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2017年11月の4件の記事

2017/11/30

もんじゅ:廃炉を想定しない設計だった問題で原研が反論

昨日のメモの続報。

はてなブックマーク - 記事解説 平成 29 年 11 月 29 日 日本原子力研究開発機構 件名:「ナトリウム回収 想定せず もんじゅ設計に「欠陥」 廃炉念頭なく」 平成 29 年 11 月 29 日(水)毎日新聞朝刊(東京・大阪)1
原研発表の本文:「記事解説(PDF)」本日付で保存したもの。毎日新聞記事を「誤報」と評している。
だが、ブコメでは反論になっていないという声が多い。

ブコメで紹介された福井新聞の記事を拾っておく。

規制委員長「取り出しは難しい」 もんじゅ1次系ナトリウム | 原発 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE
2017年11月30日 午前7時00分

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉を巡り、原子力規制委員会の更田豊志委員長は29日の定例会見で、「1次系ナトリウムの取り出しは難しい」との認識を示した。もんじゅの設計段階では、炉心からの全量抜き取りを想定しておらず、約5年半かかる燃料取り出し後の検討項目の一つとなっている。

 もんじゅは燃料の冷却材に液体ナトリウムを使用しており、1次系には約760トンが存在する。水や空気と激しく反応するため、取り扱いが難しい。

 原子力機構によると、もんじゅは運転時、炉心に常に燃料を置いておく仕様であるため、配管破断時にも燃料が露出しないよう、炉心のナトリウム液位は常に燃料の上にくる設計となっている。このため、通常点検時の抜き取り方法では、数百トン程度が炉心に残ったままになるという。さらに1次系全体には液漏れ対策の保護容器がかぶせられており、改造も容易ではない。

 ただ原子力機構は「燃料を全て取り出した後のナトリウム抜き取りは、原子炉容器の底部まで差し込んであるメンテナンス冷却系の入り口配管を活用することなどで技術的に可能」としており、今後詳細に検討して決定していく方針。

 会見で更田委員長は「(廃炉が先行する)フランスでもかなり苦労している」とした上で、「まずは原子力機構が真剣に技術開発、検討を進めているか確認する」と語った。ただ一方で、「その前の燃料取り出しを進めないことにはどうしようもない」と述べ、まずは最初の5年半で燃料取り出しをしっかり終わらせるべきだとした。

 また、もんじゅの廃止措置計画の認可申請が遅れていることについて、監視チームでの議論が進んでいるとして、「申請の遅れそのものが重大な支障を招いているという風には認識していない」と語った。

更田委員長の言によれば、ナトリウム取り出しには技術開発が必要で、しかもかなり難しい。つまり、取り出しは設計時に考慮されていなかったことが分かる。報道が正しいことを暗に認めているということだ。

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2017/11/29

もんじゅの設計では廃炉が考えられていなかったという記事。他もんじゅ関連。

とても面白い記事なのでクリップしておく(ブラックな意味で)。

もんじゅ設計:廃炉想定せず ナトリウム搬出困難 - 毎日新聞
毎日新聞2017年11月29日 06時40分(最終更新 11月29日 06時40分)

 廃炉が決まっている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにした。放射能を帯びたナトリウムの抜き取りは廃炉初期段階の重要課題だが、同機構が近く原子力規制委員会に申請する廃炉計画には具体的な抜き取り方法を記載できない見通しだ。

 通常の原発は核燃料の冷却に水を使うが、もんじゅは核燃料中のプルトニウムを増殖させるため液体ナトリウムで冷やす。ナトリウムは空気に触れれば発火し、水に触れると爆発的に化学反応を起こす。もんじゅでは1995年にナトリウムが漏れる事故が起き、長期停止の一因になった。

 原子力機構によると、直接核燃料に触れる1次冷却系の設備は合金製の隔壁に覆われ、原子炉容器に近づけない。また、原子炉容器内は燃料の露出を防ぐため、ナトリウムが一定量以下にならないような構造になっている。このため1次冷却系のナトリウム約760トンのうち、原子炉容器内にある数百トンは抜き取れない構造だという。

 運転を開始した94年以来、原子炉容器内のナトリウムを抜き取ったことは一度もない。

 原子力機構幹部は取材に対し「設計当時は完成を急ぐのが最優先で、廃炉のことは念頭になかった」と、原子炉容器内の液体ナトリウム抜き取りを想定していないことを認めた。炉内のナトリウムは放射能を帯びているため、人が近づいて作業をすることは難しい。

 原子力機構は来年度にも設置する廃炉専門の部署で抜き取り方法を検討するとしているが、規制委側は「原子炉からナトリウムを抜き取る穴がなく、安全に抜き取る技術も確立していない」と懸念する。

 もんじゅに詳しい小林圭二・元京都大原子炉実験所講師は「設計レベルで欠陥があると言わざるを得ない。炉の構造を理解している職員も少なくなっていると思われ、取り扱いの難しいナトリウムの抜き取りでミスがあれば大事故に直結しかねない」と指摘する。【鈴木理之】

 【ことば】高速増殖原型炉「もんじゅ」

 プルトニウムとウランの混合酸化物を燃料に、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出す原子炉。出力28万キロワット。原型炉は実用化までの4段階のうちの2段階目。1994年に運転開始したが、95年に2次冷却系のナトリウムが漏れる事故が発生し、長期運転停止。その後も点検漏れなど不祥事が相次ぎ、約250日しか稼働しないまま昨年12月に政府が廃炉を決めた。

掲載図:「もんじゅの原子炉の模式」(魚拓

もんじゅでは、その廃炉に向けて地元にお金をばらまいている。

【原発】もんじゅ 廃炉交付金60億円を上乗せへ 文部科学省(NHK)

11月18日 4時50分

高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉で地域経済に影響が出ないようにするため、文部科学省は、地元の福井県と敦賀市に支給される60億円の交付金を上乗せして拡充する方向で最終的な調整を進めていることがわかりました。

福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」について政府は、去年、廃炉を決定し今後、30年間かけて解体などの作業を進める方針です。

これを受けて文部科学省は、福井県と敦賀市に対してもんじゅの廃炉期間中に支給される交付金を、拡充する方向で最終的な調整を進めていることが関係者への取材でわかりました。

交付金は、研究用の原子力発電施設の廃止に伴うもので、もんじゅの廃炉が完了するまでの30年間、県と敦賀市にはそれぞれ、毎年1億円、合わせて60億円が支給されることになっていました。関係者によりますと、廃炉が始まってから数年間は、とくに地域経済に与える影響が大きく、新たな産業に対して支援を行う必要があるとして、特例で、支給額を上乗せすることを検討しているということです。

