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2015/10/18

風邪引いて辛いのにやむを得ず仕事しているが、あまりにアレなのでメモ

体温が38度から下がらず吐き気が続いているのだが、一瞬の清涼剤になった。

はてなブックマーク - 中曽ちづ子さんはTwitterを使っています: "★至急、拡散、アリさんマークの引越社はブラックではない、 愛国優良企業だ!!  靖国神社に幹部全員で初詣、参拝 永年勤続表彰、家族旅行プレゼ

★至急、拡散、アリさんマークの引越社はブラックではない、
愛国優良企業だ!! 
靖国神社に幹部全員で初詣、参拝
永年勤続表彰、家族旅行プレゼント
配偶者のお誕生日は祝い金と有休プレゼント

元ネタ
★至急、拡散、アリさんマークの引越社はブラックではない、愛国優良企業だ!! |秋田美輪さんを救う川西市民の会・教育をよくする会 中曽千鶴子ブログ

中曽千鶴子さんってアレ界隈で有名な方ではないですか。

■残業手当は、一分刻みで、きっちりと全部支給されるそうで 未払いはないと労働基準局が認めているそうです。
事実とすれば大変結構な話。 ていうか、労働者からすれば自己の労働サービスの売上代金なのだから、残業代は支払われて当然のもの。店で商品を買って代金を支払わなかったら万引きと同じでしょうが。 当たり前のことをしているだけで「優良企業」の証のようにされるのは、日本の労働環境のひどさの例証となってますな。 あと、「労働基準局」はたぶん労働基準監督署の間違いでしょうなあ。

そんなネタはどうでもよくて、ちょっと興味深かったのは以下。

■社員の配偶者、奥様のお誕生日を会社あげてお祝い、
お祝い金が出るそうです。
そして、奥様のお誕生日には、有給休暇ももらえるそうです。
従業員本人ではなく、その家族を対象とした報奨を出すという制度では、アレさが際立つフジ住宅もやっていた。

フジ住宅と今井光郎氏の研究会: 思いついたことをなんでも書いていくブログ

「だれかのため」が良い連鎖を生む例が「親孝行月間」です。年に1度、全社員約1100人に1万円を支給し、親孝行を呼びかけます。一見、仕事と無関係ですが、人を喜ばせる力がつき、自己肯定感が高まります。実施後は「お客様に喜んでもらいたい」「仕事への意欲が高まった」など、前向きな感想が寄せられます。
……中略……
(※)親孝行月間
毎年4月1日にパート・派遣を含む全社員約1100人に1人1万円を支給。平成16年から導入し、必ず親のために使う(用途は自由)ことと、どのように使ったかを感想文として提出することを課している。
私はこれを評して「儒教的家族主義の麗しさへの陶酔」と書いたのだが、この種の愛国さんたちに共通する性向なのかもしれない。

どうでもいいが、中曽千鶴子さんのブログ、個人口座へカンパを募っているのな。愛国ネタは儲かるのだろうか。

*********************
時間が経つと背景事情が分からなくなるので、簡単に経緯をまとめておく。

●そもそもの話

アリさんマークの引越社がブラック企業だと話題になっている。

アリさんマークの引越社経営陣が「弁償金制度」で懲役10年を求刑される可能性があるって本当!?(榊裕葵 社会保険労務士) : シェアーズカフェ・オンライン(2015年08月03日 05:00)

アリさんマークの引越社に対し次々と訴訟が起こっているが、中心的な問題点は、同社が社内制度として運用している「弁償金制度」である。

従業員や元従業員が、弁償金制度により違法に天引きされた賃金を取り返そうとして訴訟を提起しているのだ。

アリさんマークの引越社を社員が損害賠償求め提訴 - 社会 : 日刊スポーツ(2015年10月1日9時48分)

