シベリア抑留記憶遺産:菅氏がロシア側と協力関係があったと発言
時事ドットコム:ロシアの批判に反論=菅官房長官(2015/10/15-17:27)
菅義偉官房長官は15日午後の記者会見で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産にシベリア抑留の資料が登録されたことを受け、ロシア政府が「ユネスコの政治利用」と日本を批判していることについて、「(登録は)ロシアのナホトカ市の議会の協力を得ていて、広い視点から世界的な受容性もある。全く違う」と反論した。
平成27年10月15日(木)午後 | 平成27年 | 官房長官記者会見 | 記者会見 | 首相官邸ホームページ開始1分10秒頃から
……そういう意味で広い視点から世界的な重要性があるということで今回ユネスコの国内委員会から推薦された。ロシアと連携しながらやっているということで全く違う。おそらく政府が舞鶴市やユネスコ国内委員会に経緯を確認していると思うので、事実関係はたぶんあまり間違っていないだろう。
ただなあ…地方自治体レベルでのやりとりだからなあ…。中央政府が「そんなの了解していない」という理路は残っているわけで、どこかの愛国まとめサイトみたいに「完全論破」ということではないだろう。
あと、自国の加害事実に向きあうナホトカ市の対応と南京事件に対する日本側の反応との違いを無視することもできないだろう。
菅氏が「中国が一方的に」と言っているけれど、日本側からの働きかけは中国の意図をくじこうとするものばかりなのだから、そりゃそうなるよね…と思う。
本来なら共同提案で日中の残った文書を網羅的に蒐集するぐらいがそりゃ望ましいわけで。でも絶対にそういうことは日本側が認めないからなあ。
日本政府がこういう文脈でしか戦争資料を捉えられないのなら、特攻隊資料の申請は止めた方いいだろうね。自国擁護の色彩が強すぎて、それこそ政治問題化のタネになりかねない。
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追記(2015年10月23日)
菅氏の反論への反論かな?
シベリア抑留資料登録 ロシアが日本非難強める NHKニュース(10月23日 9時59分)
ユネスコ=国連教育科学文化機関の「記憶遺産」に、いわゆるシベリア抑留などに関する資料が登録されたことについて、ロシア外務省は、「日本の歪んだ戦争認識のもとで資料の収集が行われた」と述べ、日本への非難を強めています。ロシア側の論理が、日本政府の中国批判と全く同じであるところが何とも言えない。
ユネスコ=国連教育科学文化機関は、今月、開かれたユネスコの国際諮問委員会で、日本が申請していた、いわゆるシベリア抑留や、戦後、旧満州などから引き上げた人たちに関する京都府舞鶴市の資料を、「記憶遺産」に登録しました。
これについて、ロシア外務省は22日、コメントを発表し、「ロシアは、24年前の日本とソビエトとの合意に基づいて、情報や資料の提供で日本に協力してきた。しかしながら、日本の歪んだ戦争認識のもとで資料の収集が行われたといわざるをえない」として強く反発しました。そのうえで、「このようなことでは、日本が第2次世界大戦での攻撃的な行動について心から反省しているか疑問を抱かせる」と述べて日本を非難しています。
この問題を巡っては、ロシア側が「政治利用だ」として日本側に申請の取り下げを要請したのに対し、日本側は応じられないという考えを示しています。ロシアはあくまでも2国間で解決すべきだという考えを示していて、日本への非難を強めています。
ロシアに都合のいい主張パターンを与えてしまったし、しかも加害責任を隠蔽する意図を公然化させてしまった。
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