難民問題はヨーロッパだけではないという話
我ながら酷薄だと自分のことを思うのだけれど、ヨーロッパの難民問題記事をクリップした勢いで、アジアの難民問題の記事もクリップしておく。AFPの記事から。
東南アジア・南アジアでの人身売買・拉致問題。2015年5月の記事。
人身売買被害の14歳少年、難民船の悪夢語る インドネシア 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News(2015年05月20日 14:04 発信地:ランサ/インドネシア)
【5月20日 AFP】バングラデシュで人身売買業者に誘拐され、無理やり船に乗せられたアブサルディンさん(14)は数週間の航行で、餓死しかけたり、仲間を亡くしたりと悪夢のような体験をした──。この記事の関連記事。アブサルディンさんは、今月15日にインドネシア沖で沈没しかけていた難民船から救助された1人。この船には、ミャンマーで迫害されているイスラム系少数民族ロヒンギャ人とバングラデシュ人ら数百人が乗っていた。
アブサルディンさんを含む、救助された人々の一部は、インドネシアのアチェ (Aceh)州ランサ(Langsa)にある施設に収容された。痩せ細ったアブサルディンさんは2か月に及ぶ苦難について詳細に語り、「家に帰りたい、母の所に戻りたい」と訴えた。
同日、この海域で救助された難民は900人に上る。タイ政府は人身売買に対する取り締まりを強化しており、これが東南アジア地域で続いている難民危機の一因となっている。マレーシアとインドネシアでは最近、難民が多数漂着しているが、海上で漂流している人も数千人に上るとされる。こうした事態を受け、国際社会は東南アジア諸国に対して迅速な措置を取るよう強く求めている。
アブサルディンさんの乗っていた船は、密航業者によって途中で放棄された。その後は、難民船の受け入れに消極的なマレーシアとインドネシアがいずれも寄港を拒み、領海から追い出したため、船は海上を漂流するほかなかった。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch、HRW)はこれを「人間ピンポン」だと非難している。
■飲み水は「海水」に
救助された人々の話では、航行中に水死したり、暴行死したりした人は少なくないという。物資が乏しくなると、バングラデシュ人とロヒンギャ人の間で激しい衝突が起き、大勢の人が海に放り出されたほか、身の危険を感じて自ら海に飛び込む人もいた。ロヒンギャ人とバングラデシュ人はいずれも、相手が最初に攻撃してきたと主張している。
アブサルディンさんによると、同じく誘拐されて船に乗せられた親族2人も船で死亡している。食べ物を求めた親族に密航業者らが暴力を振るったため、別の親族がそれを止めに入ったところ、2人とも海に投げ出されてしまったという。アブサルディンさんは「『助けて』と叫ぶ声が聞こえたけれど、僕たちにはどうすることもできなかった。泣いて、祈ることしかできなかった」と当時を振り返った。
アブサルディンさんの苦難は親族や友人らと一緒に訪れたミャンマーとの国境沿いの町テクナフ(Teknaf)で始まった。滞在先で朝食を食べていた際に見知らぬグループから庭へ出るよう指示され、そこで身柄を拘束された。その後、暴力行為を振るわれ、超満員の難民船に押し込まれたという。最初は1日2回、米と水を与えられたが、途中からは、それがビスケットと海水に変わった。
アブサルディンさんは「100人くらいが餓死したと思う。遺体は海に投げ捨てられた」と船上での状況について語っている。(c)AFP/Nurdin Hasan
マレーシア、難民船の領海入りを拒否 多数の難民に生命の危機 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News(2015年05月15日 08:29 発信地:リペ島沖/タイ)
【5月15日 AFP】マレーシア当局は13日、難民数百人が乗った船2隻の受け入れを拒否した。匿名の当局者が明らかにした。翌14日タイ沖で1隻の難民船が発見され、前日にマレーシア領海から追い返された船である可能性が浮上している。東南アジア諸国政府に対しては、絶望的な窮地に立たされた難民の命で「人間ピンポン」ゲームに興じていると、非難が集中している。14日、ミャンマーで迫害を受けているイスラム系少数民族ロヒンギャ人が多数乗った船がタイ沖で漂流しているのが見つかった。
日没頃には、見るからに痩せ細った男性らが海中に飛び込み、タイ海軍のヘリコプターが投下した食料品の袋を泳いで取りに行っていた。あるAFP記者は、拾った生のインスタント麺を、船に泳ぎ帰る前に海中でむさぼる男性の姿も目撃したという。
難民の一人は報道陣の船に対しロヒンギャ語で、「航海中に10人ほど死んだ。遺体は海に捨てた」と叫んだ。「海をさまよって2か月になる。マレーシアに行きたいが、まだ到着できていない」
アンダマン海(Andaman Sea)に浮かぶタイ南部のリペ(Lipe)島付近で見つかったその木造船上にいた衰弱した様子の難民たちの中には、幼い子どもの姿も多数見受けられたという。
ある当局者が匿名を条件に語ったところによると、マレーシアの巡視船が13日遅く、同国北部のペナン(Penang)島とランカウイ(Langkawi)島沖で難民船2隻の航行を阻止。両船には合わせて600人が乗っていたという。
この当局者は、「昨夜、ペナン島沖でマレーシア領海に入った1隻が追い返され、ランカウイ沖で別の1隻が領海内への侵入を阻止された」と明かした。このランカウイ沖で阻止された船が、翌14日にタイ沖で見つかった船と同一のものである可能性が指摘されている。
マレーシアとインドネシアは、東南アジアに流入するミャンマーとバングラデシュからの難民を乗せた船舶の受け入れ拒否を公言している。また人権団体の指摘によると、この問題について協議するため今月29日に地域会合の開催を呼び掛けたタイも、難民船の停泊を許可しない方針を示しているという。
国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長や複数の人権団体は、関係各国が強硬姿勢を貫けば各国が果たすべき国際的な義務が守られず、数千人の命が危険にさらされる恐れがあると警告している。(c)AFP/Thanaporn PROMYAMYAI/Preeti JHA
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