Inclusive Wealth Index という指標
福島 清彦 (立教大学特任教授)
衝撃レポート これが日本の実力だ 資本 国連調査で「世界一の豊かさ」 GDPを超える新経済統計。日本の強みは設備・インフラと教育力|文藝春秋SPECIAL|本の話WEB
「ニッポンすげー!さすが俺たちのニッポン!」とかは、どうでもいいのだが。
以前ちらっと新しいマクロ的福祉指標の試算がされているというのをどこかで読んだのだけれど、これだったのかもしれない。高校生も政治・経済で習うNNWをはじめ、この種の福祉指標の試みは枚挙にいとまがないが、とりあえず後で読むようにリスト化。
GDPはもうダメ!みたいな論調は、この種の指標提唱者につきものだけど、国民経済計算が経済指標でしかないことは極めて当たり前のことなので、こういう語り方をする人たちは、ある種のトンデモさんたちだと言って差し支えないと思う。
福島氏は野村総研で定年まで勤め2004年に退職、2005年4月から立教大学へ移り、2010年に65歳の定年を迎えてその後特任教授になったようだ。
CiNiiから:「福島清彦教授の略歴および業績」立教経済学研究 64(3), 161-167, 2011-01-20
大谷 順彦「福島清彦先生の人と学問」立教経済学研究 64(3), 155-160, 2011-01-20
ところで、上の文藝春秋の記事より下記の方が情報量も多いし読むならまだこちらの方が良さそうだ。
福島清彦「暮らしの質を重視する新指標とアベノミクスの功罪」経営・情報研究 : 多摩大学研究紀要 (18), 79-100, 2014(多摩大学機関リポジトリ - 暮らしの質を重視する新指標とアベノミクスの功罪)
福島氏が扱っている福祉指標が Inclusive Wealth Index というもの。
記事中で紹介されている「国連の2012年のレポート」というのがおそらく下記。
UNEP and UNU-IHDP (2012) "Inclusive Wealth Report 2012, Measuring progress toward sustainablity", UNEP
ダウンロードが非常に重い。
スマートフォン用のページらしいが、「Inclusive Wealth Report」でググると、International Human Dimensions Programme on Global Environmental Change という団体のサイトがトップに来る。
Inclusive Wealth Index
PCでは非常に読みづらい。
団体概略:About — Inclusive Wealth Index
これによると、アドバイザとして、Partha Dasgupta が上がっているから、一応ちゃんとしているのかなあと思う。このレポートのディレクターとなっている Anantha Duraiappah は国連大学で、東大の客員のようだ。
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どういう計算をしているか分からないので、文藝春秋の記事への評価は保留。しかし、UNEPの元々の提唱者が日本についてもレポートを出しているのに、福島氏が自分で計算してみたというのがちょっとどうしてなのかなと思う。それと、用語が…?「生産した資本」とか、固定資本形成のことかとか思ってしまうし…。フローなのかストックなのかもよく分からないし、というかそもそもそうした活動概念ですらないものを合成して誤解を招きそうな名前を付けるのはどうなのだろうか。いやまあ、福祉指標はたいていそういうものではあるのだけど。
個人的にちょっと意外だったのは、立教大学の山口義行氏に金融論の論説や記事が多かったことだ。氏は中小企業論というか中小企業経営的な仕事が専門だと思っていたので。CiNiiには96年以前の業績が見られないが、当初は組合論や労働研究が多かったようだが、中小企業金融や地域金融の業績が増えているので、そうだったのかーという感じ。
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