 「アリさんマークの引越社」で知られる「引越社関東」社員の男性(34)が9月30日、労働組合への加入をきっかけに不当な異動や「罪状」と題した懲戒解雇処分を伝える文書を全支店に掲示され名誉を傷つけられたとして、会社を相手に東京地裁で係争中の訴訟に損害賠償を加え、記者会見に応じた。同グループの引越社(名古屋市)や引越社関西(大阪府)も、引っ越し作業で生じた弁償金を従業員に負担させるのは違法だとして8月までに訴えられている。
 ◆アリさんマークの引越社を巡る訴訟 7月31日、引越社と引越社関西の元社員とアルバイトの20~30代男性12人が2社を相手取り、支払った弁償金と不当に減額された賃金など計約7000万円を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。10月6日には、元従業員の4人が引越社関東に対して起こした名古屋同様の訴訟が東京地裁で行われる。

プレカリアートユニオン : 『週刊ポスト』に「アリさんマークの引越社高額弁償金問題」

『週刊ポスト』2015年2月20日号「アリさんマークの引越社高額弁償金問題」掲載

アリさんマークの引越社を相手取って提訴!みんなで弁償金を取り戻しましょう!!:プレカリアートユニオン

これによれば、

1.2014年夏、アリさんマークの引越社から弁償を強いられて困った30代の男性がプレカリアートユニオンに相談 → 団体交渉 → 弁償金を取り戻し、会社と和解。

同様のことがつづく → 労働者の損害賠償額の上限を3割にすることを会社が認める
※本来、労働者の賠償は故意や重過失のときに限られるので原則負担率はゼロとすべき。

2.これらのユニオン加入は退職者が中心 → 在職者も加入するように → 会社が組合対策を始める。
・業界紙記事を支店内に掲示。
  「合同労組に加入すると一生再就職できない」
  「ユニオンに加入するとお金をとられる」など。
  ※まあ、どこの労組でも組合費はかかるからウソとは言えないが、それをデメリットとするのはどうかね。

・名古屋で「組合員を組合から脱退させたら1人10万円払う」として数人を組合から脱退させる。
  →ユニオン側が東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立て

・「司法の判断を仰ぐ」として団体交渉では問題を解決しないと会社が宣言

3.12名が7月31日に名古屋地裁に提訴
  第2次、第3次の集団提訴も計画中。

ユニオンによれば、

違法な天引き・賃金減額・乱高下する賃金

引越社は、事故・破損等の弁償金や、制服代の支払い等の名目で賃金からの天引きを行ってきました。また、引越社は、「業績不振」を理由に、毎月、2~5%程度の賃金の減額を行ったり、客観的な基準がないまま行われるランク付けにより毎月賃金額が乱高下する仕組みになっていました。このような様々な減額により、引越社の給料明細をみても、賃金の支払い根拠がほとんど分からないような状態になっています。

固定残業代制の悪用と過労死ラインを超える長時間労働

もう一つの争点は、引越社が導入している固定残業代の違法性です。引越社は、労働者にまともに説明しないままに、支払うべき月額賃金の内側に固定残業代を設定し、残業代の抑制をしてきました。賃金の天引きとあいまって、給料明細を見ても、残業代の支払い根拠が全く分からない状態になっています。そのような状況の下、過労死ラインを超える長時間労働が横行していました。

事業の運営上のコストを労働者に転嫁

そして、さらにもう一つの争点は、会社に対して返済させられた弁償金を取り返せるか否かです。本来、事業の運営上生じたコストは事業者(会社)が負担すべきものです。労使関係を利用し、弱い立場にいる労働者に無理に支払わせた弁償金を後から取り返せるかが注目されます。

とのこと。

で、話題が広がったきっかけがたぶんこれ。

スピン経済の歩き方:アリさんマークの引越社が「恫喝映像」をネットに流されてしまった理由 (1/5) - ITmedia ビジネスオンライン(2015年10月13日 08時00分 更新)

 先週、「アリさんマークの引越社」と訴訟中の社員が加入している「プレカリアートユニオン」が、ネットにあげた映像が話題になった。

 「何をぬかしとるんや、コラァ!」

 「ワレェ! 謝ったらなにしてもええんか?」

 ビジネス街ですごむスーツ姿の男性たち。周囲が「そういう言い方はやめたほうがいい」などとなだめるも聞く耳をもたずメンチをきる――。このシーンだけを見ると、Vシネ的ソッチ系の方たちが、一般市民にからんでいるように見えるが、そうではない。

