« 2015年8月 | トップページ | 2015年10月 »

2015年9月の25件の記事

2015/09/28

ブランド店のマッチポンプ論法と商人性

消える行列 ファッション人気店で広がる「並ばせない仕組みと理由」 | Fashionsnap.com(2015年09月28日 12:30 JST)

並ばせない=行列ができない管理ってどうするのかなと思ったら、ほぼ事前抽選だった。もっと上手い方法があるのかと思ったので、ちょっと期待はずれ。

・「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」:WEB抽選→発売前日にメール
・「ナイキ」:抽選販売。店頭で発売前に1日かけて応募を受け付け、後日発表
・「ザ・プール 青山」:メディア情報解禁を発売日当日に設定→行列の長さが短縮
・「アップル」:事前予約→来店時間を指示する案内を送る

まあ人気アーティストのチケット販売と同じような方式なので、ごくありきたりの方法と言える。

こうした対応の理由は行列管理のコストがかさむことや客と店、客同士のトラブル回避、客からの不満回避ということらしい。

「本当に欲しい人の手に渡らない」という声を受けて公正な販売のために行う店も増えてきた。
というのだが、これは要するに、転売関係者が行列客の多数を占めるようになって、消費者の割合が減ったということだろう。
ただ、転売された商品も最終的には消費者の元に行くので結局「本当に欲しい人」の手には渡る。だからこの表現はあまり良くないと思う。
もうちょっと言うと、抽選や予約販売にしたところで転売業者の参入は防げない。だから、この対応は単に行列を減らすということが本質であって、「本当に欲しい人」に商品が行くようにすることではないと言うべきだろう。その意味でもこの表現は正しくない。

もっとも、転売者からすれば、行列に参加する期待収益に比較して予約や抽選に参加する期待収益が低ければ、多少は参入が減って、「本当に欲しい人」の割合が増えるかもしれない。ただ、基本的には転売差益が正である限り転売者の参入は続くと考えられるので、本質的には「本当に欲しい人」のための「公正な販売」のための措置だとは言えないだろう。
まあ、本当に「本当に欲しい人」に届けたいならオークションなどの個人の選好を評価する制度を取り入れるべきだし、転売はそうした資源配分の代理機構になっているのだから、むしろ転売行為こそが「本当に欲しい人」に届けるシステムであって、このシステム維持のコストを自己負担してくれている転売業者に対して店側が感謝してもいいぐらいなのである。

それと、次の文章もあまり正しくないと思う。

 各社が行列を規制するようになったのは、行列の暴徒化が理由。近年は、これまでの客以外にも転売目的の外国人バイヤーが激増し、深夜早朝にかかわらず客同士のトラブル以外に店側への要求等で大声を出すこともあり対応に苦慮。行列時代元祖と呼ばれた裏原宿時代にもほとんど見られなかった警備員を配置するなど最大限の配慮を行っていた。しかし、少数発売のアイテムを買い占めようと外国人バイヤーが組織化するなど手口が巧妙になり、「店側だけでは対応できない深刻な問題になっていた。
ここではちょっと外国人への偏見も混じっているような気がする。まあ奇矯な声を上げたりする騒動があって、日本人的な不快感が表明されているのではないか。わりとアナーキーな状況への耐性が低いというか嫌悪感が強いというか、そういう文化的反応の一つとも言えるかもしれない。

で、何が正しくないかというと、行列規制の原因が「行列の暴徒化」という部分。確かに文化的反応だと思えば、「暴徒化」という表現も含めて転売業者の奇矯さを「理由」とすることは正しいのだけれど、別にだからと言って行列規制が必然になるわけではない。端的に言えば、数量限定を止めるか販売価格をつり上げればそれで済んでしまうわけで、この文章は、商品が奪い合いになり転売される誘因を店側が人為的に作り出しているという点に触れていない。

つまり、品薄感をあおってブランド価値を維持するという店側の戦略がこうした現象を生み出していて、行列も元々は「並ぶ人数が多ければ多いほど、店としては"箔"がつく」という「広告効果」を狙った店側の企てで生まれたものである。この企てが予期せぬ反応を生んで(というか、転売業者に狙われるのは自明だと思うけど)、店が戦略はそのままにして売り方をちょっと改めたということに過ぎない。だから、「対応に苦慮」とか「最大限の配慮」とか店側だけでは対応できない深刻な問題」とかいう表現は一体何なんだろう?と思ってしまう。

そもそも、数量限定で割り当て(レイショニング)が発生するような状況において転売行為が発生するのは市場経済の自然な反応と言うべきであって、資本主義以前からの商取引の本質でもある。そういう状況を自分たちで意図的に作り出しておいて、言い換えると、転売のインセンティブを十分に与えておいて、転売行為をする人を非難して自分が迷惑を被っているかのように言うのは、責任を転嫁するマッチポンプ論法だと言わざるを得ない。しかも行列騒ぎを宣伝に利用しておきながら、都合が悪くなると、逸脱行動をした人たちの被害者然として良い店ぶりのアピールに使うのだから余計にたちが悪い。もっとも、この機会主義と厚顔無恥ぶりこそが商人の本質であると思えば、確かにこれらの「ファッション人気店」が「良い店」であることは間違いないだろう。

*********
上でも触れたが、この現象は簡単に言えば、
・外国人嫌悪、特に中国人への嫌悪
・異文化接触に伴う違和感(自分たちの社会秩序に異質なものが入ってきたことへの警戒感)
・想定した市場以外からの影響への困惑
・転売行為への道徳的な反感(公正さが侵害されているという感情)
が入り交じった反応の一つだと見るべきなのだろう。

実際の行列では、日本人ホームレスの人たちも多く見られたにも関わらず、この記事ではその存在が一切触れられておらず、「外国人バイヤー」のみが取り上げられているのが興味深い。

| コメント (0) | トラックバック (0)

牧野雅子氏のコラムからの思いつき

穿ったコラム。

Love Piece Club - わたしたちは知っている。「マモルくん」たちが本当に恐れていることを。 / 牧野雅子

プロフィールによれば、牧野氏は「絵に描いたような関西人」でありつつ「エスカレーターは左に立つ」のだそうで、そこは素直に右に立ってほしい…ていうか、大勢に合わせてほしいなあ…。米国など車を運転するなら右側通行するでしょう?いや、私がエスカレーターを歩く(走る)ので、どいてほしいわけです(自己都合)。

まあそれはともかく。
ああそうだなあと思った箇所を引用。

男のやったことは、わたしたちの日常の細部にまで入り込んできた。
ルールを平気で破ることや、前言を翻しても平気なこと、自分に都合の悪い弱者を切り捨てること、強い相手にはおべんちゃらを言ってすり寄ること、暴力でいうことを聞かせてもいいことや、既成事実さえ作ってしまえばこちらの思い通りになると人を見下すこと、差別を放置し利用することは、公認されたも同然だった。
わたしたちがこれまで大切にしてきたもの、世界への信頼が破壊された。
どうやって、こんな世の中で自分の「良心」を大事にしていけばいいのだろう。
この男は「守る」というかけ声で、わたしたちの大事な世界を壊した。
安保法制は日本という国の方向性を大きく変えた、というより日米安保の目指す方向への動きをさらに加速した。これから日本は徐々に戦争を厭わない排外国家になっていく。
けれども、安倍政権・自民党・公明党が社会に与えた打撃としてもっと大きいのは、この牧野氏の指摘することではないか。

安倍氏が政権を取ってから、排外主義とレイシズム、市民的権利や抵抗への軽侮、言論弾圧、メディアコントロール、個人攻撃、そして権力の専横と傲慢とが一気に目立つようになったことを思い起こそう。権力者が持つムードは社会に影響し、それがまた権力者の言動を強化する。

「守る」という言葉は、敵がいることをほのめかして、この問題については自分に任せればいいと、相手の知る意欲を奪い、自分に従わせ、他に問題があっても守ってくれるんだからと欠点に目をつぶらせる、マジックワードだ。
「マモルくん」たちの常套手段、効率のいいコントロール方法は、相手が萎縮し、自分で自分の行動を制限していくように仕向けること。
恐怖で動けなくさせることもそうだし、人に任せておけばいい、やってもムダだと、諦めさせることもそう。
それは、わたしたちが本来自由なのだと気づかせないために、周到に張り巡らされた罠なのだ。
ここで言う「マモルくん」は、家族や恋人も含むあらゆる関係における権力や政治性を意味している。こうした視角はジェンダー論の人らしいなあと思うと同時に、安倍氏や自民党的な国防意識の奥底を照らし出してくれている。
わたしたちは自由だと思い出そう。
言葉を大切に使い、小さいことをないがしろにせず、知恵を出し合い、エールを送り、時に叫ぼう。
違和感を無かったことにしたり、怒りを押し殺すのはなく、語りあって、共有していこう。
出来事を冷静に見つめ、でも決して落胆するのではなく、笑い飛ばしもしながら、熱く、のびのびと毎日を送ろう。


わたしたちは知っている。
「マモルくん」たちが恐れているのは、わたしたちが「自由」だということに「気づく」ことだ、と。
わたしたちには力があることに「気づく」ことだ、と。
気づいてしまったからには、もう後戻りは出来ない。
気づくことと行動することは違う?
でも、気づいてしまったら、見える世界がかわったでしょう?
あなたはもう、前と同じじゃない。


前を歩く人たちの姿が見える。
わたしも、後に続きます。

ポエムチックではあるが共感する箇所。
理想社会の建設に参画する私たちという視点は左翼の専売特許ではなくて、右翼も宗教集団も皆持っていると思うが、何というか、因習や制約からの解放と人間本来の自由の実現というあたりが左翼っぽいなあと思う。

思えば私がそういう感覚を持つようになったのは、フェミニズムにはまだ到達しない伝統左翼的な婦人運動の影響を受けてからだった。封建的女性性からの解放と「私らしさ」の回復というテーマはそうした婦人運動の中にもあった。それと同時に「母親」や「妻」が本来的に持つ感情や家族愛という前提もまた色濃くあったけれども。
今興味深く思うことは、そうした女性性からの解放と母・妻としての願いという一見奇妙な両立から、全ての子供を本来的には自由な存在だとする意識が生まれていたことだ。そして、大上段に振りかぶらなくても、日々の生活の中に政治と運動とがあり、抵抗は密やかに、したたかにつづけることができ、それは情感豊かに彩られてよいものだということもまた、この婦人運動に関わる人たちから知ったことだ。このしたたかさ、柔軟さ、粘り強さ…というかあきらめの悪さというか?は人民主義的なものにもあるけれど、私自身の経験では、女性解放運動を知ることで学んだものだった。

牧野氏のコラムからもう一つ。

Love Piece Club - 第六回  「国防男子」マモルくんたちが、実際に「守る」のは、人ではなくて「命令」「指示」。 / 牧野雅子

彼らは自分の職業生活を振り返って、言う。「守れる自分が誇らしかった」。
一見、良さげな感じ。自分の仕事を誇りに思っているって素晴らしい、なんて声も聞こえてきそう。でも、ベクトルが違うのだ。彼らは、目の前の助けるべき相手ではなく、自分に目が向いている。救助のことを語る時、相手が助かったことを喜ぶのではなく、「助けたオレってすげー」という文脈で彼らは語る。「オレってすごくないっすか」「オレを認めて」「オレを褒めて」っていうオレサマ目線。被害者も被災者も、自分は人助けが出来る人間だと思わせてくれる、オレサマ物語の脇役として見ているんじゃないかと思うくらい。実際には、体力もスキルもある彼らは、現場では活躍したことだろう。感謝されもしただろう。でも……。
この指摘はいいところを付いていると思う。マッチョなヒロイズムにはこういう自己陶酔のための示威行動という側面が確かにあるように思える。

そこからの連想なのだが、職業倫理とか使命感というものが職業人の「徳」だとするなら、この「助けたオレってすげー」意識というのはそれと重なっている部分があるのではないか。自己愛や承認欲求は倫理や節制、自己犠牲に伴う徳や名誉、誇りを、少なくとも部分的に支える感情なのではないか。

正しくあること自体への喜びが原動力というよりも、正しくある自分という自己像を確認することに喜びを感じ、それが規律や忍耐の原動力となる。これは本来の道徳的要請からすれば転倒であって道徳的に正しくはない。行動や結果が同じであろうとも、動機が正しさへの希求になく、正しい自分という虚像への希求であるから。
しかし、誤りであるにもかかわらず、いやむしろ自己愛に裏打ちされているからこそ、一層強く「良い」行動へ自己を律することができるという場合があり得る。そして、「徳の高い自分」、「社会的評価の高い自分」を得たいという欲が個人の道徳性追究の原動力となる場合の方がむしろ多いのではないか。

もちろん、自己愛と名誉のための献身は、しばしば本来の人助けにならないばかりか、むしろ他人を犠牲にする悲惨を引き起こす。そしてさらに厄介なことには、その張本人たちはこの本末転倒に気づかないばかりか、その悲劇すら自己の英雄譚の中に回収して誇示してしまう。

しかし、こうした危険にもかかわらず、この自己効力感への欲望と承認欲求とが(道徳的に正しいかは別として)結果的に正しい行動へ人を駆り立てる力となるのであれば、その有効性は一定程度認めなければならないのではないか。

サンデルは『これからの「正義」の話をしよう』の中で、名誉や社会的な徳への欲求をカントやロールズの正義論では捉えられないものとし、これらを包含した正義の概念を構築しなければ政治上の対立や価値観の断絶を乗り越えられないと主張している(と思う)。そして、その可能性を「物語の中に生きる自分」というマッキンタイアの人間観を引きながら、社会(共同体)の一員として自己を規定する方向に見いだす。なるほどコミュニタリアン(コミュニストではなく)と呼ばれるゆえんだと思う。この方向性は、正直、悠久の大義に殉ずる流れにつながりかねないから私は好きではないが、しかし、彼が歩行困難なプロゴルファーや車いすのチアリーダーに対する攻撃の例を引いて、これらの攻撃者らの動機が「オレってすげー」という名誉を守ることにあった、そしてこれらの欲求を公的的に解消することが社会的に必要だという指摘はもっともだと思う。

「徳を高めたい」という動機と「徳の高い人になりたい」という動機を分離することができるのかは簡単に答えられない問題だろう。そして、もし分離できないのだとしたら、「自衛官、警察官、消防士、医師……」などの「「守る」事を仕事にしている人たち」(個人的には、税関や入国管理局なども入れてほしい)が、「守る」対象を自己愛の道具にしないような枠組みや仕組みが必要になるのではないか。仮に、彼らの存在が必要悪であるとすれば、自己肯定感を維持できるアイデンティティをどのように確保すればよいのか。邪悪も弱きものも存在しない世界で彼らが規律と誇りを持てる物語は何になるのだろうか。

9条的平和観への反感がこうした名誉欠乏のフラストレーションから来ているとしたら、結構根深いなあと思った次第である。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/24

シリア難民の日本受け入れについて緒方貞子氏インタビュー

朝日新聞の記事。
一読して、緒方氏は国際感覚がある保守派という印象。
シリア難民の日本受け入れは大きな問題にはならないかもしれないが、諸外国とりわけ欧州の考え方との乖離を一層印象づける契機にはなるだろう。法務省と外務省はピリピリしながら推移を注視していると思う。

法務省、特に入管当局には、優秀・優等と認定できない外国人が入国・滞在・定住することに強い嫌悪感があるように以前から感じている。外国人=犯罪予備軍という見方が彼らには定着しているし、そう見ることが職務上の美徳だとすら思っている節がある。そして、この嫌悪感が、入国管理行政に必要ないばかりか、差別や人権侵害に当たり、円滑な入管行政の障害にすらなり得るということが理解できないのではないかとも感じている。
彼らの外国人嫌悪の心情からすれば、非白人・非富裕層・非高学歴であるシリア難民をできるだけ認定したくないと考えるのは当然だろう。

本来なら、共生協働とか、異文化間接触とか、民族差別と人権擁護の歴史とか、基本的な社会学とか、そういう研修があって然るべきだと思うのだけれど、到底そういう余裕もなさそうだし、入管も人員をもっと増やしてやるべきだとは思う。

ともあれ、例外的な在留許可だけでは日本国内での活動に制限があるし、難民認定が少しでも緩和されることを願う。

「難民受け入れは積極的平和主義の一部」 緒方貞子氏:朝日新聞デジタル(2015年9月24日08時13分)

 緒方貞子・元国連難民高等弁務官は朝日新聞の取材に応じ、「難民の受け入れくらいは積極性を見いださなければ、積極的平和主義というものがあるとは思えない」と話し、難民受け入れに慎重な日本政府の姿勢を改めるべきだと訴えた。

 日本では昨年、5千人が難民申請をしたが、昨年以前に申請されたものを含めて、昨年1年間に認定したのは11人だった。

 1991年から00年まで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップとして世界の難民問題に対処した緒方氏は「当時から日本に難民を受け入れてもらうのに苦労した。変わっていないのは情けない話だ」と指摘。「難民の受け入れは積極的平和主義の一部だ。開発援助も、底辺に届くようなものをどれだけやるかだ」と話した。

 シリアなどからの難民については欧州だけでなく米国なども受け入れを表明している。これまで日本で難民申請をした約60人のシリア人のうち、日本政府が難民と認定したのが3人にとどまっていることについて「シリア情勢に対する日本の無知ではないか」と批判した。「日本を目指して逃げてくる人は少ない」としながらも、日本に着いた人びとについては、難民としての保護を検討すべきだとの考えを示した。(大島隆、今村優莉)

■島国根性でやっていけるのか

 ――日本の難民受け入れをどう考えていますか。

 「物足りない、の一言です。特に人道的なこういう事件(シリアなどからの大量難民)が起こったときに『まだか』という感じですよね。日本は、非常に安全管理がやかましいから。リスクなしに良いことなんてできませんよ」

 「簡単に言えば、難民受け入れがものすごく厳しいですよ。私が(難民高等弁務官だったのが)2000年までで、今、15年でしょう。変わっていないみたいですよ、残念ながら」

 ――現在のシリアを巡る情勢については。

 「難民については、必要な人の受け入れはしなければならない。それから、難民を出している国の安定というものに対して、技術援助や経済援助だけではできないものがある。政治的な介入が必要ですが、それはとても難しいだろうと思います」

 ――シリア情勢で、日本がすべきことは何ですか。

 「日本を目指して逃げて来る人は少ないんですよ。だけど、(日本にたどり着いた人については)もうちょっと面倒をみてあげてもよいんじゃないかと思います」

 「難民条約を技術的に堅く当てはめようとしたら、助けられる人も助けられない。日本は、それから外れることは非常に難しいんですよ。緊急の状態のときに出てくる人には、やはり柔軟性を持って助けてあげて、そして、その次の定住とかそういうものを考えるということではないか。緊急状態から出てきた人たちに猛烈に厳しいんですよ、この国は」

 ――日本が難民受け入れに消極的である根本的な理由は何だと思いますか。

 「長い間、島国でね、島国を守っていくということだけで来たからでしょう。そういう島国根性的なことは変わっていないと思いますよ。だけど国際化が進んで、非常に国際協力が発達したなかでは、前と同じ島国根性でやっていけるんでしょうかという疑問は持ちますよね」

 ――日本の難民認定制度はどうあるべきですか。

 「外国は難民条約に基づいて審査するというのはベースになっているけれど、人道的な配慮とか政治的な問題とか、非常に多様な原因に基づいてやっている。だけど日本はなかなか厳しい。私は難民高等弁務官のとき非常に苦労しました」

 「日本の法務官は、厳しい法律的な視点で(認定審査を)するんですね。日本の法務システムそのものが厳しい。人道的な考え方というものを、教育とかでもっと広めないとダメですよ。私の時代と変わっていないというのは情けないことだと思いますけどね」

 ――シリアからはこれまで約60人の難民申請があったそうですが、これまで認められたのは3人です。

 「日本のシリア情勢に対する無知じゃないの。全然知らないからですよ」

 ――難民認定しなかった人にも人道的配慮で在留許可は出しているそうです。

 「でもそれで、放っておいていられるというのはやや悲しいね。そんな日本社会なのかなって」

 ――法務省は難民認定制度の見直しを含めた、新しい出入国管理基本計画を出しました。

 「本当ですか? 本当ですかと聞いたのは、どこが本当に変わったのかと。特定できませんでしたけど」

■自信がないから不安定なリーダーシップに

 緒方氏がいまの日本をどう見ているかや、国際社会の中で日本が進むべき道についても聞いた。

 ――最近出版された回顧録「聞き書 緒方貞子回顧録」では「日本国内の問題意識と、国際社会の動向との開きが一度ならずあると感じることがあった」と指摘しています。

 「一度ならずなんてもんじゃないですよ。だけど、私が弁務官をしているころは、いろんなことをしてあげようという気持ちは(日本側に)今よりあった。今はかなり自信たっぷりの国になったと感じますね。思いやりが減ったんですよ」

 ――回顧録で「日本は、父祖の時代よりも外に開かれ、多様性に富み、国際社会で責任ある行動を取れる国になったのであろうか」とも自問していました。

 「今でも『あろうか』ですよ。石油とかいろんなこともあって中東などへの関心は増えてきたけれど、中東にどれだけ援助しているのか。特にそこに飛び込んでやろうとはしていない」

 ――より開かれた国にはなっていない?

 「一つは、今の日本はリーダーの方から見てみるとややナショナリスティックです」

 ――具体的には。

 「偏狭にはなっているかな、と。最近、中国の天津に会議で行きました。(外交官だった)祖父は天津総領事館にいたことがあるのですが、(清朝最後の皇帝)宣統帝(溥儀(ふぎ))が逃げて来たときに日本の大使館がお預かりしたことがあった。そういう深い長い歴史に重なっているんだということを、もうちょっときちんと勉強のなかで知ることが必要なんじゃないでしょうか。今の方は中国を好きか嫌いかだけで見ている。それは残念だと私は思う」

 ――回顧録では、「日本は国として目指す方向性が定まっていない」とも。

 「それもあるしね。今のリーダーシップの方々の中に自信がないの。日本の歴史について、あるいは自分たちの研究してきたことについて」

 ――先ほどの話では、日本は自信たっぷりで思いやりがなくなったと。

 「一流国家だと思いたくて、だけど自信がないから不安定なリーダーシップが多いんじゃないの」

 「テクノロジーを中心とした情報の繁栄のなかで、どうやって本当の知識、そういうことに基づいた政治をし、哲学をつくっていくか、ということなのじゃないでしょうか。そういう力が逆に減ってきていると思う。あんまり早く知識がまわりすぎちゃうから。消化しなくても知っちゃうんですよね。だけどそれが知識というものになっていくかというと……。そういうことを調べている学者がいるんじゃないの。今、哲学者って何をしてるの?」

 ――日本の世界との関わりや国際貢献で言えば、日本政府は今、「積極的平和主義」と言っています。

 「言葉はね。だけど、積極的平和主義をしようとしたら、そのためにどういう犠牲を払う用意があるか、というのをほとんど聞かないでしょ。だから、お言葉だけというふうに私は受け止めています」

 ――どういうものが積極的平和主義と考えますか。

 「例えば、難民の受け入れは積極的平和主義の一部ですよ。本当に困っている人たちに対してね。それから開発援助も底辺に届くようなものをどれだけやるのか。それが積極的ですよ。難民の受け入れに積極性を見いださなければ、積極的平和主義というものがあるとは思えないと言っていたと、書いて下さい」

■どのくらい犠牲を払うのか、議論がない

 ――国連平和維持活動(PKO)はどう見ていますか。

 「PKOについては、私は(自衛隊の派遣に)相当期待していました。だけど、危ないところにはお出しになりませんよ」

 ――犠牲が出る可能性をきちんと議論したうえで、ということですか。

 「どのくらいの犠牲を払う用意があるかということについて、もうちょっとはっきりお考えになる必要があるんじゃないですか。そういう議論をおっしゃらないもんね。おっしゃれないかもしれない。今の日本の考え方は、みんな『犠牲はない』と。だけど積極的平和主義はやると。そういう矛盾の中で暮らしているんじゃないですか」

 ――途上国援助(ODA)は今、戦略的活用とか日本経済に資する援助とか「国益」が言われます。

 「国際益と国益のバランスが常にODAにとって大事です。もう一つ、ODAはこちらが言い出すんじゃなくて、どのくらいの需要が出てきたのかに対して、合わせていかないといけないでしょ。でもそういう考え方はやや薄いんじゃないの。供給ベースでやっていると思います。需要ベースでやったらもっと増やさないといけませんよ」

 ――回顧録では、日本は外交で戦略的思考ができない、とも指摘しています。どういうときに感じましたか。

 「戦略的な思考に基づいた提案ってあります? それはもしかしたら教育制度とも関連しているんじゃないですか。こつこつと一本道をいって、官僚になってさらにコツコツコツと。しょっちゅうやめて、いろんなところに入る、という人はなかなかいない。本当は(国際社会では)政治家がそうなんですよね。辞めていろんなことをやりながら上がっていく。戦略的な思考とか、国際機関における中枢的な役割に必要なのは多様な思考だろうと思う。だけど日本の教育体制において、多様性を育む教育制度がないし、教育の内容も弱いんじゃないですか。多様性というのはいろんな違った意見を尊重してあげるということで、日本はわりと同じことを考えないと出世もしないし。どうですか」

     ◇

 おがた・さだこ カリフォルニア大バークリー校で博士号(政治学)。上智大教授などを経て、91年から00年まで国連難民高等弁務官。03年から12年まで国際協力機構(JICA)理事長を務めた。現在はJICA特別フェロー。

日本の難民認定、5千人中11人 条約を厳格解釈し審査:朝日新聞デジタル(2015年9月24日08時14分)
 日本でも難民認定の申請者は増え、昨年は5千人に達した。だが、認定数はわずか11人。人道的な配慮での在留許可も110人にとどまる。

 難民条約は、難民を「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員、政治的意見」を理由に迫害された人と定めている。日本は1970年代後半からインドシナ難民約1万1千人を受け入れたこともあったが、難民認定審査については、欧州などと比べると、条約を厳格に解釈する傾向がある。

 今月、法務省が発表した難民認定制度の運用見直しでは、紛争から逃れた人々の在留を「待避機会」という考え方で認める方向を打ち出したものの、「難民条約の迫害理由にない」として、難民認定を増やす方針は示さなかった。紛争から逃れたシリア難民が急増する欧州では、条約上の難民と認める例が増え、ドイツでは15年第1四半期のシリア人申請者の9割以上が難民と認定されている。

 日本政府は各地の難民向けに国連を通じた支援などを実施している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のマイケル・リンデンバウアー駐日代表は朝日新聞の取材に「日本の財政支援はありがたい」としたうえで、難民受け入れについても「シリアの子どもに日本の病院で医療を提供したり、一時的な滞在ビザを出したりできる。シリアの大学生に奨学金を出し、日本の大学で学んでもらうこともできる」と語った。(鈴木暁子)

| コメント (0) | トラックバック (0)

メモ用:記事のクリップ

初めは、知覧の特攻平和会館との関係で。
「命のビザ」「上野三碑」が世界記憶遺産の国内候補に:朝日新聞デジタル(2015年9月24日13時06分)

 2017年のユネスコ(国連教育科学文化機関)の「世界記憶遺産」登録に向けた国内候補に、群馬県にある特別史跡「上野三碑(こうずけさんぴ)」と、第2次大戦中に外交官の故杉原千畝(ちうね)氏がユダヤ人に発給した「命のビザ」のリストなどの資料が決まった。選考していた日本ユネスコ国内委員会が24日、発表した。公募に対して申請のあった16件から絞り込んだ。来年3月、ユネスコに申請書を提出し、17年に記憶遺産国際諮問委員会の審議を経て、登録の可否が決まる。

 上野三碑世界記憶遺産登録推進協議会が申請した上野三碑は、飛鳥時代から奈良時代前期に現在の群馬県高崎市内に建てられた「山上碑」「多胡碑」「金井沢碑」の総称で、いずれも国の特別史跡に指定されている。大陸からの書体の伝播(でんぱ)を示し、短い碑文の中で東アジアとの交流を伝えている点や、保存状態が極めて良いことなどが評価された。

 出身地の岐阜県八百津(やおつ)町が申請した「杉原リスト 1940年、杉原千畝が避難民救済のため人道主義・博愛精神に基づき大量発給した日本通過ビザ発給の記録」は、外務省が所蔵する2139人分の査証発給リストや外務省とのやり取りを示す公電、同町が所有する自筆のビザの記載があるパスポートのほか、NPO法人「杉原千畝命のビザ」が所有する自筆の手記などが対象だ。世界史的に見ても人道上、意義ある行為で、記録資料の多様性や公開性が評価された。

