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2017/12/16

DHC会長の「メッセージ」

「ニュース女子」問題で話題を振りまいているDHC会長のエッセイ(?)。原文→「会長メッセージ。」

文末に吉田嘉明氏の名前と「平成28年2月12日」という日付が入っている。

冒頭に、なべおさみ『昭和の怪物 裏も表も芸能界』2015年から日航ハイジャック事件の一幕が出てくる。なべ氏の著述なのか吉田氏の要約なのか判然としないが、かなり眉唾物の話になっている。Amazonの書評
「私は、本書の内容の真偽や著者の考え方の正否を問うことに意味はないと断じたい。ブルースリーの名言「考えるな、感じろ」である。」
とあるが、おそらくはそのような本なのではないかと想像する。吉田氏の要約(?)を読んで、真偽不明な大言壮語が続く大正や昭和初期の本のようだなと感じた。

こういう話を真に受ける人の下では働きたくないなあ……という思いを強くするのだが、そういう人でも経営者として成功するのだから、社会ないし経済とは寛容なものだと思う。経済的成功と学校の勉強の出来はあまり関係ないのではないか。あるいは、経済学者が言うほど市場メカニズムは選別淘汰をやらないのではないか。まあ、理知的で人格に優れた人しか経済的に成功できない世の中というのも住みにくそうではあるが……。

この「メッセージ」は全文にわたって吉田氏のルサンチマンぽい思いが溢れているのだが(これだけ成功していてルサンチマンもなかろうと思うんだが)、それがどうしようもなく気持ち悪い差別排外主義に染まっているのが次の箇所。

創業社長は痩せても枯れても本物ですが、時々とんでもない悪(わる)がいたりしますので、この点は注意が必要です。純粋な日本人でない人も結構います。
本物、偽物、似非ものを語るとき在日の問題は避けて通れません。この場合の在日は広義の意味の在日です。いわゆる三、四代前までに先祖が日本にやってきた帰化人のことです。
そういう意味では、いま日本に驚くほどの数の在日が住んでいます。同じ在日でも日本人になりきって日本のために頑張っている人は何の問題もありません。立派な人たちです。問題なのは日本人として帰化しているのに日本の悪口ばっかり言っていたり、徒党を組んで在日集団を作ろうとしている輩です。いわゆる、似非日本人、なんちゃって日本人です。政界(特に民主党)、マスコミ(特に朝日新聞、NHK、TBS)、法曹界(裁判官、弁護士、特に東大出身)、官僚(ほとんど東大出身)、芸能界、スポーツ界には特に多いようです。芸能界やスポーツ界は在日だらけになっていてもさして問題ではありません。影響力はほとんどないからです。問題は政界、官僚、マスコミ、法曹界です。国民の生活に深刻な影響を与えます。私どもの会社も大企業の一員として多岐にわたる活動から法廷闘争になるときが多々ありますが、裁判官が在日、被告側も在日の時は、提訴したこちら側が 100%の敗訴になります。裁判を始める前から結果がわかっているのです。似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう。
要するに、自分に同調しない・自分を賛美しない人を全て「似非日本人」や「在日」と呼んでいるだけのことなのだが、これらの人が「母国」を持ち徒党を組んで日本社会を牛耳っているという妄想が、彼にとっての「現実」の合理的解釈なのである。このめちゃくちゃな社会認識、劣悪な差別と優越意識を会社公式ページで公言するのが、DHC会長なのである。
DHC社員の中にはこの「メッセージ」に気持ち悪さを感じる人の方が多いだろうし、これが自社サイトで公的に発表されていることについて「恥ずかしい」「悔しい」「止めてほしい」「苦痛だ」と思っている人は多いだろう。広報担当の中でも苦々しく思っている人がいるだろうと推察する。けれどもDHC社内では会長の暴走を止められないのだろう。アパホテル、フジ住宅、播磨屋などと同じ症状なのだろう。

企業経営ではリーダーシップが尊重されるし、実際、日産のゴーン、シャープの載など、経営陣の一新が企業業績を大きく変える事例は少なくない。けれども、企業を自己表現の道具と混同してしまう君主の存在を許してしまう企業を見るに付け、経営トップへのガバナンスを効かせる制度の重要性を改めて感じる。君主制が民主主義に取って代わられた世界史の教訓をかみしめる次第である。


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