こうした財政的な支援については近く開かれる政府と福井県、それに敦賀市が参加する協議会の中で示される見通しです。

地元対策として、60億円+60億円=120億円。福井県と敦賀市に。これはまだまだ膨らませることができるだろう。核燃サイクルと最終処分場問題という手を付けられない荷物があり、それ故に原発をやめられない行政論理が働き、原発システムとその制度の維持に巨額のカネがかかるが故に、自治体も含めて有象無象が血税目当てにゆすりたかりに群がるという構図。このもんじゅ廃炉の補助金は、全国の廃炉自治体の要求根拠になり、補助金額はせり上げられていくだろう。

毎日新聞の関連記事をついでに記録しておく。

もんじゅ:廃炉、課題山積 どうする液体ナトリウム /福井 - 毎日新聞
2017年7月1日 地方版(福井県)

 昨年末に廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)について、日本原子力研究開発機構は6月13日、工程を定める廃止措置計画の前段となる基本計画を国に提出した。作業は今後本格化するが、水と激しく反応する液体ナトリウムを大量に使う高速炉の廃炉は国内に例がなく、技術的ハードルは高い。政府が基本方針で明記した使用済み燃料の県外搬出も見通しが立っておらず、政治的に不透明な部分も多い。【近藤諭】

 冷却材に使う液体ナトリウムは、もんじゅ内に1670トンもあるが、抜き取りや抜き取り後の処理の具体的な方法はまだ決まっていない。

 760トンある2次系冷却材は、放射性物質を含まないため、別施設での再利用や工業用として売却することが考えられる。

 一方、原子炉内を循環する1次系760トンと、原子炉から取り出した燃料を一時保存する炉外燃料貯蔵槽にある150トンは、放射性物質を含むため、化学処理した上で廃棄する必要がある。

 また、取り出したナトリウムを保管するタンクの容量も、1次系540トン、2次系725トンで、いずれも一度に抜き取ることはできない。原子力機構は、仮設タンクの設置なども検討している。

過去に装置落下事故も
 作業中のリスクを減らすには、使用済み燃料の速やかな取り出しが求められる。政府は5年半で完了するとしているが、クリアすべきハードルは多い。燃料は遠隔操作で炉内中継装置と燃料交換装置を使って抜き取り、燃料出入機で炉外に出す。しかし、2010年8月、運転再開作業中に、燃料を着脱する炉内中継装置が炉内に落下し、作業中止に追い込まれた。

 中の液体ナトリウムは危険な上、銀色で透明でないため目視確認ができない。落下した装置の抜き取りに1年近くを要した。期間内に作業を終えるのに、ミスは許されない。

搬出先、見通し立たず
 順調に燃料を取り出せても、搬出先については「県外へ」との方針が示されているだけだ。茨城県東海村の再処理施設は14年に廃止が決定しており、フランスなど海外での再処理が考えられる。

 ただし、同じウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使った廃炉中の新型転換炉ふげん(敦賀市)では、03年の運転停止時にあった使用済み燃料738体のうち466体の搬出先が決まらずに残されたまま。もんじゅも約束通り県外に搬出される保証はない。

 炉内中継装置落下事故の復旧作業に関し、原子力機構が設置した検討委員会で委員長を務めた福井大国際原子力工学研究所の竹田敏一特任教授(71)は、さまざまな検討課題があることは認めつつ、「トラブルがなければ5年半での燃料取り出しは十分可能だ」と話す。その上で「燃料の県外搬出など政治による解決が必要となる部分も大きい。国がしっかりと支援する必要がある」と指摘した。

掲載図1「原子炉内から引き抜いた燃料を炉外燃料貯蔵槽などへ運ぶ燃料出入機(左端)=福井県敦賀市白木2の高速増殖原型炉もんじゅで(代表撮影)」(略)
掲載図2「もんじゅの燃料取り出しルート魚拓

もんじゅ:地域振興に増額要求 予算、廃炉・管理に179億円 文科省説明 /福井 - 毎日新聞
毎日新聞2017年9月1日 地方版(福井県)

 文部科学省の増子宏・大臣官房審議官らが31日、県庁と敦賀市を訪れ、廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)関連の来年度予算概算要求について説明した。廃炉経費や維持管理費などとして今年度当初予算と同額の179億円、地域振興のため地元が求めていたもんじゅ敷地内に新設する試験研究炉の調査・検討費には、900万円増の2000万円を盛り込んだ。

 179億円の内訳は、燃料輸送装置の点検などの廃炉経費に16億円増の25億円を計上。一方、安全対策・維持管理費は廃炉作業が進み点検対象が減るため、16億円減の154億円とした。試験研究炉については、今年度中に運営主体のあり方などの中間とりまとめを行い、来年度に予算を倍増させて詳細な仕様を検討する。

 説明を受けた藤田穣副知事は、地域振興関連が増額要求となっている点に「県の要請に対し一定の受け止めをいただいた」と評価した上で、「中長期的な地域振興策についても、もんじゅ関連協議会のような場でしっかりと説明してほしい」と注文。増子審議官は「速やかに協議の場を設けたい」と応じた。【近藤諭、岸川弘明】

もんじゅ:廃炉…遅れる計画 地元と政府「お荷物」綱引き - 毎日新聞
毎日新聞2017年11月21日 07時30分(最終更新 11月21日 07時30分)

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉作業の詳細な工程を定めた廃炉計画の申請が遅れている。所管する林芳正文部科学相が「8月中に出す」と明言したが、安全体制の構築や見返りの地域振興策について、福井県や敦賀市が納得する回答を政府が用意できていないためだ。もんじゅ廃炉決定から来月で1年。ほとんど稼働実績を残せなかった「お荷物」を巡る綱引きは今も続く。【近藤諭、酒造唯、鈴木理之】

廃炉の決断を巡っては、長年国策に協力してきた地元では「政府は一方的だ」との不信感が根強い。福井県の西川一誠知事は、地域振興策を協議する場の設置や、もんじゅ内にある使用済み核燃料の県外搬出などを政府が約束したことを受け、今年6月になってようやく廃炉を容認した。

 廃炉計画申請の前提として、県と市は、原子力機構との間で廃炉に伴う安全面などの約束事を定めた協定の締結を求めている。地元側は「安全な廃炉を行うための原子力機構の体制に課題がある」ことを強調する一方、協定締結は「(地域振興策が)来年度予算でどれくらい反映されるかによる」(西川知事)とけん制も忘れない。

 8月に西川知事らが林文科相に要請した12項目の地域振興策の中には、試験研究炉2基の整備や交付金の拡充などに加え、北陸新幹線の敦賀-新大阪間の早期整備や舞鶴若狭自動車道の4車線化など、もんじゅと関わりの薄い要求も含まれる。

