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ツタヤ図書館、なぜ「ノー」に? 愛知・小牧の住民投票:朝日新聞デジタル(2015年10月9日05時13分)
全国で開設や計画が相次ぐ「ツタヤ図書館」。書店やカフェもあって利用者が増える、と自治体は説明するが、愛知県小牧市では「反対」の住民の方が多かった。なぜなのか。■街活性化?市側の皮算用
反対3万2352票、賛成2万4981票。小牧市で計画されている新図書館建設を巡る4日の住民投票の結果、レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携する計画は、一時停止に追い込まれた。
市は昨年4月に新図書館の計画を発表し、同8月にCCCを連携事業者に選んだ。老朽化し、蔵書スペース不足が目立つ現在の図書館は建て替える必要がある一方、再開発が進まず活気がない中心市街地に「ツタヤ図書館」を建てれば人が集まり活性化する。そんな「1粒で2度おいしい」をもくろんだ計画だった。建設費は約42億円。延べ床面積を約2・6倍、最大収容冊数を2倍強に増やし、書店やカフェを併設。3年後の開設をめざしていた。
参考にしたのが、佐賀県武雄市が2013年に開設した全国初の「ツタヤ図書館」。CCCが指定管理者として運営している。初年度の訪問者は92万3千人と当初見込みのほぼ倍。市外からの訪問も多く、武雄市は食事や土産など年間の経済効果を約20億円とはじく。
■利益優先?選書に不安も
小牧市民はなぜ「ツタヤ図書館」に反対したのか。住民に聞くと「税金の無駄づかいでは」(会社員の西田秀樹さん)、「ツタヤのサービスはツタヤで利用すればいい」(パート従業員の島村厚子さん)。高額な建設費に対する批判が目立ったが、「民間企業が本を選ぶと利益優先になる」という懸念も多く出た。
武雄市図書館では、CCCと出資関係があった古本業者から中古本を購入していたことが発覚。市民から「在庫本の押しつけ」「貴重な郷土資料などが蔵書からなくなる」といった批判や不安が出た。今月1日に神奈川県海老名市が開設した「ツタヤ図書館」では、市が購入本を全て点検したが、海外の風俗店を案内する不適切な本が開設後に見つかった。
住民投票を求める署名活動の中心となった市民グループ「小牧の図書館を考える会」の渡辺育代共同代表は「民間に運営を任せると、住民にとって必要かを考えずに業者の都合で選書されてしまったり、収容冊数の確保を優先し必要性がない本を購入したりすることにならないか」と心配する。
小牧市教委の新図書館建設推進室によると、指定管理者の業者は市が定める選書基準に沿って本を購入。業者が基準通りに選んでいるかを定期的にチェックし、現地査察や利用者アンケートもするという。本の購入費の管理を市が直接担うか業者に任せるかは未定だ。
CCCの高橋聡・図書館カンパニー長は9月30日の会見で「武雄市のときは、ど素人で、時間も予算もない特殊な状況だった」と話し、選書が「利益優先」でないことを強調した。
■ニーズは?話し合い必要
慶応大の糸賀雅児教授(図書館情報学)は小牧市の住民投票結果について「住民に対する市の情報提供が不十分で、住民側に『CCCに任せると利益を優先しがち』というイメージが広がったのではないか」と指摘する。CCCの手法は、本の販売収入やカフェの収益を図書館運営費に回し、年中無休や長時間開館といった他の公共図書館にはないサービスを提供するのが特徴。糸賀教授は「『ツタヤ図書館』が提供するサービスと住民のニーズが合致するのか、市と住民が時間をかけて話し合うことが必要です」と話す。(滝沢隆史、千葉卓朗)
「ツタヤ図書館」を開設・計画している自治体
佐賀県武雄市 2013年4月開設
神奈川県海老名市 2015年10月開設
宮城県多賀城市 2016年3月予定
岡山県高梁市 2016年12月予定
宮崎県延岡市 2017年度予定 読書空間のある公共複合施設
山口県周南市 2018年度予定
愛知県小牧市 2018年度予定
※子弟管理者が未定の自治体を含む
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