とコメントを避けた。【望月麻紀】
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