 プレカリアートユニオンとその上部団体である全国ユニオンが、東京・日本橋にある「関東引越社」前で昼休み時に拡声器で街宣活動を行っていたところ、周囲に迷惑だからやめるようにと言いに来た「引越社の幹部」で、そのなかのおひとりが撮影者に足を踏まれたことで激昂(げきこう)されてしまった場面なのだ。

問題の動画がこれ。
アリさんマークの引越社「追い出し部屋」事件 社前抗議行動 2015年10月1日 懲戒解雇撤回されるも「罪状ペーパー」が増えていた! - YouTube
仕事中の荷物破損や車両事故の損害を給与から天引きされたり、借金として背負わされ、「アリ地獄」と揶揄される弁償システム。
長時間労働の一方で未払いの残業代。一方的に減額される賃金。
ブラックな労務管理を改善しようと勇気を持って立ち上がった社員(34歳)が、プレカリアートユニオンに加入し、交渉を開始すると、不当な配転をされ、「追い出し部屋」であるシュレッダー業務に異動させられた。
不当配転に対し、配転無効の確認を求める裁判を起こしたところ、違法に懲戒解雇された上、「罪状」と書かれた名誉毀損の掲示物を全支店に張り出された。懲戒解雇は撤回されたものの、一切の謝罪も名誉回復もないため、懲戒解雇までの一連の不当労働行為に対する損害賠償請求と、名誉毀損に対する慰謝料の請求を追加した。

2015年10月1日に職場復帰を果たしたが、「追い出し部屋」であるシュレッダー業務を強いられ、名誉毀損の掲示物はむしろ増えているという有様。会社に反省の色はない。プレカリアートユニオンと上部団体の全国ユニオンが会社の前で抗議行動を行い、昼休みに当該組合員の話を聞いた。

で、この「シュレッダー業務」に配置転換した社員を攻撃する掲示がまた話題になった。
現代の風景 - 随想 吉祥寺の森から : アリさんマークの引越社 空雅英、角田時男、角田朝男、井ノ口晃平(2015年10月04日21:19)

このブログでその一部の写真を見られる。たとえば、

「北朝鮮人は帰れ!」
 
 「過激派の流れを汲むような怖い人は去れ!」
などとある。実に愛国企業らしい香ばしい悪罵だなあ…。

ちなみに、会社が「罪状」として掲示した懲戒解雇の理由は以下の通り。
1.会社の業務上の機密事項及び不利益となる事項を他に漏らした。
2.会社の職制を中傷又は誹謗し職制に反抗
3.短期間において遅刻が複数回あった
4.自己の権利を主張し、職責を果たしていない
とのこと。

それを受けて、

上記の通り、数多くの項目で就業規則に抵触する為、厳しい処分が決定されております。
世の中、まだまだ非常に厳しい状況です。
「懲戒解雇」になった場合、再就職先があると思いますか?家族を誰が養うのですか? (赤字で)「一生を棒にふることになりますよ。」
会社に従事するに当たっては個々十分に会社のルールを遵守し、業務を行ってください。
この掲示物は、引越社グループ人事部名で出されている。「懲戒解雇の場合、退職金等の支払いはありません」とわざわざ赤字で強調しているのもなかなか香ばしい。

ほかに、この人のプライバシー情報も社内に掲載したりしたとか。
また、上の動画でユニオン側に怒鳴っている人たちは「井ノ口晃平副社長ら管理職」だという。

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追記(2016年6月29日)

その後も引越社は態度を改めようとはしていないようで、まともに団体交渉をするつもりもないらしい。ユニオンのブログにリンクしておく。

[(アリさんマークの)引越社ユニオン] - プレカリアートユニオン 非正規雇用でも若い世代の正社員でも組合を作って労働条件をよくしたい!


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