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2016/05/24

失言でないとすれば本気なのだろう。

このところ話題の神奈川県議会。今回は議員が話題を提供している。

基地反対派は「基地外(きちがい)」 自民・小島県議「失言でない」|カナロコ|神奈川新聞ニュース(2016/05/24 02:00 更新:2016/05/24 10:17)

 自民党の小島健一県議(横浜市青葉区)が都内で開かれた集会で、沖縄県内の在日米軍基地に反対する運動を「基地の外にいるということで『きちがい』」と表現する発言をしていたことが分かった。

 小島県議は8日、都内で開かれた沖縄復帰44周年を記念する集会に出席。国連の人種差別撤廃委員会などが沖縄の住民を「先住民族」と認めるよう日本政府に求めた勧告を批判し、勧告の撤回を訴えた。

 この中で小島氏は、沖縄の米軍基地周辺で続いている反対運動にも言及。「沖縄の基地の周りには、基地に反対だとかオスプレイに反対だとか、毎日のように騒いでいる人たちがいる。これを、基地の外にいる方ということで『きちがい』と呼んでいる。これは神奈川県も同様で、大変苦慮している」と発言したという。

 小島氏は23日、神奈川新聞の取材に対して「『基地外』と言っている。ちゃんとイントネーションを変えて発言している。どう想像するかは別だが、差別的な発言はしないように考えている。失言とは考えていない」と述べた。小島氏は当選4回で、現在は総務政策常任委員長。

発言者の小島県議は、基地の外にいる方という意味だと弁明したという。
基地の外にいる人→『きちがい』とのことだが、それだとほぼ全ての日本人が含まれるので、わざわざ「きちがい」と特定の呼称を当てる意味がない。

元の発言は、
「沖縄の基地の周りには、基地に反対だとかオスプレイに反対だとか、毎日のように騒いでいる人たちがいる。これを、基地の外にいる方ということで『きちがい』と呼んでいる。これは神奈川県も同様で、大変苦慮している」
とのこと。

この発言にある「これを、基地の外にいる方ということで『きちがい』と呼んでいる」の「これ」は、「基地に反対だとか……騒いでいる人たち」のことだろう。その後の文には「苦慮している」ともあるので、この「きちがい」が特定の人たちを限定的に指す表現だと見て差し支えないだろう。

つまり、
「騒いでいる人たち」=「きちがい」
という図式である。

ところが、小島県議の弁明では、
「基地の外にいる人」=「きちがい」
だという。

集合論的には、
集合「基地の外にいる人たち」⊃集合「騒いでいる人たち」
が高い確度で成り立つと思われるので、
集合「きちがい」⊃集合「きちがい」
となって、同一集合が同一集合の真部分集合だということになって矛盾する。

唯一可能なのは、集合「基地の外にいる人たち」=集合「騒いでいる人たち」という解釈であるが、この場合は、ほぼ全ての日本人が「騒いでいる人たち」に等しいという解釈になる。小島県議はそういう認識……つまりほぼ全ての日本人が基地やオスプレイに反対して騒いでいる……という認識を持っているということだろうか。

そして、そうした人々・行動に「大変苦慮している」というのであるから、小島県議はきっと自分は「基地の外にいる人たち」ではない、すなわち「基地の中にいる人たち」の一員だという意識があるのだろう。そして、ここでいう「基地」とは米軍基地のことだから、小島県議は、きっと自分も米軍に帰属意識があるのだろう。

*********
ところで、全然話は変わるが、沖縄の人を先住民族とすべきかどうかという問題と、沖縄の駐留米軍をどうすべきかという問題とは全然違う問題である、少なくとも表面的には。
もちろん両者は沖縄の差別抑圧構造の中にあり、つながっている。そして沖縄でうねっている怒りの波はこの構造自体への怒りでもある。
先住民族問題を基地問題に連ねる小島県議の発言で興味深いのは、彼がこの構造を理解していることがわかったことだ。彼は、何が問題かを分かっていてこういう言動をしているのだ。
なお「小島氏は当選4回で、現在は総務政策常任委員長」とのことである。


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