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2016/12/15

天皇教が浸透している例

わりとどうでもいいんだけど。

はてなブックマーク - 「カジノ法、明治天皇も怒っている」 共産・大門氏:朝日新聞デジタル

ほとんどのコメントがこの発言に批判的だ。
「天皇制を否定している共産党が天皇の権威を利用するな」ということのようだが、この主張は一見もっともらしいように見えてもその実は感情的反発に過ぎない。

1.「ある前提を否定する人はその前提を用いた立論を行うべきではない」という主張は不当である。
 論敵を批判する時、相手の論拠や前提を利用してその立論の不当性を示すという方法はごく一般的に行われている。「あなたが支持する観念に基づいても、あなたの主張はおかしいですよね?」という指摘は、それ自体妥当なものである。「マルクスを否定する人がマルクスの権威を利用してマルクス主義を批判するのはおかしい」というと、「馬鹿じゃないの?」としか思えないでしょう?

2.論旨自体ではなく「誰が言ったか」で論旨の妥当性を判定する姿勢は正しくない。
カジノ法が明治時代の刑法の立法趣旨に反しているという指摘自体への批判ではない以上、この指摘は生き残っている。しかし「おまえが言うか」に意識を集中させると、ここで提起された問題、賭博は世を乱し経済を停滞させるという問題をどう考えるべきかという論点が忘れられてしまう。誰が賛成反対したかによらず、いったんカジノ法が成立すれば、それに伴って様々なことが起きる。何が起きるか、副作用にはどう対処するかこそが本質なのであって、その指摘を誰がしたかは副次的なことに過ぎない。
なお当然政治活動はカジノ法だけにとどまらないから共産党が(というか大門氏が、だけど)明治天皇を持ち出したことに他の政治的意図・効果がないとは言えないだろうが、今の共産党だしまあほとんど何の意味もないんじゃないか。

この報道記事自体、国会風景の一コマみたいな記事で天皇がどうとかいう話ですらなく、せいぜい自民や維新などが戦争責任や差別に関して「ジョーク」を飛ばしたみたいな位置づけに過ぎない。実際「明治天皇云々」はジョークに過ぎないわけで、天皇を相対化できているからこそ言えるネタだとも言え、それを「共産党が言うな」と思ってしまうこと自体が「あなたどれほど天皇制に染まっているの?」と問い返したいぐらいの話だ。結局、「共産党のくせに」云々という思いの根っこにあるのは、「あいつらは俺の大切なものを否定しているんだから、あいつらにはそれに触る資格などないんだ!」「おまえらは仲間じゃないんだから触るな!」ということである。

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まあ大門氏だって別に本気で明治天皇が怒ってるなんて思っているわけもなくて、言いたいことは「旧刑法の立法趣旨にも反している」というだけのことにすぎない。それを大門氏らしいというか、ちょっと毒を持たせた洒落を言ったら、早速そこ(だけ)に批判が集中するという(苦笑)。みんな、日頃から天皇制反対論者への怒りをためていたんだねえ。
論説の趣旨からすれば単なる修辞に過ぎない「明治天皇も怒っている」という部分だけに反発が集中していて、「天皇の政治利用」とか言っている人もいるくらいなのだから(天皇の政治利用ってそういう意味じゃないのにねえ…)、いかに我々の内面において天皇が大きな存在になっているかが分かる。まさに「神聖にして侵すべからず」になっているわけである。
……でも今の共産党は事実上天皇制を認めているってことには全然気づきもしないんだね。天皇を大事に思っている割にどの政治勢力が天皇をどうしようとしているかには関心がないのかねえ。

●追記

上では「明治天皇云々は大門氏のジョークにすぎない」と書いたが、ひょっとしたら大門氏が本気で思っているという可能性もないわけではない。何と言っても今の共産党だからなあ、明治天皇を日本近代化の立役者ぐらいに位置づけていても不思議ではない…。
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「カジノ法、明治天皇も怒っている」 共産・大門氏:朝日新聞デジタル(2016年12月14日22時53分)

■大門実紀史・共産党参院議員

 (刑法で)賭博が禁じられてきた理由の一つは、勤労の美風を損ない、経済活動を阻害することにあります。

 立法事実は江戸時代末期にさかのぼります。資料によれば、江戸後期から末期にかけて、世相は乱れ、町の辻々で昼間からばくちが行われ、博徒がはびこっていた。明治維新になって、「新しい日本の建設、経済発展のためには、まず賭博撲滅、風俗矯正だ」ということになり、明治天皇のもとで定められた刑法において厳しく賭博を禁止することになったのです。こういう最初の立法時の趣旨を知った上で、自民党の皆さんは「カジノが経済の目玉」などとのんきなことを言っているのでしょうか。明治天皇も雲の上で怒っています。「共産党、頑張れ」と言っているのではないでしょうか。(カジノ解禁法案を可決した14日の参院本会議の反対討論で)


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