 世界記憶遺産は、歴史的な文書や図画などが対象で、97年から登録が始まった。選考は2年に1回。これまでにフランス「人権宣言」や「アンネの日記」など301件が登録されている。国内からは、福岡県田川市などが申請した11年の「山本作兵衛炭坑記録画・記録文書」が初めてで、13年には政府が申請した藤原道長の「御堂関白記」と「慶長遣欧使節関係資料」の国宝2件が登録された。

 政府だけでなく地方自治体や民間団体、個人でも直接、ユネスコに申請できるが、一度に推薦できるのは国ごとに2件まで。今回から事前に申請希望者に手を上げてもらう公募方式に切り替え、あらかじめ国内で絞り込むことにした。

 ユネスコに申請中の「舞鶴への生還―1945~1956シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録―」(申請・京都府舞鶴市)と、中世の寺院運営について記した国宝の「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)」(同・政府)の登録の可否は、アラブ首長国連邦で来月4日から開かれる記憶遺産国際諮問委員会で審議される。(佐々波幸子)

次は、国会前デモにおける不当逮捕の例。

9月16日夜、国会前。平和的なデモ参加者を警視庁第4機動隊が暴力的に不当逮捕|ジャーナリスト三宅勝久公式毒舌ブログ 借金、自衛隊の虐待・自殺、記者クラブ、デタラメ行政を斬る(2015-09-16 21:04:05)

国会南東角の交差点できょう16日午後7時半ごろ、国会に向かう通路を閉鎖した警察の過剰警備に抗議していた市民に対し、警視庁第4機動隊の隊員多数が突然暴力的に襲い掛かり、若い男性と高齢女性の二人を仰向けに倒し、「公務執行妨害」の現行犯という口実で逮捕・連行するという事件があった。

 筆者は事件の一部始終を目撃し、写真に記録した。男性と女性はなんら手を出すことなく、完全に平和的に「通せ」と口頭で抗議を行っていた。暴力を振るったのは警察のほうで、腕を乱暴につかんで引き倒し、身を守ろうとする2人に対して多人数で覆いかぶさるようにして押さえつけた。周囲には数十人のデモ参加者がいたが、口々に「暴力をやめろ」と抗議した。

 暴力団員顔負けの暴言を大声ではき、感情的になって暴力を振るおうとする隊員もいた。同僚警察官がとめていた。

 写真を撮っている筆者に対しても、始終警察官がつきまとい、体当たりをするなどして実力で撮影を阻止しようとした。不当なことをやっているというやましさがあったのかもしれない。

 特別公務員暴行陵虐罪の現行犯である。現場で指揮をとっていたのは4機4中隊の隊長(警部)だった。筆者は「公務執行妨害」を行った事実はなく、あきらかな不当逮捕ではないか、と抗議した。

  2人は手錠をかけられ、パトカーで連行された。女性はしばらく路上で倒れていた。ケガをした可能性がある。「救急車を呼べ」と筆者は叫んだが警察は無視した。

 通行はそれほど多くなく、バリケードをする必要性はいっさい考えられなかった。もし通行止めにしなければならない事情があったとしても、話し合って解決できる状況だった。バリケードの反対側(国会側)にも多数人がおり、なぜ強引に通行を阻止するのか意味がわからなかった。
 
 30分ほどのち、現場のバリケードは警察の手によって開けられ、通行が可能となった。

これと関連して、重要な指摘が以下にある。

デモにおける「逮捕」の実例と、「逮捕」についての伝達行為から学ぶべきこと - 村野瀬玲奈の秘書課広報室
こちらのコメント欄も興味深い。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/18

「一般社団法人今井光郎幼児教育会」が助成した幼稚園と保育園

ソースは以下。
一般社団法人今井光郎幼児教育会の幼稚園・保育園への助成先決定について」(平成27年3月4日)

この文書によると、この「教育会」は、
・今井光郎氏が私財(フジ住宅株式268万株、約17億円相当)を寄付して平成26年3月に設立された。
・「日本人としての自信と誇りを持ち、困難や障害を乗り越えていく力をつける子供たちを育成すること」が目的の一つだそうだ。
・年間約5700万円のフジ住宅株式会社からの配当金を原資として、今回はその全額かな?5700万円を10の幼稚園、保育園に助成したとのこと。結構すごい助成額である。

で、その助成先は以下の通り。


  • (学)真曜学園 安松幼稚園 (大阪府泉佐野市)
  • (学)樹弘学園 認定こども園 しもさかべ幼稚園 (兵庫県尼崎市)
  • (福)因明会 ぱる (大阪府泉大津市)
  • (社)ユメ保育園 (大阪府高槻市)
  • (学)竹田学園 茶山台幼稚園 (大阪府堺市南区)
  • (学)竹田学園 東金剛幼稚園 (大阪府富田林市)
  • (福)以和貴会 むぎの穂保育園 (大阪府東大阪市)
  • (福)千喜利会 天神山保育園 (大阪府岸和田市)
  • (福)竹栄会 竹城台東保育園 (大阪府堺市南区)
  • (学)下福島学園 下福島幼稚園 (大阪府大阪市福島区)

このうち、「(福)竹栄会 竹城台東保育園」の助成対象は「国旗掲揚ポール設置、5インチゲージ購入、知覧研修費」とのこと。
知覧がしっかりアレな形で認識されていることが分かる。まあ知覧も本望でしょう。

ところで、この助成先に、鴻池祥肇氏が賞賛し、教育勅語を教えることで話題になった幼稚園が入っているかと思ったら、入っていなかった。その幼稚園は以下。

(学)塚本幼稚園塚本幼児教育学園

鴻池祥肇氏との関係の一例
『教育再生地方議員百人と市民の会』第10回定期総会
これの基調講演を鴻池祥肇氏が行っている。
で、その会場が塚本幼稚園。
参考:軍歌を教える幼稚園に自民党、在特会の関与事件発生で炎上中…(#動画 #軍歌 #教育勅語 #安倍 #政治 #北朝鮮 #中国 #朝日) - Togetterまとめ

| コメント (0) | トラックバック (0)

CCC・ツタヤ図書館、海老名市でも問題か?

とりあえずメモだけ。

海老名市立ツタヤ図書館、驚愕の実態 - ナムラーのブログ - Yahoo!ブログ


1.CCC導入に伴う改修工事費11億円を全額海老名市が負担、建物の最もよい場所をスターバックスとツタヤに割り当てる

2.購入書籍に武雄市と同様、無価値と思われる新古書が多く含まれている

27年度1万冊購入としていて、これまで8343冊購入しているが、購入した書籍名が明らかにされたが、武雄市と同様新古本、廃刊本が大部分を占めている。
8343冊の内訳
 工学・工業分野(料理、建築関連等)    6500冊
 自然分野(美術、健康等)         150冊
 芸術分野               430冊
 地理・歴史分野(旅行ガイド等)      1200冊 
  その他                 63冊 

驚いたことに工学・工業分野(料理、建築関連等)6500冊の中身、料理本が4126冊、1991年から2000年代に発行された雑誌「スタジオ・ボイス」7冊、1976年から2009年に発行されたカルチャー雑誌、1992年から1998年に発行された雑誌「オリーブ」11冊、1982年に発行された女性雑誌、また、全集本でありながら歯抜けで購入。
さらに驚いたことには「アイミクロンメガネクロス」20件、「スピード・サラダ・オロシ」(おろし金)1650円、「シリコン製タジン鍋」、「サラダスライサー」、[フライパン]、「ドレッシングボトル」これらが購入されています。
購入総予算2137万円、1冊あたり2137円です。教育長は苦し紛れにこれらは「文化」「時代時代に出たものを所蔵することが、図書館の使命」と、詭弁を弄して答弁していた。
さらに驚いたことには、問題のある物は購入しても書架には出さない、つまり買ってもお蔵入りにすると答弁、ますます疑念が深まるばかりである。
今のところ、この人の記事だけで他からの情報が分からないので、論評はしない。改修費が11億円というのもずいぶん大きい気がするし、市議会でこんな内容が明かされたのなら大騒ぎになっているのではないかという気がするし。

********
追記(2015年9月19日7時03分)

海老名市立図書館、選書やり直しへ 武雄市図書館問題が「飛び火」

平成27年第3回海老名市議会定例会9/18氏家議員質疑メモ #公設ツタヤ問題 - Togetterまとめ

********
追記(2015年10月4日17時31分)

タジン鍋など、指摘されたもののうち、「アイミクロン メガネクロス」が選書リストに含まれているのが分かった。

山口良樹海老名市議会議員が公表している選書リスト(1)の中に、

No. 6043 ベビーピンク
No. 6046 浮世絵【歌川広重】東海道五十三次 品川・日之出
No. 6053 浮世絵【歌川広重】東海道五十三次 日本橋・朝之景
No. 6086 セージグリーン
No. 6107 ブラウン
No. 6108 四日市・三重川
No. 6134 ホワイトベージュ
No. 6168 レモンイエロー
No. 6363 フレッシュピーチ
No. 6364 浮世絵【歌川広重】東海道五十三次 品川・日之出
No. 6434 富岳三十六景 凱風快晴

がある。興味深いのは、No. 6046と6364とが重複していることだ。

一応、上記の「ナムラーのブログ」の記述は部分的には確認できたことになる。

あと、タジン鍋などの記述に関する他の記事など。

海老名市立図書館に行ってみタジン鍋 - Togetterまとめ

眼鏡ふき・おろし金・シリコン鍋……武雄市に続き来月新装開館予定の海老名市立中央図書館でも「疑惑の選書」が発覚か | ガジェット通信(DATE:2015.09.18 05:25 BY: 84oca)

一見すると書籍とは思えないこれらの商品ですが、例えば『アイミクロンメガネクロス』は実用書や児童書を出版している永岡書店がISBNコードを付与して書店流通で販売しているためAmazonや楽天ブックスなどのネット書店でも「単行本」のカテゴリに分類されています。同様に『スピードサラダおろし』は主婦の友社が、『シリコン製タジン鍋』はコスミック出版がそれぞれの調理器具の使用例として料理のレシピを掲載したブックレットを付けて書店流通で販売しており、流通経路上は確かに「書籍」と言えなくもありませんが公立図書館の蔵書としてふさわしいものとは考えにくいと言わざるを得ません。

武雄市の場合は「目標冊数を揃えるためにTSUTAYAがフランチャイジーとして加盟している古書店から不良在庫を大量に買い取ったのではないか」という指摘がありますが、海老名市でも同様にカルチャー雑誌『STUDIO VOICE』が7冊、女性誌『Olive』が11冊などいずれも1990年代発行のバックナンバーが細切れで購入されているとのことで武雄市と同様に冊数優先で古書店から不良在庫を買い取った可能性を指摘する声が『Twitter』などで挙がっています。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/17

毎日新聞が産経のでたらめを指摘

**********
追記(2015年10月2日)

産経が反論したとのこと。本記事末尾に追加。
**********
毎日新聞が、ここまであからさまに他紙批判を前面に出すのはとても珍しいのでメモ。
毎日新聞って、なぜか分からないが、他紙の報道と比較して自らの姿勢をただすという取り組みはよくやっている一方で、他紙を含む報道機関の杜撰さや偏向を批判的に吟味するという記事はほとんどなかったと思う。

この産経の「世論調査」は知っていたが、産経が「新聞」の名に値しないのは当たり前なので、取り上げる気もなかったけれど、毎日新聞がけっこう丁寧に批判しているので驚いた。
この記事は、調査結果の数字の評価が牽強付会に過ぎるという技術的な批判が中心で、その指摘はきわめて当たり前・初歩的なものにすぎない。その意味で産経の「世論調査」は社会調査のイロハも踏まえないお粗末なデタラメである。けれど、印象的なのは毎日新聞が、この低劣な「調査(笑)」を「扇動記事」とか「とても世論調査分析とは呼べない」などと踏み込んだ評価をしていることだ。

このところ、毎日新聞は安保法制についてはっきりと反対を唱えて旗幟鮮明だ。その論調の一端をここで示したということでもあるのだろう。

まあ、産経や読売などのデマ・扇動記事は、逐一批判や誤り・捏造の指摘をしなければならないのは確か。本来なら、そういう批判は私個人の単位でも行うべきだけれど、到底やってられないし、見るほどに気持ちが悪くなるので、とにかく放置状態にしていたわけである。だから毎日新聞の批判は非常に有益だし、よく頑張ったなあと思う。

さて、安保闘争以来の盛り上がりを見せた反対運動にもかかわらず、安保法案が国会を通過するのはもはや避けられない。

だが、善良かつ穏健な「問題提起」をカラーにしてきたような毎日新聞が社論を挙げてはっきりと政治的立場を主張するようになったのは、デモを初めとするいわゆる「国民世論」の盛り上がりに後押しされてのことだろうと思う。とにかく「中立」を隠れ蓑にして社会矛盾に切り込まなかったメディアが一歩を踏み出したこと自体は評価したい。その足をすぐに引っ込めさせないようにしなければならない。

産経世論調査:安保法案反対デモの評価をゆがめるな - 毎日新聞(2015年09月17日)

 ◇産経新聞とFNNの合同世論調査にもの申したい

 安全保障関連法案の参院採決が迫る中、9月12、13日に実施した調査で「安保法案に反対する集会やデモに参加したことがあるか」と質問し、3.4%が「ある」、96.6%が「ない」と答えたという。これを受けて産経新聞は15日の朝刊で「参加した経験がある人は3.4%にとどまった」と書いた。

 安倍政権の応援団として、全国に広がる安保法案反対デモが気に入らないのはよく分かる。「毎日新聞や朝日新聞はデモを大きく扱っているが、デモに参加しているのはたった3.4%にすぎない」と言いたいのだろう。

 だが、日常生活の中で特定の政治活動に参加する機会のある人がどれだけいるだろうか。この世論調査は全国の男女1000人に電話で質問したとされ、そのうちデモや集会に参加したと答えた人が34人いたと推定される。素直に考えれば、これは大変な人数だ。全国の有権者1億人にこの数値を当てはめれば、安保法案反対デモの参加経験者が340万人に上る計算になる。

 調査ではさらに、デモ・集会に参加したことがないと答えた人(回答者全体の96.6%)に「今後、参加したいか」と尋ね、18.3%が「参加したい」と答えたという。これはつまり、回答者全体の17.7%がデモ・集会に参加したいと考えている計算になる。実際に参加したと答えた3.4%と合わせると、5人に1人が安保法案反対のデモ・集会に参加した経験があるか、参加したいと考えていることになる。有権者1億人に当てはめれば2000万人。この調査結果にゆがみがないと仮定すれば、「安保法案に対する世論の反発の大きさを示した」と書かなければならない。

 もちろん、自宅の固定電話にかかってくる世論調査の電話を拒否する人も多く、調査に応じた人の割合を有権者全体にそのまま当てはめること自体に無理がある。そもそも1000人程度の無作為抽出による世論調査というのは、国民意識の大まかな傾向を探るのが目的だ。1000人中1人いるかどうかも分からない特定の政治活動参加者について数値を割り出せるものではない。デモ・集会の参加経験を無理やり数値化したうえで、法案賛否などの数値と同様に扱い、「3.4%にとどまった」などと書くのは、世論調査の社会的な役割とはほど遠い「扇動記事」と言わざるを得ない。

 産経新聞の記事は、デモ・集会に参加したと答えた3.4%の内訳分析まで行っている。「参加経験者の41.1%は共産支持者で、14.7%が社民、11.7%が民主、5.8%が生活支持層で、参加者の73.5%が4党の支持層だった」。これも首をかしげざるを得ない。参加したと答えた推定人数わずか34人を母数に、支持政党の内訳をパーセンテージで、しかも小数点以下まで算出することに統計的な有意性はほとんどない。数人の回答が変われば、大きく数字が動く。あえて記事にするのなら、「参加経験者の大半は共産党などの野党支持者だった」と書くのが関の山だ。そして、デモ参加者に野党支持者が多いことには何の驚きもない。

 1000サンプル程度の無作為抽出調査では、パーセンテージで通常3〜4ポイントの誤差が生じるとされる。にもかかわらず、3.4%という小さな数値を根拠に「デモに参加しているのはごく少数の人たちであり、共産党などの野党の動員にすぎない」というイメージを強引に導き出したのが産経新聞の記事だ。とても世論調査分析とは呼べないものであることを指摘しておきたい。【世論調査室長・平田崇浩】

**********
追記(2015年10月2日)

産経が反論したとのこと。産経にリンクを張るのは馬鹿らしいし、当を得た批評があるので、そちらへのリンクを置いておく。

産経世論調査を巡る毎日との批判合戦で産経が「自爆」(笑) - kojitakenの日記

産経の反批判記事を執筆したのは酒井充氏。
誠に遺憾ながら(笑)kojitaken氏が言うとおり、

まるで「うちの新聞はアホが作ってます」と宣言しているような
記事である。本当に思わず吹き出してしまう。読んでいる方が恥ずかしくなるぐらい「かわいそう」な有様である。

産経の校正や整理が全く機能していないことは古くから指摘されているので(参考)、今更ではあるが、産経の上層部はいい加減に何とかした方がいいのではないか。「産経は割り算ができる」ことが分かった朗報だとか、「小学4年生かよ」とか、思い切りネタにされてしまっている。
はてなブックマーク - 産経世論調査を巡る毎日との批判合戦で産経が「自爆」(笑) - kojitakenの日記

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/14

生の豚肉の提供禁止とタバコの販売禁止

ブタ生肉食は「考えるに良い」か? | Where Angels Fear To Send Trackbacks

一方で、そういった「発展」がある種の人には暴力として立ち現れる、ということに、規制当局や専門家側は、もう少し配慮してもいいのではないか。
……中略……
また、最近では科学的な規制を理由に、文化排除的な政策が行われることがある。
……中略……
 今回の禁止措置に関して、それが理由の差別的措置であるとは思わないが、相対的に禁止措置に対する反発が封じ込めやすいという計算がなかったとは言えないのではないか?
この問題が話題になったときには特に何も思わなかったが、言われてみれば確かに禁止する・しないの間には恣意性がありそうだ。

生の豚肉を食べること……少なくとも店で提供すること……は禁止された。
その理由は「危険だから」ということであった。

ところで、喫煙が有害なことは知られている。では喫煙は禁止すべきか。少なくとも、タバコの販売は禁止されるべきか。

生肉の提供禁止が話題になった当時、店の人やお客たちやの反対論や困惑の声がテレビなどで報じられていたが、今思い出すと、それはタバコ禁止への反対論ととてもよく似ていたことに気がつく。
だが、タバコ禁止への反対論が慎重に取り扱われ、一方的な禁止ではなく社会的合意を優先する形で尊重されているのに対して、当時の生肉禁止への反対論や困惑の声は非科学性や情緒性の名の下にほとんど相手にされていなかったように覚えている。

有害性・危険性が知られているもののうち、あるものは禁止され、あるものは「個人の選択の自由」を優先して許容される。

この取捨選択において、表だった禁止理由が科学に基づくものであったとしても、そこに何らかの文化的な選択が忍び込んでいるのではないか。この指摘は確かにもっともで、考えてみるに足る論点だろう。

| コメント (0) | トラックバック (0)

後で読む:「シナ」呼称問題への論文リンク

CiNii 論文 -  第二次幣原外交期における中国の国号呼称問題 : 「支那共和国」から「中華民国」へ(研究)

こちらの記事で知った。
「中国」と「支那」~中国の呼称問題と言葉の汚染 - davsの日記

昔、呉智英氏が「自分は支那と呼ぶ。それは歴史的に正しい呼称だから」と言っていたと思う。

それを読んだとき、気持ち悪いなあ…と思ったのだが、今考えると「自分は差別者じゃない」と自己防衛・自国防衛をしたかったのだろうなあ…と思う。

ずいぶん前に死んだ婆ちゃんは、戦前・戦中を振り返って「シナ」という言葉には蔑視が含まれていたと回顧していたけれど、その感覚の方がまともだという気がする。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/12

優秀な連載記事だった「良い戦後70年・支配した国、強制の記憶」

サイト内検索結果 - 毎日新聞

伊藤智永氏の署名記事。
強制連行、徴用、そして強制労働の史実の掘り起こしと炭鉱事故被害者らの慰霊と顕彰、そして和解を巡る地域住民や企業とのやりとり。
「和解」の現場と現実を垣間見せてくれ、示唆されることが多かった。
日本全体の加害からすればこれは個別の事案に過ぎないが、そのたった一つの個別事案ですら、これほどまでの息の長い難しい努力が必要になる。その状況の背景に、日本政府の態度、歴史教育、我々の犯した差別と加害への我々の態度、という、広範な政治的社会的問題があることも伺えた。その意味で、個別事案に深入りできない多くの我々自身にもまた「和解」への関与者としてできること、すべきことが多いのだと考えさせられた。
決して抽象的に美しく「許し」を歌い上げるのではなく、被害者らと加害者らの心をつなぎ、それを社会的に受容させるためには、誠実に史実を掘り起こし、加害側の無理解をほぐす他はないのだと思わされた。

そんな感想よりも何よりも、まずは宇部で朝鮮人たちがどう扱われたのか、そして戦後、この史実はどのように受け止められたのかを知ることの方が遙かに重要である。その意味で、まずは読むべき記事である。

******
ところで、この連載の前には、「戦後70年・「償い」という問い」という連載があった。

サイト内検索結果 - 毎日新聞

この連載は岸俊光氏の署名記事である。アジア女性基金を肯定的に捉え、和解や許しを実現するための被害者側の態度とは、という視点が比較的色濃く出ていた。
取材は丁寧に行っていた印象があるが、そもそも出発点となる視点や問題意識が間違っているために、焦点を外してしまい、どこの誰にどんな働きかけをしたいのか、そのメッセージの届け先が意味不明な連載になってしまっていた。

この連載で、毎日新聞の見識にかなりがっかりしたので、次に「良い戦後70年・支配した国、強制の記憶」が始まったとき、期待は全くしていなかった。ところが期待は良い意味で裏切られたわけである。今後も伊藤氏の記事、視点に注目していきたい。

| コメント (0) | トラックバック (0)

支持率回復へ布石

携帯料金引き下げを首相が指示、家計負担増を懸念=諮問会議 | Reuters(2015年 09月 11日 20:22 JST)

この内閣はこういう宣伝が上手い。以前の企業向けの賃上げ要請とかもそうだった。人々の不満のタネを上手く見つけて人情の機微を穿つのが上手いなあと思う。

直接には実効性を持たない「口先介入」で、実施されても所詮は企業が一回「お恵み」をばらまくだけで、問題発生の原因を解消するわけでもないので、せいぜいがお茶を濁しているだけなのだが、それでも人気取りにはなる。しかも口先介入だから内閣側のコストはゼロに近い。効率が良いカンフル剤みたいなものだ。
企業・財界からすれば、悪者にされていい気はしないだろうが、軽く恫喝されているようなものだし、ここで恩を売ってもいい。関係を維持していれば、今の利益構造の抜本的な改革をされることもないから、多少の出費は目をつむれる。
江戸幕府が経済を牛耳る大商人たちに「貧民救済のカネを出してやれ」と言っているのと同じ構図だ。
貧民が貧困の構造を見ず、「ありがとうございます、王様!」と口々に叫んで王様を尊敬するあたり、韓国の時代劇ドラマに似ている。

****
経済財政諮問会議は、もともとは橋本内閣時代に首相に権限を集中させて「リーダーシップ」強化を狙ったものだった。それを活用したのが小泉内閣で、この頃から、首相という個人がパフォーマンス的に「おいしいところ」を取っていく=いかにも「首相のリーダーシップが政治経済を変えた!」かのように見せることが増えた。

それとともに、実現可能か分からないことや、行政上の実効性がないことや、本来なら内閣が口出しすべきではなさそうなことまで、人気取り的に、もっともらしいことをあれこれ言うのが増えた。
実際、経済財政諮問会議で話題になったからといって、それを必ず政策化しなければならないということもない。単なる言いっぱなしで済んでしまうのだ。だから内閣の「慈悲深い王様」的イメージを演出するのに良いメディアになっている。

安倍政権ではそういうことが顕著になっているような気がする。
これからしばらくは、こういうネタが散発的に出てくるのだろうと思う。
誰が振り付けているのだろうか。
それとも、ネタを持っている人たちが内閣の御利益に預かろうとしてネタを貢いでいるのだろうか。

| コメント (0) | トラックバック (0)

武雄市図書館、毎日新聞の記事のクリップ

たまたま見つけたので拾っておく。

*****************
追記:2015年9月12日18時35分

佐賀新聞の記事を末尾に追加した。
「2年半の間に一度も借りられていない本」1630冊を別の本と入れ替えるとのこと。
これで、選書への批判をかわそうということらしい。
だが、二つの意味で余計に悪手だと思う。追加記事の下に簡単に私見を述べておく。

さらに追記:2015年9月13日1時55分
樋渡氏がブログでコメントしていたのを追記。

さらにさらに追記:2015年9月15日15時57分
安倍首相が武雄市図書館を「アベノミクスの象徴」と紹介していたとの記事を追加。
*****************

武雄市図書館:カンパニー長・高橋さんインタビュー 80万来館者「足場固めた結果」 /佐賀 - 毎日新聞(2015年04月08日 地方版)

 ◇昨年度から語学教室や留学生講座 地域おこし、人材育成

 レンタル大手TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理する武雄市図書館は7日、民営化2年目の昨年度の来館者数を80万736人と発表した。初年度の92万3036人に比べ13・25%の減。CCC執行役員で図書館カンパニー長の高橋聡さん(43)は「地道に足場を固めた当然の結果」と分析する。【渡部正隆】

 −−足場を固めたとはどんな意味か

 確かに来館者数は図書館人気を測るバロメーターだが、我々は開館前から図書館は社会教育施設と認識し「地域のためになる図書館づくり」を目指してきた。初年度は想定外のブームに沸いたが、2年目は来館者数が落ち着くと考えていた。

 −−2年目は運営方針を変えたのか

 初年度は「本に触れていない人も来て」とさまざまなイベントや著名人の講演会で来館者増を図った。それが達成され、2年目からは本来の機能磨きに専念する。来館者数も昨年後半から回復しており、長期的視点に立って取り組める。

 −−「地域のためになる図書館」とは?

 市民の自己成長をサポートし、知識や可能性を広げたい。それで昨年10月から英会話教室を始め、先月からは韓国語教室も始めた。また、留学を支援するセミナーにも取り組んでいる。語学力とプログラミング能力が、これからの地域おこしの人材には必要だ。

 −−初年度は「急増した来館者対策で人件費が増え、赤字になった」と言っていたが、2年目の収支は?

 職員のスキルの向上で収支はトントンの感じが出てきた。リニューアル時に本の検索や貸し出しのシステムを全面的に変更したので職員はまずその使い方を覚えるのに大変だったと思うが、2年目はその使い方にも慣れ、接客マナーや仕事の効率化を考えて仕事ができるように成長した。

 −−主な改善点は?

 元キャビンアテンダントの職員の指導で接客マナーは全員が一定のレベルに達した。司書も利用者の調べものを支援する「レファレンスのプロ」を育てたいと思っていたが、13人のうち3人のスキルが向上した。今月から3人を契約社員から正社員にした。今後も正社員を増やす方針だ。

 −−図書館カンパニーとして公立図書館の運営は増えているのか

 宮城県多賀城市、山口県周南市、神奈川県海老名市に加え、新たに宮崎県延岡市、岡山県高梁市、愛知県小牧市の図書館づくりに協力している。このうち海老名市立図書館は図書館流通センターと共同指定管理者になり、今年10月に開館する。

 −−武雄と同じく年中無休・12時間開館・カフェ併設なのか

 我々は必ず開館前にアンケートで市場調査をするが、どこでもこの3点は要望が高い。それで結果的にこの3点が共通になるが、それぞれの図書館が抱える課題は異なる。人口減が止まらないとか、駅前のにぎわいを取り戻したいとかだ。

 −−武雄市は市長が代わり、現市長は児童図書館の建設に慎重姿勢だが、影響はある?