 これに対し、政府は近く地元側に回答する見通しだが、「要求水準はかなり高く、とてもすべてには応じられない」(文科省幹部)と対応に苦慮している。地元はもんじゅの代わりに教育用と科学研究用の試験研究炉の新設を要求しているが、「このご時世、2基も造れるわけがない」(同)と明かす。

 一方、廃炉計画を審査・認可する原子力規制委員会は「リスク低減の観点から、原子炉に核燃料が入ったままの状況は看過できず、一日も早く廃炉計画を申請してほしい」と気をもむ。原子力機構の見通しでは、核燃料の取り出し完了には最低5年半かかる。

 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「安全に廃炉を進めることは誰もが求めていることだ。地域振興が原因で先延ばしにされているのであれば、理屈が通らない」と批判する。

掲載図:「もんじゅ廃炉計画申請までの流れ」(魚拓
地元が原発を支持する理由はカネ以外にないのだから、あらゆる事をカネの要求に変えてくるのは当然のことだ。核兵器とミサイル開発をテコに交渉力を高めようとするのと同じで、国との長期的関係の維持や個人的な関係維持への配慮があるので適当なところで手打ちするだけのことである。

論点:もんじゅ「廃炉」どう考える - 毎日新聞
毎日新聞2016年9月23日 東京朝刊

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉が年内に決まる見通しとなった。ウランとプルトニウムを再利用する核燃料サイクル政策の要として1兆円が投じられながらも、ほとんど成果は上げられなかった。一方で政府は核燃料サイクル政策を堅持する方針を示す。もんじゅ「廃炉」という大きな転換期を迎えるなか、国の原子力政策をどう考えるべきなのか。

決断、欧米より20年遅れ 吉岡斉・九州大教授

 1995年のナトリウム漏れ事故を受け、原子力委員会に97年に設置された高速増殖炉懇談会の委員を務めた。当時、米国は核不拡散や経済性の観点から研究開発を中止していた。ドイツも冷戦終了後の東西統一による財政難と、プルトニウムを保有するという「潜在的核兵器」の必要性がなくなったことなどから原型炉の建設を中止し、高速増殖炉開発は世界的に行き詰まっていた。日本でもこれまで何度も見直す機会があったはずだが、振り返るとこの懇談会が最後の機会だった。それを生かせず、今まで延びてしまったことが残念だ。

 懇談会で私は「もんじゅを博物館にして技術保存し、技術者は学芸員として再雇用してはどうか」と提案した。これが現実的な策ではないかと考えた。しかし、こうした意見は取り入れられることはなかった。もんじゅの次の段階となる実証炉以降の開発は白紙に戻るという成果こそあったが、もんじゅは廃炉にはならなかった。その後、廃炉を含めた在り方が検討されることはなく、巨額の費用が投入されてきた。日本で他国のように研究開発が見直されなかったのは、もんじゅを管理・運営する動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)を所管する文部科学省が、最大の抵抗勢力になったためだ。

 使った以上の燃料を生み出すという高速増殖炉は取り扱いが難しく、もんじゅは運転実績がほとんどないまま当初言われた「夢」や「未来」とは無縁だということは多くの人が分かっていたはずだ。これまで数回もんじゅを訪れたが、現場の責任者から「士気を維持するのに苦労している」という話を聞いたことがある。2012年に明らかになった1万件もの機器点検漏れなどは、やる気のなさの表れだろう。現場は延々と敗戦処理を続けていたといえるかもしれない。昨年11月に原子力規制委員会が運営主体変更を文科省に勧告した後、電力会社やメーカーが新組織への協力に難色を示したのは、将来性に疑問を持っていたからだ。

 60年代半ば、プルトニウムを米国から入手できるという話があって、それまで無理だと思われていた高速増殖炉への道が開け、国策として研究開発が始まった。しかし、ナトリウム漏れ事故以降、もんじゅは国の原子力政策全体の足を引っ張ってきた。政府は、このままでは身動きが取れないと考えたのだろう。

 廃炉にするということは、もんじゅをもはや守っているような状況ではなく、切り離さないと原子力政策が前に進めないという判断が働いたと考えられる。

 高速増殖炉の推進派にとっては、もんじゅを維持することが、ほとんど唯一といえる希望だった。「形さえ残っていれば、いずれ復活する可能性はある」という心のよりどころだった。廃炉は事実上、その道を断ち、政策の大きな節目となる。

 欧米より20〜30年遅れだ。地元の理解を得るのは難しいだろうが、国民の利益を考え、正式廃炉を決断してほしい。【聞き手・飯田和樹】

核燃サイクルこそ見直しを 鈴木達治郎・長崎大核兵器廃絶研究センター長

 政府はもんじゅの廃炉を今後検討する一方、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を減らす「高速炉」の研究を進める方針を打ち出した。しかし現時点では、高速炉は「絵に描いた餅」に過ぎない。基礎研究を進めることを否定はしないが、遠い夢に人や金を投入するのではなく、今そこにある課題に向き合うべきだ。

 政府は、核のごみの放射線量が天然ウランのレベルに下がるまで、今の再処理技術なら8000年かかるのに対し、高速炉で処理すれば理論上「300年」に短くなるとの試算を発表し、官民による高速炉開発会議の設置を決めた。政府としては、高速炉を「核のごみの焼却炉」とうたえば国民が受け入れやすいとの思惑があるのだろうが、今の科学技術で実証されておらず「誇大広告」でしかない。

 政府の増殖炉政策を検証する必要もある。政府はこれまで「もんじゅがなければ高速炉開発は進まない」と断言してきたが、今はもんじゅ廃炉の流れでも、従来通りの高速炉路線を掲げており、過去の主張はうそだったことになる。

 一方、政府は使用済み核燃料を全て再処理してウランとプルトニウムを取り出し、資源として利用する核燃料サイクルは堅持する方針だ。しかし今後、ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電が進めば、使用済みMOX燃料が発生する。再処理が難しい使用済みMOXは、高速炉の実用化が進まなければ直接地面に埋めるなどの処分方法しかなく、政府の「全量再処理路線」は破綻し、サイクルの行き詰まりは一層鮮明になる。

 サイクルは余剰プルトニウムの問題も抱える。プルサーマルなどによるプルトニウム利用は進まず、日本は47・9トン(昨年末時点)を保有する。核兵器保有国を除けば世界的にも突出した量で、プルトニウムの使い道である高速炉がなければ「核兵器に転用するのではないか」との安全保障上の疑念を招く。政府は青森県の使用済み核燃料再処理工場を今後稼働させる方針だが、そうなれば保有量はもっと増える。サイクルを見直さなければ、日本はプルトニウムを狙うテロの脅威も一層抱える。

