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2015/10/10

南京大虐殺の世界遺産登録の関連

日本が申請した2件は二つとも認められた。

中国の申請2件のうち慰安婦関連文書は認められなかったそうだ。
そのうち認定理由がユネスコのサイトに上がるだろうから、論評はそれを見てからでいいだろう。

南京事件が記憶遺産に値する大事件であることは論を待たない。だから文書の範囲と提示方法が順当なら当然のように登録されるだろう。他方、慰安婦問題も意義深いので登録されてもいいと思うのだが、中国一国だけでは包括的に示せないかもしれないし、そういう場合はどうなるのだろう。審査は結果的に却下だった。両者の違いがどこにあるのか、審査の詳細を見たい。

ここではいくつか関連リンクを張っておく。

記憶遺産に中国申請の「南京事件」 NHKニュース(10月10日 3時58分)

旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる「南京事件」を巡り、ユネスコ=国連教育科学文化機関は、中国が「記憶遺産」として申請していた資料について登録することを決定しました。一方、同じく中国が申請していたいわゆる「従軍慰安婦」の問題を巡る資料については登録されませんでした。
この決定はユネスコのホームページで9日、発表されました。「記憶遺産」は、世界各地に伝わる重要な古文書や貴重な映像などを人類の財産として保護しようとユネスコが登録するもので、その審査にあたるユネスコの国際諮問委員会が今月4日から3日間にわたってUAE=アラブ首長国連邦で開かれました。
審査の結果はボコバ事務局長に勧告され、事務局長は中国が申請していた、▽旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる「南京事件」を巡る資料を登録することを決定しました。
一方、同じく中国が申請していた▽いわゆる「従軍慰安婦」の問題に関係があるとされる資料は登録されませんでした。
中国は、「南京事件」について日中間でも議論がある犠牲者の数について30万人以上だとした南京軍事法廷の資料や、いわゆる「従軍慰安婦」の問題を巡って旧日本軍が慰安所を設立したことなどを示すとされる資料などを提出していました。
これに対して日本政府は、去年の中国の申請以降、何度も抗議をしたうえで申請を取り下げるよう求めてきました。
・旧日本軍が……などとされる「南京事件」
・いわゆる「従軍慰安婦」
・旧日本軍が慰安所を設立したことなどを示すとされる資料
・日本政府は……何度も抗議をしたうえで申請を取り下げるよう求めてきました。

NHKが表現に気を遣い、最後に日本政府の正当性と努力を強調しているのが泣ける。

世界記憶遺産:「南京大虐殺」登録 「慰安婦」は却下 - 毎日新聞(2015年10月10日 11時36分(最終更新 10月10日 14時04分))

 ◇ユネスコが発表

 【パリ宮川裕章】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は9日午後(日本時間10日未明)、重要な歴史文書などを認定する世界記憶遺産に、中国が申請した旧日本軍による「南京大虐殺」に関する資料を登録したと発表した。中国による従軍慰安婦に関する資料の登録申請は却下した。一方、日本が申請した第二次大戦後のシベリア抑留者の引き揚げ記録「舞鶴への生還」と京都市の東寺に伝わる国宝「東寺百合文書(とうじひゃくごうもんじょ)」は登録が決まった。日本と中国では南京大虐殺の犠牲者数などで見解が分かれており、記憶遺産への登録は中国の歴史認識にユネスコの「お墨付き」を与えかねない。日本政府は「ユネスコの政治利用」と反発しており、遺産登録を受け、歴史認識を巡る日中両政府の摩擦が再燃する可能性がある。

 南京大虐殺関連では、戦後の極東国際軍事裁判(東京裁判)と南京軍事法廷の記録などが登録された。中国はユネスコに提出した申請書類で「極東裁判での中国人犠牲者数は遺棄された遺体が含まれておらず、南京軍事法廷は『少なくとも30万人の中国人が殺害された』と結論付けている」と指摘。その上で「提出資料は、南京大虐殺が歴史的事実であることの証拠であり、議論の余地のない信頼性と信ぴょう性を有する」と主張している。