 武雄市図書館の当面の課題は来館者数に比べて駐車場が狭く、席数も少ないこと。アンケートでもこの要望は強く、何らかの対策は必要。しかし、費用対効果なども考えなければならない。いろんな選択肢を考え、市長に提案したい。

武雄市:樋渡氏、アドバイザーに 教育改革で助言 /佐賀 - 毎日新聞(2015年07月02日 地方版)
 武雄市の小松政市長(39)は1日、前市長で地方活性化を目指す民間会社「樋渡社中」の樋渡啓祐社長(45)を市の地方創生アドバイザー(無給の市特別顧問)に委嘱した。樋渡氏が地方自治体のアドバイザーに就任するのはこれで11カ所目。

 小松市長は4月、樋渡氏に「その知見と人脈を私の政策に生かしたい」と公式に顧問就任を要請した。一方、樋渡氏は「私が出しゃばって小松市政の障害になっては」とタイミングを計っていた。

 樋渡氏は6月29日、官民ファンドの地域経済活性化支援機構(東京)の社外取締役兼内閣府地域経済活性化支援委員会委員に就任した。その際、機構の社長から「支援の必要な自治体との橋渡し役をしてほしい」と頼まれたこともあり、顧問就任を引き受けた。

 小松市長は「官民一体型学校など教育改革が私の一番大事な政策。その面で助言を頂きたい」と求めた。樋渡氏は「教育改革は、私が(市長時代に秘書課長だった)小松市長と二人三脚で進めた政策なので、大変光栄です」と応じた。

 2人は定期的に会談するのではなく、樋渡氏が市長の相談相手として随時、諮問に答える。任期は来年3月までの9カ月間。社外取締役の1年間より更に短いが、樋渡氏は「短期間で成果の出ないものは(長くしても)出ない」と述べた。【渡部正隆】

武雄市図書館:不要本、市教委「安全対策で図書費削った」 - 毎日新聞(2015年09月12日 10時39分(最終更新 09月12日 11時56分))
 佐賀県の武雄市図書館が公費で不要な本を購入していたとインターネット上や週刊誌で指摘されたことを受け、同市教委は11日「書架の安全対策が緊急に必要となり、図書購入費を削ってやり繰りした結果」と説明した。一方、指定管理者のCCC(カルチァー・コンビニエンス・クラブ)は新たに1630冊を図書館に寄贈すると発表した。

 同図書館は一昨年4月、民間のCCCが運営する全国初の公立図書館として改装開館した。開館前に約1万冊を新規購入し「20万冊の知と出合える」をうたい文句にした。

 インターネットと週刊誌は先月以来、20万冊の蔵書の中に11年前の公認会計士の試験問題や埼玉県のラーメン店のガイド本など「読まれるとは思えない本」が含まれ、不良在庫の一括購入疑惑などを指摘していた。

 市教委によると、図書購入費として当初2056万円を計上していた。しかし、書架からの本の落下防止などに1224万円が必要となり、図書費を756万円に減額した。

 購入はCCCが請け負い、古本を選んだ。市教委は「古本は了解していた。CCCの選書に、有害図書が含まれていると困るので、書名も市の担当者がチェックしたはずだが、当時は改装開館直前のあわただしい時期。時間的余裕はなかった」と言う。

 CCCは蔵書を調査し、開館から今月9日までの2年半に「一度も借り出されていない本」が1630冊あると公表。同数の本を図書館に寄贈するという。市教委の浦郷究教育長は「CCCとは互いに信頼し合い今日の図書館を築いてきた。これまで予想以上のことをしてもらったという思いもある」と述べ、今後も運営委託する方針を強調した。【渡部正隆】

しらを切る、ウソをつく、証拠は隠し隠滅する、責任逃れを画策する。これは人間と組織の本性。同じ境遇に立ったとき、自分も同じ言動をしないという自信はない。だからこれは他山の石だが、だからこそ規制と監視が必要であり、「お友達」感覚の裁量拡大は戒められなければならない、特に公的分野においては。

→神戸市議会の自民党の不正経理事件はこの真実を示す一つの典型になっている。

初めは不正疑惑自体を否定していたが、それが否定しきれなくなると、一転して「私は知らなかった」を連発。しかし、その後関与を示す証拠が出てきたという段階。
自民党会派は、亡くなった人に全てをかぶせ、自らが関係者を告発することで逃げ切るつもりのようだ。

政務費 選挙流用か/神戸 自民系市議団が1120万円(赤旗:2015年8月13日(木))

 神戸市議会の「自民党神戸」市議会議員団による政務活動費不透明支出問題で、調査委託名目で支出した約1120万円が4月に行われた市議選で「陣中見舞い」として現職議員ら16人に渡されていたことが明らかになりました。

 10日に開かれた会派代表者会議で、不透明支出の窓口となっていた大野一・元議員(6日に死去)の代理人・阪本豊起弁護士が明らかにしたもの。

 阪本弁護士によると、「自民党神戸」市議会議員団が、カンスケインターナショナルに調査委託名目で支出した約1120万円を、3月末に現職議員12人に1020万円、新人候補5人に100万円渡したとしています。当時の会派代表の浜崎為司議員もこのことを認めています。代表者会議で浜崎議員は「議員団総会で封筒に入れて渡した」と発言しています。渡された現職議員のうち一人は翌日に返金、新人の内一人には渡されていません。代表者会議までに10人から返金されたとしています。未返還分も含め、大野議員が全額、政務活動費として不適切だとして神戸市に返還しています。

 浜崎議員は「政務活動費とは知らなかった」としていますが、阪本弁護士は「誰に配るか、いくら渡すか、大野議員は関与していない」としており、一層疑惑は深まっています。こうした現金のやりとりが常態化していたのではないかとの疑惑も出ています。

 日本共産党の松本則子団長は、真相解明のために、市民が傍聴できる特別委員会を立ち上げ、原因の究明と再発防止、関係者からの事情聴取等を求め続けています。

神戸新聞NEXT|社会|見解に矛盾深まる疑惑 弁護士説明と食い違い 神戸市会政活費流用か(2015/8/11 07:00)
 神戸市議会の会派「自民党神戸」で繰り返されていた政務活動費(政活費)を使った架空委託は、選挙のための「裏金」づくりだった疑いが浮上した。10日に会見した市議3人は、政活費の流用について否定する一方、「封筒に入った現金が用意されていたので配った」「どんなお金かいちいち確認しない」などと市民感覚とはかけ離れた説明に終始。大野一元市議の代理人との見解の食い違いも目立った。

 報道陣の質問は、3月下旬に同会派の市議ら17人に用意された計1120万円に対する認識に集中。元市議の代理人阪本豊起弁護士は「寿司(すし)店経営」会社への架空委託で工面した、と指摘したが、3人は「知らなかった」と淡々と繰り返した。

 当時の団長として現金の配布役を担った浜崎為司市議は「会派の事務員が、小分けにして持ってきた現金入りの封筒を配った。どういうお金かは全く聞いていない」と説明。大野元市議の関与を知ったのは、政活費をめぐる一連の疑惑が発覚した6月末ごろとし、「親分肌の人だったので、ご自分で資金捻出を考えたのだろう」。阪本弁護士は「大野元市議が単独で現金を配ろうとしたとは考えられない」と反論した。

 一方で、3人は、現金の名目が、市議選を控えた陣中見舞いだったことは認めた。梅田幸広、坊池正両市議は、ともに100万円ずつ受け取ったと証言する一方、領収書を切らない現金のやりとりに疑問を感じなかったという。梅田市議は「これまでの選挙でも企業などから受け取っていたが、お金の出どころを確認することはない。『ありがとうございます』と喜んで使っている」と話した。

 また、不透明支出が発覚した後の行動についても認識が分かれた。阪本弁護士によると、大野元市議が市に返還した約1530万円に充てるため、市議らが元市議側に返した金額は、全て陣中見舞いで配られた額と一致しているという。

 阪本弁護士は「常識で考えれば、(陣中見舞いを受け取った市議らが)お金の意味や出どころを分かっていることになる」と強調。この指摘に対し、浜崎市議は「たまたま一致したんだと思う」と答えた。

(小川 晶、紺野大樹、斉藤正志)

<自民市議団が大野氏ら告発>

 神戸市議会の会派「自民党神戸」の政務活動費(政活費)をめぐる問題で、会派「自民市議団」は10日、今月6日に亡くなった大野一元市議ら2人について、虚偽公文書作成・同行使の容疑で兵庫県警に告発した。県警は今後、告発状の受理について検討する。

 自民市議団の安達和彦団長によると、大野元市議は2011~12年、調査を委託したとする業者の男性1人とともに、実際には行っていない調査4件分の関連書類を作成するなどした疑いがある、としている。

 安達団長は、大野元市議が自民党神戸で団長を務めていた期間の調査委託を告発対象にしたと説明。4件で支出された政活費は計約370万円という。

神戸新聞NEXT|社会|政活費流用疑惑 「陣中見舞い」選挙費用報告書に未記載 神戸市会11市議(2015/8/12 06:50)
 神戸市議会の会派「自民党神戸」が4月の市議選前、政務活動費(政活費)の架空委託で捻出したとみられる現金を会派の市議らに「陣中見舞い」として配っていた問題で、受け取った当時の現職11人=直後に返還の1人を除く=が市議選の「選挙運動費用収支報告書」に収入として記載していないことが、11日に公開された同報告書で分かった。告示後の選挙運動資金として受け取っていれば「寄付」と記載する必要があり、公職選挙法に抵触する可能性もある。

 神戸市選挙管理委員会によると、公選法は候補者が選挙運動に使った収入を「寄付」と「その他の収入」に分けて同報告書に記載するよう規定。1万円を超える場合は、提供を受けた個人の氏名や団体名などの記入も義務づけている。

 この問題は10日、架空委託の窓口だった大野一元市議=6日に病死=の代理人弁護士が会見で指摘。プールされた1千万円超の「裏金」が市議選前の3月下旬、同会派所属の現職12人らに陣中見舞い名目で配られたとし、会見に同席した浜崎為司、梅田幸広、坊池正の3市議=いずれも現在は別会派=も現金の受け取りを認めた。

 現職への陣中見舞いの額は1人50万~100万円とされ、市選管は「選挙運動に充てる資金として受け取っていれば、『寄付』と報告する必要がある」と指摘。だが、受領した現職11人の同報告書に該当する記載はなかった。

 一方、選挙運動資金ではなく「政治資金」として受け取っていれば、別の報告が必要。兵庫県選管によると、政治資金規正法は、資金管理団体など市議の政治団体が受けた年間の寄付を、翌年3月末までに報告するよう規定している。

 受け取った市議の一人は「選挙向けの資金との認識はあったが、告示日までの政治活動で使ったと思う」と説明。自身の政治団体の収支報告書に記載する予定という。(小川 晶、紺野大樹)

 神戸市議会の政務活動費問題 会派「自民党神戸」が2010~14年度、政活費を使って調査などを委託した業者が、収支報告書に添付された領収書の住所に存在しないことが6月に発覚。委託の窓口だった大野一元市議が約1120万円分について、架空だったことを弁護士を通じて認めていた。別の業者への273万円分についても架空だったとみられる。

政活費不正:領収書ネット公開へ 神戸市議会、初会合 - 毎日新聞(2015年09月03日 13時20分)
 神戸市議会の会派「自民党神戸」が政務活動費を不正に受け取り、今年4月の市議選前に陣中見舞いとして議員らに分配していた問題で、市議会は3日、原因究明や不正防止策を考える検討会を設置し、初会合を開いた。政活費の領収書などをインターネットで公開する見通しになったほか、当時の自民党神戸の所属議員や関係者に検討会への出席と説明を求めることが決まった。

 神戸市議会の政活費は、会派に一括支給され、領収書付きの収支報告書を会派が作成する仕組みで、チェックは会派に委ねられている。初会合には、各会派の代表ら15人が出席し、不正防止策について意見を提出。領収書のネット公開以外に、会計士など第三者が収支報告をチェックする案なども出されたが、詳細は次回以降の協議に持ち越された。

 一方、陣中見舞いとして政活費が配られた経緯は解明されておらず、会合では当時自民党神戸に所属していた議員ら関係者を招いて今月中旬に事情を聴くことが決まった。

 自民党神戸を巡っては、2010〜14年度に架空のアンケート委託費で約1400万円を調達していたことが判明。陣中見舞いとして配られていたことを委託窓口だった大野一市議(8月に病死)の代理人が明らかにし、会派ぐるみだった疑惑が浮上している。【久野洋、井上元宏】

神戸新聞NEXT|社会|神戸市会の自民神戸 政活費の“裏帳簿” 複数市議関与か(2015/9/11 07:02)
 神戸市議会の会派「自民党神戸」が政務活動費(政活費)を使って架空委託を繰り返していた問題で、架空委託による裏金づくりや所属市議らへの「陣中見舞い」などの収支を記載した“裏帳簿”が存在することが10日、神戸新聞社の調査で分かった。既に判明している架空委託以外にも政活費から裏金を捻出したとみられる記載などがあり、同会派をめぐる疑惑はさらに広がりそうだ。

 裏帳簿はほぼ全て手書きで、同会派関係者がメモしていたとみられる。神戸新聞社が入手した裏帳簿のコピーによると、2010年3月以降、政活費からとみられる収入が少なくとも二千数百万円記載されていた。

 自民党神戸の政活費問題では、架空委託の窓口だった大野一元市議=8月に病死=の弁護士が8月10日、架空委託でプールされた1千万円超の裏金が市議選の陣中見舞いとして同会派の市議らに配られた-と説明。弁護士のこうした指摘は、この裏帳簿などに基づいたものとみられる。

 裏帳簿の記録は10年3月末~15年4月。収入欄には「調査委託料 180万円」「政務活動費より 494万円」などと記載され、架空の委託先とされた業者や、一部には関係する市議の名前が書かれていた。既に架空だったことが判明している調査委託では、一部を除いて裏帳簿に記載があり、同会派の政活費収支報告書に添付された領収書の金額と、裏帳簿に記された収入額とが一致した。

 また、「印刷代」として収支報告書に委託業者発行の領収書が添付されているものの、全く同じ金額が裏帳簿に収入として記載されているケースが複数あり、判明分以外にも架空委託が横行していた疑いも強まっている。

 複数の市議らの関与を裏付ける裏帳簿の存在について、自民党神戸の幹部だった市議は神戸新聞社の取材に対し、「そのような帳簿があったことも知らなかったし、見たこともない」としている。(紺野大樹、小川 晶)

 【神戸市議会の政務活動費】 市議の調査研究のため、所属会派に議員1人当たり月額38万円が交付される。会派の所属人数に応じて政務調査員を配置でき、1人につき最大で月額34万円が加算される。調査委託、管外調査、広報費など10項目の支出が認められている。2007年7月分から1円以上全ての支出について領収書の添付が義務付けられた。

神戸新聞NEXT|社会|神戸市会政活費流用2千万円超か “裏帳簿”で金の流れ鮮明に(2015/9/12 06:50)
 神戸市議会の会派「自民党神戸」が政務活動費(政活費)から捻出した裏金約1千万円を今春の市議選前、会派の市議らに「陣中見舞い」として配ったとされる問題で、裏金の収支を記録した“裏帳簿”に、今年1月にも当時の所属市議ら16人に計約700万円を配ったと記されていることが11日、分かった。裏帳簿には市議らへの支出の記載がほかにも複数あり、総額は2011年以降で2千万円超に上っている。

 裏帳簿の存在は10日に判明。神戸新聞社が入手した裏帳簿のコピーからは、政活費の架空委託などで捻出した裏金が市議らに流れる構図が鮮明に浮かび上がる。また、こうした裏金が同会派の経理責任者を務めた市議名義の銀行口座で管理されていたことも11日、新たに分かった。

 自民党神戸の政活費問題では、架空委託の窓口だった大野一元市議=8月に病死=の弁護士が、架空委託でプールされた1千万円超の裏金が、市議選前の陣中見舞いとして同会派の市議と新人立候補予定者計16人に配られた、と指摘。当時の所属市議は、1人当たり最高100万円の受領を認めている。

 一方、裏帳簿には市議選前の陣中見舞いとは別に、今年1月5日の日付で「議員12名(全員)に各50万円手渡す」▽同6日の「次期市議選出馬予定者4名に各20万円」-という記載や、11年の市議選や13年の市議補選でも陣中見舞いを配ったとみられる記録があった。一部には関与した市議らの名前も書かれていた。

 1月の現金受け取りについて、神戸新聞社の取材に対し複数の市議らが「(昨年12月か今年1月に)『もち代』名目で受け取った」「現金は受領したが、10万円か20万円ぐらいだった」などと認めている。

 また裏帳簿からは、陣中見舞いなど以外で市議らに支出しているケースとして、中華料理店での打ち上げ(約19万円)▽かにを食する会(7人で約14万円)▽ゴルフ(7人で約26万円)-などの記載が確認できた。

 神戸市議会は14、15日、真相究明や再発防止策を議論する検討会を開き、同会派に所属していた市議ら関係者から事情を聴く。

(紺野大樹、小川 晶)

神戸新聞NEXT|社会|神戸市会政活費流用 “裏帳簿”作成認める 政務調査員(2015/9/12 06:55)
 神戸市議会の会派「自民党神戸」の裏金の収支が記録された“裏帳簿”について、同会派の政務調査員として経理などを担当していた女性が11日、神戸新聞社などの取材に、自身が作成したと認める一方、出入金は、大野一元市議と、当時会派の幹事長だった岡島亮介市議に指示されていたと証言した。

 裏帳簿はほぼ全て手書きで、2010年3月末~15年4月の収支を記録。架空委託などで捻出したとみられる裏金や、所属市議らへの「陣中見舞い」などの収支が書かれ、既に判明している分以外にも架空委託が疑われる記載がある。

 女性は、裏金を専用の銀行口座で管理していたことを明かし、「初めは(何の金か)分からなかったが、徐々に裏金の口座だと感じるようになった」と話した。(紺野大樹、藤村有希子)

神戸新聞NEXT|社会|神戸市会政活費不透明支出 委託先「調査していない」(2015/7/7 07:30)
 神戸市議会の会派「自民党神戸」が業者に委託した調査などで政務活動費(政活費)に不透明な支出が見つかった問題で、委託先の一つとされる神戸市内の人材派遣会社の男性社長(36)が6日、神戸新聞社などの取材に応じ、「友人の男性に頼まれて2、3回、会社名義の領収書を発行した。(会社として)調査はやっていない」と証言した。

 政活費の収支報告書によると、自民党神戸は2011~12年度、大野一市議(62)=現在は別会派=が窓口になり、市政についてのアンケート4件を同社に委託。政活費から1回当たり42万円~126万円、計273万円を支出し、報告書にはこの会社名義の領収書を添付していた。

 この社長によると、領収書の使途は空欄にし、友人の指示通りの金額と「自民党神戸」の宛名を記入して渡していたという。社長は「古くからの友人に頼まれた。安易に考えていた」と説明。友人が同社でアルバイトの経験があるとしたが、詳細は明かさず、実際に友人が調査をしていたかどうかについては「分からない」と答えるにとどめた。

 大野市議は今月3日の会見で、「個人と契約を結ぶ発想がなく、(この社長の友人に)どこかの会社の社員として契約し、会社で領収書を発行してもらうよう頼んだ」などと話していた。社長は、友人が大野市議の指示を受けていたことは知らなかったという。

 自民党神戸による政活費の不透明な支出をめぐっては、同社の他に10~14年度、報告書に添付された領収書の住所に存在しない業者に計約1120万円かけてアンケートを委託。大野市議は、2社から受け取ったという計15件のアンケート結果を公表したが、対象者の性別や年代が分からず、設問と回答がかみ合っていないなど、一般的な調査の体を成していない点が目立った。(小川 晶、紺野大樹)

*****************
追記(2015年9月12日18時35分)

貸し出しなし1630冊 CCC新たに選書、寄贈へ|佐賀新聞LiVE(2015年09月12日 09時53分)

 武雄市図書館の指定管理者カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、図書館をリニューアルする準備段階で購入した本のうち2年半の間に一度も借りられていない本が1630冊あったとして、同じ数の別の本を市に寄贈すると発表した。ネット上などで「10年以上前の不要な本が購入されている」などと問題視されたことに対処した。CCCの増田宗昭社長は同社ホームページで「より精度の高い選書を行うべきだった事を反省している」としている。

 CCCや武雄市教委によると、市は2012年度、13年4月からの指定管理委託を前に新図書館サービス環境整備業務の委託費としてCCCに4100万円を支出した。CCCはこのうち760万円で1万132冊を当時グループ会社だった「ネットオフ」などから中古本を中心に購入した。

 購入書籍の中に「図解2000年の会計」「2009年の狙い目株」といった10年以上前に出版された本などが含まれていることを疑問視する意見がネットで広がり、週刊誌などが報じた。

 CCCは10日、ホームページに社長名で「初期蔵書の強化で購入した蔵書について、より精度の高い選書を行うべきだった」という内容の「お知らせ」を掲載。対応策として新たに選書した同数の本を市に寄贈する方針を明らかにした。

 CCC広報は「借りられなかった本がある事実を重く受け止め、今回の対応になった。アンケートを反映させるなど精査したつもりだが、さらに精度を高めるべきだった。開館まで時間がなかったことや、初めての図書館運営委託だったことも影響した」と釈明した。グループ会社から中古本を購入したことは「経費削減が必要になり、中古本の幅広い蔵書がある会社を選択した」としている。

 武雄市教委は「20万冊開架を目指す中で本の落下防止対策費が必要になり、教委の判断で中古本を購入して2056万円の予定額を756万円に抑えた。本の内容も確認していた」などと説明した。浦郷究教育長は、市議会や関係者にそうした経緯の説明を欠いていたことや、委託業務に関する訴訟が起きて説明が遅れたことを陳謝した。

 選書について、CCCは「精度を高める必要はあったが基準は逸脱していない」と答え、市も問題視していない。

疑問視される購入図書の一部

・「2009年の狙い目株」

・「海外金融商品全ガイド2001」

・「図解わかる確定申告2002年3月申告版」

・「あなたの街の評判歯医者さん2005東京」

・「子どもとでかける大阪あそび場’98」

「2年半の間に一度も借りられていない本」と同じ冊数を「寄贈」するのは、悪手だと思う。

1.閲覧回数が少ない本が「不要な本」だと批判されているわけではない。
2.「寄贈」される本の選書をどうするのかが示されていない。

1.については、「公共図書館の蔵書としてふさわしくない」という批判が核心なのに、「選書には問題がなかった」とその批判から逃げている。こういう態度が「図書館を運営する能力・資格がない」という批判を補強することになっている。これはCCCだけでなく、武雄市の図書館運営能力という、より根本的なところへの不信感へつながる。樋渡氏とCCCだけから、市役所全体への疑いへと問題を深くしてしまっている。

2.については、情報を公開し、市民参加によって蔵書の質を高めるという作業を通じて、CCCへの信頼を取り戻すよい機会にできるのに、そのチャンスを逸している。上記1.とも関連するが、「一度も借りられなかった」ことは寄贈の理由にはならないから、本来はそもそもの選書のまずさに触れねばならない。本来はそれを正面から取り上げて再発防止策を明言するのが企業の危機管理対策としても正しい。しかしそこから逃げたことで、かえって責任問題回避を印象づける悪手となっている。

CCCにとって、1冊5千円で2千冊でも1千万円程度の出費で済むから、本来は批判に真っ正面から取り組んだ方がもうけは大きくなるはずである。にも関わらず、それをしないのは、企業側に何らかの事情か組織体質があるのか、武雄市の側に何らかの事情があるのか、あるいは樋渡氏などの人脈上の都合があるのか、のどちらかだろう。

***********************
さらに追記(2015年9月13日1時56分)

武雄市図書館リニューアルオープン時の蔵書購入について | 樋渡社中(日付不明だが本文記述から9月12日に書かれたものと思われる)

昨日は伊賀市でセミナー。テーマはずばり「図書館」。当然ながら多くの取材陣がお見えになり、市民の皆さんからいろいろなご質問を頂きました。

図書館の選書に関するものもありましたが、セミナーが終わってからも、「なぜ選書体制が完全ではなかったのか」「意図的に不要な古書を買ったのではないか」「何らかの癒着があったのではないか」「まだ何か隠していることはないのか」というご質問を頂きました。

まず申し上げたいのは、一企業を利するような意図はなかったということです。武雄市教育委員会から本日、発表があったように開館準備を進める上で図書館の安全対策費用が発生し、その費用捻出の為に中古本を使用した蔵書購入でコストダウンを図ったのが経緯です。

CCCは、教育委員会の指示により、2056万円の蔵書購入費を756万円に圧縮し、緊急に発生した安全対策費用を捻出しておりました。その捻出に当たってのプロセスについては武雄市教育委員会も了解をして進めておりました(CCCの発表資料はこちらです。)。

この決定プロセスについては、教育委員会及び現場に委ねており、当時の行政の最高責任者である私が詳細まで関知していなかったことについて、反省の上、お詫び申し上げます。

確かに、行政手続として問題はなかったにしても、プロセスについて説明を怠っていたことは所管の武雄市教育委員会、そして、予算編成権を有する市長であった私の責任は重い。

とは言え、追加で必要な費用が発生し、追加予算措置を行なう時間と捻出体力も無い武雄市にとって、限られた予算で効率化をはかり、より高い市民価値を実現しようとしたことは間違ってはいなかったと思っています。

武雄市図書館のリニューアル準備の時間はわずか1年弱。講演などで冗談交じりに話していましたが、「オープンを伸ばしてください。さもないと倒れます」とCCC担当者に泣きつかれて、「分かりました。リニューアルしてから倒れていただけないでしょうか」とお願いしたのは、本当の話です。

政令指定都市でもなければ、無名の地方の一市町村である武雄市が、スピードを持って価値を形にしなければ、埋没してしまう。着任当初から、強烈な危機感がありました。とにかく早く形にして、魅力ある図書館をつくって、市の財産として皆さんと共に育てていきたいと思いました。また、修正すべきものは市民の皆さんのご意見を伺いながら、速やかに修正していく、その姿勢を堅持して参りました。

しかし、そのスピードというしわ寄せが大きく、条例改正や議決、予算確保に追われながら、本来最も重視するべき行政の説明責任が機能しなかったのは、自身の責任以外にないと思います。申し訳ありませんでした。

図書館を使ってくださる市民のみなさまのために、遠くからはるばる武雄市図書館に訪れてくださったみなさまのために、このようなことが再発することない防止策を徹底し、速やかに軌道修正していくこと、そのために必要な情報を速やかに開示していくこと、引き続き、図書館の価値向上に全力を挙げていくことが重要であると思っています。

初期に納入された蔵書の内容についてもいくつか指摘を受けておりますが、当時のCCCも武雄市も今から考えると選書に弱さがあったことは、率直に認めます。過去に戻れば「ああすれば良かった」と気付く点については開館2年を経て、より成長した武雄市とCCCの共同体制で不断の見直しを行なってもらうことを期待しています。

最後に、どうか、多くのご意見をお寄せください。より良い図書館をつくっていくために、力を貸してください。よろしくお願い申し上げます。

ご本人は自分に火の粉が飛んでこないと考えて涼しい顔のようだが、道義的に不穏な発言がいくつか見られる。ただ、マスコミ記者多数からの質問に、さすがに無視や揶揄もできかねる状況であるとは考えているようである。

*****************
さらにさらに追記:2015年9月15日15時57分

樋渡啓祐氏「総理、『武雄市図書館はアベノミクスの象徴だ、と言われている』と発言」~武雄市長物語より(130):|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース(2013年7月16日 18:57)

本件を考察しているブログ記事。
武雄市図書館がアベノミクスの象徴だなんてありえないから。: さまよう金の髭

この方の分析によれば、安倍首相が「象徴」と直接認定したのではなく、「象徴と言われている」と伝聞調で述べたに過ぎないとのこと。
ただ、この方も言うとおり、選挙応援演説でこのことを肯定的に取り上げ、称揚している以上、安倍氏が「象徴」と見てもよいと思っていたとは言える。

そして、事実関係は異なっていても、マインドが同質だという点で、まさに武雄市図書館は「アベノミクス」の象徴であると私は思う。これは橋下氏などが公共の資産・インフラを「民間」に安価に払い下げて「活力」を生むという発想と同根である。

| コメント (0) | トラックバック (0)

経済政策で懐柔→改憲というシナリオ

安倍首相:「改憲は参院選後」ネット番組で発言 - 毎日新聞(2015年09月12日 00時15分(最終更新 09月12日 01時40分))