 今回の政策決定過程にも疑問がある。「もんじゅの廃炉方針」や「サイクルの堅持」は、誰がいつ、どう決めたのかは不明で透明性に欠けている。発表のタイミングは臨時国会(26日召集)直前で、国会のチェック機能も働いていない。政府の高速炉開発会議も、議論の透明性が確保されるのか。高速炉や核燃料サイクルを推進するなら、独立した第三者機関による徹底した検証が必要だ。

 高速炉の開発は今後30年以上かかる息の長い取り組みになる。その一方、余剰プルトニウムや核のごみの処分といった問題のほか、東京電力福島第1原発の廃炉処理や除染廃棄物の処分といった課題は目の前にある。旧来の高速炉や核燃料サイクルに固執するようでは、福島事故で失われた原子力政策への国民の信頼は回復されないだろう。それよりも、原子力技術が生み出した負の遺産への後始末に全力を注ぎ込むべきではないか。【聞き手・中西拓司】

自主技術を無駄にするな 菊池三郎・公益財団法人原子力バックエンド推進センター理事長

 資源のない日本にとって、核燃料サイクルは率先して手に入れないといけない技術だ。通常の原発である軽水炉で燃料に使えるウランは1%以下しかない。99%以上を占める燃えないウランをプルトニウムに変えて増殖し、繰り返し使うことで、海外に依存しない「準国産エネルギー」が得られる。高速増殖原型炉「もんじゅ」はその中核となる日本の自主技術だ。無駄にすべきではない。

 高速増殖炉開発は戦後間もなく始まり、日本の産学官が連携して進めてきた。実験炉の常陽は1977年に稼働し、原型炉のもんじゅも少ないながら発電実績があり、日本は開発のトップグループにいる。実用化にはこの先、経済性を確かめる実証炉、150万キロワットクラスの大型の実用炉を目指す必要がある。ロシアはすでに実証炉を稼働して発電を始めた。中国やインドも追随し各国がしのぎを削っている。もんじゅを廃炉にすれば日本の技術開発はそれだけ出遅れ、ライバル国を喜ばせるだけだ。もんじゅの代わりにフランスで計画中の実証炉「ASTRID(アストリッド)」を利用する計画もあるが、モノを持たずに人や技術が育つのか。日本もASTRIDに対抗する原子炉を持ってこそ、お互いの技術を伸ばせる。

 安全保障上の観点も重要だ。核兵器に転用できるプルトニウムを平和利用に限ることを条件に、日本は日米原子力協定で米国に核燃料サイクルを認められている。もんじゅが廃炉になればプルトニウムが利用できず、2年後の協定改定に大きな影響を及ぼす懸念がある。

 規制のあり方にも問題がある。新しい保守管理制度が2008年に始まった際、あまり議論をしないままもんじゅに軽水炉と同じ制度を導入したことが、1万件もの点検漏れを招いた背景にある。もんじゅは一品物の研究開発炉で、ある程度のつまずきは避けられない。そこを理解しないまま原子力規制委員会は、運営組織交代という一方的な退場勧告をしたように思える。いかに電力やメーカーの協力を得ても、ナトリウムの扱いを知っている人でなければ運転はできない。規制委は、中枢にいる人のモチベーションを高める指導をすべきではないか。

 もんじゅはナトリウム漏れ事故などトラブルが続き、事故直後のビデオを隠す不祥事もあった。ただその多くは、組織や人の意識を高めれば未然に防げる。当時運営主体の旧動力炉・核燃料開発事業団に「運転できなくても経営に影響しない」という甘さがあった。これほどの停滞を自ら招いたことは残念だが、信頼は必ず回復できる。ナトリウム漏れ事故を受けて私が建設所長に就任した時は、地元の福井県ですらほとんどの市町村がもんじゅに反対だった。隠蔽(いんぺい)体質を徹底した情報公開で改め、長い時間をかけて理解を得る活動を続け、今では地元自治体のほとんどがもんじゅに賛成だ。

 もんじゅを廃炉にするのは、軽水炉の再稼働を進めるための「いけにえ」としか見えない。高速増殖炉は実用化に長い時間がかかるかもしれないが、百年の大計で臨むべきだ。【聞き手・酒造唯】

運転実績、22年で250日
 高速増殖原型炉「もんじゅ」は、原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを燃料とし、使った以上のプルトニウムを生み出す「夢の原子炉」と言われた。1994年4月に臨界を達成したが、95年12月にはナトリウム漏れ事故を起こすなどで22年間の運転実績は250日。2012年に約1万件の機器点検漏れが発覚し、原子力規制委員会が運営主体(日本原子力研究開発機構)の変更を求めていた。政府は年内に廃炉を正式決定する。

 ■人物略歴

よしおか・ひとし
 1953年生まれ。東京大大学院理学系研究科博士課程単位取得退学。専門は科学技術史。東京電力福島第1原発事故後、政府の原発事故調査・検証委員会の委員を務めた。

 ■人物略歴

すずき・たつじろう
 1951年生まれ。東京大原子力工学科卒、米マサチューセッツ工科大修士修了。専門は原子力政策。2010年1月〜14年3月、内閣府の原子力委員会委員長代理を務めた。

 ■人物略歴

きくち・さぶろう
 1941年生まれ。京都大工学部原子核工学科卒。旧動燃でもんじゅ建設所長や理事を歴任。フランスからのプルトニウム輸送を指揮しミスタープルトニウムと呼ばれる。2005年から現職。

鈴木氏が指摘する政策決定過程の不透明さや、政府が主張してきたもんじゅの存在根拠のすり替えなどは重要だ。他方、菊池氏の主張は根拠のない願望論と情勢論だけで、存続派ですら技術を信じられなくなっていることをうかがわせる。

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2017/11/15

記事クリップ。

使い勝手のいい備忘録を作りたくてあれこれ使っているけれど、どうもしっくりくるものがない。ブログは便利だけど記事作成にちょっと時間と手間がかかるんだよなあ。

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新たな不正疑惑 「加計学園」認可前に学生募集していた?|政治|ニュース|日刊ゲンダイDIGITAL
2017年11月14日

■文科省規定違反か

 文科省・大学設置審の答申を受け、14日、林芳正文科相から獣医学部の新設を正式に認可された加計学園。また新たな疑惑が噴出している。

 問題になっているのは、加計学園が認可される前に学生を募集していた可能性があることだ。文科省の規定では、認可前に、募集要項の配布など学生募集は一切行えないことになっている。ところが加計学園は、獣医学部の定員140人のうち、20人を韓国の留学生枠として募集していた疑いを持たれているのだ。

