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2015年10月の46件の記事

2015/10/29

沖縄県民を二級市民扱いする日本政府

佐賀オスプレイ見送り報道 沖縄との差に知事あ然 | 沖縄タイムス+プラス http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=139183(2015年10月29日 08:31)

 【東京】菅義偉官房長官は28日、政府が米軍普天間飛行場所属の米輸送機MV22オスプレイを使用した米海兵隊の訓練拠点を佐賀空港に移転する計画を見送る方針との報道に「(配備には)地元の了解を得ることが当然だと思う」との考えを示した。政府が見送りの判断に、佐賀県知事らの反発を踏まえたとする報道を受けた質問に答えた。

 沖縄県の翁長雄志知事は前日の27日夜、記者会見で佐賀空港での訓練見送りについて「当然全部沖縄で(このまま)訓練することになるのだろう。(昨年の知事選前の)話くゎっちー(言葉のごちそう)」と批判。「沖縄の負担軽減のために訓練移転と言いながら、(本土で反対に遭うと)沖縄に戻ってくる」とし、政府の二重基準の対応にあきれかえった。

 「普天間」配備をめぐっては2012年9月、10万人規模の配備反対県民大会が開催されたが同10月に強行配備。翌年1月には全41市町村長らが安倍晋三首相に撤回を求める「建白書」を渡したが、一顧だにされなかった。

とても分かりやすい記事。記者会見もよい。

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大阪府・大阪市が差別排外主義・歴史修正主義を教育するらしい

慰安婦問題で補助教材作成 大阪府教委:朝日新聞デジタル(2015年10月28日16時30分)

 旧日本軍の慰安婦問題について、大阪府教育委員会は高校日本史教科書などの補助教材を作り、28日の府教委会議で報告した。全府立高校と高等部がある府立支援学校の計184校に配布し、授業などで慰安婦問題を扱う際に利用する。

 朝日新聞が昨年、「朝鮮人女性を強制連行した」とする吉田清治氏(故人)の証言を虚偽と判断して記事を取り消したことを受け、松井一郎知事が補助教材の作成を求めていた。

 A4判8ページ。日本政府の慰安婦問題に対する考えや「アジア女性基金」への協力を記し、今年8月の安倍晋三首相の「戦後70年談話」や1993年の河野洋平官房長官の「河野談話」などを紹介している。

朝日新聞の吉田証言関係記事の取り消し → 松井知事が教材の作成を求めた。
とのこと。

慰安婦“補助教材”作成 大阪府教育委員会が独自で|MBS 関西のニュース(10/28 12:00)

 大阪府教育委員会は、高校の日本史の授業で慰安婦について適切な指導をするためとして、独自の補助教材を作成し生徒に配布することを決めました。

 大阪の府立高校で28日にも配布が始まるのは「慰安婦に関する補助教材」で、A4判10ページの冊子に慰安婦問題に関するこれまでの経緯や日本政府の見解などが書かれています。

 去年、朝日新聞が「慰安婦の強制連行があった」とする記事の一部を取り消したことを受けて、大阪府の松井一郎知事が補助教材の作成を指示していました。

 28日の教育委員会で、授業で慰安婦問題を扱う際には教科書以外に必ず補助教材を使用することが決まり、今後どのように活用したか報告を求めるということです。

 文部科学省は「慰安婦問題に特化した教材の作成は聞いたことがない」と話しています。
(強調は引用者による)

教委が愛国カルトに支配されたらしい。えげつない思想統制を徹底するとのこと。

従軍慰安婦否定論って、他の分野で言えば、ホメオパシーや進化論否定、水からの伝言なみのトンデモ、それに差別排外主義が結合しているという醜悪きわまりない代物で、およそ他国で受け入れられない日本独特のカルト思想なのに……。

「大阪府教育委が独自に作成「慰安婦に関する補助教材」」 News i - TBSの動画ニュースサイト

 大阪府教育委員会は、高校の日本史の授業で使う従軍慰安婦についての独自の補助教材を作成し、生徒に配布することを決めました。大阪府教育委員会は、「適切な指導をするためだ」としていますが、教育現場からは反発する声も上がっています。

 大阪の府立高校に配布される「慰安婦に関する補助教材」。A4判10ページの冊子で、慰安婦問題に関するこれまでの経緯や日本政府の見解などが書かれています。

 去年、朝日新聞が「慰安婦の強制連行があった」とする、いわゆる「吉田証言」に基づいた記事の一部を取り消したのを受け、大阪府の松井知事が、府独自の補助教材の作成を指示していました。今後、授業で慰安婦問題を扱う際には、教科書以外に必ず、この補助教材を使うことになります。

 「朝日新聞が間違った記事を出して、その情報によって子どもたちが歴史認識を間違っているところ。正しい情報を子どもたちに届けていくのが我々の責任です」(大阪府 松井一郎知事)

 教材には、朝日新聞が記事の一部を取り消したことが記載されているほか、8月に発表された安倍総理の戦後70年談話が全文掲載されています。

 文部科学省は、慰安婦問題に特化した補助教材の作成は聞いたことがないと話していて、教育現場からは反発する声も上がっています。

 「政府見解がすべて正しいということではない。受け取り方はさまざま。それを強引に押しつけてくるということ自体、思いの押しつけという点であってはならないこと」(大阪教職員組合 末光章浩中央執行副委員長)

 大阪府では今後、補助教材をどのように活用したか、学校側に報告を求めるということです。(28日18:00)

「朝日新聞記事によって子どもたちの歴史認識が間違ってしまった」という松井知事。彼が「間違った歴史認識」とは何かすら説明できないだろうということがよく分かる発言。
彼が従軍慰安婦問題について何の興味も問題意識もなく、ましてや慰安婦らの被害回復や戦時性暴力の防止にも一切の顧慮がないこともよく分かる。
こうした人が、戦争と平和、人権に関わる教育題材を操作しようとしているわけで、その彼の目指す教育が公教育にふさわしくないのは明らかだ。

慰安婦の補助教材を配布=大阪府教委 - 教育・文化ニュース[東書Eネット](2015年10月28日)時事通信社配信らしい。

 大阪府教育委員会は28日、朝日新聞による慰安婦記事の取り消しなどを受け、「慰安婦」に関する補助教材を作成し、全府立高校に配布することを決めた。生徒らが客観的で公正な資料を基に歴史の理解を深めることができるよう、近年の慰安婦をめぐる動きを年表と参考資料などで紹介する。
 補助教材の内容は、▽慰安婦問題に関する近年の動き▽吉田清治氏に関する記事の掲載と取り消し▽慰安婦問題に対する日本政府の考え―の3部構成。また、国のホームページから引用した河野談話や安倍首相による戦後70年談話など、計五つの参考資料が加えられている。
 府議会では、朝日新聞による記事取り消しなどの報道以降、「根拠のない内容が教えられているのでは」との指摘があったという。今年2月、府教委は府立学校に対し、取り消された記事に依拠した指導がある場合には、その訂正を求める通知文を出した。この対応に続き、生徒らが多角的な考え方を育めるよう今回の補助教材を作成することとなった。
 府教委は、同日中にも府立高校へ補助教材を配布する。また慰安婦問題を授業や活動の中で取り上げる際には、必ず補助教材を使い全ての内容を扱うよう府立高校へ指導し、使用後には報告書の提出を求めていくという。
1.松井知事の指示だというだけでなく、その前に府議会で圧力発言がなされていた。→誰だ?
2.2月、府教委は府立学校に対し、朝日新聞記事に依拠した指導がある場合には、その訂正を求める通知文を出した。

私が教師なら、これらの措置を逆手にとって、戦時性暴力と人権について考えさせる授業……つまり、これらの通知や補助教材の偏向と危険性を見つけさせる授業……にしてしまうが、タイトなカリキュラムと授業準備に時間をかけられない状況で、しかも、空気を読むことを強く要請される学校現場において、それをできる先生がどれほどいるかを思うと心許ない。

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映像ニュースに「教材」の一部が映っていたので書き出す。

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追記(2015年10月30日)

大阪府が公開していたやん……文字おこしして損した(涙)

大阪府/平成27年10月委員会会議(教育委員会会議)

参考
2015年10月29日(木)「慰安婦問題をめぐる国際的な議論を知る」(探究モード) - 荻上チキ・Session-22

テーマ
 大阪府教育委員会が「慰安婦」に関する独自の補助教材を作成。
 自民党の対外情報発信でも焦点になっている慰安婦問題は
 いま、国際的にどのように議論されているのか?

■スタジオ出演
 歴史学者で中央大学教授の 吉見義明 さん
 国連の人権分野の活動などを研究している
 青山学院大学法学部教授 申惠丰(しん・へぼん)さん

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【目次】
I 慰安婦問題に関する近年の主な動き……………………………………(1)
II 吉田清治氏に関する記事の掲載とその取り消しについて……………(1)
III 慰安婦問題に対する日本政府の考え…………………………………(2)
 参考1 いわゆる従軍慰安婦問題について………………………………(3)
 参考2 慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話……(4)
 参考3 安倍首相の慰安婦問題への認識に関する答弁書………………(4)
 参考4 慰安婦問題についての安倍首相答弁……………………………(5)
 参考5 安倍内閣総理大臣談話(終戦70年)……………………………(6)

I 慰安婦問題に関する近年の主な動き
平成3(1991)年
  ・元慰安婦が日本政府に謝罪と補償を求めて東京地裁に提訴(12月)
  (平成16(2004)年11月最高裁判所棄却判決)
  ・日本政府が慰安婦問題に関する調査を開始(12月)
平成5(1993)年
  ・河野官房長官が政府としての調査結果(→P.3 参考1)を発表するとともに、「お詫びと反省」を表明(河野談話→P.4 参考2)(8月)
平成7(1995)年
  ・日本政府は、元慰安婦に対する償いの事業などを行うことを目的に「アジア女性基金」を設立(7月)(→P.2)
平成19(2007)年
  ・政府が、「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見あたらなかった」とする答弁書を閣議決定(3月)(→P.4 参考3)
  ・インドネシアの「償い事業」の終了に伴い、「アジア女性基金」解散(3月)(→P.2)
平成26(2014)年
  ・朝日新聞が吉田証言を虚偽と認め、昭和55(1980)年以降の吉田清治氏の証言に基づく記事計18本を取り消し(8月・12月)
  ・河野談話や教科書の慰安婦記述のに係る安倍首相答弁(10月)(→P.5 参考4)
平成27(2015)年
  ・安倍内閣総理大臣談話(終戦70年)発表(8月)(→P.6 参考5)
  ・内閣総理大臣談話を踏まえた慰安婦問題に対する日本政府の考えを公表(9月)(P.2)

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II 吉田清治氏に関する記事の掲載とその取り消しについて

昭和50年代半ばから平成の初めにかけて、吉田清治氏が韓国・済州島で戦時中、女性を慰安婦にするため暴力を使って無理やり連れ出したと著書や集会で行った証言(いわゆる吉田証言)が、新聞に記事として取り上げられた。
朝日新聞は、平成26年(2014)年8月5日付けの検証紙面において、「吉田氏が済州島で慰安婦を強制連行したとする証言は虚偽だと判断し、記事を取り消します。当時、虚偽の証言を見抜けませんでした。済州島を再取材しましたが、証言を裏付ける話は得られませんでした。研究者への取材でも証言の核心部分についての矛盾がいくつも明らかになりました。」とし、掲載した吉田氏関連の記事16本を取り消した。
その後、朝日新聞は、第三者委員会からの報告を受けて、平成26(2014)年12月23日付けの紙面において、「今回新たに取り消しや一部取り消しとする記事2本」と報じ、合計18本の記事を取り消した。

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「III 慰安婦問題に対する日本政府の考え」

ここにはどうやら外務省の「歴史問題Q&A」の問5が引用されているらしい。

歴史問題Q&A | 外務省

問5 慰安婦問題に対して、日本政府はどのように考えていますか。

日本政府としては、慰安婦問題が多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識しています。政府は、これまで官房長官談話や総理の手紙の発出等で、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げてきました。
この問題を含めて、先の大戦に係る賠償や財産、請求権の問題は法的に解決済みですが、政府としては、既に高齢になられた元慰安婦の方々の現実的な救済を図るため、元慰安婦の方々への医療・福祉支援事業や「償い金」の支給等を行うアジア女性基金の事業に対し、最大限の協力を行ってきました。
アジア女性基金は平成19年3月に解散しましたが、日本政府としては、今後ともアジア女性基金の事業に表れた日本国民及び政府の本問題に対する真摯な気持ちに理解が得られるよう引き続き努力するとともに、慰安婦問題に関する日本の考え方や取組に対し、国際社会から客観的な事実関係に基づく正当な評価を得られるよう引き続き努力していきます。
2015年8月14日の内閣総理大臣談話においては、戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりませんとした上で、20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を胸に刻み続け、21世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしていくとの決意が述べられています。

以下、参考1から参考5の戦後70年談話に至るまで、そのまま全文掲載らしいから、以上でほぼこの「補助教材」の中身は明らかだろう。

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気持ちは分かるが言いがかりでは…?

以前から問題視されている論点ではある。身内にも借りて済ませるという人がいるし。
だが、その効果を測定するのはたぶん非常に厄介。

・タダで借りられるなら読むが、買うぐらいなら読まない(買うほどの価値を感じない)・借りて読んだら欲しくなったので自分で買った
・気軽にいろいろ読むうちに関心が広がって別の本を買う

等の効果を測定するのが難しいことが一つの要因だ。これらの効果の見積もり次第で、この問題の評価が変わってしまう。
さらに、二次創作等の議論で言われるような、文化・興味の裾野を広げることで市場が広がるという効果もある。ここまで考慮すると、測定はますます困難になる。

こうした議論は、レンタルDVD等の問題でも同じように議論になった。古くは貸本屋について言われたことでもあるが、ビデオ・CDのレンタル店の勃興期に販売元がレンタル店にかみついたのだ。これは著作権無視の複製問題も絡んでいたから複雑だった。結局販売元がレンタル専用のビデオ製品を提供したり、レンタル店が新作の貸出価格を上げたりすることでレンタル業が容認された(というか事実上容認せざるを得なかった)のだが、ビデオレンタルが映画制作業や販売元の収益にどのような効果を与えたのか、映像音響文化に貢献したのか浸食したのかという元々の問題には決着が付いていないと思う。

本が売れぬのは図書館のせい? 新刊貸し出し「待った」:朝日新聞デジタル(2015年10月29日05時16分)

 公立図書館の貸し出しにより本が売れなくなっているとして、大手出版社や作家らが、発売から一定期間、新刊本の貸し出しをやめるよう求める動きがある。背景には、深刻化する出版不況に、図書館の増加、サービス拡充もある。本を売る者と貸す者、相反する利害のはざまで、出版文化のあり方が問われている。

 「増刷できたはずのものができなくなり、出版社が非常に苦労している」。10月半ば、東京都内で開かれた全国図書館大会の「出版と図書館」分科会。図書館関係者が多くを占める会場で、新潮社の佐藤隆信社長が、売れるべき本が売れない要因の一つは図書館の貸し出しにある、と口火を切った。

 佐藤社長は、ある人気作家の過去作品を例に、全国の図書館が発売から数カ月で貸し出した延べ冊数の数万部のうち、少しでも売れていれば増刷できていた計算になると説明。司会役の調布市立図書館(東京都)の小池信彦館長が「それは微妙な問題で……」と言葉を濁す場面もあった。

 新潮社を旗振り役に大手書店やエンターテインメント系作家らが、著者と版元の合意がある新刊について「貸し出しの1年猶予」を求める文書を、11月にも図書館側に送る予定だ。

■困惑する図書館協会

 背景には、2000年代以降、深刻化する出版不況がある。国内の書籍(雑誌を除く)の売り上げはピークの1996年から減る一方で、14年は7割弱に落ち込んだ。漫画などを持たない文芸系出版社はとりわけ苦境にある。

 大手出版社の文芸作品は一般的に、最初に刷った部数(初版)の9割が売れて採算ラインに乗り、増刷分が利益となるといわれる。数十万部に到達するベストセラーはまれで、大御所から中堅人気作家による初版2万~3万程度の作品で収益を確保できるかが死活問題だ。だが、近年はこれらの作品でなかなか増刷が出ないという。

 出版不況の一方、全国の公共図書館(ほぼ公立)は増加傾向にある。10年で400館以上増え、3246館に。貸出冊数も軌を一にする。

 今回の「貸し出し猶予」の要請の動きに、日本図書館協会は困惑する。山本宏義副理事長は「図書館の影響で出版社の売り上げがどのくらい減るかという実証的なデータがあるわけではない」と話す。

 貸し出し猶予をめぐっては、作家の樋口毅宏さんが11年に出した『雑司ケ谷R.I.P.』(新潮社)の巻末に、発売から半年間、「貸し出しを猶予していただくようお願い申し上げます」と記したケースもある。その際に応じた図書館もあったといい、今回準備が進む要請に対しても、図書館ごとの自主判断に任せることになるという。

■海外では国による補塡も

 問題は、今に始まった話ではない。

 00年代初めごろ、作家らから「図書館が無料貸本屋化している」という批判が表面化。02年には大手出版社による「出版社11社の会」が発足し、一つの図書館が人気作品を複数冊購入する「複本」を問題視してきた。03年には、図書館協会と日本書籍出版協会が、複本の商業的影響の実態調査をしたが、数字の評価をめぐって双方の議論が平行線をたどった経緯がある。

 「発端は70年代にさかのぼる」。そう分析するのは、慶応大の根本彰教授(図書館情報学)だ。根本教授によると、高度経済成長を背景に自治体が住民サービスを重視しはじめ、その中で図書館は「貸し出し」の機能を強く打ち出すようになったという。「出版は江戸時代以来、根付いてきた産業。そこに公共による資料の無料提供という全く異なる理念が乗っかった」

 海外はどうか。EU(欧州連合)では図書館で貸し出された分を国が著者に補塡(ほてん)する制度を導入する国も。英米でも、貸し出しの一部有料化や図書館用の本を仕立てて高価格化するなどの方策がとられているという。しかし日本では、公立図書館が入館料その他の「いかなる対価をも徴収してはならない」と規定する図書館法に抵触するか、そもそも議論が低調なままだ。

 根本教授は「貸し出し猶予の要請は、出版社側のエゴと批判が出そうだが、図書館にも問題はある。コンビニ的に貸し出しする図書館運営ではなく、高度な参照サービスや地域・行政資料を蓄える機能を重視し、商業出版とのすみ分けのあり方を考える時期に来ている」と話している。(板垣麻衣子)

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2015/10/28

維新の分党騒ぎ:注目を集められたら勝ちということではないか。

維新の党規約を徹底解釈する。少なくとも、大阪系グループの「臨時党大会」と「解党決議」は無効です。 - Everyone says I love you !(2015年10月25日)

ほかの人たちも指摘しているように、橋下氏を初めとする大阪系のグループの主張には無理があり、彼らが開いた「臨時党大会」なるものは無効だという話。

この記事のコメントでも見受けられるが、弁護士でもある橋下氏がなぜこんな初歩的な過ちを犯したのか、勝ち目のない無謀なことを押し通そうとしているのか、弁護士とは信じられない、無能ではないか、などの反応をあちこちで目にする。

だが、私には彼は計算尽くでやっているのではないかという気がする。簡単にいうと、都構想キャンペーンの支払い問題などの側面もあるのだろうが、大阪ダブル選挙など有権者向けのパフォーマンスという側面である。
彼はメディアの注目を集める言動を様々に行っていて、その多くが愚劣だったり反社会的だったりするのだが、その悪質さによって支持を失う効果よりも、話題になることで支持を集める効果の方が大きいのではないか。表面的な好印象を生む場当たり的な言動の方が市民に受け入れられやすく、信頼を集めやすいのではないかという気がする。もちろん彼が社会の現状への不満の受け皿になっているという背景があるにせよ。

橋下氏が計算尽くなのではないかというのは、上記の記事著者の宮武氏が次のように語っていることにも関連している。

むごい話だなと思うのは、橋下氏と松井氏は維新の党から早々と離党していて当事者にならず、新代表となったとたんに解散決議を出した馬場伸幸議員や東議員に火中の栗を拾わせていることです。

ずるくないですか。

胸にしみる一言だと思う。弾よけに使われている兵卒への同情がにじんでいる。同じことを以前から私も思っていて、橋下氏の真骨頂が良く現れていると感じていた。

ともあれ、この騒動で露出が高まることで阪神間での支持はさらに固まったのではないか。11月の選挙で彼らが勝つ可能性はかなりあると思う。また、仮に二つとも落としたとしても、議会で自民ほかの無能さを喧伝して抵抗し「改革」を停滞させることでさらに無能さを強調するだろうから、彼らの地盤はそう簡単にはゆるまないだろう。

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2015/10/27

ツタヤ図書館のリンク追加

CCCの旗色が悪くなっているように見えるが…さて?

「TSUTAYA図書館」が象徴する日本の没落する未来 - デイリーニュースオンライン(2015.10.22 07:00)

ネットで有名な?May_Romaさんこと谷本真由美氏のコラム。
なんか炎上?を狙うようなトゲをあちこちに撒いた文体だけれど、トゲの埋め込みが浅いのでそれは割と無視できる。

論旨がねじれているような気がするが、英米でも図書館の役割は変わりつつあるというレポートが紹介されている。
ツタヤ図書館的な場作りが全く間違っているわけではないという考えを傍証しているように思われる。これはこれで興味深い。

ちなみに、

出来レースの談合、利用者無視のハコモノ建てちゃいました、なぜか図書館がタジン鍋とおろし金を買ってみました、という、「ダンゴウジャパン」を絵に描いたような構図
ところで私は海老名図書館でおろし金を借りてみたいと考えています。
とおっしゃっているが、図書館はおろし金を買っていないと思う、たぶん。
購入予定リストの中におろし金などが入っていたのを市議会で問題にされ、それをネットに書かれて騒ぎになったというのが経緯で、市はその後でリストを修正したので、たぶん買ってないと思います。

閑話休題。書籍や文化資料、市民の雑多な知的活動への敬意を十分に払ってくれるなら、CCCが目指す空間作りも一つの方向性だし、面白い試みになり得るとは思うのだけれど、CCC自体が自分たちの目指す方向の可能性を今ひとつ分かっていないみたいだからなあ…。

CCCへの批判が高じたせいか、TRCが手を引くと表明?
ツタヤとの関係、TRC解消へ 「図書館の考え方違う」:朝日新聞デジタル(2015年10月27日11時35分)

 400館以上の公共図書館の運営を手がける民間企業、図書館流通センター(TRC)が、レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に、図書館事業で今後新たに組むことはないと5日に申し入れていたことがわかった。図書館に対する考え方の違いが原因で、共同運営する神奈川県海老名市の図書館事業も見直す意向という。

 TRCとCCCは共同事業体として海老名市から図書館運営を任され、1日に同市の中央図書館を改装オープン。愛知県小牧市でも新しい図書館計画の契約を交わしていたが、住民投票で建設計画が反対多数となり、契約解消を決めた。

 TRC広報部は「CCCの独自の図書分類は司書が本を探すのも非常に困難。図書館のあり方として、考え方に折り合いがつかなかった。海老名については、市も含め3者で今後協議していく」としている。一方、CCCは「申し入れがあったのは事実だが、始まったばかりの海老名の運営は共同で行う認識だった」とコメントした。海老名市教育委員会の担当者は「まだ聞いていない」としている。(竹内誠人)

*********
追記(2015年10月30日)

日経新聞が一転、契約継続という報道。ただ、現時点では他の報道が追随していない。

海老名の「ツタヤ」図書館、共同運営を一転継続 CCCとTRC  :日本経済新聞(2015/10/29 1:31日本経済新聞 電子版)

 神奈川県海老名市の図書館の運営を巡る方針の違いが表面化した図書館流通センター(TRC、東京・文京)とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、今後も同市での共同運営を続ける見通しとなった。28日に内野優市長が入った話し合いが持たれ、両社が歩み寄った。

 両社は方針の違いや歩み寄った理由について具体的に明らかにしていないが、本の選び方や分類方法で対立があったとの見方がある。両社が図書館運営を巡…

海老名市の内野市長が仲介したという報道。さて…?
*********

カナロコがセンセーショナルな写真を公開している。

【動画】海老名市「ツタヤ図書館」を見る(上)|カナロコ|神奈川新聞ニュース(公開:2015/10/24 12:09 更新:2015/10/27 11:13)

うずたかく並べられた本…と思いきや、最上段はダミー
ヨーロッパ貴族の図書室のような、天井まで壁全体に蔵書が詰められているレイアウトなのだが、手が届かない上段には、古い洋書を模した厚紙のダミーが並べられている。

「TSUTAYA図書館」海老名にオープン/神奈川新聞(カナロコ) - YouTube(2015/09/30 に公開)
1分30秒あたりに映る本棚の上側がそのダミーのようだ。

別の情報?
きよすけさんはTwitterを使っています: "武雄市で反対派に高いところの本を何度も取るようにいわれた経験から高層書架にダミー突っ込んだと神奈川新聞に書いてあって二度見した"
きよすけさんはTwitterを使っています: "@wataridori2929 https://t.co/tGDzRy2VAj"

うわさ話的な。
TRC(図書館流通センター)とCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が手を組んだ経緯について(※推測) - Togetterまとめ

海老名市図書館の業者選定など
海老名市図書館を訪問、谷一統括館長と面談しました : 瑞穂図書館を考えるblog(2015年07月03日)

今回の業者選定に当たっては、一応入札が行われたそうですが、応募した
のは1グループだけ、実質随意契約でした。委託費は一括して支払われるそう
すがその内訳は不明、蔦屋書店、スターバックスが負担する家賃も非公開です。
今回同行していただいた福富氏が情報公開請求して入手した事業報告書を
見せてもらいましたが、肝心な部分はすべて黒塗り、内容がほとんどわからない
状態でした。
ほかにも参考になる記事がいくつか。

海老名市の市会議員である山口良樹氏がまとめた図書館問題リンク集。
議会リポート9速報3

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腐臭がする……

想像以上にひどかった。久々に唖然とした。

【全文起こし】自民党・国際情報検討委員会委員長・原田義昭 衆議院議員インタビュー - 荻上チキ・Session-22

まったく勉強も研究も準備もしてないし、知識がない。すさまじい。
これが自民党の国際「情報戦(笑)」の責任者か……。

で、この党が選挙で絶対多数を取るんだよなあ…。

原田義昭 - Wikipedia」によると、原田氏の経歴は、

・1968年 東京大学法学部卒業
・1969年 国家公務員採用上級職試験に合格
・1970年 旧通商産業省(現・経済産業省)入省。
・同年司法試験合格。

だとか。難関を突破してきたエリートではないか。……どうしたらここまで劣化するのか。教育のはかなさと人間の闇を感じる。

【書き起こし】自民党・猪口邦子 参議院議員 電話インタビュー - 荻上チキ・Session-22
まだましかな……汗
しかしなあ、ご自身が暗黒面に墜ちていることはやはりおわかりにならないようだ。

******
それにしても、これぐらいの長時間で、疑問点を深く掘り下げるというタイプの番組、もっと増えてほしい。

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2015/10/24

思想統制とご都合主義:愛国的統治が進む自民党

自民党が木原稔氏を党の役職に任命するという報道。

木原氏は、党執行部から「世が世なら切腹もの」とまで言われる大罪を犯した人。

沖縄の2紙をつぶせについて:とりあえず記録。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ(2015/06/26)
妄想が出ているようですね。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ(2015/06/28)

安保法案成立の後押しをしようと勉強会を開いたら、人権否定のトンデモ発言のオンパレードになり、その問題化の責任を問われた訳である。

木原・自民青年局長を更迭へ 党幹部「世が世なら切腹」:朝日新聞デジタル(2015年6月27日13時39分)
自組織の党是と本質を露呈しただけなのに個人に責任をかぶせてしたり顔で憤ってみせる。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ(2015/06/28)

「切腹もの」=生命を絶つ処分に値するはずだったのだが、除名処分はおろか、議員辞職もなく、なぜか1年間の役職停止という処分になった。

自民党では、切腹=1年間の役職停止 という相場感覚があることが分かった出来事だった。

で、その後10月になって、1年間の役職停止期間が3ヶ月に短縮された。

報道圧力発言 自民、木原氏の役職停止短縮|日テレNEWS24(2015年10月5日 19:48)

 自民党は、今年6月に自民党議員が有志の勉強会で「マスコミをこらしめる」などと発言した問題で、1年間の役職停止となっていた、勉強会代表の木原稔前青年局長について、役職停止の期間を3か月間に短縮したことを今月2日に発表した。

 自民党の谷垣幹事長は2日の党紀委員会で、「本人が非常に反省している」などと説明し、木原氏の処分期間を1年から3か月に短縮したと報告した。処分は6月27日付のため、先月26日で失効したことになる。

 問題となった勉強会では、若手議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番」などと発言し、勉強会の代表を務める木原氏が1年間の役職停止処分を受けていた。

 厳しい処分を行った背景には当時、衆議院で行われていた安全保障関連法の審議への影響を最小限にする狙いがあった。しかし、法律の成立後に処分を短縮したことには野党などから批判も予想される。

この発表の時点で、すでに処分は満了したという形にしたわけである。

「切腹もの」の罪を犯したにもかかわらず、その処分期間を一挙に4分の1に縮めるほどの「非常な反省」とは一体どのようなものかが気になる。きっと凡人には想像できないほどすさまじく、全身全霊を込めた「反省」なのであろう。刑務所ではどれほどの模範囚であっても刑期が4分の1になることはないであろう。

で、今回、さっそく木原氏が復職した訳である。

自民 役職停止処分終えた木原氏を文部科学部会長に NHKニュース(10月22日 6時35分)

自民党は、党の若手議員らが開いた勉強会で報道機関を批判する意見が相次いだことを巡って、一時役職停止の処分を受けた木原稔衆議院議員を、文部科学部会長に起用する人事を内定しました。
自民党は、第3次安倍改造内閣の発足を受けて、政務調査会の部会長などの人事の調整を進めていて、このうち、新たな文部科学部会長に木原稔衆議院議員を起用することを内定しました。
木原氏は、党の青年局長を務めていたことし6月、みずからが主催した勉強会で、出席した若手議員らから報道機関を批判する意見が相次いだことを巡り、「党の信頼を損った」として1年間の役職停止の処分を受け、その後、期間が3か月に軽減されて処分を終えています。
自民党の部会長人事は、このほか、小泉進次郎前復興政務官の農林部会長への起用などが固まっており、23日に開かれる総務会で正式に決定する運びです。

以前のエントリで、

まあ自民党の中では所詮大甘な「処分」とやらでお茶を濁すだけなのだろうけどね。
と書いたら予想通りであった。

自民党では、切腹ものの大罪を犯した人でも、「非常な反省」をすれば、「文部科学会長」という重要ポストに復帰できるのである。自民党は犯罪者更生の成功例、「再チャレンジ」が実現しているすばらしい党であると言えよう。

冗談はさておき、結局自民党が木原氏を処分した理由は、
・民主主義と基本的人権を否定する会合を開いたことにあるのではなくて、
・安保法制の成立を妨害したこと=切腹ものの大罪
にあるということがはっきりしたわけである。
だから、安保法制が成立して罪の構成部分が消えたので処分を停止できるということなのだろう。

