今頃になってNHKが凍土壁批判。でも東電の報告書を垂れ流してるだけ。
345億円投入の「凍土壁」 汚染水抑制効果は限定的 | NHKニュース
3月1日 4時20分
福島第一原子力発電所の汚染水対策の柱とされた「凍土壁」の汚染水の発生を抑える効果は、一日およそ95トンとの試算を、東京電力がまとめました。井戸で地下水をくみ上げる従来の対策に比べ、減少量は限られ、345億円の国費が投じられた「凍土壁」の費用対効果の検証が求められます。NHKはひどい。以前から凍土壁への疑問は繰り返し出されていたが、NHKは「凍土壁サイコー!」っていう政府や東電の見解ばかり垂れ流していたじゃん。東電が問題を認める報告を出したからって今更なんなのかと。それにまた東電の見解を報じるだけだし、もうカネは出たから欠陥をばらしてもいいか、みたいにも見えてしまう。疑問の声はたくさんあったのに、なんでそれに言及しないのか、自らの報道姿勢に反省はないのかってこと。福島第一原発の「凍土壁」は、一日におよそ500トン発生していた汚染水の増加を食い止める対策の柱で、建屋の周りを凍らせて築いた長さおよそ1.5キロの氷の壁で、地下の水の流れをせき止めます。
去年11月におおむね完成したこの凍土壁の効果について、東京電力が試算したところ、発生する汚染水の量は、凍土壁が無い場合に比べ一日およそ95トン減少していることがわかりました。
一方、凍土壁ができる前後の3か月間のデータによる評価では、建屋周辺の「サブドレン」と呼ばれる井戸で地下水をくみ上げる従来の対策と合わせた汚染水の減少量は、一日およそ380トンで、従来の対策による効果がより大きいと見られています。
国は、今後この凍土壁の効果の試算が妥当かどうか有識者の会議で議論することにしています。
凍土壁の建設には、345億円の国費が投じられたうえ、日々の運用にも年に十数億円がかかっていて、今後費用対効果の検証が求められます。
とりあえず記事をまとめる。
汚染水増加量:1日に約500トン。これを抑制する対策が必要とされた。
福島第一原発の「凍土壁」:汚染水対策の「柱」。建屋の周り長さおよそ1.5キロの氷の壁で、地下水をせき止める。
汚染水抑制効果
従来の対策(井戸で地下水をくみ上げる)→285トン
凍土壁→95トン
「柱」になってない……。(いや、壁だから。とかいう冗談はさておき。)
凍土壁にかかった費用:345億円。運用には1年に十数億円経費がかかる。
国は、この試算が正しいかを検討する方針と。たぶん、凍土壁の抑制効果をもっと大きく見せようとするんだろうなあ。
凍土壁の効果は当初から限定的で地下水抑止は無理だと言われていたし、採用実績も乏しくて不確実性が高いとも言われていたし、費用対効果が悪すぎるとも言われていた。壁を作るなら鋼鉄製の止水壁の方が確実だし安いし技術的にも容易で経験も豊富だとも言われていた。そうした批判に耳を貸さず、凍土壁を強く推したのは安倍政権だった。東京五輪招致にも絡めて、「アンダーコントロール」を宣伝する目玉の一つにしたのだった。
結局、当時の批判が当たっていたわけじゃん。
東日本大震災で原発が爆発する数年前、共産党の吉井議員(京都大学の原子核工学科出身、原発問題をずっと取り上げていた人)が、国会で福島原発の事故リスクを取り上げ、対策を迫った。「問題ない」とそれを退けたのは安倍政権だった。
結局、当時の批判が当たっていたわけじゃん。
原発については、事故リスクだけでなく、核燃サイクルの破綻も他のエネルギー源に対して高コストで運用維持は困難だという批判は何十年も前から続いている。しかし、そうした批判や懸念には耳を貸さず、あるいは非科学的で、偏向した政治的イデオロギーに毒された反政府活動の宣伝だとしてきたわけだ。しかし現在、世界は原発から縁を切ろうとしているし、東芝は原発事業で瀕死の状態に陥っているし、日本は貯まり続ける放射性廃棄物を持てあまし、増え続けるプルトニウムをアメリカは警戒している。
結局、当時の批判が当たっていたわけじゃん。