 今月4日、加計学園はソウルで韓国人留学生向けの入試説明会を開催。「卒業後は韓国で獣医師になれる」と強調し、「韓国より簡単」と参加した学生にも好評だったという。もし、この入試説明会で、募集要項を配っていたら完全にアウト。認可取り消しもあり得るのだ。

 加計学園に事実関係と見解を質問したが「きょう中の回答は難しい」とのこと。文科省の大学設置室は「担当者不在」を理由に未回答だった。

「野党は加計学園が規定違反をしていたかどうか、徹底的に追及する予定です。なにしろ、獣医学部がスタートしたら、毎年、巨額の助成金が支払われる。加計学園の加計孝太郎理事長の証人喚問も要求する予定です」(政界関係者)

■「答申2カ月遅れ」に他校カンカン

 さらに当初、8月に出されるはずだった認可が2カ月遅れたことで、思わぬ“しわ寄せ”が出ている。

 教育学部など設置審に学部の新設などを申請したのは、加計学園の他に16校あった。この16校の答申も遅れてしまったのだ。少子化で学生確保に必死の大学にとって、2カ月の遅れは死活問題である。学生を募集する期間が短くなるからだ。今回、学部新設を申請し、認可を得たある大学の担当者がため息交じりにこう言った。

「学生数のパイが限られている中で、学生募集のスタートが2カ月以上も遅れたのは正直、痛いですよ。せめて、問題のない学校だけでも先に答申してくれればありがたかった。ただ、文科省から答申が遅れている理由の説明はありませんでした。私たちの申請が原因で遅れているのかもしれず、待つしかなかった。これから急ピッチで開学準備を進めるしかありません」

 加計学園は、お祝いムード一色。週刊朝日によると、学園幹部は「学生の募集、集まり具合はどうか」とゴキゲンだという。

うちの家族ですら
「野党はいつまでモリカケ問題ばかりやっているんだ、だから国会はダメで、だから選挙には行く気がしない」
と言い放つぐらいだから、安倍自民党が負けるわけはないし、彼らがデタラメをやればやるほど彼らの支持は盤石になるわけである。
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平和大使演説阻止へ圧力 外務省公電で判明 「高校生に退出要求もできる」 核保有国?が日本に - 西日本新聞
2017年11月14日 06時00分

 2014年以降、毎年8月にジュネーブ軍縮会議で核兵器廃絶を世界に訴えてきた日本の高校生平和大使の演説が今年は見送られたことに関し、核保有国とみられる一部の加盟国が今年2月以降、高校生にスピーチをさせないよう日本政府に圧力をかけていたことが、西日本新聞が入手した外務省の公電で分かった。同国の軍縮大使は「自分は高校生に議場から出て行くよう求めることもできる」などと日本の軍縮大使に迫り、当初強く反論していた日本側も見送りに応じた。

 本紙は外務省に、この問題に関する情報公開を請求。軍縮会議日本政府代表部の高見沢将林軍縮大使がジュネーブやウィーンで他国の軍縮大使らから受けた「問題提起」について、岸田文雄外相に報告した公電などが開示された。公電は秘密指定を解除されているが、相手国名や発言の詳細は黒塗りにされていた。

 高校生平和大使は、日本政府が1日だけ政府代表団に登録する形で、軍縮会議本会議場でスピーチを認められてきた。開示された公電や外務省の内部文書によると、同国の軍縮大使や次席が今年2月以降、日本側に「軍縮会議の手続き規則は、高校生が政府代表団の一員になることを認めていない」と数回にわたり指摘。「毎年続くようであれば、しかるべき対応をせざるを得ない」とスピーチの見送りを求めた。

 日本政府側は当初「若い世代の活動を通じて、核兵器使用の惨禍について正確な認識が深まり、『核兵器のない世界』に向けた国際社会の機運が高まっていくことを期待している」などと反論した。

 しかし、同国の軍縮大使は「自分は高校生に本会議場から出て行くよう求めることもできるし、実際にそうすることも考えたが、無垢(むく)な高校生を困惑させることはしたくないので思いとどまった経緯がある」「今後は手続き規則違反として異議を申し立て、ブロックする」とまで迫った。

 こうした要請を受け、外務省は見送りを決めたという。理由について外務省は(1)高校生を政府代表団に含めるには加盟国の合意が必要なため、手続き上難しい(2)本会議場で高校生がスピーチしようとしても、報道機関に公開されている場で止められてしまいかねない-と説明している。

 公電の国名は黒塗りされているが、前後の文脈などから核保有国とみられる。

 外務省軍備管理軍縮課は「強硬な言い方で問題提起する国が出てきたのは今年になってからだが、手続き面を問題視する声は以前からあった。(今年7月に採択された)核兵器禁止条約の制定とは無関係。来年以降の対応は未定」としている。

    ◇      ◇

■背景に核禁止条約も

 鈴木達治郎・長崎大核兵器廃絶研究センター長の話 高校生のスピーチをここまで強く阻むのは異常だ。昨年までは容認していたことを考えると、核兵器禁止条約制定の動きも踏まえて核保有国が被爆国・日本に核保有国寄りの態度を鮮明にするよう圧力をかけたのではないか。スピーチを例年通りに行うと、軍縮会議の円滑な運営に影響を与えるリスクはあるが、公の場でスピーチに抗議するほどの理由があるとは思えない。日本として堂々と主張を貫く選択肢もあったかもしれない。「核なき世界」への日本の立ち位置をもっと明確にし、核保有国と非保有国の橋渡しのための政策をきちんと作っていくべきだ。

=2017/11/14付 西日本新聞朝刊=


若者の思い「政治が翻弄」 平和大使演説阻止へ圧力 「核の傘」依存 長崎の関係者落胆 - 西日本新聞
2017年11月14日 06時00分
 核兵器廃絶を訴える高校生平和大使たちの演説が今年、ジュネーブの軍縮会議で実現しなかった背景には、核保有国とみられる他国からの日本政府に対する圧力があった-。西日本新聞が入手した外務省の公電からは、核兵器禁止条約の採択に向け大詰めを迎える中、一部核保有国の強硬な姿勢や、被爆国ながら「核の傘」に依存する日本政府の苦しい立場が浮かぶ。核廃絶運動に携わる長崎の関係者からは、落胆の声が上がった。

 公電によると、スピーチ見送りの要請があったのは今年2月10日、同国の軍縮代表部次席主催の昼食会だった。次席が進藤雄介公使に対し「貴国が毎年軍縮会議で実施している高校生のスピーチを止めていただけないか」と発言した。

