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2018/03/15

腐敗と教育統制の度を強める文科省。政敵を招聘した中学校に圧力。

財務省の公文書改竄問題が炎上しているのを契機として、少し骨のある報道が現れだしたNHK。
今回は文科省の学校への不当介入を報じている。

文科省が授業内容などの提出要求 前川前次官の中学校での授業で | NHKニュース
3月15日 19時15分

国が学校に授業の内容を問いただす異例の事態です。愛知県の公立中学校が文部科学省の前川前事務次官を先月、授業の講師に呼んだところ、文部科学省から教育委員会を通じて授業の内容や録音の提出を求められたことがわかりました。いじめなどの問題を除き、国が学校の個別の授業内容を調査することは原則、認められておらず、今後、議論を呼びそうです。

愛知県内の公立中学校で、先月、文部科学省の前川前事務次官が総合学習の時間の講師に招かれ、不登校や夜間中学校などをテーマに授業を行い、全校生徒のほか地元の住民らも出席しました。

この授業について今月1日、文部科学省の課長補佐からこの学校を所管する教育委員会宛てに内容を問いただすメールが届いていたことがわかりました。

メールでは、前川氏が天下り問題で辞任したことや、出会い系バーの店を利用していたと指摘したうえで、「道徳教育が行われる学校にこうした背景のある氏をどのような判断で授業を依頼したのか」と具体的に答えるよう記しています。さらに、録音があれば提供することなど15項目について文書で回答するよう求めています。

関係者によりますと、中学校には教育委員会からこれらの内容が伝えられ、録音の提出については拒んだということです。教育委員会も授業内容は事前に了承していたということです。

今の法律では、いじめによる自殺を防ぐなど、緊急の必要がある場合は文部科学大臣が教育委員会に是正の指示を出すことが認められていますが、今回のように個別の学校の授業内容を調査することは原則、認められていません。


教育行政上の国の役割とは

戦前の愛国主義的な教育の反省に立ち、国による学校教育への関与は法律で制限されています。教育基本法16条にも「教育は不当な支配に服することなく」と記されています。

地方教育行政について定めた法律では、学校教育に対して、指導や助言などができるのは原則として教育委員会です。国は学習指導要領の作成など全国的な基準の設定や、教員給与の一部負担など教育条件の整備が主な役割です。

一方、いじめ自殺など子どもたちの命に関わる問題が相次ぐ中で、国による関与が必要だとする声も強まり、平成19年に文部科学大臣が教育委員会の対応が不適切だった場合、是正の指示ができるようになりました。

しかし、これも法令違反や子どもの命や身体の保護のため、緊急の必要がある場合に限定されていて、今回のように個別の授業内容を調査できる権限は原則、認められていません。


話聞いた主婦「とても勉強になりました」

講演で、前川氏が語ったのは中学時代の不登校体験や今、みずからも関わっている夜間中学校の必要性などについてでした。終了後は教員や生徒、さらに住民と一緒に記念撮影するなど、好評だったということです。

話を聞いた50代の主婦は「夜間中学校について、熱く語られたのが印象残っています。とても勉強になりました」と話していました。また、別の男性は「政治的な話は全くなく、和やかな雰囲気でした」と話していました。


日本教育学会会長「国の行き過ぎた行為」

日本教育学会の会長で教育行政に詳しい日本大学の広田照幸教授は、「国の地方の教育行政への関わりは、基本的に抑制的であまり口を出さないのが基本だ。学校の教育内容は教育委員会の管轄であり、何より個々の学校が責任を持って行うものだ。それに対し、明確な法律違反の疑いもないまま授業内容にここまで質問するのは明らかに行き過ぎだ」と指摘しています。

そのうえで、「行政が必要以上に学校をコントロールすることになりかねず、現場は国からの指摘をおそれて萎縮し、窮屈になってしまうのではないか。国があら探しするような調査をかけることは教育の不当な支配にあたると解釈されてもおかしくない」と話しています。
文部科学省「問題ない」
文部科学省は「前川氏が文部科学省の事務方トップだったことや、天下り問題で辞任したことを踏まえ、講師として公教育の場で発言した内容や経緯を確認する必要があると判断した。正確性を期すために文書での確認を行った。問題があるとは思っていない」と話しています。

文科省のコメントが建前に終始し強硬・強圧的なのはいつも通りとして、このNHK記事が批判的論調なのが最近のNHKにしては珍しい印象。
言うまでもなく前川前事務次官は安倍政権の抵抗勢力で、彼を擁護し彼の講演内容の正当性を論じるのは安倍政権への批判になりかねない。
しかも、文科省が文書で使った「道徳」は安倍政権の国家主義的な教育改革のキモなのに、記事はそれを批判的文脈で引用していて、安倍政権の言う「道徳」の危なさを暗示している。
おまけに、文科省の介入の不当性を指摘するのに、「戦前の愛国主義的な教育の反省に立ち」と明記している。これは安倍政権・日本会議的な復古主義から見れば明確に「反日」的記事で、GHQのWGIP(「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」、右翼カルトのアレな妄想)の洗脳を受けた「誤った亡国的歴史観」に立ったものになる。
こういう危ない(反政府的と取られかねない)記事が、よりによってNHKから再び出てくるのようになったことに、なんとなく風向きの変化を感じる。

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追記(2018年3月16日)

NHKが続報を出した。文科省のコメントが主。

あくまで「適切だ」と言い張っている。さすが文科省、強硬ぶりが目立つ。教育勅語問題の時と態度が変わらない。

前川氏授業の調査「誤解招きかねない面あったが適切」文科相 | NHKニュース
3月16日 12時34分

文部科学省が前川前事務次官を授業の講師に招いた公立中学校に内容の確認や録音の提出を求めていた問題で、林文部科学大臣はメールでの指示については「誤解を招きかねない面もあった」として、担当者を注意したことを明らかにしました。ただ、調査自体は法令に基づき適切だったと主張しました。

名古屋市の公立中学校が先月、文部科学省の前川前事務次官を総合学習の授業の講師に招いたところ、文部科学省から教育委員会を通じて、内容を問いただすメールが届きました。

