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2015/09/12

経済政策で懐柔→改憲というシナリオ

安倍首相:「改憲は参院選後」ネット番組で発言 - 毎日新聞(2015年09月12日 00時15分(最終更新 09月12日 01時40分))

◇「安保法案の成立後は経済で成果をあげていきたい」

 安倍晋三首相は11日、インターネット番組に出演し、憲法改正に取り組むのは来夏の参院選後との考えを示した。首相は「やはりタイミングというものが政治だ。平和安全法制(安全保障関連法案)の成立後は、もともと安倍政権に期待されている経済で成果をあげていきたい。自民党立党以来の悲願の憲法改正については粘り強く取り組んでいきたい」と述べた。

 番組は、首相に近いジャーナリストの桜井よしこ氏の質問に答える形で行われた。

 首相は「まだ国会で(改憲発議に必要な衆参)それぞれの3分の2を構成できる状況には全くない。改憲は地に足を着けて議論していく必要がある」と強調。「残念ながら国民的な理解や支持は広がっているとは言えない。まずは党で国民とともに議論を進めていきたい」とも話した。【細川貴代】

今回のポイントは、
1.安保法案の成立は確実だと安倍氏は考えている→強行採決が確実。
2.1年ほどは、経済優先でほとぼりを冷まし、支持率を上げる。
3.参院選で自民を圧勝させ、改憲へ動く。
というシナリオ。

安保法制の件はややハプニング的だったかもしれない(ただし集団的自衛権容認は数年前にはアメリカと議論していた)が、それ以外はまずます既定路線だと考えられる。戦前・戦中体制への回帰を目指す安倍自民党には妥協の余地はなく、経済政策はいわば釣りエサという位置づけ。
財界は、もともと戦前・戦中体制へは親和的だから抵抗感はなく、そこは迎合しながら、企業向け規制緩和と富裕層優遇を「成長戦略」として押し込めれば文句はない。安倍氏ももともと財界寄りだから両者の利害は矛盾しない。対中・対アジア路線では矛盾が出る可能性があるが、現在の所、中国も政冷経熱でかまわないようなので、対米従属路線でも財界もそれほど不満がない。というわけで、自民党総裁の任期、衆院の改選時期も考えると、当面安倍政権は安泰で、しかもポスト安倍でもこの極右路線を転換する気運がない。従って、対米従属下での軍事的膨張・タカ派路線(中韓敵視路線)、経済的には格差拡大・弱者切り捨て路線は少なくとも5年以上は続くと見てよいのではないか。

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ところで、上記記事の元になった「インターネット番組」とは、櫻井よしこ氏の右翼サイト「言論テレビ」だとのこと。

洪水災害の中、安倍首相が櫻井よしこ主宰の極右ネットテレビに生出演! 国民の生命より右翼仲間が大事なのか|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見(2015.09.11)

櫻井よしこ氏は「チャンネル桜」の水島氏と仲違いしたとか。右翼仲間もいろいろ複雑である。

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安保法案:官邸介入、参院が反発 地方公聴会が16日開催 - 毎日新聞(2015年09月11日 23時04分(最終更新 09月11日 23時20分))

コップの中の嵐みたいなもので、予定調和的なプロレスというか、「自民党も頑張って議論しました」みたいな世論向けの宣伝というか。

官邸・衆院自民の反対を押し切った鴻池氏は、アレさで言えば安倍首相に勝るとも劣らないトンデモ右翼なので、全く当てにならないというか、初めから安保法制を通すつもりなのは明らかだ。要するに、結論は初めから決まっていて、ハゲタカが死肉の奪い合いをしているにすぎない。

 参院平和安全法制特別委員会の地方公聴会が16日に開催されることになった。与党は安全保障関連法案を同日の特別委で採決する方針だったが、「円満採決」を重視する参院自民党が野党の要求をのんだ。その背景には、早期採決を迫る首相官邸や自民党衆院執行部への参院側の不満がある。党内で衆参の相互不信が強まり、参院本会議採決までの道筋はなお定まらない。

 地方公聴会開催を決断したのは、特別委を仕切る同党の鴻池祥肇委員長。吉田博美参院国対委員長は11日の記者会見で「急に決まった。公平公正に委員会運営をする鴻池氏の強い要望を検討した結果だ」と説明した。

 鴻池氏は10日、安保関連法案の採決日程を参院自民党執行部と協議した際、「円満な委員会運営のためにも地方公聴会を実施すべきだ」と主張。出席者によると、鴻池氏は、首相官邸サイドが16日の特別委採決を求めていることに「参院のことは参院で決めるべきだ」と不快感を隠さず、参院の審議日程への官邸の介入に強い不満を示したという。

 近年は存在感が低下しているとはいえ、参院自民党にはもともと「党内で一定の独立性がある」という自負がある。衆院側が憲法の「60日ルール」による安保関連法案の衆院再可決をちらつかせ、早期採決を迫る姿勢に、参院側の反発は日増しに強くなっていた。

 一方、突然の地方公聴会開催決定に、同党の衆院側も収まらない。11日午前に地方公聴会の日程が伝わると、ある党国対幹部は「ふざけている」と吐き捨てるように言った。

 政府・与党は、今国会の最重要課題である安保関連法案について、来週中の成立を目指す方針を何度も確認してきた。それだけに衆院側には、参院自民党が大詰めで独自の判断に傾いたことに、戸惑いと怒りが広がっている。

 参院自民党には「官邸がもう少し参院の意見を聞いていれば、重要局面での党内のドタバタは起きなかったはずだ」(幹部)と、鴻池氏の判断を支持する議員が少なくない。【高橋克哉】

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安倍氏の手法は数の力で押し切るというもので、その手法は一定有効に機能していると思う。国民のムードや期待もあるし、小選挙区制を契機とする中央集権的な傾向も執行部を握る現政権を後押ししている。ただ、今後は消費税引き上げもあるし、軍事偏重や中韓敵視の政策が厭戦ムードを高めるかもしれない。したがって、野党的なビジョンとの綱引きは今後も続くだろうが、経済政策面で安倍政権の手法への失望とそれに代わるビジョンが現れない限り、改憲への道筋はかなりはっきりしてきたと言わざるを得ないのではないか。


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