 進藤公使は「次世代を担う若い世代に核軍縮・不拡散関連業務を委嘱している」などと反論したが、次席は「考えは分かるが、少なくとも軍縮会議の場ではふさわしくない。高校生の意見表明の場ではない」「高校生を日本政府代表団に1日だけ含めるという方法は問題がある」と指摘した。

 3月3日には、同じ国の軍縮大使が高見沢将林大使に「日本国内に原爆に対する特別な感情があることは理解しているので昨年は公の場で反対はしなかった」とした上で「今後は手続き規則違反として異議を申し立て、ブロックする」と強硬な姿勢を見せた。外務省はこれを受けて、スピーチの見送りを決めたという。

 唯一の戦争被爆国である日本は、米国の「核の傘」に依存することを考慮し、7月に採択された核兵器禁止条約に署名していない。日本が主導し、国連総会に毎年提案している核兵器廃絶決議案でも今年は条約に直接触れておらず、被爆者らからは批判の声が上がる。

 軍縮会議が開かれたジュネーブを8月に訪れた今年の高校生平和大使を務める溝上大喜さん(17)=長崎市=は「核保有国を含め多くの国々の人から、自分たちの活動は大きな意味があると言われていた。反対意見があったのが事実なら、悲しい」と話した。

 高校生平和大使派遣委員会共同代表の平野伸人さん(70)=同市=は当時、外務省から他国が反対していると説明を受け「米国に忖度(そんたく)しているのではないか」と感じたという。“圧力”を示す文書の存在を受け「高校生たちの純粋な思いが政治に翻弄(ほんろう)され、会議で伝えられなかったのは残念。愚直に核廃絶を訴えていくという決意を新たにするしかない」と語った。

【ワードBOX】高校生平和大使

 核兵器廃絶を求める署名を集め、国連へ提出する高校生。1998年、長崎の2人が反核署名を携えて米ニューヨークの国連本部を訪ねたのが始まり。市民団体「高校生平和大使派遣委員会」が毎春、被爆地の広島や長崎を中心に公募で選ぶ。2013年以降は外務省の「ユース非核特使」の委嘱を受け、14年からは夏に国連欧州本部(ジュネーブ)での軍縮会議本会議場で代表者がスピーチをしてきたが、今年は見送られた。代替措置として日本政府代表部主催のレセプションで、3人の高校生が各国外交官ら約60人を前にスピーチした。

=2017/11/14付 西日本新聞朝刊=

初期の報道への反響では、高校生スピーチの中止は日本政府・外務省自身の積極的な意思だと受け止められていたと思う。
今回の公電の秘密指定解除にはその批判をかわしたい外務省の意思があるのかな、と邪推。
それと、外国からの批判を突っぱねて、事を表面化させることで高校生スピーチを妨害する国を目立たせるという方法もあったのじゃないかと思ったり。
黒塗りされた国名は日本語2文字らしいから、中国、米国、英国が上げられそうだという話もある。
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衆院選:知の巨人・内田樹氏 至極真っ当な提言! 安倍独裁制 本当の正体 - 毎日新聞
2017年11月14日
ウェブ記事としてはちょっと長文なのでここに保存するのはためらわれる。

全体の趣旨は共感できるけど、前半は余談めいていてしかもあちこち変だった。
「知の巨人」とかいう見出しも恥ずかしい。これは内田氏に非はないだろうけど、毎日新聞の「知」の低劣さを象徴している。買う気を失う。

安倍自民の圧倒的強さを制度的に、かつ若干陰謀論的に解明しようとして、小泉ブーム、維新や希望の党などの躍進を説明できなくなってしまった印象がある。そうした「自民に限りなく近い非自民」的な何かを求める風潮の由来や根強さを解明しつつ、それを変えるための方向を論じないといけないような気がしているんだけど。

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2017/11/09

私たち自身が、自らの手で、人を殺した。

「理解追いつかず」 青酸事件で裁判員会見、専門家求める声 : 京都新聞
2017年11月07日 23時25分

 京都地裁の裁判員裁判で初の死刑判決が言い渡された7日、裁判員3人が地裁で会見に臨んだ。

 長期審理だったが、女性裁判員は「評議や意見交換の機会があり、心理的・精神的負担は少なかった」と振り返った。青酸を用いた犯行手口から、証人尋問などで化学の専門用語が飛び交った。「理解が追いつかず質問も浮かばなかった。素人にも分かりやすい言葉で説明してほしかった」と言及した。

 被告の認知症については「病状の判断に関して複数の証人が必要だったかもしれない」「認知症の専門家が公判を傍聴し、意見を聞く機会があれば判断は変わっていた可能性もある」などの声が上がった。

 裁判では裁判員の負担軽減のため法廷に提出される証拠が絞られた。しかし、「被告の通帳も出てこず、借金がいくらあったのか最後まで分からず疑問が残った」「審理時間が掛かっても出せる証拠は全て出してもらい、判断したかった」と述べた。

 弁護側が控訴した点については、「私たちが考えた上での判決でやりきった感がある。控訴審ではプロの判断を仰ぎたい」。

心証はクロ。ほぼ被告の犯行だろうと思える。けれども、確信がない。何か腑に落ちない。検察の説明にもよく分からない部分や疑問が残っている。
そして、求刑は死刑。判決までの時間も無い。同調圧力も感じる。
そういうときに、私は自分一人だけで「もうちょっと待ってほしい」「死刑は本当に妥当なのか」などと言い続けることができるか。
私が、自らの意思で、人殺しに積極的に荷担する。それに立ち向かうことができるか。

人殺しではないけれど、人に処分を下すこと、間接的に人の処分につながる裁定をすることには、これまで何度も関わってきた。事情や道理を十分に(徹底的に)審理しないままに、原案作成者の意を汲んだり、その場の雰囲気に同調したりして、なんとなく判断したことも多い……というか、そういうことがほとんどだ。その意味では、私も小さな殺人に何度も手を染めてきた一人なのだ。

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京都新聞の関連報道。捜査や取り調べの問題も指摘されている。

青酸連続殺害、謎の中に高齢社会の影 26日に初公判 : 京都新聞
【 2017年06月23日 12時17分 】

 関西在住の高齢男性4人が青酸化合物で相次いで不審死した事件は26日、京都地裁で初公判を迎える。殺人罪などに問われる筧千佐子被告(70)の弁護側は無罪を主張する方針だ。事件を巡っては、結婚相談所で出会った高齢男性と結婚や交際を繰り返し、遺産相続したことが注目された。高齢男性が抱える老いと孤独、公正証書遺言を用いた相続-。「後妻業」という言葉が世間に広まるなど社会に衝撃を与えた。一方、真相は謎のままだ。死亡時に病死と判断された被害者もおり、捜査機関の初動対応の在り方も突きつけている。