◇「安保法案の成立後は経済で成果をあげていきたい」

 安倍晋三首相は11日、インターネット番組に出演し、憲法改正に取り組むのは来夏の参院選後との考えを示した。首相は「やはりタイミングというものが政治だ。平和安全法制(安全保障関連法案)の成立後は、もともと安倍政権に期待されている経済で成果をあげていきたい。自民党立党以来の悲願の憲法改正については粘り強く取り組んでいきたい」と述べた。

 番組は、首相に近いジャーナリストの桜井よしこ氏の質問に答える形で行われた。

 首相は「まだ国会で(改憲発議に必要な衆参)それぞれの3分の2を構成できる状況には全くない。改憲は地に足を着けて議論していく必要がある」と強調。「残念ながら国民的な理解や支持は広がっているとは言えない。まずは党で国民とともに議論を進めていきたい」とも話した。【細川貴代】

今回のポイントは、
1.安保法案の成立は確実だと安倍氏は考えている→強行採決が確実。
2.1年ほどは、経済優先でほとぼりを冷まし、支持率を上げる。
3.参院選で自民を圧勝させ、改憲へ動く。
というシナリオ。

安保法制の件はややハプニング的だったかもしれない(ただし集団的自衛権容認は数年前にはアメリカと議論していた)が、それ以外はまずます既定路線だと考えられる。戦前・戦中体制への回帰を目指す安倍自民党には妥協の余地はなく、経済政策はいわば釣りエサという位置づけ。
財界は、もともと戦前・戦中体制へは親和的だから抵抗感はなく、そこは迎合しながら、企業向け規制緩和と富裕層優遇を「成長戦略」として押し込めれば文句はない。安倍氏ももともと財界寄りだから両者の利害は矛盾しない。対中・対アジア路線では矛盾が出る可能性があるが、現在の所、中国も政冷経熱でかまわないようなので、対米従属路線でも財界もそれほど不満がない。というわけで、自民党総裁の任期、衆院の改選時期も考えると、当面安倍政権は安泰で、しかもポスト安倍でもこの極右路線を転換する気運がない。従って、対米従属下での軍事的膨張・タカ派路線(中韓敵視路線)、経済的には格差拡大・弱者切り捨て路線は少なくとも5年以上は続くと見てよいのではないか。

******
ところで、上記記事の元になった「インターネット番組」とは、櫻井よしこ氏の右翼サイト「言論テレビ」だとのこと。

洪水災害の中、安倍首相が櫻井よしこ主宰の極右ネットテレビに生出演! 国民の生命より右翼仲間が大事なのか|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見(2015.09.11)

櫻井よしこ氏は「チャンネル桜」の水島氏と仲違いしたとか。右翼仲間もいろいろ複雑である。

******
安保法案:官邸介入、参院が反発 地方公聴会が16日開催 - 毎日新聞(2015年09月11日 23時04分(最終更新 09月11日 23時20分))

コップの中の嵐みたいなもので、予定調和的なプロレスというか、「自民党も頑張って議論しました」みたいな世論向けの宣伝というか。

官邸・衆院自民の反対を押し切った鴻池氏は、アレさで言えば安倍首相に勝るとも劣らないトンデモ右翼なので、全く当てにならないというか、初めから安保法制を通すつもりなのは明らかだ。要するに、結論は初めから決まっていて、ハゲタカが死肉の奪い合いをしているにすぎない。

 参院平和安全法制特別委員会の地方公聴会が16日に開催されることになった。与党は安全保障関連法案を同日の特別委で採決する方針だったが、「円満採決」を重視する参院自民党が野党の要求をのんだ。その背景には、早期採決を迫る首相官邸や自民党衆院執行部への参院側の不満がある。党内で衆参の相互不信が強まり、参院本会議採決までの道筋はなお定まらない。

 地方公聴会開催を決断したのは、特別委を仕切る同党の鴻池祥肇委員長。吉田博美参院国対委員長は11日の記者会見で「急に決まった。公平公正に委員会運営をする鴻池氏の強い要望を検討した結果だ」と説明した。

 鴻池氏は10日、安保関連法案の採決日程を参院自民党執行部と協議した際、「円満な委員会運営のためにも地方公聴会を実施すべきだ」と主張。出席者によると、鴻池氏は、首相官邸サイドが16日の特別委採決を求めていることに「参院のことは参院で決めるべきだ」と不快感を隠さず、参院の審議日程への官邸の介入に強い不満を示したという。

 近年は存在感が低下しているとはいえ、参院自民党にはもともと「党内で一定の独立性がある」という自負がある。衆院側が憲法の「60日ルール」による安保関連法案の衆院再可決をちらつかせ、早期採決を迫る姿勢に、参院側の反発は日増しに強くなっていた。

 一方、突然の地方公聴会開催決定に、同党の衆院側も収まらない。11日午前に地方公聴会の日程が伝わると、ある党国対幹部は「ふざけている」と吐き捨てるように言った。

 政府・与党は、今国会の最重要課題である安保関連法案について、来週中の成立を目指す方針を何度も確認してきた。それだけに衆院側には、参院自民党が大詰めで独自の判断に傾いたことに、戸惑いと怒りが広がっている。

 参院自民党には「官邸がもう少し参院の意見を聞いていれば、重要局面での党内のドタバタは起きなかったはずだ」(幹部)と、鴻池氏の判断を支持する議員が少なくない。【高橋克哉】

*******
安倍氏の手法は数の力で押し切るというもので、その手法は一定有効に機能していると思う。国民のムードや期待もあるし、小選挙区制を契機とする中央集権的な傾向も執行部を握る現政権を後押ししている。ただ、今後は消費税引き上げもあるし、軍事偏重や中韓敵視の政策が厭戦ムードを高めるかもしれない。したがって、野党的なビジョンとの綱引きは今後も続くだろうが、経済政策面で安倍政権の手法への失望とそれに代わるビジョンが現れない限り、改憲への道筋はかなりはっきりしてきたと言わざるを得ないのではないか。

| コメント (0) | トラックバック (0)

安倍政権下の経済政策についての議論

朝日新聞の記事のメモ。
アベノミクスという言葉は「安倍」のPRのようで嫌い。こういうキャッチーなフレーズにメディアが乗るのも嫌い。まあそれはともかく、同政策への賛否が記事になっていたので記録しておく。
なお、下記の記事の登場者の一人である岩本氏が自身のブログでコメントを追加している。
財政破綻への道はアベノミクスで舗装されている : 岩本康志のブログ
こちらも要参照。

(耕論)アベノミクスでいいのか 岩本康志さん、片岡剛士さん:朝日新聞デジタル(2015年9月11日05時00分)

 安倍晋三自民党総裁が無投票で再選を決め、総裁選を通じて経済政策が問われることもなかった。デフレ克服の処方箋(せん)はアベノミクスでいいのか。「第2ステージ」の課題は。大規模な金融緩和をめぐり立場が異なる2人の論客に聞いた。

 

 ■財政リスク高める異次元緩和 岩本康志さん(異次元緩和に懐疑的な経済学者)

 アベノミクスの「第1の矢」である大胆な金融緩和は、無益で有害でした。

 「異次元緩和」が従来の金融緩和と大きく違うのは、2%の物価目標の達成時期を2年程度と明確にしたことです。日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が就任当初に約束した2年の時期は過ぎましたが、物価上昇率はゼロ近辺に戻った。約束が果たせなかったのは明白です。

     *

 <デフレは深刻か> ゼロ金利下では、利下げという最も効果がある金融緩和の手段が使えません。この2年で日銀は、長期国債を大量に購入し、銀行などが日銀に持つ当座預金の量を増やしました。しかし、長期国債を当座預金に置き換えるだけの量的緩和には、物価を上昇させる効果はほぼありません。いずれ金利が正常化すると、金利負担が大きくなり、日銀の財務状況が悪化する可能性があります。日銀納付金が国庫に入らなくなり、政府の財務状況も悪化する。財政のリスクを膨らませてしまったのです。

 デフレ脱却を目指して、そこまでのリスクを冒す価値があったかは疑問です。消費者物価を品目別に見るとパソコンやAV機器の急激な価格下落の影響が大きい。高級機種が手の届く価格になったわけで、生活実感からは「国民を苦しめるデフレ」とは呼べません。

 デフレの問題とは、金利をゼロ以下に下げられないときにデフレが進むと実質金利が上がることです。日銀から見れば、デフレによって不本意に金融を引き締めているので好ましくないが、国民経済全体にとっては、デフレは必ずしも深刻な問題とはいえません。

 6月の「骨太の方針」では方針転換がありました。従来は比較的堅実な経済成長の前提の下で、2020年度までに国と地方の基礎的財政収支を黒字化しようとしていた。今回は実質2%超、名目3%超という高い成長率を前提にしている。高成長シナリオに切り替えたわけです。高成長が実現すれば喜ばしいですが、以前の政権も成長戦略を掲げてきたのに実現しなかった。従来のような低成長に終わる可能性は排除できません。

 リーマン・ショックや東日本大震災への対策で、財政支出は大きく膨らみました。平時の財政の姿に戻すように歳出を減らさなければいけないのですが、来年度の予算編成でも、歳出削減に真剣に取り組む構えになっていません。

 消費税を8%へ上げたのは必要だったし、もっと前にやるべきでした。歳出の費用は、増税の経済への悪影響も含めて負担する必要があり、それを逃れることはできません。1997年に消費税を上げたときは、同時に起こった金融不安や社会保険料の負担増による経済の悪化まで消費増税のせいにされたことで、「消費税恐怖症」が国民にしみついています。

 政府と日銀が近寄りすぎていることも問題です。金融資産を取り崩す高齢者が増えてくると、国民の貯蓄が減り、国債が市場で消化されにくくなる。そのとき、政府が消化できない国債を日銀に直接購入させるよう圧力をかけることが十分に考えられます。中央銀行が貨幣の量をコントロールできなくなると、通貨の信認が損なわれ、高インフレに見舞われる事態も予想されます。

     *

 <まだ引き返せる> アベノミクスは財政破綻(はたん)への道を舗装したと言えます。ただ、今はまだ潜在的な危機にとどまっている。道を舗装しても、その道を進まない選択肢はあります。

 まず従来の堅実なシナリオのもとで、基礎的財政収支を黒字化するために財政運営の戦略を立て直す。そのためには歳出削減が必要だし、増税も必要です。日銀も、長期国債を大量購入するのはやめる。日銀と政府はもっと距離を置くほうが望ましいでしょう。

 アベノミクスに合格点はつけられないが、そのような希望をもって、甘めに40点としたい。舗装された道を進み、財政危機を招いたときには0点でしょう。

 (聞き手・尾沢智史)

     *

 いわもとやすし 1961年生まれ。東京大学大学院教授。専門は公共経済学、マクロ経済学。一橋大学教授などを経て現職。共著に「マクロ経済学」。

 ■所得支え成長への期待高めよ 片岡剛士さん(リフレ派エコノミスト)

 もしアベノミクスが発動されていなかったら、日本経済はどうなっていたでしょうか。行き過ぎた円高が災いし、著名な上場企業が相次いで経営危機に陥っていた可能性が高いと考えています。

 過度の円高は、輸出製品の価格競争力を悪化させます。リーマン・ショック以降、日本企業は海外勢との競争で苦戦しましたが、それは円高が主因でした。金融政策の無策によって、不利な状況を背負わされていたのです。大リーグボール養成ギプスをつけて投球をしていたようなものでした。

     *

 <悲観の空気一変> 民主党政権時、円はドルに対して70円台の「超円高」を記録し、日経平均株価は低迷。先行きに悲観的な空気が広がっていました。

 しかし、2012年末の総選挙以降、そんな空気は一変します。第2次安倍政権は日本銀行と連携し、デフレから脱するための大胆な金融政策を打ち出したのです。2%のインフレ目標や異次元緩和など、過去の日銀との決別を印象づけた金融政策は、円高からの転換を投資家に予見させました。円を売って他の通貨を買う動きが強まり、一挙に円安が進みました。株価は大幅上昇し、多くの企業が最高益を更新しました。

 アベノミクスが本格起動した13年は、財政政策の効果もあいまって高額品を中心に消費が伸び、インフレ期待が高まったといえます。ここまでの評価は90点です。うまくいったと思います。

 背景には、将来への予想が好転したことが影響しています。経済状況の回復には予想が大きな役割を果たします。人は「賞与が上がりそうだから購入しよう」などと将来を見越して行動します。一方で、物価が下がり続けるデフレ下では「もっと安くなってから」と消費を控えてしまう。消費が伸びないから企業経営者は事業拡大の展望が描けず、生産増や投資に踏み切れない。デフレは期待を確実にむしばみます。

 しかし、高まった期待に水を差してしまったのが14年4月の消費税増税です。消費者物価は増税の影響で一時3%を超えて上昇し、消費の低迷が続いています。消費税増税は駆け込み需要による反動減を引き起こすだけでなく、人々の期待を後退させ、恒久的に消費を控えさせる方向にも働きます。アベノミクスは景気回復への方向感を失いつつあります。

     *

 <増税は悪循環に> デフレ脱却を果たさぬままに増税すれば、景気は悪化して税収が減り、再び増税を迫られる悪循環に陥ります。まず経済のパイ自体を拡大することで財政健全化を図るべきです。

 経済政策は、成長を通じ国民一人ひとりの満足度を上げることを目指すべきです。消費や投資が主導する形で景気が回復していく好循環をつくらないといけない。しかし、4~6月期は消費や投資が低迷し、実質成長率はマイナスでした。

 「骨太の方針」では「我が国経済は、1990年代初頭のバブル崩壊後、およそ四半世紀ぶりの良好な状況を達成しつつある」との認識が示されましたが、楽観的過ぎると思います。14年、15年に入ってからのアベノミクスの評価は50点です。

 中国経済の減速懸念や米国の利上げの行方に注目が集まるなど、世界経済の雲行きは急速にあやしくなっています。今こそ国内総生産(GDP)の6割を占める消費の政策的な底上げが急務なのです。具体的には1人あたり3万円の定額給付金支給などを主眼にすえた、総額5兆円規模の経済対策を早急に実施すべきです。

 アベノミクスの本質は、国民の心に「少なくとも先進国平均なみに日本は毎年成長しつづける」という長期的な期待を育み、国民の自由な経済活動を促進する制度整備を進め、所得を安定的に増やすことにあります。政府は再び政権発足当初の強い期待を醸成する必要があるのです。

 (聞き手・古屋聡一)

     *

 かたおかごうし 1972年生まれ。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員。専門は応用計量経済学。「日本経済はなぜ浮上しないのか」など著作多数。

 ◆キーワード

 <アベノミクス> デフレからの脱却をねらう安倍政権の経済政策。大胆な金融政策で流通するお金の量を増やし、機動的な財政政策で景気を下支えするとともに、規制緩和や税制改革などで民間投資を喚起して持続的な経済成長を図る。

片岡氏の考え方について、岩本氏は、国民の期待形成についての想定がご都合主義だと批判している。そこはなるほどと思う。
インフレターゲットが失敗しているという指摘も、まあそうだよなあと思う。政府の圧力もあるし、組織防衛の欲求も強いと思うけれど、日銀はもっと率直であってほしいなあといつも思っているので。

ただ、岩本氏はあえて表面的な指摘にとどめたのかなという気がする。もっと深く突っ込むとリフレ政策や円安誘導の意義を巡って厳しい議論になってしまうから、それを避けたという気もする。
現代のマクロ理論にはついて行っていないので分からないのだけれど、私のイメージでは、そもそも、期待形成の頑健性が実証的に担保されていないのであれば、マクロ理論って何でもありになってしまうんじゃないかという気がしている。

岩本氏の今回の話は財政破綻の危険に集中していて、それとマクロ経済との関係との話はない。財政破綻がマクロ経済を大混乱させるのでそれは絶対に回避しなければならないということがおそらく暗黙の前提になっている。片岡氏はたぶん、財政破綻の危険はさほど重大視していない。あるいは、拡張的経済政策→景気回復→財政改善というふうに考えている。片岡氏の議論は今の流行に乗っている(尻馬に乗っている)ようにも見える。対して岩本氏の話だと、財政破綻回避はできるかもしれないが、景気回復はどうなるのだろうかという不安が出る。繰り返しになるが、今回の岩本氏の話ではそこは語られなかった。
二人の話の中に、消費低迷への認識やその原因が何かという話はなかった。再分配論者は歯牙にも掛けられていないということなのか、それとも今回の主要論題にはならなかったということなのか。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/09

菅官房長官9月8日記者会見での「戦後認識」について

菅長官「全国で皆が苦労した」 翁長氏の戦後認識に反論:朝日新聞デジタル(2015年9月8日16時12分)

 菅義偉官房長官は8日の記者会見で、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題で翁長雄志(おながたけし)知事が「戦後の土地の強制収用が原点」と主張していることについて、「賛同できない。戦後は日本全国、悲惨な中で皆が大変苦労して平和な国を築いた」などと反論した。

 翁長氏は移設問題をめぐる政府と県の集中協議で、「戦後、普天間の住民がいない間に強制収用されて造られた基地だ。危険になり老朽化したから(代替基地を)出せというのは理不尽だ」などと、政府が進める同県名護市辺野古への移設計画を批判していた。

 菅氏は会見で、こうした翁長氏の戦後認識に反論したうえで、「沖縄県には米軍基地が非常に多い」とも指摘。今春、米側から西普天間住宅地区(宜野湾市)が返還されたことなどを挙げ、「努力を一つひとつ積み重ねて沖縄県民の期待に応えたい」と語った。(星野典久)

この記事に対するはてなブックマークでの反応

はてなブックマーク - 菅長官「全国で皆が苦労した」 翁長氏の戦後認識に反論:朝日新聞デジタル

菅氏が論点をずらしている、認識がひどいというコメントが多い中で、「この朝日記事がわかりにくい」というコメントがある。

the_sun_also_rises 質疑応答の内容を変に解説して意味不明となった記事。

yas-mal どうも支離滅裂な記事だと思ったら、管氏の発言が元々支離滅裂だった(途中で失言に気づいて軌道修正したと見える)。

njgj この記事のニュアンスはどこまで正しいの? そこはちょっと気になるなあ。

nagaichi 基地問題の原点の話が、なぜこういう話にすり替わるのか。こんなのを「反論」と呼んではいけない。

SirVicViperSirVicViper この朝日新聞の記者はどういう了見で、記事中の官房長官の発言を「反論」と表現して掲載したのか。

shooma 論点がずれている、のではなく論点がずれた部分を反論として記事にした記者に問題があるのでは

noPeeP 会話がまったくかみ合ってないように見える、というか、この記事自体も何が言いたいのか不明

stand_up1973 なんだこのクズ記事。お互い何を主張してるのか全然分からんのだが。前後の文脈しっかり書けや

Flymetothemoon 割と本気で官房長官が何を言っているのかわからないんですが。

など。

この記者会見を報じた別の記事。
琉球朝日放送 報道制作部 ニュースQプラス » 菅長官・翁長知事の主張に「賛同できない」(2015年9月8日 18時34分)

集中協議を振り返り菅官房長官は会見で、「知事は頑な」と述べました。
普天間基地問題の原点は沖縄戦中、戦後のアメリカ軍による土地の強制接収にあるという翁長知事の主張に反論しました。
菅長官に記者が「知事の原点、いわゆる強制的に土地を取り上げられて基地が建設されて、代替施設を求められるのは理不尽だという主張には賛同できなかったと?」と質問しました。
それに対し菅長官は「それは賛同できません。戦後、様々な日本全国悲惨な中で皆さんが大変努力されて今日の豊かで平和で自由な国を築き上げたわけです」と答えました。
また、今後について菅官房長官は「法的な判断は行われた。地域の住民や自然環境に配慮しながら進めていくことは変わりない」と述べました。
で、実際の記者会見動画を見て、関連する部分を書き起こしてみた。

細かい言葉遣いにはこだわらず、言葉の趣旨が変わらないように簡略に文章化した。

菅氏は、普天間基地問題の「原点」についての認識が大きく食い違っているという話をしている。その中で、上記記事に関する発言が出てきた。

7分05秒頃からの発言

政府は19年前の普天間基地が世界一危険だといわれるなか、当時沖縄県から要請があって、危険除去と閉鎖を日米合意して取り組んできたところだ。この原点について、戦後の米軍による強制接収が原点であると、知事は非常に頑なである。ここについては、現職の知事として、普天間の危険除去、閉鎖、相手があることではあるが、19年間掛けて努力した結果今日を迎えているのである。そこの隔たりが最大であった。政府とすれば、法的な判断、行政判断が行われたのであるから、地域住民と自然環境に配慮しながら進めていきたい。

8分59秒から読売新聞記者の質問への答
今申し上げたが、原点が全く違っている。私も会談の中で、知事が県会議員のときに早く県内に移設すべきだと議会で演説しているではないかと申し上げた。しかし今は状況が変わって今は原点が変わったんだということであるから、そこはなかなか縮まらないということだ。

9分56秒頃から東京新聞への答
問い:知事の原点、強制的に土地を取り上げられて基地が建設されて代替施設が求められるのは理不尽だということには賛同できなかったと……

答:それは賛同できない。戦後日本全国悲惨な中で皆さんが大変ご苦労されて今日の豊かで平和で自由な国を築き上げていただいたわけである。ただ沖縄県には米軍基地が非常に多い。そういう中で安倍政権になってから基地負担軽減を目に見える形で行うと、オバマ大統領とも首脳会談で2回基地負担軽減について言及されている。結果として70年間変わらなかった西普天間の住宅地が初めて返ってきた。そして普天間にある空中給油機15機も初めて県外移設する。そういう努力を一つ一つ積み重ねていって沖縄県民の期待に応えたいと思うし、北部の訓練所、米軍が沖縄に所有している二十数パーセントの土地が件の強力をいただければ返ってくるわけであるから、今回の懇談の中で県に協力要請を強く申し上げた。

私の感想。
朝日の記事は分かりにくい。ただ、間違っているわけではなく、単に発言を記事にしたらこうなるだろうと思う。つまり、菅氏の「全国の国民が苦労した」=「沖縄だけが特別ではない」という発言が適切ではなかった。それが朝日記事の「わかりにくさ」を生んだ原因である。

菅氏は、県知事と政府との認識のズレについて、認識の「原点」が大きく食い違っていることを挙げている。そのズレとは、
知事:そもそも基地が作られた時点での経緯を出発点とする [A]
政府:19年前の基地撤去要請を出発点とする [B]
ということだ。これを菅氏は説明しようとしていた。

ところが、上記[A]への賛否を問われて、菅氏はつい[A]そのものへの論評をしてしまった。それが、「沖縄だけが大変だったのではない」という認識だった。そこを記事にされてしまったというわけだ。

朝日の記事がわかりにくいのは、菅氏のこの不規則発言が、政府が沖縄県の意向に反して辺野古移設を進めようとする理由のように見えてしまうことから生じている。

菅氏の会見全体では、
政府が移設計画を進める理由:19年前からの経緯と合意
だけであって、それ以上のものはない。

つまり、[B]のみに拠って話を進めるという態度だ。それなのに、[A]へ強く反論したものだから、

皆苦労した=沖縄だけが特別ではない→だから沖縄が今また苦労させられてもかまわない
という論法に見えてしまって、理屈が通っていないように見えるわけである。

しかし、朝日の記事をよく読むと、[A]への反論が辺野古移設の理由ではないことも分かる。だから、朝日の記事が悪いわけではない。記者会見の発言順序の通りでもあるし。

*****
結局、記者会見の趣旨は「知事との認識ギャップは縮まらなかったが、計画どおり進めていきたい」という、特に代わり映えしないものでしかなかった。そこに、菅氏個人の(そしておそらくは政府内共通の)対沖縄観が透けて見える発言があったものだから、そこを上手く記事にされたということなのだろう。建前を語る言葉の隙間からこぼれた本音を上手くすくい上げた。この点で、朝日記者の記事はジャーナリストらしい仕事だったと言えるのではないか。

そう考えると、上記の「はてなブックマーク」コメントの多くが菅氏の認識への怒りを表明しているのは間違っていないと言えるだろう。「俺たちだって苦労してるんだから、わがまま言うなよ、それぐらい我慢しろよ」という本音が見えたわけだから、「問題の本質が分かっていない」と批判されるのは当然だろう。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/08

強引・独善的・わがままな対北朝鮮交渉:メシの種化している拉致問題

面白い、というか、うすうす感じていたことがそのまま書かれていたので、要約した。

またしても北朝鮮からの延期通告 関係者が証言する 拉致問題が進展しない本当の理由  WEDGE Infinity(ウェッジ)(2015年07月14日(Tue)  桐生知憲)

●再調査が進まない理由
  再調査担当の国家安全保衛部は権限を持っていない。
   ※国家安全保衛部が再調査を担当するよう要求したのは日本。
  1年以内という「合意」を北朝鮮側が本当にしていたのかが不明。

●北朝鮮は安倍総理を信用していない
  日本側が約束を守らなかった。
  約束破りに深く関わったのが安倍官房副長官(当時)だったと見ている。

  「北朝鮮に返す」と約束したので拉致被害者を日本に送ったのに返さなかった。
  経済支援を合意したのに支援しなかった。

●日本側のリストに信頼性がない
  拉致と無関係の行方不明者が相当多く含まれている可能性が濃い。

●総連などへの警察の捜索による「圧力」は効いていない
  警察の捜索が政治的に恣意的になされている。
  北朝鮮側に「再調査を打ち切る」と言わせ責任回避するためではないか。

●日本側の強硬で相手を考えず、落とし所を持たないやり方が膠着の原因
  北朝鮮といえば「拉致」としか思い浮かべなくなってしまっている。
  拉致被害者が全員生きていること以外の報告を認めないという交渉

*****
日本には「北朝鮮には何をしてもいい」という気分が支配的になっている気がする。
日本の外交や政治が、欧米に見せる媚びた態度とは全く違う傲慢さが見え隠れする。

人を人と思わない態度が情勢分析、準備、交渉を粗雑かつ乱暴にして、それが余計に相手の態度を硬直させているのではないかという気がする。
「落としどころを考えていない」という指摘は同感だが、そもそも日本政府は北朝鮮との関係について長期的な狙いを持っていないのではないか。国内の右翼的論調の動きに合わせて場当たり的に圧力を掛けているだけに見えている。

ところで、「ウェッジ」は基本的にトンデモ右翼的な雑誌だと思っているのだけれど、マグロ問題とかイルカ問題とか、ときどき「おっ」という穿った記事を出すことがあって、編集部が一帯どうなっているのかちょっとナゾである。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/07

リテラが言う「I氏」をググったメモ。

辛坊治郎にヨイショされ竹田恒泰と嫌韓トーク…安倍首相が『そこまで言って委員会』でネトウヨに癒されてご満悦!|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見(2015.09.07)

安倍首相の「そこまで言って委員会」出演を手引きした人として、Iという人物が挙がっている。記事に拠れば、このI氏は、

・「委員会」製作会社A社の代表。
・やしきたかじんの相続問題でさくら夫人側の人間として、「OSAKAあかるクラブ」へ寄付放棄を迫った一人。
・毎日放送に対して、たかじん追悼番組の放映中止を要求した。
・右翼人脈、在特会などとのつながりがあり、「委員会」にI氏の志向が反映されている。
・最も深く食い込んでいる政治家が、安倍首相。

とのこと。

で、このI氏だが、AZITO代表の井関猛親(たけちか)氏だという。
OSAKAあかるクラブ寄付金放棄騒動 : たかじん本 付箋だらけの殉愛(2015/04/2301:32)(魚拓

で、次の「知恵袋」にある、OSAKAあかるクラブにさくら氏が遺贈放棄を迫った場に、「何の予告もなしに」同席した百田氏ともうひとりの「有力な放送関係者」というのが、井関氏のようだ。

たかじんさんの妻、さくらさんと百田さんが手を組んでたかじんさんが自ら設立... - Yahoo!知恵袋

Wikipediaでは、AZITO(アジト)の代表として井関氏の名前が挙がっている。

AZITO (テレビ制作) - Wikipedia

Wikipediaに挙げられている製作番組をいくつか挙げてみる。

・探偵!ナイトスクープ(朝日放送)
  周知の通り、百田氏が放送作家をしていた番組。つながっている。

・賢者の行進~宮崎哲弥・橋下徹・金村義明のそこまで遊んで委員会(読売テレビ)
辛坊・宮根のワケあり!?ジャパン(読売テレビ)

・発掘!あるある大事典(関西テレビ)
  多数のウソ・捏造があったとして制作中止に至った番組。
  関西テレビによる捏造疑惑の調査報告書
  この「報告書」によれば、「あるある大事典」は複数の制作会社が担当していたが、捏造疑惑の10件は全てアジト社の制作分だったとのこと。