国が個別の学校の授業内容を調査することは原則、認められていませんが、メールでは前川氏が天下り問題で辞任したことや、出会い系バーの店を利用したことを指摘したり、授業の録音の提出を求めたりするなど、合わせて15項目について文書で回答するよう求めていました。

この問題で林文部科学大臣は、教育委員会にメールで調査を指示したことについて、「教育現場に誤解が生じないように留意すべきことは当然だ。その観点ではやや誤解を招きかねない面もあった」として、担当者を注意したことを明らかにしました。

一方で、個別の授業内容を調査したことについては、「校長が前川氏の事実関係を十分調べることなく授業の講師に招いたことは必ずしも適切であったとはいえない。もう少し慎重な検討が必要ではなかったかと考えている」と述べて、法令に基づき適切だったと主張しました。


「教育に政治介入 事実なら『暗黒政治』」 立民 辻元国対委員長

立憲民主党の辻元国会対策委員長は、国会内で記者団に対し、「決裁文書は書き換える、隠す。答弁は虚偽。告発した元官僚などの言動はチェックし、教育に政治が介入するということが、すべて事実であるならば、『暗黒政治』だ。『安倍王朝の崩壊』というか、うみがずるずる出ているような現象の現れだ」と述べました。


「役人の異常なまでのそんたく」希望 泉国対委員長

希望の党の泉国会対策委員長は、記者会見で、「言語道断で異常事態だ。今の政権における役人の異常なまでのそんたくと断言していい。本来、優秀な役人が、政権の圧力を感じながらの『そんたくや保身』が続いていることは深刻だ。与党は、『政権の体質だ』ということを重く受け止め、体質改善に努力することが求められている」と述べました。
「国民管理する方向に向くこと裏付ける」民進 小川参院会長
民進党の小川・参議院議員会長は、党の参議院議員総会で、「まさに安倍政権が国民を管理する方向に向いていることを裏付けるような事実だ。安倍政権には、1日も早く退陣してもらい、自民党政権を終わらせなくてはいけない」と述べました。

文科省は強硬だが、今回はNHKも頑張っている。例えば、「林文部科学大臣は……適切だったと主張しました」とか「国が……調査することは原則、認められていませんが」とか書いて、批判的な論調をにじませている。

ところで、文科省が「適切だった」とする「調査」は、実際にはどんなものだったのか。文書を撮影した画像がツイッターで流れていたので、文字おこししてみた。

泉ケンタさんのツイート: "前川喜平氏の名古屋市立中学校での講演で文部科学省の質問事項が明らかになりました。【公開授業についての質問】… "
【画像魚拓1】, 【画像魚拓2】, 【画像魚拓3】, 【画像魚拓4】

■■■■

差出人:■■■■

送信日時:2018年3月1日木曜日 18:04
宛先:■■■■@city.nagoya.lg.jp'

件名:【質問】名古屋市立■■■中学校での総合的な学習の時間について(■■■■氏の講演の授業)

名古屋市教育委員会■■■■■■■■指導主事様

お世話になっております。
文部科学省教育課程課の■■■■■■■■と申します。

先ほどお電話させていただきましたが、去る2月16日に
■■■中学校におきまして実施されました総合的な学習の時間の公開授業に関し、
事実関係等をご教示頂きたく、添付の質問をお送りさせて頂きます。

つきましてはご多忙の所恐れ入りますが、3月5日(月)18時までに
ご回答頂きますよう、ご検討をお願いいたします。

■■■■■ 拝

-------------------------------------------------
■■■■■■■■■■■■■■
文部科学省初等中等教育局教育課程課課長補佐
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
TEL : 03-5253-4111 (内線■■)
  ■■■■■■(直通)
Fax : ■■■■■
E-mail : ■■■@mext.go.jp
-------------------------------------------------

去る2月16日に■■■中学校の総合的な学習の時間において、■■■■氏を講師とした授業が行われたと中日新聞に報じられております。このことに関し下記の質問について、平成30年3月5日(月)18時までに書面にてご回答願います。なお、ご回答を踏まえ、再度書面にて又は直接ご確認をさせて頂く可能性がありますので、ご承知おき下さい。

1.■■■中学校における総合的な学習の時間では、全体計画における全体テーマを「様々な人の生き方を学び、自分の生き方を考える」と設定されていますが、今回の■■氏の講演による授業は、同氏のどのような生き方を学ぶことをねらいとし、また生徒はどのような生き方を考えていくことをねらいとして実施されたのか具体的かつ詳細にご教示ください。
特に、総合的な学習の時間は、各学年ごとにそれぞれの取組を行っているにも関わらず、この授業は3学年一斉に行っていますが、各学年ごとに同氏を招いたねらいは何か、具体的にご教示ください。

2.今回の■■氏の講演による授業を行った主たる目的は何だったのか。生徒達に何を伝えたかったのか。そしてこれはどのように達成されたのかご教示ください。

3.■■氏は、文部科学事務次官という教育行政の事務の最高責任者としての立場にいましたが、いわゆる国家公務員の天下り問題により辞職し、停職相当とされた経緯があります。また、報道などにより文部科学事務次官在任中にいわゆる出会い系バーの店を利用し、そこで知り合った女性と食事をしたり、時に金銭を供与したりしていたことなどが公になっています。
こうした背景がある同氏について、道徳教育が行われる学校の場に、また教育課程に位置づけられた授業において、どのような判断で依頼されたのか具体的かつ詳細にご教示ください。

4.一般的に、ある方の生き方に学ぶことをねらいとする場合、その方のそれぞれの生き方などを詳しく説明した上で授業に臨むことになると思われますが、今回の■■氏の授業に当たって、同氏の「2」に掲げたような経緯について、生徒に予め(あるいは事後に)説明をした上で授業に臨んだのでしょうか。その場合、具体的にはどの程度の経緯を説明されたのでしょうか、具体的かつ詳細にご教示ください。

5.今回の総合的な学習の時間における■■氏の講演を「全校一斉総合」として、保護者やマスコミ等にも開いた公開授業としたと承知していますが、一般的に、同校では総合的な学習の時間の授業をこのような形で公開されるのでしょうか。また、今回公開したねらいや意図は何でしょうか。具体的かつ詳細にご教示ください。