■老いの孤独と不安

 「年金は少ないなと思ったけど、子どもさんがいないのがね、一番の魅力やったかな」

 結婚後約2カ月で死別した向日市の夫勇夫さん=当時(75)=との結婚理由を逮捕前の千佐子被告に尋ねた時の答えだ。2013年6月に結婚相談所を通じて知り合い、わずか5カ月でスピード婚。「彼のお金がどうのこうの思っていませんよ」ときっぱり語った。

 子どもがいない▽年金収入あり▽老後が安心-。千佐子被告が結婚相談所で見合い相手に求めていた条件だ。実際に連絡を取った男性は妻に先立たれたり、結婚経験がなかったという。勇夫さんは妻子を亡くし、大阪府貝塚市の本田正徳さん=当時(71)=らも妻に先立たれていた。知人男性(78)は、「もうすぐ結婚する」と喫茶店で千佐子被告を紹介する本田さんのうれしそうな姿を覚えている。

 高齢化と核家族化が進み、配偶者と離別や死別し、介護など今後の生活に不安を抱えて子どもと離れて独りで暮らす人は多い。結婚相談所は需要に応えて高齢者の出会いに対応したサービスを充実させてきた。一方で、国民生活センターによると、結婚相手紹介サービスをめぐるトラブル相談のうち、60歳以上の割合は増加しているという。

■公正証書遺言に課題

 財産の相続を約束する公正証書遺言-。一連の事件では、遺産相続の方法にも関心が集まった。

 公正証書遺言は裁判所の判決と同等の効力があり、死後速やかに遺言内容を実現できる長所がある。全国的に作成数が年々増えているが、作成者は法定相続人に相談することなく作成できるため遺産をめぐる訴訟に発展するケースもある。

 今回の事件では、本田さんと兵庫県伊丹市の日置稔さん=当時(75)=ら複数の男性が千佐子被告を相続人とする内容で作成していた。日置さんのケースでは、子らと遺産配分でトラブルになっていた。

■司法解剖の態勢不備

 なぜ青酸による死が見過ごされたのか。司法解剖を巡って、警察の初動捜査の遅れと態勢の不備が浮き彫りになった。被害男性2人は司法解剖されず、当初は病死などと判断された。本田さんは司法解剖されていたため、事件が顕在化した後に保存されていた血液を再鑑定し青酸が検出された。だが、保存は任意で、義務付ける法律はない。京都府警が、勇夫さんに関して司法解剖で事件性に着目したのが端緒だった。

 全国の警察が2013年に取り扱った変死体などは約17万体にのぼるが、司法解剖が実施されたのはわずか5%にとどまる。警察庁の有識者研究会による11年の報告では、犯罪死の見逃しは1998年以降で43件あり、うち38件は解剖されていなかったという。見逃し対策で死因究明推進法が2012年に成立したが、時限立法のため、14年に失効。国は同年に推進計画を閣議決定し、全国の都道府県に協議会の設置を要請している。

 本田さんらの不審死の見逃しを教訓とし、大阪府警は昨春からほぼ全ての変死体に対し、薬物使用の痕跡がないか調べる簡易検査を実施している。事件性の有無を専門に調べる「検視調査課」も新設し、態勢強化に努めている。

■財産目当て増える

 高齢男性の連続不審死事件を描いた小説「後妻業」の著者で直木賞作家の黒川博行さん(68)の話 団塊の世代が65歳を超える中、財産目当ての結婚をもくろむ女性は増える。知人が財産被害に遭い、結婚相談所を取材した。資産を持つ男性は高齢であるほど、女性にもてる。女性が資産狙いだと分かっていても付き合ってしまう。

 身の回りの世話をしてくれて、話し相手になる女性は高齢男性の孤独感を紛らわせてくれる存在だ。離れて暮らす息子や娘らから再婚を反対されても「俺の資産だから好きに使わせろ」と強く出る。男性ならではのさががそうさせてしまうのだろう。「後妻業」に防止策はない。今回の裁判は、離れて暮らす家族がいる人や独居男性など、広い層に身近な問いを突きつけている。


青酸連続殺害、筧被告は無罪主張 京都地裁初公判  : 京都新聞 http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20170626000059
【 2017年06月26日 12時10分 】

 結婚相談所で出会った高齢男性らに青酸化合物を服用させ殺害したなどとされる連続殺人事件で、向日市の夫らへの殺人罪3件と強盗殺人未遂罪に問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判の初公判が26日午前、京都地裁(中川綾子裁判長)で始まった。千佐子被告は罪状認否で、文書を読み上げて、4事件いずれについても「全て弁護人に任せてあります」と話した。弁護側は男性たちの死因や飲ませた人物に疑問があるとして「青酸を飲ませたことはない。4事件全て争う」と無罪を主張した。

 物証や目撃者といった直接証拠が乏しい中、検察側が積み重ねる状況証拠を裁判員がどう判断するかが焦点となる。

 検察側は総括冒頭陳述で、4事件の共通点を挙げて、動機は遺産目的などとし「借金を抱え、高齢男性との見合い、交際、結婚を繰り返し、被害者はいずれも親しい間柄の高齢独身男性」と説明。事件直前に財産の遺贈を受ける旨の公正証書遺言が作成されたり、事件直後から金庫を開けようとしたりするなどの共通点を挙げた。殺人罪3件で相続した遺産は計約3470万円以上で、強盗殺人未遂罪では4千万円の借金を免れようとしたと述べた。

 弁護側は、「(被告は)死んでほしい、死んでも構わないと考えたことはない」と殺意を否定。被告は、昨年の地裁による精神鑑定で「軽度の認知症」と指摘されており、弁護側は冒頭手続きで住所が思い出せなかったことを挙げ、「事件のこともほとんど記憶にない。事件当時は物事の善悪の判断や感情のコントロールができなかった。法廷で自分の権利を守ることができない」と話し、責任能力の有無や訴訟能力も争う姿勢を示した。

 公判前の争点整理段階で、弁護側は捜査段階での一部関与を認める調書について「直前の記憶すら不明瞭で、捜査官の厳しい取り調べが続き、正常な判断ができないまま迎合してしまった」として任意性と信用性を否定しており、公判の大きな争点になる。今後の公判では、捜査員の証言や取り調べを録音録画したDVDの証拠採否も焦点になりそうだ。