・「たかじん」の名を冠した番組が目立つ。
  たかじんのそこまで言って委員会(読売テレビ)
  たかじんNOマネーBLACK(テレビ大阪)
  ムハハnoたかじん(関西テレビ)
  やしきたかじんプロデュース(やっぱ、OSAKA)(テレビ大阪)
  たかじんTV非常事態宣言(読売テレビ)
  偉人変人たかじん(関西テレビ)

まあ、本当なら「たかじん」の番組に占める「アジト」社のシェアを見るべきではあるが、一応の目安にはなる。

怪文書的になるが、
まさおさんさんはTwitterを使っています: "後妻業サイドの井関猛親さんに関するタレこみ? Sさんは気に入らないとすぐに豹変して攻撃的になる方みたいなので、ありえますねー。 #殉愛 #たかじん #殉愛の真実 http://t.co/9VbfxAdInR"(2015年6月14日)

さくら氏がよみうりテレビに井関氏と関係を絶つように言い、よみうりテレビはそうしたが、それは形の上だけだ、という話をしている。だが、もし上記リテラ記事の通りなら、井関氏とのつながりは結局切れていないということになるかもしれない。


「関西防衛を支える会(関防会)」という会の「講話」で話をしている。

2014年09月29日の記事 | 関西防衛を支える会(関防会)

テーマ:「番組制作によせて」
     毎回、多彩なゲストをお迎えしているにもかかわらず、番組には一切
      お顔が出ない方、ウラ仕事のウラ事情もお聞きできると思います。
日  時:平成26年12月6日(土)午後4時から
場  所:天満橋・中華料理「錦城郭」参加費:学生:2,000円 40才未満:3,000円 その他:5,000円
                         (いずれも懇親会費含む)
     地下鉄谷町線、京阪電車天満橋駅直上・キャッスルホテル7F
講  師:井関 猛親 氏(読売テレビ、10チャンネルプロデューサー)
     株式会社AZITO(アジト)代表。テレビ番組・ドラマ等の企画・制作を行う。
      代表的なTV番組は「やしきたかじんのそこまで言って委員会」。

この「関西防衛を支える会」、「設立趣旨」によれば、会の目的は、
「広く国民に防衛について理解を訴え政治と防衛の正しい関係を築き、自衛官が誇りを持てる地位と処遇が与えられるよう、又、防衛省・自衛隊をバックアップし、防衛諸団体等と連携を保ち、国民の防衛意識の普及、自衛官の地位向上に努める」
ことだという。

「関西防衛を支える会」の会長は濱野晃吉(はまのあきよし)氏とのこと。濱野氏は「新しい歴史教科書をつくる会大阪」の会長だそうだ。

「つくる会」はそのサイトを見ても分かるが、極右カルトと言って問題ない団体で、育鵬社の教科書ですら「自虐史観」と批判している(で、自由社を自画自賛している)。

ところで、「関西防衛を支える会」の講話では、他の講師には自衛隊関係者が多い。そのほかに、「そこまで言って委員会」で第一回「日本オッサン大賞」を受賞した木村三浩氏も登壇したようだ。なんでもこの木村氏、「猪瀬元東京都知事を徳州会の徳田虎雄理事長に紹介して選挙資金の提供を持ちかけた大物右翼」なのだとか。

参考に、「関西防衛を支える会」の役員名簿を引用しておく。安倍首相の人脈がぞろぞろ出てくる。

役員名簿
平成26年9月29日現在
関西防衛を支える会 役員名簿(順不同)
特別顧問:稲田 朋美大前 繁雄小池百合子高市 早苗西村 真悟佐藤 正久
三宅 博
相 談 役:小林庄一郎小寺 一矢津村 忠臣井上 礼之田母神俊雄
顧  問:竹本 恒雄三好 榮治山根  穣森   實長田 雅恵
会  長:濱野 晃吉
副 会 長:松田  清大道 欣孝
監  事:梶川 勝平山本 賢一
事務局長:前田  稔(兼常任理事)事務局次長:奥  久嗣(兼常任理事)
総務部長:山本  均(兼常任理事)総務副部長:河合 雄一(兼常任理事)
財務部長:渡辺寿一郎(兼常任理事)財務副部長:高井 臣一(兼常任理事)
事業部長:山下 弘文(兼常任理事)事業副部長:保口 廣幸(兼常任理事)
広報部長:新川 貞敏(兼常任理事)広報副部長:一ノ瀬翔治(兼常任理事)
渉外部長:古澤  清(兼常任理事)渉外副部長:赤田 正和(兼常任理事)
常任理事:赤阪 昇三飯田美智子釈迦郡文雄田中 正剛筒井 信雄濵野やよひ
北島 一憲
理  事:遠藤 莞爾小西 正之塚原 照一澤頭 利男軸原 博文橋田  肇
津田 孝雄杉本 延博大安 秀雄長野 おさむ原田 光生泉谷 成紀
簗瀬 正秀中村 恵英大畑 可奈子
相談役以下    49 名
特別顧問を含む総員 56 名

井関氏は以前の尖閣諸島上陸騒動に加わって船に乗っていたらしい。
総合国防マガジン 自衛隊FAN不肖!宮嶋茂樹のウェブサイト

2014年3月21日に安倍首相が「笑っていいとも!」に出演した。そこに井関氏が花を寄せている。

いいとも!花2「成蹊なかよし会」「(株)AZITO代表取締役、井関猛親」 |jrmmnisiの投稿画像
完全版】笑っていいとも 安倍首相のテレフォンショッキング‬ - YouTube

他に、松村邦洋氏、谷村新司氏、EXILEの花が見える。他には、ニコニコ動画、稲田知美、自民党青年部、成蹊なかよし会、(株)関西地学協会梅本龍一氏など。

※この梅本氏、フェイスブックページがある。
梅本 龍一

駒澤大学を1983年に卒業、海部俊樹事務所で議員秘書。30年間東京住まいとのこと。その後、ここ数年の間に実家の会社を継いだらしい。現在代表取締役とのこと。
軽く眺めてみたところ、右派系の投稿が多い。安倍首相について、

週末テレビ出演した安倍総理に対して、司会者ふぜいが面と向かって「安倍さん」などと気安く呼ぶのは失礼極まりない。と父が申しておりました。宮根、辛坊、おまえらのことだよ。
と述べている。
なお、(株)関西地学協会でググると、「司興業」と提案されるのでちょっとびっくりする。

************
追記(2015年9月17日20時22分)

関西地学協会と司興業とは所在地が一致するのだった。
下記のニュースで取材された司興業の本部ビルに関西地学協会の看板が掛かっている映像があった。

司興業:名古屋市中区上前津1-8-3-東海ビル3F(出所:司興業 - YAKUZA Wiki
関西地学協会:名古屋市中区上前津1丁目8番3号東海ビル2F(出所:会社概要 - 株式会社関西地学協会

ストリートビューで見ると、実質4階建てのビルで、2階・3階部分を関西地学協会が大きく使っているように見える。(Google マップ

たまたま同居しているだけなのだろうか。
この「東海ビル」は誰が所有しているのだろうか。

「山口組組長出身母体の幹部を恐喝容疑で逮捕、本部を家宅捜索」 News i - TBSの動画ニュースサイト

 山口組組長の出身母体「司興業」の幹部らが知人男性に因縁をつけ、現金を脅し取ったとして警視庁に逮捕されました。警視庁は、名古屋市の本部事務所を家宅捜索に入りました。

 家宅捜索が行われているのは、名古屋市にある山口組の司忍こと篠田建市六代目組長の出身母体「司興業」で、警視庁の捜査員が本部事務所に入りました。

 この捜索は、「司興業」の幹部・川崎誠治容疑者(49)ら3人を恐喝の疑いで逮捕したことを受け行ったものです。川崎容疑者らは去年6月、知人男性(46)に対しトラブルを持ち込んだと因縁をつけ、「ふざけたことを言っているとただじゃあすまねえぞ」などと言って、現金90万円を脅し取った疑いが持たれています。川崎容疑者らはいずれも容疑を否認しているということです。

 山口組をめぐっては、先月以降、「山健組」などが分裂し新たな組織を発足させていて警視庁は新たな抗争に繋がる可能性もあるとみて警戒を強めています。(17日11:26)


***************
追記(2015年10月4日)

(株)関西地学協会の梅本龍一氏が顧問、梅本氏が秘書を務めていた海部俊樹元首相が代表を務めている「IPSジャパン」が、創価学会の池田大作氏のコラムを掲載したことがあったそうだ。

2011年8月 特集/「原発の闇」に翻弄される池田大作&創価学会 | Forum21(2011年11月14日)

破綻・無内容の池田大作「震災寄稿」
溝口 敦 ジャーナリスト

自動マシーンが作動している(?)池田コラム

 『聖教新聞』は7月21日付の1面に、
 〈国際通信社IPSのウェブサイトにSGI会長のコラム記事 東日本大震災『復興へ創造的応戦を』〉
 という見出しを立て、池田大作氏の短文を転載している。
 内容は例により「庶民」を強調する妄言である。

……中略……

 だが、自動マシーンが作動しているにしろ創価学会の退潮は覆いようがない。早い話、今回のコラム記事を配信したIPSとは、どのような組織なのか。通信社としては、とんと名を聞かない。
 IPSについて、聖教紙は麗々しく次のように紹介している。
 「世界150カ国に取材・報道のネットワークを持つ国際通信社IPS(インタープレスサービス)」「IPSから各国メディアに対して配信される。IPSジャパンのウェブサイトで公開されている日本語の全文」……。
 これを読むと、ご大層な通信社のようだが、実態は国連の傘下組織と組んで、途上国の実態や声を伝えるだけのようだ。影響力はゼロに近い。仮に世界のメディアがIPSから池田氏のコラムを転載するにしろ、転載するのはSGI傘下の機関紙ぐらいだろう。
 IPSジャパンにしろ、かなりいかがわしいイメージがある。ホームページによると、同組織はNPO法人で、所在地が東京都墨田区千歳、会長が海部俊樹元首相、顧問にアンワルル・K・チョウドリ前国連事務次長、長井浩・一美総業代表取締役、小林茂和弁護士、梅本龍一(株)関西地学協会代表取締役など。理事長は浅霧勝浩・国際協力評議会(GCC)アジア・太平洋総局次長、理事は石田尊昭・尾崎行雄記念財団事務局長、谷本晴樹「政策空間」編集委員、土屋彰・城北税理士法人代表の三人である。
 こうした雑多な組み合わせと池田氏のコラムは案外相性がいいのかもしれない。(後略)


関西地学協会について、2chのログのようなものがあったので、保存しておく。

弘道会2(過去ログ)

<> 名無番長<>sage<>02/03/03 00:33<>
おいらはヤクザのことに関しては、
全くウトくてズブな素人ですが、

2ヶ月くらい前、だったかな?
弘道界の会長さんとバッタリお会いし
それはもう、首都高の渋滞中に
偶然、隣の車を覗いて99の岡村と出くわしたくらい
衝撃でした!

ここの人なら解ると思うんだけど、
会長さんとお会いしたのは
上前津(いや下前津だったかな?)
茶色の煉瓦風テナント兼マンション前の路上でした。

そこの2階にある(関西地学協会)に出向いた際に、
かわいらしい2,3歳の女の子の手を引いて(お孫さんかな?)
スウェット姿で散歩に出かける途中みたいでしたね。

もちろん、会長さんのそばには
ピタリとお付きの方が付いていたのは
云うまでもありません。

しかし、実物を初めて見ても
あの会長さんは如何にも極道と
人目で認識できるほどだったなぁ(w

もう二度とあの会社には行きたくない・・・。

<> 名無番長<><>02/03/03 01:45<> 452
名古屋は姐さんより姉さんがおおい。
地方によって呼び方がいろいろある(組織によっても)

<> 名無番長<><>02/03/03 01:48<> 457
司興業の組長の間違いでは? <> 457<>sage<>02/03/03 02:06<>

>>459
> 司興業の組長の間違いでは?

すんません、、、、

最初にも申したとおり、おいらは
ヤクザのことに関しては全くウトく、ズブな素人でして
失礼ではありますが、”司興業の組長”さんというお方は元より
司興業という組織の存在もよくわかりませぬ・・・。

ただ、会長さん?と思ったのは、
以前に見かけた、雑誌や指名手配されてたときの
顔写真そのものでパンチパーマ&髭で、
実物は意外と小柄(187cmの私から見てですが)な方だったと
今でも覚えています。

<> 名無番長<><>02/03/03 02:09<> 460
ご丁寧に。
私も確かではありません。 ?

<> 名無番長<><>02/03/03 02:15<>

弘道会は山健組、山健派に嫌われてますね。

<> 457<><>02/03/03 02:20

<> あともうひとつ

なんで、ズブな素人が弘道会の会長さんに関心があったかというと

今から20年くらい前だったかな?
自分が6,7歳の頃、その当時は弘道会の前身?の広田組の
本部事務所(今はワケわからぬ宗教団体の事務所)前の路上に
もの凄い数の黒服を着たイカついおじさん達がスラーと立ち並び
ある方のお帰りをお待ちしていた(と、近所のオバサンが云っていた)
出来事に遭遇したのが興味深く今でも記憶に残っています。

云うまでもなく、出迎えを受けたお方というのは、
弘道会の会長さんらしく(これも情報元は近所のオバサン)
後から、あの出来事は会長さんの放免祝いだったと知りました。

<> 名無番長<><>02/03/03 02:28<>

>>459
司興業の森さんは、そんなに年寄りでない。
ましてや孫などおらん。

<> 457<>sage<>02/03/03 02:29<>

>>463
X 広田組

○ 弘田組

多分、間違ってたかも…。
が正しいのかも知れないので、訂正入れときます。
何度もすんません、、、(sageておきます)

 住吉会の幸平一家の組長が、山口組が絶縁した山健組に挨拶。山口組に喧嘩を売った形に | ログ速@2ちゃんねる(sc)


1 : ストマッククロー(岐阜県)@\(^o^)/[] 投稿日:2015/09/05(土) 19:37:22.77 ID:KH9T4KbS0.net BE:723460949-PLT(13000) ポイント特典 [1/4回]

山口組離脱団体の幹部が会合 新組織結成への動きか

 国内最大の指定暴力団山口組から離脱した団体の幹部らが神戸市内で会合を開きました。
新組織の結成に向けた動きとみられています。

 5日午前、神戸市中央区の山健組事務所に山口組から離脱した十数団体の幹部らが集まり、
会合を開きました。山口組の分裂騒健組動では、山健組や宅見組をはじめ、関西を中心とする
13団体の組長に「絶縁」や「破門」の処分が下されました。5日の会合は、山健組の井上組長を
中心とする新たな組織の結成に向けた動きとみられます。また、午後には、指定暴力団住吉会系
の団体のトップが山健組の事務所に姿を現しました。あいさつに訪れたとみられます。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000058171.html


【スレタイの元ネタ】
幸平一家十三代目加藤英幸が司忍に喧嘩を売る
http://kanae.2ch.net/test/read.cgi/4649/1441435682/

……中略……

74 : 男色ドライバー(愛知県)@\(^o^)/[sage] 投稿日:2015/09/05(土) 20:32:48.60 ID:egdrxfhJ0.net [1/1回]
上前津の関西地学協会の人 今すぐ逃げて~~~

関西地学協会は、海部俊樹氏に政治献金をしている。
官報に公告が載っていた。

平成16年(2004年)9月10日金曜日付官報(号外第203号)104ページ

7 政治資金パーティーの対価に係る収入の内訳
海部俊樹政策研究会政経セミナー(平成15年6月6日開催)
(団体からの対価の支払)
(株)関西地学協会   500,000 名古屋市

……中略……

海部俊樹政策研究会政経セミナー(平成15年10月7日開催)
(団体からの対価の支払)

……中略……

(株)関西地学協会   500,000 名古屋市

……後略

| コメント (2) | トラックバック (0)

2015/09/04

陶器製手榴弾についての記事のメモ

9月17日に毎日新聞大阪版夕刊で第3回目の記事が出る予定とのこと。

日本の陶器製手榴弾について - Togetterまとめ

ぶんかのミカタ:戦争と考古学/上 陶器製手榴弾の伝説正す=立命館大学文学部教授・木立雅朗 - 毎日新聞(2015年08月20日 大阪夕刊)

 戦争と京都は結びつかないように思われる。しかし、戦時中、京都では陶磁器で毒ガス精製装置の一部を製作していたし、ロケット燃料精製装置も製作していた。二宮金次郎の陶製像は銅像と交換することで金属供出の助けとなった。末期には陶器製手榴弾(しゅりゅうだん)も製造した。焼き物産地は、軍需品を製造することで、徴兵で失った労働力を補い、不足していた燃料の供給を受けて優遇されたという。

 京都は長い歴史をもつ伝統の街だが、最先端の文化や技術を取り入れ続けてきた。そのため京都の伝統産業は先端産業でもあり、当然、軍需産業にも転用可能なものであった。

 陶器製手榴弾は備前でも京都と同じ形のものが作られていた。また、京都とは違う丸形のものが有田、信楽、瀬戸、そして美濃などでも作られていた。信楽、丹波では陶器製地雷を焼成し、実戦に使用された。著名な焼き物の産地は、残らず軍需品を焼成していたと思われる。

 陶器製手榴弾は、終戦間近に作られた愚かな武器として有名である。しかし、学術的な研究は少なく、各地でいくつかの「伝説」が語り継がれていた。

 備前焼の産地では「備前焼は硬いから選ばれた」と伝えられていたが、実際には著名な産地はほとんど陶器製手榴弾をはじめとする軍需品を作っていた。

 また、多くの窯元で陶器製手榴弾がデッドストックとして残ったため、「戦争に間に合わなかった」とも伝えられていた。けれども、沖縄本島や硫黄島では陶器製手榴弾が遺骨収集や不発弾の処理作業で見つかっている。鹿児島県、高知県、神奈川県など、米軍の本土上陸が想定されていた地域からも出土している。これらは有田、信楽、瀬戸などの製品だが、産地が判明していないものもたくさんある。京都、備前、美濃で作られたものは、まだ戦地では見つかっていない。備前や京都は大阪砲兵工廠(こうしょう)に一度は出荷したというから、今後、出土する可能性が残っている。

 「陶器製手榴弾は自決用だった」と言われることもあるが、実際には最後まで本土決戦を戦い抜くための兵器として開発された。最終的に「自決」せざるを得ない場面に追い込まれたため、そのような伝説が生まれたのだろう。

 陶器製手榴弾をはじめて考古学的に検討したのは、学生の卒業論文だった。2004年、立命館大学学生だった萬野翔子さんは、各地の陶器製手榴弾を考古学的に集成し比較する中で、このような「伝説」の誤りを正した。

 陶器製手榴弾に関する文書はほとんど残されていない。終戦直後に軍関係の文書が廃棄されたためである。開発を手がけた人々も、証言や記録を残さなかった。戦争中、軍事機密は一部の人々にしか知らされなかったため、関係者ですら詳細を知らされていない場合があった。その結果、考古資料だけが、雄弁な資料として残されたのである。

 考古資料は、警察の捜査にたとえるならば、「物的証拠」である。自白や文書とは異なり、決定的な証拠として採用されることが多い。物言わぬ考古資料に、語り部やわずかに残された文書の情報を継ぎ足すことで、より深い歴史的検証と追体験が可能になる。

       ◇

 戦後70年。記憶の風化が案じられる中、考古学で何が明らかにできるのか。考古資料から戦争の実態に迫る2人に寄稿をお願いした。=次回は27日

==============

 ■人物略歴

 ◇きだち・まさあき

 1960年石川県七尾市生まれ。立命館大学文学部卒業。専門は窯業考古学・京都学。主な論文に「須恵器窯の歩き方−篠窯跡群分布調査のために−」「信楽焼陶器製地雷について−聞き取り調査と研究ノート−」、編著に『陶器製手榴弾弾体の考古学的研究』など。

ぶんかのミカタ:戦争と考古学/下 いまだ地中に多数の痕跡=芦屋市教育委員会学芸員・竹村忠洋 - 毎日新聞(2015年08月27日 大阪夕刊)

 2002年、兵庫県芦屋市の西部に位置する津知遺跡の発掘調査で直径が約12メートル、深さが1・5メートル以上ある近現代の巨大な穴の一部が掘り出された。この穴を観察してとても不可解だったのは、その周囲の地層が盛り上がっていたことである。

 このような隆起は何らかの巨大な力が加わらないと生じないのではないか。そう思いながらも、その正体を突き止められずにいたところ、調査地の近くに住む方から、この穴が大型爆弾の爆発によってできたものであるという証言を得ることができた。この証言に基づいて研究に取り組み、この穴が武庫郡本庄村(現在の神戸市東灘区青木)にあった川西航空機甲南製作所を攻撃目標とした1945年5月11日の空襲で投下された250キロ爆弾の爆発によってできた爆弾穴であることを明らかにした。

 この研究をきっかけに、これまでに芦屋市内で発掘された太平洋戦争に関わる遺構・遺物について調べてみると、防空壕(ごう)跡、空襲の火災で焼けた焼土層やがれきを埋めた穴、米軍の焼夷(しょうい)弾や弾丸・薬莢(やっきょう)、空襲の火災で溶けたガラス瓶や表面が発泡した磁器片、赤く焼けた瓦片など、数多くの事例があることがわかった。いずれも空襲に関連するものである。これらの発掘事例を踏まえると、芦屋市内の地中には、想像している以上に多数の太平洋戦争の痕跡が保存されていると考えることができる。

 ところで、過去の調査記録を調べていくと、太平洋戦争に関わる遺構は、古い時代の遺構や地層を壊した穴などとみなされ、発掘調査報告書などに詳しく記されていないことが多くあった。これは地方自治体などが実施する埋蔵文化財の発掘調査で、近現代の痕跡の多くが調査の対象となっていないためである。

 また、近現代の遺構の性格を断定することは極めて難しい。例えば、ある近現代の遺構を他の地下施設跡と区別して防空壕跡と判断することは、証言などを得ない限り極めて困難である。このように発掘される戦争の痕跡にとって、証言は大変重要である。しかし、戦争体験者の証言を得る機会は年々急激に減っているのが現状であり、調査・研究に取り組むにあたって焦りを感じている。

 戦後70年の歳月が流れ、地上にあった数多くの戦争の痕跡が姿を消し、現存しているものは非常に限られている。一方、地中には現在も多数の戦争の痕跡が保存されており、これからも数多くのものが発掘される機会があるはずである。私たちは、発掘される戦争の痕跡について、その価値をもっと重視すべきではないか。全国で戦争遺跡の調査・研究が進められているが、発掘される戦争の痕跡は、戦争の記憶を次の世代に継承し、戦争と平和を考える材料として、今後、その重要性がより一層増していくことであろう。=次回は9月17日

==============

 ■人物略歴

 ◇たけむら・ただひろ

 1971年兵庫県尼崎市生まれ。関西大学大学院修士課程修了。専門は考古学で、主に近現代を研究。主な論文に「兵庫県芦屋市で発掘された防空壕跡」「兵庫県芦屋市の戦争遺跡」「阪神地域で使用された煉瓦(れんが)」など。

テレビ朝日|モーニングバード コーナー「ニュースアップ」取り上げられた情報をチェック!(放送日 2015/08/14)

戦後投機された、陶器製手りゅう弾

埼玉県川越市の河川敷、ここにおびただしい数の「陶器のかけら」があります。実は、これらは「陶器で作られた手りゅう弾」です。

太平洋戦争末期、資源不足に悩まされていた日本。陶器で作られた手りゅう弾は、その当時、鉄製の手りゅう弾の代用品として作られたものなのだそうです。川辺にある手りゅう弾の破片について調査した鈴木松雄さん(74)によれば、市内の川辺にはかつて軍需工場があったといいます。そこでは地元の学生や女性たちが動員され、日々、陶器製の手りゅう弾が作られていました。そして、戦後、米軍の命令で軍事兵器はすべて火薬を取り、解体して捨てることになり、その際に川の中に捨てたのではないかと見ているといいます。

あすは終戦の日です。戦後70年の大きな節目であり、安倍総理の戦後70年談話にも注目が集まっています。そんななか、この陶器製の手りゅう弾は「知られざる歴史の証人」といえるでしょう。

●歴史を風化させないためのレプリカ

『陶製手榴弾 レプリカ』
価格:2160円(税込)
藤平陶芸 有限会社
住所/京都市東山区五条橋東6丁目5-3
TEL/075-561-3979
営業時間:9:00~17:00
定休日:毎週日曜日
※現在はお盆のため営業は19日(水)~
※現在、約30個の在庫あり

これらの陶器製の手りゅう弾の製造には、佐賀の有田焼や岡山の備前焼、京都の清水焼など日本の伝統工芸の技術が使われていたといいます。

こうした歴史を風化させないため、ある取り組みも始まっています。それは、陶器製手りゅう弾を模して作った一輪挿し。京都の清水焼のメーカーが、伝統工芸すら戦争に加担しなければならなかった、それも悲しい兵器に使われていた歴史を伝えていくという思いのもと、製造しているのだということです。

所さん!大変ですよ|2015/09/03(木)放送 | TVでた蔵(2015年9月3日放送 22:55 - 23:20 NHK総合)(魚拓

澤口俊之 徳永圭一 所ジョージ 牛窪恵 久保田祐佳 モーリー・ロバートソン

●(オープニング)
オープニング
最近、ネットオークションで物騒な武器が登場し、ちょっとした騒ぎになっている。それは手榴弾だ。問題の手榴弾は、なぜか埼玉の河原に大量に埋められていた。取材を進める中で明らかになったのはかつてアメリカを震撼させた、狸の里の極秘資料。

●一体なぜ!?ネットで売られる“謎の手りゅう弾”
オープニングトーク
ネットのオークションに手榴弾が売っているが、火薬は入っていないために爆発はしないという。問題手榴弾は埼玉の河原に大量に埋まっている。スッタフはハリウッドの撮影で使ったもの、謎の組織が埋めたものという推測を立てた。

●一体なぜ!?ネットで売られる“謎の手りゅう弾”
ネットで売られる!“謎の手りゅう弾”
スタッフが向かったのは問題の手榴弾が大量の見つかったという埼玉県のある町。手榴弾が埋まっているという河原に行くと土を一心不乱に掘る男性を見つけた。男性は手榴弾の残骸を探しているという。男性が指さした先には陶器で出来た手榴弾があった。手榴弾といえば「史上最大の作戦」(20世紀フォックスホームエンターテイメント)のような戦争映画でおなじみにの鉄で出来たものをイメージするが、戦争の遺跡を巡るのが趣味だというこの男性によれば、どうやら戦時中に埋められたという。

●一体なぜ!?ネットで売られる“謎の手りゅう弾”
戦時中に作られた武器 “陶器製手りゅう弾とは!?
河原に陶器の手榴弾が埋められていた理由について博物館の田中信館長が教えてくれる。河原の敷地に軍需工場があり、大量の手榴弾を作っていたが、戦争が終わり進駐軍に武器の廃棄を命じられたため捨てられたのだ。金属では無く陶器であった理由は金属が不足したからだ。製作が始まったのは戦争も終わりが近づく1944年で、粘土さえあれば、いくつも作れる陶器・磁器に目が向けられた。しかし、威力については「戦場で役に立たない武器」と言われた。

岐阜県に暮らす、全日本軍装研究会の辻田文雄代表は戦時中のアメリカの報告書を見せてくれた。報告書には威嚇用兵器でしかないと記載があり、辻田さんも「兵器としての完成度は低い」と語る。それでも100万を超える数が作られたのには、本土決戦兵器として考えられていたからだという。

さらに取材を進めると驚きの映像が見つかった、アメリカ国立公文書館の映像に映っていたのが、陶器製主榴弾を不思議そうに眺める米軍の様子だった。撮影場所は沖縄だった。スタッフは沖縄県平和祈念資料館で調査を進めた。する沖縄本島で20個以上の陶器製手榴弾が見つかっていたことが分かった。30年以上、遺骨収集を行っている具志堅隆松さんは遺骨収集の現場で遺骨のそばから10個以上の陶器製手榴弾を見つけた。

●一体なぜ!?ネットで売られる“謎の手りゅう弾”
スタジオトーク
陶器製手りゅう弾の実物がスタジオに登場。 中には人間国宝の山本陶秀が作ったものもある。澤口俊之は「当時の人は理性的に考えたんだと思う」とコメント。モーリー・ロバートソンはアメリカ軍が考案したコウモリ爆弾を紹介。