6.「様々な人の生き方を学」ぶ観点から、同校の総合的な学習の時間において、■■氏以外にも色々な方から話を聞く機会があったと思われますが、具体的にどの学年の学習で、具体的にどのような方からどのようなねらいで話を聞く機会があったのか、具体的かつ詳細にご教示ください。

7.■■氏以外に外部講師を招いている場合、今回と同様に公開授業として行ったのかそうでないのかご教示ください。また、公開とした理由(あるいは公開としなかった理由)も併せてご教示ください。

8.■■氏を同校に外部講師として依頼をしたのは、具体的にはいつ頃かご教示ください。特に、報道によれば、3年ほど前から校長が■■氏と面識を得て昨年から依頼をしていたとのことですが、これは事実でしょうか。また、校長は個人的な関係を基に■■氏を招いたということでしょうか、ご教示ください。

9.■■氏の公開授業を行うことについて、事前又は事後に保護者から意見や反応等はなかったのかご教示ください。

10.■■氏の公開授業を行うことについて、事前又は事後に生徒から意見や反応等はなかったのかご教示ください。

11.今回の■■氏の講演による授業について、講演録や録音データ等がありましたら、ご提供ください。

12.■■氏を講師で招いた際の交通費や謝金の支出はあったのかどうか、あった場合、それらの金額はいくらか。また、それらの経費はどこから出ているのか、具体的にご教示ください。また、同氏以外の外部講師の交通費や謝金の扱いはどうなっているかも併せてご教示ください。

13.報道によれば、■■氏は今の肩書きを問われて「国会参考人です」と答えたとありますが、これは事実でしょうか。また、この国会参考人とは、いわゆる天下り問題又は加計学園の問題に関して国会に招致されたことを指したものと考えられますが、こうしたことが授業の場において話されたことについて、校長はどのように認識し、どのように生徒や保護者に説明したのか、具体的かつ詳細にご教示ください。

14.報道によれば、今回の授業には、生徒約300人以外に保護者ら200人が訪れたとありますが、これは事実でしょうか。また、「保護者ら200人」とありますが、このうち、保護者はどの程度参加し、保護者以外の方としてはどのような方がどの程度参加されたのでしょうか、また、動員等が行われた事実があったかなかったか、明確にご教示ください。

15.学校設置者の名古屋市教育委員会として、上記の経緯を含め、今回の■■氏の講演による授業をどのように判断しているか、お考えをご教示ください。

(以上)

前川氏を呼んだ学校に対して、激しい怒りを持ち、どんな小さな粗相でも見逃さずに処分するぞという迫力に満ちた文書になっている。「前川を呼んだおまえを絶対に許さない!」と叫んでいるような文章だ。
こんな「質問状」をもってして「適切だった」と文科省は言っているわけである。

恐喝や脅迫というものは、表面上・形式上は穏やかに見せつつ、しかし文脈や背景を踏まえると、意図は明らかだという形を取ることが多い。
それは「脅迫だ」と追及されたときに「いや、単なる……です」と逃げるためだ。子どもの「いじめ」でも、一見しただけでは分からないようにやることがよくあるが、それと同じ構図である。いじめの場合、そういうやり方は「陰湿だ」とよく言われる。

学校・教育に介入したいという欲望を持つ人は少なくない。自民党や維新の会などはそういう傾向が強いし、実際に、何度も介入している。教科書問題は典型例だ。そういう介入に対して、文科省は防波堤になるべき存在だ。しかし、安倍政権下の文科省は、むしろ教育介入の先兵としての役割を自ら担おうとしているようだ。教育勅語問題もしかり、道徳を教科とする動きでもしかり、領土問題の扱いにしてもしかりである。

ところで、今回の文科省の行動からは、
1.文科省が持つ傲岸不遜な体質
2.前川氏に対する「憎悪」とも呼ぶべき非常に強い警戒感
が強烈にうかがえる。
前者については、本来は下部組織でもない自治体の学校に、恫喝まがいの質問状を送りつけるという、乱暴な振る舞いがそれだし、後者については、前川氏を文科省の裏切り者と見ているのか、あるいは安倍政権に弓を引く反逆者とみているのか、前川氏の言動を徹底的に弾圧しようとする様子があたる。
なぜ、そこまで前川氏を嫌悪し恐れているのか、かえって興味が湧いてくる。

そう言えば、籠池夫妻もまるで獄中死を待っているかのごとく長期拘留されている。前川氏もこれから渦を引き起こす何かを持っているのだろうか。

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上記の「質問」への名古屋市教育委員会の回答がテレビで紹介されている。

参考:紹介したツイート, 【画像魚拓】1, 【画像魚拓】2

名古屋市教育委員会の回答
天下り問題は文科省ひいては国家公務員全体の問題であると認識しています。
またバー云々については、良心的な目的であったことが報道されています。
いずれも今回の講演を依頼する障害になると考えませんでした。

(天下り問題について)
辞任された以上のことは知りません

(バーについて)
色々な報道があったことは承知しております。
私が前川氏にお願いしたのは
私が直にお会いしてお聞きしたお話や
私が感じた前川氏の人となりから判断したもの

名古屋市教育委員会の回答とあるが、いずれも当該の校長からの回答のようだ。

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追記(2018年3月17日)

以下のツイートを追加。

satoyuuitiさんのツイート: "ヒアリングの重要なとこ 野党「大臣の指示はあったのか」 役人「ないで」 野党「なんの法的根拠があってこんな事をしたのか」 役人「地教行法53条やで」 野党「53条は大臣の指示なきゃ使えんやろ」 役人「あっ…」… "

satoyuuitiさんのツイート: "第五十三条 文部科学大臣又は都道府県委員会は、(省略)必要な調査を行うことができる。 2 文部科学大臣は、前項の調査に関し、都道府県委員会に対し、市町村長又は市町村委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務について、その特に指定する事項の調査を行うよう指示をすることができる。"

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追記(2018年3月17日)