・事件の起訴事実  起訴状によると、筧千佐子被告は2013年12月28日夕、向日市の自宅で、夫の勇夫さん=当時(75)=に致死量の青酸化合物を服用させ、青酸中毒で死亡させた。12年3月に本田正徳さん=同(71)=、13年9月に兵庫県伊丹市の日置稔さん=当時(75)=を同様の手口で殺害した。07年12月に借金返済を免れようと、神戸市の末広利明さん=09年に79歳で死亡=に青酸化合物を服用させ殺害しようとした、としている。判決は11月7日。実審理期間は裁判員裁判で過去2番目の長さとなる135日間。開廷回数は48回の予定。

青酸連続死「殺して遺産手に」 調書公開、弁護側は任意性争う : 京都新聞
【 2017年08月08日 23時00分 】

 京都府向日市などの高齢男性4人に青酸化合物を服用させたとされる連続殺人事件で、殺人罪などに問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判の第18回公判が8日、京都地裁(中川綾子裁判長)であった。内縁の夫の本田正徳さん=当時(71)、大阪府貝塚市=について、被告が殺害した動機などを語った捜査段階の供述調書などが公開された。

 供述調書は本田さん事件で大阪府警に再逮捕された後の2015年2月13日に検察官が作成した。

 供述調書を巡っては、弁護側は任意性を争い、無罪を主張している。被告は逮捕された時はすでに認知症で「直前の記憶すら不明瞭だった」とし、供述は「厳しい取り調べが連日続き、取調官に迎合した作り話で信用できない。真実ではなく、記憶にないことを想像した調書」と指摘。本田さん事件について自白する直前も長時間の追及を受け続けていたと批判している。

 【公開された供述調書】

 莫(ばく)大な借金を抱え、返済を援助してくれる男性を捜そうと見合いを繰り返していました。借金によって私の悪い部分が出てきました。うそをついてでも他人から金を借りようとし、交際男性を遺産目当てで、毒で殺したことがありました。他人を殺すことは精神的に負担がかかるもので、できれば殺さずにお金の援助を受けたいという気持ちが強くありました。

 本田さんを積極的に殺したいと思った訳ではありません。自分自身の中の悪い部分が出る前に援助を受けることを望んでおり、殺すのは最終手段であって、自然なお付き合いの中でお金をもらいたいとの思いがありました。

 当初、本田さんは借金を理解していてくれて非常にうれしかったですし、殺す気持ちも薄れてきました。しかし、本田さんのお金に対する態度が変わってきたように思います。最初に言っていたのと違うなと思い始め、お金の援助を期待できなくなってきました。私の悪い部分が再び強くなり、殺して遺産を手に入れようと思ったのです。

青酸連続死「証拠は不十分」 弁護側、3件目審理で主張 : 京都新聞
【 2017年08月25日 12時30分 】

 京都府向日市などの高齢男性4人に青酸化合物を服用させたとされる連続殺人事件で、殺人罪などに問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判の第20回公判が25日、京都地裁(中川綾子裁判長)であり、知人の末広利明さん=死亡時(79)、神戸市=への強盗殺人未遂罪の審理が始まった。

 検察側は冒頭陳述で「金銭の返済を免れる目的で末広さんを毒殺しようとした」と述べ、弁護側は「病気や青酸化合物以外の薬毒物で障害が発生した可能性がある」などと無罪を主張し、殺意や動機も否定した。

 起訴状では、2007年12月18日午後2時ごろ、約4千万円の借金の返済を免れようと、神戸市中央区で青酸化合物を服用させ、殺害しようとした、としている。末広さんは高次機能障害や視力障害が残り、09年5月に亡くなった。

 検察側は、事件発覚後に救急搬送先の検査データなどを精査した結果、「青酸中毒と矛盾しない症状だった」と指摘。事件の2年前から投資名目で被告は末広さんと多額の金銭をやりとりし、「当日は返済約束日で会っていたが、返済資金はなかった」と述べた。

 弁護側は司法解剖や毒物検査が実施されていないことから、「末広さんの身体から青酸成分が検出された証拠はない。青酸中毒とするには疑問が残り、証拠は不十分だ」と批判した。認知症を理由として訴訟能力も争う姿勢を示した。

 裁判は起訴された殺人罪3件と強盗殺人未遂罪の計4件を事件ごとに審理。末広さん事件は3件目で、9月4日に被告人質問、6日に中間論告と弁論がある。

「殺した」「イメージない」被告の供述変遷 京都・青酸連続死 : 京都新聞
【 2017年09月26日 22時50分 】

 京都府向日市などの高齢男性4人に青酸化合物を服用させたとされる連続事件で、殺人罪などに問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判の第32回公判が26日、京都地裁(中川綾子裁判長)であった。2013年に亡くなった内縁関係の日置稔さん=当時(75)、兵庫県伊丹市=に対する被告人質問で、「逮捕されているから殺したと思う」と殺害を認める一方、「殺したイメージが湧かない」と否定するなど被告の供述が変遷した。

 被告人質問は起訴された4事件ごとにあり、最後となった。被告は全事件で殺害や関与を認めたが、直後に否定するなど不安定な供述が目立った。弁護側は「認知症の影響で責任能力と訴訟能力がない」と全事件で無罪を主張している。

 被告は殺害を認めたが「殺してもメリットがない」「殺すほどのうらみもない」などと否定もした。遺産の取得については「(殺害理由には)遺産もある」「一銭も手にしていない」などと揺れ動いた。裁判長が公正証書や遺産取得の一覧表などを示し、被告に記憶を問う場面もあった。

 裁判員の質問には、4事件で殺した認識があるのは夫の筧勇夫さん=当時(75)、向日市=だけ、と被告は答えた。その上で、「遺族にどう償うか」と問われると、「私が死ぬ以外どうして償えますか。申し訳ないという気持ちはある。今すぐにでも死刑にしてください」と述べた。

筧被告の個別審理終了 青酸連続死、4事件全て : 京都新聞
【 2017年10月02日 13時41分 】

 京都府向日市などの高齢男性4人に青酸化合物を服用させたとされる連続事件で、殺人罪などに問われた筧千佐子被告(70)の裁判員裁判の第34回公判が2日、京都地裁(中川綾子裁判長)であった。内縁の夫だった日置稔さん=当時(75)、兵庫県伊丹市=への殺人罪の中間論告と中間弁論があり、起訴された4事件の個別審理は全て終了した。

 裁判は、殺人罪3件と強盗殺人未遂罪1件を個別に審理し、事件ごとに中間論告と中間弁論を実施した。5日に4件の遺族の意見陳述、10日に検察側から4事件全体の最終論告と求刑があり、11日に弁護側が最終弁論をして結審する。判決は11月7日。

 弁護側はこの日の弁論で、「被告は(認知症の影響で)被告人質問で同じ話を繰り返し、異なる理由を説明する」などとして訴訟能力を否定した。弁護側は責任能力や死因、動機なども争っており、全事件で無罪を主張している。

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