●一体なぜ!?ネットで売られる“謎の手りゅう弾”
信楽焼の兵器 “陶器製地雷”の真相!
スタッフが向かったのは、滋賀県甲賀市信楽町の信楽窯業技術試験場。ここには陶器製の地雷が保管されている。こうしたものを作った背景には陶器製の兵器を作って戦争に協力することによって“産地を守る”と当時の人が判断したからだという。信楽焼の窯元は陸軍に湯たんぽを納品していたのだが、この水が漏れないという技術が地雷に活かされたという。1944年、信楽は10万を超える陶器製地雷の発注を受けるが若い職人は戦地に赴いていていない。そこで、駆り出されたのが12歳から15歳の子どもたち1000人だった。実際に地雷作りをしていたという男性は7ヶ月もの間、地雷を作り続けたという。こうした陶器製地雷は硫黄島などの戦場で実際に使用されたという記録が残っている。

●一体なぜ!?ネットで売られる“謎の手りゅう弾”
スタジオトーク
陶器の地雷について澤口俊之は「日本人はいろんな技術を転用する創意工夫する能力が高い」とコメント。さらに牛窪恵は戦時中の技術が転用されている例として回転式展望レストランが戦艦大和の技術が転用されていると紹介した。

●(エンディング)
エンディング
エンディング映像。

川越の小川に大量の陶器手榴弾 戦後、投棄されたまま:朝日新聞デジタル(諫山卓弥、加藤丈朗2015年6月4日13時54分)

 太平洋戦争中、旧日本軍が全国の焼き物生産地で作らせた陶器製手榴弾(しゅりゅうだん)の破片が埼玉県川越市の小川に大量に投棄され、野ざらしになっている。芸術品や生活に役立つ物を生み出していた窯元が、戦争に巻き込まれ、あらゆる資源が兵器生産に投入された戦時中の状況を今も伝える貴重な場所と、研究者は評価するが、保存の計画はない。一方、残された手榴弾を平和について考えてもらうきっかけにしようという取り組みも各地で始まっている。(諫山卓弥、加藤丈朗)

 川越の陶器製手榴弾は、崖上から投げ捨てられたかのように数十メートルの範囲に集中する。破片を踏まずには川岸を歩けないほどだ。火薬や信管はないが、割れないで原形をとどめた物もある。

 立命館大学の木立(きだち)雅朗(まさあき)教授(窯業〈ようぎょう〉考古学)によると、陶器製手榴弾の製作は1944年から始まった。市内に当時あった「浅野カーリット」の工場に全国から陶器製手榴弾が集められ、火薬が詰められた。愛知県瀬戸市が95年にまとめた「終戦50周年記念文集」に収録された証言では、通常の手榴弾は半径7メートル内で殺傷能力があるのに比べ、陶器製手榴弾は半径3メートル内で人間を負傷させたという。

 終戦時、この工場がすぐそばの川に廃棄したものが、今もそのまま残っている。多くは球形で、高さ8センチ、重さ300グラムほどだ。工場の跡地は現在、農地や住宅になっている。当時の様子を伝えるものは、工場内の社が移されたという神社だけだ。

 川越市教委は、破壊され、捨てられた陶器製手榴弾は廃棄物に過ぎず、埋蔵文化財として保護の対象にするのは難しいとみている。現場を管理する埼玉県河川砂防課は、付近での工事予定は当面ないが、保存のための計画もないという。

 木立教授によると、ここ数年、川岸を掘り返したような穴が見られるようになり、よく似た手榴弾がネットオークションに出品されることがあるという。「陶器まで兵器にしようとした戦時中の混乱ぶりを生々しく感じられる貴重な場所。なんとか地元で保護してほしい」

■全国各地の窯元で製作

 川越で見つかる手榴弾は、色やうわぐすりの違いから、全国各地の窯元で作られたとみられる。一部に信楽焼を示す「信」の刻印があり、産地が滋賀県と特定された。

 円筒形、刻み目がついたものなど様々な形のものが各地で見つかっている。本土決戦に向け、生産地ごとに試行錯誤を重ねたためではないかという。木立教授によると、瀬戸焼(愛知)や益子焼(栃木)、九谷焼(石川)など有名な産地のほとんどで作られた記録や証言が残っているという。

 清水焼(京都)や美濃焼(岐阜)など数カ所の窯元からは、終戦時に埋められた手榴弾が、戦後の工事などで見つかっている。

 備前焼で知られる岡山県備前市の歴史民俗資料館には、人間国宝の故・山本陶秀さんが作った手榴弾が展示されている。円筒形でパイナップルのような刻み目がついており、終戦時に埋めたものを山本さん自身が後に掘り出し、市に寄贈したものだ。

 有田焼の産地、佐賀県有田町の歴史民俗資料館には、磁器製の手榴弾に加え、磁器製の爆弾といわれるものも展示されている。尾崎葉子館長は「窯元が戦争協力したことが進駐軍にばれるとまずいということで、資料などは焼却処分したそうですが、ロケット戦闘機用の燃料タンクなど、様々な軍需品が今も残されています」。

 防衛省陸上幕僚監部広報室によると、沖縄県内では今でも時折、火薬が詰められ、信管も装着された状態の陶器製手榴弾が発見されることがあり、陸上自衛隊の第101不発弾処理隊が処理しているという。発見時には、他の不発弾と同様の手順で処分されている。沖縄県平和祈念資料館には、那覇市内の海軍陣地跡から見つかったものなど計4点が保存されている。

 靖国神社境内にある遊就館には、激戦地の硫黄島から出土し、2002年に奉納された1点が展示されている。

■歴史伝える試みも

 高知市内の海軍基地跡からも、農作業の際などに相次いで出土している。周辺に配備されていた海軍部隊が戦後、連合国に報告するため作成した武器弾薬の目録によると、約2万個の陶器製手榴弾を保有していたとみられる。一部は市内の平和資料館・草の家で展示されている。資料館の福井康人理事研究員は、訪れた子供たちには必ず破片に触れてもらうという。「優しげな陶器の破片が実は、武器として作られたものだと説明をすると、子供たちの表情が真剣になる。こんな兵器がたくさん準備されていた恐ろしさを知ってもらいたい」

 戦時中に陶器製手榴弾の製造を手がけた藤平陶芸(京都)では2006年、手榴弾を模した一輪挿しを製造した。京都造形芸術大学の関本徹生教授が「かつては武器として作られたものに、平和への祈りをこめて花を生けてはどうか」と制作を持ちかけた。

 花を挿しやすいように上部の穴を小さくした以外は、本物の手榴弾とほぼ同じだ。藤平陶芸の末弘直道社長は「手に取った人に、焼き物の悲しい歴史を知って欲しいと思いました」と話す。約300個を製造し、在庫はあとわずかという。

魚拓:画像1魚拓:画像2魚拓:画像3魚拓:画像4、魚拓:画像5魚拓:画像6魚拓:画像7魚拓:画像8魚拓:画像9魚拓:画像10

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/03

志摩市のキャラクター(続き)

この問題、思ったよりもあちこちで議論になっているようだ。

「政治的な正しさ」によって隠された性と観光の深い関係【第73回】|すべてのニュースは賞味期限切れである|おぐらりゅうじ/速水健朗|cakes(ケイクス)(2015年9月3日)

先日下の記事で述べた志摩市の萌えキャラクターについての対談。
志摩市の海女のキャラクターデザインについて: 思いついたことをなんでも書いていくブログ

全部は読めないので、読める部分で「萌え」について述べられたところに簡単にコメントしておく。

速水 ざっと批判を見ると、「胸を強調し過ぎ」、「実際に志摩の海に潜っている海女とは大変かけ離れて」いる、「女性蔑視で不愉快」などの声がある。地元の海女という当事者が反対運動をしているという問題は、地元とのコミュニケーション不足がすべての元凶であるのは間違いない。だけど、この絵が「女性蔑視」という批判の部分は、どこが?って思ってしまう。

おぐら いまどき萌えキャラをベタに「男の性的な欲望の対象」というだけで捉えるのも、ちょっと古い感じはしますね。女性にも萌えキャラのファンはたくさんいますし。一概に「エロい」だから「けしからん」と断定するのは、どうなんでしょう。

速水 すれ違いがあるんだよね。志摩は、萌えキャラを使って2次元のキャラが好きな人たちに向けた観光PRをした。でも地元の反対派は、海女のセックスアピールで観光客を呼び込もうとしているんだと勘違いした。そういうことじゃない?

おぐら 端的なセックスアピールだけではない、萌えキャラの奥行きを咀嚼できるかどうかの問題ですかね。

速水 それだけではなく、「非実在青少年問題」や会田誠のロリコン作品を巡る批判など、フェミニズムとオタクによる幼児ポルノ表現を巡る対立の代理戦争でもあるよね。このくらいの萌えキャラに「今さら目くじら立てなくとも」というのもわかるけど、この志摩市は、来年の伊勢志摩サミットの会場でもある。

おぐら 外国から見ると、確かに市がポルノを公式キャラクターに用いているのはなぜだ、ってなる可能性はあります。

速水 アメリカメディアがAKB48は性的搾取と報道したこともあったし、日本の常識が世界の標準というわけではないというのはあるね。この辺り、クールジャパン戦略を考える上でもネックになるだろうけど。

コメントしたい論点は以下。

初めに私のスタンスを述べておくと、
1.「萌え」はその理念形がどうあれ、現状が性の商品化になっている。
  全てがそうではないとしても、その相当部分がセックス対象としての女性性を含んでいる。
2.仮に女性など幅広い層が支持しているとしても「萌え」が性を商品化していることは変わらない。
  性的対象として見られること自体を女性が内面化していることがある。「かわいい」の基準の中にそうした価値観を取り込んでしまっていると言える。

では簡単にコメント。

>地元とのコミュニケーション不足がすべての元凶であるのは間違いない。

これは正しい認識。

>一概に「エロい」だから「けしからん」と断定するのは、どうなんでしょう。

「エロい」視線の対象とされた人間の立場からそれを言えるのか。

>すれ違いがあるんだよね。志摩は、萌えキャラを使って2次元のキャラが好きな人たちに向けた観光PRをした。でも地元の反対派は、海女のセックスアピールで観光客を呼び込もうとしているんだと勘違いした。そういうことじゃない?

状況認識はまあ正しい。しかし「反対派が勘違いした」というのは間違い。勘違いではなく、推進派が見落としていた側面を指摘したというのが正しい。言葉の使い方にこの人の意識のあり方が見える。

>端的なセックスアピールだけではない、萌えキャラの奥行きを咀嚼できるかどうかの問題ですかね。

これも言葉遣いに意識の偏りが見える例。「咀嚼できていない」のではない。萌えキャラが持つ別の一面を指摘しているというべき。この人は「セックスアピールだけではない」としてセックスアピールの存在を認めているのであれば、その存在が批判されていることに正面から向き合うべきで、それを「分かっていない奴ら」と切り捨てるのは一方的である。

>フェミニズムとオタクによる幼児ポルノ表現を巡る対立の代理戦争

表現の自由は守られねばならないが、しかしその表現は他の人格を傷つけないように配慮すべき。さらに、今回のキャラクターは、こうした表現を巡る対立への問題提起を狙っているわけでもない以上、それが持つ海女の人格への攻撃性を「表現の自由」として首肯する理由にもならない。つまり、一方が「尊厳を侵害されている」と訴えている表現に対し、「お前ら、エロだけじゃないのが分からないの?」とか「デザインの自由を侵害している」とかいう擁護はできない。

>外国から見ると、確かに市がポルノを公式キャラクターに用いているのはなぜだ、ってなる可能性はあります。
>日本の常識が世界の標準というわけではないというのはあるね。この辺り、クールジャパン戦略を考える上でもネックになるだろうけど。

この先が読めないのでこれがどういう主張なのか分からない。従って一定の限定があるが、いくつかコメントしておく。

1.このキャラクターデザインを「単なるエロではない」とか「批判者は誤解している」とか言うのであれば、外国や世界に対して堂々とその主張を発信して説得的な議論を展開するべきである。自らの正しさを述べて、世界に新たな価値基準を示すことは「クールジャパン」が先端的な意義を持つことにもつながる。

2.海外に「萌え」をポルノだと見る観点があることは許容しつつ、日本国内の同様の批判に対して「分かっていない」と切り捨てるのであれば、それは海外への事大主義であって、卑屈な精神性を示していると言わざるを得ない。

3.本来は正しいデザインだが、サミットの場にふさわしくないから今回は取り下げても良いと言うのであれば、それもまた本来の当事者たる海女ら(と同様の視線に晒される女性)の人格と尊厳を、国政や海外への配慮より下に置くことに他ならないので、やはり劣悪かつ恣意的な政治性を持っていると言わざるを得ない。

*******************
追記(2015年11月5日)

志摩市がキャラクターの公認を撤回した。

海女萌えキャラ、三重・志摩市「公認撤回」 抗議相次ぐ:朝日新聞デジタル(2015年11月5日16時52分)

 来年5月に主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開催される三重県志摩市が公認した海女の萌(も)えキャラクターをめぐり、「性を強調する描き方だ」と抗議が相次ぎ、市は5日、「公認を撤回する」と発表した。今年8月、公認撤回を求める海女たちの署名が市に出され、「サミット開催地でキャラ騒動」とネット上でも話題になっていた。

 キャラクターは可愛い海女を目指す17歳という設定の「碧志摩(あおしま)メグ」で、同県のイベント企画会社が昨年夏、海女の多い志摩市に打診して制作。市は同年10月末、「観光誘客などで活用したい」と公認し、ポスターやパネルが地元公共施設などに掲示された。

 これに対し、母親が現役海女の地元主婦(39)が「女性蔑視で海女への侮辱」と抗議。公認撤回などを求め、海女ら309人分の署名を市に提出した。

 市は「好意的な意見も多く、デザインを変更したい」と公認継続の姿勢を示す一方、9月末に市内の海女代表24人を集め、「一部の方に不快な思いをさせた」と謝罪した。この場で行ったアンケートでは、約3割が公認を撤回すべきだと答えたという。

 大口秀和市長は5日に会見し、「(公認撤回は)企画会社から申し出があった。海女さんたちに応援していただきたいが、そういう現状ではない」と述べた。撤回とサミットとの関係は否定した。

 主婦とともに署名を集めた母親の海女(66)は「公認撤回はうれしい。でも当たり前のことだと思う」と話した。(荻野好弘)

撤回の判断はよかった。撤回の最終判断をした関係者も苦労したのではないか。

海女らを市の誇りとするなら、キャラクター作りから当人らに関わってもらっていたらよかったのにと思う。その場合、おそらく「萌え絵」とは違った方向のデザインになり、それが衆目を集める効果を持つかどうかは分からない。「萌え絵」の方が集客は容易かもしれない。ただ、「萌え絵」が持つバイアスとステレオタイプに記号化された「キャラ」からは抜け落ちてしまう海女という存在の重さや深みは残るだろう。

*****************
追記(2015年11月6日)

市の公認は辞退したが、キャラクターそのものは非公認で継続させるそうだ。
非常に残念な対応であり、問題を理解していないと言わざるを得ない。

志摩市の萌えキャラクター「碧志摩メグ」公認撤回へ デザイン変えず「非公認」として活動は継続、励ましの声も - ねとらぼ(2015年11月05日 16時17分 更新)

炎上後、実際に海女さんたちと話し合った結果、決してすべての海女さんが企画に反対していたわけではなく、実際には前向きな意見や、励ましの声も多かったそう。このため最終的に「デザインを変更するべきではない」との判断に至ったとしています。
多い少ないの問題ではないのだが。「クラスの皆が賛成しているから、お前をいじめることにした」という決定は道徳的ではないだろう。

*****************
追記(2016年11月11日)

海女への理解を深めるきっかけになってないのではないか、単に女の「エロかわいい」姿態を消費するだけにしかなっていないのではないか、という指摘。

「キャラクター」化されることで実体への学びが促されるかと言えば、ないことはないにせよ、単に「かわいさ」を愛でるに留まることも少なくないという気がする。例えば「ニモ」でクマノミが流行ったがクマノミの生態や海洋生物への学びが深まったかというと多分そうでもない。神社の巫女に扮したキャラクターが散見されるがそのファンが巫女や神職について学ぶかと言えばそれもそうではないだろう。もちろん漫画やアニメをきっかけにして実物のファンになったという人もいるが、そうではない人にとってキャラクターとは「愛でる」=消費する対象でしかないのだろう。その次元では海女も巫女もパンダもクマノミもハムスターも等価なのだ。

若林 宣さんのツイート

若林 宣 ‏@t_wak 13時間13時間前
碧志摩メグの時は、ちょうど『帝国日本の交通網』執筆で、済州島からの出稼ぎに関連して潜水漁のことを調べていた。そこで前近代的雇用とか内地外地の差別的処遇とか磯着を着る着ないの問題とか断りもなく観光資源にされたことや男性観光客の性的視線に晒されたことなどを知って、「これはまずい」と。

若林 宣 ‏@t_wak 13時間13時間前
もちろん、知れば皆「まずい」と思うかどうかはまた別の問題なので、知ってなお碧志摩メグの使用を擁護するという考え方もあると思うけれど、あの時あのキャラクターの使用を擁護した人で真面目に潜水漁について調べた人とかいるのかなぁ。
0件の返信 7件のリツイート 26 いいね

若林 宣 ‏@t_wak 13時間13時間前
得々と「現地に行ってキャラグッズを買いました」と言う人は幾人か見かけたけれど、潜水漁やその従事者が置かれていた社会的な位置とか歴史とかそういうものに興味を持ちましたという人がほとんどいないということは、あのキャラは結局役に立っていないんじゃ……と思ったりもする。

若林 宣 ‏@t_wak 13 時間13 時間前
そのキャラが本当に好きなら、その背後にあるものについて調べたりとかするものだと何となく思っていたけれど、「キャラクター」というものは、所詮そこまで深く愛でるものでもない、ということなのか。

*****************
追記(2016年11月26日)

「碧志摩メグ」がアニメ化されるらしい。それに応じて「勝利宣言」している人たちがいるようだ。

反フェミのシンボルである伊勢の碧志摩メグが短編アニメに!テレビアニメ化して惨事のブス海女泣かせてほしい - Togetterまとめ

現実は高齢化でブスBBAだらけの伊勢志摩の海女を可愛い萌えキャラに美化したところ、嫉妬されて無関係のフェミナチもしゃしゃり出て大炎上した碧志摩メグ。
彼女は最早伊勢志摩PRキャラを超えて世界的な「反フェミ」のマスコットへと出世した。
そんな彼女がこのたび短編アニメ化。反フェミの勢いが強くなったことを感じさせる。
萌えキャラクターの影響を懸念している人たちを釣るためのトラップかと思うほどのミソジニーとルサンチマンに溢れたまとめ。

「フェミ」側の「釣り」または「工作」だと見なして切断処理しようとするコメントも多いが、さすがにこのtogetterまとめには批判的なコメントが多く、それは「碧志摩メグ」を擁護し、海女の尊厳侵害に当たらないとする人たちからのものが多い。

だが、「メグ」――広く言えば「萌え」――の本質には実在の海女を「惨事のブス海女」と見なしている部分が隠れている。端的に言えば、なぜ「メグ」は現実の海女を忠実にトレースせず「萌え」側に振ったのか、なぜ現実よりも肉感的な表現にしたのかという問題が残っている。実在の海女を尊重するのであれば、それに忠実な表現であっても良かったはずだ。「メグ」への批判は、海女を表現することへの批判ではなく、その表現方法への批判であったわけだから、「メグ」の擁護は現在の「メグ」のデザインが海女の尊厳を冒していないという擁護であるはずである。したがって、「メグ」というデフォルメ方法が実際に現実の海女たちから批判された以上、「いや、この表現はあなたたちの尊厳を侵害していない」と言う必要があるし、なぜもっとリアルな表現ではダメなのかという問題に答える必要がある。

なお、上記togetterまとめにリンクされているアニメ化プロジェクトサイトでは、
「一部で『女性蔑視』などという誤解を生んでしまい」
などと、依然として何を指摘されたのかを理解していないようだ。
あの伊勢志摩の海女萌えキャラ『碧志摩メグ』アニメ制作プロジェクト! | クラウドファンディング - Makuake(マクアケ)

| コメント (0) | トラックバック (0)

記事メモ:安倍政権の安保・辺野古とアメリカ

共産党の調査能力にはこのところ驚かされることが多い。
やっぱり赤旗を取った方がいいんじゃないかと思わされる今日この頃。

自衛隊統幕長が米に辺野古「約束」 翁長知事就任直後 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース(2015年9月3日 7:25)

安保法制がいよいよ強行採決が視野に入ってきた今日この頃。
圧倒的な反対を押し切って9月中に間に合わせようとする姿勢の裏には、アメリカへの「約束」があると言われている。

上記の琉球新報記事はそれと軌を一にする話。

・自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長が、翁長知事誕生直後にもかかわらず、辺野古推進をアメリカにアピール。
・この事実が分かったのは、共産党が入手した機密資料から。
・選挙中は沖縄県民を刺激しないようにした米軍の配慮に感謝。
・オスプレイ反対の声が「一部の活動家だけだ」と発言

自衛隊と政府が、沖縄や基地反対の声を極めて軽んじている……軽侮している……ことを如実に示している。
反原発、安保法制などでも、同じように反対運動に対する強い警戒心、矮小化、軽侮が見られる。

自衛隊(軍隊)が政治的な介入をしたい欲望があることも分かる。
やはり、軍の動きを抑制する仕組みは絶対に必要だと改めて思わされる。

と同時に、アメリカに対する強い依存心も見える。
また、基地の存在が住民の怒りを刺激していることを知っていることも分かる。

対米関係というか、アメリカの戦略に従属することを最優先にして、国を危うくし、国民を苦難に導くこういう人たちのことこそ、売国奴と呼ぶにふさわしいと思うのだが、なぜか日本では「愛国者」と呼ばれている。

今回の記事から、水面下では日本政府がアメリカに対してこういうふうな形で密約を数多く結んでいるということが強く伺われる。
「特定機密」の隠蔽法があるので、政治家と官僚、軍の行動をチェックすることはこれから益々難しくなる。
それに比例して国民の軽侮、無責任体制、ごまかし、権限と財産の私物化が拡大し、その権益に群がる癒着が深まる。そうして、がんじがらめの利権構造と派閥が作られていく。
************
追記(2015年9月3日)

上記の問題はもっとひどかった。

統幕長、米に昨年末「安保法案夏までに成立」 共産追及:朝日新聞デジタル(2015年9月2日23時07分)

「安保法制の国会通過は夏までに終わる」ともアメリカに説明していたらしい。

完全に民意を無視しているし、9月下旬を夏と呼べないとしたら、対外的な場で安易な見通しを公言するという痴態をアメリカに晒したことにもなる。自衛隊はこういうルーズな人間をトップに頂く組織なのかとアメリカに印象づけたわけだ。第二次世界大戦の頃から日本軍の体質が全く改善していないことをアピールしたわけである。

朝日新聞が辺野古問題に全く触れていないのも、ヤマトのメディアの意識を象徴している。

************
自衛隊統幕長が米に辺野古「約束」 翁長知事就任直後 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース(2015年9月3日 7:25)

 【東京】米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に関連し、昨年12月17~18日に訪米した自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長が米海兵隊のダンフォード総司令官に対して「普天間移設反対派の知事が就任したが、辺野古への移設問題は政治レベルの議論であるので方針に変更はないとの認識である。安倍政権は強力に推進するであろう」と述べ、米側に日本の辺野古移設推進堅持の方針を伝えていたことが明らかになった。
新基地建設反対を訴え当選した翁長雄志知事が昨年12月10日に就任してから、わずか数日後に自衛隊トップが辺野古移設を米側に「約束」していた格好で、今後の議論を呼びそうだ。
 河野統幕長の会談内容を記した統合幕僚監部の機密資料を共産党が入手した。資料は「取扱厳重注意」とした上で「統幕長訪米時のおける会談の結果概要について」との件名で、2014年12月24日に作成されている。
 河野統幕長が訪米し、ダンフォード氏のほか、ワーク国防副長官、オディエルノ陸軍参謀総長、スペンサー空軍副参謀総長、グリナート海軍作戦部長、スイフト海軍作戦部幕僚部長、デンプシー統合参謀本部議長らと相次いで会談した際の会議録が記されている。

 河野統幕長はダンフォード氏との会談で「沖縄県知事選時にはリバティーポリシー(行動指針、米軍の夜間外出・飲酒規制)の実施、地域情勢に配慮していただき感謝する」などとも述べ、米側に選挙時の対応を感謝するなど、選挙への介入とも受け止められかねない発言もしている。
 ダンフォード氏は「このような問題には忍耐力が必要であり状況が好転するまで待つことも必要である」と述べた上で、移設計画の推進を求める考えを示した。
 ワーク氏との会談で河野統幕長は「オスプレイに関しての不安全性をあおるのは一部の活動家だけである」と述べ、米海兵隊の垂直離着陸機オスプレイの配備反対の声が「一部」と矮小(わいしょう)化して伝えていたことも明らかになった。


************
統幕長、米に昨年末「安保法案夏までに成立」 共産追及:朝日新聞デジタル(2015年9月2日23時07分)
 安全保障関連法案を審議する参院特別委員会は2日、一般質疑を行った。共産党は防衛省の内部資料として、河野克俊統合幕僚長が昨年12月に訪米した際の米軍幹部との会談記録とされる文書を提示。その中で河野氏が安保法制は夏までに終わる見通しを伝えていたことを指摘した。政府は文書の存在を確認した上で今後回答するとした。

 同党の仁比聡平氏が示した文書によると、昨年12月17~18日に河野氏が米国防総省で米軍幹部らと会談。河野氏は米陸軍参謀総長との会談で「(12月)14日に衆院選があり、与党が圧勝した」と説明。新しい日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)や安保法制の進み具合を問われ、河野氏は「与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えている」とも述べたという。

 また河野氏は米国防副長官との会談で、日本の防衛予算は「今後も増える傾向にある」と語った。新型輸送機オスプレイ導入への国民感情については「不安全性をあおるのは一部の活動家だけだ」とも述べたという。

 これに対し、中谷元・防衛相は河野氏が昨年12月の訪米時に、文書にある米軍幹部らと会談したことは認めたが、「資料が確認できていないので言及は控える」と答弁。統合幕僚監部の報道担当は朝日新聞の取材に「資料の確認ができていないので、コメントは差し控える」と述べた。(小野甲太郎、石松恒)

■共産党が示した文書での河野克俊統合幕僚長と米軍幹部らとの主なやりとり

【安保法制】

河野統幕長:集団的自衛権の行使が可能となった場合は米軍と自衛隊との協力関係はより深化する。

米陸軍参謀総長:安保法制で何か問題はあるか?

河野氏:(衆院選での)与党の勝利により来年夏までには終了すると考えている。

【防衛予算】

米国防副長官:自衛隊の予算的な制約はあるか?

河野氏:これまでの10年間防衛予算は減少傾向にあったが、安倍政権になって増加傾向にある。中国の活動が活発化していることを踏まえると今後も増える傾向にあると考える。

【米軍基地】

米国防副長官:オスプレイは初期の事故により不公平な評価を受け残念だ。

河野氏:オスプレイの不安全性をあおるのは一部の活動家だけだ。

米国防副長官:在韓米軍基地、岩国基地、普天間代替施設、グアム移転問題の予算は100%確保されており、計画通りに進捗(しんちょく)する。

河野氏:沖縄知事選では普天間移設反対の候補者が当選した。普天間移設問題は地方の問題ではなく国の問題で、安倍政権として立場を変えないものと認識している。

| コメント (0) | トラックバック (0)

今正に「先送り行動」をしています…。

GIGAZINEから「先送り行動」の関連記事を三つ。

その1

やるべき事を後回しにする「先延ばし行動」の背景にある「感情」を理解する事で問題解決を狙う取り組み方法とは - GIGAZINE(2015年09月02日 21時20分00秒)

先延ばし行動は、procrastination というらしい。

procrastination [正式]ぐずぐずすること;遅延
Procrastination is the thief of time.|[ことわざ]遅延は時間盗人;「思い立ったが吉日」(ジーニアス英和辞典)

・先延ばし行動の本質
  心地よくなることに屈すること
・いわゆる「完璧主義者」の心理も先延ばし行動につながる

「自分の将来に関わる重要な行動を起こす必要があるような時でも、ついジムに行ってトレーニングを行ってしまう」
「moral compensation(道徳的補完)」
※「補完」というより「補償」が正しいかな?
本来やるべき行動を先延ばしにする負い目を感じるかわりに、何か気分の良くなることを行ったり、生産的な活動を行って感情の埋め合わせを行うこと

●「継続的な先延ばし行動」の原因
従来の解釈:「完璧にしないといけない」という「恐れ」から物事に取りかかることができない
今回の解釈:「恐れ」に起因する衝動に駆られることで、即座に行動を起こしてしまう

?どういうこと?