それにしても、過去の決定を融通無碍に覆して全く平気な自民党。「法治ではなく人治」という言葉を彷彿とさせる。

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志布志、枇杷島と戦争遺跡

1945年秋、幻の南九州決戦 「一億総特攻あり得た」:朝日新聞デジタル(2015年10月24日07時31分)

 1945年11月1日、米軍は南九州への上陸を計画し、日本軍も応戦の準備をしていた――。実際には8月に降伏し、本土決戦は現実とならずにすんだが、各地の遺構は「一億総特攻」も辞さない当時の戦いのかたちを物語る。史実を語り継ごうという動きもある。

■「新兵ばかり、無知の勇」

 おだやかな海に緑の小島が浮かぶ。鹿児島県志布志市の港から約4キロ。枇榔(びろう)島には、その名の由来となったビロウ樹など亜熱帯性の植物が茂る。

 太平洋戦争末期、米軍は志布志湾、吹上浜(鹿児島県)、宮崎海岸(宮崎県)の3カ所から上陸する「オリンピック作戦」を計画。日本も本土決戦を覚悟し、志布志湾は主戦場に、枇榔島は最前線になると考えられたという。

 宮崎県えびの市出身の中原精一さん(87)=東京都=は45年7月に召集され、島に配属された。

 当時の「肉弾訓練」を振り返った。

 爆弾に見立てた木箱を抱え、草むらで息を潜める。上官の合図で浜辺へ飛び出し、敵の水陸両用戦車の下へ滑り込む――。「もっと速く低く走れ」。毎日のように怒鳴られ、「恐怖を感じる余裕もなかった」。

 戦後、沖縄戦の映像を見た。圧倒的な砲爆撃や火炎放射で焼かれる様子を見て体が震えた。「米軍が上陸したらひとたまりもない。新兵ばかりで、無知の勇。戦争を知らないまま戦わされようとしていた」

 枇榔島は1周約4キロの無人島。許可を得て上陸すると、塹壕(ざんごう)やコンクリートの建物跡が残っていた。

 市史によると、志布志湾岸に要塞(ようさい)や砲台が造られた際は旧制中学の生徒らが動員された。元志布志町議の林春義さん(83)もその一人。終戦直前、3クラスが10日ずつ交代で島に渡り、塹壕を掘ったという。「米軍の上陸予定地だったことは公然の秘密だった。口に出すのは厳禁。地元は緊張していた」と話す。

 陣地は、鹿児島県西部や宮崎県の沿岸にも構築された。福岡県で陸軍の戦車隊にいた八児(やちご)雄三郎さん(90)=東京都=は45年1月、宮崎県日南市に転属した。戦闘機の部品を盗み、操縦不能にする。敵が宿営する建物に侵入する。冷たい海に入り、敵の船に爆弾を装着する――。こうした訓練が実施された。

 9月、宮崎に講演で訪れた八児さんは「国民は竹ヤリで米軍を迎え撃つ準備をしていた。そんな『本土決戦』が間近に迫っていたことを若者に知ってほしい」と語った。

ログイン前の続き■遺構保存の動き

 本土決戦に備えた遺構を保存、活用する取り組みが各地で進んでいる。鹿児島県志布志市の埋蔵文化財センターは今夏、「オリンピック作戦と志布志」と題した戦後70年記念展を開き、米軍の侵攻計画ルートや日本陣地のパネルを示した。

 鹿児島県は、志布志湾岸の大崎町にある防御陣地の遺構に通じる道を整備し、案内板を設けた。大崎町も昨年から年配の住民に聞くなどして、砲台跡などがある場所の把握に努める。

 鹿児島湾の沿岸にある鹿屋市は、海軍砲台跡やトーチカなどの文化財指定に向けて調査している。市は今春、30~70代の住民13人を「平和学習ガイド」に認定。遺構を訪れる人に、造られた背景などを解説してもらっている。(中村光、上遠野郷、奥村智司)

■米軍、数十万人の上陸作戦

 旧防衛庁防衛研修所が戦後にまとめた「戦史叢書(そうしょ)」などによると、45年8月に終戦とならなければ、米軍は宮崎、鹿児島の3カ所から上陸し、約3千隻の艦隊、数十万人の部隊を投入して両県の大半を占領する計画(オリンピック作戦)だった。翌年3月には九十九里浜と相模湾にも上陸し、東と西から挟み撃ちにして首都をねらっていた。

 日本軍は迎撃を準備したが、戦力の差は歴然。「本土決戦幻想」の著書がある作家、保阪正康さんは日本軍の迎撃について「もはや軍事作戦と呼べるしろものではなかった」と指摘する。「米軍が来ても動くなと軍から命じられた」との住民証言もあったという。

 「『一億総特攻』は単なるスローガンではなく、十分起こりえた現実。戦争の終わり方を考えなかった当時の日本の戦争観を総括しないと、現代社会でどんな軍事的組織をもつかという議論もできないはずだ」(岩崎生之助)

■米軍、情報力でも圧倒

 手帳ほどの大きさの古びた冊子がある。鹿児島、宮崎両県の軍事施設の解説から、人口分布、畑の作物の種類まで記されている。印刷の日付は「1945年7月20日」。鹿児島県大崎町のNPO事務局長、堀之内裕行さん(52)が数年前、海外のオークションサイトから入手したものだ。

 米軍が日本占領期に作成した地図に詳しい赤木祥彦・福岡教育大名誉教授は、米軍特有の地図規格を示す記号が記されていることなどから、米軍が上陸に備えて作ったとみている。

 「情報力も戦力も圧倒されていた。本土決戦なんて勝ち目がなかった」と堀之内さん。母親は当時、女学生だった。「沖縄戦のひめゆり部隊のように母も命を落としていたかもしれない。そうなれば私もこの世にいなかったでしょう」

枇杷島行ってみたいなあ……。写真が美しい。


画像(※FreezePageでは下へスクロール)
1.枇榔島に残る旧日本軍の弾薬庫とみられる建物跡=鹿児島県志布志市、中村光撮影FreezePage
2.海上から見た枇榔島=中村光撮影FreezePage
3.米軍が1945年11月に上陸を予定していた志布志湾岸。奥に見えるのが枇榔島=鹿児島県志布志市、中村光撮影FreezePage
4.かつての武器庫だったとみられる遺構。見つかりにくいようにするためか、入り口につながる道は湾曲している=鹿児島県志布志市の枇榔島、中村光撮影FreezePage
5.枇榔島で塹壕掘りなどの作業に動員された林春義さん。「地盤が固くつらい作業だった」と振り返る=鹿児島県志布志市、奥村智司撮影FreezePage
6.霧島部隊の体験を語る八児雄三郎さん=宮崎市FreezePage
7.米軍作成とみられている冊子。「敵の手に渡りそうになったら破棄せよ」と書かれている=上遠野郷撮影FreezePage
8.堀之内さんが入手した米軍の冊子に収められた志布志市街地周辺の航空写真。日本軍の軍事施設が詳細に記載されている。FreezePage
9.南九州にある本土決戦用の遺構FreezePage

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えん罪:氷山の一角とか、1匹見つけたら…とか言うが

自分が警察で取り調べを受けたときの経験から言うと、警察の調書には「型」があって、警官は、その「型」に合致するようなストーリーにはめ込みたがる。

警察が役所であり、日々多数の処分をこなしていかねばならない以上、警官や警察組織が、事務処理がスムーズに進みやすい「いつものパターン」を好むのは分かる。
私は調書作成に立ち会った経験が数度しかないが、その全てで、警官が、事件の経緯や現場の状況などについて、その警察的な作法で認識・解釈し、初期段階で自分が理解した事件のイメージに沿って、事情聴取・取り調べを進めているという感覚を強く持った。私が立ち会ったのは、関東や関西、九州などさまざまな地域の警察署でのことで、それらの全てで同じ感覚を持ったのだから、おそらくこうした傾向は全国的に共通しているのだろう。

警察が、事件や供述に予断と偏見をもって臨み、警察的に「分かりやすい」ストーリーを作ろうとする傾向は、行政官署であり、かつ大規模組織であるるゆえに払拭することはできないだろう。しかし、そうした傾向の不可避性とその危険性、そして自らが暴力装置であることへの無自覚さが、こうしたえん罪事件の連発の背後にある。

とはいえ、彼らの個人な認識や資質に問題を帰着しても事態の改善はほとんど見込めないわけで、せめて歯止めとなる仕組みを置かなければならない。取り調べの可視化はその意味でとても大切な意味を持っていたのだけれど。

つい先日もこんな報道があった。
強姦再審、男性に無罪 うその証言で服役 大阪地裁:朝日新聞デジタル(2015年10月17日05時00分)
容疑者の訴えを聞かず、申し立てられた証拠調べもせず、存在していた検査結果を「ない」とウソをつき……。
有罪の心証と自称「被害者」の証言を唯一の手がかりにして重刑を科してしまった事例。
そしてまた。

直接の証拠は捜査段階の自白だけで、「自白を裏付ける物証や客観的事実はない」という今回の高裁判断。そこに至るまでに20年を要してしまった。この人たちは、子殺しの汚名を着せられ、人生と家庭とを完全に破壊されてしまった。

追い詰められ…自白、20年信じた「無実」 再審維持:朝日新聞デジタル(2015年10月24日01時12分)

 放火して長女(当時11)を殺害したとされた母と内縁の夫の再審請求に対し、大阪高裁は23日、その訴えを認める決定を出した。同じ結論を導いた地裁からさらに踏み込んだ判断を示したが、検察側は争う構えを崩さない。逮捕・起訴から20年。2人の「無実」を信じ、帰りを待つ家族らの間には、喜びといらだちが交錯した。

20年前の放火殺人、再審支持 大阪高裁、釈放も認める

 「長かったですが、信じていたので、うれしかったです」。1995年9月に逮捕された青木恵子元被告(51)=和歌山刑務所で服役中=の長男は大阪市内で開いた記者会見で、29歳になる前日に出た高裁決定をうれしそうに受け止めた。

 青木元被告は決定を受けて面会した弁護士に喜びの表情を見せた一方、刑の執行停止が「26日午後2時から」とされたことには残念そうなそぶりだったとされる。釈放が長男の誕生日に間に合わなかったためとみられ、弁護士に「一緒に誕生パーティーできなくてごめんね、と伝えてほしい」と求めていた。

 青木元被告が逮捕された時、長男は8歳。優しかったという母親が三つ年上の姉にあたる長女(当時11)を殺害した疑いで警察に向かう姿をわけも分からず見送った。それ以来、青木元被告とのやり取りは手紙や面会だけで、寂しく、つらい日々を重ねた。

 長男は「事件のことはあまり考えないように」と意識しつつ、無実を信じ続けた。そうした歳月について「僕が信じないと、お母さんもつらいでしょう」と振り返る。釈放されたら何と声をかけるか、と会見で聞かれると、「おかえり、ですかね」。一緒に姉の墓参りに行き、「やっとお母さんと来られたよ」と報告するつもりだ。

 青木元被告と内縁の夫の朴龍晧(たつひろ)元被告(49)=大分刑務所で服役中=の無実を信じ、刑の執行停止によって釈放される時を待つ長男ら家族や支援者の思い。2人の心境についても弁護団は「20年という長期、2人は一日千秋の思いで待っていた」と明かす。しかし、検察側は高裁に異議を申し立て、再審開始を認めた決定についても争う構えを崩していない。

 検察側は今後の具体的な方針を明らかにしていないが、検察幹部は「全くの想定外ではない」と指摘。期限の28日までに特別抗告の理由となる憲法違反や判例違反にあたるかを慎重に検討するとしている。

 検察が刑の執行停止に対して異議を申し立てたことを会見後に知った乗井(のりい)弥生弁護士は「無罪になる可能性が高い人をさらに拘束する正義に反する行為。非常に残念だ」と批判した。

 日本弁護士連合会の村越進会長は「高裁は事故の可能性を具体的に指摘し、自白の信用性を否定し、自白を採る過程の問題点まで指摘した。検察官には決定を尊重し、速やかに再審公判に移行させるよう求める」との声明を出した。

■「帰られへんぞ」失意で自白

 「当分帰られへんぞ」

 朴元被告は一審の公判段階で、大阪府警の捜査員から任意同行後にそんな言葉を告げられたと訴えた。

 任意の取り調べでは「車からガソリンを抜いてまき、火をつけたとの鑑定がある」「火を付けたのを(青木元被告の)長男が見たと言っている」と事実と異なる説明をされ、焼死した長女の写真を見せられて「悪いと思わんのか」と迫られたという。

 さらに、任意段階では否認だった青木元被告について「もう全部しゃべってんぞ」と伝えられて気力を失い、小声で「やりました」と自白。そして逮捕後、「車庫にガソリン7・3リットルをまいてライターで火を付けた」とする供述調書に署名をしたという。

 23日の高裁決定も、自白の内容には犯人しか知り得ない「秘密の暴露」がなく、取調官の誘導や押し付けがあった可能性も否定できないと指摘した。

 検察側は高裁の審理で「朴元被告の記憶を度外視して警察が供述させたとは考えられない」とし、自白には信用性があると主張していた。決定後、捜査関係者は「高裁の指摘内容をしっかり検討する必要がある」と話した。

■「『事故』とみる姿勢欠いた」

《元検事の落合洋司弁護士(東京弁護士会)の話》 ガソリンを大量にまく危険な方法で自宅を燃やし、保険金を得るような筋立てが現実的でないことは捜査段階で気づけたはずだ。科学的知識や健全な感覚だけでなく、「事故」の観点で捜査する姿勢が警察・検察とも欠けていた。検察は警察から一定の距離を置き、自白がなくても起訴できる証拠があるか厳しくチェックしなければ存在意義がない。

■「無実の訴え、検討したのか」

《水谷規男・大阪大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話》 弁護側は新たな実験や証言の積み上げで自然発火の可能性を具体的に示したが、刑事裁判で立証責任を負うのは検察側であり、本来は検察がもっと早い段階ですべき作業だった。自白に頼って科学的な検証を怠った捜査は問題だが、自然発火説は当初の公判段階でも争点だった。裁判所も当時、無実の訴えを十分検討したかが改めて問われる。

■再審8件、すべて無罪

 最高裁のまとめによると、死刑か無期懲役の判決が確定した戦後の事件で再審が始まったのは8件。すべて無罪が確定している。

 再審を始めるべきか検討する際にも、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用される。最高裁は1975年、そんな原則を示した。これをきっかけに再審の重い扉が開くケースが増え、86年までに財田川(さいたがわ)事件、免田(めんだ)事件、松山事件、島田事件と死刑確定事件で次々と再審開始が決まった。

 その後、90年代前半から重大事件の再審決定は久しく途絶えた。2000年代に入ると、布川(ふかわ)事件や服役・出所後に強姦(ごうかん)事件の真犯人が現れた氷見(ひみ)事件などが続き、DNA型鑑定が決め手となった足利事件や東京電力女性社員殺害事件と、科学技術の進歩を反映した再審判断が目立つようになっている。

■再審無罪となった主な事件

《免田事件》

1948年に熊本県で起きた強盗殺人事件。死刑判決確定後、83年に再審無罪

《財田川事件》

50年に香川県で起きた強盗殺人事件。死刑判決確定後、84年に再審無罪

《松山事件》

55年に宮城県で起きた強盗殺人放火事件。死刑判決確定後、84年に再審無罪

《梅田事件》

50年に北海道で起きた強盗殺人事件。無期懲役判決確定後、86年に再審無罪

《島田事件》

54年に静岡県で起きた幼女誘拐殺人事件。死刑判決確定後、89年に再審無罪

《足利事件》

90年に栃木県で起きた女児殺害事件。無期懲役判決確定後、2010年に再審無罪

《布川事件》

67年に茨城県で起きた強盗殺人事件。無期懲役判決確定後、11年に再審無罪

《東京電力女性社員殺害事件》

97年に東京都で起きた殺人事件。無期懲役判決確定後、12年に再審無罪

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2015/10/23

家事労働者団体の講演

家事支援の外国人労働者拡大で国際団体が講演 NHKニュース(10月23日 17時00分)

外国人労働者の権利擁護に取り組む国際団体の幹部が都内で講演し、日本で家事支援を行う外国人労働者の受け入れが拡大されることについて、働く女性の家事負担を軽減できるとした一方、労働者を保護する政策の充実を訴えました。
講演会は、ことし7月に成立した改正国家戦略特区法で、家事支援を行う外国人労働者の受け入れ拡大が定められたことから、制度の現状を知ってもらおうと連合が開いたもので、23日、都内の会場には、香港に本部を置く国際家事労働者連盟のエリザベス・タン事務局長が招かれて講演しました。
タン事務局長はまず、中東やアジアの国々の中には、家事支援を行う労働者が労働組合を組織することが禁じられていたり、育児や介護の分野で民間任せになっていて、政府がとるべき監督責任を十分果たしていなかったりする例があると指摘しました。そして、日本について外国人労働者の受け入れで、働く女性の家事負担の軽減ができるとした一方、「賃金の安さを理由に外国人を活用するため、労働者は十分な保護を受けられない場合が多い」と述べました。
そのうえでタン事務局長で、家事支援を行う労働者の権利保障などを定めたILO=国際労働機関の条約について、「外国人を受け入れるのであれば、日本もILOの条約を批准すべきだ」と述べ、労働者を保護する政策の充実を訴えました。
講演日:10月23日
講演者:国際家事労働者連盟のエリザベス・タン事務局長
主催:連合
内容:以下の通り
・中東やアジアの国々の中には、家事支援を行う労働者が労働組合を組織することが禁じられていたり、育児や介護の分野で民間任せになっていて、政府がとるべき監督責任を十分果たしていなかったりする例がある
・賃金の安さを理由に外国人を活用するため、労働者は十分な保護を受けられない場合が多い
・外国人を受け入れるのであれば、日本もILOの条約を批准すべきだ

参考:
2011年の家事労働者条約(第189号)(ILO駐日事務所)
家事労働者に関する国際労働基準とILOの活動-ILO駐日事務所メールマガジン2013年9月30日号トピック(ILO駐日事務所)
外国人家事労働者受け入れが覆い隠す“不都合” ILO189条約未批准の日本、なし崩しの受け入れはかえって女性の社会進出の妨げに? | JBpress(日本ビジネスプレス)(2014.7.1(火)巣内 尚子)……全部は読めない。要登録。
家事労働者の法的保護(ドイツ:2012年9月)|労働政策研究・研修機構(JILPT)(2012年9月)
International Domestic Workers Federation — English

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2015/10/21

ツタヤ図書館問題:周南市で署名運動、武雄市で監査請求、武雄市の利用者アンケート記事

周南市「ツタヤ図書館」、住民投票求め署名活動へ : 地域版 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)(2015年10月21日)

 周南市の徳山駅ビル建て替えに絡み、市が核施設となる図書館の運営について、レンタル大手「TSUTAYA(ツタヤ)」の企画会社を連携事業者にしたことに対し、同市の住民団体は20日、是非を問う住民投票を求めて、11月から署名活動を行うことを決めた。

 計画によると、新駅ビルは3階建てで、2018年度の開業を目指している。図書館運営について、市は13年秋、ツタヤを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携することで合意した。

 署名活動を行うのは、20日に発足した「県オンブズマン市民会議」。民間企業への委託は利益優先で図書館運営になじまないとして、有権者の50分の1の署名を集め、木村健一郎市長に住民投票条例の制定を直接請求する方針を決めた。

ツタヤ図書館で住民「税金の使い方がずさん」 市長に損害補填求める - 芸能社会 - SANSPO.COM(サンスポ)(2015.10.20 22:29 共同)
 「TSUTAYA(ツタヤ)図書館」として2013年4月に新装開館した佐賀県武雄市図書館をめぐり、新たな本を買うために市が1958万円を支出したのに、別の目的に流用されたのは違法として、住民20人は20日、市長が損害を補填するよう求めて監査請求した。代表者の大河内智さん(70)は「税金の使い方があまりにずさんだ」と話している。

 この図書館はレンタル大手TSUTAYAを展開する民間企業カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営している。武雄市は今年9月、新装開館時に1958万円で蔵書を増やす計画だったのに、館内の安全対策費用がかさみ、本代を約760万円に抑えていたと発表。この予算でやりくりするため、CCC側に選書を委託した結果、10年以上前の資格試験対策本や、埼玉県のラーメン店ガイド本を含む中古本が納入されたことも判明した。

 監査請求では、安全対策に使うには、新たな契約を結び直さなければならず、違法・不当な公金の支出に当たるとしている。(共同)

はてなブックマーク - 武雄市図書館、利用者アンケート結果発表|佐賀新聞LiVE
 武雄市図書館・歴史資料館は、9月上旬に実施した利用者アンケートの結果を発表した。図書館全体とサービスへの満足度がそれぞれ8割を超え、駐車場不足の指摘が多かった。

 アンケートは9月7~13日に実施、531人が回答した。回答者は、住所が武雄市37%、武雄市を除く佐賀県35%、長崎県14%、福岡県10%など。利用頻度は「初めて」22%、「月1、2回」51%、「週1、2回」20%、「ほぼ毎日」7%という層だった。

 図書館への満足度は、「大いに満足」33・3%、「満足」51・7%、「どちらでもない」10・8%、「不満」3・6%、「大いに不満」0・6%。「満足」の85・0%は昨年の87・6%からわずかに下がった。

 スタッフのサービスは「大いに満足」32・6%、「満足」50・8%、「どちらでもない」15・8%、「不満」と「大いに不満」はいずれも0・4%。「満足」は83・4%で昨年より5・4ポイント上がった。

 「満足の内容」(複数回答)は321人が「年中無休」を挙げ、「居心地よい空間」(267人)、「スターバックス併設」(262人)が続いた。「館内で飲み物が飲める」(214人)、「販売用の本が館内で読める」(212人)と、コーヒーショップと書店があることが満足の要因になっている。

 「使いづらい点」(複数回答)は「駐車場が混んでいる」が177人で最多。「館内が混んでいる」(58人)、「館内がうるさい」(36人)、「借りたい本がない」(20人)が続いた。

 自由筆記では、「席やテーブルを増やして」「音楽や会話、電話が気になる」などの内容が目立ち、「書評コーナーを」「専門書を増やして」「本棚を低く」といった要望があった。

武雄市のアンケート調査発表を以下に。

図書館利用者アンケート結果を公表します | 市からのお知らせ | たけおポータル2015年09月28日(月)

利用者アンケート概要

実施日:平成27年9月7日(月)から9月13日(日)まで
調査場所:武雄市図書館・歴史資料館
調査人数:531人
調査方法:アンケートへの協力を依頼し、自由に回答頂いた(対面調査ではない)

調査結果:武雄市図書館・歴史資料館 アンケート調査FreezePage
参考資料:アンケート調査票FreezePage

粗悪な調査。簡単に感想を付す。
1.調査項目が図書館向けではない。せいぜい本屋のパブリックスペースの調査。
2.レポートが拙劣。回答実数を記載せず。
3.体裁がやっつけ仕事。まあ大目に見てもよい。
4.単純集計しかない。評価もない。市外からの来訪者がほとんどを占めているのにそこへの問題意識がない。
5.同じ人が何通も記入・提出する可能性を排除していない。
早い話が、何のために何を知り何を改善したいのかが全くない。ただ調査票を置いてみただけという調査。命じられたのでアリバイを作りました感がありあり。それにしても杜撰すぎる。武雄市はこんなものを堂々とネットで公表していると役所の知的水準を疑われるから削除した方がよい。低劣な文書は地元でだけ共有してればいいと思うよ。

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2015/10/20

小牧市のツタヤ図書館、計画撤回へ

ちょっと見ていないうちに話が進んでいた。以前クリップしたものに足しておく。
あとで補足部分を足しておかないと。

「ツタヤ図書館」を白紙撤回 愛知・小牧、住民反対多数:朝日新聞デジタル(2015年10月20日16時11分)

 「ツタヤ図書館」計画をめぐる住民投票で、反対多数となった愛知県小牧市は20日、レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)などとの契約を解消することを明らかにした。計画の事実上の白紙撤回で、今後については議会と相談し、市民の声も取り入れながら検討するとしている。

 計画を推進してきた山下史守朗(しずお)市長は「現在、委託契約している基本設計、アドバイザー業務の契約を解消することが適切であると判断した。それぞれの受注者と協議の上、契約を解消する方向で事務作業を進めている」とのコメントを出した。

住民投票直後、市長は本筋を見直さないような発言をしていたのでちょっとびっくり。

ツタヤ図書館、割れる賛否 来館者増加も選書で物議:朝日新聞デジタル(竹内誠人、塩原賢2015年10月19日21時23分)

 本を素材にした独創的な空間作りで評判の「ツタヤ図書館」は、中古本の購入などを批判されながらも、多くの来館者を集めている。図書館はどうあるべきなのか。ツタヤ流の発想からは、まったく違った姿が浮かび上がってくる。

■イベント評判、「学びの連鎖」ねらう

 天井まで届きそうな書架。館内にはジャズが流れ、入り口のそばの書店とカフェでは、学校帰りの中高生らがコーヒーを飲みながら読書や雑談を楽しむ。

 神奈川県海老名市で1日に改装オープンした市立中央図書館。レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者として運営する。佐賀県の武雄市図書館に続く、全国2番目の「ツタヤ図書館」だ。

 2013年に開館した武雄では、年間来館者が改装前の3倍以上に。市が行った利用者アンケートでは、満足との回答が85%を占めるなど「成功例」とされる。だが、CCCの図書館カンパニー社長で、海老名の館長も務める高橋聡氏は、「今すごく迷っています。良かれと思ってやっていることがどんどん否定されていくので……」とこぼす。

 ツタヤ図書館の選書と分類方法を批判する専門家は少なくない。15日に東京都内で開かれた全国図書館大会。シンポジウムで登壇者が、図書の購入を決めること(選書)や適切に並べること(排架)の「大切さを勉強してから参入していただきたい」と発言すると、会場から拍手が起きた。

■ユニークな配置

 武雄と海老名では、10年以上前の資格試験対策の中古本や、海外の風俗店の情報も載った旅行本なども購入していた。そのため自治体側が選書をチェックするよう改めた。

 図書分類でも、多くの図書館は日本十進分類法を採用するが、CCCは独自のジャンル分けを導入。海老名では当初、東野圭吾の小説『手紙』が「手紙の書き方」の棚にあるなどしたため、利用者から「本が探せない」という指摘が相次いだ。

 愛知県小牧市では、建設予定だったツタヤ図書館への反対運動が起こり、4日の住民投票で反対が上回った。

 なぜ、これほどまでに物議を醸す選書や分類法になったのか。

 高橋氏によると、選書の際には、CCCが運営する東京の「代官山 蔦屋(つたや)書店」などでよく売れている本を参考に仮の購入リストを作成。図書館の利用者アンケートの結果も踏まえて購入本を決めるという。「CCCは書籍の販売、流通量では日本一。そのデータを使うことが僕たちの強みになる」

 分類法も、蔦屋書店の「発見性」を重視したユニークな並べ方が原点という。例えば海老名では、料理本の書架には食材や調味料別に図書が配置され、「カフェごはん」という項目もある。高橋氏は「生活シーンに合わせた分け方。今日のご飯は何にしようかと思った時のサポートになるし、新たなライフスタイルの提案もある」と説明する。

■カフェも朝ヨガも

 1日12時間365日開館するなど、利用者目線での運営には一定の評価もある。「市民生活がより豊かになる図書館」がCCCの理念だという。「本を読んで学ぶ姿が絵になる空間」を作り、カフェや雑誌の読み放題を目的に訪れた市民の間に「学びの連鎖」が起こることを狙う。武雄では昨年、120以上のイベントを実施。本の販売も絡めた著者のトークショーや、子ども向けバリスタ講座での調べ学習、朝ヨガなどに約7千人が参加した。「図書館は本だけではなく、集まった人やそこで起きていることからも学ぶ場所だと思う。今のみなさんが知っている『図書館』からすると、『公設ブック&カフェ』とか『市民読書センター』と呼んだほうがいいってことなんですかね」

 CCCの図書館事業は、武雄の来館者が予想を上回ったため人件費が増え、カフェや本の販売収益では採算が合わず、2年連続赤字となった。「利益が出る設定でおとなしく運営することもできたが、利用者により良いサービスを提供することを優先した」と高橋氏。海老名でも約600の雑誌を中心に本を販売するが、「狙いは、もっと本に接してもらうこと。ただ売り上げを上げるのが目的なら、コミックや売れ筋の本をそろえます」

 武雄市との指定管理の契約はあと2年半。高橋氏は、これまでの事業成否について回答を保留したが「そろそろ利用者や地域に良い変化が起こってくる」と推測する。「図書館運営は相当の力を込めないとできないが、今後も続けていきたい。都道府県に一つくらいこんな図書館があってもいいんじゃないか」

 ツタヤ図書館に関心を示す自治体側も、「子どもから大人までいつでも集える場所」として、街を活性化する機能を期待する。海老名市教育委員会は「CCCは独創的な空間デザインにたけている。多くの市民に足を運んでもらいたい」と話し、年間の来館者目標を約2・5倍の100万人に据える。

 図書館としての役割が見えにくくなるなか、慶応大学の糸賀雅児教授(図書館情報学)は「カフェや書店といった図書館と親和性のある物品販売で売り上げを確保しようとする戦略は悪くないが、空間作りにこだわりすぎると、選書や排架といった図書館の生命線がゆがんでしまう恐れがある」と指摘する。

 一方、地域の課題解決のための本をそろえたり、人材育成の拠点づくりをしたりといった「時間はかかるけれど必要な役割」を軽視してきた、これまでの図書館のあり方も問題だと言う。「どこまでを民間に任せ、図書館のどんな機能を守るのか、自治体はしっかり検討して欲しい」(竹内誠人、塩原賢)

高橋聡氏が「良かれと思ってやっていることがどんどん否定されていく」と言うのは言い得て妙。公共の文化資産というものへの認識がたぶん根本的に違うので、発想が理解できないのだろう。それはたぶん「正統派」からも同じで、CCCの「良かれと思っていること」は理解できないだろう。というか、それは民間ベースでやってくれということなのだけれど。

ツタヤ図書館、混迷の小牧 「反対多数」で計画凍結:朝日新聞デジタル(松下和彦、柴田菜々子2015年10月15日17時11分)

 「ツタヤ図書館」に住民投票で反対の民意が示された愛知県小牧市。市は計画を凍結して「問題点を検証する」(山下史守朗〈しずお〉市長)としており、開館が遅れるのは必至だ。15日には臨時の市議会が始まり、図書館の問題も取り上げられる。先行きはみえない。

 「議会にどうアプローチしていくか、まだ決まっていません」。市新図書館建設推進室の担当者は「出だしが重要なので」と慎重に進める考えを強調する。

 レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携した図書館計画。4日の住民投票での「反対多数」を受け、山下市長は「市民の代表による協議体やアンケート」を例示し、問題点を検証する考えだ。だが、具体案は示していない。同室は「市側から議会に案を示すかどうかも含めて検討中」とする。

 市側が慎重なのは、現計画が「市民の声を聴いていない」と批判されたうえに、市議会も態度を硬化させつつあるからだ。

 市が全戸配布した「住民投票のお知らせ」に、「市が議会に説明していないことも書かれていた」と議会側が反発。住民投票と同日にあった市議選では、反対を明言して当選した議員も少なくない。15日からの臨時議会では、この「お知らせ」が住民投票条例で定められた「中立性の保持」に違反するのではないかと市側を追及する構え。山下市長が投票前日の3日に「当選祝い」の文書を一部議員に配った問題も、取り上げられる見通しだ。

 42億円をかけて延べ床面積を2・6倍とし、書店やカフェも併設するという現計画は、住民投票を受けて完全に止まっている。「来年度着工、2018年度初めに開館」という当初の目標が遅れるのは必至だ。

 ただ、山下市長は「反対理由は金額か、民間との連携か、デザインか。投票結果だけでは判断できない」と話す。住民投票は反対56%、賛成44%。「賛成の市民も少なからずいる」とも語り、名鉄小牧駅前の振興との「一石二鳥」を狙った現計画への執着がにじむ。

 CCCとの連携では、佐賀県の武雄市図書館に続き、神奈川県海老名市でも図書館が開館。同社によると、18年度までに小牧市を含めて、さらに5カ所で計画されている。

 その武雄市では、選書のあり方が問題視された。蔵書1万冊の中に「ラーメンマップ埼玉」など、かけ離れた地域の本が何冊もあった。朝日新聞記者が8月、地元サッカーチームの「サガン鳥栖」を蔵書検索すると1件のみで、埼玉の「浦和レッズ」は17件あった。海老名市では、タイの風俗店案内を載せたガイド本があり、批判を浴びた。

 選書問題や小牧市の住民投票の結果は、各地に影響を及ぼし始めている。18年度の開館を計画する山口県周南市の木村健一郎市長は今月1日、「色々な事態が生じていることは十分理解している。少し状況をみていきたい」と慎重な姿勢を示した。(松下和彦、柴田菜々子)

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皆さんの眼力に驚いた+ジェンダーを感じた件

話題になっていた。

High School Girl? メーク女子高生のヒミツ - YouTube
High School Girl? メーク女子高生のヒミツ メイキング映像 - YouTube

資生堂の化粧品CMなのだが。


先入観なしに見るとちょっと驚かされる。CMの中で撮影準備(メイキング)も紹介されるのが斬新だなあと思うが、ものすごい手間がかかった撮影でしみじみ感心させられる。
これだけの作業を同時並行に遅滞なくやれるというのはすごいなあ。

で、そのメイキングを見ていて思ったのだが、同一のシチュエーションでも男女で背景から小道具類まで細かく変更したところに感心した。たぶん、空間の有様も含めて、我々は「男っぽさ」と「女っぽさ」を識別しているのだ。それに気づかせてもらった作品だった。

それと、ちょっと気になるナゾが。
10秒のところでは手前の机に何も乗っていないのに、20秒の段階では何かが乗っている。どういう意味だろう?

