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2019年11月の3件の記事

2019/11/27

共同通信の「桜を見る会」参加者取材記事

「桜を見る会」行った人に聞いてみた  浮かび上がるのは、やはり公私混同ぶり | 47NEWS(2019/11/27 07:00 (JST))

 自民党は6千人、安倍晋三首相は1人で1千人もの招待者枠を得ていた上、招待者リストは全て破棄されていた首相主催の「桜を見る会」。「行政の私物化だ」と追及を強める野党に対して政権側は、数が膨れ上がったことは「大いに反省」(安倍首相)するが、公私混同はなく公選法違反にも当たらないと否定する。

 だが、各界の著名人や芸能関係者も招かれ、満開の桜の下で酒食の提供をふんだんに受ける「特権的な催し」との印象は強く、世論の批判はやまない。そこで、省庁の推薦枠で招待され、実際に参加したことのある東京在住のAさん(52)に話を聞いてみた。浮かび上がるのは、やはり明らかな「公私混同」ぶりだ。(共同通信=内田恭司)

 ▽結婚間近の若手社員も

 Aさんは、東京に本社がある情報通信分野の大手X社に勤務する。X社には同業他社と同様に毎年1月か2月ごろ、政府から招待者の推薦依頼が届くため、社内の「政治色の強い部署」(Aさん)を中心に20~30人前後のリストをつくり政府側に提出している。推薦要請を受けている他業種の企業は「知らない」という。

 「X社内には政治色の強い部署があり、そこの部長職が代々人選しています。リストに入るのは、多くがその部署の管理職やOBで、功績や功労のあった人はいませんね。結婚間近の若手社員は男女を問わず、よく加えてもらっていました」。

 リストに基づき、3月ごろには会社にまとめて安倍首相名の招待状が届いた。Aさんは、第2次安倍政権になってから3年連続で招待状をもらっていたため、2018年4月21日に開催された桜を見る会に初めて参加してみることにした。

 妻と小学生の長男の3人で多少のおめかしをして出かけ、小田急線、東京メトロ丸の内線を乗り継いで、会場の新宿御苑に着いたのは午前9時前。複数ある入口のうち、四谷寄りの大木戸門から入った。朝から好天に恵まれ、日差しがまぶしかったという。

 入る際に手荷物検査はなく、招待状もチェックされなかった。同封された、通し番号入りの受付票を渡し、引き替えにもらうリボンを付けるだけで、すんなりと会場に入れてしまった。普段の入場料は大人500円ので、その分得したことになる。

 少し離れたところで、自民党のある女性国会議員が職員を怒鳴り上げていた。同伴してきた父母を入れてくれないらしい。確かに招待状には、一緒に入場できるのは配偶者と本人の子どもまたは孫(ただし未成年)だけと記された注意書きが入っていた。

 ▽酒と焼き鳥はすでに品切れ

 Aさんが中に入ると、芝生広場の左側に大型の白いテントが複数張られ、そこが飲食と模擬店の会場になっていた。しかし、テント内のテーブルにあるのはオレンジジュースやウーロン茶類だけ。お酒のふるまいはほぼ終わり、焼き鳥も品切れになろうとしていた。

 聞くと、国会議員の後援会関係者とおぼしき大勢の招待者が、何台もの大型バスで先乗りしており、お酒と焼き鳥は早々になくなったのだという。その後、補充されたのかもしれないし、他にも飲食できるエリアがあったのかもしれないが、大木戸門口から9時以降に入った人の多くは、何も口にできなかったのではないかという。

 Aさんは「安倍首相の地元・山口の銘酒である獺祭が飲めたそうですが、一本もなかったですね」と振り返る。今にして思えば、先乗りしていたのは安倍首相や自民党の大勢の支援者だったのではないかと話す。そうであれば、やはり公費で支援者らに優先的に飲食させたことになるのではないか。

 Aさんは、お酒と焼き鳥はあきらめ、テントの近くでお菓子を配っていたので、家族3人で長い列の後ろに並ぶことにした。15分くらいで順番が来て、3人ともバウムクーヘンと和菓子の小さな詰め合わせを1箱ずつもらった。バームクーヘンは東京の名店の、和菓子は京都の老舗のもので、見ると手土産に持って帰る人が多かった。

 桜はというと、広い御苑内の方々で咲いていたであろうソメイヨシノはとっくに散り、全て葉桜になっていた。この時期に咲いているのは八重桜で、ところどころにしか植えられていないが、ほぼ満開できれいに咲いていた。9時半ごろになると入場者もかなり増え、大勢の人が散策をしたり写真を撮ったりしていた。