・衝動性が低い人→「恐れ」が行動を始める原動力になっている
・衝動性が強い人→「恐れ」を感じる→思考が停止してしまう傾向

衝動性の強い人:「恐れ」に対処することが下手。何か他のことを行うことで悪い感情を取り去ろうとする傾向にある。

※ちょっと機序が複雑だった。怖いから着手できないということでなくて、怖い→他のことで気分を紛らわすということかな?

●影響

・極端な先送り傾向は日常生活に支障を来す。心身状態も悪い傾向。

・病気に前向きに対処する傾向が低い。

・「一時的な近視眼性(temporal myopia)」→自分の将来像に対して「感情的なつながりを持たない。「将来の心配よりも、いま目の前にある心配事に目を向けざるをえないほどの強いストレス状態」

●対処法

・タイムマネジメント:問題を明確にして解決までの予定を管理。

・感情を制御する
「何かを始める際に『強い心配』のような感情を抱いていることを自覚させること。ただしそのことを理由に自己批判させない。次にまずは作業に取りかからせ、あえて視野を狭くした状態で少しずつ物事を進めさせること」

・ゴールを細かくブレイクダウンし、その小目標に対するスケジューリングや小目標をクリアした際の「コーヒー休憩」といった報償に至るまで非常に細かくスケジュールを設定。他人のアシスト。

・作業の「脱線」を防止する仕組み。例えば、インターネットでFacebookを開く際にはページ表示までに15秒かかったり、本来は必要のないパスワードを求めたりといった手間を意図的に挿入するなど。

「もしあなたが一時的に物事を先延ばしにしているだけの人物であれば、余計なことは考えずにとにかく次のタスクに取りかかってください。一方、継続的な先延ばし体質にある人の場合はセラピー療法を受けて自分の感情をよく理解し、問題に対処する方法を見つけることが大切です」

その2

グズグズして今すべきことを「あとでやる」にして後悔するのを改善する心理学的方法 - GIGAZINE(2014年01月10日 06時00分39秒)

PCN症候群と言うとのこと。

感情コントロールの方法

・「やりたくないがためにもやもやしている気分は、今やらないと後でもっと最悪ものになる」と考えて、感情をコントロールする

・「タイムトラベルテクニック」:タスクをやり遂げた後の最高の気分を考えてみることでやる気を促す

・「自分を許す」:自分に課すタスクの量を減らし、達成するごとに休憩を挟み、断続的に作業を進めてみる

アドバイスされていること:とりあえず始めてみること。ただし、やる気を出すためにタスクの目標を低く設定することが大事。

その3

なんでも「あとでやる」としてしまう人が知るべき10個の真実 - GIGAZINE(2007年07月06日 14時54分00秒)
ちょっと古いかも…。まあ、とりあえず抜粋。

3:先送りするクセはスケジュールや時間管理の問題ではない

6:先送りにする人は自分で自分に嘘をつく
「これは重要ではない」というように自分に言い聞かせる
締切のプレッシャーがあるときほどよりクリエイティブになれる!などと考える

「今は明日にコレをやりたい気分だ」、「期日が迫ってるプレッシャーがないと仕事をする気になれない」などと自分に嘘をつく。しかし実際には次の日にやるという気分でもないし、プレッシャーがあればいい仕事ができるわけでもない。

7:積極的に注意散漫になりがちなことを行う傾向が強い
自分の注意を本来やるべき事からそらすことによって、本来やるべきことをやって失敗するという恐怖から自分の感情や自分自身を保護する。

8:先延ばしにする人には典型的な3種類のタイプがある
・覚醒タイプ:危機的状況まで何もしないことにスリルを感じる。超特急で仕事をこなし、終わってから「ああ、いっぱい仕事した~♪」というような感覚を覚える人。
・回避タイプ:失敗する恐怖を回避するため、もしくは成功する恐怖を回避するために先延ばしにしてしまう人。
・意思決定不能タイプ:決断ができない人のこと。決断することによって発生する出来事の結果を恐れるため、意思決定することを先延ばしにしてしまう。

ううーん……。頑張らなくては……。

| コメント (0) | トラックバック (0)

秀逸な合格通知と不合格通知の例

マイケル・サンデル『これからの『正義』の話をしよう』「第7章 アファーマティブ・アクションをめぐる論争」232-234ページより。

うがった文章で全く正しいなあと思うので引用しておく。
これらの合格通知、不合格通知の文面は、哲学上の議論、特にアファーマティブ・アクションの是非を巡る議論のためにサンデルが作成したものだ。

これを正しいと思ってしまう私は、ロールズやドゥウォーキン、そしてカントの道徳的基準に共感しているのだろうか。

まずは不合格通知の例(マイケル・サンデル作)

ホップウッド殿

遺憾ながら、あなたが入学選考において不合格となりましたことをお知らせいたします。この決定にはなんら悪意が含まれていないことをどうかご理解ください。われわれは、あなたが劣っているとは考えていません。実際、あなたの価値が合格者より低いとさえ考えていないのです。

あなたが発揮しうる資質を、社会がたまたま必要としない時代に生を受けたのは、あなたの落ち度ではありません。あなたの代わりに合格した人びとがその立場に値するわけでも、合格の要因となったものに対する称賛に値するわけでもありません。われわれは合格者を、そしてあなたを、より広い社会的目的のための道具として扱っているのです。

あなたはこの知らせに落胆なさることでしょう。けれども、あなたが本来持っておられる道徳的価値が、何らかの形でこの決定に反映しているなどと考えて失望を大きくなさらないように。われわれはあなたに同情しています。あなたが出願された際に社会がたまたま求めていた特質を、あなたがたまたま備えていなかったのは誠に残念なことでした。次回はより幸運に恵まれますようお祈りいたします。

「われわれは合格者を、そしてあなたを、より広い社会的目的のための道具として扱っているのです」とか、「あなたが出願された際に社会がたまたま求めていた特質を、あなたがたまたま備えていなかったのは誠に残念なことでした。次回はより幸運に恵まれますようお祈りいたします」とかが非常に秀逸だと思う。

次に合格通知の例

合格者各位

あなたが入学選考に合格されましたことを謹んでお知らせいたします。社会がいま必要としている特質を、あなたがたまたま備えていることがわかりましたので、あなたが当校で法律を学ぶことを許し、あなたの資質を社会の進歩のために活用したく存じます。

あなたは祝福される立場にありますが、それは合格の理由となった資質を備えていることに対する称賛に値するという意味ではなく(あなたはそれに値しません)、単にくじに当たった人が祝福されるのと同じことです。あなたは幸運にも、適切な時期に適切な特質を備えて生を受けました。あなたが本校に入学することを決意なされば、このような形で利用されることに伴う恩恵を受ける権利を得るでしょう。この意味で祝うのが適当です。

あなたは、というよりあなたのご両親は、この知らせをもっと違う意味で祝いたいかもしれません。本校に合格したのは、生来の才能はともかく、少なくとも自分の能力を磨くためにあなたが重ねてきた地道な努力が報われたのだと思いたいかもしれません。しかし、あなたがそのような努力のできる人であるのは、あなたにその価値があるからだと考えることにも問題があります。あなたがそのような性格を備えているのは、幸運な偶然が重なったからであり、あなたの手柄ではまったくないからです。ここには功績の概念は当てはまりません。

ともかく、秋にお目にかかれるのを心待ちにしております。

「あなたはそれに値しません」や「このような形で利用されることに伴う恩恵を受ける権利を得るでしょう」など、思わずうならされる。

それにしても、アメリカの大学はこんな手紙文のような通知書を出してくれるのだろうか。
というのは、これらの文面につづけて、

このような通知なら、不合格者の痛みはやわらぎ、合格者の慢心はくじかれるだろう。それなのに、なぜ大学はあいもかわらず祝辞とお世辞を連ねた通知を送りつづけて(出願者もそれを期待して)いるのか。
とサンデルが書いているからだ。日本の合格通知は単に「合格しました」というだけで非常に素っ気ないから、そういう「慢心」を育てるような通知をもらってみたかったなあとちょっと思ったのである。

追記:ちょっと検索したら引用している人が何人かいた。日の下に新しきものなし。

| コメント (0) | トラックバック (0)

志摩市の海女のキャラクターデザインについて

**********
続きを書いた:志摩市のキャラクター(続き): 思いついたことをなんでも書いていくブログ

追記(2015年11月5日): 志摩市が公認を撤回。上の記事に追記した。
**********

「萌えキャラは海女を侮辱」三重・志摩市に公認撤回要求:朝日新聞デジタル(2015年8月17日07時18分)

・志摩市が海女をモデルにした公認キャラクターを作成
・市内の海女を中心に309人が反対署名を提出。

記事にある反対理由
・「胸など若い女性の体を強調して描き、誤った海女のイメージが発信される」
・「県文化財に登録された海女の信仰や潜水技術、知識こそ発信すべきだ」
・「今の海女は磯着ではなく、ウェットスーツを着る」

対する志摩市と受託会社側(マウスビーチ社)の反論
・「意見を会社側に伝え、キャラの描き方が変更された」
・「批判は受け止めるが、メグには好意的な意見も多い」

参考:キャラクター画像:今年2月から配布されたポスター(批判前)魚拓)、(批判後)8月から配布されているポスター。磯着の脚部が隠されるなど描き方が変わった魚拓

セックスや女性性の商品化は「萌え」の本質なので、海女らが誇りを傷つけられたと思うのは当然だろうと思う。
ただ、「萌え」がそういうものだという点を割り引いて考えてみても、海女をモデルにしているのに海女から拒否感が出ているのは致命的だ。

海女らへの反論も海女たちの批判に応えていない。
1.「描き方が変更された」からOKというが、海女らが納得している様子がない。
  モデルの意向を尊重して合意形成を目指さない「修正」は、モデルとなった人たちの尊厳を余計に傷つけるもので、対応としては悪手と言わざるを得ない。

2.「批判者は少数で、他の大勢は好意的だ」という反論はこの種の批判には無効であるばかりか、差別を内包している。
例えば、サンフランシスコ市がリトルトーキョーを市のPRに利用しようとして、日本人をモデルにしたキャラクターを作成するという仮想例を考えてみればよい。
チンチクリンに背が低く、つり目に眼鏡を掛け、出っ歯で短足なキャラクターデザインが「愛嬌があってかわいい」とされて、ポスターやテレビ、インターネットで広められたとしたら、日本人はどう思うだろうか。侮辱されたと思う人が多いのではないだろうか。
その感情に「好意的な意見も多い」からという理由でフタをして、そのデザインのままキャラクターを使い続けるのは正しいと言えるだろうか。
いくら「ちび黒サンボ」が可愛らしくても、当の黒人が「尊厳を傷つけられた」と思えば、その設定には問題があると言わざるを得ないのである。

*****
というふうに自分なりに意見を整理したのだが、この考え方はどのように解釈できるか。
今、マイケル・サンデルの『これから「正義」の話をしよう』を読んでいるので、頭がそれに染まっているわけだ。で、それに基づいて考えてみたい。特に関心があるのがカントの道徳法則に適っているかどうかだ。
ただ、以下の考えは、サンデルの本を一つ読んだだけの、その理解も正しいか分からない状態のものなので、眉唾ものである。

たぶん、カント的には、キャラクターデザインの善し悪しは海女らがそれをどう思うかとは関係ない。だから、上記の私の意見はたぶんカント的には正しくない。
カントの道徳では動機が重要で、動機が道徳的に正しければその結果がいかに悲惨であろうと問題ない、たぶん極端に言えば。つまり、このデザインの動機がそれ自体として道徳的に正しければよくて、そのデザインがいかに海女らの感情を傷つけようが、あるいは逆に彼女らを喜ばせようが、このデザインの評価には関係ないということだ。そのデザインはデザインそれ自体として道徳性を評価されなければならず、そこに誰かがどう思うかという要素は入らない。なぜなら、道徳は特定の誰かの感情に左右される、言い換えれば特定の誰かの感情に奉仕するものであってはならないからだ。つまり、デザインはその動機とそれ自体の道徳性によって吟味されなければならない。
では、キャラクターデザインの道徳的な正しさはどう評価すべきか。カントによれば、道徳は無限定・無条件の義務、定言命法として述べられなければならない。従って、このデザインの善し悪しは、そのデザインが何かの目的に沿って、つまり他律的・外的な評価基準に沿って評価されるものであってはならず、それ自体として良いものでなければならない。また、あらゆる人格はそれ自体が究極の目的として尊重されねばならない。これらの観点に立つと、おそらくこのキャラクターデザインは道徳的によいものとは言えない。
なぜならば、このキャラクターはそれ自体のために作られたのではなく、志摩市のPR、はっきり言えば市の経済的利益のために作られたものであるから、このキャラクターの評価は市のイメージを良くし、観光客などを引きつける効果の大きさで計られるものだからだ。つまり、市の利益に資するデザインが成功とされ、その効果がないか逆効果を生むものは失敗とされる。このようなデザインは市のPRの道具であり、その評価尺度はデザインそのものにはないのだから、そのデザイン、ひいてはそのデザインを作った理性は他の目的の道具として扱われていることになる。従って、このような動機で作られたデザインは道徳的ではあり得ない。
また、二つ目の観点から見てもこのデザインは道徳的によいとは言えない。なぜなら、海女という人格を持った存在を市のPRに用いるということ自体が海女らの人格を市が利益を得るための道具として用いていることになるからだ。少なくとも、海女の人格的尊厳を守る、つまり海女を理性的存在とし、その自由意志を尊重するデザインでなければならず、そのデザインの利用の仕方も海女の人格性を侵害するものであってはならない。ところが、「萌え」というデザインは、そのモデルの人格ではなく、モデルの外形(容姿や形態)にデザインの作者や利用者が持つ「萌える」要素を投影して作られるものである。そこにはモデルの人格は正しく表現されず、そのキャラクターはデザイン利用者の「萌える」対象として消費される。したがって、この海女らの人格が「萌え」として消費される対象とされている以上、このデザインが道徳的に正しいとは言えない。
道徳に対するこういう考え方それ自体を仮に認めるとしても、キャラクターは抽象的な「海女」というイメージの表象であり、実在する個々の海女との関連性はないという反論があるかもしれない。しかし、抽出されたイメージの元は実在した海女の姿から得られたものだから、全く仮想的なイメージというわけではないし、今生きている現実の海女を見るときに、この作られたキャラクターのイメージを重ね合わせることが想定される以上、実在の海女とキャラクターとの間に関係がないということは困難だろう。

というわけで、おそらく、私が先に考えた意見は、カント的見地からは道徳的に正しいものとは言えない。この意見は海女の尊厳に配慮している点では一定の正しさを持つと言えるかもしれないが、海女がこのキャラクターを批判していることをデザイン評価の根拠にしている点で正しくない。
ただし、カント的見地からも、このキャラクターデザインは道徳的に正しくはない。それは、海女らの反応とは関係なく、このデザインの動機と形式それ自体が道徳的に正しくないからだ。

とまあ、こういう感じでまとめてみたのだけれども、どうだろうか。もしサンデル先生にレポートとして提出したら何点ぐらいもらえるだろうか。

**********
「萌えキャラは海女を侮辱」三重・志摩市に公認撤回要求:朝日新聞デジタル(2015年8月17日07時18分)

 三重県志摩市公認の海女の萌(も)えキャラクターは性を強調し海女を侮辱しているとして、同市内の主婦(39)が公認撤回とキャラ入りポスターの撤去などを求める署名を市と市議会に提出した。署名は市内の海女ら309人分といい、主婦は「不快に思っている海女も多い」と訴えている。

 キャラは海女を目指しているという設定の「碧志摩(あおしま)メグ」。四日市市のイベント企画会社が制作し、志摩市は昨年秋、「アニメ文化を通じ海女や市を知ってもらいたい」と公認。ポスターなどで活用されている。

 これに対し主婦は今年4月、「胸など若い女性の体を強調して描き、誤った海女のイメージが発信される」と、公認反対の意見書を市に提出。今年6月から、海女である母親(65)と、公認撤回などを求める署名活動を始めた。母親の地元を中心に、現役海女や元海女だけでも115人が署名したという。署名を出した主婦は「県文化財に登録された海女の信仰や潜水技術、知識こそ発信すべきだ」と市を批判した。

 市は「意見を会社側に伝え、キャラの描き方が変更された」として、いまのところ要求には応じない方針。会社側は「批判は受け止めるが、メグには好意的な意見も多い。今後も志摩や三重のPRに役立てば」としている。

 主婦の母親と別の地区に住む海女(66)は「今の海女は磯着ではなく、ウェットスーツを着る。空想の漫画で仕事への誇りが揺らぐことはない」と話している。

| コメント (0) | トラックバック (0)

大阪駅前の闇市と闇市研究の本

特集ワイド:闇からの胎動 大阪駅前ヤミ市史/上 焼け跡に行き場のない人々の群れ 欲望と気概のるつぼ - 毎日新聞(2015年08月31日 大阪夕刊)
特集ワイド:闇からの胎動 大阪駅前ヤミ市史/中 音楽にコーヒー「なんでもそろう」 持つ/持たぬ、格差の鏡 - 毎日新聞(2015年09月01日 大阪夕刊)
特集ワイド:闇からの胎動 大阪駅前ヤミ市史/下 朝鮮戦争特需へて経済活況 雑踏からビル群へ転生 - 毎日新聞(2015年09月02日 大阪夕刊)

こちらの連載で紹介されていたのが、こちらの本。

橋本健二, 初田香成 編著, 『盛り場はヤミ市から生まれた』青弓社, 2013年12月, ISBN978-4-7872-3364-6 C0036, 2800円+税

残念ながら品切れとのこと。良い本はすぐ品切れになってしまう…。
ただ、目次を見る限りこの本では大阪の闇市は扱われていないようだ。

この記事にもあるように、闇市など「裏側」の資料はまとまっていなくて研究は大変だと思う。時間を掛けた地道な努力が必要な領域だが、歴史認識に多角的な視野を与えてくれ、かつ社会の動き方を深く見通すためにはとても大切な仕事だと思う。なのに残念ながらこういう研究者のポストは非常に乏しいのが現状だ。

*******************************
特集ワイド:闇からの胎動 大阪駅前ヤミ市史/上 焼け跡に行き場のない人々の群れ 欲望と気概のるつぼ - 毎日新聞(2015年08月31日 大阪夕刊)

 ◇料理研究家・程一彦さん「私の戦後の原点」

 今年は太平洋戦争の終結から70年の節目だが、これまでは1945年8月15日に始まる「戦後元年」に光が当たることはあまりなかった。大阪駅前(大阪市北区)に広がっていたヤミ市から、復興への胎動を追った。【平川哲也】

 持参したメモ帳に、料理研究家の程一彦さん(77)=兵庫県宝塚市=は地図を描いた。大阪駅から南に延びる御堂筋と四つ橋筋を東西の辺とし、底辺に当たる国道2号で囲うと、いびつながらも五角形の「ダイヤモンド地区」が浮かび上がる。ペンが止まったのは、その南東端に交わる梅田新道交差点の内側に、路地を1本描き足した後だった。

 「この路地です。母が店を始めたのは」

 現在は大阪駅前ビルが建ち並ぶ一角を指し、程さんは言った。母碧霞(かすみ)さん(故人)が起こし、後にNHK「きょうの料理」で脚光を浴びる程さんが継いだ中華料理店「龍潭(リュータン)」は、70年前にこの路地で産声を上げた。大阪大空襲の傷痕を残す店の裏手には、焼け野原が広がっていた。

 市民生活の窮乏は続いていた。開戦前は主要食糧の約2割を依存した占領地からの輸入が途絶え、約660万人を数えた在外邦人の引き揚げも始まった。9月に列島を襲った枕崎台風が、崖っ縁の食糧自給に追い打ちをかけた。1・5キロ当たり50銭程度の公定価格で配給された米は遅配し、政府の経済統制は機能を失った。

 ここにヤミ市は誕生した。持ち寄った食料を自由価格で売買する市で、米は公定価格の数十倍で売られた。大阪市戦災復興誌(58年)によると、大阪駅前のヤミ市は45年9月ごろにでき始める。「パンやさつまいもを売る人の群(むれ)」はその翌月、「二、三百名程度の集団」に膨らんだ。

 巨大なたるに穴を開けた店では密造酒が売られ、防空壕(ごう)や駅頭では戦災で自宅を失った人々が夜露をしのいだ。大阪駅に降りた復員兵は感慨にふける暇もなく、むき出しの欲がぶつかりあう人の群れにのみ込まれた。

 そんな人いきれでむせぶようなヤミ市に、龍潭はできた。バラック建ての2階を住居にし、1階に4人がけのテーブルを何組か並べた。比較的、材料が入手しやすかったぜんざいを手始めに、焼きそばや八宝菜を提供した。

 店を仕切ったのは、敗戦で建設技師の仕事が途絶えた父根本豊秀さん(故人)でなく、台湾出身の母だった。日本の統治領だった台湾や朝鮮の人々は終戦を境に「戦勝国人」とされ、独自の社会を形成した。母は親族のつてで借りた土地に店を構え、同郷の料理人とは台湾語で話した。所在なげな父に対し、小柄な母は強かった。

 そんな環境で、当時7歳の程さんはたくましく育つ。学校から戻れば皿洗いに汗を流す一方、売り物のたばこをくすねてはよそで売りさばくしたたかさも見せた。ヤミ市は窃盗や不法占拠が横行し、民族間の対立もあった。ただ、空襲におびえた戦中を思えば、全てがまぶしかった。

 程さんは「戦争が終わり、誰もが『頑張れば必ず自分のためになる』との気概にあふれていた。私の戦後は、まさにヤミ市から始まったのです」と語る。

 「夜が明けるたび、バラックは増えていきました」。窓からJR大阪環状線が見える病室で、大阪市福島区の太田春子さん(91)は述懐する。終戦当時は21歳。現在の阪神百貨店南側にあった表札や印鑑を売る店で働いていたが、45年3月の空襲で焼け、新婚の夫光吉さん(92)と再興した頃だ。終戦間際まで海軍で小型特攻艇の訓練を受けていた光吉さんに商売の経験はなく、肥大化するヤミ市の中で春子さんは心細さが募るばかりだった。

 売れる物はなんでも売った。キセルは長くふかすと先端が熱で溶ける粗悪品だったが、苦情はなかった。光吉さんは名古屋であめを仕入れてきた。10個売れば1個分のもうけが出る値をつけたが、店頭に並べた瞬間、あちこちから手が伸び、口に放り込んで逃げられ、大損した。だますもだまされるも自己責任。そうでないと生きていけなかった。

 時を同じくして、大阪へ米兵が進駐する。新修大阪市史第8巻(92年)によると、占領軍は45年9月に和歌山へ上陸し、大阪府下に約2万8000人を駐留させた。

 夫婦の店にも米兵は来た。シャーマンと名乗る白人の将校は、日本人の女性を連れていた。印鑑の材料である3センチほどの水晶を見るなりポケットに入れ、店を出た。「お代をください」。涙をためて春子さんが訴えても、将校は振り返りもせず、女性の肩を抱き雑踏に消えていった。

 春子さんの心には今も悔しさが残る。「戦争に負けるとは、こういうことなのかと思い知らされました」。そんな人々の悲喜を交錯させて、焼け跡に生まれたヤミ市は膨張していった。=つづく

特集ワイド:闇からの胎動 大阪駅前ヤミ市史/中 音楽にコーヒー「なんでもそろう」 持つ/持たぬ、格差の鏡 - 毎日新聞(2015年09月01日 大阪夕刊)
 ◇喫茶店店主・劉盛森さん「生活自体が戦い」

 大阪駅前(大阪市北区)のヤミ市は、食料配給の遅れもあって膨張した。自由価格での売買は物価高騰を招き、1946年8月、大阪府はヤミ市つぶしにかかった。対象は府内92カ所の約1万軒に及んだが、ヤミは消えなかった。自由価格で売買する小売店も現れ、大阪駅前にはすぐに喧騒(けんそう)が戻った。

 にぎわうヤミ市の周辺には、戦中に抑制された娯楽が戻りつつあった。舞台劇や映画に加え、大阪駅前では蓄音機でクラシック音楽を流す喫茶店が耳目を集めた。四つ橋筋と国道2号が交わる桜橋交差点の近くに、47年にオープンした「マヅラ」。大阪駅前第1ビルで現在も営業を続ける劉盛森さん(94)=兵庫県芦屋市=が、当時好んでかけたのはウインナワルツだった。

 「駅から復員兵がはき出されるたび、『ジャンジャーン』とやった。しゅんとして下を向いているのに、『戦争に負けたからってくよくよするな』と言いたかったんだよ」

 劉さんと音楽には奇縁があった。台湾の商業高等学校を卒業後、戦中の43年に単身で来阪。勤めた貿易会社が倒産し、終戦間際まで大阪市内の軍需工場で鉄条網を切断する大型のハサミの鋳造に汗を流した。雑穀を炊いただけの食事では、20代の胃を満たせるはずもない。元気のないその頃、大阪からの疎開を決めた友人に言われた。「ほかすぐらいなら、やるわ」。もらったのは蓄音機と数枚のレコード。むさぼるように聴いた名曲の数々は、唯一の慰めだった。

 だがある日、桜橋の下宿でベートーベンの交響曲第9番を聴いていた時だ。警官が土足で踏み込んできて蓄音機を指し、怒声を発した。「貴様、何を聴いているか」。劉さんは頬を拳で殴られ、警察署に連行された。「敵性音楽」とされたためだが、ベートーベンは当時、日本が軍事同盟を結んでいたドイツの音楽家。釈放されたが、怒りは収まらなかった。「学のないやつめ」。下宿に帰る道中、口の中がきりきり痛んだ。戦争が憎かった。

 それから数年後、その音楽で人々を励ますことになるとは、思いもよらなかった。15坪の土地に23席で始めた喫茶店で、劉さんはウインナワルツを大音量で流した。家路に就く復員兵の背筋がぴんと伸び、帰る家を失った子どもらが振り向いた。店ではまず、人工甘味料を溶いた中に小豆をほんの少し入れたぜんざいを1杯20円で売った。コーヒーはまだ貴重品だった。

 間もなく占領軍の横流し品を売る業者からドリップ済みの粉を買い取り、薄いコーヒーを出した。やがて缶詰の豆が流通し、甘酸の利いた独自のブレンドが評判になった。1杯で粘って名曲に浸る客もいたが、劉さんは追い出さなかった。「ファイトの時代だった。戦争が終わっても生活のため、みな戦っていた。そんな人たちにゆっくりしてほしかったんだ」。音楽はヤミに生きる人々の、一服の清涼剤だった。

 その頃、大阪府の大号令で閉鎖されたヤミ市だったが、ヤミ値による売買は続き、ヤミ市閉鎖は物価抑制の処方箋になり得なかった。終戦時に1・5キロ当たり50銭程度の公定価格だった米のヤミ値は、時に100円を超え、市民は衣類を一枚一枚はぐようにして売り、その金で食料を買う「タケノコ生活」を強いられた。加えて大阪では、住宅難が深刻さを増していた。

 新修大阪市史第8巻(92年)によると、市内には開戦前の41年11月に約64万戸の住宅があったが、空襲で焼き払われ、終戦翌年の46年5月にはその半数を割った。防空壕(ごう)などに暮らす「壕舎生活者」は、全被災者の7・5%に当たる約2万6000人に及んだ。大阪駅構内で夜露をしのぐ人たちは数千人にも及び、駅周辺で見つかった遺体も46年8月までの1年間で742人を数えた。

 45年6月の大空襲で大阪市福島区の自宅を失った久保三也子さん(86)は、戦後の一時期、防空壕で生活した。勤労動員に明け暮れた末の敗戦に気力をそがれ、壕舎生活からいったんは徳島の親戚宅に身を寄せた。翌年、大阪に戻った時、大阪駅前で復員兵が、軍服を脱いで「買うとくれ」と叫ぶのを見ている。