で、以下のまとめを見ると、いろいろなコメントが。

資生堂の新CM 衝撃のラストにザワつくTL「プロすげえ」「パーカーの子だけは信じてたのに…」 - Togetterまとめ

皆さん眼力がすごいなあ。自分と全く反対の感覚を持つ人も沢山いるのが分かって驚く。
メイクの不自然さを指摘する声もあり、どの世界にも奥深い沼があるのだと知る。
男っぽさと女っぽさについて、正反対の感想を持つ人たちが現れているのも面白い。

境界線を踏み越えるようなものに出会うと自分の認識が揺すぶられて面白いのだけれど、それ以外に、他のいろいろな人たちの生に近い反応を見るのも、また自分の認識を揺すぶってくれる。それがまた面白い。

最後に、はてブにあった一言をメモ。

はてなブックマーク - 資生堂の新CM 衝撃のラストにザワつくTL「プロすげえ」「パーカーの子だけは信じてたのに…」 - Togetterまとめ

Reina タイの女の子を脅かして写真を撮った件でおおいに叩かれていた人だけど忘れられてるっぽい

aLa 資生堂は大橋仁なんて使ってるのか…「日本の新進作家 VOL.6」でタイの人達に人権侵害をした人だよね。このイケイケさんが未だアーティスト面して悠々生きていることが悲しい

タイの娼婦写真展「許可得ず撮影」が物議 東京都写真美術館「批判は真摯に受け止める」 : J-CASTニュース(2014/12/26 19:38)

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2015/10/19

とりあえずブクマ

何をしたいのかよく分からない。記事が当を得ないのか、元の主張がめちゃくちゃなのか。
NPO運営施設 市が直営化へ - NHK 首都圏 NEWS WEB(10月16日 18時16分)

さいたま市の市議会が16日開かれ、市民団体が会合を開く時などに利用している施設について、「一部の団体が政治的な目的で利用している」などとして、当面指定管理者のNPO法人による運営を停止して、市の直営にするとした条例案が、自民党や公明党などの賛成多数で可決されました。
さいたま市は、平成19年に、NPOやボランティアなどの市民団体が、会合を開いたり活動の紹介を行ったりする時に利用できる施設「市民活動サポートセンター」を設立し、指定管理者の「さいたまNPOセンター」が運営しています。
これについて、さいたま市の市議会が16日開かれ、自民党の議員が「利用団体の一部に問題があり、施設は適切に管理されていない」などと述べて、当面「さいたまNPOセンター」による運営を停止して、市の直営にするとした条例案の提案理由を説明しました。
これに対し、民主党の議員が「表現の自由や団体の活動の自由を侵す懸念がある」などと述べて条例案に反対しました。
このあと、採決が行われ、条例案は自民党や公明党などの賛成多数で可決されました。
条例案を提出した自民党の青羽健仁市議会議員は、「憲法9条や原発、拉致問題など、政治的なテーマを取り上げる団体に、公共施設が便宜をはかることは問題だ。決して表現の自由や政治活動を否定しているわけではない」と話しています。

さいたま市の市民活動サポートセンターはJR浦和駅前のビルにあり、市内の1700あまりの団体が登録しています。
16日も、お茶の愛好家や生涯学習のグループなど4つの団体が利用していました。
お茶の愛好家の団体の女性は「このように話し合いに使えるスペースはとても便利で、どのような団体も活動や言論は自由であり、制限すべきではない」と話していました。
また、拉致問題の団体の男性は「拉致被害者を救う活動は人権活動であり、なぜ問題なのか理解できない。今後、活動を理解してもらえるよう訴えていきたい」と話していました。
センターの指定管理者で、さいたまNPOセンターの村田惠子専務理事は「条例は、政治的な活動を制限するためとしか思えない。市民活動と政治活動の線引きは難しく、市の直営になったとしてもこれまでと変わらないと思う」と話しています。

分からない点は以下。
・市の直営にしたら政治利用の問題(?)が解決するのか?→現管理者も疑問を呈している。
・政治活動の規制を目的にしながら、政治活動の規制ではないという理屈がナゾ
・自民が9条や原発を目の敵にするのは分かるが拉致は右翼の十八番、自民の票田のはず。
・反社会的集団の利用阻止が目的かというとそうでもないみたい

ともあれ、市民活動の規制を自民が提案し、「平和主義」を標榜する公明が賛成する。公明党らしさが見事に現れているなあと思わされる一件。

下手をするとさいたま市が基本的人権侵害の憲法違反で訴訟を抱え込むことになると思うのだけど、自民公明の方々は、その尻ぬぐいをするつもりはまるでないのだろう。

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この前、身内が辛坊治郎の番組の視聴者だったと知り大いに落胆した。なぜかそのことを思い出した。

朝日放送:藤井聡教授の出演を当面見合わせ - 毎日新聞(2015年10月17日 13時26分(最終更新 10月17日 14時20分))

◇大阪維新の会、藤井氏出演でBPOに申し立て

 朝日放送(大阪市)は16日までに、二つの情報番組でコメンテーターを務めていた藤井聡・京都大大学院教授の出演を当面見合わせることを決めた。一方、「大阪都構想」を掲げる大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)は16日、藤井氏の出演は政治的な公平性を求める放送法に反すると、放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てた。

 藤井氏は5月の住民投票の際に大阪都構想に反対の立場で発信を続け、反都構想の急先鋒(せんぽう)として知られる。朝日放送広報部は「11月の大阪府知事・大阪市長のダブル選の投票日まで間もなく1カ月となることから、16日までに藤井氏と話し合いをし、出演見合わせを決めた」と説明。大阪維新の申し立てについては「出演見合わせの決定とは無関係」としている。

 田島泰彦・上智大教授(メディア法)は「(放送局の対応は)政党などの主張をそんたくしたように見える。公平性の確保には多様な意見を紹介すればいいわけで、出演見合わせという萎縮の方向はメディアとして好ましくない」と話した。


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以前、下のエントリで少し触れた件に関連した記事が出ていた。
全くの素人が口を出せる話でもないのだが: 思いついたことをなんでも書いていくブログ

ここでは、慶應義塾大学の細谷雄一氏が書かれたブログを参照して、内閣法制局は、細谷氏が言うほど頑強な抵抗勢力なのだろうかという疑問を呈した。
その疑問を補強するような記事が以下。

法制局:憲法解釈で主体的判断せず 「国会答弁おさらい」 - 毎日新聞(2015年10月16日 07時00分)

 政府の集団的自衛権行使容認の閣議決定(昨年7月1日)を巡り、内閣法制局が内部での検討過程を公文書として残さなかった問題で、この件を担当した当時の法制局参事官が取材に応じ、理由について「国会答弁のおさらいが多く、記録する性質の議論ではなかった」と説明した。「法制局は、ある意味受け身でしかない」とも語り、行使容認に伴う憲法解釈変更の是非を法制局が主体的に判断していなかった実態が浮かんだ。

 内閣法制局で憲法解釈を担当する第1部の参事官だった黒川淳一氏(現・農林水産省官房参事官)によると、閣議前日の昨年6月30日、内閣官房国家安全保障局から閣議決定案文を受け取り、横畠裕介長官らと相談。翌7月1日朝に決裁文書を起案し、午後には横畠氏の決裁を受け、午後の比較的早い時間に、国家安全保障局に「意見はない」と電話で伝えた。閣議決定は夕方だった。毎日新聞の情報公開請求で開示された決裁文書はA4判1枚。起案者は黒川氏で、横畠氏らが決裁印を押している。

 ただ、法制局は集団的自衛権の行使を巡る議論に以前から関与していた。

 開示文書によると、2013年2月に再開した安倍晋三首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に、当時法制次長だった横畠氏や黒川氏ら参事官もオブザーバーで出席。昨年5月に始まった与党協議会でも、会合ごとに事務局の国家安全保障局から資料を受け取っていた。この間、法制局内で「どこまでなら憲法上大丈夫か、という検討はしていた」(黒川氏)という。

 公文書管理法は、行政機関に意思決定過程の記録を義務づけている。黒川氏は同法について「意識していた」と述べる一方、閣議決定までの検討は「『頭の整理』というのが正直なところ」と話し、文書に残す対象ではないと考えていたことを明らかにした。法制局の役割については「受け身」と表現し、「我々の方で意思決定をする作業をしたわけではない」と話した。

 法制局の役割は、政府が作る法令の審査や内閣への法的助言。審査は厳格で「法の番人」と呼ばれ、民主党政権では自衛隊の海外での「駆けつけ警護」を認めなかったとされる。【日下部聡、樋岡徹也】

この記事で示されていることは、細谷氏の解説とは異なっているように見える。
・集団的自衛権を巡る問題では、早くから現政権と齟齬のない方向へ動いていたようだ
・反対に、民主党政権下では「抵抗勢力」として作用したと「される」とのこと。
このあたりのいきさつがどういうことかはよく分からないが、法制局が長官OBの絶対権力と組織の無謬性にこだわり、硬直化した法解釈を振りかざす頑強な抵抗勢力だというイメージが一面的であろうとは言えそうだ。

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ブラックパンサー党の日系人幹部リチャード・アオキはFBIの情報屋だったのか? | Democracy Now!(放送日: 2012/8/23(木))

ビデオ紹介だけど、動画は見るのに時間がかかるのが難点だなあ。英語スクリプト付き。
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知らなかった。

ご存知ですか - 知識 - 在日コリアンの人権について(3) - ひろげよう人権

(6)在日コリアンの国籍には、「韓国」籍と「北朝鮮」籍があるのですか?

……これは誤りです。
……このようにみると、「朝鮮」籍とは、単に出身植民地をあらわし、その後、「韓国」籍に変えなかったもので、「朝鮮」籍イコール「北朝鮮」籍でない……
……「韓国」籍を持ちながら北朝鮮を支持する人もいます。また、どちらも支持しないという意味で当初の「朝鮮」籍をそのままに残している人もいるのです。

(9)在日コリアンと結婚するのですが、子どもの国籍はどうなりますか?

《父が日本国籍、母が韓国(朝鮮)籍の場合》
子は日本と韓国(朝鮮)の重国籍です。出生届の提出により、父が日本人ですから子どもは日本国民として扱われ、父の戸籍に記載され、父の日本姓を名乗ることになります。

《父が韓国(朝鮮)籍、母が日本国籍の場合》
子は韓国(朝鮮)と日本の重国籍です。しかし、出生届の提出により母が日本人ですから日本国民として扱われ、母の戸籍に記載され、母の日本姓を名乗ることになります。
この場合、子は父の姓を名乗ることはできません。

 子が父と同じ韓国(朝鮮)籍を取得するためには、日本国籍を離脱する手続きが必要となります。この国籍離脱手続きをしない場合でも、子は22歳までに国籍選択(日本国籍、韓国籍、朝鮮籍)をしなければなりません。
 
 なお、在日コリアンと日本人との婚姻において、国籍の変動(国籍の得喪)はありません。一方の配偶者と同じ国籍を取るためには、国籍取得の手続きを取らねばなりません。在日コリアンの配偶者が日本国籍を取ることは可能ですが、日本人配偶者が韓国あるいは北朝鮮国籍を取ることは、日本、韓国、北朝鮮の戸籍法または国籍法の関係から事実上、不可能といえます。

記事の掲載日を書いてほしいなあ…。

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DHCのターゲットマーケッティングが話題に。そして高まる「不買」の声 - Togetterまとめ

DHCが愛国的なメディア活動。
会長さんの経歴と関係するとか。国士さんたちの仲間分けに便利かもしれない。

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勉強になる。
安倍首相が後継指名? 稲田朋美政調会長に「TPPは日本の墓場」と反対していた過去が…二枚舌も安倍首相並みか|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見(2015.10.14)

稲田氏は以前、TPP反対議連の幹事長だった。現在は政調会長。

稲田氏の論調
2011年11月頃

「TPPは米国の輸出拡大と雇用創出のためにある。普天間で怒らせた米国のご機嫌を取るために交渉に入るとすれば、政権維持のために国を売る暴挙だ。これ以上の失政の上塗りはやめるべきだ」
「TPPは米国の基準を日本が受け入れ、日本における米国の利益を守ることにつながるからだ。それは、日本が日本でなくなること、日本が目指すべき理想を放棄することにほかならない。TPPバスの終着駅は、日本文明の墓場なのだ」
2012年1月頃
推進派はなぜか楽観的で『バスに乗り遅れるな』と言うけれど、行き先を分かっているのかと疑問です。どこに連れて行かれるか分からない、しかも途中下車もできないバスに国民を乗せるわけにはいきません。バスは乗り遅れるかじゃなくて、行き先が重要でしょう?
農業だけの問題じゃない、日本の文明、国柄の問題なんです。これにどうして保守派が強硬に反対しないのかが、とっても不思議
2015年10月頃
TPPはアジア太平洋地域の未来の繁栄につながる枠組みだ。今後、国内で真に強い農業をつくっていくことはもとより、TPPがわが国の経済再生、地方創生に役立つものとなるよう、万全の施策を講じて参りたい

意見を正反対に変えた理由として稲田氏が述べた言葉(2015年9月)
TPPに関しては大きな議論がありました。実をいうと、私も民主党政権時代はTPPに反対していたんです。TPP反対議連の幹事長をしていたんですが、それは民主党政権ではTPPというたいへん大きな国益のかかった外交交渉ができないと思っていたからであって、安倍政権におけるTPPについては、私は推進すべきだと思っています

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エミコヤマさんはTwitterを使っています: "代表者となっているのは、ルイジアナ州選出のヴェトナム系アメリカ人の元下院議員と、同じくルイジアナでヴェトナム系アメリカ人の経済活動関係の団体をしている人。でも住所はワシントンDCの私書箱。"
韓国軍性的暴力問題で朴槿恵大統領に謝罪要求の在米ベトナム系団体は日本政府絡みの「偽装団体」? - NAVER まとめ

下記の報道に関する話。
ベトナム戦争:「韓国兵から暴行」朴大統領に謝罪要求 - 毎日新聞(2015年10月17日 23時42分)

 ベトナム戦争に参戦した韓国兵から性的暴行を受けたとして、被害者のベトナム人女性を支援する米団体が16日までにワシントンで記者会見し、訪米中の朴槿恵大統領らに謝罪を求める手紙を送ったことを明らかにした。

 会見を主催した「ボイシズ・オブ・ベトナム(ベトナムの声)」は、「当時13歳の少女を含む若くて何の罪もないベトナムの女性が人生を台無しにされた」と主張。テレビ会議でベトナムから参加した60歳の被害者は「私も、私の母も暴行された。韓国政府には正義を求めたい」と訴えた。

 手紙は、韓国出身の潘基文国連事務総長らにも送付。この団体は15、16両日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙に、朴大統領に謝罪を求める全面広告も出した。

 団体は、推定「数千人」の女性が「組織だった」性的暴行の被害に遭ったとしているが、会見の質疑ではその根拠は示さなかった。(共同)

この主催団体がどうもうさんくさいという話。韓国の戦時性暴力に対する他の運動体と何ら関わりなく、突然現れてきたこと、他に活動履歴らしいものもないこと、日本政府ロビーの企業と関係があるらしいことなど。ふーむ……。
韓国政府が責任追及されることは当然だが、政局の手段とされるのなら問題がさらにこじれてしまう。

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原発推進サンケイの腹黒い記事 - 諸般の事情はどうですか

反原発運動の態度が悪いという産経の話。

上記に書いたように、こういう感情的な気分を引き起こさせ、ひいては市民間の対立を煽り、分断を図ろうという腹黒い感じの深謀遠慮がチラホラとしていて、原発推進安倍政府を擁護する立場のサンケイ新聞の「ひととして最低限のルールだ」などと正論()なオブラートに包む、姑息でいやらしさ溢れる吐き気しかしない記事。
まあ、デモやストでさんざん煽られた分断的言説ですな。
抵抗権をどう考えるかという問題にもつながるけれど、実際、こういうナイーブな生理的反発を考慮せざるを得ないのがマイノリティの辛いところ。そうでなければ無抵抗主義など考える必要もないわけで。

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はてなブックマーク - 「事故なら日本の原子力政策終わる」 川内再稼働に知事:朝日新聞デジタル(2015/10/15 12:31)

鹿児島県の伊藤祐一郎知事は15日、記者会見で「重大事故で住民が避難することになれば、我が国の原子力政策は終わる。それくらいの認識で原子力規制委員会も審査をしていると思うし、電力会社もその気持ちで対応してほしい」と述べ……
現場の「気持ち」はそうかもしれないが、政財界のトップは「別に終わらないけど?」ぐらいなことだろう。
なお、鹿児島県と薩摩川内市にとっては、原発稼働よりももっと大きな新増設と更新への期待があるので、「原発=安全」という命題を疑うことは絶対にできない。最終処分場の立地指定に期待している人たちもいるくらいだし。

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森山農水相側に献金698万円/談合で指名停止の業者から/菅官房長官“問題ない”(2015年10月16日(金))

2010年11月、公正取引委員会が鹿児島・熊本両県の31社に排除命令、鹿児島県も指名停止。
森山氏、11年、12年とこれらの業者の一部から献金を受け取り継続。
2013年、鹿児島県が業者に違約金請求、業者調停申し立て、森山氏に献金、その後違約金減額へ。

 また、指名停止となった業者のうち、第5選挙区支部に最高の毎年60万円の献金をしていた同県肝属(きもつき)郡の業者が、国土交通省九州地方整備局の東九州道や、同大隅河川国道事務所の護岸補修工事など公共事業を多数受注しているなど、森山氏側への献金は“税金還流”でもあります。
この「肝属郡の業者」が気になる……。

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たしか最近更新されたばっかりだったと思うんだけどな。

財務省 経済統計の取り方など見直し要請へ NHKニュース(10月18日 0時23分)

財務省は、物価などの政府の統計が経済の実態を十分に反映していないとして、統計の取り方などを見直すよう、総務省や国土交通省などに求めていくことになりました。
物価などの統計は、景気の動向を調べたり経済対策などを策定したりするうえで極めて重要な役割を果たしています。
しかし、総務省が発表する消費者物価指数では、調査品目に、急速に拡大しているインターネット通販で売買されている商品の価格が反映されていないのが実情です。
また、消費支出などの家計調査も、調査対象となる世帯主の半分以上が60歳以上となっていて、高齢者の消費動向に偏っているのではないかという指摘も出ています。
このため麻生財務大臣は、16日に開かれた経済財政諮問会議で、政府の統計が経済の実態を十分に反映していないとして見直しを提案しました。
財務省では今後、経済統計をまとめている総務省や国土交通省などに、統計の取り方や項目の対象について具体的な見直しを求めていく方針です。
物価調査の品目見直しは定期行事なので、よほど経済情勢が大きく変化していない限り、定番の更新ペースでいいと思うのだけれど。家計調査のサンプリングが難しいのは昔からの難問で、今更のことではないし、そのあたりを考慮しても調査結果はひどく悪くはないというのが定評だったと思うのだが。
緻密に調査しろというのなら、予算と人を手当てしてくれないかな?
あと、関係ないけど都道府県の商業実態調査を復活させてほしいなあ。

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2015/10/18

人身売買と奴隷制は維持するが、人権救済はしないという法務省

法務省:難民認定制度の運用の見直しの概要について(平成27年9月15日法務省入国管理局)添付資料:難民認定制度の運用の見直しの概要
法務省:難民認定制度に関する検討結果(最終報告)
第6次出入国管理政策懇談会・難民認定制度に関する専門部会「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」平成26年12月

法務省の言い分は、
1.「真の難民」(……苦笑)は実はとても少ない。
2.難民を偽装する人からの申請件数がほとんどを占めている。
3.だから、「真の難民」の人権救済が滞っている。
ということみたい。
で、どうして難民を偽装する人が多いのかというと、
難民申請をした人を甘やかす制度だから(在留や就労の許可が下りやすいから)
ということだそうだ。
だから、法務省としては、
難民認定制度を厳しくする(在留や就労の認定を厳しくする)
という理屈だそうだ。

で、以下のNHKの説明はこの法務省の現状認識に沿った論調で書かれているが、同時に、

・なぜ難民申請が増えているのか
・「真の難民」は法務省の認定数ほど少ないのか

というあたりに少し触れていて、苦しい胸の内が垣間見える。
もっとも、結局は技能実習制度も改善するよ!という政府の宣伝をしているわけだが。

法務省の上の資料の中だけでも不思議なことはいろいろあって、例えば、

平成26年に難民申請を却下した(つまり処理済み)件数のうち、難民条約上の迫害理由に明らかに該当しないのは30%だけなのに、これが「真の難民」救済の主たる阻害要因だとしていることとか、
片端から門前払いするから、そうされた人が再申請をして、その結果積み残しが増えていることとか、
考えてみるとあれこれ出てくるわけである。

失踪の外国人実習生 400人余が難民申請 NHKニュース(10月18日 18時55分)


働きながら技術を学ぶ「外国人技能実習制度」で来日した外国人が、相次いで実習先から失踪したあと、去年400人以上が難民申請し、中でもミャンマー人は失踪した人とほぼ同数の100人以上に上っていたことが分かりました。難民申請から一定期間がたてば原則として就労が認められる制度を悪用しているものとみられ、専門家は「本来救うべき難民の審査に影響が出ており、制度の見直しが必要だ」と指摘しています。
「外国人技能実習制度」は外国人に日本で働きながら職業技術を学んでもらうものですが、事実上、人手不足が深刻な業種で安い賃金で働く労働力を確保する手段になっていると指摘されています。また、低賃金や残業代の未払いなどから実習先の職場から失踪する実習生が相次ぎ、その数は去年1年間で4800人余りに上るなど大きな問題となっており、さらに、この数の1割近い414人が失踪後、難民申請していたことが分かりました。
中でも、ミャンマー人の申請者は106人で、失踪した107人のほぼ同数に上っていた実態が、NHKが独自に入手した法務省の資料から明らかになりました。
日本の難民認定制度では、生活支援のためとして申請から半年たつと原則として就労が認められていて、難民申請をした元実習生のミャンマー人男性はNHKの取材に対し、「できるだけ稼いで帰りたい」と話すなど、より高い賃金を求めて自由に仕事を選ぶために難民申請したとしています。
この問題に詳しい首都大学東京の丹野清人教授は「実習生に低賃金で仕事をさせていることが失踪につながり、難民申請が悪用されているとみられる。本来救うべき難民の審査に影響が出ており、技能実習制度そのものを見直す必要がある」と話し、救うべき難民の保護に影響が出ないよう対策を講じる必要があると指摘しています。

難民申請 より高い賃金を求めて

技能実習生として来日したあと難民申請したミャンマー人の男性はNHKの取材に対し、「難民申請して日本で働き、できるだけ多く稼いで帰りたい」と話し、自分が難民には当たらないという認識を示しました。
ミャンマー中部の町出身の20代のこの男性は、技能実習生として東海地方の工場で働いていましたが、同じ工場で働いていた仲間のミャンマー人が次々と失踪していくなか、ことし2月に職場を去り、難民申請したということです。
男性は現在アルバイトを2つ掛け持ちして朝から深夜まで働き、毎月、実習生のときの3倍に当たるおよそ30万円を稼いでいるということです。
男性はNHKの取材に対し、「実習生のときは手取りが10万円を下回るときもあった。もっと稼げると思って来日したので、より稼ぐために難民申請した。申請の方法は友達に教えてもらった。日本でたくさん稼いだあとミャンマーに帰り、自分で商売をしようと考えている」と話し、より高い賃金を求めて自由に仕事を選ぶために難民申請したとしています。

外国人技能実習制度とは

「外国人技能実習制度」とは、外国人に日本で働きながら技術を学んでもらおうという制度で、現在、全国で18万人以上が建設現場や工場、それに農業や漁業の現場で働いています。
本来の制度の目的は、日本の技術を伝え、発展途上国の人たちの人材育成を進めることです。ただ、日本政府は去年決定した成長戦略で、国内の労働力不足を補うことなどを目的に技能実習制度を拡充する方針を打ち出していて、事実上、人手不足の業種を支える労働力の供給源となっていると指摘されています。
一方で、実習生が実習先の企業などを離れて失踪するケースが増え続けていて、その数は去年1年間だけで、これまでで最多の4800人余りに上り、大きな問題となっています。
背景には、実習生として働ける期間が最長3年と限られていることや賃金の未払い、それに違法な長時間労働の実態があると指摘されていて、海外からの批判の対象にもなっています。
このうちアメリカ政府は、世界の人身売買の実態をまとめた報告書の中で、日本の外国人技能実習制度は強制労働に悪用されるケースが後を絶たないとして9年連続で批判しています。
こうした批判を受けて、日本政府は、実習生として働く外国人の保護を目的に、実習生を受け入れる団体や企業を指導・監督する新たな組織を設置することを決めるなど、対策に乗り出しています。

日本の難民認定制度と実態

日本は、政治的な迫害から逃れた人たちを保護する目的で作られた国際的な難民条約に加盟していて、法務省の入国管理局が、条約で定義される難民に該当するかどうかを申請に基づいて判断します。
日本で難民の認定を求める申請を行った外国人は、5年前は1200人余りでしたが、去年は5000人と、難民認定の制度が始まった昭和57年以降、過去最多を更新するなど、ここ数年急増しています。
また、難民申請をした外国人のうち、技能実習生として来日した外国人からの申請も増え続けていて、去年1年間で414人と前の年の3倍以上、3年前の10倍近くに上っています。
一方で、難民と認定された人は11人で申請者全体の0.2%にとどまり、毎年、数千人規模で難民を受け入れているヨーロッパ各国などと比べると、日本の難民認定は厳しいとの指摘があります。
これに対して、法務省は「就労や定住を目的とするなど難民の要件に該当しないケースが増えてきている」としています。
このため、法務省は先月、難民認定制度の運用を見直し、明らかに難民とは認められないような理由で申請した場合や、正当な理由がなく何度も同じ理由で申請する場合は、本格的な審査に入る前に判断を下して速やかに申請を却下するなど、対策を強化する方針を明記しています。

失踪したミャンマー人実習生のほとんどが難民申請し、その数が前年から急増したという件は、おそらく彼らの中にそういう情報が流れたんだろう。
この種の事案はすぐに穴がふさがれてしまうからすぐに収まると思うが、「ずるがしこく、罪の意識もない悪質外国人に常に狙われている俺たちの日本」というイメージ作りに使われるんだろう。

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風邪引いて辛いのにやむを得ず仕事しているが、あまりにアレなのでメモ

体温が38度から下がらず吐き気が続いているのだが、一瞬の清涼剤になった。

はてなブックマーク - 中曽ちづ子さんはTwitterを使っています: "★至急、拡散、アリさんマークの引越社はブラックではない、 愛国優良企業だ!!  靖国神社に幹部全員で初詣、参拝 永年勤続表彰、家族旅行プレゼ

★至急、拡散、アリさんマークの引越社はブラックではない、
愛国優良企業だ!! 
靖国神社に幹部全員で初詣、参拝
永年勤続表彰、家族旅行プレゼント
配偶者のお誕生日は祝い金と有休プレゼント

元ネタ
★至急、拡散、アリさんマークの引越社はブラックではない、愛国優良企業だ!! |秋田美輪さんを救う川西市民の会・教育をよくする会 中曽千鶴子ブログ

中曽千鶴子さんってアレ界隈で有名な方ではないですか。

■残業手当は、一分刻みで、きっちりと全部支給されるそうで 未払いはないと労働基準局が認めているそうです。
事実とすれば大変結構な話。 ていうか、労働者からすれば自己の労働サービスの売上代金なのだから、残業代は支払われて当然のもの。店で商品を買って代金を支払わなかったら万引きと同じでしょうが。 当たり前のことをしているだけで「優良企業」の証のようにされるのは、日本の労働環境のひどさの例証となってますな。 あと、「労働基準局」はたぶん労働基準監督署の間違いでしょうなあ。

そんなネタはどうでもよくて、ちょっと興味深かったのは以下。

■社員の配偶者、奥様のお誕生日を会社あげてお祝い、
お祝い金が出るそうです。
そして、奥様のお誕生日には、有給休暇ももらえるそうです。
従業員本人ではなく、その家族を対象とした報奨を出すという制度では、アレさが際立つフジ住宅もやっていた。

