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2015/06/22

水産資源保護にも種の保存にも無関心な水族館

東京・葛西臨海水族園:おかえりマグロ 大量死、3カ月ぶりに77匹投入 原因は不明のまま - 毎日新聞(2015年06月22日 東京夕刊)

 目玉展示のマグロ類が大量死した東京都立葛西臨海水族園(江戸川区)で、新たにクロマグロ77匹が大水槽に入れられ、22日、一般公開された。3月にクロマグロ1匹だけになって以来3カ月ぶりに群泳展示が復活した。

 投入されたクロマグロはいずれも1歳で全長80〜90センチ、体重10〜13キロ。21日の閉園後に、大水槽に放された。水槽のアクリル板には、マグロが衝突する前に気付くようにと、5センチ幅の黄色いテープが貼られた。1匹だけ残った大型の先輩マグロとともに、尾びれを小刻みに動かしながら勢いよく泳ぎ回った。

 水量約2200トン、直径約30メートルのドーナツ形大水槽で見られるマグロ類の群泳は、1989年の開園以来、同園の目玉だった。昨年12月1日時点でクロマグロ63匹、スマ67匹、ハガツオ35匹の計165匹が飼育されていたが、相次いで死に、3月24日にはマグロ1匹になった。

 大量死の原因は不明のまま。同園は3〜4月に他の水槽で飼育しているアカシュモクザメ2匹と、群れで泳ぐタカサゴ約500匹を試験的に入れ、大水槽内の飼育環境を確認した。異常は見られなかったため、5月15日にハガツオ21匹、同22日にスマ29匹を投入した。その後、スマは半数以上がアクリル板に衝突して死んだものの、環境に慣れるまでに減少する個体数として問題ない範囲と判断し、クロマグロの投入を決めた。

 22日は午前9時半に開園すると、子供らが大水槽を取り囲み、歓声を上げた。田畑直樹園長は「たくさんの応援を全国からいただき、感謝している」と話した。【山本浩資】

 ◇原因は不明のまま

 再スタートを切った葛西臨海水族園だが、元の展示状態にはまだ遠い。3月以来、唯一生き残って大水槽を守り続けた「奇跡の1匹」について、同園の担当者は「この1匹のおかげでマグロ展示を続けられた」と感慨深げに語る。この1匹は全長約140センチで、推定3〜4歳。この日、新しい仲間が加わったものの、全長80〜90センチと一回り小ぶりだ。以前のように120〜150センチの大型の個体が群れをなして泳ぐ姿を見られるまでには、1〜2年かかるという。

 クロマグロは水槽内では繁殖しないため、同園は高知県沿岸部などで1歳になるまで蓄養された幼魚を、海と水槽の水温差が小さくなる毎年6月ごろに移送して投入してきた。クロマグロは光や振動などの刺激に敏感で、大量死前に死んだものの多くは、何らかの刺激に驚いて猛スピードで泳ぎだし、水槽の壁に衝突死していた。

 大水槽に隣接する水槽で改修工事をしていたこともあり、同園は「繊細な魚なので音や光など複合的な要因が考えられる」として、引き続き原因究明を続けるという。【山本浩資】


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