Tカードは会員情報を自由奔放に警察に提供しているという話
Tカード情報令状なく捜査に提供 規約明記せず、当局は保秘 - 共同通信 | This Kiji(2019/1/20 19:381/20 20:03updated)
コンビニやレンタルショップなど、さまざまな店で買い物をするとポイントがたまるポイントカード最大手の一つ「Tカード」を展開する会社が、氏名や電話番号といった会員情報のほか、購入履歴やレンタルビデオのタイトルなどを、裁判所の令状なしに捜査当局へ提供していることが20日、内部資料や捜査関係者への取材で分かった。「T会員規約」に当局への情報提供を明記せず、当局も情報を得たことを本人に知られないよう、保秘を徹底していた。以下の報道の続きのようだ。Tカードの会員数は日本の人口の半数を超える約6700万人で、提携先は多業種に広がる。
2019/01/14 すでに日本も中国並みの監視社会になっているという話: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
・顧客情報、令状なく取得 検察、方法記すリスト共有:一面:中日新聞(CHUNICHI Web)(2019年1月4日 朝刊)
・スマホゲームで位置把握か 捜査にGPS利用可能性 - 共同通信 | This Kiji(2019/1/13 19:23)
この記事で、私は「もちろん企業側は断ってもいいのだけれど、いろいろな理由で、応じる企業もあるだろう」と書いたのだけれど、やっぱりそうだったよね、という感じ。
そして、Tカードがそれをやったというのは違和感がない。Tカードなら抵抗なくやるだろうという印象。
というのは、大分前からこういう話があったからだ。過去の記事を再掲しておく。
・2014/05/22 Tポイントカードだけじゃなくてヤフーの利用も危ないことに。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
ヤフーとCCC、Tカード購買履歴とWeb閲覧履歴を相互提供へ
・2014/07/30 私がTポイントカードを作らない理由: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
Tポイント提携企業から何らかの形でT会員番号を含む売買履歴がいったん漏れると、名簿屋のほうでT会員番号での個人に関する情報が識別化できてしまい、T会員番号つきの個人に関する情報のリストが出回ることに
・2015/01/07 Tポイントと個人情報の記事: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
ツタヤTカード、勝手に個人情報を第三者へ提供?
・2015/01/30 個人情報とビッグデータ:原論文を見ないとよく分からないが原論文に当たる余裕もない。: 思いついたことをなんでも書いていくブログ
クレジットカードの利用情報わずか4件から、カード利用者の大半の身元を特定できる
それにTカードをやっているCCCという会社自体、ツタヤ図書館や樋渡氏が云々…というあたりから、企業倫理や社会性を信用できない印象が出来た。
そして、Tカードの発行枚数は日本の人口を超えている。既に2012年の段階で、1億3,255万枚、ほぼ2011年1年の利用者数(名寄せ済み)が3,865万人、20代保有率は64%だった。
(Suicaの利用記録を勝手に流用されたくない場合の手続き: 思いついたことをなんでも書いていくブログ)
まあ、要するに、Tカードは警察が自由に使える個人情報窓口であり、Tカードを通じて、警察は日本人の大多数の個人情報を集められる、ということである。そして、いつ、どこで、どのように、自分が監視されているかは、全く知らされないし、尋ねても教えてくれない、ということである。
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追記(19/01/21(月)18:52:35)
お知らせ|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
Tカードの情報に関する一部報道について1.2012年までは、捜査令状があったときのみ、個人情報を提供していた。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
2019年01月21日このたびは、Tカードの情報に関する一部報道により、みなさまに多大なるご心配をおかけし申し訳ございません。
弊社グループは、1983年からTSUTAYA事業、2003年からTカード事業を行っておりますが、顧客価値向上に向け、従来よりお客さまから個人情報をお預かりするとともに、データベースの適切な管理を実施してまいりました。
その個人情報の取り扱いに関し弊社は、捜査令状があった場合にのみ、必要最小限の個人情報を提供するという協力姿勢をとってまいりました。一方、弊社の保有する個人情報は年々拡大し、社会的情報インフラとしての価値も高まってきたことから、捜査機関からの要請に基づき、2012年から、「捜査関係事項照会書」があった場合にも、新たに施行された個人情報保護法に則り、一層の社会への貢献を目指し捜査機関に協力してまいりました。
今後につきましては、T会員のみなさまに個人情報の取り扱いについて、よりご理解いただけるよう、個人情報保護方針およびT会員規約に明記するようにいたします。個人情報保護方針およびT会員規約への明記につきましては、すでに具体的な手続きに着手しております。
みなさまの個人情報の取り扱いにつきましては、今後さらに細心の注意を払ってまいります。
2.2012年以降、捜査関係事項照会には応じていた。
3.今後、この方針を会員規約に明記する。
ということらしい。
捜査関係事項照会に応じることにした理由が振るっている。
「保有する個人情報は年々拡大し、社会的情報インフラとしての価値も高まってきた」からなのだそうだ。
要するに、客の個人情報にどういう価値があるか、どう扱うかは、自分たちが勝手に決めてよい、客に相談する必要はないという趣旨だろう。まさにCCCらしい。
このコメントについて記事が出ている。
Tカード情報を令状なしで捜査当局に提供 CCC「社会貢献のため」 - ねとらぼ(2019年01月21日 16時01分 公開)
CCCのコメントは以下の通りらしい。
広報に問い合わせたところ、「弊社としては犯罪者が捕まることでよりよい社会に貢献できるのではないかという思いがあり、捜査に協力してきた」とコメント。また、情報提供要請の頻度に関しては「捜査に関わるので回答できない」としています。
「犯罪者が捕まることでよりよい社会に貢献できるのではないかという思いがあり」
とのこと。この無邪気さが正にCCCらしい。そしてこんな「お子様」たちが日本人の大多数の個人情報を蓄積・管理していることに慄然とする。
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