フジ住宅と今井光郎氏の研究会: 思いついたことをなんでも書いていくブログ

「だれかのため」が良い連鎖を生む例が「親孝行月間」です。年に1度、全社員約1100人に1万円を支給し、親孝行を呼びかけます。一見、仕事と無関係ですが、人を喜ばせる力がつき、自己肯定感が高まります。実施後は「お客様に喜んでもらいたい」「仕事への意欲が高まった」など、前向きな感想が寄せられます。
……中略……
(※)親孝行月間
毎年4月1日にパート・派遣を含む全社員約1100人に1人1万円を支給。平成16年から導入し、必ず親のために使う(用途は自由)ことと、どのように使ったかを感想文として提出することを課している。
私はこれを評して「儒教的家族主義の麗しさへの陶酔」と書いたのだが、この種の愛国さんたちに共通する性向なのかもしれない。

どうでもいいが、中曽千鶴子さんのブログ、個人口座へカンパを募っているのな。愛国ネタは儲かるのだろうか。

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時間が経つと背景事情が分からなくなるので、簡単に経緯をまとめておく。

●そもそもの話

アリさんマークの引越社がブラック企業だと話題になっている。

アリさんマークの引越社経営陣が「弁償金制度」で懲役10年を求刑される可能性があるって本当!?(榊裕葵 社会保険労務士) : シェアーズカフェ・オンライン(2015年08月03日 05:00)

アリさんマークの引越社に対し次々と訴訟が起こっているが、中心的な問題点は、同社が社内制度として運用している「弁償金制度」である。

従業員や元従業員が、弁償金制度により違法に天引きされた賃金を取り返そうとして訴訟を提起しているのだ。

アリさんマークの引越社を社員が損害賠償求め提訴 - 社会 : 日刊スポーツ(2015年10月1日9時48分)

 「アリさんマークの引越社」で知られる「引越社関東」社員の男性(34)が9月30日、労働組合への加入をきっかけに不当な異動や「罪状」と題した懲戒解雇処分を伝える文書を全支店に掲示され名誉を傷つけられたとして、会社を相手に東京地裁で係争中の訴訟に損害賠償を加え、記者会見に応じた。同グループの引越社(名古屋市)や引越社関西(大阪府)も、引っ越し作業で生じた弁償金を従業員に負担させるのは違法だとして8月までに訴えられている。
 ◆アリさんマークの引越社を巡る訴訟 7月31日、引越社と引越社関西の元社員とアルバイトの20~30代男性12人が2社を相手取り、支払った弁償金と不当に減額された賃金など計約7000万円を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。10月6日には、元従業員の4人が引越社関東に対して起こした名古屋同様の訴訟が東京地裁で行われる。

プレカリアートユニオン : 『週刊ポスト』に「アリさんマークの引越社高額弁償金問題」

『週刊ポスト』2015年2月20日号「アリさんマークの引越社高額弁償金問題」掲載

アリさんマークの引越社を相手取って提訴!みんなで弁償金を取り戻しましょう!!:プレカリアートユニオン

これによれば、

1.2014年夏、アリさんマークの引越社から弁償を強いられて困った30代の男性がプレカリアートユニオンに相談 → 団体交渉 → 弁償金を取り戻し、会社と和解。

同様のことがつづく → 労働者の損害賠償額の上限を3割にすることを会社が認める
※本来、労働者の賠償は故意や重過失のときに限られるので原則負担率はゼロとすべき。

2.これらのユニオン加入は退職者が中心 → 在職者も加入するように → 会社が組合対策を始める。
・業界紙記事を支店内に掲示。
  「合同労組に加入すると一生再就職できない」
  「ユニオンに加入するとお金をとられる」など。
  ※まあ、どこの労組でも組合費はかかるからウソとは言えないが、それをデメリットとするのはどうかね。

・名古屋で「組合員を組合から脱退させたら1人10万円払う」として数人を組合から脱退させる。
  →ユニオン側が東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立て

・「司法の判断を仰ぐ」として団体交渉では問題を解決しないと会社が宣言

3.12名が7月31日に名古屋地裁に提訴
  第2次、第3次の集団提訴も計画中。

ユニオンによれば、

違法な天引き・賃金減額・乱高下する賃金

引越社は、事故・破損等の弁償金や、制服代の支払い等の名目で賃金からの天引きを行ってきました。また、引越社は、「業績不振」を理由に、毎月、2~5%程度の賃金の減額を行ったり、客観的な基準がないまま行われるランク付けにより毎月賃金額が乱高下する仕組みになっていました。このような様々な減額により、引越社の給料明細をみても、賃金の支払い根拠がほとんど分からないような状態になっています。

固定残業代制の悪用と過労死ラインを超える長時間労働

もう一つの争点は、引越社が導入している固定残業代の違法性です。引越社は、労働者にまともに説明しないままに、支払うべき月額賃金の内側に固定残業代を設定し、残業代の抑制をしてきました。賃金の天引きとあいまって、給料明細を見ても、残業代の支払い根拠が全く分からない状態になっています。そのような状況の下、過労死ラインを超える長時間労働が横行していました。

事業の運営上のコストを労働者に転嫁

そして、さらにもう一つの争点は、会社に対して返済させられた弁償金を取り返せるか否かです。本来、事業の運営上生じたコストは事業者(会社)が負担すべきものです。労使関係を利用し、弱い立場にいる労働者に無理に支払わせた弁償金を後から取り返せるかが注目されます。

とのこと。

で、話題が広がったきっかけがたぶんこれ。

スピン経済の歩き方:アリさんマークの引越社が「恫喝映像」をネットに流されてしまった理由 (1/5) - ITmedia ビジネスオンライン(2015年10月13日 08時00分 更新)

 先週、「アリさんマークの引越社」と訴訟中の社員が加入している「プレカリアートユニオン」が、ネットにあげた映像が話題になった。

 「何をぬかしとるんや、コラァ!」

 「ワレェ! 謝ったらなにしてもええんか?」

 ビジネス街ですごむスーツ姿の男性たち。周囲が「そういう言い方はやめたほうがいい」などとなだめるも聞く耳をもたずメンチをきる――。このシーンだけを見ると、Vシネ的ソッチ系の方たちが、一般市民にからんでいるように見えるが、そうではない。

 プレカリアートユニオンとその上部団体である全国ユニオンが、東京・日本橋にある「関東引越社」前で昼休み時に拡声器で街宣活動を行っていたところ、周囲に迷惑だからやめるようにと言いに来た「引越社の幹部」で、そのなかのおひとりが撮影者に足を踏まれたことで激昂(げきこう)されてしまった場面なのだ。

問題の動画がこれ。
アリさんマークの引越社「追い出し部屋」事件 社前抗議行動 2015年10月1日 懲戒解雇撤回されるも「罪状ペーパー」が増えていた! - YouTube
仕事中の荷物破損や車両事故の損害を給与から天引きされたり、借金として背負わされ、「アリ地獄」と揶揄される弁償システム。
長時間労働の一方で未払いの残業代。一方的に減額される賃金。
ブラックな労務管理を改善しようと勇気を持って立ち上がった社員(34歳)が、プレカリアートユニオンに加入し、交渉を開始すると、不当な配転をされ、「追い出し部屋」であるシュレッダー業務に異動させられた。
不当配転に対し、配転無効の確認を求める裁判を起こしたところ、違法に懲戒解雇された上、「罪状」と書かれた名誉毀損の掲示物を全支店に張り出された。懲戒解雇は撤回されたものの、一切の謝罪も名誉回復もないため、懲戒解雇までの一連の不当労働行為に対する損害賠償請求と、名誉毀損に対する慰謝料の請求を追加した。

2015年10月1日に職場復帰を果たしたが、「追い出し部屋」であるシュレッダー業務を強いられ、名誉毀損の掲示物はむしろ増えているという有様。会社に反省の色はない。プレカリアートユニオンと上部団体の全国ユニオンが会社の前で抗議行動を行い、昼休みに当該組合員の話を聞いた。

で、この「シュレッダー業務」に配置転換した社員を攻撃する掲示がまた話題になった。
現代の風景 - 随想 吉祥寺の森から : アリさんマークの引越社 空雅英、角田時男、角田朝男、井ノ口晃平(2015年10月04日21:19)

このブログでその一部の写真を見られる。たとえば、

「北朝鮮人は帰れ!」
 
 「過激派の流れを汲むような怖い人は去れ!」
などとある。実に愛国企業らしい香ばしい悪罵だなあ…。

ちなみに、会社が「罪状」として掲示した懲戒解雇の理由は以下の通り。
1.会社の業務上の機密事項及び不利益となる事項を他に漏らした。
2.会社の職制を中傷又は誹謗し職制に反抗
3.短期間において遅刻が複数回あった
4.自己の権利を主張し、職責を果たしていない
とのこと。

それを受けて、

上記の通り、数多くの項目で就業規則に抵触する為、厳しい処分が決定されております。
世の中、まだまだ非常に厳しい状況です。
「懲戒解雇」になった場合、再就職先があると思いますか?家族を誰が養うのですか? (赤字で)「一生を棒にふることになりますよ。」
会社に従事するに当たっては個々十分に会社のルールを遵守し、業務を行ってください。
この掲示物は、引越社グループ人事部名で出されている。「懲戒解雇の場合、退職金等の支払いはありません」とわざわざ赤字で強調しているのもなかなか香ばしい。

ほかに、この人のプライバシー情報も社内に掲載したりしたとか。
また、上の動画でユニオン側に怒鳴っている人たちは「井ノ口晃平副社長ら管理職」だという。

*******************************
追記(2016年6月29日)

その後も引越社は態度を改めようとはしていないようで、まともに団体交渉をするつもりもないらしい。ユニオンのブログにリンクしておく。

[(アリさんマークの)引越社ユニオン] - プレカリアートユニオン 非正規雇用でも若い世代の正社員でも組合を作って労働条件をよくしたい!

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2015/10/16

シベリア抑留記憶遺産:菅氏がロシア側と協力関係があったと発言

時事ドットコム:ロシアの批判に反論=菅官房長官(2015/10/15-17:27)

 菅義偉官房長官は15日午後の記者会見で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産にシベリア抑留の資料が登録されたことを受け、ロシア政府が「ユネスコの政治利用」と日本を批判していることについて、「(登録は)ロシアのナホトカ市の議会の協力を得ていて、広い視点から世界的な受容性もある。全く違う」と反論した。

平成27年10月15日(木)午後 | 平成27年 | 官房長官記者会見 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ開始1分10秒頃から

……そういう意味で広い視点から世界的な重要性があるということで今回ユネスコの国内委員会から推薦された。ロシアと連携しながらやっているということで全く違う。
おそらく政府が舞鶴市やユネスコ国内委員会に経緯を確認していると思うので、事実関係はたぶんあまり間違っていないだろう。

ただなあ…地方自治体レベルでのやりとりだからなあ…。中央政府が「そんなの了解していない」という理路は残っているわけで、どこかの愛国まとめサイトみたいに「完全論破」ということではないだろう。

あと、自国の加害事実に向きあうナホトカ市の対応と南京事件に対する日本側の反応との違いを無視することもできないだろう。
菅氏が「中国が一方的に」と言っているけれど、日本側からの働きかけは中国の意図をくじこうとするものばかりなのだから、そりゃそうなるよね…と思う。
本来なら共同提案で日中の残った文書を網羅的に蒐集するぐらいがそりゃ望ましいわけで。でも絶対にそういうことは日本側が認めないからなあ。

日本政府がこういう文脈でしか戦争資料を捉えられないのなら、特攻隊資料の申請は止めた方いいだろうね。自国擁護の色彩が強すぎて、それこそ政治問題化のタネになりかねない。

****************
追記(2015年10月23日)

菅氏の反論への反論かな?

シベリア抑留資料登録 ロシアが日本非難強める NHKニュース(10月23日 9時59分)

ユネスコ=国連教育科学文化機関の「記憶遺産」に、いわゆるシベリア抑留などに関する資料が登録されたことについて、ロシア外務省は、「日本の歪んだ戦争認識のもとで資料の収集が行われた」と述べ、日本への非難を強めています。
ユネスコ=国連教育科学文化機関は、今月、開かれたユネスコの国際諮問委員会で、日本が申請していた、いわゆるシベリア抑留や、戦後、旧満州などから引き上げた人たちに関する京都府舞鶴市の資料を、「記憶遺産」に登録しました。
これについて、ロシア外務省は22日、コメントを発表し、「ロシアは、24年前の日本とソビエトとの合意に基づいて、情報や資料の提供で日本に協力してきた。しかしながら、日本の歪んだ戦争認識のもとで資料の収集が行われたといわざるをえない」として強く反発しました。そのうえで、「このようなことでは、日本が第2次世界大戦での攻撃的な行動について心から反省しているか疑問を抱かせる」と述べて日本を非難しています。
この問題を巡っては、ロシア側が「政治利用だ」として日本側に申請の取り下げを要請したのに対し、日本側は応じられないという考えを示しています。ロシアはあくまでも2国間で解決すべきだという考えを示していて、日本への非難を強めています。
ロシア側の論理が、日本政府の中国批判と全く同じであるところが何とも言えない。

ロシアに都合のいい主張パターンを与えてしまったし、しかも加害責任を隠蔽する意図を公然化させてしまった。

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ブックマーク的に

ドワンゴの川上量生氏 小沢一郎氏に献金していた過去明かす - ライブドアニュース(2015年10月15日 11時49分)
「ドワンゴ会長の川上量生氏 小沢一郎氏に7年間献金していた」とのこと。
ふーん、という感じ。

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韓国軍の性的暴力訴え大統領に謝罪要求 NHKニュース(10月16日 8時11分)

韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領のアメリカ訪問に合わせて、在米ベトナム人などの団体がベトナム戦争で多くの女性が韓国軍の兵士による性的暴行の被害を受けたと訴え、パク大統領に謝罪を求めました。
韓国のパク・クネ大統領は今月13日からアメリカを訪れ、16日にはホワイトハウスでオバマ大統領と首脳会談を行う予定です。これに合わせて、在米ベトナム人などの団体が15日、ワシントンで記者会見し、ベトナム戦争当時、数千人のベトナム人女性が韓国軍の兵士から性的暴行を受けたと訴えました。
記者会見には、被害に遭ったというベトナム人女性4人がテレビ電話で参加し、このうち60歳の女性は、家族で営んでいた商店を訪れた韓国軍の兵士から、母と自分の2人が性的暴行を受けたと訴えました。この団体は、アメリカの新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」の15日付けの紙面に広告を掲載し、訪米中のパク大統領に対し、被害者に公式に謝罪するよう求めています。
今回の記者会見について、韓国政府はこれまでのところ、公式な反応を示していません。
慰安婦問題に対する自らの冷淡さを棚に上げて、韓国の対応を非難・嘲笑する言説があふれかえるんだろう。
「日本はとっくに謝罪も賠償も終えている!」…みたいな。

朝日、毎日あたりがどう反応するかが一つの見所か。NHKや日経を含む他のメディアは既に暗黒面に墜ちているし。毎日も嫌韓色が妙に強いしアジア女性基金路線に親和的だから、えぐいコラムが出てくるのではないか。朝日は慰安婦問題で完全に萎縮してしまっているから論評すらしないかもしれないな。

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なぜユネスコを恫喝するのか:日経ビジネスオンライン(小田嶋 隆 2015年10月16日(金))

中国の「政治利用」は批判すればいいが、それは中国に言うべきであってユネスコに言うのはお門違いだという話。小田嶋氏が「政治利用は悪い」と思っているのかもよく分からない。「悪いと思うのなら言えば?」みたいに見える風見鶏らしいコラム。どちらにせよばかばかしいけど。

このコラムに付いたコメント群
読者の皆様からのフィードバック
はてなブックマーク - なぜユネスコを恫喝するのか:日経ビジネスオンライン

まあ「日本の主張は正しいが、主張方法が悪い」という意見など。
「朝鮮人を「区別」するのはいいけど、在特会のやり方にはついていけないよね」ってのと同じですな。

ちなみに、2015年10月16日お昼頃の「日経ビジネス」アクセスランキングはこんな感じ。

1位大陸と付き合ってろくなことはない
2位なぜユネスコを恫喝するのか
3位香港吉野家「福島産は使ってない」が生んだ懸念
4位エイベックス、JASRAC一社独占市場に風穴
5位2020年、中国未婚男性3000万人の危機
6位ファミマ・ユニー統合、「対等」が足かせ
7位ニューノーマルになった日本人の「韓国嫌い」
8位養殖の時代、いけすのマグロ1000匹はどう数える?
9位TPPで農業を対中戦略の犠牲にするな!
10位タイの人々よ、これが日本のクリーニングだ!
11位メルケル首相の歴史的決断に国内世論が変化
12位トヨタと旅館の生産性を比べてどうするの?
13位VW問題、専門家が見る不正の背景とからくり
14位ロードスターと「すみっコぐらし」の共通点
15位オランダで今、カイゼンが熱い
16位中国初のノーベル医学・生理学賞が浴びる苦言
17位詐欺サイトで買い物をするとどうなるか?
18位本当は「働きたくない」だけなんじゃないの?
19位配車サービス「Lyft」のドライバーに聞いた「怖い体験」
20位朴大統領は中国パレード観閲をどう説明するのか
見事に、中国・韓国を敵視したりさげすんだりする記事が並んでいる。あとは「ニッポンすげー」的なもの。
「ビジネス誌」なんだよね、これ?しかも「日経」というブランドが付いた。

ベスト20の内、国地域で分類するとこんな感じ。
中国・韓国:8本
国内関係:7本
アジア(タイ):1本
欧米関係:4本

しかもアジア(タイ)の1本と欧米の1本は「ニッポンすげー」的翼賛記事。

こういうのが売れるんですねえ、今のニッポンでは。

実はこのランキングは「日経ビジネス」のトップ画面にある記事一覧とよく似ている。
つまり、日経ビジネスがどういうネタを売りたいかともこのランキングは連動しているから、日経ビジネスの姿勢や方向性もまた現れているといえる。

このランキングトップにある「大陸と付き合ってろくなことはない」という情けないタイトルの記事は、次の二人の対談記事。

・鈴置高史氏:日経新聞社編集委員
・坂巻正伸氏:日経ビジネス副編集長

なんでも、「早読み 深読み 朝鮮半島」という鈴置氏の連載150回記念なのだそうだ。

その総集編的意味合いを込めて、日経の社を挙げて付けたタイトルが「大陸と付き合ってろくなことはない」とのこと。
……しかも、この連載のタイトルは「朝鮮半島」なのに、なぜか「大陸」への総合評価をしていたらしい。不思議だなあ(棒)

ところで、この名前どこかで見たなあと思ったら、以前触れていたのだった。
同じ穴のなんとやら: 思いついたことをなんでも書いていくブログ(2013/06/20)

2年経ち、輪を掛けて病膏肓に入っているようである。まあ憎悪を煽って人間の下劣な感情を刺激するのは商売の王道の一つだしな。

商売が当たると、自分が世界の真実を獲得したかのように思い込んでしまう経営者は沢山いるわけで、だからこの人が自分の言説に魂ごと取り込まれてしまっても不思議ではない。これこそ暗黒面に墜ちるということである。

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TPP大筋合意:「コメ聖域」何だった…農家困惑 - 毎日新聞(2015年10月06日 01時15分(最終更新 10月06日 21時06分))

感想群
はてなブックマーク - TPP大筋合意:「コメ聖域」何だった…農家困惑 - 毎日新聞

自民党の下駄の雪とは公明党のことだが、JAもそうではないか。
そもそも安倍自民党が「TPP絶対反対」を公約にしていた時点で、ウソだったのは明白だったし、その後、TPP推進に豹変した後も、結局農業関係者は自民党から離れなかった。
農協や農業者が自民党に「失望」しつつ自民党を支持し続けるという構図は昔からの伝統だし、今後もおそらく離れないだろう。そして自民党はそれをよく知っていると思う。

TPPは自民党と政府・官僚にとって好都合だろうと思う。

原則として関税をゼロとし、個別分野で例外を設定する。大まかに言うとTPPとはこんな感じの仕組みだ。
すると、例外に入れるか入れないかは政府と与党の裁量にゆだねられることになる。
また、自由化や規制緩和への補償措置として「TPP対策」と称する補助金などの正当性が増す。これもまた、政府与党の裁量が強い領域になる。

したがって、各分野の関係者は、政府と与党へのロビー活動を強化する。
こうなると、政治の利益誘導と票との取引が進みやすくなる。
強い政治力を持つものを支持するという行動の合理性が増すわけである。
そうして、権力から経済的利益を分配してもらう代わりに他の政治課題で政府与党を支援するというそろばん勘定が自然発生する。

小泉改革あたりから、霞ヶ関でも官邸に裁量権が集中する傾向が続いている。また、小選挙区制以降、自民党も執行部に権限が集中する傾向が続いている。
これらの構造的な要因が自民党執行部の強権性を強めているのではないか。現在、安倍氏とその周辺が、その極端な言動や縄張りを越えた発言を問題視されつつも掣肘されないことはその現れではないかと思う。
このような一極集中型の権力構造があるとすれば、TPPは安倍政権の強化をもたらすのではないだろうか。

同様に、消費税に軽減税率という分野別の例外措置を設けることも、同じ仕組みで政府与党にとって都合がいいだろう。

例えばこれ。
東京新聞:軽減税率を評価 大阪で新聞大会:社会(TOKYO Web)(2015年10月16日 朝刊)

 日本新聞協会主催の第六十八回新聞大会が十五日、大阪市で開かれた。二〇一七年四月の消費税増税に伴う新聞への軽減税率適用を求める特別決議を三年連続で採択。協会加盟社の代表からは、増税と同時に軽減税率導入の見通しとなったことを評価する声が出た。
 新聞、通信、放送各社の代表ら約五百二十人が参加。大会決議では「報道の自由へのいかなる圧力にも毅然(きぜん)たる態度で臨む」と決意表明した。
 軽減税率をめぐっては、自民党税制調査会などで実施時期や対象品目の範囲の検討が続く。
 「新聞界の直面する諸課題」をテーマにした研究座談会で、中日新聞社の小出宣昭(こいでのぶあき)社長は「安全保障関連法案では各社の論調が分かれたが、この問題だけは全社一致できる。新聞文化を支えるため、スクラムを崩さずいきたい」と述べた。
 司会を務めた協会会長の白石興二郎読売新聞グループ本社社長は「基礎的な食料品と同様、新聞は頭脳にとってのコメだということを社会に理解してもらうことが必要だ」と強調した。
<新聞大会決議全文>
 戦後七十年、新聞は平和と自由を希求し、多様な言論で国民的議論を深化させる役割を担ってきた。日本の安全保障政策が大きく転換しようとしている中、あらためて新聞人としてその責任を自覚したい。
 民主主義の根幹である報道の自由は、戦後社会が最も尊重してきた理念の一つだ。しかし、政界の一部にそれを軽んじる風潮が見られる。われわれは、いかなる圧力にも毅然たる態度で臨み、国民の知る権利に応えていく。
 日本はいま、内外のさまざまな構造変化を受け、多くの課題を抱えている。新聞は未来に向け、あるべき社会を読者とともに考え、公共的な使命を果たしていくことをここに誓う。
<軽減税率決議全文>
 新聞は、民主主義社会の維持・発展や文化水準の向上に大きく寄与しており、生活必需品として全国どこでも安価に入手できる環境が求められる。そうした環境を社会政策として構築するため、消費税に軽減税率制度を導入し、新聞購読料に適用するよう強く求める。
 欧米諸国は、「知識に課税せず」との理念に基づき、新聞の税率には特別の措置をとっている。知識への課税は文化力の低下をもたらし、国際競争力の衰退を招きかねない。わが国においても、新聞への課税は最小限度にとどめるべきである。
新聞業界が現実的対応などと言いながら税金と言論との取引に応じることは、十分あり得ると言わねばならないだろう。

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首相が記憶遺産認定を批判

安倍首相:「南京大虐殺」登録に遺憾の意 中国国務委員に - 毎日新聞(2015年10月14日 19時56分(最終更新 10月15日 00時55分))

 安倍晋三首相は14日、来日中の中国の外交トップ、楊潔※(よう・けつち)国務委員(副首相級)と首相官邸で会談し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺」の資料が登録されたことに遺憾の意を伝えた。楊氏は「第二次大戦に関しては既に国際的な定説がある。歴史をしっかり認め、未来に向かって進むことが重要だ」と述べ、議論は平行線となった。両氏は日中両国の艦艇や航空機の偶発的な衝突を避ける「海空連絡メカニズム」の早期運用開始を目指すことでは一致した。(※は竹かんむりに褫のつくり)

 首相は会談で、歴史認識について「過去の不幸な歴史に過度に焦点を当てるのではなく、未来志向の日中関係を構築すべきだ」と強調。また「秋の一連の国際会議で習近平国家主席や李克強首相とお会いすることを楽しみにしている」と述べ、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)などでの首脳会談開催に意欲を示した。

 首相が南京事件の世界記憶遺産登録に言及したのは、自民党内の反発に配慮するとともに、首脳会談開催の障害を事前に取り除く狙いがあるとみられる。

 楊氏は「首相が関係改善に向けた熱意を持っていると中国首脳に報告したい」と応じ、海空連絡メカニズムについて「一日も早く運用できるよう取り組みたい」と前向きな姿勢を示した。【小田中大】

とうとう総理大臣が恥ずかしいことを言ってしまった。

記事は「議論は平行線」とか書いているが、そもそも「議論」と呼べる代物ですらない。この問題については朝日、毎日、東京など、まだ比較的読める新聞も含めて軒並み「政治利用だ」などと中国警戒論に巻き込まれてしまっている。「中立」などという虚偽の美名に見事に足下をすくわれているようにも見える。

日本の政府もメディアもこぞって愚かなことだ。

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2015/10/15

「貧乏なのに進学した罰」を巡る一般的な?反応

朝日新聞のシリーズ「子どもと貧困」の一つ。:子どもと貧困に関するトピックス:朝日新聞デジタル

「貧乏なのに進学した罰」 風俗で働く短大生:朝日新聞デジタル(後藤泰良 2015年10月15日11時55分)

■子どもと貧困

 大阪市の一等地にあるマンションの一室が、その風俗店の待機部屋だ。20歳前後の女性たちが試験勉強したり、お菓子を食べたり。予約が入ると従業員に客の特徴を聞いて、バッグを手に部屋を出る。

 短大2年の女性(20)もその一人。高卒より上の学歴があれば、大きな企業に就職して貧困から抜け出せるのではないかと期待して短大へ進んだが、資金的にも精神的にも行き詰まり、週2、3回、働いている。

 嫌だったが、お金が欲しかった。「貧乏なのに進学した罰」だと思った。

 幼い頃、小さい会社を経営する両親と裕福に暮らした。小学生のとき両親が離婚。母親と2人暮らしになり、生活保護を受けた。母は代わる代わる男性を家に連れ込んだ。親をあてにできず、高校の学費は食品会社の箱詰めなどのアルバイトで賄った。学費の心配に目をつむって進学した。

 短大の学費は年間約120万円。入学前に必要な費用は親戚や知人に借りた。学費の大部分は有利子の奨学金をあて、交通費や教科書代、生活費と借金の返済は、居酒屋のアルバイト代だけが頼りだった。

 午前9時前には学校へ行き、終わると午後6時から午前0時まで働いた。土日も夏休みも入れるだけシフトに入った。時給は約1千円で月約7万~10万円。バイト仲間からカラオケに誘われても、「明日も早いから」と断った。

 授業の合間に勉強し、いくつか事務系の資格を取った。参考書代や受験料は計数万円。未来への投資と思い、生活を切り詰めた。

 進学から数カ月。息苦しい生活に限界を感じるようになった。居酒屋に飲みに来る学生を見てはお金と時間が欲しいと強く思った。

 もっと時給の高い仕事はないかとインターネットで探し、風俗店の求人を見つけた。「簡単な仕事」「嫌なことはしなくて大丈夫」「学生さんも多数在籍」。考えてもいなかった選択肢が、急に現実的に思えてきた。数日悩んで体験入店。つらさより、居酒屋1日分のバイト代を1時間で稼げたことに驚いた。

 就職活動のため、時間とお金がより必要だと考え、居酒屋をやめて風俗に絞った。直後に、インターンシップ先の評価は一緒に行った同級生の方が高かったと知った。その子は自分より裕福だった。自分でも驚くほどむなしくなった。

 立ち止まる余裕はないと焦りながら、日銭を受け取ると、「ま、いいか」と思ってしまう。そんな日が続いた。常連客に就職活動のことを聞かれても、「うまくいってないんです。誰かお金持ちのお嫁さんになります」とはぐらかした。

 9月に入り、別れた両親がまた一緒に事業を起こすことになった。「同じ失敗すると思うけど」。文句を言う声に、家族がもとに戻るのではとの期待がにじむ。夢見た大手への就職は厳しいが、条件のいい個人経営の就職先を探そうと資格試験の勉強を再開した。

 「卒業したら風俗はもうやらない」。気持ちは前向きになったが、就職先はまだ決まらない。(後藤泰良)

■「一部女性のセーフティーネット」

 風俗店で働く女性らを支援する一般社団法人「Grow As People」代表の角間(かくま)惇一郎さんは「病気や育児、就活などで短時間しか働けない女性が生活費を稼ごうと思うと選択肢は限られる」と話す。一時的でも風俗を仕方なく選ぶ女性もいるという。

 角間さんは「行政の支援は個々のニーズに対応しきれていない面がある」と指摘。「住居や託児所などを用意する風俗店もあり、一部の困窮した女性にとってセーフティーネットになっている」とみる。特にここ数年は風俗店で働く学生が増えているといい、「風俗以外の現実的な解決策を社会が用意する必要があるのではないか」と話す。

 中京大学の大内裕和教授(教育社会学)は「学生に学ぶ時間を提供できない教育政策に問題がある」と指摘する。経済協力開発機構(OECD)の加盟34カ国中、半数の17カ国が大学の授業料を無償化。日本は有償の国の中でも授業料が高額な部類に入るうえに唯一、国による給付型の奨学金がない。「日本の高等教育予算は先進国最低。親の所得に関係なく学べるように、諸外国並みに学費を下げ、給付型奨学金を導入すべきだ」と話す。

     ◇

 シリーズ「子どもと貧困」は今後も随時掲載し、貧困の現状、支援のあり方や制度の課題など解決の糸口を考えていきます。

風俗産業を「セーフティネット」という表現には違和感を覚える、この語の使用法に怒りや皮肉を込めているとしても。
女性が助かっていることが事実だとしても、風俗産業側が彼女たちを搾取し食い物にしている面を隠蔽してはならないから。「従軍慰安婦を日本軍が守っていたのだ」という論調に通じる危うさを感じてしまう。

で、「一般」の反応。

http://www.asahi.com/articles/ASHB54PP6HB5PTFC00P.html - Twitter検索

はてなブックマーク - 「貧乏なのに進学した罰」 風俗で働く短大生:朝日新聞デジタル

認識論的障害という言葉を思い出す。

日本の公的教育支援が「先進国」の中で最低レベルであり、「発展途上国」の一部にも追い抜かれていることは、日本政府や行政の怠慢ではなく、日本社会がまさにこの状態を肯定し、歓迎すらしていることの現れなのだととてもよく分かる。

それゆえにこそ、貴重な記事とシリーズだと思う。

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言わんこっちゃない……:ロシアが「政治利用」を批判

完全に「ブーメラン」になっとる。国際関係でコントをやらないでほしい…。

シベリア抑留も「政治利用」 世界記憶遺産でロシア - 47NEWS(よんななニュース)(2015/10/15 05:14 【共同通信】)

 【モスクワ共同】ロシア政府の国連教育科学文化機関(ユネスコ)委員会のオルジョニキゼ書記は、日本のシベリア抑留資料の世界記憶遺産への登録をめぐり、旧日本軍による「南京大虐殺」に関する資料と同様、ユネスコの政治利用であり反対するとの見解を示した。ロシア通信が14日、報じた。
 同書記は「政治問題をユネスコに持ち込むことには反対だ」と述べ、ロシアが日本側に登録申請をしないよう働き掛けていたことを明らかにした。
 日本政府は中国の南京大虐殺に関する登録申請を「ユネスコの政治利用」と批判しているが、同書記は「日本こそが申請によって“パンドラの箱”を開けた」と批判した。
いや、ちょっと大丈夫なのかなとは思ったのだけれど、ロシア側ときっと調整はしているんだろうなあ…と勝手に思っていた。
したら、
同書記は……ロシアが日本側に登録申請をしないよう働き掛けていたことを明らかにした。
だからなあ…。
舞鶴のことを思うと残念。

政府としては、南京大虐殺問題(-1)+シベリア抑留問題(+1)=0

ということで、ユネスコには従来通りという形でいいんじゃないですかね。

まあ実際は「南京事件は政治利用だけど、シベリア抑留は政治利用じゃない」って主張するんでしょうけど。
……恥ずかしいですね。

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2015/10/14

飛ばし記事…?裏取りがほしい。

南京大虐殺の登録に「政治利用」と抗議しながら…安倍首相が「特攻隊」を世界遺産に推していた! 協力者はあの人の娘?|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見(2015.10.12)

時間がないのでメモだけ。

1.知覧の申請に安倍首相が絡んでいる
2.世界記憶遺産の文部科学省の担当者が、籾井勝人・NHK会長の娘である籾井圭子氏だという話

FACTAの記事にあるこれら二つが下敷きにしてされている。

どちらも以前からネットに出ている話だが、マスメディアの報道で追認できる記事が見あたらない。

以前書いた
知覧の特攻隊資料が世界記憶遺産に申請という件: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
の記事で、FACTAの情報について触れたが、それと食い違うように見える朝日新聞の記事を併置して、実際どうだったのかはっきりしないことを記した。

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菅氏のユネスコ分担金停止・減額発言を英米紙が「恫喝」と報じる

ガーディアンとボイスオブアメリカの報道。まずガーディアンから。

Japan threatens to halt Unesco funding over Nanjing massacre listing | World news | The Guardian(Justin McCurry in Tokyo, Tuesday 13 October 2015 09.06 BST)

Japan has threatened to withdraw its funding for Unesco after the UN body included disputed Chinese documents about the Nanjing massacre in its Memory of the World list, despite protests from Tokyo.
というわけで、冒頭第1文から、「出資を引き上げると脅迫した」と報じられちゃってます。

で、

Japan contributed 3.72bn yen (£20m) to Unesco last year, about 10% of Unesco’s budget. It was the first UN body Japan joined, in 1951, as it sought to contribute to the international community after its wartime defeat and occupation.
日本の分担金はユネスコ予算の約10%なんだそうですね。またユネスコは日本が戦後初めて加盟した国連組織だったとのこと。

記憶遺産認定では、

Unesco’s director-general, Irina Bokova, approved the Nanjing inscription in Abu Dhabi last Friday, after receiving recommendations from a 14-member panel of archivists and librarians.
ということで、審査員は14人だったそうです。

で、事前の日本側の動きが少し触れられています。これは知らなかったなあ。

Japan, however, has questioned the authenticity of the documents, adding that its offers to cooperate with Chinese experts to establish their veracity had been rejected by Beijing.