朝日新聞から2つの記事を追加。

前川氏招いた経緯、繰り返し「ご教示を」 文科省メール:朝日新聞デジタル
2018年3月16日19時29分

 前文部科学事務次官の前川喜平氏が名古屋市立の中学で講演したことをめぐり、文科省が名古屋市教育委員会に問い合わせた問題で、文科省と市教委は16日、互いに交わしたメールの写しを公開した。文科省の担当者は、前川氏が天下り問題で辞職したことなどを挙げ、学校が招いた経緯について「具体的かつ詳細にご教示ください」という表現を繰り返し使い、2回にわたって質問していた。

 林芳正文科相は16日の会見で「やや誤解を招きかねない面があった」と述べ、調査を進めた初等中等教育局長を注意したことを明らかにした。一方、個別の学校の教育内容について文科省が教委に問い合わせることは地方教育行政法で認められているとして「一般的にあることだ」とした。

 文科省と市教委によると、前川氏は市立八王子中の総合的な学習の時間の一環で2月、「これからの日本を創るみなさんへのエール」と題して講演。全学年の生徒に加え、保護者や地域住民も参加した。文科省教育課程課は新聞報道で講演を知り、3月1日、前川氏を呼んだ狙いなど15項目の質問を市教委にメールで送った。

 メールでは、前川氏について「天下り問題により辞職し、停職相当とされた」「在任中、出会い系バーの店を利用していたことが公になっている」と指摘。そのうえで「道徳教育が行われる学校の場に、どのような判断で依頼されたのか」などと問い、講演録や録音データの提供を求めた。交通費や謝礼の有無や金額、動員があったかも尋ねた。

 これに対し、市教委は5日、天下りや出会い系バーについて「講演を依頼する障害になると考えませんでした」と返答。録音提供は前川氏の了解が得られていない、として拒んだ。謝礼は交通費込みで5万円、動員はなかったと回答した。

 文科省はさらに6日、「(前川氏は)自らの非違行為を理由として停職相当とされたが、校長はご認識されていたのでしょうか」「道徳教育を行う学校で授業を行ったことについて、改めて校長の見解を具体的にご教示ください」などと1回目と同趣旨のものを含む10項目余りの質問を追加で送った。市教委は7日、「辞任されたこと以上のことは知りません」「すでに述べたとおりです。今回は道徳の授業ではありません」と返答した。

 林文科相は会見で、「(授業が)適切に行われたか確認が必要だと思って質問を行ったと承知している」と説明。聞き取った内容を踏まえて「法令違反は確認できていない」としながらも、前川氏自身の天下りへの関与を校長が十分に認識していなかったとして、「十分調べることなく講師に招いたことは必ずしも適切とはいえず、もう少し慎重な検討が必要ではなかったか」と述べた。(根岸拓朗)


掲載図1:「文部科学省と名古屋市教育委員会のやりとりの抜粋」(魚拓
掲載図2:「前文部科学事務次官の前川喜平氏の講演内容をまとめた資料を手に会見する上井靖・名古屋市立八王子中学校長(右)。左は藤井昌也・名古屋市教育委員会指導室長=16日午後、名古屋市中区、小川智撮影」略
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「過去の行為とは別」 前川氏講演、適切と中学校長:朝日新聞デジタル
2018年3月16日18時46分

 前川喜平・前文部科学事務次官が講演した名古屋市立八王子中学校(同市北区)の上井(うわい)靖校長が16日、市役所で記者会見した。文科省からの質問について「すごく抵抗があるわけではない」と述べる一方、「(前川氏は生徒を)とても勇気づけてくれる方だ」と講演は適切だったとの認識を示した。

 上井校長は約3年前に前川氏の講演を聞いて感銘を受け、今回の講演を依頼したという。「(前川氏が天下り問題に関与した)過去の行為とは切り離して考えた」と説明した。

 「質問には真摯(しんし)に答えた。文科省が内容を確認したい気持ちは分からなくはない」として、文科省への批判を避けた。

 文科省のメールは、質問の目的を明確にしていなかった。会見に同席した市教育委員会の藤井昌也指導室長は、「授業の内容に踏み込んでの質問はあまり経験したことがない。意図はきちんと聞いていかないといけない」と述べ、今後文科省に問い合わせる方針を示した。(関謙次)

     ◇

 上井靖・名古屋市立八王子中校長の記者会見での発言は次の通り。

 ――文部科学省から前川喜平・前文部科学事務次官の講演についての質問を受けたが。

 「文科省に対し腹が立っているということはない。こういう状態になっていることは自然体で受け止めている」

 ――前川氏を講演に招く時、文科省のこうした反応は考えなかったのか。

 「なかった。話が分かりやすく、ぜひ子どもたちにエールを送ってほしいという思いでお願いした」

 ――提供を求められた音声データを、なぜ渡していないのか。

 「記録用にビデオを撮った。ほとんどが前川さんの話なので、渡すなら前川さんの承諾が必要と思い、控えさせていただいた」

 ――文科省は繰り返し前川氏の天下り問題による辞職や出会い系バー利用について質問しているが。

 「そこを詳しく聞きたいのかなとは思った」

 ――文科省は、問題を起こした人物を教育現場に出すことは妥当かと質問しているが。

 「何かした人は絶対にだめだとは、人権教育の上でもしたくない。過去の行為を切り離して考えた。前川さんは多くの人が知っていて、講演には地域の方もたくさん参加した。どんな話をしたのか、文科省がきちんと把握したい、確認したいという気持ちは分からないでもない」

 ――林芳正文科相が記者会見で、学校が十分に調べずに前川氏を招いたのは「必ずしも適切とは言えず、もう少し慎重な検討が必要だった」と述べたが。

 「そう思われたんだな、というだけ。発言を否定するとかではなく、受け止めはいろいろあるのだろうと思っている」

校長、市教委ともに頑張っている。あの河村たかし氏が市長をやっているとは思えないぐらい。エールを送りたい。

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追記(2018年3月19日)

地元政界と国政に出た議員との確執という目も出てきた。

前川氏授業:自民議員が照会 文教族、文科省は影響否定 - 毎日新聞
2018年3月18日 06時00分(最終更新 3月18日 06時00分)

