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2015/07/08

NHK、民放の全ての番組を国がアーカイブしようという議連について

保存してほしいのは山々だけれど、確かに人権侵害の危険性があるし、推進者のメディア圧力への欲望も感じるし、これはなかなかやっかいな案件。

推進者の発言では、
礒崎陽輔議員「政治利用(が心配だ)というけれど一向に構わない」」
島尻安伊子議員「我が地元(沖縄)のメディアはかなり偏っていて、あの時、あの問題をどう報道したかというのをサーベイ(調査)するのは大事だ」

そして議連会長は野田聖子氏。

磯崎氏も野田氏も、有名なタカ派・右翼議員。

島尻氏については、こんな話が。
佐藤優のインテリジェンス・レポート---「ウクライナ情勢の緊迫」「島尻安伊子問題」  | 佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」 | 現代ビジネス [講談社]

こちらのブログでは琉球新報の自分に関する報道へ抗議している。
参議院議員 島尻あい子 (島尻安伊子)

島尻氏が抗議を表明している琉球新報の記事はこれらしい。
放送アーカイブ、報道監視に利用 島尻氏が意向 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース(2015年6月29日 7:09 )

氏は、記者へ説明したことと違うように書かれていると批判しているが、記事を見た感じ、氏の言い分もしっかり書かれているように見える。
詳細は不明ながら沖縄紙(というか、自分への批判的記事が出ること)への警戒感の強さは感じる。

これらの推進議員の気持ちの奥底にメディア管理への欲がないとは言えないだろう。

ところで、下記の毎日新聞記事が指摘する課題は確かに難しく、政治利用やプライバシー侵害の懸念も十分あり得ることだろう。
その一方で他国では限定的な利用を認めつつ保存する制度もあるようで、どう折り合いを付けているのか、あるいは懸念が現実化しているのかは興味深いところ。この辺りをどうクリアできるのかが一つのカギとなるのではないか。

Listening:<放送アーカイブ構想>「文化的資産」に政治色が見え隠れ - 毎日新聞(2015年07月06日)

 国立国会図書館(東京都千代田区)がテレビ・ラジオ番組を全て録画・録音して保存する「放送アーカイブ」構想を巡り、議論が活発化している。超党派の国会議員連盟は「放送番組を国の関与の下で保存すれば、文化的資産になる」と主張するが、放送業界は政治から注文をつけられるケースが目立つ中で「事後検閲につながる」と反発する。どこが実施主体となるべきか、利用方法はどうするかなど、検討課題は多い。【丸山進、青島顕】

 ◇政治・推進側

 「本を保存するのと基本的に変わりはない。政治利用(が心配だ)というけれど一向に構わない」。今年3月の参院自民党政策審議会で、首相補佐官の礒崎陽輔議員は放送アーカイブ構想賛成の口火を切った。

 沖縄県選出の島尻安伊子議員は「我が地元のメディアはかなり偏っていて、あの時、あの問題をどう報道したかというのをサーベイ(調査)するのは大事だ」と沖縄メディア批判を絡めて推進論を述べた。

 出席したメディア研究者が放送番組の研究目的での利用を放送局に認められにくい現状を訴えると、「放送局の横暴だ」とのやじも飛んだ。

 礒崎氏は毎日新聞の取材に「もちろん、そのため(政治利用)に使えと言っているわけではない」、島尻氏は「検閲や規制の意味で発言したわけではない」と答えた。

 放送アーカイブ構想は2012年、衆参両院の議院運営委員会が検討を始めた。まとまった骨子案によると、国立国会図書館がテレビの地上波キー局7局とBS放送7局、ラジオは首都圏のAM・FM局の全番組を録画・録音し、一定期間後に館内にブースを設けて一般に閲覧させるとしている。コピーは認めない。当時の試算では、初年度は機器購入などに約2億円、その後は毎年約1億円の経費がかかるとした。13年度以降、国会図書館が海外視察などの調査を続けている。

 冒頭の審議会を受け、5月に超党派の27人が呼びかけ人となった「放送アーカイブ議連」(会長・野田聖子・前自民党総務会長)が発足。設立趣意書は「放送番組は、音・映像により政治・社会・文化の諸相を伝える記録だ。しかし我が国には後世に継承する制度がなく、日々失われている。放送番組を文化的資産として蓄積するアーカイブをつくるために設立する」とうたう。議連はアーカイブ構想実現に向け、国会図書館法や著作権法の改正案を議員立法で提出することを目指している。

 ◇放送業界

 「『(目的外利用の)歯止めは掛ける』と言われても、収集する主体が国会図書館というところから議論すると、国会図書館は国会議員のための施設という大前提があるので、身構えてしまう」

 6月18日、放送アーカイブ議連の会合に出席した日本民間放送連盟の青木隆典常務理事は、政治色が見え隠れするアーカイブ構想への疑念を吐露した。

 ある放送関係者は、表向きは文化的資産の蓄積を打ち出しながら、文化価値を判断せずに全番組を保存するところに政治の意図を感じるとして、「けさの下からよろいが見える」と苦笑する。捜査機関や企業の人事担当者が、デモの参加者が映ったニュースを思想チェックに利用する懸念も拭えないという。