Japan’s foreign ministry said the nomination “raises questions about the action of the international organisation that ought to be neutral and fair”, adding that “it is evident that there is a problem about the veracity” of the archives.

日本は、中国側に真正性確認のために協力するよと申し出たけれど中国からは断られてしまったとのこと。協力ってどんなことだったのだろう…。

で、日本政府としては、「真正性チェックのための協力」が断られた→真正性に疑義があるというスタンスなのでしょうか。ユネスコをも批判していますが、政治が介入したらかえって「中立公正」から外れるのでは?という素朴な疑問にはどう答えるのでしょうかね。

ところで、この記事で一番興味深かったのが次の一節。

Newspapers in Japan were united in their condemnation of Unesco’s decision. “We cannot accept China’s stance of using a system for protecting cultural assets for political purposes in a campaign against Japan, and trying to fix its self-righteous historical perception in the international community,” the conservative Yomiuri Shimbun said in an editorial.

The liberal Asahi Shimbun noted that some Chinese historians questioned Beijing’s claim that the death toll ran to more than 300,000. “There are few clues that could substantiate that death toll, which many historians in China doubt,” the newspaper said. “But there is no air of freedom that allows them to discuss the matter openly.”

曰く、日本の新聞は皆こぞってユネスコ批判で一致している、と。
その例として読売が出てくるのは当然として、「リベラルな朝日新聞」もそうだと指摘されています。で、朝日の婉曲、かつ中国蔑視を露骨に出した主張を引いています。
まあこの記事を一読すると、南京事件が日本人の逆鱗であり、ここに触られると日本中がヒステリックに叫び出す…という印象を持ちますね。いや、全く正しいですが。

次、ボイスオブアメリカのニュース。

Japan Threatens to End UNESCO Funding Over Nanjing Massacre Files(October 13, 2015 7:52 AM)

本文自体は短く事実を伝えているだけですが、ここでもばっちり「脅迫している」と報じられちゃってます。VOAって現政権には好意的な立場だと思いますが、それでもこう言われてしまったというところが興味深い。

例えば安保法制に関する次の記事は、安倍政権・自民党に対するVOAの好意的な立場がよく現れていると思います。
Japan Passes Bill Lifting Military Restrictions(September 18, 2015 1:54 PM)

※台湾の関連報道を検索してみたところ、今のところ、大陸系の報道以外では「脅迫」みたいな論評は見つからず、発言内容を単に報じるだけにとどめているようです。

**********
ところで、ガーディアン紙記事にある、「日本政府が真正性調査の協力を申し出たが中国に断られた」という話ですが、他の報道などが見つからない。誰かが記者会見で述べていたのかな?
参考:南京 日本 協力 記憶遺産 中国 拒否 - Google 検索

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追記(2015年10月15日)どうやら本当らしい。しかもオチ付き。本記事末尾に追記。
**********

代わりに見つかったのは、産経の「記事?」で、
・ユネスコとその委員に政府が働きかけていた……圧力?宣伝?
・「民間団体」がユネスコに反論文書を提出していた
という話。昨年でしたか、人権委員会で盛大にやらかした姿を思い出しますなあ。

産経の話なのでどこまで信用できるか分かりませんが、もしこれが事実なら、
・日本の方が政治的圧力を掛けているやん…汗
・日本側の情報提供もあって認定されたなら、余計に公平に判断されて認定したのでは…汗
などと詰まらない突っ込みを入れたくなりますな。

なお、検索中に、「ユネスコの審査員に歴史家はいないじゃないか!」と怒っているブログの人を見つけましたが、それなら日本の他の記憶遺産認定も皆でたらめだったというわけですね。シベリア抑留関連で認められて、舞鶴の人たち喜んでいたのになあ……。

世界記憶遺産登録 舞鶴市が記念セレモニー|MBS 関西のニュース(更新:10/13 12:05)

 京都の舞鶴引揚記念館に所蔵されるシベリア抑留などの資料が世界記憶遺産に登録されたことを記念し、地元でセレモニーが行われました。

 13日午前10時、舞鶴市役所に記念の垂れ幕が掲げられ、集まった人たちは拍手で登録を祝いました。

 ユネスコの記憶遺産に選ばれたのは、第二次世界大戦後もソ連によってシベリアに抑留された元日本兵らが記した日記やはがきなど570点です。

 資料を所蔵する舞鶴引揚記念館は先月リニューアルオープンしたばかりで、登録効果もあってか、12日までの3連休には去年の3倍に近い3800人余りが訪れました。

 セレモニーでは地元保育園の園児らによってハトの風船が放たれ、参列者は平和への誓いを新たにしました。

世界記憶遺産:舞鶴引揚記念館 「次世代への継承」誓う - 毎日新聞(2015年10月10日 12時23分(最終更新 10月10日 12時41分))
 ◇舞鶴市で「戦後70年・海外引揚70周年平和祈念式典」

 シベリア抑留者の苦難を刻んだ記録「舞鶴への生還」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録された。記憶遺産への登録が決まった10日、「舞鶴引揚記念館」がある京都府舞鶴市では偶然にも「戦後70年・海外引揚70周年平和祈念式典」が開かれることになっていた。市は急きょ、記憶遺産への登録決定も祈念式典の内容に加えることにした。式には約650人が集まり、記憶遺産への登録の喜びとともに、引き揚げ者の苦難や祖国に戻れず亡くなった人たちの無念に思いをはせながら、戦争の悲惨さを語り継ぐ決意を新たにしていた。

 式ではシベリアの収容所で約3年間抑留された舞鶴市在住の安田重晴さん(94)が引き揚げ船の鐘を鳴らす中、参列者全員が1分間の黙とうをした。続いて市内の小中高生が平和メッセージを朗読。「若い世代が担っている、平和の尊さを次の世代につなげるという大切な役割をあらためて発信していきたい」などと記憶遺産資料と共に戦争・引き揚げの体験世代から受け継いだ記憶を伝え続けることを誓っていた。【鈴木健太郎】


**********
追記(2015年10月15日)

政府が中国側に協力を申し出たという件について。

産経新聞と称する自民党の広報誌がいつものプロパガンダを展開 - 誰かの妄想・はてな版(2015-10-14)

自民党が「中国が申請した『南京事件』資料のユネスコ記憶遺産登録に関する決議」というものを出したという産経の「報道」があるとのこと。それによれば、日本政府は、中国政府に対して

1.申請取り下げ
2.申請書類の共有
3.日本人専門家派遣の受け入れ

を要請してきたとのこと。これがガーディアン紙の話につながっているのだろう。

「申請書類の共有」が共同提案を意味するのかちょっと不明だが、日本側も積極的に関連資料を公開して記憶遺産を豊富化するのであれば、それ自体は良いことだ。もちろん、そんな方向ではないだろうことは容易に想像できるけど。記憶遺産の認定には社会への公開性も考慮されるので、日本政府が戦争加害に関する資料を遺産申請の俎上に載せるとは思えないというのがその理由。

この自民党決議について、朝日新聞も記事を出している。上記 scopedog 氏の記事にリンクがある。

政府に「南京」登録撤回の提案求める 自民部会が決議:朝日新聞デジタル(2015年10月14日13時24分)

 自民党外交部会などは14日の合同会議で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産として、中国が申請、登録された「南京大虐殺の記録」について、日本政府が登録撤回を提案するよう求める決議をまとめた。ユネスコの分担金・拠出金の停止などの対応も求めた。

 外務省によると、記憶遺産にはこれまで348件が登録されたが、登録が撤回された事例はない。

 会議では、「南京」を審査した国際諮問委員会が開かれたアブダビ(アラブ首長国連邦)に「新しい歴史教科書をつくる会」元副会長の高橋史朗・明星大教授が外務省の民間協力者として派遣されていたことも報告された。

記事末尾に、外務省がアブダビに高橋史朗氏を派遣したとある。
これが自民党が言う「日本人専門家」なのだろうか?いささか文脈が異なるような気もする。

もしこれが高橋史朗氏であれば、scopedog 氏が言うとおり、中国に一蹴されるに決まっている。この人、酷すぎるからなあ…。
しかし、外務省がこの人を呼ぶというのもものすごい。慰安婦問題でもアメリカとかでアレな活動をやってるし、粗悪なことは明白なのに。それとも、中国側に蹴らせてそれを口実に日本の正当性を補強しようということだろうか。

参考:「親学」の高橋史朗・明星大学教授を巡るツイート(きわめて悪評) - Togetterまとめ
ちょっと古いし親学関係だから方向はずれているけれど、何というかまぁ…スピリチュアル風味が入ったアレ系の人だからなあ…。

ただ、朝日記事ではアブダビの審査委員会に外務省が送り込んだとなっているので、ガーディアン紙が言う、中国に向けた「資料の真正性を検証するための協力」申し出とは微妙に食い違う気がする。はっきりしないな…。

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2015/10/13

泣いた赤鬼戦法:どこまで行くか。南京大虐殺の遺産認定へのアレルギー

菅官房長官:ユネスコ分担金「停止・削減を含め検討」 - 毎日新聞(2015年10月12日 23時44分(最終更新 10月13日 08時15分))

とうとう官房長官が言ってしまったようで。
まあ同じ事は朝日新聞ですら言っていたわけだけど、政府のスポークスマンが言ったことに唖然とさせられる。

 菅義偉官房長官は12日のBSフジの番組で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が世界記憶遺産に「南京大虐殺」に関する資料を登録したことを受け、ユネスコ運営のために拠出している分担金について「政府として停止・削減を含めて検討している」と述べた。

 菅氏は「(登録は)密室で行われ、法律に基づくものでもない。透明性や公平性をもっと出すべきだ」と述べ、ユネスコに制度見直しを求める考えを示した。南京事件に関しては「確かに南京で非戦闘員殺害とか略奪行為があったことは否定できないが、(犠牲者の)人数にはいろんな議論がある」とも語った。【高本耕太】

日本政府としても、もう言いたいことは大体言ったし、どうせ本質的な異議申し立ても実力行使もできないんだから、そろそろ幕引きかな?と思っていたのだけれど……。
本当にもう止めてほしい。腹が立つというより情けなくて泣きたくなる。
そこまで言うのなら、松下村塾塾の世界遺産認定も辞退してユネスコを脱退すればいいのに……。

自国の世界遺産認定は大歓迎して、他国の認定が気に入らないからカネは出さん!って、どこのわがまま親父なんだ…とか。

…穴があったら入りたいとは正にこのことだな…。
……ま、まあ、慰安婦問題では政府としてアメリカの歴史学者や政治家、運動家に圧力や恫喝を掛けているそうなので、本件でも同じくらい恥をさらしても不思議ではないか…。

誠に情けない。これが我々が住み、市民として責任の一端を担っている社会の現実。
中国をはじめとする全ての被害国の人々に対して衷心からお詫び申し上げたい。

ますます中国の正当性が強調され、戦争の悲惨さを直視することの意義に注目が集まりますな。正に泣いた赤鬼戦法。
結構なことです。

************
菅氏が出演したBSフジの番組とは「プライムニュース」らしい。

www.fnn-news.com: 菅官房長官、ユネスコへの拠出金削減や停止検討する考え
BSフジの「PRIME NEWS」で
(10/13 09:23)

菅官房長官は、ユネスコへの拠出金の削減や停止を検討する考えを示した。
菅官房長官は、12日のBSフジ「PRIME NEWS」に出演し、ユネスコの世界記憶遺産に「南京大虐殺」に関する文書が登録されたことについて、「事実をめぐり意見が分かれているのに、一方的に中国側の意向に基づいて、ユネスコが指定するのはおかしい」、「(ユネスコの)今の制度そのものを変える必要がある。非常に密室でやっている。透明性や公平性をもっと出すべきだ」と批判した。
さらに、菅官房長官は、ユネスコに対する日本の拠出金の削減や停止を検討する考えを示した。
たまりませんな……。

************
菅氏、記者会見でも明言していたのね。

菅官房長官、ユネスコ拠出金見直しも検討 世界記憶遺産:朝日新聞デジタル(2015年10月12日23時35分)

 菅義偉官房長官は12日、東京都内で記者団に、消費税の軽減税率について、2017年4月に消費税率を10%に引き上げるのと同時に導入すべきだとの考えを示した。「同時にやるべきだ。一緒にやらないと逆に混乱が生じる」と語った。

 軽減税率の導入時期をめぐっては、公明党が17年4月を主張。一方、自民党内では党税制調査会を中心に、制度設計や準備に時間がかかるとの見方から、異論が出ている。

 また、菅氏はユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺の記録」が登録されたことについて、「一方的に中国の言い分だけで指定した」と指摘した。そのうえで、記者団が「ユネスコへの拠出金の停止や削減を検討するのか」と聞いたのに対し、「そういうことだ」と述べ、拠出金の停止や削減を検討する考えを示した。

それにしても、シベリア抑留関連資料の認定が全く話題にすらならないことが哀しい。自国の被害体験が世界史的意義を持つと認定されたことを喜びもせず、ただ加害の事実を隠蔽することのみに関心が集中する。この社会のあり方はやはりいびつですよ……。

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南京事件記憶遺産関係 + α

時事ドットコム:日本の制止実らず=中国申請の「南京」認定-ユネスコ記憶遺産

 【パリ時事】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に、中国が申請した「南京事件」に関する資料の登録が決まった。日中間で事実認識に隔たりがあり、論争が続く中での認定。日本政府はユネスコに慎重な対応を求めてきたが、受け入れられなかった。

 南京事件は、日中戦争時の1937年12月に旧日本軍が南京を占領した際、多数の中国人を殺害した事件。ユネスコが公表した中国の申請書類によると、当時の日本兵が撮影した写真や米国人神父による記録映像、中国人女性の日記などが登録対象とされている。
 南京事件に関しては、犠牲者の規模などをめぐり日中で見解が分かれる。記憶遺産への登録は、中国側の歴史認識に「お墨付き」を与えることになりかねず、日本政府はかねて「ユネスコの政治利用だ」(菅義偉官房長官)と反対してきた。
 一方、中国が同時に提出した「従軍慰安婦」に関する資料は登録リストに記載されていない。中国側は申請書類で、大戦中の日本軍が中国などで、住民女性を「性奴隷」として奉仕させるため、「強制的に徴用した」と説明。当時の軍の内部資料がこうした事実を裏付けていると主張し、認定するよう求めていた。慰安婦女性が強制的に連行されたとの見方は日本では否定論が強い。
 中国の再申請などを通じ、慰安婦の資料が将来認定される可能性は消えていない。韓国も日本の植民地時代の「強制動員」の記録について、記憶遺産への登録を目指し、来年にも申請する方向。日本政府は引き続き、ユネスコを舞台とした「歴史戦」への対応を迫られそうだ。(2015/10/10-05:53)

産経やネット右翼と同レベルに墜ちた時事の哀れさが引き立つ記事。まあ、時事だからな……。

時事ドットコム:記憶遺産、被害強調=「広島・長崎と並ぶ惨事」-中国

 【北京時事】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録された旧日本軍による南京事件は、中国にとって「アウシュビッツ強制収容所、広島・長崎(への原爆投下)とともに第2次大戦の三大惨事」(国営新華社通信)とされる。中国は登録を受け、犠牲の大きさを強調しつつ、自らが主張する「歴史」の宣伝を続けていくとみられる。

 中国メディアによると、登録決定を受け、中国のユネスコ代表は「資料の真実性と唯一性に対する承認であり、完全性に対する最高の称賛であり、世界的な意義がある」と語った。
 アウシュビッツ収容所と広島の原爆ドームは既に世界文化遺産に登録されている。中国は昨年2月、南京が攻略された12月13日を「国家哀悼日」に定めており、「南京大虐殺記念館」(南京市)の朱成山館長は「記念日の制定で国内の認知度が大きく上がり、記憶遺産登録で世界の人々が共通認識を得た」と解説した。
 今回申請された資料は、中国人女性や外国人の日記、米国人牧師や旧日本軍が撮影したとされるフィルム・写真、南京軍事法廷の判決書、生存者の証言など全11組。
 南京軍事法廷の記録は「犠牲者30万人以上」とする中国の主張の根拠となっている。女性の日記は中国版「アンネの日記」とも呼ばれ、フィルムには日本兵に襲われ体中に傷を負った妊婦が写っているという。ただ、申請書類がそろって公開されているわけではなく、不透明感が残る。
 「抗日戦争・反ファシズム戦争勝利70年」の今年、中国は内外で戦争被害を訴え、戦勝に果たした中国の役割を強調してきた。中国側は「資料に記載されているのは中日両国の憎しみではない」(研究者)と言うが、登録には至らなかった「従軍慰安婦」の資料についても再度登録を目指す可能性があり、歴史をめぐる日中の摩擦は消えそうにない。
 南京大虐殺記念館では学者や生存者を集めた座談会を開催。広場には記憶遺産登録を記念した石碑の設置を計画しているという。(2015/10/10-18:37)

時事通信社の北京駐在記者はどうやらアレな人のようだ。歴史戦(笑)を持ち出したり、ユネスコの審査結果に矮小なけちを付けたり、「憎しみではない」という言葉を引きながら慰安婦資料の再提出につなぐアレな接続をしてみたり、反日的策動と言わんばかりに中国での催しを紹介してみたり、産経の記事と遜色ない。

まあどんなにあがいても…イヤむしろあがけばあがくほど、中国など被害国を利することは明らかなわけで、美しいニッポンを称揚する方たちは「所詮酸っぱいブドウだ」と宣伝するしかない。せっかく今年シベリア抑留関連の文書が認定されたのに、この関係者たちに失礼じゃないんですかね…。

時事ドットコム:「ユネスコへの妨害やめよ」=記憶遺産、日本に反論-中国

 【北京時事】中国外務省の華春瑩・副報道局長は10日、南京事件に関する資料が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録されたことについて「歓迎」する考えを表明した。日本政府の非難に対しては「歴史を直視したがらない誤った態度だ」と反論。「中国にとやかく言ったり、ユネスコの正常な業務を妨害したりするのを直ちにやめる」よう求めた。
 また「歴史を心に刻み平和を大切にし、未来を共につくり、人類の尊厳を守る役割」を、これらの資料が十分に果たせるよう保護・普及を図ると表明した。
 その上で、南京事件は「国際社会公認の歴史的事実」であり、「全人類の共通の記憶」になるべきだと強調。日本に対し「歴史に責任ある態度で、侵略の歴史を直視し深く反省し、誤りを正すよう促す」と述べた。 (2015/10/10-22:02)
まあ、中国のこのコメントが正攻法で説得力があるのは言うまでもない。というか、日本の政府、閣僚、与党議員の発言は、中国が堂々と正論を述べるチャンスを提供しているよね。ニッポン、ナイスアシスト。我が身を犠牲にして友邦の国際評価を高める見事な「泣いた赤鬼」戦法である。

時事ドットコム:慰安婦「共同申請を奨励」=ユネスコから意見と中国-記憶遺産

 【北京時事】中国外務省の華春瑩・副報道局長は12日の記者会見で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に中国が申請し登録が見送られた旧日本軍の「従軍慰安婦」に関する資料について、ユネスコ側から「関係国との共同申請を勧める意見があった」と述べた。
 従軍慰安婦に関する記録については、韓国も記憶遺産に申請する計画を進めており、2017年の登録を目指している。
 華副局長は「ユネスコの意見を真剣に考慮し検討する」と述べ、再度の申請を目指す方針を示した。
 華副局長によると、意見は「中国以外にも慰安婦問題の被害国がある。このため、ユネスコの国際諮問委員会は規定に基づき、関係国の共同申請を奨励し、17年の次回会議で審査する」との内容だという。ユネスコのどのレベルから伝えられたのかなど具体的状況は明らかでない。
 ユネスコの報道担当者は「そうした事実は把握していない」と話している。
 ユネスコは4日からアラブ首長国連邦で国際諮問委員会を開催。中国が申請した旧日本軍の「南京事件」に関する資料は記憶遺産への登録が認められた。日本政府は「中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾」と表明、中国側にも抗議している。 (2015/10/12-18:57)
非公式だが、単独申請が今回のネックになった可能性が示唆された。先日書いたエントリで少し触れた想像と重なっている。類似案件が複数出て登録遺産件数が増加するのを嫌ったのかなあという気もする。とは言え、公式な審査内容が示されないと何とも言えない。

5月段階ではこんな話もあった。
時事ドットコム:慰安婦資料、世界遺産へ国際委=韓国

 【ソウル時事】7日付の韓国紙・ソウル新聞は、旧日本軍の従軍慰安婦関連資料を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録するため、韓国などが国際連帯推進委員会を21日に結成すると伝えた。元慰安婦がいる中国、北朝鮮、オランダ、台湾、フィリピンと共同で登録実現に向けた作業を行う。(2015/05/07-11:28)
記憶遺産認定に向けてはこの方向が良かっただろうと思うのだが、なぜか今回は共同申請にならなかった。

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で、同じく時事から他国の視線を報じた記事を拾っておく。少し前のものだが。

時事ドットコム:韓国の産経前支局長起訴を問題視=元慰安婦の主張にも言及-米人権報告

 【ワシントン時事】米国務省は25日、各国の人権状況をまとめた2014年版の報告書を公表した。報告書は韓国について「厳格な名誉毀損(きそん)に関する法律が報道の自由を制限している」と問題視し、朴槿恵大統領らへの名誉毀損で産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が在宅起訴された実例を紹介した。

 報告書は、加藤前支局長が有罪判決を受けた場合、最高7年の懲役刑を受ける可能性があると指摘。産経新聞の記事を翻訳してウェブサイトに掲載した韓国人記者の自宅などが捜索されたことも取り上げた。
 日本に関しては、いわゆる従軍慰安婦問題で「韓国の(元慰安婦)生存者と支持者は日本政府の公式の謝罪と補償を要求し続けている」と明記。報告書は過去、日本政府の慰安婦問題への取り組みに対するNGOなどの批判を紹介してきたが、韓国の元慰安婦の主張に直接言及したのは初めてとみられる。
 ケリー長官は報告書の序文で、14年は中東やアフリカで過激派組織「イスラム国」などによる苦痛や虐待がまん延したと非難。また、中国やロシアを名指しして、自由なメディアや市民社会の発展を抑圧していると批判した。 (2015/06/26-13:03)

さすがは時事!な見出しの付け方。アメリカの人権報告について、日本への言及部分を見出しにせず、韓国への言及部分を見出しに付けるという技を披露。
「韓国の元慰安婦の主張に直接言及したのは初めてとみられる」とのことで、アメリカの視線が厳しくなっていることを示唆するあたりはまだ正気が残っているのか、それとも国士さま方を焚きつけているのか。

時事ドットコム:慰安婦問題「蛮行放置できず」=日本に対応要求-国連弁務官

 【ソウル時事】ザイド・フセイン国連人権高等弁務官は25日、訪問先のソウルで記者会見し、いわゆる従軍慰安婦問題について、「このような蛮行をそのまま放置できない」と述べた上で、「私も解決に向けて努力する」と表明した。また、「今後、多くの措置が取られることを確信する」と語り、日本政府のさらなる対応を求めた。
 この中で弁務官は「日本軍に強制動員された慰安婦」「性奴隷だった時、一部の女性と少女は数千回にわたり性的暴行を受け、多数の女性が命を失った」などと発言。「解放後も適切な治療や支援を受けられぬまま、過去を隠して生きねばならなかった」と述べた。
 弁務官は24日に元慰安婦3人と面会しており、その際の説明を基にした認識とみられる。
 弁務官は「日本が取ってきた一連の意味のある措置にもかかわらず、被害者は、自らが受けた苦痛が理解されているとは感じられずにいる」と強調。「十分な措置が取られたかどうかを決められるのは、被害者だけだ」と語った。
 さらに「日本の首相が(元慰安婦の)おばあさんと会って直接話をしたら、大きな助けになると思う」とも述べた。 (2015/06/25-19:19)

時事ドットコム:元首相 鳩山由紀夫氏 写真特集

 訪韓中の鳩山由紀夫元首相は2015年8月13日、ソウルで開かれたシンポジウムで講演し、安倍晋三首相が14日に公表する戦後70年談話で、「おわび」の表現を盛り込むべきだと述べた。鳩山氏は、村山富市首相談話で植民地支配に対する「反省とおわび」が明記されたことに触れ、「このような表現は、傷ついた国々の国民が『やめてもよい』と言う時期が来るまで、続けなければならない」と語った。
 写真は、ソウルの西大門刑務所の跡地にある歴史館で、独立運動家らを追悼するモニュメントの前でひざまずく鳩山氏(2015年08月12日) 【EPA=時事】
ごく当たり前の話だと思うのだが、これが国辱ものだと評されたわけだ。ヴァイツゼッカーやガウクが英雄扱いされる国とはずいぶん違う。彼我の差はあまりに大きい。

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政府与党の無残な発言。
集め出すときりがないと思われる……そういう語録を作っておくのは意味があるだろうけど……ので、たまたま目に付いた範囲で拾っておく。

時事ドットコム:韓国、国連総長担えず=萩生田氏

 自民党の萩生田光一総裁特別補佐は14日夜のBSフジの番組で、潘基文国連事務総長が中国の抗日戦争勝利70年記念式典に出席したことについて、「ワールドカップ・サッカーの『審判長』が特定の国の決起大会に出たようなものだ。あってはならない話だ」と批判した。
 萩生田氏は、潘氏の出身の韓国についても「国連の事務総長を担えるだけの国ではなかったということを国際社会が見抜いたのではないか」と語った。 (2015/09/14-22:01)
少し前の発言だが、品性を疑われる。さすがというか相変わらずというか。

時事ドットコム:橋下氏の政界復帰も=菅長官

 菅義偉官房長官は12日のBSフジの番組で、橋下徹大阪市長が12月の市長任期満了での政界引退を表明していることについて、「少なくとも今回引退すると言っている。言行一致の方なので多分そうなると思う」との見方を示した。その上で「将来は分かりませんよ」と述べ、安倍晋三首相との個人的信頼関係から政権に協力的な橋下氏の引退後の政界復帰に期待を示した。 (2015/10/12-23:12)
「引退」という語の意味を狭く捉えて解釈する菅さん。「強制連行」の解釈と同じですね。あっ、集団的自衛権とかもそのたぐいでしたね。さすがです。
言葉をないがしろにする人はいずれ言葉に葬られる……といいんですけどねえ。まあ、ムッソリーニにせよヒトラーにせよ、引導を渡したのは言葉でなく人間の力だったわけですが。でもフランコは長生きしたしなあ。ピノチェトも長く続いたし……。

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2015/10/12

自分のフレーム(偏見)を越えるということ

他人の権利を制限するために第三者の権利を擁護する、あるいは擁護するふりをする人~補助犬の入店拒否事件 - davsの日記

こんな記述を読んだら、障害者がその障害を理由に特別扱い(特別扱いではなく、マジョリティと同じように行動できる条件整備であるが)を要求していることに憤っているとしか思えない。犬嫌い・犬アレルギーの人間のことも、マイノリティの権利の主張をくじくための手段にすぎないのだろう。
至言。

「特別扱いの要求」=「弱者の横暴」
と見えてしまうことが、すでに認識の偏りを示している。
そこには、ノーマライゼーションや福祉の概念における認識の発展が見られない。

「特別扱いの要求」が、「特別扱いではなく、マジョリティと同じように行動できる条件整備である」こと。

この考え方の存在を知っているか。この考え方が腑に落ちているか。
ここには「特別扱い」が弱者の横暴と見えてしまうフレームからの転換があるのだが、一旦この前者のフレームを定着させてしまった人にとっては、この転換を自然に行うのは難しいだろう。