 一方、菅義偉官房長官は2日の会見で「中国はユネスコを政治的に利用している。過去の一時期における負の遺産をいたずらに強調し、極めて遺憾だ」と批判。中国に抗議し、ユネスコにも懸念を伝えていることを明らかにしていた。

 ユネスコは今月4〜6日にアラブ首長国連邦のアブダビで国際諮問委員会を開き、各国からの新規申請約90件を審査。専門家らの勧告を受けてボコバ事務局長が登録案件を決定した。南京大虐殺を含めた登録理由、却下理由は近く公表されるが、登録基準には資料の「真正性」が含まれており、中国側の申請理由が大筋で認められたとみられる。

 一方、中国側は却下された「従軍慰安婦」に関する資料の申請書類で、大戦中の日本軍が中国などで、住民女性を「性奴隷」として奉仕させるために「強制的に徴用した」と主張している。日本側の資料からも事実が裏付けられているとして、記憶遺産に登録するよう求めていた。

従軍慰安婦問題では、韓国も独自に記憶遺産への申請準備を進めており、将来、登録される可能性は消えていない。

 ◇記憶遺産

 世界の重要な古文書や絵画、写真などの記録の保護と振興を目的にユネスコが1992年に事業を始めた。選考基準は真正性と世界的重要性の有無など。国際諮問委員会が非公開で議論し、ユネスコの事務局長に勧告。これを基に事務局長が決定する。2014年1月時点で「アンネの日記」やフランスの「人権宣言」など301件が登録され、このうち日本は「山本作兵衛炭坑記録画」など3件。ユネスコに関連する「遺産」にはこのほか、「世界遺産」「無形文化遺産」がある。世界遺産には今年「明治日本の産業革命遺産」が登録され、無形文化遺産には昨年「和紙」が登録されている。

 ◇南京大虐殺

 日中戦争時の1937(昭和12)年12月、旧日本軍が当時中国の首都だった南京を占領する際、多数の市民を殺害、略奪した事件。犠牲者数をめぐって日中間で議論があり、日本側の研究者は「20万人を上限に、4万人、2万人などの推計がある」とする一方、中国側は30万人以上と主張。日本政府は具体的な人数については諸説あり、正確な数の認定は困難との見解を示している。

日中の対立と中国への反感を煽る表現が目立つ記事。まあ産経と読売に比べればマシなのだろう、両紙は見るつもりもないけど。

この記事で中国の申請内容が少し分かる。でも、慰安婦関連文書が却下された理由を推測できる材料はない。

記憶遺産は文書の真正性は見るけれど、そこからの歴史解釈の真正性は問題にしない。というかそんなのはできない。だから、「中国の主張が認められた」とか噴き上がる前に冷静になった方がいい。第一、貴重な資料は日本軍の隠蔽工作から幸運にも漏れた貴重な資料が含まれているのだから、それらの保存を後押しする認定をなぜ喜ばないのだろうか。

「政治利用」とか叫ぶ前に、日中双方が互いの国に残る資料を真摯に収集保存して、それらを相互に閲覧できるよう幅広く公開して「冷静な検証」を促すべきだろう。記憶遺産認定はこのような取り組みに資するもののはずである。

日本政府の反応。

世界記憶遺産:日本政府、抗議へ 「南京大虐殺」登録 - 毎日新聞(2015年10月10日 12時07分(最終更新 10月10日 12時44分))

 日本政府は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に「南京大虐殺」が登録されたことを受け、登録申請した中国政府に抗議するとともに、制度に不備があるとしてユネスコに改善を求める方針だ。

 外務省の川村泰久外務報道官は登録決定直後に、中国とユネスコを批判する談話を発表。談話では「南京事件は日中間で見解の相違があることが明らかだ。中国の一方的な主張に基づき申請され、完全性や真正性に問題がある。登録されたことは中立・公平であるべき国際機関として問題であり極めて遺憾だ」とした。