 番組は多くの著作権が詰め込まれた「権利の束」だ。保存して将来の活用を図る場合には、出演者や番組で使った曲の作者など、著作権者全員から改めて保存の許諾を得なければならない。著作権管理団体に権利処理を委ねていない人も少なくなく、許諾を得るには手間がかかる。

 人権への配慮も欠かせない。NHKはニュース映像や原稿に登場する事件の容疑者や被害者の実名について、放送1年後、局内での利用を制限したり匿名に切り替えるかどうかを判断したりしている。NHK幹部は「いつまでも被害者の顔や容疑者宅の映像が公開され続けることは好ましくない。アーカイブ構想で詰めるべき論点は多く、性急な議論は避けるべきだ」と話す。

 放送業界が“落としどころ”として期待するのは、NHKと民放各局、横浜市が拠出した基金で運営する「放送番組センター」(同市)を拡充し、自律的に運営する方法。政治利用だけでなく、各局の動画配信やDVD販売の事業への影響を避けるため、保存した番組の公開は放送後一定期間が経過したものに限るなど、保存・公開に一定の基準を設けたい考えだ。

 ◇海外は

 国会図書館によると、フランスでは1995年から国立視聴覚研究所がテレビやラジオの全番組を受信して保存し、国立図書館で研究目的に限って公開している。95年より前の番組も一部はネット上で見られる。

 英国では88年から英国映画協会がテレビ番組を録画、保存している。公共放送のBBCは全番組、民放は約8分の1の番組が保存対象で、著作権者の許可が得られたものは協会施設内で有料で視聴できるという。

 米国は議会図書館が放送番組を収集し、研究目的に限って公開する。

 ◇2カ所で番組公開 NHKアーカイブスなど

 著作権法で、放送局は著作権者の許諾を得なくても一時的に番組を保存可能だが、6カ月を超えて保存する場合は許諾を得る必要がある。文化庁長官が指定する「記録保存所」であれば、許諾なしに保存できる。

 現在は記録保存所として、NHKアーカイブス(埼玉県川口市)▽民放連記録保存所(東京都千代田区)▽衛星放送協会記録保存所(東京都港区)の3カ所が登録されている。このうち保存番組を公開しているのはNHKアーカイブスだけだが、放送番組センターも放送法に基づき番組を保存、公開している。

 NHKと埼玉県が共同運営するNHKアーカイブスは今年3月末現在、NHKの番組89万本を保存している。このうち一般公開されているのは約9000本で、全体の1%程度に過ぎない。一方、放送番組センターは放送関係の受賞候補になった番組を中心に、NHKと民放のテレビ・ラジオ番組約2万5000本を保存し、4分の3に当たる1万9000本を館内で無料公開している。両者の公開度に差があるのは、放送番組センターは保存時点で著作権許諾を得るようにしているためだ。

放送アーカイブ、報道監視に利用 島尻氏が意向 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース(2015年6月29日 7:09 )

 島尻安伊子参院議員がことし3月に開かれた参議院自民党・政策審議会で、民報の放送番組やCMなどの過去のデータを蓄積する「放送アーカイブ」構想を議論した際に「先日の選挙では私の地元(沖縄)のメディアは偏っていた。あの時どうだったか調査するのは大事だ」と述べ、同制度を政治家が放送局の報道監視に利用する意向を示していたことが分かった。
放送アーカイブは国会で導入が議論されているが、制度骨子案は「文化的資産として放送番組を蓄積し利用する」としている。
 島尻氏の発言について、制度の趣旨を逸脱した政治利用の可能性を指摘してきた専門家は発言に懸念を示している。
 島尻氏の発言は27日に記者会見した糸数慶子参院議員が公表し、本紙も事実関係を確認した。島尻氏は本紙の取材に「政策審議会としての議事録はない」と述べ、「選挙-」を含めた発言内容は厳密には覚えていないとした。一方、「沖縄のメディアについて多種多様な意見を報道してほしいという思いはある。真意としてはその文脈のことを言ったと思う」と述べた。
 その上で「偏った報道の調査」について、「仮に言っていたとしても、個別な放送局名を挙げておらず、現在問題になっている百田尚樹さんの圧力発言や(自民党議員の)『マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ』といった内容の発言もしていない。質が異なる」と説明した。
 「偏向報道の調査」が放送アーカイブ制度導入の骨子案と異なる点については「党内部の勉強会だ。多様な意見があっていい。制度の骨子案も案であり、最終決定ではない」と述べた。関係者によると、この会合には党内部だけでなく放送アーカイブ制度の運用主体となることが検討されている国立国会図書館の総務部長らも参加した。
 一方、同問題の政治利用の可能性を指摘してきた専修大学文学部人文・ジャーナリズム学科の山田健太教授は「発言はメディアの報道が偏向していることを前提に調査を求めるものだが、その延長線上には当然、個別番組に対し抗議をする、あるいは総務省に行政指導を求めるといった行為が続くと考えるのが自然だ」と述べ、報道への圧力を招くと指摘した。
 一方、島尻氏は2014年11月に開かれた講演会に登壇した際、県内メディアの報道について「報道ではなく扇動だ」と発言していたことが分かった。これについて島尻氏は「『そう言われている』と言ったという趣旨だ」とした。(島袋良太)


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