原発の未来はもう終わっている。元々危険で高コストな方法だったけれど、そのリスクを顕在化させたのは、原発への様々な懸念に真摯に対応せず「問題ない」でごり押しした人たちだ。そして、彼らが喧伝した原発の夢が幻想だったことを隠す気もなくなった今、原発関連事業は利権と公金(血税)に群がる人々の巣窟でしかなくなっている。そして、後の時代に本当にどうしようもない負の遺産を積み上げるだけである。原発の継続は、現在においては国家予算(フロー)を圧迫し、将来においては国土と国富(ストック)を毀損する。経済的にも倫理的にも止めるべき事業でしかない。
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「津波想定小さくできないかと東電が依頼」グループ会社社員 | NHKニュース
2月28日 18時27分
東京電力の旧経営陣3人が原発事故をめぐって強制的に起訴された裁判で、グループ会社の社員が証人として呼ばれました。社員は、事故の3年前に巨大な津波の想定をまとめた際、東京電力の担当者から「計算の条件を変えることで津波を小さくできないか」と検討を依頼されたことを証言しました。東京電力の元会長の勝俣恒久被告(77)、元副社長の武黒一郎被告(71)、元副社長の武藤栄被告(67)の3人は、原発事故をめぐって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張しています。
28日、東京地方裁判所で4回目の審理が開かれ、事故の3年前の平成20年に福島第一原発の津波の想定をまとめた東京電力のグループ会社の社員が証人として呼ばれました。
社員は、検察官役の指定弁護士の質問に対して、高さ15.7メートルの津波が押し寄せる可能性があるという想定を東京電力に報告していたことを証言しました。
その際、東京電力の担当者から「計算の条件を変えたり津波の動き方を変えたりすることで、津波を小さくできないか」と検討を依頼されたことも明らかにしました。
これに対して、社員は「専門家の学会で使われている手法なので条件は変えられない」と答えたということです。裁判長からは、東京電力との具体的なやり取りについて質問されましたが、社員は「覚えていない」と答えていました。
証言の社員は津波計算の責任者
法廷で証言した東京電力のグループ会社、東電設計の社員は、福島第一原発に押し寄せると想定される津波の高さを計算した責任者でした。当時、社員らが計算したところ、津波の高さは福島第一原発の敷地で最大で15.7メートルに達する結果が示されたということで、この結果は事故が起きる3年前の平成20年3月に東京電力に報告されました。
社員は、この報告の際、「東京電力には津波対策などの問題は残ると言われたが、結果は受領され、今後の検討については別途指示があるまで保留することになった」と証言しました。その後、東京電力から「原子炉建屋などがある場所を囲むような壁を設置したと仮定して津波の高さを評価してほしい」という依頼があり、改めて計算を行ったということです。
この結果として東京電力に報告した当時の資料には、原発の敷地をふかんしたCG画像の中に、壁にぶつかった津波が最大で19.9メートルの高さまで跳ね上がることが示されています。また、28日の証人尋問では、津波の想定を行うにあたって東京電力から東電設計に対しどのような依頼があったのか、津波の想定の位置づけを尋ねる質問も出されました。
この中で、社員は、平成19年に起きた中越沖地震を受けて、福島第一原発の地震や津波への対策を再評価する手続きの一貫として委託されたと説明しました。
そして、過去にも東京電力から津波評価についての依頼があったことに触れ、政府の地震調査研究推進本部が三陸沖から房総沖のどこでも大津波を伴う地震が起きる可能性があるとする「長期評価」を公表したほか、茨城県が津波の評価に関する新たなモデルを示したことから、こうした知見を取り入れて津波の評価をしてほしいという依頼だったと述べました。一方で、社員は、防潮堤や防潮壁の設置など具体的な津波対策の検討を依頼されたわけではなく、津波の評価は安全評価の基礎資料を作成することが目的だったと証言しています。
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