日本政府のサボタージュが沖縄問題をこじらせる
なかなかすごい話なのでメモしておく。
沖縄県もきちんと筋を通して、日本政府から米軍へというルートを使い、当然正確に連絡してくれているものと見なしていたのだろう。しかし政府はその信頼を裏切っていたわけだ。それに、連絡状況について県に報告もしないという……。横柄すぎやしないか。
それにしても、役所から文書を出させそれをチェックすることの大切さが浮き彫りになる。
市民のこういう仕事をサポートする国会議員の存在も貴重。正に民主主義のインフラ。
タイトルには「沖縄問題」と書いたけど、沖縄に限った話でもないなあ。
沖縄防衛局、ずさんな英訳と矮小化 米軍汚染物質巡る県の要請文 | 沖縄タイムス+プラス(2016年4月8日 10:25)
米軍嘉手納基地周辺で高濃度の残留性有機汚染物質のフッ素化合物PFOS(ピーホス)が検出された問題で、沖縄防衛局が米軍に対し、沖縄県企業局の要請文をずさんな英訳で提出した上、県の要望を矮小(わいしょう)化する内容の要請文を提出していたことが分かった。県に事前連絡はなく、7日までに英訳文や要請文を出したことも報告していない。日本政府の窓口となる防衛局が、米軍と水面下で交渉している“ブラックボックス”のずさんな一端が浮き彫りになった。(社会部・篠原知恵)環境問題の調査団体「The Informed-Public Project(インフォームド・パブリック・プロジェクト)」の河村雅美代表が、赤嶺政賢衆院議員(共産)の協力を得て、防衛局と米軍間でやりとりした文書を入手し検証した。
リポートをまとめた河村氏は「防衛局は米軍に県の意思を正しく伝えていない。今回のケースを例に、仲介役として防衛局が機能しているという前提を疑うべきだ」とし、さらなる検証の必要性を訴えている。
ピーホスの高濃度検出を受けて県は1月21日、防衛局長宛てで、米軍にピーホス使用の即時中止を働き掛けるよう要請。防衛局が県の要請文を英訳し、米軍に提出したが、その英訳が第一文から「企業局が調査した」と記載すべき箇所を「企業局が調査された」と受け取られかねない表記。
また、英単語の誤用も判明。要請提出者の「企業局」も、県の公式英訳名を確認せず、異なる表記を用いるなど不正確さが目立った。
加えて防衛局は2月22日、企画部次長名で米軍第18施設群施設管理部長に英語の要請文を提出。その中で、県が求めた「(ピーホス使用の)ただちに中止」が「可能な限りの抑制」の文言に変わっていたほか、県が「誠意を感じない」と批判した米軍の対応方針をほぼ踏襲する要請内容になっていた。
県によると、防衛局が米軍に提出した英訳文、22日付の要請文ともに事前調整や報告は一切なかった。
河村氏は「要請を何度重ねても、防衛局の仲介がこのようなものである限り、米軍の姿勢が変わることは期待できない」と話した。
■コメント避ける
沖縄防衛局は本紙取材に対し、不正確な英訳文となったことにはコメントを避け、「米軍に対しては、(ピーホスの)可能な限りの抑制、物質が漏出した場合の封じ込め対策に一層万全を期すよう要請し、ピーホスを含まない製品への早期の交換を求めた」と説明するにとどめた。
防衛局英訳、最初の文でミス 専門家「簡易な翻訳ソフト」示唆 | 沖縄タイムス+プラス(2016年4月8日 11:02)
日本政府を通して米軍に県の訴えが正しく伝わっている、という大前提が崩れかねないずさんな対応の一端が明らかになった。2007年の沖縄防衛局設置から、県が同局経由で米軍基地問題の解決を訴えて要請した回数は少なくとも110回以上。基地提供の責任を担い、県と米軍を仲介する立場であるはずの防衛局が逆に障壁になりかねない事態で、要請の在り方が根本から問われそうだ。(社会部・篠原知恵)記事に不正確な英訳の例として、「防衛局の職員が全く無能であるか、沖縄県の姿勢を伝える気が全くない、ということを瞬時に結論付ける英文書簡だ」。全文に目を通した大学教員で元米軍属の米国籍男性は指摘し、「コミュニケーション手段としての英語に全く注意を払っていないか、あるいは簡易な翻訳ソフトの使用が示唆される」。
