中国の統制:弁護士の自主性を抑圧する制度
中国の弁護士制度
・地元の弁護士会が毎年、弁護士を審査・当局に連絡→登録抹消・資格剝奪
・剝奪後は再び弁護士になることはできない。
・弁護士は必ず事務所に所属しなければならず、無所属で半年が過ぎると登録を抹消される→当局が管内の各事務所に圧力をかけて雇わせないことがある。
・弁護士の全国組織・中華全国弁護士協会が会則を追加
「習近平同志を核心とする共産党中央の権威と集中統一指導を固く守る」
・傅政華・司法相「弁護士は党の言うことを聞き、党に従わなければならない。弁護士に対しては優しさと厳しさが必要だ。不適切な言動は絶対に許さない」と警告。
もの凄く恐ろしい…。すごく厳しい踏み絵を迫られる世界。自分ならどうするだろうかと考える。
習近平政権って、安倍型の自民党とすごく気が合いそうなんだけどな……。
中国、人権派弁護士への圧力巧妙化 拘束よりも登録抹消:朝日新聞デジタル
2018年7月4日20時31分
中国で人権派の弁護士らが一斉に拘束された事件から9日で3年になる。弁護士らへの圧力は続いているが、当局はより巧妙な手法を使い始めている。(北京=延与光貞)南部・広西チワン族自治区の南寧。冤罪(えんざい)や宗教迫害などの人権案件を引き受けていた「百挙鳴弁護士事務所」に5月中旬、地元司法局の幹部らが突然やって来て宣告した。
「事務所はすぐ解散してもらう。今後は百挙鳴という名も使ってはいけない」
その数日前には、一斉拘束事件で一時拘束され、関係者の弁護もした主任の覃永沛弁護士(48)の資格の剝奪(はくだつ)が通知されていた。覃さんはその場で抗議したが「他の弁護士の移籍先を確保するまでは解散しない」という条件をのませることしかできなかった。
覃さんは「これ以上戦っても他の弁護士に迷惑をかけるだけだから」とさばさばした表情で話した。人権派を抱えれば当局に目を付けられるため、二十数人の弁護士のうち半数ほどは移籍先が決まらない。
それでも覃さんはあきらめない。すでに法律顧問会社をつくり、人権派の若手を育てる計画だ。「もっといい仕事ができると思う。弁護士じゃなければ、当局もこれ以上、妨害できないしね」と笑い飛ばした。
弁護士の資格を奪って活動させなくする手法は昨年から目立つ。香港のNPOや当局の資料によると、同年9月から先月までに少なくとも16人の人権派弁護士が登録を抹消されたり、資格を剝奪されたりした。
事件で中心人物とされた北京の王宇弁護士を担当した湖南省の文東海弁護士(44)もその一人。5月、資格剝奪の通知を受けた。昨年、共産党が邪教として弾圧する法輪功の事件の裁判で「法廷の秩序を乱し、正常な訴訟活動を著しく妨害した」ためだ。文さんは「裁判官が法律を無視した訴訟指揮をするので抗議したが、それは理由にはならない」と憤る。
結果が覆らないことは分かっていたが、当局の違法性を正面から訴えたいと、公聴会を要求した。5月下旬に開かれるはずだったが、当日、裁判所前で直前に不審者にからまれてトラブルになった。やむを得ず派出所で事情を説明していたら、公聴会を放棄したとみなされ、6月、取り上げが確定した。
当局の新たな手法について文さんは「身柄を拘束すれば、国際社会の批判で政府のイメージが悪化することが分かった。資格の問題なら、批判を受けても内政問題だと反論できるからだ」とみる。「こんなやり方が長く続くはずがない。民主、自由、法治という流れは変えられない」
反撃する弁護士もいる。
今年1月、政治改革を求める公開書簡を発表して拘束され、4月に国家政権転覆扇動などの容疑で逮捕された北京の余文生弁護士(50)について、当局は「仲間の弁護人を解任する」という余さん自筆とする声明を家族に渡し、当局寄りの弁護人を再手配しようとした。だが余さんは拘束後、人権団体を通じ、事前に自撮りした動画を公表。「弁護人を選ぶ権利は永遠に放棄しない。拷問に遭わない限り、当局が選んだ弁護人は選任しない」と語る内容だ。
人権派弁護士らの事件では、当局が裁判を支障なく進めるため弁護人を選任し直す例が相次ぐ。余さんはこのやり方のうそを暴いた。その後、家族が尋ねても、当局は弁護人が交代したかどうか答えないという。
奮闘する妻たち、面会活動をスタート
当局の監視や嫌がらせを受けながら、弁護士の妻たちも奮闘している。15年7月に拘束された弁護士らで唯一、今も拘束が続く王全璋さん(42)の妻、李文足さん(33)は、事件から3年経つのに合わせ、この事件にかかわり、拘束されるなどした弁護士らへの面会活動を始めた。資格剝奪(はくだつ)を恐れず戦ってくれたことへの感謝の意味もある。
2日は瀋陽の拘置所を訪れ、60代の李昱函さんに夏服などを差し入れた。有罪判決を受けた李和平さん(47)の妻、王峭嶺さん(46)らも一緒だ。
国家政権転覆扇動の容疑をかけられている余文生さんの妻、許艶さん(35)も警察や検察を訪ね歩き、夫の釈放を訴えている。余さんは王全璋さんの弁護も担当していた。
許さんにも監視や尾行がつき、4月には自身も国家政権転覆扇動の容疑で呼び出された。「夫を含め、弁護士は法律の範囲で活動しただけなのに資格を奪われている。国外でも関心を持ち続けてほしい。多くの人に発言してもらうことが力になる」と話した。
圧力にさらされやすい中国の弁護士制度
中国の弁護士は司法試験合格後、法律事務所で1年間研修を受けて資格を得る。地元の弁護士会が毎年、弁護士を審査する制度があり、問題があれば、連絡を受けた当局が登録抹消や資格剝奪(はくだつ)をすることができる。剝奪後は再び弁護士になることはできない。必ず事務所に所属しなければならず、無所属で半年が過ぎると登録を抹消されるため、当局が管内の各事務所に圧力をかけて雇わせないことがある。
習近平(シーチンピン)政権に弁護士の管理を緩める気配はない。弁護士の全国組織・中華全国弁護士協会は今月初めの大会で「習近平同志を核心とする共産党中央の権威と集中統一指導を固く守る」との内容を会則に加えた。
この大会では、公安省次官として一斉拘束事件を指揮したとされる傅政華・司法相が「弁護士は党の言うことを聞き、党に従わなければならない。弁護士に対しては優しさと厳しさが必要だ。不適切な言動は絶対に許さない」と警告した。
◇
〈弁護士一斉拘束事件〉 2015年7月、中国の著名な人権派弁護士や民主活動家らが国家政権転覆容疑などで一斉に拘束された。香港のNPOによると、今年5月までに計321人が取り調べを受け、15人が起訴された。当局は「弁護士らが一般事件を政治化し、反政府感情をあおり立てた」としたが、「政治的弾圧だ」との批判が根強い。
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