マイノリティの権利獲得を「弱者の横暴」と見る人たちのフレームを「強者の偏見」と名づけると、そこには、自由人同士のフラットな権利関係が広がっており、したがって、任意の人の権利要求は他の人の権利侵害との公平な調整のもとになされなければならないわけである。
この観点が「強者の偏見」であるゆえんは、社会的不平等や権力関係、支配・被支配関係の存在を前提としていないところにある。ゆえに、障がい者であろうと被差別者であろうと、全ての人は現在容認されている権利範囲を拡張しようとするならば、それによって不利益を被る可能性がある全ての人々に対して、その権利拡張の要求の正当性を了解してもらう必要がある。そして、この利害調整が済まない間は、この権利拡張を実行してはならないと考えるわけである

したがって、このフレームを持つ人からすれば、「犬嫌い・犬アレルギーの人間」という現実的妥当性がどの程度あるか不明な存在を潜在的利害関係者として持ち出し、彼らの権利を主張することは非常に自然であり、かつ正義に適うことでもある。社会が多様である以上、およそ想像できるならばその実在は十分可能性があることであり、そして実在するのであれば、その種の人が世界にたった一人であったとしても、その人の権利は守られなければならないからである。
早い話が、全ての人は、自らの権利を主張するならば、他の全ての人の権利を尊重しなければならない。言い換えると、他の全ての人の権利を侵害しない場合に限り、自己の権利を主張することができると考えるわけである。

この倫理を主張し、盲導犬利用を要求した人の誤りを指摘するための表現として、「犬嫌い・犬アレルギーの人間」という話を出したのであるから――現実にその場で「犬嫌い・犬アレルギーの人間」が存在してその人々との利害調整の必要が生じたわけではないのだから――まさに、この主張は「マイノリティの権利の主張をくじくための手段」だと言えるわけである。

最近私が興味を惹かれているのは、この種の倫理観が理性ではなく感情と結びついていることである。
上で紹介した記事に現れる「違和感」「クレーマー」「勝手な思い込み」「勘違いも甚だしい」「脊髄反射」「人間の躾」等々の表現は、強者の偏見を持つ人々の主張が、マイノリティの要求に対する感情的反発――倫理的怒り――を原動力としていることを示している。
私には、どんなことに倫理的怒りを感じるかがその人がフレームを示しているように思われる。そして自分のその怒りの正当性を疑っても見ない人ほど、自らのフレームに無自覚であるように思われる。

店内での盲導犬利用あるいは盲導犬利用を要求する行為に倫理的怒りを覚える人たちにとって、この取り組みが「環境整備」だという考え方は理解しづらいだろう。またこの考え方に対しても同種の怒りを覚えるかもしれない。この考え方を理解するには認識上の飛躍が必要である。しかしその飛躍がないかぎり認識の矮小さと独善性とからは逃れられない。たとえ他者の権利の相互尊重と利害調整という道徳的フレームを前提するにせよ、他者の権利の概念自体が自分にとってそもそも理解可能とは限らないということを認めなければその道徳的フレームに忠実にはなれないし、フレームの多元性を認めないままにこの強者の偏見を支持するのであれば、それは結局のところ、自分の感情に沿う行為だけを正義と認めるという自己中心的立場にすぎないからである。

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時間がないのでブクマ

元朝日記者の植村氏、雇用打ち切りも (ニュースソクラ) - Yahoo!ニュース(10月9日(金)9時50分配信)

この記事の紹介。
北星学園・植村先生のその後の苦闘と危機(町村泰貴2015年10月09日 15:02)

これもまた注目に値する。何が注目に値するかというと、朝日の誤報自認には捏造新聞との非難が幅広く起こったのに対して、あの産経新聞が誤報自認したことについてはほとんど反応がないようにみえることである。
よい指摘。私も反省しなければならないが、産経はそもそも品質が酷すぎてやっていられないんだよな…。

News Socra (ニュース ソクラ)

自民党の猪口邦子議員から送られてきた産経「歴史戦」英語本を、山口智美さんが読んでみた - NAVER まとめ(更新日: 2015年10月12日)

猪口さん、恥ずかしい資料をいろいろパックの模様。お金あるなあ…。って、猪口さんのお金じゃなかったんだね。

二階氏 ユネスコへの拠出金見直すべき NHKニュース(10月11日 20時18分)

「日本は国連の会議でも、なんの会議でも、世界でアメリカに次いで2番目のお金を拠出する国だということで、それで喜んでいるが、日本の主張がどれだけ通っているかということがなければならない」
「お金を出すだけが能ではない。ユネスコが日本が悪いと言うのであれば、日本として『資金はもう協力しない』というくらいのことが言えなければ、どうしようもない。協力の見直しは、当然、考えるべきだ」
最近、マゾヒスティックな喜びが分かるようになってきた。日本を代表する与党の一員として、もっと恥ずかしいことを世界に公言してほしい。

図書館の民間委託、めちゃくちゃな運営で訴訟続出!パートを時給180円で酷使 | ビジネスジャーナル(文=日向咲嗣/ジャーナリスト 2015.10.02)

ツタヤ図書館だけじゃない!公共施設、民間委託のトンデモ実態 違法行為オンパレード | ビジネスジャーナル(文=日向咲嗣/ジャーナリスト 2015.10.12)

違法行為をしている業者でも、処分が甘いので全く改善されないという話みたい。

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2015/10/11

引き続き、南京大虐殺の記憶遺産認定の記事

毎日新聞がずいぶん大きく取り上げているが、そんなに大きなことかな。むしろ大騒ぎしていることから、南京事件の存在をどうしても認めることができない日本社会のトラウマが見えてくるような気がする。加害の事実と正面から向き合わない限り、この情けなく愚かな反応は永遠に続くだろう。

世界記憶遺産:中国、対日圧力強める 「南京大虐殺」登録 - 毎日新聞(2015年10月10日 12時39分(最終更新 10月10日 14時08分))

同じ記事でも複数のページがあるのでリンク先をどこにするか困りますな。

 ◇日本からの「政治利用」指摘に「誤った態度」と批判

 【北京・工藤哲、ソウル米村耕一】国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に南京大虐殺が登録されたことは、歴史認識を巡る中国の対日圧力が一層強まったことを意味する。中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)副報道局長は9日の定例会見で、申請理由について「日本を含む各国の人々が侵略戦争の残虐性を認識し、歴史を心に刻み、平和を大切にし、共同で人類の尊厳を守るためだ」と説明した。

 日本政府が「ユネスコの政治利用」と反発していることについては「歴史問題での日本の誤った態度をまさに示している。日本側は孫やその後の世代まで責任ある態度で、誠意を示して問題を処理することでアジアの隣国や国際社会の信頼を得ることを希望する」と批判した。

 中国政府高官によると、中国が日本への警戒感を再び高めたのは、2013年末の安倍晋三首相の靖国神社参拝がきっかけだ。各国に駐在する中国の外交官が地元メディアで参拝を批判するなど国際発信を強化。中国国内で各地の記念館の改修を進めてきた。中国メディアによると、中国側がユネスコに資料を提出したのは昨年3月だった。

 今年9月3日に北京で開かれた「抗日戦争勝利記念日」の関連行事にも国連の潘基文(バン・キムン)事務総長やユネスコ幹部を招待し、被害国、戦勝国としての中国の立場をアピールした。

 韓国との関係でも、中国メディアは昨年2月、中韓の学者の間で慰安婦問題に関する記録の調査で協力を強める動きが出ていると報道。学者はこの分野で日本やフィリピン、北朝鮮とも協力するとしていたが、今後中国政府が国際的な連携を一層推進する可能性もある。

 一方、韓国政府関係者は「現時点では、歴史問題で中国と歩調を合わせるつもりはない。日本側にもそう説明している」と明言する。だが、韓国側は独自に慰安婦問題関連資料の作成も進めており、中国が申請した南京大虐殺の記憶遺産登録を受けて歴史問題での連携が進むことも予想される。

世界記憶遺産:「南京大虐殺」登録 「改革を」政府、ユネスコに要求へ - 毎日新聞(2015年10月11日 東京朝刊)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部・パリ)が重要な歴史文書などを認定する世界記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺」に関する資料を登録した。日中では南京大虐殺の犠牲者数などで見解が分かれており、日本政府は9、10の両日、「ユネスコの政治利用だ」と中国外務省に抗議した。ユネスコにも制度改革を申し入れた模様だ。

 戦後の南京軍事法廷の記録など関連資料11件が登録された。中国は申請書類で「極東裁判(東京裁判)での中国人犠牲者数は遺棄された遺体が含まれておらず、南京軍事法廷は『少なくとも30万人の中国人が殺害された』と結論付けている」と指摘。「具体的な人数は諸説ある」とする日本政府の公式見解との食い違いをみせた。

 川村泰久外務報道官は10日に発表した談話で「中国の一方的な主張に基づき申請され、(登録基準の)完全性や真正性に問題がある」と指摘。中国に抗議するとともに、登録したユネスコにも「政治利用」されないよう制度改革を求める考えを示した。

 一方、中国外務省の華春瑩・副報道局長は10日、「南京大虐殺は国際社会が公認する歴史事実となった」と述べ「提出資料は、特に真正性の面で登録基準に完全に合致する」と強調。日本側の抗議を「申請につべこべ言わず、ユネスコの正常な業務を妨害するのは即刻やめるべきだ」と批判した。【小田中大、パリ賀有勇】

日本政府が抗議したその内容が情けないのは当然。子供っぽく横暴でエキセントリックな国という印象を強化した。
ただ、中国の副報道局長の論調も穏やかではない。「国際社会が公認する歴史的事実」という言い方は問題がある。また、「つべこべ言わず」と訳した原語がどういう表現だったのか、翻訳段階で歪んでいる可能性があるが、言わなくてもいい言葉だったのではないか。南京事件が記憶遺産に認定されることには文句なしの正当性があるのだから、中国としては単にその事実を淡々と強調するだけで良かった。いわば横綱相撲の貫禄を示せば良かったはずだ。

クローズアップ2015:記憶遺産に「南京大虐殺」 「東京裁判」引用際立つ - 毎日新聞(2015年10月11日 東京朝刊)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に、中国が申請した「南京大虐殺」が新たに加わった。記憶遺産には奴隷制度や戦争など負の歴史を刻むものも多い。だが、南京大虐殺は犠牲者規模などを巡り中国と日本の見解が異なるため、日本政府は「ユネスコの政治利用」と中国政府に抗議し、歴史認識を巡る日中両政府の摩擦が表面化した。ユネスコの「お墨付き」を得て中国は新たな歴史カードを手にしたのか。登録された関連資料などから影響を読み解く。

 ◇中国、客観性を強調

 <極東国際軍事裁判(東京裁判)は、以下のように指摘した。「日本兵は南京市各地でさまざまな残虐行為に及んだ」「最初の6週間に南京及び近郊で殺害された民間人と捕虜は20万人以上」−−>

 中国がユネスコに提出した申請書の記述で目立つのは、東京裁判への言及だ。申請書類の冒頭にある趣旨説明の半分近くが、東京裁判からの引用になっており、A4判11ページの申請書類の中に「東京裁判」の文字が8回登場。国連の母体となった第二次大戦の戦勝国が軍事法廷で虐殺を認定した点を強調して、中国だけの主張ではないことを示した。当時南京にいた欧米人の目撃証言にも繰り返し触れて「客観性」を強調し、政治利用の色をぬぐい去る意図がうかがえる。

 記憶遺産に登録された関係文書11件=表=は、生存者の日記や写真フィルム、軍事法廷の判決など。中国側はいずれも「(旧日本軍が)南京で行った虐殺、性的暴行、放火、略奪を含む犯罪行為を正確に記録している」と主張する。

 「南京」を巡っては、虐殺の規模など日中間で現在も激しい論争が続く。中国側は犠牲者を「30万人以上」と主張しており、南京大虐殺記念館(南京市)では「300000」と犠牲者数を刻んだ巨大レリーフが来館者を迎える。

 一方、日本外務省は公式サイトの「歴史問題Q&A」で「非戦闘員の殺害や略奪行為などがあったことは否定できないが、被害者の具体的な人数は諸説あり、正しい数を認定することは困難」との公式見解を示す。日本の研究者による推計も20万人から数万人で、中国側と大きな隔たりがある。

 記憶遺産の申請書では、犠牲者数について、戦後の東京裁判の「20万人以上」、南京軍事法廷の「少なくとも30万人」とする判断を両論併記して自説の根拠とした。ユネスコの記憶遺産に登録されるためには資料が歴史的に重要であるだけでなく、資料やその説明の「真正性」も求められる。

 資料の登録によって、ユネスコが中国側の主張を認めた印象を与えるのは避けられない。しかし、資料全体の信頼性を判断する作業と、個々の記載内容を幅広い角度で検証して歴史的事実を結論付けることは意味合いが異なる。ユネスコは近く登録理由を公表する見通しだが、「30万人」とする中国側の説明に言及するかどうかも注目されそうだ。

 登録された文書の一部を保管する南京大虐殺記念館の朱成山館長は10日に配信された新華社通信のインタビュー記事で「南京大虐殺の歴史が世界の共通認識になったことを意味する」と説明。申請活動は2009年から本格化し、翌10年から国の後押しを受けたという。

 日中関係が尖閣諸島問題などを巡って悪化した時期と重なり、政治的な思惑もうかがえる。【河津啓介】

 ◇対日強硬姿勢、国内アピール

 「2013年12月の安倍晋三首相の靖国参拝がきっかけだった」と中国政府高官は打ち明けた。習近平指導部は歴史問題で日本に直接働きかけるだけでなく、ユネスコなどの国連機関を巻き込みながら対日圧力を強めている。

 「我々は戦争を人類から遠ざけ、世界の子供たちを平和の下で幸せに成長させなければならない」。安倍首相の靖国参拝から約3カ月後の昨年3月、習主席はパリのユネスコ本部を訪れ、こう演説した。

 09年から進めていた南京大虐殺の記憶遺産申請に最終的にゴーサインを出したのはこの頃だった。習氏自ら戦争廃絶を訴えることで「南京」「慰安婦」の遺産登録を働きかけたのだろう。

 中国の指導者にとって対日関係での失策は大きなリスクだ。なかでも日本首相の靖国参拝を許すことは最大級の失策と言える。当時の習氏は中国共産党トップの総書記に就任して1年余り。権力基盤がまだ盤石ではなかったとされる。

 この時期は1990年代を中心に歴史問題で日本に厳しい姿勢を示し続けた江沢民氏の影響も強く残り、対日問題で強い姿勢を示さなければ政権基盤が揺らぐ可能性も残っていた。「南京大虐殺」の記憶遺産申請は習指導部にとって対日強硬姿勢を国内向けにアピールするためにも格好のカードだった。

 習指導部が対日関係改善に動くのは、昨年夏以降だ。

 転機は、江氏に近かった周永康前政治局常務委員を14年12月に逮捕し、反腐敗キャンペーンの山場を乗り切って権力基盤を一層安定させたころといわれる。「中国は日本の政権と民間を切り離し、民間との協力強化を模索し始めた」(北京の外交関係者)

 しかし、今年は「抗日戦争勝利70年」の節目でもあり、歴史問題では依然として日本に妥協できない事情がある。

 習主席は9月3日の軍事パレード後のレセプションで「あの年代の人であろうと、その後生まれた人であろうと、歴史の教訓を心に刻まなければならない」と発言し、安倍談話を暗に批判するなど硬軟両様の構えを見せる。

 今回登録されなかった慰安婦問題に関する資料は台湾や韓国、北朝鮮、インドネシアなどの各国と連携しやすい問題でもある。習指導部は今後、安倍政権をけん制する材料として「歴史問題の国際包囲網」を利用し続けるとみられる。【北京・工藤哲】

 ◇歴史認識、対立再燃も

 中国政府やユネスコに働きかけてきた日本政府は落胆を隠せない。「日中関係に大きな影響を与えるものではない」(政府関係者)と冷静に受け止める向きもあるが、日本国内で中国への反発が広がれば、安倍晋三首相の戦後70年談話で沈静化したかに見えた日中間の歴史認識問題が再燃しかねない。

 「今回の登録で『南京大虐殺はでっちあげだ』という極論が国内に広がるのはまずい」。自民党の三役経験者は10日、こう指摘し、対中感情の悪化に警戒感を示した。

 中国外務省が申請を発表した昨年6月以降、政府は大使館を通じて再三、中国側に抗議。提出資料の開示や日本の専門家による調査を求めてきた。ユネスコに対しても首相や岸田文雄外相が慎重審査を要請したほか、国際諮問委員会の専門家14人に政府関係者が個別に接触し、懸念を伝えた。

 しかし、諮問委には各国の公文書館長など文書管理の専門家が多く、「政府の働きかけに不快感もあった」(外務省幹部)といい、登録回避の有効な手立てはなかったのが実情だ。

 外務省は中国に抗議したが、同省幹部は「感情的に反応したり、対立をエスカレートさせたりすべきではない」と強調しており、日本政府としては改善に向かい始めていた日中関係を維持したい意向だ。

 首相は10月末にも開催予定の日中韓首脳会談の際、中国の李克強首相と個別に会談したい考えだ。9日には、訪中する公明党の山口那津男代表に習近平国家主席への親書を託している。

 ただ、国内の反発を背景に記憶遺産問題で日中間の対立が激化すれば、首脳会談で「歴史認識」というトゲが再びクローズアップされるのは必至だ。【高本耕太】

 ◇審議、勧告内容も非公開

 世界記憶遺産の審査は2年に1回で、申請は各国2件まで。14人の専門家によるユネスコ国際諮問委員会が登録の可否を審査。同委の勧告を尊重してユネスコ事務局長が最終決定する。

 同じユネスコの遺産事業である世界遺産と無形文化遺産は、登録の審議が公開されるが、記憶遺産は審議も勧告内容も非公開であり、透明性の向上を求める声も上がっている。【三木陽介】

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 ◇世界記憶遺産に登録された「南京大虐殺に関する資料」

<1>国際安全区の金陵女子文理学院の宿舎管理員、程瑞芳の日記
<2>米国人のジョン・マギー牧師の16ミリ撮影機とそのオリジナルフィルム
<3>南京市民の羅瑾が死の危険を冒して保存した、旧日本軍撮影の民間人虐殺や女性へのいたずら、強姦(ごうかん)の写真16枚
<4>中国人、呉旋が南京臨時(政府)参議院宛てに送った旧日本軍の暴行写真
<5>南京軍事法廷が日本軍の戦犯・谷寿夫に下した判決文の正本
<6>南京軍事法廷での米国人、ベイツの証言
<7>南京大虐殺の生存者、陸李秀英の証言
<8>南京市臨時(政府)参議院の南京大虐殺案件における敵の犯罪行為調査委員会の調査表
<9>南京軍事法廷が調査した犯罪の証拠
<10>南京大虐殺の案件に対する市民の上申書
<11>外国人日記「南京占領−目撃者の記述」(新華社通信から)

==============

 ◇日中関係を巡る近年の主な動き

2012年

  11月 中国で習近平氏が共産党総書記に就任
  12月 第2次安倍内閣が発足
  13年
   3月 中国全人代で習体制が正式に発足
   9月 安倍首相と習主席がロシアで初接触
  11月 中国が東シナ海上空に防空識別圏を設定
  12月 安倍首相が靖国神社を参拝<1>。直後から中国が国際的に対日けん制を強化

  14年

   3月 中国が南京大虐殺と慰安婦問題の資料をユネスコ世界記憶遺産に登録申請
   3月 中国の習主席がパリのユネスコ本部を訪問
   7月 福田康夫元首相が習主席と非公式に会談
  11月 日中首脳が北京で会談
  12月 中国で周永康氏の逮捕を決定<2>

  15年

   4月 日中首脳がジャカルタで会談
   5月 二階俊博自民党総務会長ら3000人規模の訪中団が習主席と面会
   8月 安倍首相談話を閣議決定
   9月 北京で抗日戦争勝利70年記念式典を実施<3>
   9月 日本で安保関連法成立

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技能実習生問題の記事クリップ

外国人実習生の受入事業所の76%で労基法違反 事業主は「まともに支払っていては元が取れない」(2015年10月10日 18:00)

途上国など諸外国の青年を受け入れ、働きながら技能を身に付けてもらう「外国人技能実習制度」。厚生労働省によると、2014年末で全国には16万7641人の外国人技能実習生がいる。

ただし彼らの労働環境は、決して整っているとはいえないようだ。9月30日に公表された労働基準監督署の監督指導結果によると、2014年は全国の実習実施機関の76.0%にあたる2977事業場で法令違反が認められたという。

月額5万円で契約締結し、それすら支払わない会社も
違反内容で最多だったのは「違法な時間外労働など労働時間関係」で25.8%。ある会社では日本人労働者には36協定どおり時間外労働の上限を月80時間としていたが、実習生には恒常的に月100時間超の時間外労働を行わせ、120時間に達していた人もいた。

このほか違反内容としては、「安全措置が講じられていない機械を使用させていたなど安全基準関係」(23.5%)、「賃金不払残業など割増賃金の支払関係」(17.8%)などが続いている。

また実習生たちからは、賃金の不払いをどうにかして欲しいという訴えが特に多かったようだ。労基署などに対し実習生からなされた申告138件のうち、131件は「賃金や割増賃金の不払い」だった。

実習生であっても最低賃金や割増賃金などが適用され、それを下回る条件で契約を結んでいても無効になる。しかし申告事例を見ると、基本給を月額5万円に設定したうえに、それさえ払われていないケースがあった。

この会社では時間外労働の割増賃金も、始めの1時間だけ適正に支払うが、それ以降は時給500円としていた。労基署の是正勧告により、最終的に実習生11名に対し総額約4200万円が支払われたが、事業主は当初こんな言い訳をしていたということだ。

「技能実習生がやりたいと言うから時間外労働をさせていた」
「時間外労働の割増賃金をまともに支払っていたら元が取れない」

垣間見られる「日本人より安い労働力」扱い
時給換算で290円から404円しか支払っていなかった事業場でも、是正勧告が行われた結果、11人の実習生に約3200万円が支払われた。この事業所はすでに母国に帰国した技能実習生にも、外国送金によって不払い分の賃金全額が支払ったという。

事業主の「元が取れない」というコメントからは、実習生を安い労働力として使っている実態が垣間見られる。せっかく技能を教えているのだから、安く長く働いてもらわないと困るという言い分だろうが、どう見ても健全な状態ではない。そうでもしなければ中小企業がやっていけないほど低単価で発注している発注側にも、責任があるのかもしれない。

こういった劣悪な労働環境は、国のイメージ低下にも直結している。龍谷大の学生がベトナム人実習生に取ったアンケートでは、来日前は97%の人が「日本の印象が良い」と思っていたのに対し、来日後は48%に低下している。

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産経と同じネトウヨ脳を持つ毎日新聞

毎日新聞にもアレな方向へ歪んだ人たちがいる。
論説などで中国や韓国への僻みを書く人たちがいて、困ったものだと思っていた。
先日は、議論を呼んでいる『帝国の慰安婦』を書いた朴裕河氏が「第27回アジア・太平洋賞」を受賞した。これは毎日新聞社が主催している。

想像するに、彼らの認識は以下のようなものだ。すなわち、日中、日韓の関係が悪いのは、
1.偏狭・自己中心的で恨みを忘れない中国・韓国の精神
2.内政や外交に反日感情と歴史を政治利用する中国・韓国の政治指導層と社会構造
とが原因である。したがって、日本は
1.正しく、かつ日本と中韓が和解できる歴史認識を得られるよう冷静な話し合いを続けるべきだ
2.政治では地道な話し合いを、感情的対立は文化交流で相互理解を促進すべきだ
3.日本人は中韓の事情をよく理解して、感情的反応は避けるべきだ。
4.日本は過去の過ちに拘泥せず、被害者に許しを請う加害者という図式を脱して理非を説き、主張すべきは主張して、対等な関係を築くべきだ
ということになるし、中国・韓国に対しては、
1.いつまでも日本を責め続けず、加害者にもやむを得ぬ事情があったことを認める寛容さ持つべきだ
という主張をすることになる。

こうした姿勢は根本的に間違っている。その誤りが生む認識のゆがみの一つが、日本の戦争責任問題を中韓の外交宣伝の一手段だと矮小化してしまうことだ。次の「近事片々」はそれが端的に表れている例である。

近事片々:カルテットに平和賞 ジャスミンの香りとともに - 毎日新聞(2015年10月10日 14時45分)

新たな記憶遺産に「南京大虐殺資料」も。国連機関の「お墨付き」欲しさか。
「『南京大虐殺』記憶遺産」この見出しがこの日(10月10日)の夕刊一面トップだった。その記事の論調が歪んでいることは昨日のエントリで触れた。
もはやネトウヨ脳症は日本社会全体に蔓延していると言わざるを得ない。小児化する世界認識は今後我々に何をもたらすのだろうか。

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2015/10/10

南京大虐殺の世界遺産登録の関連

日本が申請した2件は二つとも認められた。

中国の申請2件のうち慰安婦関連文書は認められなかったそうだ。
そのうち認定理由がユネスコのサイトに上がるだろうから、論評はそれを見てからでいいだろう。

南京事件が記憶遺産に値する大事件であることは論を待たない。だから文書の範囲と提示方法が順当なら当然のように登録されるだろう。他方、慰安婦問題も意義深いので登録されてもいいと思うのだが、中国一国だけでは包括的に示せないかもしれないし、そういう場合はどうなるのだろう。審査は結果的に却下だった。両者の違いがどこにあるのか、審査の詳細を見たい。

ここではいくつか関連リンクを張っておく。

記憶遺産に中国申請の「南京事件」 NHKニュース(10月10日 3時58分)

旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる「南京事件」を巡り、ユネスコ=国連教育科学文化機関は、中国が「記憶遺産」として申請していた資料について登録することを決定しました。一方、同じく中国が申請していたいわゆる「従軍慰安婦」の問題を巡る資料については登録されませんでした。
この決定はユネスコのホームページで9日、発表されました。「記憶遺産」は、世界各地に伝わる重要な古文書や貴重な映像などを人類の財産として保護しようとユネスコが登録するもので、その審査にあたるユネスコの国際諮問委員会が今月4日から3日間にわたってUAE=アラブ首長国連邦で開かれました。
審査の結果はボコバ事務局長に勧告され、事務局長は中国が申請していた、▽旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる「南京事件」を巡る資料を登録することを決定しました。
一方、同じく中国が申請していた▽いわゆる「従軍慰安婦」の問題に関係があるとされる資料は登録されませんでした。
中国は、「南京事件」について日中間でも議論がある犠牲者の数について30万人以上だとした南京軍事法廷の資料や、いわゆる「従軍慰安婦」の問題を巡って旧日本軍が慰安所を設立したことなどを示すとされる資料などを提出していました。
これに対して日本政府は、去年の中国の申請以降、何度も抗議をしたうえで申請を取り下げるよう求めてきました。
・旧日本軍が……などとされる「南京事件」
・いわゆる「従軍慰安婦」
・旧日本軍が慰安所を設立したことなどを示すとされる資料
・日本政府は……何度も抗議をしたうえで申請を取り下げるよう求めてきました。

NHKが表現に気を遣い、最後に日本政府の正当性と努力を強調しているのが泣ける。

世界記憶遺産:「南京大虐殺」登録 「慰安婦」は却下 - 毎日新聞(2015年10月10日 11時36分(最終更新 10月10日 14時04分))

 ◇ユネスコが発表

 【パリ宮川裕章】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は9日午後(日本時間10日未明)、重要な歴史文書などを認定する世界記憶遺産に、中国が申請した旧日本軍による「南京大虐殺」に関する資料を登録したと発表した。中国による従軍慰安婦に関する資料の登録申請は却下した。一方、日本が申請した第二次大戦後のシベリア抑留者の引き揚げ記録「舞鶴への生還」と京都市の東寺に伝わる国宝「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)」は登録が決まった。日本と中国では南京大虐殺の犠牲者数などで見解が分かれており、記憶遺産への登録は中国の歴史認識にユネスコの「お墨付き」を与えかねない。日本政府は「ユネスコの政治利用」と反発しており、遺産登録を受け、歴史認識を巡る日中両政府の摩擦が再燃する可能性がある。

 南京大虐殺関連では、戦後の極東国際軍事裁判(東京裁判)と南京軍事法廷の記録などが登録された。中国はユネスコに提出した申請書類で「極東裁判での中国人犠牲者数は遺棄された遺体が含まれておらず、南京軍事法廷は『少なくとも30万人の中国人が殺害された』と結論付けている」と指摘。その上で「提出資料は、南京大虐殺が歴史的事実であることの証拠であり、議論の余地のない信頼性と信ぴょう性を有する」と主張している。

 一方、菅義偉官房長官は2日の会見で「中国はユネスコを政治的に利用している。過去の一時期における負の遺産をいたずらに強調し、極めて遺憾だ」と批判。中国に抗議し、ユネスコにも懸念を伝えていることを明らかにしていた。

 ユネスコは今月4〜6日にアラブ首長国連邦のアブダビで国際諮問委員会を開き、各国からの新規申請約90件を審査。専門家らの勧告を受けてボコバ事務局長が登録案件を決定した。南京大虐殺を含めた登録理由、却下理由は近く公表されるが、登録基準には資料の「真正性」が含まれており、中国側の申請理由が大筋で認められたとみられる。

 一方、中国側は却下された「従軍慰安婦」に関する資料の申請書類で、大戦中の日本軍が中国などで、住民女性を「性奴隷」として奉仕させるために「強制的に徴用した」と主張している。日本側の資料からも事実が裏付けられているとして、記憶遺産に登録するよう求めていた。

従軍慰安婦問題では、韓国も独自に記憶遺産への申請準備を進めており、将来、登録される可能性は消えていない。

 ◇記憶遺産

 世界の重要な古文書や絵画、写真などの記録の保護と振興を目的にユネスコが1992年に事業を始めた。選考基準は真正性と世界的重要性の有無など。国際諮問委員会が非公開で議論し、ユネスコの事務局長に勧告。これを基に事務局長が決定する。2014年1月時点で「アンネの日記」やフランスの「人権宣言」など301件が登録され、このうち日本は「山本作兵衛炭坑記録画」など3件。ユネスコに関連する「遺産」にはこのほか、「世界遺産」「無形文化遺産」がある。世界遺産には今年「明治日本の産業革命遺産」が登録され、無形文化遺産には昨年「和紙」が登録されている。

 ◇南京大虐殺

 日中戦争時の1937(昭和12)年12月、旧日本軍が当時中国の首都だった南京を占領する際、多数の市民を殺害、略奪した事件。犠牲者数をめぐって日中間で議論があり、日本側の研究者は「20万人を上限に、4万人、2万人などの推計がある」とする一方、中国側は30万人以上と主張。日本政府は具体的な人数については諸説あり、正確な数の認定は困難との見解を示している。

日中の対立と中国への反感を煽る表現が目立つ記事。まあ産経と読売に比べればマシなのだろう、両紙は見るつもりもないけど。

この記事で中国の申請内容が少し分かる。でも、慰安婦関連文書が却下された理由を推測できる材料はない。

記憶遺産は文書の真正性は見るけれど、そこからの歴史解釈の真正性は問題にしない。というかそんなのはできない。だから、「中国の主張が認められた」とか噴き上がる前に冷静になった方がいい。第一、貴重な資料は日本軍の隠蔽工作から幸運にも漏れた貴重な資料が含まれているのだから、それらの保存を後押しする認定をなぜ喜ばないのだろうか。