 少し向こうで記念撮影の長い列ができているので、何だろうと思って近づいてみたら、警護員(SP)を従えた菅義偉官房長官が、せっせと招待客との撮影に応じていた。

 ▽遠巻きにピコ太郎見つける

 Aさんがふと見渡すと、音楽隊が演奏しているステージのあたりから、芝生広場を横切って中央の池に向かってロープの導線が張られ、幾重もの人垣ができていた。「安倍首相が通るのだろう」と思い待っていたら、複数のSPとともに安倍首相がやってきた。

 あちこちから「安倍総理ー」「あべっちー」などと声が掛かり、たくさんの人が手を伸ばしてスマートフォンで写真を撮っていた。安倍首相は笑顔を絶やさず、立ち止まって握手したり、手を振ったりしながらゆっくりと歩いていた。

 首相はこのまま池方面に向かったが、規制線が張られているのか、一般の招待客は入れないようだった。そこは著名人や芸能人らのエリアで、遠巻きながら、歌手のピコ太郎さんら、見たことのあるタレントが何人か確認できた。

 八重桜を背に、着物で着飾った女性歌手らと語らう安倍首相の写真を新聞やテレビなどで見るが、それはここで撮影されたもののようだ。

 首相は会場の中央であいさつもしていた。八重桜にひっかけて一句詠むのが恒例になっているようだが、遠かったのでよく聞こえなかったという。

 ちなみに2017年は「風雪に 耐えて5年の 八重桜」。今年は「平成を 名残惜しむか 八重桜」だった。

 そうこうするうちに桜を見る会はお開きとなり、10時半には一般客の入場規制が解除された。Aさん家族は会場を歩き回って疲れたので、千駄ケ谷門から出て帰路に就いた。

 Aさんは華やかな雰囲気で、お土産ももらえて満足だったとしつつ「安倍首相や自民党の支援者も同じように感じたのなら、もっと政権を応援しようという気持ちになったのではないでしょうか」と語り、〝公費接待〟の効果のほどを語った。

 ▽襟を正して運用見直しを

 桜は日本を代表する花であり、花見は日本の文化でもある。個人的には、首相が各界の功労者やさまざまな分野で功績を上げた人々を招き、ともに桜を愛でるという会があってもいいのではないかと思う。

 だが野党が「政治とカネの問題、行政の私物化、公文書のでたらめな扱い、安倍政権の『3点セット』がまたぞろ吹き出した」(立憲民主党の逢坂誠二政調会長)と強く批判するように、政権幹部や与党が一方的な優先枠を得て何千人もの支援者を招き入れていたのは、公私混同以外何ものでもない。

 民主党の鳩山政権だってやっていたとの反論もあるだろう。確かに、当時の松野頼久官房副長官に頼んで「後援会のメンバーを50人くらい入れてもらった」と、うれしそうに話していた首都圏の小選挙区選出の議員がいた。今も現職だ。

 菅官房長官が指摘したように「民主党だけで3、4千人」を招いたのも事実だろう。中止になったが、菅政権や野田政権でも招待状は発送済みだったはずだ。旧聞に属するが、自社さ政権時代に支援労組の東京見物とセットにしていた旧社会党議員もいた。

 しかし、だからといって問題なしでは済まされず、「税金で後援会活動をした」との批判も免れない。襟を正して非は改め、しっかりと運用を見直すべきだ。


記者の論調がぬるくてダメダメだが、「Aさん」の話はいくつか面白い点があるのでメモ。

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2019/11/25

国家公務員全員にマイナンバーカードを取得しない理由を書かせる調査

取得強制ではないと言うが……。
国の行政組織が色々な意味でひどいことが分かる。

業者の利権も絡んでいるのではと勘ぐりたくなる話。マイナンバーカード未取得「理由提出を」 各省庁職員に:朝日新聞デジタル

 国家公務員らによるマイナンバーカードの一斉取得を進めるため、各省庁が全職員に対し、取得の有無や申請しない理由を家族(被扶養者)も含めて尋ねる調査をしている。内閣官房と財務省の依頼を受けたもので、氏名を記入して上司に提出するよう求めている。調査を受けた職員からは、法律上の義務でないカード取得を事実上強要されたと感じるとの声が出ている。

 政府はマイナンバーカードを2021年3月から健康保険証として使えるようにする計画で、6月に閣議決定した「骨太の方針」に、国と地方の公務員らによる今年度中のカード取得の推進を盛り込んだ。22年度末までに国内のほとんどの住民がカードを保有するとも想定し、「普及を強力に推進する」としている。

 朝日新聞は各省庁などに送られた7月30日付の依頼文を入手した。内閣官房内閣参事官と国家公務員共済組合(健康保険証の発行者)を所管する財務省給与共済課長の役職名で、骨太の方針に基づき、各省庁などの部局長から全職員に対し、家族も含めてカード取得を勧めるよう依頼。10月末時点の取得状況の調査と集計・報告、12月末と来年3月末時点の集計・報告を求めている。