 久保さんは47年、大阪市役所へ入庁した。相次ぐ摘発を受けてなお大阪駅前は人々がうごめき、小売店の裏口ではヤミ値による売買が続いていた。市役所の同僚とどぶろくを飲んだこともあったその駅前で、久保さんはある日、雨宿りしたことを記憶している。飛び込んだ防空壕の奥に、ぴたりと動かない塊があった。遺体だった。

 70年前に始まった戦後を、久保さんはこう振り返る。「戦中も遅配はあったが、戦後は配給されない欠配が起きた。ヤミ市が『なんでもそろう』とされた一方、劣悪な環境で餓死する人もいたのです」。持つ人と持たざる人が入り交じったヤミ市は、残酷な格差を映し出す鏡でもあった。【平川哲也】=つづく

特集ワイド:闇からの胎動 大阪駅前ヤミ市史/下 朝鮮戦争特需へて経済活況 雑踏からビル群へ転生 - 毎日新聞(2015年09月02日 大阪夕刊)
 ◇研究者・村上しほりさん「復興の陰に役割」

 大阪駅前(大阪市北区)のヤミ市は、政府が価格を統制した生活必需品の遅配を尻目に、自由価格であらゆる物が売られた。物価高騰を重く見た当局は摘発を繰り返したが、露天営業が制限されれば小売店の裏口で売買する手だれが現れるなど、ヤミにうごめく人々はその都度、息を吹き返した。

 料理研究家の程一彦さん(77)=兵庫県宝塚市=を育てた母碧霞(かすみ)さん(故人)が、駅前ダイヤモンド地区の一角に起こした中華料理店「龍潭(リュータン)」は繁盛した。「忙しいのに、何しとったんや」。学校から帰るたび母にせかされ、程さんは店を手伝った。ぜんざいに始まった店のメニューは新たな食材が流通するたび追加され、程さんが洗う皿は日ごとに増えていった。開店から3年後の1948年ごろには手狭となり、現在の阪神百貨店南側の御堂筋沿いに移転した。

 悪性インフレはこの年、小休止の様相を見せていた。終戦直後には1・5キロ当たり50銭程度だった米の公定価格は、100倍を超えていたが、豊作に加えて大阪へは輸入船が相次いで到着し、配給の大半は予定通り、十分に配られた。市場にだぶついたことで米の需要は落ち込み、公定価格とヤミ値の開きは小さくなっていた。

 50年に朝鮮戦争が起きると、戦争特需で復興は加速した。この頃、程さんは1人の男性に出会っている。移転した龍潭が軒を並べた店の片隅を借り、その男性は商売を始めた。畳1枚分に満たない店で、男性が商ったのは化粧品の量り売りだった。「不思議なものを売ると思いましたけど、世の中を敏感に感じ取っていたのでしょうね」

 化粧品が売れたのは、空腹を満たすことに精魂を傾けてきた女性が一つ上の豊かさを求めた証左だった。男性はのち、同所でバーを始め、それを足がかりに外食チェーンを展開し、経済人へと上り詰めていった。

 龍潭も飛躍の時を迎えていた。大阪駅前では戦後初の本格的なビルとして53年に完成した「新阪神ビル」に出店、高級志向へとかじを切った。「もはや戦後ではない」。56年に経済白書がそう結ぶに至って、程さんが「戦後の出発点」と語るヤミ市は忘れられた。段階的な価格統制の廃止もあって、ダイヤモンド地区は繊維街へと姿を変え、60年代に始まる市街地改造事業でビルが建ち並んだ。

 大学を卒業後、貿易会社勤務を経て24歳で龍潭の包丁を握った程さんは「寂しい」と言う。「民族対立や刃傷ざたが絶えなかったヤミ市を、思い出したくもない人はいるでしょう。けれど日本経済の胎動期に、ヤミ市が私たちを育ててくれたのも事実です。なのにヤミ市の記録はあまりにも少ない」

 程さんが言う通り、正史にはヤミ市の記録が少ない。戦後の混乱期を示す例に挙げられても、人々の熱気と肉声を伝える記述はごくわずかだ。

 「残念ですが、必然でしょう。取り締まる側、行政の視点で書かれた歴史ですから」。人と防災未来センター(神戸市中央区)の震災資料専門員、村上しほりさん(28)はそう話す。母校の神戸大学でヤミ市の研究を続けており、神戸の繁華街の成り立ちをヤミ市からひもといた論文が、一昨年末に出版された「盛り場はヤミ市から生まれた」(青弓社)に収録された。

 95年の阪神大震災で街並みが一変した神戸市は、官民の別なく、被災前の地域を記録する取り組みが盛んだ。村上さんはさらに、三宮がにぎわっていく過程に注目した。それまでは、新開地に代わって三宮が神戸の代表的な繁華街になるのは、近くに市役所が移転した57年ごろとされていた。

 終戦間際からの新聞を読み込み、年配の関係者を訪ねた。意外にも新聞は、早くから三宮の出来事に紙面を割いていた。商店主らは戦後すぐ、駅前に現れたバラック群を記憶していた。テキ屋組織や在留外国人が始めたヤミ市だった。「神戸の商業空間構造の形成に向け、初速を与えた存在だった」。村上さんは、論文でこう評した。

 「ヤミという言葉は誤解されやすい」と言う。「統制経済の対語ととらえれば、正史と異なり、庶民が必要としたヤミ市が見えてくる」とも。ヤミ市に絡んでは全国100都市に対象を広げ、戦後に街が形成されていく過程をたどる研究を進めている。「その街にヤミ市がどんな役割を果たし、影響を及ぼしたのか。現在の地域社会を顧みることにもつながるのではないか」と考えている。

 いま、大阪駅前。戦後70年を経て、なお変容し続けるダイヤモンド地区にヤミ市の面影はなく、往事を知る人も数えるほどになった。程さんは「幸せでしたね」と語る。「マイナスから始まった戦後のスタートを、あのヤミ市で切れたのですから」。林立するビル群の中でも、目をつぶればよみがえる。人いきれにむせぶ路地、いびつに並ぶバラックの群れ。そして、躍動する人々の姿が。【平川哲也】

| コメント (0) | トラックバック (0)

2015/09/02

フジ住宅と今井光郎氏の研究会

(2015年9月2日15時03分若干の追記とリンク抜けを修正)
さらに追記(2015年9月14日20時42分)神谷宗幣氏の樋渡氏との記事を追加。
さらに追記(2015年9月25日20時03分)ラジオNIKKEIと読売新聞大阪の記事を追加。
さらに追記(2015年11月20日10時46分)産経WESTの記事を追加。
さらに追記(2016年2月24日13時58分)市民アンケートにフジ住宅が大量動員していた→滅びの道は私たちが作っている: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
*****

下記に触発されて少し調べてみた結果をメモしておく。

フジ住宅がヘイトスピーチ文書を大量配布し提訴された件、いろいろ恐ろしい模様 - NAVER まとめ

差別や教科書採択運動で訴訟されたフジ住宅について | 興味乱舞に引きこもれず

企業活動の一環として右翼運動を行っている企業といえばおかきの播磨屋が有名だ。
参考:日本一おかき処 播磨屋本店

アパグループの方が有名かもしれない。
真の近現代史観 懸賞論文

悪質さで言うと、播磨屋さんよりも圧倒的にアパグループの方がひどいと思う。
フジ住宅は、このアパグループと基本的に同じベクトルを持っているように見える。

ともあれ、下記に調べたことを簡単にメモしておく。
調べたことは、フジ住宅会長が作った団体が助成金を出した先がどんなところかということと、転職サイトにあるフジ住宅の口コミだけである。

なお、資料は、フジ住宅が(正確には「一般社団法人今井光郎文化道徳歴史教育研究会」が)公表している下記の文書である。

一般社団法人今井光郎文化道徳歴史教育研究会、助成先決定について

1.今井光郎氏の「研究会」について

一般社団法人「今井光郎文化道徳歴史教育研究会」(名前が長い……汗)
「日本人として正しい文化・道徳・歴史・教育を広く後世へと伝えていく」のだそう。

「株式会社フジ住宅従業員共済会」が株式を寄付して2014年11月に設立。

設立が比較的新しいので、未だ病が昂進中ということかな。

なお、この「従業員共済会」、今井光郎氏が代表取締役。
「従業員の自発的総意で研究会に寄付」という形を取っているように見える。…見える…。
この「研究会」に寄付した株式は2,561,000株で、2015年7月23日にはその配当金が5700万円だったとか。
で、そこから2000万円あまりを下記へ助成したとのこと。
下記の田並劇場保存会のブログに出てくるが、使い道を申請して、それを審査して助成するという手順を取っているようだ。

2.「研究会」が助成した先について

●呉善花氏:著書の英訳版3千部をアメリカの政治家、研究科、図書館に送付

●テキサス親父日本事務局:国連本部調査団、UNESCO対策団

要するに国連に押しかけたときの旅費とかじゃないかな。

この二つについては冒頭に掲げた二つの記事を参照されたい。一言で言うとトホホ…な思いを禁じ得ない。

●(株)グランドストラテジー:日本史解説動画、古事記の紙芝居作成

吹田市議の神谷宗幣氏の会社。
神谷宗幣氏は「龍馬プロジェクト全国会」会長。
参考:CGS公式グッズの販売 神谷宗幣グッズやDVDを販売
古事記の紙芝居などが「グッズ」として売られている。
「龍馬プロジェクト」についても冒頭の記事を参照されたい。まあ何というか…汗。

************
追記(2015年9月14日20時42分)
神谷氏は樋渡啓祐氏と仲良しのようである。
樋渡氏とは、元佐賀県武雄市長であり、今はCCC子会社の社長であり、武雄市が市民病院を売却した相手である一般社団法人巨樹の会の理事である。

神谷 宗幣さんはTwitterを使っています: "樋渡市長の左手が、、、 私をこそばしています(^^;; 沖縄から佐賀の武雄市に移動し、龍馬プロジェクト九州ブロックの行政視察。 テーマは、ICT教育、民間と連携した教育、市立図書館です。... http://t.co/Rc7VkF0Kqg"

樋渡市長の左手が、、、

私をこそばしています(^^;;

沖縄から佐賀の武雄市に移動し、龍馬プロジェクト九州ブロックの行政視察。

テーマは、ICT教育、民間と連携した教育、市立図書館です。... http://fb.me/6RJqCwJEu

高木一郎 ‏@takagiichiro 10月21日
@jinkamiya くすぐられてどんな気分でしたか。
神谷 宗幣 ‏@jinkamiya 10月22日
@takagiichiro いつも市長にはやられますf^_^;
高木一郎 ‏@takagiichiro 10月22日
@jinkamiya 仲良しですね。今度やり返してみてください。
神谷 宗幣 ‏@jinkamiya 10月22日
@takagiichiro 樋渡市長はくすぐりに強いんですf^_^;

参考:【閲覧注意】武雄市樋渡市長のマウンティング - Togetterまとめ

佐賀 武雄市の挑戦 反省しない | 政治家 神谷宗幣(かみやソウヘイ)の公式サイト政治家 神谷宗幣(かみやソウヘイ)の公式サイト

今日は那覇から福岡経由で佐賀の武雄市にきました!
……中略……
市長からもプレゼンをお願いしました。
……中略……
3期を迎えた樋渡市長はますますパワーアップされ、笑にも磨きをかけられてました。
8月に出された本も買ったのでまた帰りの新幹線で読みます。
************

●大樹会(和歌山市):皇居勤労奉仕活動

大樹会の内容は検索でははっきりしない。「大樹」という名は医療・福祉法人に多数ある。また「大樹会」・「大樹」という団体には、特定郵便局長らの政治団体「全国郵便局長会」もあり、その団体は以前国民新党に献金していた。官報に記録がある。
他方、和歌山にある「大樹会青年部」という組織がたびたびNPO法人「震災から命を守る会」に協力しているようだ。このNPOは「危機管理セミナー」を2014年5月に開き、ヒゲで有名な佐藤正久参議院議員を招いたとのこと。この「大樹会青年部」が今回の助成と関係がありそうだが、よく分からなかった。
参考:もし、和歌山に地震や災害が起こったら?   守ろう、わかやま!!:「危機管理セミナー」のご報告

なお上述した神谷宗幣氏のお知り合いである樋渡啓祐氏が武雄市民病院を売った先は「巨樹の会」という名前である。

●田並劇場保存会:田並劇場再生プロジェクト

直接関係なかったが、人づてに関係が付いてしまったらしい。
参考:プロジェクトのブログ2015年7月16日の記事「田並を故郷に持つ方々がつないでくれた縁で、この助成を知り応募しました。」とのこと。

●株式会社ママピット:「赤ちゃん先生クラス」受託事業

「赤ちゃん先生クラス」で検索すると、「ママの働き方応援隊」というNPO法人がヒットする。(サイト

「赤ちゃん先生」とは、「赤ちゃんとママが教育機関や高齢者施設、企業、団体に訪問し、学び・癒し・感動を共有し、人として一番大切なことを感じてもらう人間教育プログラム」とのこと。

このサイトでは、「人として一番大切なこと」とか「赤ちゃんには、人が元々持っている善なるこころを引き出すチカラがあります」とか「いのちの偉大さ」とか「赤ちゃんによる癒しと子育て文化継承」という言葉が踊っている。そして、「赤ちゃん先生」は商標登録されており、かつ、「赤ちゃん先生」の「ママ講師」や「インストラクター」になるにはこのNPOの講座を受講して認定されねばならないとのこと。また、別事業の「ママ脳大学」では「ママ脳を使って夢を叶えよう」というタイトルが見える。保守系スピリチュアル育児ビジネスの流れをくんでいるようだ。
役員には、恵夕喜子、上野至大、宝田ひか里、入江優子という人たちが挙がっている。

恵夕喜子氏には次のページがある。
未来の名刺 5年先のあなたの名刺 - 世界をちょっとよくする夢を名乗る
ここに書かれたプロフィールが下記。
「「赤ちゃん先生プロジェクト」を主催
赤ちゃんのエンパシーを使い、日本の無縁社会を解消することで高齢者には生きる希望を!
子どもたちにはいじめのない教育環境を!
子連れで働く仕組みを次々と生み出し、「育児中がメリットになる働き方を創る」をミッションに、ママの働き方に革命を起こします。」

「エンパシー」というある種のキーワードが出ている。あと乳児を「使う」という表現が少し気になるなあ。
ちなみに、この「未来の名刺」サイトは、「ワタミグループ創業者渡邉美樹・みんなの夢をかなえる会主催」が主催しているとのこと。

●吹田夢☆志団:夢☆親子座学「日本を知って未来を考えよう」

吹田夢☆志団(こころざしだん)は、2010年頃にできた高校生ぐらいまでの子供のダンス・演劇サークルのようだ。
参考:吹田夢★志団 | ラコルタ"Raccolta"(吹田市立市民公益活動センター)

この団体の代表者は瀬川昇という人だが、この人が青年会議所の関係でか、神谷宗幣氏と知り合いのようだ。
参考:2010年度公益社団法人吹田青年会議所新規事業報告書
ここに吹田青年会議所の2010年度の「夢☆志委員会」委員として二人の名前が挙がっている。
その関係があるためだろうか、神谷宗幣氏の公式ブログで、吹田夢☆志団の公演案内が取り上げられている。
参考:吹田夢★志団・龍平カンパニー 音楽劇「君よ生きて」 | 政治家 神谷宗幣(かみやソウヘイ)の公式サイト政治家 神谷宗幣(かみやソウヘイ)の公式サイト

「日本を知る」というのが、事実をつまみ食いした一面的な紹介と偏狭な愛国心とに彩られていないことを祈る。

3.フジ住宅の社風について

フジ住宅の評判/評価/社風のクチコミ【転職会議】
なお、このサイトで口コミ全文を見るには登録に加えて自分の勤務先の口コミを書き込まなければならない。二段階で個人の情報提供を求められるので要注意。

こちらを見ると、

地域差別発言
とにかく社風が異質。皆が一様に気を使い合い、表面上にこにこしている様は客観的に見ると異様に違いない。会社や上司、同僚に対するちょっとした愚痴・批判もうっかり口にできない雰囲気が社内に蔓延している。少しでもそれっぽい発言や行動を上司に見つけられると、個室に呼ばれ1対1で徹底的に指導(洗脳)される。(中略)会長からは毎日のように「右寄り」の記事が載った雑誌などのコピーが配布される。それに関して個人的には特に何とも思わなかったが、そこでよく批判している北朝鮮の体質にこの会社も似ているのは何とも皮肉(会長礼賛および全体主義気質)。
まず会長はすごい話から始まり、前職の悪口を話した後の、フジ住宅に転職してよかった話、さらにはお客さんの苦労話を聞きだし、人間関係をつくるみたいなトークをさせられます。営業中はその会話を全て録音しておいて、後で上司にチェックされます。
また人間関係もうわべだけで愛想のいいフリをしている従業員がほとんど。本音を言うと後々360度評価システムで悪口を書かれ自分の評価が下がってしまうので、誰も本音を話さない。
また毎日のように戦争や俗にいう右翼系の記事(新聞の切り抜きやネットの記事)が山積みのように渡される。読んでる者は評価されるので、みんな読んだフリして捨てていました。
その他、感想文を書かされたり、いろいろ面相くさいことが山積みです。
普通の不動産営業会社と思っていたら痛い目にあいます。はっきり言って宗教団体です。
逆に上司にゴマをすると社員になれます。
会社として、明確な昇格、降格制度はなく、タダ単に気に入られるか?気に入られないか?だけ。
「聞けばいいだけ言えばいいだけの精神があるのでストレスなく業務が出来、なんでも意見具申できる」と聞いていましたが、そのため「愚痴も上司に言え」という方針で同僚が社外で会うことが禁止されていました。(実際社員同士が休日に外で会っていたのを他の方が上司に伝え、始末書を書かされていました)そのため友達はできません。360度評価制度で悪いところも書かれるため、みんなその対策からか自分のことをあまり話さないようになり業務や政治の話ばかりでした。正直信頼できる人がいませんでした。
愛車(ママ)精神が高く、創業者の考えに共感出来る人材が求められております。その実は愛車精神が高い振りが出来、創業者に共感出来る様に振る舞える人材とも言えます。(中略)
評価制度は360度評価といい上司や同僚、パートさんまでをも評価出来る制度です。本当に人間性の良い方にとっては良い制度ですが、印象が悪く取られてしまいがちな方にとっては色んな方からこっそり悪い評価をされるので残念な制度です。会社のグチを誰かにこぼそうものなら、その方からこっそり告げ口される事になります。年に二回評価の時期がありますので、その評価時期前には社員の態度が急に良くなるのが面白いです。
まず、経営理念を徹底的に理解するように上司から指導されます。そして、毎月一回経営理念に関する作文を書かされます。この作文は、いかに会長を褒め称えるか、そして、会社、会長や上司に対しての感謝の言葉を、退社するまで、ひたすら書き続けることになります。残業は、毎日夜遅くまでありますが、残業代を請求すれば最後、退社することになります。
などなど、興味深い記述が出てくる。戦前の日本社会を彷彿とさせるが、この今井光郎氏が設立発起人をしている「日本教育再生機構」が目指しているのは、確かにこういう社会なのだから、非常に腑に落ちる話ではある。

また、

会社・上司は社員教育に大変力を入れてくれており、社内回覧文書は仕事上役立つものもありますが、人間力を高めるもの等もあったり、会社の費用で書籍を配布してくれたりもします。
という記述もある。口コミという形式ながら、会社が文書や書籍を配付しているという訴状に挙げられた事実を傍証していると言えよう。

*****
追記(2015年9月25日20時03分)

フジ住宅の社風について興味深い記述を見つけたので記録しておく。

ラジオNIKKEI 朝イチマーケットスクエア アサザイ「11月13日放送「今日の1社」フジ住宅(8860)の取材後記です!」(2013/11/13(水))(魚拓

ラジオNIKKEIの井上哲男氏がフジ住宅取締役の石本賢一氏にインタビューしたときの取材後記とのこと。

井上氏は、フジ住宅が顧客から広く支持される理由として定性的な企業の魅力を挙げている。その例として井上氏は次の二つを挙げる。曰く、

1.「ホームページ全てが血の通った人間の言葉で出来ていること」
2.「会長から新入社員まで同じ経営理念で結ばれていること」

である。少し引用する。

一見、何も奇をてらっていない普通のホームページではあるが、右下の「創業者 今井光郎の哲学」と「株主・投資家情報」を見ていくにつれて、このホームページが只者ではないことに気がつくと思う。お勧めの読み方としては、まずは「創業者 今井光郎の哲学」をクリックして最下段にある「家族からはじまる物語」を読み、それから、「フジ住宅が出来た理由」、「創業者 今井光郎の哲学」の細目を見たのちに、「株主・投資家情報」で社長のコメントに入っていくパスである。ここまで来ると、このホームページ全てが血の通った人間の言葉で出来ていることが分かる。そして、会長から新入社員まで同じ経営理念で結ばれていることも、である。
これだけ言葉を尽くしても、私は同社の定性面での素晴らしさを十分の一も伝えられていないと思う。……中略……最後に一つ加えるとしたら、お話頂いた石本取締役が、会長、社長、社員の話をしだしたら止まらなくなってしまったということである。まるで子煩悩な親が子供の話を続けるようにである。経営理念を会長から新入社員まで同じ熱さで感じている企業は間違いなく強い。
このように井上哲男氏は、フジ住宅では取締役が社員を我が子のように愛しており、会長から平社員までが同じ経営理念の元に結ばれていることが同社の魅力を生んでいるとしている。
これを上に拾い上げた口コミと対比させると、いかにも戦前戦中に称揚された麗しき家制度の美徳とその裏にある面従腹背のリアルとが透けて見えてくる。
そして、この家族的な愛情に彩られた麗しい欺瞞に感動し、それを礼賛し、競争市場が優位性を実証する合理性として受け止めてしまう評論家の存在もまた、日本軍の強さを信じ、礼賛した往時の記者や知識人の姿を彷彿とさせてくれる。

ついでに、読売新聞+竹田恒泰氏というタッグがフジ住宅社長の宮脇宣綱氏にインタビューした記事のリンクを置いておく。

FUJI フジ住宅株式会社:読売新聞大阪本社魚拓

いくつか印象深い文言を抜粋する。

その企業姿勢は、社員を家族のように大切にし、「お客様の幸せ」をひたむきに追求する経営理念に貫かれています。社員から父・兄のように慕われる宮脇宣綱社長が、作家の竹田恒泰さんと対談。目先の利益より「世のため人のため」に尽くす意義と、そこから生まれるプラス効果を語り合い、フジ住宅の“強さ”の源を探りました。
 経営陣は社員に生き生きと働いてもらおうと知恵を絞り、社員はお客様に喜んでもらおうと努力する――それが良い循環を生んでいます。
「だれかのため」が良い連鎖を生む例が「親孝行月間」です。年に1度、全社員約1100人に1万円を支給し、親孝行を呼びかけます。一見、仕事と無関係ですが、人を喜ばせる力がつき、自己肯定感が高まります。実施後は「お客様に喜んでもらいたい」「仕事への意欲が高まった」など、前向きな感想が寄せられます。
……中略……
(※)親孝行月間
毎年4月1日にパート・派遣を含む全社員約1100人に1人1万円を支給。平成16年から導入し、必ず親のために使う(用途は自由)ことと、どのように使ったかを感想文として提出することを課している。
フジ住宅は、社員が明るく、率先して仕事に取り組んでいて、社員を家族のように大切にする社風が伝わってきます。
ここにもまた儒教的家族主義の麗しさへの陶酔と、その背後にある建前の強制とが見られる。
*****
追記(2015年11月20日10時46分)

産経は見ないことにしているのだけれど、本項の目的は気持ち悪い記事を記録することにもあるので、やむを得ず記録しておく。2013年の記事。

【わが社のオキテ】「親孝行月間」に1000万円を支給 フジ住宅が社員に求めるものは… - 産経WEST(2013.1.27 07:00更新 )

 大阪府を中心に分譲住宅事業などを手がけるフジ住宅は、毎年4月を「親孝行月間」と定めている。全社員に“金一封”が手渡され、親孝行のためならどう使おうと自由。そこには「一社会人である前に、一人の人間として立派であれ」という社員へのエールが込められている。ともすれば、人を押しのけてでも“結果”で勝負するのがビジネスの世界。もちろん、それを一概に否定するわけにはいかないが、人として最も大切なものは何か、とこの制度は社員に問いかけている。


■4月1日、全社員に1万円の「寸志」を支給

 「自分の家族を大切にできないような社員が、取引先を大切にできるはずがない。感謝の気持ちを常に持ってほしい」

 「親孝行月間」導入のねらいについて、石本賢一取締役はこう説明する。

 親孝行月間は平成16年に導入した。毎年4月1日、宮脇宣綱社長が「寸志」と書かれた封筒を社員全員に渡す。その額1万円。正社員だけでなく、契約社員やパート社員も含めた全在職者が対象で、支出額は1千万円を超え、半端な金額ではない。

 それでも「それに見合うだけの効果は十分にある」と石本取締役は断言する。その理由は何だろう。

 社員は1万円をどのように使ったかを文書で報告することになっている。その内容を見ていて、社内外に対して思いやりのある、優しい社員の比率が高くなっていることを実感するからだという。


■「母を焼き肉を食べに連れて行った」とある社員

 設計管理課に所属するある社員は「母が少し前から行きたいと言っていた焼き肉を食べに行った。母が喜んでくれたことがとてもうれしかった」という文書を提出した。

 また、あるパート社員は「鹿児島の母の墓前に花を手向けた。母も喜んでくれていると思う」と記し、合わせて会社への感謝の気持ちをつづった。

 他愛もない内容かもしれないが、こうした“ちょっとした行為”に、家族への「感謝」の気持ちが十分に見てとれる。

 この親孝行月間を導入したのは創業者の今井光郎会長。貧しい家庭に生まれた今井会長は、家計を助けるために進学をあきらめた兄や姉のおかげで高校を卒業することができた。

 そうした自身の経験が、会社創業時に掲げた『社員のため』『社員の家族のため』という経営理念になり、現在の親孝行月間につながっている。

 一方、同社には親の誕生日など、社員それぞれの記念日に会社から花束を贈る制度もある。

 また、一風変わった「表彰推薦書制度」というものもある。『社員のため』という経営理念を具体化したので、全社員が推薦権を持ち、会社に対して特に貢献した社員(契約社員、パート社員を含む)の表彰を要望するというもの。


■家族への感謝の気持ちは、やがて社外に向かう

 推薦者は推薦したい社員や社内のグループなどについて、表彰推薦書に推薦理由を明記。その表彰推薦書は上司(部門長)に回され、上司の承認が得られれば、宮脇社長のもとに届けられる。そして、最終的に宮脇社長が表彰の有無を決定する。

 表彰式は年4回実施。それぞれの行為や貢献度に応じて賞金などが贈られる。表彰推薦書は全社員に回覧され、「ほかの社員に評価されることで、大きな自信とやりがいにつながる」(石本取締役)という。

 家族や社員に対する感謝の気持ちを育て、社員が「人」として成長する。その姿勢は自然と社外に向かうのが人というもの。同社発展のカゲには「感謝の経営」がある。

(香西広豊)

◇会社データ◇

本社=大阪府岸和田市土生町1-4-23

設立=昭和49年4月

事業内容=住宅分譲など

売上高=715億円(平成24年3月期)

従業員数=1026人(同9月末現在、パート含む)

「感謝の経営」…。こういう主語と目的語が欠けたコトバには要注意だ。きちんと表現すれば「経営者が従業員に感謝を強制する経営」という意味だろう。

フジ住宅の経営は儒教的な価値観に彩られているようだが、こうした観念を持つ経営者は少なくない。
一見麗しく平和的に見える儒教的な価値観だが、その中核をなす仁愛には強い排他性と差別性があるという批判をしたのが墨家なのだとどこかで読んだ覚えがある。

つまり、孝悌を基本とする儒教的な仁愛では、自分の親や祖先、目上の者への敬愛と従順を中心とし、そこから隔たるにつれて徐々に敬意の量を低めていく。これが差別性と排外性を生んでいるというのである。

孔子が説いた相手は本来支配者であって、支配者の身を慎むための哲学であったはずのものが被支配者の従順を引き出すための道具として使われることにそもそもの転倒があるのではないかという気がするのだが、目下の者を躾けることも儒学的には大切なことであろうから、結局は支配者の自己愛の肥大と増長とを促す作用を必然的に持っているのかもしれないなあと思ったりもする。

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年8月 | トップページ | 2015年10月 »