防衛局が英訳した1月21日付の県要請文は最初の一文から質の低さを露呈した。県が示す「企業局(Enterprise Bureau)」の公式表記を使わず、「調査した(能動態)」とするべき箇所を「調査された(受動態)」と受け止められる不正確な英訳。
英単語も「独自(independently)」を使うべき箇所に「独特(uniquely)」を用い、これでは「県企業局が“独特”に調査“された”」となり、本来の「独自に調査した」との意味は伝わりにくい。
「防衛省は基地の提供責任があり、米軍の事件事故に責任を持って対応していただかないといけない」(県基地対策課)との考えで、県は防衛局に米軍基地問題の改善を訴える要請を重ねてきた。一方で防衛局が県要請にどう対応しているかは厚いベールに包まれたまま、ブラックボックスと化している。
検証レポートをまとめたインフォームド・パブリック・プロジェクトの河村雅美代表は「今回は氷山の一角かもしれない。稚拙な英文書簡の作成者が県だと米軍に認識され、無能力な交渉相手に見えている可能性もある。要請を繰り返しても、なぜ米軍が沖縄側の要望を反映した政策を取らないのか。コミュニケーションの能力の観点からさらに検証すべきだ」と訴えた。
原文:「企業局が独自に調査した」
訳文:OPG business Administration has uniquely been surveyed ....
というものが挙げられている。
OPGって何だろうと思ったら、Okinawa Prefectural Government の略らしい。
"business Administration" と、大文字小文字が混乱しているのはいくら何でも新聞側のミスだと思いたいけれど、"business Administration" は「企業局」ではないよね。英文からだと「沖縄県庁の企業経営(企業の管理監督?)に調査が入った」みたいに読めてしまう。
琉球新報は軽めの報道。比較までに。
比謝川有害物質 「直ちに中止」→「可能な限り抑制」 防衛局、県の要求弱める - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース(2016年4月9日 05:05)
米軍嘉手納基地周辺の比謝川などから、国内で原則使用が禁止されている有機フッ素化合物(PFOS)が検出された問題で、沖縄防衛局が県企業局からのPFOS使用中止要求を米軍側に正確に伝えていなかったことが分かった。企業局は米軍との窓口である防衛局に対し「(PFOSを含む泡消火薬剤などを)直ちに使用中止」することを求めたが、防衛局は県の要請を英訳して伝えた上で、要請から1カ月後に米軍に別の文書で「可能な限りの使用抑制」と表現を弱めて要請していた。さらに防衛局が英訳した文書には英単語の誤用もあり、市民団体は「県企業局の懸念や要請が反映されていないことは問題だ。日本政府は仲介役としてマイナス方向の役割を果たしている」と指摘している。環境問題の調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」の河村雅美代表が、赤嶺政賢衆院議員(共産)の協力を得て防衛局と米軍がやりとりした文書を入手し、検証した。
企業局は1月、沖縄防衛局にPFOS使用の即時中止を文書で要求。防衛局は「Immediately cease to use it(すぐに使用をやめる)」などと英訳して米側に伝えた。ただ防衛局が米軍に要請書を出したのは約1カ月後の2月22日で、同局の要請文書では(1)PFOS含有物質の漏出時の封じ込め(2)泡消火薬剤の使用の可能な限りの抑制(3)PFOSを含まない製品への早期の変換-を求めるにとどまった。
さらに県企業局を「Enterprise Bureau」と正しく訳さないなど、不適切な英訳もあった。
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