「政治利用」とか叫ぶ前に、日中双方が互いの国に残る資料を真摯に収集保存して、それらを相互に閲覧できるよう幅広く公開して「冷静な検証」を促すべきだろう。記憶遺産認定はこのような取り組みに資するもののはずである。

日本政府の反応。

世界記憶遺産:日本政府、抗議へ 「南京大虐殺」登録 - 毎日新聞(2015年10月10日 12時07分(最終更新 10月10日 12時44分))

 日本政府は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に「南京大虐殺」が登録されたことを受け、登録申請した中国政府に抗議するとともに、制度に不備があるとしてユネスコに改善を求める方針だ。

 外務省の川村泰久外務報道官は登録決定直後に、中国とユネスコを批判する談話を発表。談話では「南京事件は日中間で見解の相違があることが明らかだ。中国の一方的な主張に基づき申請され、完全性や真正性に問題がある。登録されたことは中立・公平であるべき国際機関として問題であり極めて遺憾だ」とした。

 記憶遺産制度についても「文書遺産の保護やアクセスの確保を目的とするユネスコの事業であり、政治利用されることがないよう制度改革を求めていく」と強調した。

 外務省はこれまで、中国に登録申請を撤回するよう申し入れていたほか、ユネスコにも制度改善を求めていた。外務省幹部は10日、「中国とユネスコに対して早急に抗議をする」と述べる一方で、「この件で日中関係が悪化するのは本意ではなく、感情的に反応すべきではない」と指摘した。

 日中韓首脳会談が10月末にも予定されるなど、中国との関係改善が進む兆しが見え始めていただけに、政府関係者は「関係改善の機運に水を差すことになるのでは」と懸念を示している。【小田中大、高本耕太】

南京登録「中立性欠く」=記憶遺産事業の見直し要求—日本政府 - WSJ(2015 年 10 月 10 日 09:01 JST 更新)
時事通信社の配信記事。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に中国が申請した南京事件の資料が登録されたことを受け、日本政府は10日、川村泰久外務報道官の談話を発表、「中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾だ」と厳しく非難した。政府は、記憶遺産事業が中国に「政治利用」されたとみており、今後、事業の見直しを求めていく方針だ。

 川村報道官は談話で、(1)南京事件をめぐっては日中間で見解の相違がある(2)中国の一方的主張に基づく申請で、資料の真正性に問題がある—と指摘。その上で、「重要なユネスコの事業が政治利用されることがないよう、本件事業の制度改革を求めていく」と表明した。

 南京事件の犠牲者数について、中国側は「30万人が殺害された」(習近平国家主席)と主張している。これに対し、日本は「諸説あり、正しい数を認定するのは困難」(外務省)との立場だ。日本政府関係者は「記憶遺産は歴史事実を認定する場ではない」とけん制しているが、「対日戦勝70周年」をアピールする中国が今回の登録を自らの主張の補強材料とし、発信を強める事態が予想される。

 外務省幹部は「日中関係を改善しようとしているときに日本の『負の歴史』にいたずらに焦点を当てるべきでない」と不快感を示した。

努めて冷静さを保とうとする日本側と、対立を煽ってくる悪辣な中国側という構図を描き出す。まあ「時事通信社」なので仕方ないが、認知のゆがみは深刻である。

ただ、日本政府の抗議内容の概要が分かる。この通りだとすると、記憶遺産の認定条件に基づいた本質的な異議申し立てにもなっていないし、まさか中国提出の個別資料についてその真正性を疑う根拠を出すわけでもないだろうし(それこそ世界の笑いもの)、重箱の隅を突いて愚痴を言う程度の「非難」。情けない……。

それと、外務省幹部の発言が哀れを誘う。「負の歴史」を直視することは日中関係の改善を阻害するのだそうだ。
加害者の傲慢さとひがみ根性も、ここまで肥大すると無残だとしか言いようがない。

たった一言、
「認定を祝う。日中の認識には未だ開きがあるが、両国の貴重な資料を活用すれば相互理解に至れると信じている」
などとコメントしておけば、世界の評判は遙かに高くなっただろうに。度量の大きさを示せる絶好の機会なのに、なぜわざわざ自分の顔に泥を塗るようなまねを続けるのだろうか……(嘆)。

最後にユネスコのサイト。

New inscriptions on the International Memory of the World Register (2014-2015) | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
2014・15年度の認定された記憶遺産の一覧。

Archives about "Comfort Women" | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
慰安婦関連の申請紹介ページ。

China - Archives about "Comfort Women" | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization

慰安婦関連の申請文書の画像。

慰安婦関連文書の申請書(PDF)

Documents of Nanjing Massacre | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
南京大虐殺の申請紹介ページ。

南京大虐殺の申請書

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森山新農水相、安倍首相と暴力団との関係のリンク

政治家と暴力団というジャンルは深い沼みたいなものだから到底追いつけないし、だから表面的なリンクメモぐらいにしかならないのだけれど。

森山新農水大臣、日本水産業の活路を絶滅危惧のウナギ漁業に求める: 思いついたことをなんでも書いていくブログ

こちらで出てきた森山裕氏。早速古い傷が明らかに。

スクープ! 安倍改造内閣の新農水相・森山裕が暴力団と“黒い交際”…暴力事件が起きた時、組事務所にその姿が|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見(2015.10.07)

・自分の上司の弟の借金トラブルを解決するために暴力団に依頼。
・暴行事件の最中、組事務所で上司兄弟とともに待機。
・当時、鹿児島市会議長。→警察も早々に幕引き。
・「料亭前に来て欲しい」と言われて、料亭前にある組事務所に入ってしまった、という「意味不明な釈明」
・このほかに、暴力団幹部の子供の誕生会に出席。

「鹿児島では、その“黒い交際”は知る人ぞ知る事実」

という話。


で、安倍首相ご自身の、その種の関係についての簡単なリンク。

関門海峡はやはり狭いということ - Living, Loving, Thinking

安倍氏が「いいとも」に出演したとき、(株)関西地学協会という会社から花輪が送られていたことがあった。

リテラが言う「I氏」をググったメモ。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ

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森山新農水大臣、日本水産業の活路を絶滅危惧のウナギ漁業に求める

この記事は揶揄です。

日本はもはや水産後進国、森山裕・新農林水産大臣が会見 - 最新のニュース | 日刊水産経済新聞(2015年10月9日)

 7日に就任した森山裕農林水産大臣は、同日夜に農林水産省内で会見し、「(自民党農林水産部会の)水産専任部会長に就くまでは日本は水産先進国だと思っていた。しかし、今は水産後進国になってしまっている」と指摘した。諸外国は日本が培った技術と設備を用いて最先端の漁船を建造している一方、日本は、沿岸や遠洋問わず漁船漁業は問題を抱えていると言及。養鰻を含めた養殖業などにも活路を求めつつ、安倍晋三首相からも指示のあった「漁業・水産業の活性化を目指す」と話した。

 森山新大臣は、5日に大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)の閣僚会合が行われていた米国・アトランタから帰国。慌ただしい中での就任となった。

 「TPPが大筋合意したが、農林水産省としては農山漁村に悪影響がないようにしたい」と強調。影響については今後、精査し、「将来にわたって希望をもち、確実に再生産可能な経営に取り組めるよう対策を講じる」と説明した。[....]

・「諸外国は日本が培った技術と設備を用いて最先端の漁船を建造している一方、日本は、沿岸や遠洋問わず漁船漁業は問題を抱えている」

  「日本が培った技術と設備」……出た!「ニッポンすごい」(笑)
  悔しさがにじんでますなあ。後進国という単純な事実だけで十分なのに言わずにいられないんですかね。

・「養鰻を含めた養殖業などにも活路を求めつつ」

  養鰻業に「活路を求める」って致命的なセンスですな…。対外センスも皆無。
  ちなみに森山大臣の選挙区は鹿児島5区=大隅半島。苦笑。
  切り捨てられるのではという養鰻業者の不安を和らげたかったのかもしれませんが、危機的状況にある養鰻業にも配慮したいぐらいにしておけば良かったのに。
  水産庁の意向に完全に填められているのか、ご本人がアレなのか。

いずれにせよ日本の水産行政のトンデモさが当面改まることはなさそうです。

参考:国会質問も議員立法も質問主意書もない「オールゼロ議員」、64人全氏名を公開!
※「オールゼロ議員」:質問回数ゼロ、議員立法提案数ゼロ、質問主意書提出数ゼロ、要職にも就いていない議員

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2015/10/09

とりあえず記事クリップ:小牧市のツタヤ図書館問題の朝日新聞の記事

ツタヤ図書館、なぜ「ノー」に? 愛知・小牧の住民投票:朝日新聞デジタル(2015年10月9日05時13分)

 全国で開設や計画が相次ぐ「ツタヤ図書館」。書店やカフェもあって利用者が増える、と自治体は説明するが、愛知県小牧市では「反対」の住民の方が多かった。なぜなのか。

■街活性化?市側の皮算用

 反対3万2352票、賛成2万4981票。小牧市で計画されている新図書館建設を巡る4日の住民投票の結果、レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携する計画は、一時停止に追い込まれた。

 市は昨年4月に新図書館の計画を発表し、同8月にCCCを連携事業者に選んだ。老朽化し、蔵書スペース不足が目立つ現在の図書館は建て替える必要がある一方、再開発が進まず活気がない中心市街地に「ツタヤ図書館」を建てれば人が集まり活性化する。そんな「1粒で2度おいしい」をもくろんだ計画だった。建設費は約42億円。延べ床面積を約2・6倍、最大収容冊数を2倍強に増やし、書店やカフェを併設。3年後の開設をめざしていた。

 参考にしたのが、佐賀県武雄市が2013年に開設した全国初の「ツタヤ図書館」。CCCが指定管理者として運営している。初年度の訪問者は92万3千人と当初見込みのほぼ倍。市外からの訪問も多く、武雄市は食事や土産など年間の経済効果を約20億円とはじく。

■利益優先?選書に不安も

 小牧市民はなぜ「ツタヤ図書館」に反対したのか。住民に聞くと「税金の無駄づかいでは」(会社員の西田秀樹さん)、「ツタヤのサービスはツタヤで利用すればいい」(パート従業員の島村厚子さん)。高額な建設費に対する批判が目立ったが、「民間企業が本を選ぶと利益優先になる」という懸念も多く出た。

 武雄市図書館では、CCCと出資関係があった古本業者から中古本を購入していたことが発覚。市民から「在庫本の押しつけ」「貴重な郷土資料などが蔵書からなくなる」といった批判や不安が出た。今月1日に神奈川県海老名市が開設した「ツタヤ図書館」では、市が購入本を全て点検したが、海外の風俗店を案内する不適切な本が開設後に見つかった。

 住民投票を求める署名活動の中心となった市民グループ「小牧の図書館を考える会」の渡辺育代共同代表は「民間に運営を任せると、住民にとって必要かを考えずに業者の都合で選書されてしまったり、収容冊数の確保を優先し必要性がない本を購入したりすることにならないか」と心配する。

 小牧市教委の新図書館建設推進室によると、指定管理者の業者は市が定める選書基準に沿って本を購入。業者が基準通りに選んでいるかを定期的にチェックし、現地査察や利用者アンケートもするという。本の購入費の管理を市が直接担うか業者に任せるかは未定だ。

 CCCの高橋聡・図書館カンパニー長は9月30日の会見で「武雄市のときは、ど素人で、時間も予算もない特殊な状況だった」と話し、選書が「利益優先」でないことを強調した。

■ニーズは?話し合い必要

 慶応大の糸賀雅児教授(図書館情報学)は小牧市の住民投票結果について「住民に対する市の情報提供が不十分で、住民側に『CCCに任せると利益を優先しがち』というイメージが広がったのではないか」と指摘する。CCCの手法は、本の販売収入やカフェの収益を図書館運営費に回し、年中無休や長時間開館といった他の公共図書館にはないサービスを提供するのが特徴。糸賀教授は「『ツタヤ図書館』が提供するサービスと住民のニーズが合致するのか、市と住民が時間をかけて話し合うことが必要です」と話す。(滝沢隆史、千葉卓朗)

「ツタヤ図書館」を開設・計画している自治体
佐賀県武雄市 2013年4月開設
神奈川県海老名市 2015年10月開設
宮城県多賀城市 2016年3月予定
岡山県高梁市 2016年12月予定
宮崎県延岡市 2017年度予定 読書空間のある公共複合施設
山口県周南市 2018年度予定
愛知県小牧市 2018年度予定
※子弟管理者が未定の自治体を含む

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2015/10/08

変なニュース。共同通信が産経みたいな記事を出している。

北京日本人学校の生徒激減 反日宣伝、大気汚染の悪化影響か - 47NEWS(よんななニュース)(2015/10/08 12:49 【共同通信】)

 【北京共同】中国北京市朝陽区にある日本人学校(奥田修也校長)の小学部と中学部を合わせた児童・生徒数が9月末に400人を割り込み、ピーク時の2007~08年から約4割減少したことが8日分かった。中国メディアなどによる絶え間ない反日キャンペーンや大気汚染の悪化が背景にあるとみられる。
 同校の児童・生徒数は13年に600人、14年に500人を割り、先月末は398人となった。最多だった07~08年の688人から約4割減少したことになる。
 同校は1974年に北京日本人学童補習校として開校、76年に北京日本人学校となり、中国経済の発展に伴って生徒数が増え続けた。
共同通信、大丈夫だろうか。どんな記者が書いたのだろう。

日本人学校の生徒数が減った理由を

・中国メディアなどによる絶え間ない反日キャンペーン
・大気汚染の悪化

に求めているが、本当だろうか?どのように裏を取ったのだろうか。

日本にある朝鮮学校および朝鮮学校生への迫害のような民族差別が激化して、あるいはそのような被害(例えば、日本で朝鮮学校生が制服を切られたりしたことのような)を恐れて、日本人子弟が通わなくなったということを言いたいのだろうか。

ならば、なぜそのような事実あるいは日本人父母や生徒の声を掲載しないのだろうか。

一般的に言って、「反日キャンペーン」や「大気汚染」のような概括的で社会に広範に、かつ漠然と広がる「空気」のようなものが、「生徒数激減」のような個別具体的な現象に結実するには、多くの人や集団が絡む、いくつもの因果の連鎖が必要になる。
その因果の連鎖をたどって、原因として「反日キャンペーン」や「大気汚染」が確かに原因だという確証を得るのは、通常はとても難しい。だから、こんな短い記事で簡単に断定的な記述をされることには直感的な違和感を感じる。

つまり、
・抽象的・対象を持たない「反日キャンペーン」→特定の学校の生徒数減
とか、
・北京市全体に広がる大気汚染→北京市の個別・特定の学校の生徒数減

という因果関係は、原因事象と結果との間の距離があまりに遠すぎて、無前提に直結できるとは考えにくいということだ。

まして、中国人への蔑視や反中感情をあおるような表現を使うことは、当世の社会状況において相当に慎重であるべきだろう。だからこそ、安易な理由付けでなく、地に足が付いた「事実」の掘り起こしと抑制的な報道が求められる。また、そのような記事の方が後世の検証にも耐える価値ある記録となる。

というわけで、この記事を読んだ第一印象は「疑わしい」の一言で、書いた記者の認知のゆがみを見せられたようで「気持ち悪い」というものだった。

産経なら「いつものアレか」で黙殺したのだが、共同通信がこんなのを配信しているというのが信じられない。

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気になるのでちょっとネットで検索してみた。忙しいのに……。

記事が言う「北京市朝陽区にある日本人学校(奥田修也校長)」というのは、

北京日本人学校(朝陽区将台西路6号)

のことだろう。学校便り「かささぎ」の最新号(平成27年9月30日付)に校長として奥田修也氏の名前が挙がっている。

この「かささぎ」を読むと、日中関係や対日感情の悪化を懸念し、またそれが事件・事故につながらないように注意を払いながら学校を運営されている様子がうかがえる。
それに加えて交通安全や治安確保など一般的な課題もあるようで、現地の肌感覚としていろいろとご苦労があるのだろう。

で、問題の共同通信記事が取り上げている生徒数の激減についてだが、7月18日付「かささぎ」によると、当日付で小学部303人、中学部101人、合計404人だそうである。
これが9月末に若干減って400人以下になったということだろう。

資料室 | 北京日本人学校児童生徒数の推移 | 北京日本人学校
によれば、この学校は1974年に生徒数18人でスタートし、その後2000年頃までうなぎ登りと言っていい勢いで400人規模まで生徒数が増えている。その後、2002年頃からわずか6年間で386人から688人へ300人も急増して2007,2008年にピークとなった。そこから2012年に637人になったが、その後急落して2014年に488人となっている。
そして2015年7月で404人、9月末で400人を割ったということだろう。

余談だが、こんなに短期間で生徒数が激しく変動すると学校運営も大変だろう。多くの生徒は長くても数年程度の在籍だろうし、企業の都合で随時転入転出が絶えないのではないか。海外転校に伴う子供のケアも含めて、関係者のご苦労は並大抵ではないだろう。

ところで、この生徒数の動向を「反日キャンペーン」に結びつけて解釈するのであれば、むしろ、日中関係の悪化と考える方がまだマシではないか。
生徒数の急減が見られるのは2013年からで、2012年に何があったかというと、

2012年11月 習近平が総書記になる
2012年12月 第2次安倍政権が発足

というわけで、日本側も相当に対中関係を毀損する勢いがあったわけである。

もちろん、社会背景からこの学校固有の現象を説明するのは限界があるし、それを承知であえて漠然とした「背景」に結びつけるのなら、日本企業の中国進出方針が鈍ってきたと見るほうが自然だろう。そして、それは日本企業にとって中国(というよりも北京)の経済的意義、政治的意義が薄れてきているという読み方をするべきではないか。

そうすれば、「反日キャンペーン」というところに帰着させるよりも、リーマンショック以降の中国経済の位置づけ、日中双方の外交関係というあたりに話が落ち着いてよほど有意義だと思うがどうだろうか。

ちなみに、中国で反日デモがたくさん起きたのは2004年から2005年頃。イトーヨーカ堂が襲撃されたりした。当時は小泉政権だった。
で、この頃、この学校の生徒数が急減したかというと全然そんなことはなく、反対にこの学校始まって以来の急増期だったわけである。
「反日キャンペーン」を生徒数の増減と結びつける見方の怪しさがこれだけでも分かるだろう。

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追記(2015年10月13日)

そういえば2012年ごろは尖閣諸島問題で反日デモが起きた年だった。
あれを契機として、中国進出企業が東南アジアに軸足を移し始めたとも言われている。
これを「反日キャンペーン」による生徒数激減と言うのは不可能ではないけれど、やっぱりかなり無理がある。せめて、反日デモ→日本企業の中国進出戦略の見直し→駐在数減少→生徒数減という程度の段階は踏まえないとミスリードになる。それと、その前の反日デモが活発化した時期には生徒数が逆に増えていたわけだから、当時との周辺環境の違いを書かないと一面的な記事になってやっぱりミスリーディングになる。

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2015/10/07

もう一つの大虐殺:廠窖虐殺事件

愚かなことに初めて知ったのでメモ。

日本軍が中国人3万人を虐殺 廠窖事件/事実を広く 記念館再開/父殺された男性「友好を大事に 絶対戦争はいけない」(しんぶん赤旗2015年10月5日(月))

廠窖虐殺事件 - 誰かの妄想・はてな版(2011-06-26)

太平洋戦争期最大の中国人虐殺の地「廠窖鎮」を訪ねて | 日本中国友好協会兵庫県連合会

場所:厂窖惨案遇难同胞纪念碑 - Google マップ

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記事クリップ:小牧市のツタヤ図書館問題など

他地域の件と紛らわしいので項を分けた。

ツタヤ図書館計画、反対多数 愛知・小牧市住民投票:朝日新聞デジタル(2015年10月5日01時22分)

 愛知県小牧市の新図書館建設計画を巡る住民投票が4日、投開票された。反対が賛成を上回り、レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携した市計画は、見直しを迫られることになる。当日有権者数は11万6624人で、投票率は50・38%。

 20歳以上の有権者が、計画に「賛成」「反対」に○を付ける形で投票し、反対は3万2352票、賛成は2万4981票だった。無効票は1427票あった。

 小牧市は、既にCCCの提案を反映した基本設計案を策定。「ツタヤ図書館」として話題を呼んだ佐賀県の武雄市図書館と同様、書店やカフェを併設し、CCCは開館後の指定管理者候補の一つだ。新図書館の延べ床面積(5770平方メートル)は現図書館の2・6倍で、最大収容冊数も2倍強の50万冊を計画。建設費は42億円で3年後の開館を目指していた。

 山下史守朗(しずお)市長は、名鉄小牧駅前の再開発を踏まえて、「単なる図書館ではにぎわい創出、中心市街地の活性化は難しい。ほかに選択肢はないと判断した」と計画の必要性を主張。

 これに対し、住民投票条例の制定を直接請求した市民グループは「市民の声を聴いていない」と経緯を批判するとともに、武雄市図書館で明らかになった選書の不透明さや、建設費の高さなどから計画反対を訴えていた。グループの渡辺育代共同代表は4日深夜に会見し、「市民の声をどう生かしていくのか、今後、市長にも市議にも問われていると思う」と述べた。

 住民投票条例は「市長と市議会は住民投票の結果を尊重する」と定めている。5日未明の会見で山下市長は「結果は真摯(しんし)に受け止める。計画を丁寧に検証し、明らかな問題があれば見直す」と話した。(松下和彦)

コメントを見る限り、市長はCCCに任せる計画を撤回するつもりはないようだ。情勢は予断を許さないだろう。

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2015/10/06

記事クリップ:もう一つの女工哀史

もう一つの女工哀史再び 発刊35年、岩波文庫に収録:朝日新聞デジタル(2015年10月6日14時41分)

これは買わなくちゃ……とメモしながら買わずじまいになっている本がいくつあることか……。

 大正期の紡績工場を描いたルポルタージュ「女工哀史」。筆者の細井和喜蔵(わきぞう)には内縁の妻、高井としをがいた。岐阜県出身の女性の半生をまとめた「わたしの『女工哀史』」が、発刊35年になる今年、岩波文庫に収録された。貧しさの中で働き続け、労働運動に尽くした生き様は今も語り継がれる。

 としをは1902年に生まれ、10歳で岐阜・大垣の紡績工場に働きに出た。各地の工場を転々とし上京、18歳で細井に出会う。

 女工や女中を続けながら、病弱な細井に自らの体験も伝えて執筆を支えた。「女工哀史」は25年7月に発刊されベストセラーになったが、細井は翌月28歳で亡くなる。としをは入籍しておらず、印税を手にすることはなかった。

《女工の実態を何とか世に訴えたいと、一つの目的に結ばれてともに努力していたので、内縁の妻などということは、気にもかけていなかったのです。》(「わたしの『女工哀史』」より、以下も同じ)

 27年に労働運動の活動家だった高井信太郎と入籍したが、高井も終戦翌年に死去。としをは兵庫県伊丹市で、日給240円で「ニコヨン」と呼ばれた失業対策の日雇い労働をして5人の子を育てた。労働組合を立ち上げ、市役所と交渉し賃上げや健康保険の加入などを実現させた。

《私の一生は、女工哀史とニコヨン哀史の連続でした。なかでもニコヨン生活の二十年は、働いても働いても、食わなんだり食わなんだりの生活で、(中略)だから労働組合をつくり、団結して助けあい、生活を守りぬいたのでした。》

 「わたしの『女工哀史』」は80年に草土文化(東京)から発刊。きっかけは、当時の聖徳学園女子短大の教員と学生らでつくる「現代女性史研究会」の聞き書き調査だった。

 メンバーだった大津市の福田ひとみさん(64)もかつて愛知県一宮市の紡績工場で働き、寮から短大に通った。聞き書き調査でとしをを訪ねたころを思い出す。「プライバシーがないのはとしをさんのころと変わっていないと思った。私も寮で6人が10畳1部屋に入り、私物は鍵のかからないタンスにしまっていた」

 ログイン前の続き研究会によって、としをの半生や趣味で続けてきた詩歌は、「ある女の歴史」「母なれば働く女性なれば」として冊子にまとめられた。新聞やテレビに取り上げられ、出版に至った。

 非正規雇用の拡大など労働者の環境は今も厳しい。「わたしの『女工哀史』」は今年、岩波文庫に収録。文庫編集部の太田順子さんは「権利向上をストレートに求めたとしをの姿勢はすがすがしい。いまの労働状況を考える上でもヒントがある」と話す。

 福田さんは短大を卒業後、保育士をしながら、滋賀県内の保育・福祉関係の労組で委員長を務めた。

 7日午後2時から、岐阜聖徳学園大の図書館(岐阜市中鶉1丁目)で講演会を開く。特に若い学生たちに、としをから教わったことを伝えようと思う。

 「自分の権利のために戦うことはわがままではない。同じ境遇で苦しむ他の人を守ることになる。世の中の矛盾を見て、考える力を身につけてほしい」

 発刊の3年後、81歳で世を去ったとしを。「あとがきにかえて」にこうある。

《この本が、戦争を知らぬ人びとや、平和を守るためにご苦労なさっている方たちに、少しでも参考になれば》(志村英司)

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面白いのでブクマ

米記者から「出来レース」批判された安倍首相国連会見  - iAsia(2015年10月 5日 14:38)

この記事、自分で取材しているようだ。

外国人記者がシナリオを外れて質問したことに対し、

会見場にいた日本人記者全員が「予定外」の質問にざわめきたったのだ。
というところが面白い。

さらに、これらの質問への返答に手間取り、会見が途中で終わったくだりのも面白い。

想定外の質問に、安倍総理は明確な返答が出来ず、その後、テレビ朝日の記者の質問は行われずに会見は中止となった。納得がいかない外国メディアの記者たちと対照的に、日本人記者たちは、広報官に挨拶をするなどして足早に会見場を立ち去ったという。

で、外国メディアの記者たちのコメントが面白いので抜粋。なお強調は私が付けたもの。

「質問事項をあらかじめ提出しろということですから驚きました。そんなことは、アメリカでは記者倫理に違反する行為です。ところが、それは日本の政府と記者との間では常に行われていることだというではありませんか。本気かよ?と思ったのは私だけじゃありませんよ」
記者会見というのは市民を代表してジャーナリストが権力者に挑む場だというのは、アメリカにおいては一般の人も知っている常識です。しかし、残念ながら、日本の権力者の会見はそうではなかった。質問内容は権力側が予め検閲し、その答弁は予め準備されており、会見はその通りに行われる...ちょっと信じられません」
この記事は報道機関を戒めてまとめているけれど、考えてみればこの種の心性は広く日本社会一般に浸透しているような気がする。指導者が下されるご判断をありがたく拝聴するという態度は日本だけでなく中国や朝鮮半島も含む東アジア界隈の習性のように思ったりもするけれど、どうなんだろうね。

そう思うと報道機関を批判すると同時に、自分の意識と実践とをも改めていくことが大切だと思うのだが、そういう対立的な場での応酬を経験する機会が少ないのではないかとも思う。場数を踏んでいないというか。本来は対立関係のはずなのに、それを直視しないで、優越する立場の人たちに迎合してしまうという面もあるだろう。

で、唐突だけれども、労働組合で団体交渉をもっと活発にやり、多くの人が参加するようになればいいなあ…と思ったのだった。

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バカ正直(自分が)

はてなブックマーク - 後藤田ゆみかさんはTwitterを使っています: "小学生たちが交差点で、「憲法9条さえあれば戦争が起きない!ってさぁ、交差点に信号が有れば事故は起きない!と同じぐらいアタマ悪いよね」

こういうツイートがあったらしい。

後藤田ゆみか @gotohda_yumika
小学生たちが交差点で、「憲法9条さえあれば戦争が起きない!ってさぁ、交差点に信号が有れば事故は起きない!と同じぐらいアタマ悪いよね」「ねー!」 って話してた。 リベサヨの馬鹿っぷりは小学生も引くw
2015年10月3日 09:06
で、これはいわゆるパクツイ(パクリツイート)だったとのこと。

おかもとみかげさんはTwitterを使っています: "@gotohda_yumika @capurinerura02 パクリ画像にパクリツイートして楽しいかなぁ。ご丁寧にシグネチャまでつけて。https://t.co/gf9cnyM8Nf"(16:36 - 2015年10月4日)

おかもとみかげさんはTwitterを使っています: "@capurinerura02 @gotohda_yumika だいたい、5年以上前に撮影したかんばんだし、もうその場所に現存してませんよ。"(16:39 - 2015年10月4日)

で、もともとはこういうツイートだったらしい。1ヶ月ほど前のツイート。

おかもとみかげさんはTwitterを使っています: "憲法9条があるだけでは平和は守られない事を説明しております。 http://t.co/mRC2oYQLYn"(2015年9月19日 - 8:41pm)
「青信号安心したらおおまちがい」という交通標語の看板の写真にコピーを付けたもの。

*******
「後藤田ゆみか」さんは「おかもとみかげ」さんのツイートを改変して、どこかにこういう小学生たちが存在しているかのように装い、その架空の存在を「リベサヨの馬鹿っぷりは小学生も引く」と、自己の主張の客観的正当性の根拠に使っているわけである。

こういうのを悪質なデマという。

誰かの想像や架空の想定を下敷きにして、それが実在するかのような、実際に起きているかのような内容に改変して流布する。
関東大震災時の不逞鮮人に関するデマ、ルワンダ虐殺時に出回ったデマなどと同じタイプのデマだと言える。

「後藤田ゆみか」さんには、「リベサヨ」への憎悪があり、その憎悪を投げつけ流布させることに喜びと正義を感じているのだろう。
その憎悪の源泉、怒りの理由を論述する方が建設的だと思うのだが、言語化がまだなされない、あるいは言語化が難しい事情がいろいろとあるのかもしれない。

橋下氏などの「改革派」と称する破壊者たちが強い支持を集めてしまうこと、彼らのデタラメな施策がすばらしい改革として受け入れられてしまうことなどの根底には、社会への不満があるなどと言われるけれども、そういう言語化されない不満のもつれをどのように解きほぐし、その解消の道筋を見つけられるのか。昔からの問題だが、難しい問題だと思う。

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ところで、

「憲法9条さえあれば戦争が起きない!ってさぁ、交差点に信号が有れば事故は起きない!と同じぐらいアタマ悪いよね」
という意見に対して、私が始めに思った反応は、

その通り。9条だけでは十分ではない。だから、その理念を実体化するための努力が不断に必要なのだ。

というものだった。そもそも憲法前文にもそういう趣旨が書かれているし。
平和と安全がそれを確保するための取り組みを常に必要とするのは自明だが、そもそも、法律や制度がそういうものであって、何かが明文化されればそれが直ちに実体化するという発想自体が勘違いである。
まあ、そんな感じのことを考えて、「そうだよね、戦争を起こさないように皆で努力しようね」みたいな返事を考えたわけである。

ところが、はてブにもっと秀逸なコメントがあった。

Apeman 交差点に信号がなかったらどんなことになるか、ちゃんと教えてやるのが大人ってもんじゃねーの?
こういう返しができる頭が欲しいとつくづく思ったのである。

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2015/10/05

いくつかブクマメモ

インドネシアの新幹線受注についての。

日本の少しおかしな「インドネシア新幹線建設計画『白紙化』撤回報道」 - インドネシアの経済・社会・株・情報 | いんどねしあ新聞(24/09/2015)

インドネシア高速鉄道報道:日本メディアのおかしな報道と後出しジャンケン(完結編) - インドネシアの経済・社会・株・情報 | いんどねしあ新聞(03/10/2015)

話はもっともな印象。このジャンルは全く知らないので「ほほう…」というしかない。
ただ「アンチ安倍派」とか「左マキ」とか、なんだか残念な認識も見え隠れする。やはり人は自分の偏見からは逃れられないのだなあ…という。

あ、それと、菅官房長官が「『常識では考えられない』と怒りを露わにしていたそうで」とのくだり、上がこういう人たちだと下は率直な情報を提供しなくなるよね。

トップが非現実的な方針を出してそれを実行しなくちゃいけなくなると、現場がどんなに努力しても成績はボロボロになっていく。でもその状況と原因とを素直にトップに報告すると自分たちが厳しく叱責されるので、トップの脳内イメージに合わせて粉飾する。その結果、トップはオレ様の狙いの正しさに満足しつつ、現状の不具合は抵抗勢力による妨害のせいだと思い込み、敵の狡猾で卑怯で汚いやり口と戦っている正義の俺たちという認識を一層強化する。
まあ、菅さんのコメントを見ると、そういう想像もあながち間違っていないんじゃないかな。

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フィリピン教育で最も必要なのは「考える力」を育む教育だと思うって話

エピソードが面白い。
「フィリピン人は考えない」という印象を持つのは、まあ異文化間接触に伴う他文化理解の一場面ということで、とりあえずかまわないと思う。

最後のエピソード。
ギターを貸したら勝手に売られて、しかも取り戻すために金をくれと言われたという話。

知り合いのフィリピン人にギターを貸して、3日後に返してって言ったら、既に知り合いに売られていた。

フィリピン人「でも、ダイジョーブだよ。すぐ取り返してくるから」

数分後

フィリピン人「ダイジョーブ!ダイジョーブ!いまなら1000pesoで取り返せるよ!!だから1000pesoちょうだい!いまならいけるよ!」

これ、どうしてノエルとかペドロとかカルロスとかホセとかの個人名じゃなくて「フィリピン人」ってなるんですかね。

これ、日本で同じ目にあって、「知り合いからひどい目にあった」という流れで


知り合い「でも、大丈夫だよ。すぐ取り返してくるから」

数分後

知り合い「大丈夫!大丈夫!いまなら1000円で取り返せるよ!!だから1000円ちょうだい!いまならいけるよ!」

ってのを 2ch とか知恵袋とか小町とかで書いたら、

・どんな相手か考えもせずに大事なものを貸す方がバカ
・そのレベルの人が知り合いだという時点でこいつのレベルが分かる

とか言われるんじゃないか。

というところまで妄想した。

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差別と偏見の蔓延を食い止める個人の行動の例

考えさせられたのでメモ。

シリア難民中傷風刺画について、今までの流れ - 東京育児日記(2015-10-05)

上記への反応と若干の周辺情報がある。
はてなブックマーク - シリア難民中傷風刺画について、今までの流れ - 東京育児日記

問題になったイラストが難民や移民への偏見を助長することは確かだ。だがこれを見ていて、ふと思った。

シャルリー・エブドは、このイラストを掲載してくれるだろうか。

もちろんこのイラストは絵でなく文章で訴えているので風刺画としても低質だ。しかしその低質さを除けば、彼らはこのイラストのメッセージを受け入れるのではないか、シリア難民という現象の一側面を風刺しているとして。

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2015/10/04

海老名市のツタヤ図書館の記事など

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追記(2015年10月5日0時31分)

・海老名市の蔵書分類が悲惨すぎて、現代の怪談かブラックユーモアになっているという記事を追加。

・2015年10月7日8時47分
海老名市図書館のウェブサイトが「無断リンク禁止」としている件を追加
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書いたものを消してしまった……。
とりあえず、リンク先だけ挙げておく。

TSUTAYA管理の海老名市立中央図書館を観察してきた: 松浦晋也のL/D

訪問記。使い勝手など厳しい評価。

「大人のバンコク極楽ガイド」「タイバンコク夜遊び地図」CCCが海老名市図書館に納入 - IRORIO(イロリオ)

上記記事の情報源が以下。

議会リポート8速報
図書館問題(第2弾)......山口良樹後援会速報
教育長が見直した選書に愕然 !  これが市立図書館に?