 文部科学省が名古屋市教育委員会に、前川喜平・前事務次官が市立中学で講師を務めた授業の内容の報告や録音データの提供を求めた問題を巡り、自民党文科部会に所属する衆院議員が文科省に授業の経緯を照会していたことが政府関係者への取材で判明した。文科省はその後に市教委に問い合わせており、議員の照会が影響を与えた可能性があるが、文科省幹部は「問い合わせたのは省としての判断だ」と説明している。【伊澤拓也、山衛守剛】

 前川氏は2月16日、市立八王子中で総合学習の授業として講演。不登校の経験などに触れ、「自ら学ぶ力、考える力を身につけてほしい」と呼びかけた。

 関係者によると、議員は2月中旬から下旬に複数回、文科省初等中等教育局に電話し、授業の内容や経緯について説明を求めた。同局は照会について、林芳正文科相ら政務三役に報告しなかったという。

 市教委によると、文科省は今月1日、15項目の質問を列挙したメールを送信。天下りあっせん問題による引責辞任や「出会い系バーの利用」に言及して前川氏を招いた経緯や理由などを尋ね、録音データの提供を求めた。5日夕の返信を受け、6日朝には校長の認識など11項目の追加質問を送り、7日正午までの回答を要請した。市教委は16日、双方のメール計4本などA4判22ページを公開した。

 文科省は16日の野党合同ヒアリングで、授業の様子を翌日報じた地元の中日新聞の記事が問い合わせのきっかけだったと説明。同時期に外部から照会もあったことは認めたものの、照会が誰からだったかについては「差し控える」と明らかにしなかった。「政治家の介入はあったのか」との質問には「確認する」と答えるにとどめ、「あくまでも私たちの判断」と繰り返した。

 省内には「メールの質問事項は、官僚の文章には思えない」との声がある。職員の一人は「照会は執拗(しつよう)で対応に苦慮したと聞いている」と話した。

自民党文部科学部会のメンバーは以下の通り。(2018年3月19日現在)
文部科学部会長 赤池 誠章
部会長代理 池田 佳隆、上野 通子
副部会長 大見 正、八木 哲也、山田 賢司、尾身 朝子、古田 圭一、高階 恵美子、井原 巧、今井 絵理子。
出所:自由民主党 役員表 | 議員・役員情報 | 自由民主党

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自民党議員、文科省に複数回照会 前次官の授業報告要請前に - 共同通信
2018/3/18 11:53

 文部科学省の前川喜平前事務次官が名古屋市立中の授業で講演した内容を、同省が名古屋市教育委員会に報告するよう求めていた問題で、この報告要請の前に、地元の自民党衆院議員が文科省に、前川氏が授業に招かれた経緯などを複数回問い合わせていたことが18日、政府関係者への取材で分かった。

 文科省は16日に開かれた野党6党の合同ヒアリングで、外部から照会があったことは認めたが、誰からだったかは「控えたい」とした上で「あくまで文科省初等中等教育局の判断で調査を決めた」と強調。ただ、与党議員からの照会が市教委への報告要請の前だったことから、同省の判断に影響した可能性もある。

前川講師問題:文部科学省から名古屋市教育委員会への要請メール - 毎日新聞
全14枚、画像。名古屋市教育委員会の回答も含む。

「開いた口が塞がらない」 前川氏の講演調査で愛知知事:朝日新聞デジタル
2018年3月19日13時08分

 文部科学省が名古屋市教育委員会に、前川喜平・前文部科学事務次官の中学校での講演内容について報告などを求めた問題で、愛知県の大村秀章知事は19日の記者会見で「常識外れで、開いた口が塞がらない」と文科省を強く批判した。

 大村氏は「問い合わせはしつこく、非常識な文面は圧力以外の何物でもない。文科省は事実関係を明らかにするとともに、関係者の責任を問うべきだ」と述べ、問題の糾明を求めた。

 この問題では、市教委が文科省に質問の意図を問い合わせる考えを示している。大村氏は「市教委の対応に敬意を表し、全力でサポートしたい。オール愛知で守っていくべきだと思う」と評価した。

 大村氏は、「教育は不当な支配に伏することなく公正に行われなければならず、学校活動の個別の内容に国が口を出すのは控えるべきだというのが、戦後教育の基本ではなかったか」と指摘した。(黄澈)

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政局ウォッチNOW❤️さんのツイート: "ちなみに今回話題に出た名古屋市の八王子中学があるのは北区、北区といえば名古屋市市議会議長、渡辺先生(自民党)の地元NOW❤️名古屋市教育委員会は、文科省の質問状がきた時点でお伺いを立てた可能性も。与党国会議員は、文科省から質問状を出させるのでなく、市議会でやればまだ良かったのに… https://t.co/RSHD62A80p"

政局ウォッチNOW❤️さんのツイート: "追加 実際、文科省に名古屋市教育委員会に質問するように命じたとされるのは愛知県選出のI議員NOW❤️ご本人がそのように複数の方々に語っているのでたぶん、そうなんでしょうw 恫喝したことをいちいち手柄にし自慢することなんだろうかと思いますが。政界には、いろんな方がいらっしゃいます。… https://t.co/vRVLbLkexq"

政局ウォッチNOW❤️さんのツイート: "I議員のプロフィール 平成16年名古屋青年会議所理事長に就任。 平成18年日本青年会議所会頭に就任。衆議院教育基本法改正特別委員会に参考人として招かれる。一般財団法人日本教育再生機構 設立理事。 平成20年名古屋市小中学校PTA協議会常任理事に就任、以後3年間PTA会長を務める… https://t.co/WXJ6s1SNNC"

政局ウォッチNOW❤️さんのツイート: "部会で騒いでしまった議員のイニシャル A参議院議員、N議員、Y議員など やはり名古屋市が公開した文科省の質問状は、脅しの恫喝文書にしか見えずよくないNOW❤️ 好事魔多しというが、森友、前川さんの問題とオウンゴールが続くNOW❤️ https://t.co/xGRFw2PeRO"

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追記(2018年3月20日)

毎日新聞記事が充実していた。

1.圧力を掛けた議員の実名が報道された。

前川氏授業:市教委への質問、添削も 自民文科部会の幹部 - 毎日新聞
2018年3月20日 05時00分(最終更新 3月20日 06時37分)