 文書に添付された調査用紙には個人名の記入欄、家族を含む取得の有無や交付申請の状況、申請しない場合は理由を記す欄があり、「所属する部局長に提出してください」ともある。

 財務省給与共済課によると、調査対象は国家公務員や独立行政法人職員ら共済組合員約80万人と被扶養者約80万人を合わせた約160万人。同課は取材に「回答に理由を記載するかは自由で、決して強制ではない。人事の査定に影響はない」と話している。調査は取得に向けた課題を洗い出すためで、今後は各省庁などを通じて取得率の低い部局に取得を促すという。

 マイナンバー法で、マイナンバーは全住民に割り振られているが、カードを取得するかどうかは任意だ。調査を受けた経済産業省の関係者は「公務員は政府の方針に従い、率先してカードを持つべきだというのは分かるが、記名式で家族の取得しない理由まで聞かれ、取得の強要と感じた」。財務省の関係者は「取得を迫るようなやり方に違和感を覚える。3年余でほぼ全住民が保有すると閣議で風呂敷を広げたせいで、普及に必死になっている」と漏らす。

 地方公務員ら約310万人については総務省が6月から調査。同省福利課によると、職員の名前は明記させず、本人や家族の取得の有無を職場全体で取りまとめる形で行った。取得しない理由などは尋ねていない。担当者は「事務作業の負担を考えて調査項目は必要最低限にした」と話す。

 マイナンバーカードは16年1月に交付が始まった。利便性の低さや個人情報の漏洩(ろうえい)への懸念などから普及が進まず、11月1日現在の交付枚数は約1823万枚、取得率は全住民の14・3%にとどまる。総務省所管の団体は7月、普及が進むとの政府の想定に基づいて5500万枚分の製造を2業者に発注している。(座小田英史、横枕嘉泰)

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2019/11/06

日本大使館、正しい日本理解「日本は検閲の国」というイメージ広報に成功。

原発事故、安倍政権扱った作品問題視か ウィーンの芸術展、日本大使館が公認取り消し - 毎日新聞(2019年11月6日 09時48分(最終更新 11月6日 12時56分))

オーストリアの首都ウィーンの「ミュージアム・クオーター」で、同国外務省が協力し、日本との国交150年の記念事業として開かれた芸術展について、在オーストリア日本大使館は公認を取り消した。東京電力福島第1原発事故や安倍政権を批判的に扱った作品などが問題視されたとみられる。

 この芸術展は、日本の美術家、会田誠氏らの作品を展示する「ジャパン・アンリミテッド」。政治的テーマへの抗議が高まり、公権力との関係が物議を醸した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」に参加していた美術集団「Chim↑Pom(チンポム)」も出展した。公式ロゴが使えなくなるだけで芸術展は続いているが、表現の自由を巡る不寛容が国外に波及した格好。


ウィーンの芸術展「ジャパン・アンリミテッド」で展示された作品。東京電力幹部の謝罪会見を基にした動画(左)や日の丸の形に血が浮かぶ放射線防護服のようなオブジェ(右上)=2019年11月5日、共同
 日本での政治社会批判の自由と限界に焦点を当てた芸術展は9月下旬に開幕。放射線防護服に日の丸の形に浮かんだ血が流れ落ちるようなオブジェや、安倍晋三首相に扮(ふん)した人物が歴史問題を巡り韓国、中国に謝罪する動画も展示、昭和天皇を風刺する作品もある。

 日本大使館によると10月30日に公認撤回を通知した。実際に芸術展を見た結果、相互理解と友好関係を促進するとの条件を満たさないと判断したとしている。

 芸術展で学芸員を務めているマルチェロ・ファラベゴリ氏は、企画展で批判された芸術家がウィーンの芸術展にも参加していることが日本で指摘されたため、日本の国会議員が外務省に調査を要請、撤回につながったとみられると述べた。

 ファラベゴリ氏は作品について「欧州の感覚では無害だと思う」と指摘。「(欧州で強権色を強める)ポーランドやハンガリー同様、日本でも検閲が強まっているのを感じた」と話した。(共同)

日本での政治社会批判の自由と限界に焦点を当てた芸術展「ジャパン・アンリミテッド」。9月下旬開幕、10月30日大使館が公認撤回。(あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」への攻撃は8月1日から。)

主催者の指摘が興味深い。
1.「表現の不自由展・その後」参加作家が参加していることを日本で誰かが通報→国会議員が外務省に圧力→大使館が公認撤回。
2.「欧州の感覚では無害だと思う」
3.「(欧州で強権色を強める)ポーランドやハンガリー同様、日本でも検閲が強まっているのを感じた」
批判的精神の内在を許さない社会、日本。この先どこへ行くのだろうか。

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