選書し直したリストの一覧がある。

議会リポート7速報

選書リスト問題で問題化した元々の選書リストがリンクされている。
メガネふきなどが選書されている。

海老名のツタヤ図書館に関するメモ #図書館 - Togetterまとめ

市議会の議事録や資料など。

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追記(2015年10月5日0時31分)

面白い話が続々と出てきてワクワクしますな。(ブラックユーモア的な意味で。)

旧約聖書「出エジプト記」が旅行ガイド? 海老名市立図書館の配架がちぐはぐすぎて不安視する声 - ねとらぼ(2015年10月04日 14時56分 更新)

海老名市立中央図書館の分類がおかしいとのこと。

検索結果の例

・「出エジプト記」→「旅行/海外旅行/アフリカ/エジプト」に分類
・「伊勢物語」や「奥の細道」のいくつか→「旅行」
・有川浩の小説「阪急電車」→「趣味実用/鉄道」
・図説食人全書 → 料理・教養・読み物・食文化

書棚の並びの例

・中国の漢詩やイザベラ・バードの「中国奥地紀行」→国内旅行の中国・四国地方

だとか。

NDC(日本十進分類法)を使わない(理解しない?)ツタヤ書店の都合に合わせた分類が、配架を混乱させ、検索性を大きく劣化させているという指摘は、上記の訪問記にもある。

TSUTAYA管理の海老名市立中央図書館を観察してきた: 松浦晋也のL/D

多くの人が指摘しているように、武雄市図書館にせよ海老名市の例にせよ、この混乱は、CCCとツタヤが書物を商材だとしか見ることができないことから発している。

ツタヤでもブックオフでも、店の配架はたいていろくでもない。だが、唯一、ブックオフで配架が悪くなかった店を見たことがある。それは鹿児島市の高見馬場のブックオフだった。だから、ブックオフの配架は店ごとにある程度自由になるのかもしれない。

だがちょっとツタヤ・CCCを擁護しておきたい。他のロードサイド型の大型書店でもツタヤやブックオフと同様に配架は悲惨の一言だ。
たとえば「喜久屋書店」。そもそも雑誌と実用書、マンガに若干の売れ筋文芸書しか置いていないが、ここも分類は適当だ。まあ硬い本がそもそも少ないので分類のしようがないというべきかもしれない。また、鹿児島市のイオンには「未来屋書店」というのが入っている。これはイオン系だが、配架・分類どころか品揃えがお粗末の限りだ。あれは本屋ではない。コンビニの雑誌コーナーの拡大版と言うべきだ。それに、小さな町の本屋さんでも事情は似たようなものだ。だから、ツタヤだけが悪いのではない。そもそも、この手の書店が図書館の蔵書分類のような仕事をしていない(必要がない)し、書物が公共の文化資源だという見方をしていては生き残れないのである。

NDCによる配列はしていないが、分類の重要性を理解している大型書店を挙げるとしたら、ジュンク堂と丸善、紀ノ国屋、旭屋書店という順序になるのではないか。専門書の棚を見ると、そこの担当者がどれくらいその分野について考えているかが分かる。例えば、大学生協の書店も結構きちんとしていて信頼性が高い。

同じ書店であっても配架がこれほど違うのは、店の性格、ターゲットの市場が異なるからだと思う。ツタヤは「町の小さな本屋さん」が担っていた雑誌や実用書、ベストセラーなどの売れ筋の市場を食い、小さな本屋さんを潰すことで成長した。ツタヤにとって書物はレンタルDVDなどと同次元の商材にすぎず、買いそろえ、蓄積すべき文化資源ではない。他方、ジュンク堂などは貯蔵し折に触れて参照するための書物をそろえる場所という地位を確保しており、経営上は負担だと思われるが、美術書や学術書のニーズにもある程度は対応せざるをえない。

したがって、ツタヤが今後も図書館運営を本格化させたいのであれば、組織的なエートスを修正していく必要があるだろう。もっとも、彼らがそうする前に、図書館を税金で運用するツタヤ的レンタル店で十分だという方向へ意識が変わるかもしれないが。

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CCCが運営する海老名市立図書館の公式サイトは「無断リンク禁止」 | スラド IT

「CCCの広報担当者によると、武雄市図書館の蔵書問題が騒ぎになったのを受けて「慎重な対応」を行うことにしたため」だとか。
「無断リンク禁止」の時代遅れ感がアレすぎて、スラドやはてブが盛り上がっている。

はてなブックマーク - CCCが運営する海老名市立図書館の公式サイトは「無断リンク禁止」 | スラド IT
はてなブックマーク - サイトポリシー | 海老名市立図書館

海老名市立図書館のサイトを見ると確かにこう書かれている。

サイトポリシー | 海老名市立図書館

リンクについて
本サイトのトップページへリンクを行う場合、「info@ebina-library.jp」までリンク元のURLを事前にご連絡ください。
リンクを設定する場合には、海老名市立図書館ホームページへのリンクである旨を明記してください。
リンクによって発生したトラブルや損害賠償問題等については何ら責任を負いません。
なお、以下に該当するwebサイトからのリンクはお断りいたします。
海老名市、海老名市立図書館、ならびに海老名市立図書館の指定管理者を誹謗・中傷するwebサイト
法令や公序良俗に反する情報を提供するwebサイト
独自のフレーム内に本サイトを取り込んだ形など、海老名市立図書館ホームページであることが不明確となるwebサイト
尚、本サイトに掲載している内容は、予告なく変更・削除することがありますのでご了承ください。
あまりに恥ずかしいから、そのうち変更されるのではなかろうか。

海老名市立図書館
トップの画像が大きすぎて使いづらい。スマホ用かな?それにしても無駄だと思うけれど…。

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ツヤタ図書館、海老名市で頑張ってます! TRCと市教委もCCCと一丸に。

以前この記事でちょっと触れた件。
CCC・ツタヤ図書館、海老名市でも問題か?: 思いついたことをなんでも書いていくブログ(2015/09/18)

ハフポストで記事が出ていた。

「武雄市図書館の時はド素人でした」 海老名市でオープンした2館目のTSUTAYA図書館は何が違う?(投稿日: 2015年09月30日 22時34分 JST 更新: 2015年10月01日 08時55分 JST)
Chika Igaya氏の投稿。プロフィールは

明治大学大学院文学研究科考古学専修博士前期課程修了後、産経新聞文化部記者などを経て、ドワンゴコンテンツでニコニコ動画のニュースを担当。2013年4月から現職。
とのこと。

この記事は、CCCから来た高橋図書館長らの記者会見コメントがベースになっている。
以下、記事から経過をまとめ、若干の感想コメントを付ける。

●選書リスト問題の経緯と武雄市での経験について

9月17-18日
海老名市議会で選書リストが問題になる。「図書館の蔵書として疑問視される書籍が含まれていた」
9月18日、市教育委員会の伊藤文康教育長が選書をやり直すと答弁、謝罪(9月18日)。

9月30日
海老名市立中央図書館の高橋聡館長(CCC所属)が記者会見。以下その内容。

・行政手続としては問題ないと、武雄市には言われていた。
・武雄市図書館の時、僕たちはド素人でした。一館もやってない状態。
・時間も予算もないという「特殊な状況」→もっと良いことができたのではないかと反省

※樋渡氏に振り回されて迷惑だったという感想がにじみ出ているようだ。
※「ド素人」が武雄市民に巨大な迷惑を掛けたという謝罪はないように見える。

・武雄では13人の司書メンバーとともに2年半、しっかり手順を踏みつつやってきた

※司書の存在、司書問題へのコミット、「しっかり手順」など、頑張っている感、苦労しているんだぞ感をアピール。

●問題の選書リスト8300冊について。

問題化の後、見直し作業は、3段階のチェックを経ているとのこと。

1.CCCが基礎的なデータを作成
2.図書館流通センター(TRC)がチェック
3.海老名市が確認

結構大変そうだ……。

9月の議会で問題化して、18日に見直しすると表明。その後9月30日までにこの3段階の手間が終わったのが、約7000冊だそうである。すごいハイペースに見えるが、どういう作業だったのだろうか。

●再び、CCC所属の高橋図書館長の説明。

9月30日現在で、

1.発注段階:7161冊
2.入荷可能な冊数:6997冊

3.9月25日から入荷が始まった。その後、

一冊、一冊、教育長に見ていただいて、確認の作業をしてきた
とのこと。

9月25日(金)から30日(水)までの6日間で、
6997冊を
「一冊、一冊、教育長に見ていただいて」
「確認の作業をしてきた」
のだそうである。

9月18日(金)から作業スタートとして、OKの本はすぐに発注するとして、約1週間後の25日から本が入荷しだしたということだろう。そして、その段階から教育長が「一冊、一冊」確認しはじめたということだろう。そして、30日までに7000冊を「一冊、一冊」見終えた、と。

土日は返上したのだろうか?
教育長はこの6日間、通常業務はどうしていたのだろうか?

いやまあ、本当はたぶん教育長じゃなくて、教委の職員たちが見たんじゃないかと思うんだけど…?

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市議会で、教育長が
「私が1冊 1冊、手にとって、市民に説明できるような形で配架したい。」
市長が、
「疑惑や疑念、市民のご理解が得られれないものについては購入をしないという対応の指示をいたします」
と答弁していたのだそうだ。
そりゃ、「教育長が」と言わざるを得ないよね。

参考:山口良樹議員の「議会リポート8速報
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それにしても、
「一冊、一冊見ていただいて」というのは、具体的にどういう行為を意味しているのだろうか?
文脈的には、
1.全ての本について、
2.その内容を直接参照して、
3.図書館にふさわしいかを審査した
という意味だと思うのだが、それってこんな短期間にできるのかという気がすごくする。

そして、肝心の選書リストの作成方法については、

・作成担当者が誰かは、「ノウハウに関わるので」と明言を避けた
・CCCの書籍販売データを利用して選書している。

販売データをどのような形で生かしているのだろうか?
まさか売れ筋かどうかの判断だけではないと思うが…。
良書なのか、収集・保存すべき資料なのか、公共性が高いのか等について、販売データからどのような情報を得られるのだろうか?

●次に、図書館が購入する雑誌について。

1.以前は148タイトルを購入していた。→ 51タイトルに削減。
2.削減理由は、蔦屋書店が中央図書館で約600タイトルを販売するから。
3.仕方ないので、ツタヤが入らない有馬図書館で、TRCが購読タイトルを増やした(バックナンバー保存のため)。

●そして職員体制。司書問題への貢献をアピール。

・司書数:以前の12人→18人に増員
・他に、司書資格のないスタッフが15人、搬送業務の担当者3人

・司書の給与体系が非常に低いという問題意識→スキルのあるスタッフは正社員登用したい
・4階のキッズライブラリーに武雄市で有期雇用だった司書を抜擢して配置。4階のリーダーに。

※ここは素直に司書の地位向上と待遇改善に頑張って欲しい。

●TRC会長のコメントが味わい深い。

・CCCはまだまだ業務に慣れていない→郷土資料やレファレンスを手伝う

商業ベースに乗らない貴重資料の管理と図書館サービスの肝であるレファレンスが弱いという指摘。やんわりと味わい深い。

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2015/10/02

全くの素人が口を出せる話でもないのだが

細谷雄一の研究室から:国会論戦に隠されていた本質的な問題 - livedoor Blog(ブログ)(2015年09月29日)

細谷氏は政治学、国際関係論、外交史を専門とする慶應義塾大学の先生。

・内閣法制局が硬直化しており、法制局長官の絶対的権威、無謬という建前に縛られている。そのため情勢に応じた政府見解や法解釈の修正ができなくなっている。
・外務省、防衛省は幹部ポストに着けず、国際法に詳しい人材がいない。そのため、国際法の常識から乖離した見解がまかり通っている。

とのこと。官僚の縄張り争いの結果、法制局ポストが既得権益化し、一種の派閥やボス政治に支配されているという認識のようだ。
産経の「首相に逆らう法の番人「憲法守って国滅ぶ」」という記事を引いている。

で、今回の安保法制問題についてだと思うが、細谷氏の見解は、

・問題の本質は、内閣法制局という官僚組織による「無謬性」への拘泥であり、自らの誤りを認めないかたくなな姿勢にある。
そして、その誤りとは、
1.1981年政府見解で、それまでの集団的自衛権部分容認論を、集団的自衛権の定義を間違えて全面禁止論とうっかりと認めてしまったこと
2.1997年の「武力行使との一体化」により、それまでは憲法上必ずしも禁止されているとは明確に位置づけられていなかったのに、「駆けつけ警護」や「後方支援」を全面的に禁止したこと

などとのこと。

*****
私は全くの素人なので、細谷氏の指摘は「そういうものか」と聞くしかないのだが、不思議に思うこともある。

それは、安保法制についての議論が沸騰していた当時、細谷氏が指摘する内閣法制局の「誤り」については、あまり問題になっていなかったような気がすることだ。
確か、憲法学者の多く(ほとんど?)が「憲法は集団的自衛権を認めていない」と言っており、その点では元法制局長官などの見解とも齟齬はなかったような記憶がある。
憲法解釈上、集団的自衛権を認める余地があるのなら、「憲法違反とまでは言えない」という指摘がもっとたくさんあって然るべきではないだろうか。
それに、政府与党の説明でも法解釈に関する正面からの論争がもっとあってもよかったのではないだろうか。

また、法制局は、今回ほぼ無抵抗で集団的自衛権を容認したという。

憲法解釈変更:法制局、経緯公文書残さず - 毎日新聞(2015年09月28日 09時30分(最終更新 09月28日 10時44分))
参考:内閣法制局が集団的自衛権の行使を、たった1日で合憲に解釈変更した過程を公文書に残さず隠蔽! - Everyone says I love you !

細谷氏が「硬直化」したと言うのとは対照的に、内閣の方針に柔軟に対応しているように見える。

また、元法制局長官の阪田雅裕氏は次のように語っているという。

クローズアップ2015:憲法解釈変更、公文書残さず 揺らぐ「法の番人」 - 毎日新聞(2015年09月28日 東京朝刊)

元長官の阪田氏は「(内閣に対し)『だめ』と言って務まる時とそうでない時がある。それは相手の強さによる。横畠君の苦労も分かる」と法制局の微妙な立場を代弁する。「法制局みたいなちっぽけな役所が、憲法9条のような重い荷物を背負いきれるわけがない。どうしても外国の戦争を手伝うようにしたいなら、憲法を改正するしかないでしょう」
阪田氏は小泉政権時代の長官だったそうだから、阪田氏は細谷氏が言う硬直化した法制局と権威化した長官OBの一員と見てもよいと思うが、その阪田氏が「強い内閣には抵抗できない」とか「9条解釈の責任を引き受けきれない」として、内閣の意向に従った現長官に同情している。

これらの報道を見る限り、今回、法制局は細谷氏が言うほど頑固な抵抗勢力として働かなかったのではないか。

細谷氏が引いた産経の記事は2013年のものらしいので、今回は安倍首相が長官人事に介入したことなどによって、法制局が柔軟化したのだということかもしれない。だが、もしそうならば、細谷氏が「問題の本質」として指摘している「かたくなな姿勢」は、すでに過去のものであり、少なくとも今次の安保法制に伴う憲法解釈問題とは関係ないことになる。

というわけで、細谷氏が「国会論戦に隠されていた本質的な問題」として法制局の頑迷さを挙げている意味がよく分からないのである。

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クローズアップ2015:憲法解釈変更、公文書残さず 揺らぐ「法の番人」 - 毎日新聞(2015年09月28日 東京朝刊)

 政府の憲法解釈を一手に担う内閣法制局が、40年以上維持してきた「集団的自衛権の行使は違憲」という判断を昨年夏、180度転換した。その過程を記す公文書は何も残されていない。背景を取材すると、「法の番人」として威厳を保ってきた法制局が、政治の介入によって無力化されつつある現状が浮かんだ。この国の「法の支配」が揺らいでいる。【日下部聡、樋岡徹也、林田七恵】

 ◇検討経緯、水面下に

 「安全保障法制の議論はこの30年間、従来の憲法解釈の範囲内で一歩ずつ進めてきたのに、今回はボコーンと行ってしまった」

 小泉内閣で法制局長官を務めた阪田雅裕氏は、今回の憲法9条解釈変更をそう表現する。「十分に議論する時間があったのか疑問だ」

 国のかたちを根底から変える9条の解釈変更について、法制局はたった1日の審査で「意見なし」とし、結果は憲法解釈を担当する第1部の参事官が電話で内閣の担当者に伝えた。

 「そんな審査はあり得ない」と、元総務官僚の小西洋之参院議員(民主)は批判する。小西氏は総務省時代、法解釈の審査を受けるために何度も法制局に通った。「法制局とは必ず文書でやり取りした。今回の閣議決定を審査するなら、天井まで積み上がるくらいの文書と、少なくとも1年近くの時間が必要だろう。つまり、法制局は今回、何もしなかったということだ」

 横畠裕介長官の国会答弁によると、安倍晋三首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)や自民・公明両党による安保法制の与党協議会で使われた資料を継続的に受け取り、必要に応じて内閣官房から説明を受けつつ「部内で検討を加えていた」という。

 安倍首相は2013年8月、集団的自衛権行使容認派の外務官僚、小松一郎氏を法制局長官に任命(長官退任直後の昨年6月に病死)。その下でナンバー2の法制次長を務めたのが現長官の横畠氏だ。今回の集団的自衛権の行使容認は「限定的で合憲」との見解を国会答弁で示してきた。

 複数の与党関係者によると、高村正彦・自民党副総裁や北側一雄・公明党副代表らは、与党協議会とは別に、横畠氏と非公式に会っていた。「彼らは閣議決定前に『限定的容認は従来の9条解釈の枠内』ということで合意していた」と関係者の一人は打ち明けた。

 他界した小松氏や横畠氏が解釈変更に深く関与していることは間違いない。だが、非公式の折衝や協議は記録に残らず、プロセスは水面下に沈んでいる。

 一方、集団的自衛権の行使を認めないとする1972年の政府見解については、小西氏の情報公開請求に今年、法制局が「集団的自衛権と憲法との関係について」と題する文書を開示した。第1部の参事官が「(政府見解の案文を)別紙の通りまとめたので、これを(参院の)委員会に提出してよろしいか」と決裁を求め、手書きの訂正が加えられ、部長、次長、長官の決裁印が押されている。組織全体で認識が共有されていたことがうかがえる。

 今回の解釈変更では、この種の文書が残っている可能性は低く、法制局が何をどう判断したのかを後世に検証するのは難しい。公文書管理制度に詳しい瀬畑源(せばたはじめ)・長野県短大助教は「公文書管理法は将来にわたる国民への説明責任を理念とし、公文書を『民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源』とする。意思決定の過程は必ず記録し、歴史的検証に耐え得る文書として残す必要がある。今回のような大きな政策転換にかかわる時にはなおさらだ」と指摘する。

 ◇長官人事に政治介入

 内閣法制局は長い歴史を持つ。1885(明治18)年、伊藤博文が初代首相となり内閣制度が発足した翌日に設置された「法制局」が、その原形だ。「西欧列強に肩を並べるため、明治政府は法治国家であることを示そうとした」と法制局に詳しい西川伸一・明治大教授(政治学)は解説する。以後、あらゆる法令に矛盾がないよう厳格に審査する伝統が生まれた。軍部に唯一物申せたのが法制局だったとも。

 とはいえ内閣の一機関であり、内閣の要求に応えなければならない。海外での国連平和維持活動(PKO)やイラクでの人道復興支援活動など自衛隊の海外派遣を巡る立法では、「ガラス細工」と皮肉られる憲法解釈を積み重ねた。「法の番人」か。それとも「政府の法律顧問」か。矛盾する役割を担う中で「集団的自衛権行使は違憲」は守ってきた最後の一線だった。

 法制局は海外での武器使用にも一貫して慎重だった。民主党政権は、PKOに際して自衛隊が民間人らを救助する「駆けつけ警護」の容認を検討したが、野田佳彦政権で防衛政務官を務めた大野元裕参院議員は「法制局が認めなかったから、できなかった」と証言する。

 法律の案文や憲法解釈の審査などの実務は、法律に詳しいと目され各省庁から抜てきされた参事官たちが担う。一つの案件を原則1人で担当する激務だ。「法律の専門家としてのプライドを持つ参事官が『法の番人』としての役割を支えてきた」(西川教授)

 この参事官から部長や次長を経て長官に上り詰めるのが、戦後の人事の慣例だった。安倍首相は外部から小松氏を長官として送り込み、その不文律を覆した。「これで法制局の中立的な立場が、完全に奪われた」と西川教授は見る。小松氏の前任、山本庸幸元長官は最高裁判事となった際の記者会見で、集団的自衛権の行使について違憲だとの自説を述べた。

 元長官の阪田氏は「(内閣に対し)『だめ』と言って務まる時とそうでない時がある。それは相手の強さによる。横畠君の苦労も分かる」と法制局の微妙な立場を代弁する。「法制局みたいなちっぽけな役所が、憲法9条のような重い荷物を背負いきれるわけがない。どうしても外国の戦争を手伝うようにしたいなら、憲法を改正するしかないでしょう」


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追記(2015年10月19日)
関連する記事が毎日新聞に出ていたので、以下にメモした。

とりあえずブクマ: 思いついたことをなんでも書いていくブログ

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ポルポト、アパルトヘイト、アジア太平洋戦争。族社会の名誉と民主社会の倫理、加害のトラウマと責任回避

「ポル・ポト<革命>史 虐殺と破壊の四年間」山田寛 著 | Kousyoublog

こちらの記事にある次の言葉。

『名誉の精神は、基本的に民主主義と相容れない』(「カントリー・オブ・マイ・スカル―南アフリカ真実和解委員会“虹の国”の苦悩」P350)
『人は族的な集団のなかで生きている。集団に求められたことを首尾よく成し遂げたときに人は名誉を感じ、集団の期待に反したときに恥や裏切りの感情を抱く。主流の体制から排除された集団にとって、名誉や恥は生き残りのための行動原理となり、人々の関係性に規律をもたらす。他方、罪の領域は、人の社会的属性とは無関係に、一人ひとりが対等に扱われる個人の世界に属している。そこで問題になるのは善悪を区別する倫理と行為であって、観衆が人の行為をどう見なすかは関係ない。』(「カントリー・オブ・マイ・スカル―南アフリカ真実和解委員会“虹の国”の苦悩」P413)
上記Kousyoublogのブログ主さんによれば、「カントリー・オブ・マイ・スカル」の著者クロッホは、族的集団における名誉の論理と民主社会的な倫理の論理との矛盾とを前提として、
族的な名誉と倫理を規範とする社会とをどう繋ぐかという試みとして南アフリカの真実和解委員会の活動を位置づけた
のだという。

先日、「牧野雅子氏のコラムからの思いつき」と題したエントリで、マイケル・サンデルが社会の統合を目指すためには名誉の問題に取り組まねばならないと論じていることに触れた。サンデルがそこで問題視していたのは今のアメリカ社会に広がる断絶で、アパルトヘイト後の南アフリカは関係なかった。なのに、同じ問題に行き着いている。

Kousyoublogでは、この「カントリー・オブ・マイ・スカル」の書評もされている。
「カントリー・オブ・マイ・スカル―南アフリカ真実和解委員会“虹の国”の苦悩」アンキー・クロッホ 著 | Kousyoublog

こちらで紹介されている記述もなかなかすごいが、含蓄のこもった部分をいくつか抜粋しておく。

アパルトヘイトの特徴として被害者・犠牲者だけでなく加害者の側にも広く心的外傷(トラウマ)が見られるのだという。誰もが、体制の中で自らの職務として拷問・殺人・暴力の行使に手を汚し、そのゆるしを求めて心に深い傷を負っていた。

ここには国家の犯罪をどのように裁くのか、という難題が横たわっている。実行者として手を汚した多くの公務員たちが心に深い傷を負い、さらに法的な裁きにも直面させられる一方で、政治的妥協の産物として生き残ったアパルトヘイト体制を主導した国民党の中枢は、TRCにおいて切断処理を行おうとする。デクラークは公聴会で『過去になされた人権侵害は、ひどい裁判や、個々の警察官の職務にあまりにも熱心すぎるか怠慢だったことが原因だ』(P172)とのうのうと言ってのけ、激しい非難を浴びた。

加害者自身が負うトラウマ、そして指導者の責任回避という問題がここにも現れている。
そして、政治指導者へ我々「民衆」が持つべき姿勢と責任について。
『人は政治家に道徳性を期待することはできない。ただ、彼らに説明責任という倫理をまっとうさせることはできる。
意義ある変化を望むなら、政治は過去の悪弊の繰り返しを防がなければならないし、可能ならば起きてしまったことに対しては償いをしなければならない。
ときには、真実と正義を天秤にかける必要があるだろう。われわれは真実を取るべきだ、と彼は言う。真実は死者を蘇らせることはないが、死者を沈黙から解き放つ。
共同体は過去の一部を一掃すべきではない。なぜなら、嘘と矛盾によって満たされるだろう空白を残すことによって、起きたことの収支報告を混乱させることになるから。
犯罪者は、みずから行った過ちを認める必要がある。なぜ?それが、社会が共有できる出発点を作り出す。過去ときっぱり手を切るためには、道徳の道しるべが過去と未来の間に立てられる必要がある。』(P42)
このあたりの記述は、どうしても日本の戦争責任問題への姿勢への指摘のように読めてしまう。それと同時に、なぜ我々が日本の戦争責任問題に向き合うべきなのか(「保守」的に言えば、なぜ我々は謝りつづけなければならないのか)への一つの答にもなっている。

実際、クロッホはルース・ベネディクトの「菊と刀」から当時の日本社会における名誉と恥の概念を参考にしているというから、南アフリカの状況は我々にも身近な問題として迫ってくる。それどころか、ブログ主氏の議論では、それはポルポト革命にもつながっているのではないかというのだ。

これと同じ構図がクメール・ルージュにも見て取れそうな気がするのだ。すなわち「クメール・ルージュの名誉を守るためには、どんなことでも許された――たとえそれがもっとも恥ずべき政策であっても」ということなのではないか。倫理と名誉とをつなぐ社会をどう構築するか、ポル・ポトをはじめとする殺戮と革命の歴史はその問いを投げかけているように思える。
私はこれまで漠然と、民主主義や市民社会の基礎は個人の自由に依拠した社会契約で、理性に基づく個人の基本的人権の尊重を追求しさえすれば――もちろんそこには種々の利害などの調整が必要であるわけだが――個人の尊重と社会の調和とが達成されるのだろうと思っていた。
けれども、日本を含む多くの社会が経験したこの混乱と残虐、その後遺症とを見ていくと、理性に基づく自由と個人の尊厳という文脈とは異なる意味での倫理や道徳を民主主義社会に持ち込まざるをえないのではないかという気がしてくる。コミュニタリアン的な話にには危険な臭いを感じるのだが、それでもなお、その問題を考えることは民主主義の理想、即ち普遍的人権の尊重と平和で安定した社会の実現を目指す上で避けられないように思う。

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