 記憶遺産制度についても「文書遺産の保護やアクセスの確保を目的とするユネスコの事業であり、政治利用されることがないよう制度改革を求めていく」と強調した。

 外務省はこれまで、中国に登録申請を撤回するよう申し入れていたほか、ユネスコにも制度改善を求めていた。外務省幹部は10日、「中国とユネスコに対して早急に抗議をする」と述べる一方で、「この件で日中関係が悪化するのは本意ではなく、感情的に反応すべきではない」と指摘した。

 日中韓首脳会談が10月末にも予定されるなど、中国との関係改善が進む兆しが見え始めていただけに、政府関係者は「関係改善の機運に水を差すことになるのでは」と懸念を示している。【小田中大、高本耕太】

南京登録「中立性欠く」=記憶遺産事業の見直し要求—日本政府 - WSJ(2015 年 10 月 10 日 09:01 JST 更新)
時事通信社の配信記事。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に中国が申請した南京事件の資料が登録されたことを受け、日本政府は10日、川村泰久外務報道官の談話を発表、「中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾だ」と厳しく非難した。政府は、記憶遺産事業が中国に「政治利用」されたとみており、今後、事業の見直しを求めていく方針だ。

 川村報道官は談話で、(1)南京事件をめぐっては日中間で見解の相違がある(2)中国の一方的主張に基づく申請で、資料の真正性に問題がある—と指摘。その上で、「重要なユネスコの事業が政治利用されることがないよう、本件事業の制度改革を求めていく」と表明した。

 南京事件の犠牲者数について、中国側は「30万人が殺害された」(習近平国家主席)と主張している。これに対し、日本は「諸説あり、正しい数を認定するのは困難」(外務省)との立場だ。日本政府関係者は「記憶遺産は歴史事実を認定する場ではない」とけん制しているが、「対日戦勝70周年」をアピールする中国が今回の登録を自らの主張の補強材料とし、発信を強める事態が予想される。

 外務省幹部は「日中関係を改善しようとしているときに日本の『負の歴史』にいたずらに焦点を当てるべきでない」と不快感を示した。

努めて冷静さを保とうとする日本側と、対立を煽ってくる悪辣な中国側という構図を描き出す。まあ「時事通信社」なので仕方ないが、認知のゆがみは深刻である。

ただ、日本政府の抗議内容の概要が分かる。この通りだとすると、記憶遺産の認定条件に基づいた本質的な異議申し立てにもなっていないし、まさか中国提出の個別資料についてその真正性を疑う根拠を出すわけでもないだろうし(それこそ世界の笑いもの)、重箱の隅を突いて愚痴を言う程度の「非難」。情けない……。

それと、外務省幹部の発言が哀れを誘う。「負の歴史」を直視することは日中関係の改善を阻害するのだそうだ。
加害者の傲慢さとひがみ根性も、ここまで肥大すると無残だとしか言いようがない。

たった一言、
「認定を祝う。日中の認識には未だ開きがあるが、両国の貴重な資料を活用すれば相互理解に至れると信じている」
などとコメントしておけば、世界の評判は遙かに高くなっただろうに。度量の大きさを示せる絶好の機会なのに、なぜわざわざ自分の顔に泥を塗るようなまねを続けるのだろうか……(嘆)。

最後にユネスコのサイト。

New inscriptions on the International Memory of the World Register (2014-2015) | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
2014・15年度の認定された記憶遺産の一覧。

Archives about "Comfort Women" | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
慰安婦関連の申請紹介ページ。

China - Archives about "Comfort Women" | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization

慰安婦関連の申請文書の画像。

慰安婦関連文書の申請書(PDF)

Documents of Nanjing Massacre | United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
南京大虐殺の申請紹介ページ。

南京大虐殺の申請書


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