池田佳隆議員、複数回照会 部会長の赤池議員も照会

 文部科学省が前川喜平・前事務次官の授業内容を報告するよう名古屋市教育委員会に求める前、文科省に照会したのは自民党文科部会長代理の池田佳隆衆院議員(比例東海)で、市教委への質問項目の添削もしていたことが取材で明らかになった。文科部会長を務める赤池誠章参院議員(比例代表)が文科省に照会していたことも判明した。【伊澤拓也、西田進一郎、山衛守剛】

 前川氏は先月16日、名古屋市立八王子中で総合学習の授業として講演した。政府関係者によると、同市を地盤とする池田氏は2月中旬から下旬にかけ、複数回にわたって文科省初等中等教育局に電話し、授業の内容や経緯の説明を求めた。赤池氏も照会したという。

 文科省は今月1日、天下りあっせん問題による引責辞任や「出会い系バーの利用」に言及して前川氏を招いた経緯や理由を尋ね、録音データの提供を求めるなど15項目の質問を市教委にメールで送信。6日には校長の認識など11項目の追加質問を送った。関係者によると、池田氏は質問項目を事前に確認し、修正を求めたという。林芳正文科相は12日、「メールの表現ぶりにやや誤解を招きかねない部分もあった」として高橋道和・初等中等教育局長を口頭で注意していた。

 毎日新聞の書面での質問に対し、池田氏の事務所は回答していない。赤池氏の事務所は20日に開かれる文科部会終了後に赤池氏が取材に応じるとしている。

 一方、文科省は19日の野党合同ヒアリングで、前川氏の授業があったと把握したのは、翌日の先月17日にあった外部からの照会がきっかけだったと明らかにした。これまでは同日付の新聞記事で知ったと説明していた。この日は土曜で、「外部は政治家か」との質問には、市教委に問い合わせると決めた省の判断に影響を与えていないとして「答えは差し控えたい」と繰り返し、議員の複数回の照会についても答えなかった。

 19日の参院予算委員会の集中審議で、安倍晋三首相は「今後とも文科省で法令に基づきしっかり対応してもらう」と述べ、市教委への問い合わせに問題はなかったとの認識を示した。民進党の難波奨二氏への答弁。

掲載図:「文部科学省による名古屋市教委への前川前事務次官の授業報告要請の経緯」(以下に文字起こししておく)
2月16日(金) 前川喜平事務次官が中学校で授業
  17日(土) 中日新聞が授業を報道。外部から文科相に照会
  19日(月) 文科省が記事を確認し名古屋市教委に電話で問い合わせ
3月1日(木) 文科省が名古屋市教委にメールで15項目の質問。5日までの回答を要求
  5日(月) 名古屋市教委が文科省に返信
  6日(火) 文科省が名古屋市教委に11項目の追加質問。7日までの回答を要求
  7日(水) 名古屋市教委が文科省に返信
        宮川典子文科政務官に報告
  8日(木) 丹羽秀樹副文科相に報告
  12日(月) 林芳正文科省に報告

「外部」とは、自民党赤池・池田両議員。19日の電話の後、両議員は報告を受けている。
しかしそれに満足しなかったのだろう、3月1日のメール質問に発展。しかもそのメール内容を池田議員は事前チェック。さらに、市教委の回答のすぐ翌日に追加「質問」まで送っている。

上記事では文科省は「政治案件」であることを隠そうと画策中。「モリカケ」問題と同じ構図。
また、当初説明から説明を変更した。これも「モリカケ」と同じ。役所は平気で嘘をつく、この事例がまた増えた。
そして、張本人たる池田氏は回答拒否と。

2.名古屋市、河村たかし市長は批判姿勢か。政治的事情がありそう。
「知人の国会議員」が河村市長に伝えたとのこと。

前川氏授業報告要求:河村市長「議員が言わないとやらん」 - 毎日新聞
2018年3月19日 13時24分(最終更新 3月19日 14時25分)

 文部科学省が名古屋市教育委員会に前川喜平・前事務次官の授業内容の報告を求めた問題で、自民党文科部会所属の衆院議員が文科省に授業の経緯を照会していたことについて、名古屋市の河村たかし市長は19日の定例記者会見で「議員が言わないと、文科省はわざわざそんなこと(市教委への報告要請)はやらん」と指摘した。

 河村氏は知人の国会議員から、衆院議員が文科省に照会した経緯を聞かされたという。その上で「国会で当事者を参考人招致するなどして真相を明らかにしてほしい。文科省はうやむやにせず、なぜ市に報告を求めたのか、照会した議員が誰か、国会で堂々と話せばいい」と強調した。

 衆院議員が照会した理由に関して「文科省の質問項目にあるように(前川氏を講師に呼ぶことが)道徳に反すると思ったのではないか」と推測した。【三上剛輝】

3.文科大臣が発端が赤池、池田両議員だと示す。文科省は池田氏に文言の確認修正も依頼していた。赤池議員は照会を認めた。

前川氏授業:文科相、2議員照会認める 赤池氏は圧力否定 - 毎日新聞
2018年3月20日 10時26分(最終更新 3月20日 10時46分)

 前川喜平前文部科学事務次官が名古屋市立中で行った授業内容の報告を文科省が市教委に求めた問題で、林芳正文科相は20日、報告要請の前に、自民党の赤池誠章参院議員(比例)と池田佳隆衆院議員(比例東海)が文科省に対し、前川氏が学校に招かれた経緯などを複数回照会していたと明らかにした。池田氏には市教委に送る質問項目を事前に示し、池田氏の意見を聞いて内容を一部修正したことも判明した。

 林氏が閣議後の記者会見で説明した。赤池氏は自民党文科部会の部会長を務め、池田氏も同部会に所属している。林氏は会見で「調査は文科省の判断で法令に基づいて実施した」と従来の主張を繰り返したが、両氏からの照会は市教委への報告要請の前だったことから、同省の判断に影響した可能性が濃厚となった。野党の追及は必至だ。

 赤池氏は自民党本部で行われた文科部会後に取材に応じ、池田氏とともに、文科省に経緯を照会していたことを認めた。その上で「法令違反をした人が教壇に立って良いのか事実確認した。文科省への圧力には当たらない」と説明した。

