「プレミアムフライデー」を動かす人々
以下の記事に引っ張られて。
「プレミアムフライデー、3人に1人が参加」 自画自賛広告に疑念。『早く帰らなくてもOK』になぜかすり替わってる | 生田綾(ハフポスト)
「プレミアムフライデー 定着の兆し」 全面広告に失笑...「虚構新聞」もネタに : J-CASTニュース
虚構新聞:「3人に1人が参加 プレミアムフライデー、定着の兆し」
嘲笑されている。ハフポストの生田さんは怒っているけど。
嘲笑するのは当然だが、この馬鹿げた施策にも国費が投じられているわけで。
この馬鹿げた公共事業でどんな人たちがご飯を食べているのだろうか。
プレミアムフライデー推進協議会公式サイト
この公式サイト、お金がかかってるなあ……(血税をたくさん食べてるなあ)と思う一方で、組織に関する説明がほとんどない。事務局が博報堂で、経産省が主管だということしか分からない。
博報堂か……。
で、この公式サイトが貼っている、誰の文書か記名がない平成28年12月12日付「プレミアムフライデー推進協議会の設立について」というPDFファイルによれば、専従事務局員を2名新たに雇っているそうだ。
補助金が終わると雇用が終わる短期雇用かなあ……。
この文書によれば、この協議会、設立時の幹事としては経産省+15団体とのこと。
で、この16者の後から、幹事を追加してもいいらしいんだけど、現時点での幹事の一覧は分からない。
つまり、どういう人たちが運営しているのかは公式サイトでは分からないことになっている。
そして、幹事会の議事は非公開、配付資料は原則公開だけど、非公開にしてもいいらしい。
どうして非公開にするのかというと、「率直かつ自由な意見交換を確保するため」だそうだ。
で、この16名の幹事だけど、経産省のPDFファイルによれば、以下の通り。
伊藤 廣幸 一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会 専務理事出所:プレミアムフライデー推進協議会名簿(経産省・PDF)
乾 敏一 全国商工会連合会 専務理事
井上 淳 日本チェーンストア協会 専務理事
上田 正尚 一般社団法人日本経済団体連合会 産業政策本部長
江口 法生 一般社団法人日本スーパーマーケット協会 事務局長
越智 良典 一般社団法人日本旅行業協会 理事・事務局長
栗原 博 日本商工会議所 地域振興部長
近内 哲也 日本百貨店協会 専務理事
島原 康浩 一般社団法人新日本スーパーマーケット協会 事務局長
鈴木 秀昭 日本小売業協会 事務局長
戸張 隆夫 一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会 専務理事
新津 研一 一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会 専務理事
林 揚哲 経済産業省流通政策課 課長
村上 哲也 一般社団法人日本ショッピングセンター協会 事務局長
元松 明彦 一般社団法人日本専門店協会 専務理事
吉田 康夫 全国商店街振興組合連合会 専務理事
この名簿が置いてあるページ:経済産業省2016年12月12日付ニュースリリース「プレミアムフライデーの実施方針・ロゴマークが決定しました(METI/経済産業省)」
ハフポストの生田さんは時短が忘れられていると怒っているけれど、このメンバーを見れば分かる。労働関係の人が誰もいない。流通とレジャーだけ。経産省も流通政策課が担当課になっている。事務局は博報堂だし。そもそも時短は関係なかったんだなあ。
じゃあどこから時短みたいな話が流布されるようになったのか……は、世論のイメージ操作の例としてちょっと興味深いけれど、今回は突っ込む余裕がない。
そもそも、上記の謎の文書によれば、この「プレミアムフライデー」なる構想は、経産省が絡む「検討会」とか「非公式会議」とかで進められてきたものらしく、そこでどういう人たちがどういう議論をしてきたかというのが全く分からないんだよね。
現時点で経産省サイトに対して「プレミアムフライデー」で検索して最も古いのは平成28年11月25日付の「世耕経済産業大臣の閣議後記者会見の概要」。もう最終段階で、経団連、流通と旅行業界が関わっているということだけしか分からない。
ところで、個人的に許せないのが、この「プレミアムフライデー推進協議会」にかかっているお金。補助金の枠組みが、「平成28年度中小企業消費者行政推進調査等委託費(産業界・地域と連携した消費需要喚起対策事業)」となっていること。
なんと中小企業対策予算から出ているんだよね。
このアホみたいな無駄金、中小企業対策予算なんです。で、事務局は博報堂。どこが中小企業なのかと。
いや、そりゃコンテンツ制作やキャンペーンで下請けや孫請けに中小零細のメディア系事業者は入ってくるでしょうけど、そういうのを中小企業対策と言うなら東京五輪だって中小企業対策になりますよ。
そんなことはどうでも良くて、こんな事業に支出してる蔭で抑えられた支出があるわけで、大企業や「幹事」を食わせるために本当の中小企業向けの支援が減らされているのが許せない。
おまけに、この博報堂への委託費がいくらなのか、さらにこれ以前の「非公式会議」やら「検討会」やらに国が出した金はいくらだったのか。全く分からない訳です。
他人の金を使って、嘲笑されるようなコンテンツでお茶を濁して、お為ごかしで楽しく遊んで飲み食いして、何ら咎められることもないんだから、そりゃあ止められないだろうと思うよね。
そして最後に言っておくと、今回話題になった新聞広告、あれ、読売新聞への全面広告だからね。
安倍首相が自分で答弁する代わりに「読売新聞を読め」と言ったあの読売新聞。
官邸を援護して前川前事務次官への個人攻撃記事を載せたあの読売新聞。
記者会見で菅官房長官を追及した東京新聞の望月記者に激怒して、東京新聞のキャップを怒鳴り上げたという読売新聞。
ここに全面広告を打ったわけです、プレミアムフライデー推進協議会。
読売新聞の新聞広告掲載料金について|新聞広告ナビ
によれば、
読売新聞全国版、朝刊、モノクロ、面指定なし、1回掲載の場合の料金は、全15段(1ページ)で、4791万円。
「読売新聞広告料金表(2017年4月)」によれば、多色刷りにすると追加料金が854万円。
これらが皆、中小企業向け予算から出ているわけです。そして金額や関係者は不明。
嘲笑している場合じゃないかもしれない。
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