« 他山の石 | トップページ | 家族に孝行することを制度化している会社 »

2016/06/28

「視聴者の会」はNHKにも抗議しなくちゃまずいんじゃ?という話

報道圧力団体「視聴者の会」公開討論でリテラが安倍首相との癒着を徹底質問! 上念司と小川榮太郎が珍回答を連発|LITERA/リテラ(2016.06.17)

「視聴者の会」というのは、「放送法遵守を求める視聴者の会」が正式名称で、文芸評論家・小川榮太郎氏と経済評論家・上念司氏が呼びかけ人になっているそうだ。

同会のウェブサイトは以下の通り。
【公式】放送法遵守を求める視聴者の会ウェブサイト|「知る権利」を奪うメディアの偏向報道を見逃しません

ここは、番組ごとに、賛否両論が放送される時間(秒)を調べて、その時間が半分ずつになっているかどうかで、報道の偏りを測定しているのだそうだ。

例:安保法制報道における両論の放送時間比較
ここで説明されている調査方法は以下の通り。

一般社団法人 日本平和学研究所調べ
※2015 年 9 月 14 日 〜 9 月 18 日での各番組放送時間の統計
※調査方法:発言者や場面ごとに賛否についての判断を行い、複数調査員により複数回調査し平均を出しました。
「複数回調査し」というのがちょっとよくわからないが、それはまあいいとして。

ここで「日本平和学研究所」という団体名が出てきた。

公式サイト:一般社団法人 日本平和学研究所

この「研究所」については、やはりリテラが取り上げている。
『NEWS23』岸井攻撃の意見広告を出した団体の正体! 謎の資金源、安倍首相、生長の家、日本会議との関係|LITERA/リテラ(2015.11.27)

この記事は上記「視聴者の会」の背景が主題だが、これによると「日本平和学研究所」も日本会議と密接な関係にあり、「扶桑教ひとのみち教団」(現在のPL教団)より分裂した組織とつながっているらしい。「視聴者の会」の小川榮太郎氏が理事長で、小川氏は日本会議で講演するような関係らしい。

閑話休題。

で、「視聴者の会」は、一つの意見が放送される時間を計って、放送の公平性を調べている。
一番上に上げたリテラの記事では、リテラ記者とこんなやりとりをしている。

――あ、じゃあ内容についておうかがいします。活動内容についてです。たとえば、「視聴者の会」さんは、夜のニュース番組だけ、『(NEWS)23』ですとか『報道ステーション』、それだけをとって賛否の時間的な「公平性」を訊いている。でもこれ、おかしいじゃないですか。なんでワイドショーや朝の情報番組は調査しないんですか。たとえば……

上念 コストかかるからだよ(笑)。

小川 えっと、今の発言だけでは、わかりません。ようするに、その番組全体をまずきちっと……今ね、私ども検証報告本当にやっているんです、毎日。で、たしかにおっしゃるとおりでね、もっと全部やったほうがいいというご意見ももっともなんですよ。ただ、お金も人も、ないんです。だからね、調べたとき95対5とか極端だったTBSやテレビ朝日を先に優先してますけれども……
――「先に優先してる」って言ってるじゃないですか! 意図的ですよそれは。
小川 そりゃそう当たり前じゃないか! だから偏向してるから、偏向してるからね? それで、それを優先して視てるんでしょ? じゃあ次にお金の余裕が出たらちゃんと他もやりますから資金面の心配をしてください。
*******

というわけで、番組を視聴して時間を計るのって結構面倒だろうしなあ、などと思っていたら、似た発想をする人はいるもので、同じようなことを調べた人が現れた。

【メディア分析】NHKで安倍さんの露出時間が長いのは公職選挙法違反では?(水島宏明) - 個人 - Yahoo!ニュース(2016年6月26日 8時46分配信)

6月22日(水)のNHKニュース7。
各党の党首演説の映像の長さは下記の通りだったとのこと。

自民・安倍総裁1分1秒、民進党・岡田代表51秒、公明党・山口代表40秒、共産・志位委員長35秒、大阪維新・松井代表23秒、社民・吉田党首20秒、生活・小沢代表21秒、こころ・中山代表19秒、改革・荒井代表17秒。

明らかに安倍さんの演説の放映時間が長くなっています。
(中略)
議席数に差があるとはいえ、実際に国会に議席を持つ政党なのに自民党の安倍さんが1分1秒で、新党改革の荒井さんが17秒。

そして、その後の党首インタビューの時間は以下の通りだったとのこと。

自民・安倍22分35秒、民進・岡田22分10秒、公明・山口8分0秒、共産・志位7分4秒、大阪維新・松井6分4秒、社民・吉田4分18秒、生活・小沢3分48秒、こころ・中山4分10秒、改革・荒井3分47秒。

自民党と比べると共産党は3分の1以下、新党改革は6分の1程度。

水島氏が「視聴者の会」より優れているのは、同日の他局の報道番組でも報道時間を計って、それらの結果を比較していることだ。その結果、民放はおおむねどの局もすべての政党に均等に時間を配分していたのに対して、NHKだけは大きくその傾向がずれていた、主に自民党に大きな時間を割り当てていた、ということが分かった。

さて、「視聴者の会」は、公式サイトに「いかなる政治主張も公平に報道されなければなりません」とすごく大きな字で書いている。すごく大きな字なので、きっと同会にとって最重要な主張なのだろう。
また、2016年6月13日には、TBSに「TBS社による重大かつ明白な放送法4条違反と思料される件に関する声明」という文書と公開質問状を出している。その文書の一節にはこうある。

時間公平を強く要求することは、そのような不当な民主主義の破壊を防ぐ、現時点で最も簡単で有効な手段だと、当会は強く主張する。
そして、その上で、TBSに対して、以下のような「要望」を出している。
◆TBSへの要望

1.この度の当会の調査結果に対して、放送法第4条の二及び四を遵守していると考えるか否か。遵守しているとの判断ならば、その根拠を明確に示すこと。

2.放送法第4条の二及び四に抵触したことを認めるのであれば、その責任を明確にし、再発を防止するため直ちに全社的な対応を取ること。
よく言われるように放送法第4条が「倫理規定」であるのならば、その「倫理」をこれだけ守れていない以上、視聴者、スポンサー企業に対し、法的、社会的責任を自らとることを強く要求する。

3.責任の取り方として、以下の対応を求める。
(1)第三者による調査・改善委員会の設置。人選については多様な立場の専門家で構成し、対立する見解を持った構成員を最低限保証すること。「お友達委員会」であってはならない。
(2)調査においては、安保報道全期間とし、放送法第4条に抵触する「違法性」の所在を自ら明確にすること。
(3)原因究明と再発防止のための具体的方針を明らかにすること。
*とりわけ、個別の番組、また放映曜日によっても多数の制作会社、人員が関わっているにも関わらず、なぜここまで局全体の論調が統一されてしまうのか、その構造的原因を明らかにすること。それができない限り再発を防げないと当会は考える。
(4)経営陣が辞任を含めた明確な形で引責すること。

「視聴者の会」は、「民主主義の破壊」を何よりも防ぎたいと考えているのであるから、選挙という重大局面において「公平」を毀損しているNHKに対しても、同様の「声明」と「公開質問状」を出すべきではないかとおもうのだが、どうだろうか。


« 他山の石 | トップページ | 家族に孝行することを制度化している会社 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/83801/63841379

この記事へのトラックバック一覧です: 「視聴者の会」はNHKにも抗議しなくちゃまずいんじゃ?という話:

« 他山の石 | トップページ | 家族に孝行することを制度化している会社 »