4.首相は「知らない」、文科省は「自分たちの判断だ」と。

前川氏授業報告:自民議員の照会、首相「承知せず」 - 毎日新聞
2018年3月19日 13時01分(最終更新 3月19日 16時03分)

 文部科学省が名古屋市教育委員会に前川喜平前事務次官の授業内容の報告を求める前に、自民党衆院議員が文科省に繰り返し照会していたことについて、安倍晋三首相は19日の集中審議で「私は事案を承知しておらず、お答えのしようがない」と述べた。民進党の難波奨二氏への答弁。一方、文科省の高橋道和初等中等教育局長は「問い合わせは文科省の判断だ」と強調した。

 一方、文科省は19日の野党合同のヒアリングで、外部の問い合わせがきっかけで前川氏の講演を知り、地元の報道記事を確認して名古屋市へ照会したことを明らかにした。

5.圧力の経緯が少し出てきた。

前川氏授業:2議員の照会認める 文科相「添削は2カ所」 - 毎日新聞
2018年3月20日 11時24分(最終更新 3月20日 12時12分)

 文部科学省が前川喜平・前事務次官の授業内容について名古屋市教育委員会に報告を求めた問題で、林芳正文科相は20日の閣議後記者会見で、事前に自民党の池田佳隆衆院議員と赤池誠章参院議員から複数回照会があったと認め、池田氏の添削で質問項目を2カ所修正したことを明らかにした。一方で「問い合わせや質問の修正は省の主体的な判断で行った。議員の指示ではない」と述べ、教育への政治家の介入にあたらないとの見方を示した。

 林氏によると、中日新聞が前川氏の市立中での授業を報じた2月17日、自民党文科部会長の赤池氏から文科省の藤原誠官房長に「内容を確認してみてはどうか」と連絡があり、同19日に文科部会長代理の池田氏から記事の提供を受けた。文科省は市教委に電話で授業内容を確認し、同20日に赤池氏、同22日に池田氏に報告した。

 今月1日に市教委に授業の報告を求めるメールを送信する直前、池田氏に質問項目を見せ、2カ所についてコメントされたのを「参考にして修正した」という。見せた理由について林氏は「記事の提供を受けるなどの経緯の中で丁寧に対応した」と説明したが、林氏が池田氏のコメントを受けて質問を修正したと報告を受けたのは、この問題が明らかになって4日後の19日だった。

 林氏は「与党として意見を申し上げることはよくある。最終的には行政が判断することだ」と述べ、両氏とのやり取りは省の判断に影響はなかったとの認識を重ねて示した。【伊澤拓也】

赤池氏は圧力否定

 赤池氏は20日午前の自民党文科部会終了後、報道陣の取材に応じ「法令違反をした人が正式な授業で話すのに問題はないか確認した」と説明し、「各省庁に照会して事実確認を求めるのは日常業務の一環。圧力に当たらない。ただ、もう少し慎重にすべきだったところもある」と述べた。

 赤池氏によると、先月17日に池田氏から前川氏の授業の記事への意見を求められ、藤原官房長にショートメッセージで、授業に問題がないか確認した。文科省が市教委に報告を求めたメールの内容を今月2日に知り「誤解を招きかねない」と高橋道和・初等中等教育局長に電話したという。

 池田氏は20日の文科部会を欠席した。19日に赤池氏と電話で話した際には、質問事項について「(文科省に)一切、指示はしていない」と話したという。赤池氏は「池田氏と文科省のやり取りは2回。執拗(しつよう)に複数回の圧力をかけるようなやり取りでない」と述べた。【水戸健一、神足俊輔】

経緯はこんな感じかな。

2月17日 中日新聞報道 → 自民党赤池議員から文科省官房長(藤原氏)へ
   「内容を確認してみてはどうか」(こんな控えめな言い方だったのかなあ)
2月19日 自民党池田議員、文科省へ記事提供→市教委に電話→議員に報告
   赤池議員20日、池田議員22日
3月1日 文科省、圧力メール文面を池田議員に見せ、2カ所修正を受ける→送信

その後の経緯がまだ出ていない。
3月6日にも追加質問を送っていてその内容も「明日までに回答せよ」と高圧的なものだった。ここに議員とのやりとりがなかったのか、この記事では分からない。

所感を2つ。
1.与党議員と役所の癒着ぶりを示している。
  文科相は「よくあること」と言っている。議員が役所に意見するのは正当業務ではあるが、無理を飲ませたり不正行為をやらせたりすることが多いのもよく知られている。しかしどの程度の無理まで対応するかは役所と議員との力関係で決まる。民主党政権下では役所は非協力的だったとも言われるし、共産党など野党にはろくな資料・情報を出さないというのは役所の人自身が言っていたりする。今回は相当にエグイ介入なのだけれど、それをやったのは自民党議員だし赤池・池田だしというのがあっただろう。

2.文科省はこのような「質問」を不当介入だと思っていない。
多少無理筋でも議員の要求に忠実に応えた様子がうかがえる。その背景には、この介入の重大さを軽視していたことがあったのではないか。というか、不当ではないと本当に信じているかもしれない。尖閣諸島や竹島問題について、「他国の認識を教えるのは禁止」と堂々と学校に指示した人たちなのであるし。
子ども達に、未知の世界への敬意を持ち、個人を尊重して自由に意見を交わすことの良さを伝えないというのは、狭い視野においても「国力」を削ぐことになる、つまり「国益」を害すると思うのだけれどなあ。

6.蓮舫議員が動く姿勢。

(1) 蓮舫・立憲民主党さんのツイート: "赤池自民党文科部会長がメディアにブリーフ。 前川前事務次官の学校における講演について、赤池議員がショートメールで文科省の藤原官房長に「国家公務員法違反者が教壇に立てるのですか、確認をお願いします」と。翌日官房長から「対応します」との返信。文科省は作成した質問状を池田議員に持参、と"
蓮舫・立憲民主党さんのツイート: "自民党の文科部会長と部会長代理。この人達は教育の公平性、自主性を歪めることが仕事なのだろうか。 https://t.co/3VTJVTvgcc 今日、参議院の文科委員会理事会で文科省からヒアリングがある。委員会がセットされれば質さないとといけない。"

