文科省:政府見解を「正しい」と断言することが国民教育だと叫ぶ
衝撃的。
とんでもない暴言、およそ教育の意義をはき違えているとしか思えない台詞の数々。
文科省が戦前の軍国主義教育、皇民化教育とほぼ同じ認識でいることが分かる。
国会喚問して歯止めをかけてもらいたい案件だ。
朝日新聞のスクープと言えるんじゃないか。
こんな「教育」が社会認識としても倫理的にもきわめて問題なのは言うまでもない。
だが、実際的にもこの種の偏狭さの刷り込みを「教育」とされると、価値や概念の切り分けや相対化が苦手な人間が増えて実務で困る。
文科省の合田課長が言っていることは、理科で進化論を教えず創造説を教えろと言うのと何も変わらない。文科省はこの愚かしさが分からないのだろうか。
あと、どうでもいいが、ニセ科学批判系の人たちや「絶対的正義はあり得ない」相対主義な人たちには是非抗議の声を上げてもらいたい(私がまだ見つけてないだけかもしれないが)。「日本政府の主張が歴史的にも国際法的にも妥当だ」と断言せよ!なんていう態度(しかも強制力を持つ権力者が!)、科学や真理、正義のどの観点から見てもトンデモ以外の何物でもないでしょう。
(新!学習指導要領)「国の立場、言い切る指導を」 竹島・尖閣どう教えるか、文科省に聞く:朝日新聞デジタル
2017年3月4日05時00分
学習指導要領の改訂案で、竹島、北方領土、尖閣諸島は「我が国の固有の領土」で、尖閣については「領土問題は存在しない」と明記された。文部科学省は、学校でどう教えることを想定しているのか。改訂を担った合田哲雄・教育課程課長に聞いた。――指導要領の改訂案では、例えば、尖閣諸島については「領土問題は存在しない」としています。中国の「尖閣諸島は自国の領土だ」という主張に授業で触れる場合、文科省はどういう形を想定していますか。
「中国は領有権を主張しているが、我が国が実効的に支配している固有の領土である」という教え方だと思います。「主張している『が』」ですよ。
竹島と北方領土については、先方が領有権を主張している。けれど「不法占拠であって、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土である」と説明していただく。そのような指導の中で、先方が領有権を主張していることに批判的に言及することはありうるでしょうが、他国の主張を並列で扱い、「みんな違って、みんないい」という指導は不適切です。我が国の領土について正しい理解の妨げになるなら、中国や韓国の主張は教えないで頂きたい。
――例えば、クラスに中国人の子がいて「自分の国ではこう言っている」と言われたら、先生はどう答えるべきだと。
教育基本法は、教育の目的として「国民の育成」と規定しています。我が国の立場をきちんと伝えるのが先生の役割なので、「君はそう思っているかもしれないが、我が国の立場はこうで、国際法的にも、歴史的にも妥当です」と言い切ってもらう必要があります。
――グローバル化の中で生きることをめざす指導要領との矛盾は出ませんか。
グローバルな時代だからこそ、我が国の立場を正しく理解する必要がある。韓国では、竹島は韓国の領土と教えているわけで、日本の主張を子どもたちが理解していないかぎり、平和的解決にならないんです。
――自分たちが正しいと主張するためには、相手の言い分も教えた方がいいのでは?
やれたら、やった方がいいかもしれない。ただ、例えば竹島なら、古地図を持ち出した綿密な実証作業をしなければ、我が国の立場を実証することは難しい。小中では発達の段階を踏まえると難しいと思います。
――では、教え方のストライクゾーンはどこだと考えますか。指導のあり方は白黒の判断がつきにくく、そこに文科省が線を引き始めると、教える最低基準という指導要領の性格から逸脱するのではないですか。
白黒の判断がつきにくいというのが、この問題では理解できかねます。例えば、韓国や中国のテレビニュースをみせて「向こうはこう言ってますよね」で終わったら、我が国の領土に関する正しい理解にいたらないのは当然です。
日本の公教育とは要するに、教育基本法の言葉を使えば「国家及び社会の形成者」を育てることをめざしている。領土の問題について、他国の主張があり、それには理があるという風に思っていただくのは困る。
――指導要領に基づき、具体的な教え方にまで踏み込む必要はありますか。
教え方に踏み込んでいるのではなく、子どもたちが我が国の領土について正しく理解するために、定められた内容を指導してくださいと規定しています。その目的に沿わない指導は不適切だということです。(聞き手 編集委員・氏岡真弓、木村司、水沢健一)
■<視点>対立する考え、どう扱うのか
学習指導要領の改訂案に盛り込まれた領土問題の内容をどのように教えるか。
文科省の合田課長は報道各社への説明の際、「他国の立場を並列で扱うのは妥当ではない」と述べた。では、どんな指導を想定するのか。インタビューでは、このことを問うた。
論点は二つある。
一つは政府の見解と対立する考えをどう扱うかだ。今回の指導要領は多面的、多角的に考える力を育てることをめざしている。政府見解を教えることは大切だが、領土問題をめぐるさまざまな見方も十分に学び、自分の頭で考えることで、理解はより深まるのではないか。
二つ目は、国がどこまで現場の指導に踏み込んでよいかだ。指導要領は法的な性格を持つ「大綱的な基準」とされ、文科省は教え方にふれるのを抑制してきた。その原則を超え、文科省が指導のありかたに言及することは、子どもの多様な実態に合わせて教える教員の裁量を縛りかねない。さらに慎重な議論が必要だ。(氏岡真弓)
■「領土」に関する記述
<社会> 次期・学習指導要領改訂案
*
<小学5年> 世界における我が国の国土の位置、国土の構成、領土の範囲などをおおまかに理解すること/「領土の範囲」については、竹島や北方領土、尖閣諸島が我が国の固有の領土であることに触れること
<中学(地理)> 竹島や北方領土が我が国の固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題も取り上げるようにすること。その際、尖閣諸島については我が国の固有の領土であり、領土問題は存在しないことも扱うこと
<中学(歴史)> 領土の画定などを取り扱うようにすること。その際、北方領土に触れるとともに、竹島、尖閣諸島の編入についても触れること
<中学(公民)> 「領土(領海、領空を含む。)、国家主権」については関連させて取り扱い、我が国が、固有の領土である竹島や北方領土に関し残されている問題の平和的な手段による解決に向けて努力していることや、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在していないことなどを取り上げること
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