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2016/02/02

他人事ではない

CNN.co.jp : 「難民が集団強姦」、少女の作り話だった ドイツ(2016.02.02 Tue posted at 11:05 JST)

ショッキングな記事。
社会の「空気」が背景にあるのか。
難民に絡ませた作り話を思いついた13歳の少女の認識についてもそうだし、
この件で排外デモが起きたり外交問題に発展したりという情勢もそうだし。

関東大震災時の朝鮮人虐殺事件を思い起こさせる。

我々の社会よりも、異文化との交流やせめぎ合いの経験が遙かに深いであろうドイツですら、現在のような厳しい情勢が起きている。
「だから『日本人』以外の入国は厳しく制限すべきだ」という主張には与しない。我々が留意すべきなのは、どうすれば排外主義と敵意、差別の「空気」を抑え、事件の芽を未然に摘めるのかに関する知恵を蓄えることだと思う。
おそらく、報道にはなかなか上がってこない、多くの人々の、敵意を和らげ苦難を救おうとするたくさんの行為や発言があるはずだ。ヨーロッパの国々では、今そうしたせめぎ合いが行われているのだと思う。彼らの苦しみにまた思いを馳せたいし、そこから我々は何を学ぶのかを問われていると思う。

ところで、本件は、先般大きな話題になった「大勢の難民が駅頭に集まって集団暴行を行った」という話とは別の事件のようだ。あれは大晦日のことだけれど、この少女の話は1月のことのようだし。

なお、集団難民騒ぎの件については、
ケルン集団暴行事件 日本の報道を検証する(1) - Fondriestのブログ
からの一連の検証記事が非常に参考になる。(ただ、青い背景は個人的に読みにくいです……汗)

ベルリン(CNN) ドイツのベルリンで13歳の少女が難民の集団に拉致され集団強姦(ごうかん)されたと訴えていた事件で、この少女が話をでっち上げていたことを認めたという。当局者が1日に明らかにした。ドイツではこのニュースが発端となって難民反対デモに火が付き、ロシアとの対立にまで発展していた。
ベルリンに住むロシア系の少女は先月、30時間ほど行方が分からなくなり、帰宅後に警察の調べに対し、駅でアラブ系とトルコ系の男3人に拉致されて車に乗せられ暴行されたと訴えていた。
このニュースがロシアのメディアやソーシャルメディアで伝えられたことを受け、ロシア系ドイツ人や極右集団がデモを展開。ロシアのラブロフ外相は、ドイツ当局が事実を隠ぺいしていると非難していた。
しかしベルリンの検察によると、検査で少女は強姦被害に遭っていなかったことが分かり、本人も作り話だったことを認めた。警察は電話の記録を調べた結果、行方不明になったとされる夜、少女はドイツ人男性と一緒にいたと判断した。
この男性と男性の母親も、少女が家にいたことを確認したという。
ドイツのケルンなどでは大みそかの12月31日、難民が関与したとされる性的暴行被害の訴えが相次ぎ、難民受け入れに対する反感が強まっていた。
上とは別の事件。

難民施設に手りゅう弾投げ込まれる ドイツ 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News(2016年01月30日 15:22 発信地:ベルリン/ドイツ)

【1月30日 AFP】ドイツ南部で29日、難民施設に何者かが手りゅう弾を投げ入れる事件があった。警察当局が明らかにした。手りゅう弾は爆発せず、けが人などは報告されていないという。

 南部フィリンゲン・シュベニンゲン(Villingen-Schwenningen)の地元警察は声明で、手りゅう弾には、爆発物が詰められていたが、起爆装置が付いていたかどうかは今のところ明らかになっていないと述べた。

 同国では難民施設に対する襲撃が増加している。(c)AFP


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コメント

はじめまして

ご指摘を受けてデザイン変更しました。確かに他にあんな色のサイト見たことなかったですね。

あと、この件はケルンとは全く別件です。

>ヨーロッパの国々では、今そうしたせめぎ合いが行われているのだと思う

簡単ですが難民受け入れ説明会のレポートをアップしました。この「せめぎ合い」を垣間見た気がします。

それと難民の子どもの行方不明の件ですが、公共放送のニュースによれば彼らが登録の後連絡なしにさらに別地域に移動したりしてそこでまた登録したりする事によるデータ管理上の問題が多く、警察によれば人身売買等の犯罪の増加というのはみられないそうです。

投稿: Fondriest | 2016/02/06 08:46

Fondriestさん、はじめまして。

記事では勉強させていただきました。物事は単純化できないという当たり前のことを改めて考えさせられました。自分の身の周りの社会については、いろいろな人がいていろいろなことがあることを受け入れているのに、遠い国のことはつい平板な「理解」をして分かった気になってしまう。しかも自分に都合が良い・分かりやすいイメージを投影してしまうという傾向について考えさせられた次第です。

ブログデザインの件もありがとうございました。恐縮です。

>簡単ですが難民受け入れ説明会のレポートをアップしました。この「せめぎ合い」を垣間見た気がします。

拝見しました。難民に受容的な態度の方が強かったようで、ちょっとほっとしたというか。腹を据えている人が多いということなのかなあとも。
それと、説明会で住民間の意見の応酬があったという点が私には新鮮に思えました。説明会だと、何となく行政に意見を述べる場という感覚があったので。それとも、排外的立場に立つかそうでないかという面に皆の対立の焦点が集まっているのでしょうか。賛否が鮮明な問題では、行政が仕切る場でも意見の応酬が起こりやすい気がしますから。

>それと難民の子どもの行方不明の件ですが、公共放送のニュースによれば彼らが登録の後連絡なしにさらに別地域に移動したりしてそこでまた登録したりする事によるデータ管理上の問題が多く、警察によれば人身売買等の犯罪の増加というのはみられないそうです。

情報ありがとうございます。さきのAFPの報道の懸念とはかなり異なる印象ですね。
重複登録が所在不明に見えたということですか。日本だと入管が一元管理する番号に紐づけて各地で登録するだろうと思うのですが、ドイツだと各地独立なシステムなんでしょうかね。それとも認定事務が管理側の能力限界を超えていて混乱が生じているということなのか。ともあれ、当該エントリに追記させていただきました。

投稿: muttbob | 2016/02/10 06:49

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