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自民党の赤池誠章参院議員についてアレな話がいくつか出てきていた。

moldさんのツイート: "和田政宗が野党にブーメラン跳ね返そうと「山梨の学園(日本航空学園)も評価額の8分の1で国有地売却している!そこの保護者会連合会長は野党(民進党)議員だ!」とぶち上げたら、そこの理事長は右翼(チャンネル桜設立発起人)で理事や系列学校元校長は自民党元議員でしたというオチ。無知すぎるw"

ロジさんのツイート: "自民党参議院議員の赤池誠章、国有地の無断使用と格安取得が報じられた日本航空学園の関連学校の学校長だったんだな。 文部科学大臣政務官で教育再生実行会議にも参加してたのか。 日本航空学園の理事長がやたら教育勅語に拘ってるのと何か関係があるんだろうか。… https://t.co/pKUl7aQnLh"

こたつぬこさんのツイート: "この赤池議員、明大弁論部→松下政経塾→無所属で落選をつづけて安倍に拾われて当選した「外様組」。そして「第2の森友」といわれる極右「日本航空学園」への土地の格安売却に関わったとされる人物でもある。 ↓ https://t.co/W5L7sEdiAO… https://t.co/kziMi8kWjb"

トンデモな右翼・排外主義者らしい。

こたつぬこさんのツイート: "自民党山梨県連が赤池を嫌がってるのと、しばき隊が維新政党新風を攻撃してるのが混在している、2013年のネトウヨ記事 https://t.co/jagUIIf8hX"
参照先の記事はこれ。
自民山梨県連が赤池まさあき氏に嫌がらせ?→抗議凸!「新風」ポスターを剥がされる選挙妨害→貼れる人急募 - かけだし鬼女の、今が日本の一大事~よければ一緒に凸しよう!~【コチラは旧居です】

安倍総理に自虐教育をぶっつぶしてもらいたいかけだしだけど、
赤池まさあき候補は「打倒日教組!!!!」ということで、
安倍内閣の大きな力になる政治家なのですっ!!!!!!!!
で、右翼系?のサイトではこんな感じの評価。
自由民主党 赤池誠章 比例代表 選挙前.com

こちらは池田氏について。

前川授業データ要求の自民党議員、「宇予くん」こと日本青年会議所(JC)の元会頭でした | BUZZAP!(バザップ!) http://buzzap.jp/news/20180320-maekawa-ikeda-jc/


それにしても、赤池・池田の両氏のねらいは何だったのかはまだ報じられていない。
両氏が安倍政権の手下だからだ、という話はあるようだけれど。

日本航空学園の問題は前からささやかれていた話だから、そこまで話が広がると良いなあ。

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追記(2018年3月23日)

盛田隆二『焼け跡のハイヒール』祥伝社さんのツイート: "職員が告白。文科相が「赤池&池田の前川氏授業調査恫喝」を隠した理由😩 「赤池さんは自民の文科部会長ですから、機嫌を損ねると文科省のあらゆる案件の与党審査が滞ります」 「赤池さんの問合せには特段気を配るよう言われています。通したい法案の決裁権を握られている」 https://t.co/ZZ874ZedD4"

リンク先はTBSニュース。
前川氏授業“問い合わせ” 文科省が記者に事実と異なる説明 TBS NEWS(3月21日23時10分)
このニュースで文科省がTBS記者に嘘をついたというのは、文科省が前川氏の授業を知ったきっかけについて、当初、政治家の存在も伏せていたこと。
(21日時点での)先週にあった担当課長(淵上孝教育課程課長)と記者とのやりとり
記者:発端として誰が言ったんですか?
課長:僕らですよ。教育課程課の中ですよ。
記者:最初に報道を見つけたのは誰なんですか?
課長:えっと……うちの課ですね。

3月20日夜の記者会見では
記者:教育課程課の中でその記事を発見したっていうふうに、まあある意味嘘をついていた……池田議員からの記事の提供を隠していたその理由はなぜですか?
課長:えっと……すいません……えーっと……ちょっと……そのように明確に私が申し上げましたですか?

という感じ。
報道が出てから池田議員は雲隠れ、ようやく国会に出てきたら一方的に見解を話して質問も受け付けず立ち去ったとのこと。

蓮舫・立憲民主党さんのツイート: "前川氏と同じ理由で法違反で停職相当と処分された山中元文科省事務次官が今は広島県の特別参与。来春開校予定の中高一貫校へ教育政策を助言し、県が進める教育政策へのアドバイスを担う。一回の講演ではなく県の教育行政に直接関与。前川氏同様に文科省は調査するのか質すと、「しません」との答弁。"

もちろん、自民党議員からの圧力が原因なのだけれど、「前川氏の時は調査したのに、山中氏の時は調査しない、違う理由は何か」と聞く価値はあるね。

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追記(2018年4月2日)

前川氏講演、名古屋市教委が文科省に質問状送付:朝日新聞デジタル
2018年4月2日13時09分

 前川喜平・前文部科学事務次官が名古屋市立中学校でした講演を文科省が調査していた問題で、名古屋市教育委員会は調査の趣旨を問う質問状を文科省に送った。河村たかし市長が2日の記者会見で明らかにした。3月30日にメールで送信し、現時点で回答は届いていないという。

 質問状には、前川氏の講演について「キャリア教育の視点で行われた授業だと把握しており、特に問題ないと捉えている」との市教委の見解を明記。複数回にわたった問い合わせの意図や、講演についての文科省の考え方をただした。

 河村氏は文科省の調査について「出会い系バーに出入りしていた人を呼ぶのは問題があるのでは、と受け取れる。一定の価値観を示された」と指摘。「それでええということになると日本中で(調査が)頻発する。オールジャパンのために、きちっと考えを聞かないかん」と述べた。

名古屋市教育委員会の姿勢は支持したい。河村市長も突っ込んだコメントをしている。彼は南京大虐殺否定論者であって、とんでもない人ではあるのだけれども。
文科省自身は詳細な質問状を送りつけ、「翌日までに回答せよ」などと言うわけだが、さて、いつ頃までに回答するのかな。


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